銀行取引が進むと、銀行が枠(与信枠)を作ってくれることがあります。今回はこの枠(以下「極度」(きょくど)と言います)について、どういう性格なのか簡単にお話します。|銀行が「取引枠」を作ってくれた!

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公開日:2017.01.19  / 最終更新日:2017.02.26

銀行が「取引枠」を作ってくれた!

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銀行取引が進むと、銀行が枠(与信枠)を作ってくれることがあります。銀行とお客様双方にメリットのある仕組みなのですが、余り「ものの本」には書かれていません。

理由はよく分からないのですが、銀行の方で積極的にセールスしていないのも、原因の一つと考えられます。

今回はこの枠(以下「極度」(きょくど)と言います)について、どういう性格なのか簡単にお話しするとともに、外為ならではの注意点も触れてみたいと思います。

銀行取引の中で大きな位置を占める融資取引は、「与信」と呼ばれる銀行の信用供与が必要となります。外為も例外ではありません。外為でも「与信」が発生するものが多々あります。代表的なものに、輸出の買取や輸入信用状の開設があります。これらの「与信」を総称して「外為与信」と呼んでいます。「外為与信」はお客様から依頼のあった都度、一件ごとにその適否を審査します。

しかし現実にはお客様の信用状況やご商売の中身が、都度、銀行が審査をしなければならないほど、変動しているわけではありません。お客様にもよりますが、顧客満足の観点からも、迅速な取扱いが出来れば、それに越したことは無いわけです。

ここで登場するのが「極度」です。「極度」はあらかじめ銀行が独自の判断で(ここ大事です)、与信取引に金額枠を設定するものです。お客様から見ればこの範囲内であれば、迅速な取扱いが期待できることになります。これは上場企業などに適用されるコミットメントラインとは異なり、あくまでも顧客サービスと銀行業務の効率化のためであり、銀行はお客様の依頼に応じる義務はありません。

多くのお客様は「極度」に対して肯定的であり、銀行もそれに応え「極度」を設定しています。このことは銀行からの通知で知ることになりますが、「極度」を設定してもらったということは、取引を銀行も望んでいる。と考えていいと思います。

また「極度」の期間は一年間が最も多く、その期限はその企業の決算申告後が多いようです。自分の会社との取引を銀行がどう考えているか、「極度」の有無である程度分かりますので、機会を見て取引銀行に「極度」の有無を、聞いてみることをお勧めします。

もし「極度」が無いようであれば、設定を依頼すれば銀行の取組方針が分かります。「極度」設定に難色を示したり、拒絶するようであれば、銀行はこれ以上の取引を望んでないことになります。

さてこの「極度」ですが、外為に限っては注意が必要です。従来から「極度」取引をしているのに、いきなり取り扱いを拒絶されることがあります。『「極度」がオーバーした』と、言われることが多いようです。これはほぼ100%皆さんのせいではありません。

銀行は「極度」を設定する際に、まず円建で金額を決めます。しかし外為取引は円建に限りません。このような円以外の通貨の場合は、一件ごとに円に換算する必要があるのです。

この換算相場は毎月変更になります。この変更時点で円安になっていると、今までの「極度」利用残高が増加してしまい、枠に余裕がなくなります。その結果新たな取扱いが断られるということになります。この換算相場の変更は、月初に行う銀行が多いので、月初の持込みには注意が必要です。

「極度」取引は大変便利な仕組みと思います。重ねての話になりますが、もし利用されていないのであれば、一度銀行の担当者にコンタクトすることをお勧めします。

2017/01/19

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