外貨を円、逆に円を外貨にする時、換算相場が必要となります。銀行はどんな換算相場を使っているのか?換算相場について考えてみましょう。|外貨の換算相場、銀行ではどうしてる?

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外貨の換算相場、銀行ではどうしてる?

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外貨を円、逆に円を外貨にする時、交換相場が必要となります。

みなさん。銀行はどんな交換相場を使っているか、ご存知ですか?

銀行の外為取引に慣れていないお客さまは、外為取引に使う換算相場がよく分からず、銀行が勝手に作って使っているのではないかと、考える方が結構いらっしゃいます。

本当はもちろん違います!

ただ銀行の方でも積極的に説明していないので、換算相場がいくつもあるように思えてしまうのです。ではこの換算相場。どんなものがあるのでしょうか。代表的な三種類を挙げていきます。

まず一番は「対顧客相場」と呼ばれるものです。これは文字通り「対顧(たいこ)」すなわちお客様取引に使う相場です。営業日ごとに相場が立てられることと、取引内容によって適用される換算相場が異なるのが特徴です。よく貿易実務の本に書かれているT.T.S.やT.T.B.は、この相場体系に含まれるレートになります。

二番目は「仮換算相場」とか「換算定率相場」と呼ばれるものです。法律上も商習慣上も決まった名称がないので、銀行ごとに呼び方は異なっているようです。皆さんの周りで「社内レート」と呼んでいるものが、これに近い存在だと思います。実際の通貨交換は発生しませんが、何らかの事情で外貨を円に換算する必要が、あるため定められています。

通常、前月末の公示仲値を翌月に適用することになります。ここの運用も銀行によっては若干異なります。この相場はいわば月替わり相場ともいえます。皆さんの会社の「社内レート」は、一年間そのままが普通だと思います。しかし銀行の「仮換算相場」毎月変わっていきます。

ここでよく問題が発生します。銀行から「極度」と呼ばれる与信枠をもらって反復継続的に外為取引を行っていると、外貨残高が動いてないのに、枠がいっぱいになっている。こんな状況が良く発生します。これは外貨から円貨への換算相場が、月またがりとなって変更になったことに由来します。

円高に動いた場合は問題ないのですが(この場合円価は減ります)、円安に動いた場合が要注意です。(この場合円価は増えます)この円安の場合に、枠がいっぱいになる可能性が出てきます。

三番目は、「対当局報告換算相場」です。これも正式な名称ではないのですが、要は政府や日銀に報告書を提出する際の、外貨を円に換算するレートです。基準外国為替相場・裁定外国為替相場、報告省令レートがそうです。皆さんが目にすることはほとんどないと思いますが、外為に関して当局への報告が必要な時、必ずこの相場で報告必要の有無を判断する必要があります。
こちらの存在は頭の片隅に置いておいてください。

以上お話ししてきましたが、銀行の使う換算相場は複数あるように見えますが、それぞれの使い道は異なります。銀行では使い道によってシステムサポートもされており、異なる相場を適用することはありません。どうぞ安心してお取引下さい。

2017/06/17

銀行の情報管理はここが違う!

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情報の管理は大変に重要です。皆さんの会社は如何ですか?

今回は銀行の情報管理の状況を見てみましょう。

情報の管理には、大きく二つの側面があると思います。ハード面とソフト面です。ハード面での情報管理は企業が苦心するところであり、世上をにぎわすときは、ここに問題がある場合が多いようです。

この点では銀行もみなさんの会社と同じだと思います。

もし違うとすれば、それはソフト面だと思います。銀行員の扱う情報はお金が絡むだけに、管理が甘くなるととんでもない問題が発生します。多くの場合それは問題をおこした、銀行員のせいにされますが、いくらその銀行員に責任を負わせても、発生した損害や失った信用が直接回復されるわけではないので、銀行は問題が起きないように、ハード面同様にソフト面での情報管理も徹底しています。

例をあげてみましょう。皆さんは仕事を終え家路につくとき、机の上はどんな状況ですか?資料とか文房具は置いてありませんか。退行した後の銀行員の机は、きれいさっぱりしたものです。本当に何ものっていません。営業時間中は資料や稟議が山積みで、みんなウンウンうなってますが、全員帰った後は、日中の山積みが嘘のようです。

さすがに、PCと内線電話はありますがそれだけです。筆記具や辞書の類までみんな机の中です。何も出すな。そう教育されます。そして施錠可能な場所はすべて施錠します。この施錠は徹底していて、ダブルロックもよくありました。結局鍵のかからない場所に置いていいのは、総務に置いてある当座使用分の文房具と、各部署備え付けの緊急時マニュアルぐらいでした。

またFAX誤送信は、最もやってはいけない事とされていました。インターネットのこれだけ行き渡った現代社会でまだFAX!
とビックリされるかもしれません。しかし銀行員の持つPCは原則として、外部環境との接続を遮断されたイントラネット環境です。簡単には電子メールの授受が出来ないようになっています。

ですから顧客とのやり取りは、いまでも電話が主体であり、それに補完するものがFAXとなります。このFAX、じつは大変情報の管理が難しく、間違った番号でも相手にFAX機能があれば、そのまま流れてしまいます。電話機能しかない固定電話であればFAXの向こうで、先方が「もし、もし」と言ってるだけで、誤送信にはなりません。携帯電話が普及し始めたころは固定電話が減るので、誤送信は減るとの観測もあったのですが、残った固定電話はFAX機能も備えたものが多く、かえって一発アウト状態になってしまいました。

その対策として取られたのが、ダブルチェック制です。これは二人がかりで、FAX送信しようというわけです。一人が送信相手のFAX番号を入力したら、もう一人がその入力された番号を見て確認して、復唱(ここポイントです)し、送信ボタンを押下するというものです。

ハード面の整備とは究極にある話ですが、一定の効果はありました。この他にも郵便物の発送に関するものとかあったのですが、紙幅の関係で今回はここで失礼いたします。

情報の管理にやり過ぎということは無く、常に個々人の不断の努力を要するというのが、当たり前の話ですが結論のようです。

2017/06/09

銀行員は貿易を知っているか?

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貿易をやっていると、資金決済絡みで銀行との接点が出てきます。その際、窓口となる銀行担当者が、貿易実務に詳しくないという評判をよく耳にします。実際のところはどうなのでしょうか?

結論から言うと銀行の担当者が外為の経験が無ければ、まず100%貿易のことは分かりません。

簡単な貿易用語すら通じないと思います。

もし担当者が外為経験者であれば、何となくは分かってもらえると思います。(あくまでも何となくのレベルなのですが)

銀行と言えば何でも知ってる人材の宝庫。こういったイメージがありますが、違うような気がしませんか?

このボタンのかけ違いの原因は何かといえば、それは貿易実務と外為実務が、ほとんど重ならないからなのです。

前にお話ししたことがありますが、貿易実務は「モノ、カミ、カネ」の順番だと言えます。それに対して外為実務は「カネ、カミ、モノ」の順番です。もっと言えば「カネ、カネ、カネ」でも過言ではありません。

すべて「カネ」というスクリーン越しにみているともいえます。ですので「カネ」が絡まないと、途端に銀行員の反応は鈍くなります。皆さんも知らない事や分からない事が出てくると、返事に困ってあいまいなフレーズを口にすることはありませんか、まさにその状態になるのです。

銀行の担当者は業務知識を得るために、銀行業務検定という試験を受ける事が良くあります。これは民間の試験ですが、銀行や証券会社、生損保といった、金融機関の職員が受けることが多く、上級クラスの合格者には会社の内部規定で手当てが支給されたり、管理職登用の要件の一つになっていたりします。

この銀行業務検定の中に「外国為替」があります。2級と3級があり2級が上級レベルです。外為担当の管理職としてのふさわしい知識や判断力を問うものです。(ちなみに外為1級はありませんのでこれが最高位です)ところがこの外為2級ですが出題される内容は見事なまでに、外為業務そのものです。

貿易実務に関しては、設問の背景としてふれる程度です。要は銀行員にとって貿易実務は無縁に近い存在なのです。私は銀行員のころ周囲の人から、「貿易に詳しい人」という評価をもらっていました。これはある時、貿易実務と外為実務の違いに気づいたので、それ以降は自分の担当先などから、積極的に貿易関係の事を教えてもらって、ちゃっかりそれを自分のものとしていたのです。(門前の小僧ですね)

自分でいうのも変ですが、私みたいな便利づかいが、皆さんの目の前に上手く現れるとは限りません。結局のところ銀行員は貿易を知らないという認識で、銀行とお付き合いくだされば、失うものは少ないと思います。

関連コラム:

銀行との上手な付き合い方-貿易と外為

2017/05/26

ついに「東銀」の名前が消える?

