海外送金手数料を劇的に安くする新サービスを構築する動きが出てきました。日本のメガバンクがペイクイックなどのベンャーに対抗して競争力を高めようとしています。 |新サービス構築で海外送金手数料が安く!

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新サービス構築で海外送金手数料が安く!

先般、日経朝刊の一面トップに「海外送金手数料1/10」と、
刺激的なタイトルの記事が掲載されました。

興味を持たれた方も多いと思いますので、
今回はこのニュースについて、コメントしたいと思います。

今回の新聞記事は、金融庁の諮問機関である
「金融審議会」で取りまとめた報告を基にしています。

内容は多岐に亘るのですが、要は日本のメガバンクが、
ペイクイックなどのベンチャーに対抗して、
安価な国際送金サービスを、構築しようとしている点です。

紙面によれば、全国銀行協会も後押ししているようです。

この時期なぜこのようなことを、始めようとしているのでしょうか?

様々な要因が絡み合っているのは間違いありませんが、
大きな要因の一つとして、急速に進む「フィンテック」への対応が、
挙げられると思います。

この点欧米諸国の銀行は、日本の銀行に先んじており、
このまま指をくわえていると、
主戦場である東アジアや東南アジアの国々の市場で、
日本の銀行が競争に敗れる事態になる、
との危機感があるからと推測します。

実際に現場で仕事をしていた経験からすると、
海外送金は本当に多種多様であり、金額も目的も通貨も様々です。
これらに優劣をつけて、処理するのはまず不可能です。

そこで多くの銀行はこれらの送金を、
「正確・迅速」に旗印に、受付順に処理しています。

早く処理すれば、少々の優劣の入り繰りには目をつぶろう。
こんな暗黙の了解が、銀行と顧客の間ではあります。
そのためこれの大量の事務処理のため、
銀行は独自にシステムを構築し、マンパワーを投入しているのです。

ここから発生するコストは相当のものがあり、
受益者負担の原則から、顧客に負担をお願いしています。
手数料が高止まりする要因です。

しかし銀行が自分の力でオンライン化やWeb化をはかっても、
限界があるのは明らかです。

今回の官民挙げての国際送金サービス開発への取り組みが、
顧客のためだけでなく、銀行そのものにも生き残りにもなる。

というのはこのような認識に基づくことだと思います。

ただ気になる点がいくつかあります。

まず一点目は
国内の送金サービスとのマッチングです。
国内の送金サービスは、為替業務と通常呼ばれます。
この為替業務と、外為業務では全く互換性がありません。
システムも違えば手続きも異なります。
本来は最も親和性の高い業務同士と言えるのですが、
今もってまったく別扱いです。
いい機会ですので、ぜひマッチングを検討してもらえばと思います。

二点目は
顧客からの受付をどうするかです。
現在の海外送金を含む外為業務の受付は、
原則として銀行の窓口に限られています。
特に一見客(その銀行と取引が無いお客)の場合は、
ほぼ銀行窓口に限定されます。

これをどこまで広げるのでしょうか。
いまのままでは、いくらサービスを整備しても、
利用する人が大挙して出てくるとは思えません。

顧客訴求力を大きくするには、
本人確認を含め法的規制をクリアーすれば、
特段の契約なしにATMやPC、スマホなどで、
利用できるようすべきです。
こうすれば手数料の低廉性と相まって、
効果大と確信します。

三点目は
このサービスの対象国であるアジア諸国の受入体制です。
海外送金は受取人の口座に入金されて、
初めてその役割を全うすることが出来ます。

いくら安価に取り組めても、受入側の体制整備が進まないと、
単に日本からの送金電文の種類が増えただけ、
といったことになりかねません。

報告にもあるのですが、相手国のシステム会社との、
すりあわせはもちろんですが、
相手国の合意取り付けも必要となります。

いろいろな推進方法が考えられますが、
新幹線の輸出のように、パッケージ化も一案と思います。

以上、いずれにしてもたとえ現在の海外送金に比べ、
若干先方への着金が遅くなるとはいえ、
手数料が1/10になるというのは、利用者にとって大変なメリットであり、
是非前倒しで進めてもらいたいものです。

2016/1/31 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

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