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日経紙上で扱いは小さいながら、私にとってはショッキングな記事が出ていました。来春にも三菱東京UFJ銀行の行名から、東京が消えるというのです。

東京とは地名ではなく同行の母体行の一つ、「東京銀行(略して東銀)」のことです。来春からはこの名前が消えるというわけです。

外為をやっている人間なら、「横浜正金銀行」の流れを引く東京銀行(Bank of Tokyo)の、凄さを知らない者はいません。

質の高い外為サービスを提供することができる「東銀」は、我々にとって最大の強敵で、どんな好条件を出しても、頑として東銀から外為を移してくれない。そんな鉄板先が何社もありました。

それほど東銀と外為の結びつきは強いのです。実は我々も「東銀」の外為には敬意を払っており、毎日の公示相場では東銀のレートと異なるものを、公表するには勇気がいりました。

銀行によっては東銀レートの発表後、自行レートを公示するという、「後出しじゃんけん」まがいの所もあったぐらいです。
このような話は国内にとどまりません。海外の銀行も日本の銀行と協議したいときは、まず東銀に声をかける。というのが不文律でした。それほど「東銀」は信用されていたわけです。

バブル崩壊後の金融再編時、「東銀」は最強の花嫁候補として、我々の注目の的でした。そんな「東銀」は1996年に旧三菱銀行と合併し、東京三菱銀行となったのはご承知の通りです。

さらに2006年には旧UFJ銀行が加わり、三菱東京UFJ銀行となり現在に至ります。和文名では三菱が先頭に出ていますが、現在でも英文名は「The Bank of Tokyo- Mitsubishi UFJ,LTD.」です。

また外国送金に使われるSWIFTコードは旧東銀のものが、現在でもそのまま使用されています。
こんなことからも「東銀」ブランドの強さが偲ばれます。

そんななかで行名から「東京」を消すというのは、もう「東銀」ブランドに頼らなくても良い。という自信の表れと思えます。ブランド戦略として「東銀」は現在でも有効としても、現実の問題としてすでに合併から20年余が経過し、旧東銀の人材も大部分が第一線を退いている現状では、このような動きは当然ともいえます。

同じメガバンクの新行名でも、「さくら住友銀行」あるいは「住友さくら銀行」とすればよいのに、三井を復活させて(旧住友側の強い要請?)、結果として混乱してしまった三井住友銀行に比べ、三菱の人たちのしたたかさには、感服するしかない。というのが、正直な気持ちです。

2017/05/18

銀行のボンド(Bond)ってなんのこと?

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今回は銀行発行の海外向け保証状のお話です。実はこの保証状ことをボンド(Bond)と呼びます。

ボンドは普段必要になる人は、そんなに多くありません。ところが海外での入札や、長期間にわたる輸出、新規客からの前受金受取などで、海外取引先から銀行のボンドを要求してくることがあります。

日本流でいえば「銀行に一筆書いてもらってほしい」のイメージです。相手としては銀行のボンドを確保しておけば、万一の時に銀行から補償金がもらえるのです。上手い方法だと思います。

さて日本側としては要望に従おうには、銀行にボンド発行を頼まねばなりません。ところが銀行担当者は余り目にしてないので、腰が引ける担当者がほとんどです。そんな担当者に取り組んでもらうには、少々コツが要ります。その辺をお話ししていきたいと思います。

まず海外からボンドの発行依頼が来たときには、先方が自前の様式を持っていて、それを使うのかどうかを確認してください。相手が大手であればあるほど、自前様式で発行を要求してきます。この場合はある意味簡単です。その書式を持って銀行におもむき、担当者に発行を依頼するのです。

ただこの時には、銀行担当者に必ずいつまでに必要かを、言い込んでおいてください。だれしも不慣れなことは後回しにしがちです。そんなことで優先的に後回しにされてはかないませんので。こちらとしては期限を切って、プレッシャーをかけるわけです。

さて問題は決められた書式が無い場合です。この場合は銀行の「ひな型」を使うことになるのですが、ここでのポイントはそのひな型を銀行からもらって、海外の相手のOKを取り付けておくことです。

私も一度失敗してしまったのですが、自行様式でのボンド発行後、お取引先から海外から修正要求があったと言われ、修正部分を見ると、実際は内容の変更だったことがありました。この場合は再稟議となります。本部で再度審査をしてもらったのですが、リーガルチェックのため法務部門にも稟議書が回付され、時間がかかってしまい、お取引先の心証を害してしまいました。

もちろん事前にお取引先には、当方ひな型でOKをいただいていました。ただ海外の取引先はそんなことは知らなかったので、
お気に召さなかった海外からのクレームとなったものです。

いずれにしてもせっかくのボンドです。相手がOKしてくれなければ、何の意味もありません。銀行の担当者任せでなく、海外との連絡を密にして、必要十分なボンドとしたいものです。

ここまで書くと、銀行はボンドに対して消極的?となりそうですが、ボンドの裏付けを必要とする外為取引は高額案件や、長期案件など、銀行にもメリットの大きい案件が多いので外為をやっているものにとって大変おいしい話になります。

銀行の窓口では、その点に触れるのも一法と思います。その点は次回機会があれば、もう少し詳しくお話しします。

関連貿易用語:
Performance bond 

2017/05/16

銀行はなぜサレンダーB/Lを嫌がるか

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最近、海上輸送でサレンダーB/Lの、取り扱いが増えてきました。輸出者、輸入者双方にとってメリットがあるこの制度、銀行に話を持ち込むと、途端にトーンダウンしてしまうようです。

なぜ銀行はサレンダーB/Lを嫌がるのか。今回はそのお話です。

元々サレンダーB/Lは海上輸送の高速化により、「海外から貨物が来た!船荷証券は来ない!通関できない!」こんな話が頻発するようになったため、これを解消するために考え出されたものです。(ちなみにこの書類の来ない困った状態を、「船荷証券の危機」と呼びます。)

この制度は海上輸送の高速化に対応したものとして、一定の効果があるのは、私のような銀行関係者でも理解できます。ただ銀行の都合で考えると、風向きが少々変わってきます。

このB/Lは銀行で取扱出来ない可能性があります。正規に発行されたB/Lなのになぜ? 不思議に思われるかもしれません。しかしここに問題点があります。具体的には次の2点が主要なものです。

一点目はサレンダーB/Lの持つ非有価証券性です。
銀行で初めて外為を担当すると、必ず教わることの一つに、「B/Lは有価証券。Airway Bill (AWB)は証拠証券。」というのがあります。この短文の持つ意味は、B/Lすなわち船荷証券には、貨物そのものの財産的価値がある。それに対してAirway Billは貨物の受取事実を表したものであり、財産的価値は無い。(つまり受取の証拠にしかならない。)ということです。

言い替えると、銀行から見ればB/Lには担保価値がある。しかしAirway Billには担保価値が無い。B/Lであれば万一の時には、貨物を処分して資金を回収できる。よってB/Lを確保すれば安心である。こういうロジックになります。

これは輸出側銀行でも、輸入側銀行でも同じことです。ところがサレンダーB/Lになると、B/Lは輸出地ですべて一旦、船会社に返却されてしまいます。そして再度輸出者に交付されたB/Lには、「Surrendered」と表示されるのが普通です。一見すると何の変化もなさそうですが、この一連の手続きでB/Lの有価証券性は消滅しています。

これは銀行にとっては由々しきことで、担保価値のないものを、買い取るわけにはいかない!こういう判断につながるわけです。

二点目はL/C(信用状)取引の場合によく見られるのですが、銀行によってサレンダーB/Lへの対応がまちまちなのです。まるで認めないという銀行もあれば、普通のB/Lと同じように扱う銀行もあります。これはL/C取引の根拠となる信用状統一規則に、
その定めがない点が大きく、結局対応は都度当事者間での特約でやりましょう。こんな形になります。

こんな問題点のあるサレンダーB/Lですが、Seaway Bill(海上運送状)の普及が今一つの現在、その利便性は高く評価できると思います。これは全くの想像ですが、次の信用状統一規則ではサレンダーB/Lについて、言及する可能性は充分にあると思います。

参考コラム:
サレンダーBLをうまく活用して貿易実務をスムーズに! 

2017/04/27

銀行員のお昼ごはん

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今回は外為や貿易実務を離れて、ちょっと銀行員の日常を覗(のぞ)いてみます。

銀行のお店は、開店から閉店まで休むことがありません。ほとんど窓口を閉めずにフル営業です。お昼休みにいっても窓口はやっているし、工場みたいに交替で勤務しているわけでもなさそうだし。

ヒョットして15時にシャッターが下りてから休むのかな?それともまさか休みなし?んー。どうしているのだろう?そんな疑問が湧いてきませんか。

実は銀行員は目立たないように、交替で休んで食事を取っています。交替回数を多めにして、仕事をしている人間を確保しています。通常は11:30から30分刻みで、昼食休憩とする店が多いようです。12:30までの3交代で、みんなが一時間の昼休みをとります。この体制ですとその間は、2/3の人数を確保できることになります。

私は入行したての頃、これが当たり前と思っていたので、レストランのランチタイムはこれに合わせているのだと思っていました。(大いなる勘違いですね)

このように昼食は交替で取るのですが、意外に知られていないのが厨房設備の存在です。銀行によって違うので断言できないのですが、よほどの小規模店舗でなければ、各営業店には厨房設備があります。つまり行員は、出来立ての食事にありつけるのです。味付けや献立に不満が出る場合もあるのですが、雨の日や忙しいときなどは、外に出なくてもいいので本当に助かりました。

しかも人件費や光熱費は銀行持ちで、自己負担は材料費と光熱費ぐらいなので、一食当たり自己負担は175円ぐらいでした。(20日喫食として)外で食べればこんな金額ではとても無理ですから、お財布にも優しかったと、いまさらながらに納得してます。そんなこんなで銀行の人間は、意外に外で食べないようです。

ただ良いことばかりではなくて、よくあったのが食堂で食べていると内線電話が鳴って、下から「お客様ですよー。」と無情の呼び出し。お客様は神様ですから、何をおいても駆け下りて、「いらいしゃいませ!」と明るく応対です。手続きを済ませて食堂に戻るころには、食べかけのお昼は、文字通り冷や飯になってしまう。というのは半ばお約束でした。(皆さんお越しの節は、どうぞ事前にご連絡を!)

そんな事があっても、お昼はみんな楽しみにしていて、貴重な息抜きの時間でした。いまでも銀行員生活の良い思い出です。

2017/04/11

取引銀行が合併した(その2)気になる4点

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前回に引き続き、取引銀行が合併した時のお話です。

前回銀行の合併では、主導権を握った銀行はどちらか?この見極めが重要と申し上げました。

これは以下の点と密接に関連するからです。ここで注目すべきは以下の4点です。(前回同数ですが偶然です)

1点目:取引店は統合対象ではないか

銀行の店舗は駅前や繁華街の一等地が多く、合併で同じ銀行が二つ並ぶということがよくあります。同じ商圏に二つも要りませんから、真っ先にこのタイプが統合対象となります。しかしこのごろは、店が離れていても安心できません。効率化の名のもとに、離れていても統合する場合があります。自分の取引店が対象かどうか、確かめて下さい。特に「被合併行」が取引銀行なら確認は必須です。

2点目: 口座番号が変更になるかも

前回4点目でお話しした、基幹システムに密接な関係があるのですが、システムが変わると口座番号体系も変わるため、従来の口座番号が変更になる事が頻発します。商売上これは大変に困ります。よくお客様から「合併で何が困ると言って、口座番号が変わる事が一番困る。」とよく聞かされました。

そう言われてもどうしようもないのですが、利用者としては注意すべき点です。なおこの場合は自分の取引店が「合併行」サイドだと言っても安心できません。二つの店が一緒になり口座番号が重複すると、銀行は特段どちらサイドの口座かは意識せずに、機械的に番号を変更してしまうことがあります。(過去の例では、口座開設日の新しい方を変更しました。)

3点目: 融資シェアの見直し

銀行は他行動向に「異常に」敏感です。銀行担当者は自分の担当先が複数銀行と取引している場合は、銀行別の融資残高の割合(これを融資シェアといいます)推移に最大の関心を向けます。合併はこの融資シェアを大きく動かします。いままでよその銀行と思っていた数字が、自分の銀行の数字になるのですから、半端な話ではありません。

この場合、新銀行として合計した融資残高を、そのまま引き継ぐのなら問題はありません。しかし残高調整をして融資シェアを見直すのなら問題です。多くすることはまずないので、残高の縮小を考えることになります。

これはお客様から見れば、融資の一部引き上げです。もし自社の業況が良くなかったり、銀行との関係が今一つであるなら、融資の返済を求められるかもしれません。これは非常に大きな問題になる可能性があります。合併の時は注意してください。

4点目: 銀行持株の放出

今までの3点に比べれば、はるかにその例は少ないのですが、自社株を銀行に保有してもらっている場合があります。(株式は上場、未上場を問いません)合併すると銀行はあなたの会社の株を手放す。こう通告してくるかもしれません。

いきなり「手放す」と言われても、すぐに代わりが見つかるとは限りません。昔なら株式持ち合いも多くありましたが、今では持ち合い解消がトレンドです。

銀行の持ち株放出は融資引き揚げと異なり、持ってもらっている会社側としては抵抗しにくい面があります。株を持ってもらっている場合は、放出の可能性に留意してください。

以上で銀行の合併にまつわるお話は、終了させていただきます。

2017/03/28

取引銀行が合併した(その1)主導権は?

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先日も関西の地銀3行が、実質合併との報道がありました。銀行が合併すると、皆さんにもいろいろ影響があります。

今回は、取引銀行の合併でどんな影響が出るのか。これを二回に分けてお話しします。

先ず考えるのは合併と聞いたら、自分の取引銀行は合併する方なのか、される方なのかの見極めです。ここからは合併する方を「合併行」、される方を「被合併行」と呼びます。

皆さんの取引銀行が「合併行」なら一安心です。今までどおりが前提です。しかし、「被合併行」ならそうはいきません。場合によっては大変な思いをする場合があります。

ではどこでそれを見分けるのか。よく商業登記上の存続会社が「合併行」では?と聞かれるのですが、実際は「被合併行」を存続会社にする例もあり、一概には言えません。(これを逆さ合併といいます)

具定例では、三井住友銀行とわかしお銀行があります。実は登記上の存続会社はわかしお銀行です。合併後に名前を三井住友に替えて、表面的には三井住友銀行が、存続したようになっています。元から有った三井住友銀行は、合併で登記上消滅しました。

これは特別な例かもしれませんが、それはそれとして見分け方を4点ご紹介します。

1.新銀行名に注目

新銀行の名前に注目です。どちらかの名前でスタートならそちらが「合併行」です。まったく新しい名前ならこの点からは判断できません。注意すべきは二つの銀行を合わせた場合です。この場合は力関係がハッキリしていれば、強い方が先になりますが、「対等の精神で合併」をうたうようであれば、後に来た方が合併行の場合が多いようです。

2.新頭取はどちら出身か

合併では新銀行の頭取が重要です。新銀行の頭取を出した方が、主導権を握っています。見返りとして会長は被合併行の頭取がなる場合が多いのですが、このごろはこれに持株会社が絡んできて、さらにたすき掛け人事を行う場合もあります。

3.本店はどこか

力の差があれば「合併行」の本店が、そのまま新本店となります。ただ全く別の場所に変えたり、大きな都市の方が便利だからと、「被合併行」本店を、新本店にする場合もあります。

4.基幹システムはどちらの銀行のものを使うのか

銀行はシステム構築に莫大な費用をかけています。銀行が新しくなったからと言って、新しいシステムを作るのでは、費用と時間が掛かり過ぎます。そこで一方の銀行のシステムに寄せるのですが、このときの基準がシステムそのものの優劣よりも、「合併行」のシステムが、そのまま新銀行のシステムになる場合が、本当に多く目につきます。

つまりシステムが変わった方が「被合併行」であり、そちら側と取引していたのなら、大きな影響を受けることになります。(中にいる行員もここが一番ネックです。)

次回はこれらを踏まえて、留意点をいくつかお話しします。

2017/03/27

海外からの送金「念書扱い」入金はなぜ恐い?

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海外から送金が到着して、銀行から送金内容が一部違うので、念書があれば入金します。と言われることがあります。

実はこれ大変なリスク取引です。今回はこのお話です。

海外から送金を、外為では被仕向送金と言います。海外への送金を仕向送金というのと、反対の概念になります。

この被仕向送金。海外の送金依頼人(多くは自分の商売相手)が、海外の銀行から日本にある自分の取引銀行に、電信送金の形で資金を送ってきています。

通常は自分が相手に依頼して送ってもらうので、内容が違ってくるはずはないのですが、実際はよく間違いがあります。

例えば口座番号の入り繰りや、英文社名の表記相違等々、その内容は様々です。こんな時、銀行は受取人であるあなたに電話をしてきて、念書があれば入金処理します。と言ってきます。ほとんどの人が問題なさそうに思って、そのまま念書にサインすると思います。これでめでたく入金です。

ん!? 別に問題ないじゃない。そう思われるのは無理有りません。じつは被仕向送金の性質を考えると、この念書が危ない事限りない話なのです。

被仕向送金は仕向銀行(海外の銀行)の指示により、被仕向銀行(日本の銀行)が入金して、はじめて取引が完結します。この前提は仕向銀行の指示を、被仕向銀行が100%守ることが前提です。つまり指示された通りの(たとえ合ってなくても)口座番号や口座名義(口座の名前です)に、入金しないといけません。そうしませんと、仕向銀行から「送金が間違っていたので返して欲しい。」と言われた場合、受け取った銀行には返却義務が生じます。

念書入金は、受取人自ら仕向銀行の指示と違った入金で構わない。これを認めることに他なりませんので、仕向銀行からの返却要請(組戻しと言います)には、絶対に従わねばなりません。つまり一旦入金になった送金でも取り消されてしまう。こんな状態になってしまいます。

念書を差し入れるというのは、皆さんが責任を持つことを認めることです。仕向銀行からの組戻し依頼は、考えている以上によく発生します。その多くはマーケットクレームがらみです。一旦問題が発生すると、不正確な送金で入金しているので、入金そのものが受取側に分が悪いことが多く、なくなく返金に応じることになります。

こんな事態は絶対に避けるべきことだと思います。では、どうすれば良いのか。当然の疑問です。

結論から言えば、こんな時は面倒でも被仕向銀行から、仕向銀行に照会をしてもらって、正しい内容の送金指示に訂正してもらって下さい。照会の費用や時間の問題はありますが、その後のトラブルを考えたら、ここは踏ん張るべきと思います。

特に新規の取引先やクレーム先の場合は、「急がば回れ!」です。ぜひ心がけて頂ければと思います。

参考コラム:
『銀行から「送金がキャンセルされた。返金してほしい」と言われた』

2017/03/22

先行き不透明な為替相場にどう対応する?

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よく皆さんから為替変動について聞かれます。

為替リスクへのヘッジ方法はいろいろと出ていますが、為替変動への取り組み方針については、書かれたものは少ないようです。そこで今回は、ここにフォーカスを当ててみたいと思います。

かつては当たらない物の代表に天気予報がありました。厄除けのおまじないになっていた時期もあります。「天気予報、天気予報」とつぶやけば、厄に当たらないということです。(もちろん今はよく適中します!)

今でいえば社会情勢の予想が当たらない筆頭でしょうか。昨年一年を振り返っても、英国のEU離脱と米国大統領選挙の結果を、二つとも的中させた人は皆無のように見受けます。為替相場の動向は、こんな社会情勢に大きく影響を受けます。これから円高に行くのか、円安に行くのか、確信を持って他人に断言できる人は、まずいないと思います。

貿易をやっているみなさんは、こんな状況でも、資金決済にはドルやユーロとの通貨交換が必要になります。せっかく商売本体で利益を確保しても、為替相場で損を出しては元も子もありません。そこで自分よりは少しは詳しいだろうと、銀行の担当者に意見を求めるわけです。

しかしこちらも特別な情報は普通無いので、断言できないのが正直なところなのです。しかしそれではお話になりませんので、以下のポイントをお伝えするようにしています。

先ず一点目は、「資金決済で為替リスクは取らない。」です。あくまでも商売を決めた段階(遅くとも取引を完了段階)で、
為替相場を確定させることです。取引が終わっても、相場が未確定では危険すぎます。為替予約をとるのでも、外貨決済するのでも構いません。とにかく為替リスクをヘッジしておくべきです。

二点目は、「為替リスクのカバー率を決める。」です。通貨交換すべき金額の内、どれくらいの割合で、為替ヘッジをかけるのかを数字で表したものです。0から100%までの決め方があります。

実は一点目のお話は、カバー率を100%にすることです。カバー率100%だとその商売自体の採算は確定しますが、為替相場が大きく動いて、商品市場に大きな影響が出た場合、それをフォローし難くなる面があります。そこで通常はある程度フリーハンドを確保するために、為替をあえて100%押さえないようにするわけです。

実際のところカバー率はまちまちですが、少ないところで30~50&%、多いところでは90~100%のようです。ざっくり言って粗利の範囲内でリスクをとっている。そんな印象です。

三点目は、皆さんご自身で思うところはあっても、長期(一年超)の為替予約は取らないです。長期為替予約はもちろん可能ですが、実際のマーケットでの出会いが限られるため、どうしてもリスクプレミアムが高くなりがちで、それが確定する予約相場に影響してきます。(もちろん悪い方にです)

為替予約の採算確定は一年以内にして下さい。出来れば、3ヵ月ぐらいでつないでいくのが良いと思います。

この3点を墨守すれば、為替で大儲けは無理ですが、大損もしないといえます。今後も不確実な情勢が続くと思いますが、くれぐれも「為替で一山!」とは思わないようにして下さい。

2017/03/06

放っておけない!外為にもマイナンバーの波が

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マイナンバーと言えば、国内取引が対象と考えがちですが、実は外為でも必要になる事があります。今回はその点についてお話しします。

マイナンバーそのものについては、イロイロと発表されているので、ここではあえて触れないようにしますが、皆さんのお手元にも、マイナンバーが記載された、通知カードが届いている事と思います。

正直言ってここにある12桁の数字を見ても、愛着もわきませんしとても覚える気もしません。とりあえず無くさないようにしておこう。こんな気持ちの人がほとんどと思います。

しかしこのマイナンバー、必要な場面が着実に増えています。例えば証券会社の口座を開くときや、税務署に確定申告をしようとするとき必要になります。このような行為の中に、銀行取引もあるのです。しかも一見まったく無関係に見える外為取引に、マイナンバーの申告が必要なのです。

ではどのような場面なのでしょうか?

想像なんかする方が、無理でしょうね。私も最初に聞いたとき、一瞬グッと詰まりましたから。答えをお話しすると、マイナンバーが必要になるのは、海外送金や、海外からの送金受取の場面なのです。但し正確には、銀行との取引に必要なのではなく、銀行が当局に報告するために必要なのです。

そうなると別の疑問が湧いてきます。

銀行は何をどこに報告しているのだろう。こんな疑問です。答えは「銀行は取り扱った海外との資金のやり取りをすべて、税務署に報告している。」です。正確には「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」(いわゆる「国外送金等調書法」)という法律に基づいて、一件当たり100万円相当額超の送金取引を報告しているのです。銀行が報告義務者なのですが、この国外送金等調書の右下の部分に、マイナンバーを記入されるように様式が改まっています。
(2016年1月1日からです)

この結果として銀行は、皆さんにマイナンバーの申告を求めてくるわけです。ただ現時点では銀行の対応は一律ではありません。これは3年間の猶予期間があり、その間にマインナンバーの申告を受ければいいと考えるか、やがて必ず必要なのだから早めに申告を受けようと考えるかの違いのようです。

とは言え法律で定められたことですので、いずれマイナンバーを届出はしなければなりません。ただ個人番号カード(通知カードではなく写真付きのもの)の認知度が今一つのため、このような手続きの本人確認に、別の本人確認資料が必要となるといった、奇妙な現象が起きているようなので注意が必要です。

もちろん個人番号カードが、マイナンバー制度では一番の確認資料であることは論を待ちません。この点をもっと周知徹底すべきと思いますが、3年間の猶予期間もあり、お役所の対応が今一つピリッとしないため、銀行の対応もまちまちと考えられます。

2017/02/27

サインは印鑑の代わりにあらず!

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外為では当たり前のことが、普通の銀行業務ではレアケース。こんなことがよくあります。今回はそんなことの一つです。

銀行員は印鑑をとても大切にします。皆さんが窓口で何かを依頼しようとすると、「今日は印鑑をお持ちでしょうか?」と担当者から聞かれます。まるで合言葉のようです。

昔の人はここの部分をつかまえて、「銀行に行くときは、傘は忘れても印鑑は忘れるな!」とよく言ってました。さすがに今はそうではありませんが、それでも何か手続きするときは、印鑑を求められます。

これは皆さんとのやり取りで何か問題が発生したときには、銀行としては、皆さんからの依頼だという証拠が必要なのです。印鑑をついてもらうのはその重要な証拠となるのです。依頼書などに届け出印(ここ肝心です)が押してあれば、銀行は事前に皆さんの意思確認を行ったとの証拠となり、銀行に責任なしと判断されることになります。(これを免責といいます)

皆さんの側から言えば、銀行というところは何かと言えば、すぐに「印鑑!印鑑!」と本当にうるさい!となりますが、そんな事情が隠されているわけです。

さてそんな印鑑ですが、法律上は個人取引の場合、印鑑は必須ではありません。署名(いわゆるサインです)でOKなのです。銀行によって、個人は署名だけで口座開設OK。というところも出てきましたが、まだまだ印鑑は必要とされるようです。

たとえサインでOKであっても、印鑑はお持ちですか?といったやり取りをしたうえで、やおらペンで印鑑代わりに所定欄に書き込むとなります。人によっては書いた部分をグルッと丸で囲む。このようにされる人もいます。(印鑑を押したイメージでしょうか)こんなに大事にしている印鑑ですが、外為取引では基本的には一切使いません。

考えてみれば印鑑を使用している国・地域は、東アジアのごく一部の国です。(台湾、韓国、中国などです)それ以外の国や地域はサイン取引ですので、外為がそれらの国や地域を相手にする以上、印鑑に固執(こしゅう)するわけにはいきません。

サイン取引が大原則となるわけです。もちろん皆さんが銀行に提出する書類は、印鑑であっても構わないはずですが、
他はみんなサインなのにそれだけ印鑑というのも、何だか変ですし、皆さんも銀行も余計な手間です。さらに外為の書類は英文のものが多く、サインで統一したほうがスマートです。

そんなこんなで、サインをお客様にお願いするわけです。ただいくつか留意点があるので、ここではそれをお示しして、今回は終わりにしたいと思います。

2017/02/18

銀行員は高給鳥!?

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高給取りの代名詞のように言われる銀行員ですが、本当にそうなのでしょうか。今回はその辺のお話です。

今も昔もそうですが、給料が高いか安いかは、サラリーマンやその家族にとって、最大の関心事です。

自分の会社内での位置付けもさることながら、他の業態はどうなのかも非常に気になる事ではあります。それではよく「隣の芝生は青く見える」の代表例として挙げられる、銀行業界ですが行員の給料は実際どうなのでしょうか?

ネットを見るといろいろと出てきます。概ねそこにあげられた数字は多業態に比べて高額であり、一般に「銀行員は高給取り」と言われるのは、ある程度社会的コンセンサスなのだと思います。自分の経験に照らしても数字はそれなりです。むしろもう少し多かったかもしれません。

しかし、ここで声を大にして言いたいのですが、これらの数字は所定労働時間のものと推察しますが、正直言って、いわゆる就業時間が半端ではありませんでした。朝から夕方までずっと仕事をしていた印象があります。

例えば朝は開店準備や訪問準備があるので、みんなそれなりに早く出社していました。5分や10分では準備はできません。もっと前です。日中は店頭での接客や、外を回ったりしますので、他のことをする余裕は全くありません。夕方以降にようやく自分の時間が出来ます。報告書を書いたり稟議を書いたり、打ち合わせや会議をします。なんだかんだとあっという間に時間はすぎてしまいます。

当時はコンビニが普及し始めたころでしたので、その営業時間とわが身の就業時間を重ねて、よく「〇ブン、〇〇ブン」だと自虐ネタにしていました。こんな状況ですから、当時銀行は高給だといわれても、まったくピンと来ませんでした。

給料を就業時間で割ると、学生のアルバイト並みになってしまい、心底メゲテしまった経験があります。所定の労働時間はもちろん決まっていたし、残業すればそれに見合う手当ても出ていました。ただ高給取りの実感なぞ全くありませんでした。

こうなると何を持って高給取りと判断するのか、大いに疑問を感じてしまいます。もちろん今はそんなことはあり得ないでしょうが、それでも某大手広告会社の話を聞くと、いまでも深い闇みたいなものが、ひょっとしてまだ有るのか?と思ってしまいました。

隣の芝が人工芝だったり、本物であっても大変な時間と労力の賜物ということは、多々あります。
何事も上面で判断するのは危険!と、遅ればせながら考えるようになりました。

2017/02/08

外為取引にも消費税が付くのはなぜか?

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銀行の外為計算書を見て、不思議に思う人はいませんか。消費税が付いていたり、付いて無かったり。いったいなんでこうなるのか。一度整理してみる必要がありそうです。今回はそんな外為と消費税のお話です。

消費税が初めて導入されたのは、1989年4月のことでした。1989年といえば昭和64年であり平成元年でもあります。もうずいぶん昔の話になってしまいました。消費税の歩みは平成と大いに重なると思いませんか。私とすれば28年もたったのか、というのが正直なところです。

さてこの消費税ですが、広くいろいろな場面で出くわします。でも外為取引ではめったに目にすることはありません。なぜでしょうか?

じつは外為取引が消費税の課税対象としていない取引すなわち非課税取引に該当しているからなのです。法律上は非課税とする項目の一つとして、「外国為替業務に係る役務の提供」を挙げており、これが税金のかからない根拠となっています。

つまり本来課税対象としてもいいのだが、対象としてなじまないと政府が判断して、非課税の取扱をしているわけです。ちょっとややこしい話になりますが、これに対して元々対象外となる取引を「不課税取引」といいます。一見すると外為取引はこれに該当しそうですが、税務当局の考え方は、外為取引はあくまでも非課税取引です。

時々、外為取引に消費税は関係ない。と言い切る人がいます。外為取引の特殊性を踏まえての発言と言えますが、これを強調しすぎると外為取引=「不課税取引」と、誤認するようになりかねません。個人の主張は兎も角として、税務当局はあくまで、外為は「非課税取引」であるとしている点に注意が必要です。

さて外為取引が非課税取引であるのは理解できたとして、では外為と名が付けばすべて非課税か、というとそうではありません。ここが話をややこしくしています。

これはある意味きめの問題なのですが、税務当局として外為取引そのものは非課税取引としても、その周辺業務は非課税取引とは認めていません。たとえば海外送金手数料は非課税でも、外為WEB取引の手数料は課税取引とする。このような感じです。

このような背景で外為の計算書には、消費税があるものと無いものが出てくるのです。

銀行計算書の内容を疑う人は少ないと思いますが、外為取引に関しては、消費税がかかっているかどうかを、一度確認してみることをお勧めします。

2017/01/28

回転する信用状!(Revolving L/C)の話

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輸入を生業(なりわい)にする人にとって、商品の安定確保は、絶対に譲れない生命線です。ここで活躍するのが信用状(L/C)です。

ところが信用状は、都度銀行に開設を依頼する必要があり、煩雑さは馬鹿になりません。こんな悩み解消の一助にと思い、今回は回転する信用状の話をとりあげました。

まず冒頭お断りしなければならないのは、回転する信用状といっても、別に発行された信用状が、相手の手許でくるくる回るわけではありません。

回転するのは信用状の残高です。実は一定の条件のもとに復元するのです。ですから「残高復元信用状」とでも表現すれば良いのですが、英語で「Revolving L/C」(リボルビングL/C)と呼んでおり、日本では訳して「回転信用状」と称しています。

ちなみにクレジットカード取引で使われる、リボ払い(リボルビング払い)はクレジットガード利用者が、毎月一定の金額を払うという点では、この信用状の輸入者とよく似た立場になります。

さて回転信用状の取扱はといいますと、輸出者の手許に到着した時点では、普通の信用状と特に変わりはありません。
信用状金額と期間が記載されており、それに従って船積すればよいわけです。

ただ普通の信用状はそれで用済みで、次の船積には新しい信用状が必要となるのですが、この回転信用状では一定の期間(通常は一月)が経過すると、残高が自動的に当初の金額にもどり、期間も延長となります。この動きが回転の所以といえば、お分かりいただけますでしょうか。

この部分、輸入者は特に手続きは要りません。当初の信用状に回転条件が記載されているからです。こんな便利な信用状ですが、信用状取引をしていても、今まで一回もお目にかかったことは無い。と言われる方が圧倒的だと思います。私もその点では同感です。私のいたメガバンクでも、回転信用状を発行していたのは、全国で10社もありませんでした。ほとんどの営業店では取り扱いが無いので、担当者も知らない人がほとんどでした。

ではなぜこのようなことが起きていたのでしょうか。
じつはその原因は、回転信用状に対する銀行の与信判断が、ある意味特殊だからです。

例えば金額USD100千、期間一ヶ月の信用状を開設するときは、金額で与信を判断します。ところが回転信用状の場合は、それだけでは足りません。判断要素に残高復元の回数が加わります。一年間であれば12回が掛け算されます。見ようによっては残高が回転しているようです。つまり通常の信用状に比べてこの例でいうと、12倍の与信金額になるのです。

輸出入の当事者にはUSD100千の信用状であっても、信用状を発行する銀行にとってはUSD1,200千!になるのです。これでは簡単にOKは出来ません。こんな事情もあって、少なくとも銀行からは回転信用状を、売り込むことはまずしません。そのためほとんど利用されることもなく、銀行担当者にも知られることが無い。というわけです。

しかし、輸出者にとって使い勝手の良さは抜群ですので、商品をどうしても確保したいが、前金を払うほどの資金的な余裕はない。

こんな時には銀行担当者にこの信用状の話をぶつけてみて、検討させるのも一案と思います。

関連貿易用語:Revolving LC

2017/01/24

銀行が「取引枠」を作ってくれた!

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銀行取引が進むと、銀行が枠(与信枠)を作ってくれることがあります。銀行とお客様双方にメリットのある仕組みなのですが、余り「ものの本」には書かれていません。

理由はよく分からないのですが、銀行の方で積極的にセールスしていないのも、原因の一つと考えられます。

今回はこの枠(以下「極度」(きょくど)と言います)について、どういう性格なのか簡単にお話しするとともに、外為ならではの注意点も触れてみたいと思います。

銀行取引の中で大きな位置を占める融資取引は、「与信」と呼ばれる銀行の信用供与が必要となります。外為も例外ではありません。外為でも「与信」が発生するものが多々あります。代表的なものに、輸出の買取や輸入信用状の開設があります。これらの「与信」を総称して「外為与信」と呼んでいます。「外為与信」はお客様から依頼のあった都度、一件ごとにその適否を審査します。

しかし現実にはお客様の信用状況やご商売の中身が、都度、銀行が審査をしなければならないほど、変動しているわけではありません。お客様にもよりますが、顧客満足の観点からも、迅速な取扱いが出来れば、それに越したことは無いわけです。

ここで登場するのが「極度」です。「極度」はあらかじめ銀行が独自の判断で(ここ大事です)、与信取引に金額枠を設定するものです。お客様から見ればこの範囲内であれば、迅速な取扱いが期待できることになります。これは上場企業などに適用されるコミットメントラインとは異なり、あくまでも顧客サービスと銀行業務の効率化のためであり、銀行はお客様の依頼に応じる義務はありません。

多くのお客様は「極度」に対して肯定的であり、銀行もそれに応え「極度」を設定しています。このことは銀行からの通知で知ることになりますが、「極度」を設定してもらったということは、取引を銀行も望んでいる。と考えていいと思います。

また「極度」の期間は一年間が最も多く、その期限はその企業の決算申告後が多いようです。自分の会社との取引を銀行がどう考えているか、「極度」の有無である程度分かりますので、機会を見て取引銀行に「極度」の有無を、聞いてみることをお勧めします。

もし「極度」が無いようであれば、設定を依頼すれば銀行の取組方針が分かります。「極度」設定に難色を示したり、拒絶するようであれば、銀行はこれ以上の取引を望んでないことになります。

さてこの「極度」ですが、外為に限っては注意が必要です。従来から「極度」取引をしているのに、いきなり取り扱いを拒絶されることがあります。『「極度」がオーバーした』と、言われることが多いようです。これはほぼ100%皆さんのせいではありません。

銀行は「極度」を設定する際に、まず円建で金額を決めます。しかし外為取引は円建に限りません。このような円以外の通貨の場合は、一件ごとに円に換算する必要があるのです。

この換算相場は毎月変更になります。この変更時点で円安になっていると、今までの「極度」利用残高が増加してしまい、枠に余裕がなくなります。その結果新たな取扱いが断られるということになります。この換算相場の変更は、月初に行う銀行が多いので、月初の持込みには注意が必要です。

「極度」取引は大変便利な仕組みと思います。重ねての話になりますが、もし利用されていないのであれば、一度銀行の担当者にコンタクトすることをお勧めします。

2017/01/19

NEXIの輸出手形保険が勧められるワケ

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輸出業者にとって、100%代金回収は永遠のテーマです。全額前金ならともかく船積先行であれば、回収リスクを感じながらの、船積が実態と思います。

今回はこの点でご参考になればと思い、「貿易保険」をご紹介することにしました。

外為を取り扱っている銀行に輸出書類を持ち込むと、特にL/C(信用状)なしの場合、「輸出手形保険」を勧められることがあります。

この保険、実は貿易保険の一種で、外為担当者には馴染みの深いものです。保険者は独立法人日本貿易保険(以下NEXIと呼びます)。被保険者は輸出書類を買い取った銀行。保険料の実質負担者は輸出者という構図ですが、保険を掛けた効果は輸出者に及びます。

つまり何かあった時、保険金は輸出者が最終受取人となります。この保険が持つ特徴を見て頂ければ、輸出債権回収の有力な手段となることが、お分かり頂けると思います。

さてその特徴ですが、何をおいても強調したいのは、保険者である独立行政法人日本貿易保険が、極めて公共性の高い法人である点です。この公共性の高さゆえ、取り扱う保険には日本国政府により再保険がかけられており、保険を掛ける側から見れば(つまり皆さんのことです)、実質は国の保険に入ったようなものになるのです。

次のポイントは保険の及ぶ範囲が広い点です。通常の信用危険(例えば輸入者の倒産)のみならず、非常危険もカバーします。ここでいう非常危険とは、輸入国のデフォルトや外貨管理規制の強化による、支払不履行などのことです。

さらに特筆すべきは、不幸にして保険事故が発生したとき、輸出者は信用危険による保険金を受け取った後には、その輸出債権の回収義務がついてまわるのですが、現在ではサービサー(債権回収業者)に、その回収業務を任せることになっており、輸出者はこの義務から解放されています。

こんな特徴をもつ「輸出手形保険」ですが注意点もあります。

一つ目は保険のカバー率の問題です。「輸出手形保険」のカバー率は輸出手形の95%であり、100%ではありません。5%部分はカバーされないのです。これは輸出代金には輸出者の儲け部分が含まれているはずで、公的な保険ではそこまではカバーしませんよ。ということです。

二つ目は保険料と保険の掛け方の問題です。「輸出手形保険」の保険料は輸出手形一本ごとに付保手続きが必要であり、保険料もその都度計算します。実際には手続きも保険料計算も輸出手形を買い取った銀行がするので、輸出者の手間とはならないのですが、面倒は面倒です。

しかしこんな点を考えても、「輸出手形保険」かなりお勧めと言えます。実はNEXIの取り扱う貿易保険にはこれ以外に、輸出契約締結時から有効となる保険や、輸入業者がかけることができる保険など、目を引くものがいくつもあります。

NEXIは大変商売熱心で、個別案件の相談も気軽に受けてくれます。企業に出向いての案件組成にも応じてくれます。その前向きな姿勢には圧倒されそうなことがあります。

所詮はお役所みたいなもの。と食わず嫌いの方がもしおられたら、是非一度NEXIのホームページをご覧になる事をお勧めします。

関連貿易用語:輸出手形保険

参考サイト:NEXI 独立法人日本貿易保険

2017/01/07

海外送金、同じ銀行間でなぜ到着がバラつく?

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海外送金を銀行に頼むと、予想外に早く着いたり、ひどく遅かったりすることがあります。原因を銀行に聞いても、明確な答えはありません。なぜバラつくのでしょうか。今回はこの点を考えてみます。

海外に送金を頼むと同じ銀行の同じ相手に送っても、早く着いたり遅く着いたりします。早い分はいいのですが、遅いとクレームになりかねません。銀行に照会しても通信事情とか、先方事情といわれ、判然としない場合が多いようです。

実は原因はいくつか考えられます。
其の一番目は、海外送金では日本銀行のような便利な決済機関がない事です。日本銀行は「銀行の銀行」として、国内銀行間の資金決済を、一手に引き受けています。

海外送金ではそういう便利な決済金融機関がないので、送金を受けた銀行は、受取人の口座がある銀行との資金受渡しを、どこの金融機関で行うか一件ごとに決めなければなりません。
いわば送金のルート決めを行うわけです。ただほとんどの場合、事前に通貨ごとのルートが決められていますので、そのルートを使えばよい仕組みになっています。

このルート。送金を依頼された銀行によって異なっています。その結果、相手銀行との資金の受け渡しに遅早が生じます。これは主として、送金を依頼した銀行の違いによるバラつきです。この点はその銀行独自の話ですから、いくら聞いてもよその銀行との比較は出てきません。これが第一点目です。

二番目は、送金を依頼された銀行の資金繰りの都合です。どこの銀行でも海外送金に充当する資金は、特定の銀行に集中して置いています。これは別に銀行に限ったことではないのですが、手持ち資金の分散は、資金運用を非効率なものにするからです。

資金は出来る限り集中させて、よそには必要に応じて、資金を振り分けるというわけです。これを海外送金に当てはめてみると、相手の銀行が資金を受け取りたい銀行と、こちらの資金集中して置いている銀行が異なる場合、予め定められた銀行ではなく、あえて資金集中銀行経由にするとか、資金集中銀行から決済銀行へ資金を振り代えるとかするわけです。

いずれにしても何もしなくてよい場合よりも、時間がかかることになります。このような事情に、日本側、相手国側の銀行休日が絡んだりすると、相手口座への入金が遅れるわけです。

送金を受け取る側にとって、いつ送金が到着するかは最大の関心事ですが、いままでお話ししたように、皆さんではどうしようもない事も多々ありますので、バラつきを見込んで余裕を持って、銀行へ取り扱いを依頼されるようにお勧めします。

ルートによっては、相手国銀行の支店が日本にあれば、その支店に送金を依頼したり、送金依頼する銀行と同じ銀行の海外支店に、受取人に別途口座を開いてもらう。といった方法も考えられます。

2016/12/20

AI(人工知能)で外為業務が変わる!?

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いまはやりの人工知能を使っての業務改善の話が、日経に出ていましたので、ご紹介してみたいと思います。

先日、日経の朝刊に「外為業務 AIでカイゼン」と題して、人工知能による外為業務改善について記事が出ていました。扱いがきわめて地味でしたので、掲載されたスペースの割には、気づいた人は少ないのではと思います。

旬な話題でもありますので、僭越ながら私がこの場をお借りして一言。

記事によれば千葉銀行ほか全6行の地銀の雄が参加して、日本IBMの「ワトソン」を使って、共同開発するとの事です。

参加する銀行が地域的に重ならないので、お互いが競合せずにすむ。こう考えた節も見受けられます。また開発する内容としては、主に営業店からの照会への迅速な回答が、期待されているようです。

ここまで読んでいて私は正直言って、うまいことを考え付いたなと思いました。このたぐいの話は、費用対効果(いわゆるコスパ)がネックなのですが、地域的に競合しない6行が費用分担すれば、一行当たり1,000万円はいかないようです。

これは行員一人の人件費とあまり変わりません。加えて人工知能は使うほどにどんどん賢くなりそうですが、生身の人間は同じように使い込んでも賢くなるとは限りません。ということは今後の進展に大いに期待が持てるなあ。こんなことにまで思いを巡らすと、この話、期待以上の効果が出そうと思ってしまいました。

私はメガバンク在職時に、研修セクション所属だったせいか、直接間接に外為への疑問や質問が押し寄せてきました。圧倒的に多かったのは、事務手続きそのものや、定型的な業務に対するものでした。これらの質問は、ほんの少し事務手続きを読み込んだり、一回でも実際にその業務を行えば、容易に解決するものです。

しかし営業店窓口では希少事務と言える「外為」に対して、担当者にそこまで要求するのは酷なのも事実でした。ま、そこに私の存在意義があったのですが。今後これらは人工知能で容易に代替されるでしょうし、人工知能であれば迅速に回答内容もぶれることなく、正解が出てくるはずです。となると、真っ先に私がお払い箱になりそうです。

今後が記事になるかどうか分かりませんが、外為部門が上手く機能すれば、他の業務に展開されるのは、容易に想像できます。となるとますますそこで捻出された時間やマンパワーの活かし方によっては、銀行のあり方そのものが全く変わってくるかもしれません。

そんなことまで考えさせられた記事でした。外為に限らず銀行業務へのAI導入が進み、最終的には人間のやる事が、AIのスイッチのON OFFだけ、といったことにならないように、考えていく必要があると思います。

2016/12/13

銀行との交渉は誰とすべきか?

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今回は銀行内部の組織を少しのぞいてみます。

銀行との取引では「お金」が間に入るだけに、しかるべき相手と話すことが重要です。キーパーソン以外に話しても、さんざん説明や資料を要求されて、挙句の果てにはその場ではOKにならず、後日「総合的に判断した。」と丁寧にお断りされる。こんなことになりかねません。

私は逆の立場でしたが、明らかに話す相手を間違えている、とおぼしきお客様がおられました。

懸命に銀行員に説明をしているのを横目で見て、せっかくの案件なのに上手くいかず「没」になるのかなあ。と思っていました。

では誰に話をするのが良いのでしょうか。

ここで銀行の内側を見てみましょう。銀行の組織は比較的単純です。皆さんが利用する営業店のトップは営業店長です。その下に各セクションのリーダー(課長とかグループ長と呼びます)が続き、担当者がその下で実務を行います。
他にも色々な人がいますが(副〇〇、〇〇役、コンサルタントとか)、これらの人たちはスタッフ・マネージャーが多く、キーパーソンとなる場合はほとんどありません。

このような営業店の中でキーパーソンは、セクション・リーダーの人たちです。彼ら彼女らは担当部門のエキスパート達です。プレーイング・マネージャーですから、案件の起案能力を当然持っています。それと同時に、営業店長に対し強い影響力を行使できます。

「この案件は是非やりたい!」と起案すれば、担当者が取り上げてきた案件より、はるかに実現性が高まります。このことから銀行との折衝では、このクラスの人間を引っ張り出せれば、かなりの確率でOKが出てくると思います。

そう言うと担当者はどうなの。という声も聞こえてきそうですが、担当者は受付窓口としては最適かもしれませんが、
案件のOKを出すためには、上司であるセクション・リーダーの、OKをまず取り付ける必要があります。こちらがセクション・リーダーに直接話せば、その手間が省けます。

さてこのセクション・リーダーとの話ですが、こちらの要望を申し入れるときは、銀行サイドの条件を聞くようにして下さい。たいていの人は言いたいことを言うと満足してしまって、「それではよろしくお願いします。」で終わるようです。これでは案件として取り上げてもらえないときは、例の「総合的に判断して」のフレーズとともに、何も詳細が分からずに、それまでの労力がパーになってしまいます。

銀行の条件を聞き出せば、こちらの申し入れに対するスタンスも見えてきますし、なにより一方的な「謝絶」に会わなくて済みます。さらに回答期限も切っておきましょう。「〇月〇日までにお願いします!」このフレーズも、銀行のペースに巻き込まれないためです。意外にこの期限設定、銀行相手には説得力があります。

どうでしょうか。お役に立ったでしょうか。ぜひこれらを参考に、銀行とネゴ(交渉)してみて下さい。

2016/11/27

小口取引の決済に「送金小切手」は良い悪いか?

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金額の小さい取引の場合、送金小切手を決済手段とする場合があります。
ところで送金小切手は、良い決済方法なのでしょうか。

送金小切手はDemand Draft(ディマンド ドラフト)ともいいます。今もそうですが、特に昔は大変良く使われた決済手段です。別名、Bank Check(バンク チェック)とも呼ばれます。ただ送金小切手はそもそもすべて銀行が振出人であり、銀行サイドではこの言葉になじみが無いので、銀行担当者と話をする場合は、Bank Checkと言っても通じない可能性があります。

この送金小切手、相手が銀行に口座を持っていなくても、資金のやり取りが可能なので、不特定多数を相手にする取引では、大変重宝されてきました。今でも書籍購入、会費や受験料の払い込みに使われているようです。

しかしこの「送金小切手」はいくつかの問題点があり、決済手段として用いる場合は気を付けなければなりません。

たとえば相手から送金小切手を要求された場合には、銀行に出向いて送金小切手を発行してもらったうえで、その小切手を相手に送る必要があります。さらに厄介なのは、盗難や抜き取りにあう可能性があるのです。このような場合に備えて盗難保険をかけたとしても、結局はもう一度銀行に再発行してもらう必要があり、電信送金のように銀行に持ち込んでそれでおしまい。とはなかなかいきません。

逆に、海外から送金小切手をもらうときは、相手が小切手を送ってくれるまで待つ必要があり、電信送金のように即入金とはいきません。現物をようやく入手しても銀行で現金化する際に、手数料が発生する場合が多いので、この点も注意する必要があります。

さらにこれが一番の問題点と思うのですが、米国から来る送金小切手は無事に決済が終わって、手許に資金が入ってきても、その小切手は偽造や変造だった場合は、資金を返却しなければならないというリスクがあります。

この期間は最長4年にも及ぶため、特に米国や英国からの、送金小切手を受領する場合は注意が必要です。(日本はジュネーブ統一小切手条約を1932年に批准しており、このようなリスクは発生しません。)

見かけの簡便さとは裏腹に、このようなデメリットがある送金小切手は、出来れば避けるのが好ましいというのが結論です。

ただ銀行口座を持たない相手に対しても、資金を渡せるというのは確かに大きなメリットといえます。

したがってこれからも一定の需要は引き続きあると言えます。

2016/11/19

相場優遇でドル円の交換レートをまけてもらおう

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今回は通貨交換を銀行にしてもらうときに、あらかじめ銀行の定めたレートではなく、まけてもらおうという話です。(このレートをサービスレートともいいます)

海外との取引がすべて日本円で出来れば、通貨を交換する必要はありません。(当たり前の話ですが)

しかし多くの場合そうもいかず、先方との資金のやりとりで、日本円を相手通貨に、相手通貨を日本円にする作業が必要となります。この作業は銀行に頼むのが一般的ですが、その際使われるのが、日々銀行が発表する公示相場です。

この相場は一定金額までの取引であれば、東京外為市場が大きく動かない限り、終日適用される便利なものです。しかしここには銀行の利ザヤがしっかりと入っているために、実勢相場に比べて利用客に有利とは言えません。普通この相場は誰に対しても適用されると考えがちですが、実は法人や営業性個人(商売をしている個人の人)には、多くの例外があります。

これらレートをサービスしている顧客を総称して、「相場優遇先」といいます。
優遇先になればその銀行での外為取引では、公示相場より必ず良いレートが適用となります。

ではこの優遇先に加わるのは、どうしたら良いでしょうか。

皆さんが銀行の窓口に出かけて、自分も優遇してほしいと言っても、まずその場で断られておしまいだと思います。デパートでいきなり値引きを交渉するようなものです。突拍子もない事を言う人だなと思われておしまいです。

でもこんな時は相手の立場で考えてみると、本音が意外によく見えてきます。銀行が優遇をしてもやむを得ないかな。と思う相手は、平たく言えばたくさん儲けさせてくれる顧客です。たくさん儲けさせてくれるのであれば、その中の一部を還元しても、充分ペイすると考えます。

この儲けの額はいくらと決められてものはありませんので、どれくらい銀行に儲けさせてれば、優遇先になるかというルールは、まずどの銀行にありません。ただ一月に10万米ドルはコンスタントに持って行って、すべて公示相場で取引しているのであれば、交渉の余地は十分にあると思います。これが第一の方法です。

次にこれよりは確度は落ちますが、よその銀行が優遇してくれるという話を、ぶつける手もあります。銀行の担当者はそういわれても、ことの真偽はなかなか確かめられないのですが、貴方との取引を防衛したい場合は、申し出に応じてくれる場合もあります。(このごろは住宅ローンでその例がよく見られます)

ただこの作戦の欠点は、優遇の話に目が行き過ぎて、交渉が決裂して他の銀行に取引を移した場合、受けるサービス内容が劣化してしまった。こんな本末転倒な話になることが考えられます。

もし他の銀行の話をするのであれば、優遇の有無だけでなく、その他の点も考慮に入れて、交渉を進めるほうが良いと思います。

いずれにしてもダメもとで、一度銀行に球を投げてみることをお勧めします。

2016/11/08

輸出で買取と取立どちらが良いの?

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輸出をしていると、初めての相手や大口の相手から、送金決済を断られることがあります。その時、代替手段として出てくる話が買取・取立です。

買取・取立と聞くと、何となく船積書類を銀行に持っていけばいいような気がします。実際はどうでしょうか。今回はそんな買取・取立のお話です。

ここでは話を簡単にするため、信用状(L/C)は考えません。

さて買取や取立の基本は、輸入者に直接船積書類を送る代わりに、銀行経由で書類を送って相手の決済を求めることです。実は買取・取立問わず、銀行に持ち込む船積書類は一緒です。さらに輸入者側(輸入地の銀行や輸入者)の対応も、特に区別はありません。

となると買取と取立の違いは何でしょうか。

ズバリ、一言でいえば輸出者とその取引銀行の関係が違うのです。輸出者は買取では「債務者」で、取立では「委任者」となります。言い替えると、買取は銀行から借り入れしたことになり、取立は銀行に船積書類の輸入者側への送付を依頼したことになります。

つまり買取では受け取ったお金は、不渡になれば銀行に返還する義務がありますが、取立ではそんな義務はありません。ここだけ見ると取立に分がありそうです。本当でしょうか?

手元資金が潤沢で資金回収を待てるなら、取立はいい方法と言えます。しかし通常、資金回収は早い方が良く、資金効率面からも、金利負担はあるものの、買取も充分メリットはあります。

さてその買取りですが、銀行によって若干違いがありますが、概ね無担保与信(いわゆる信用貸)とは違う扱いです。
これは輸出貨物(具体的にはその権利を表す船積書類)が、担保として銀行は確保できる事。買取資金を返済してくれる相手が、輸出者ではなくて輸入者であり、輸出者単体に貸すより、リスクの小さい与信であることが大きなポイントです。

この効果で輸出者は銀行から資金を受けやすくなり、資金繰りが楽になる事となります。我慢して取立を依頼して、
不足する資金は別途借り入れと考えるのなら、買取を検討しては如何でしょうか。

銀行は単に預金をしたり、お金を借りたりするだけでなく、多面的に活用することをお勧めします。

(注)今回はL/Cなしの取引でしたが、D/P(支払渡)とD/A(受取渡)の区別をしていません。

2016/11/1

外為も運転免許証は最強の本人確認資料か?

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外為に限りませんが銀行の窓口に行くと、しばしば本人確認資料の呈示を求められます。

本人確認資料はいろいろとあるのですが、運転免許証は最強と言えるのでしょうか?そうであれば運転免許証が一番となります。
今回はこの点を考えてみました。

結論から言うと、最強と言っていいと思います。

運転免許証を常時携帯していれば、あらゆる場面で本人確認資料として使えます。もちろん銀行の窓口も、です。

ではなぜ最強なのでしょうか。本人確認資料とは、第三者が本人を本人だと確認する資料です。となれば資料には本人を特定する事項が、記載されている必要があります。

すなわち住所、氏名、生年月日が必要です。しかも発行元が信用できないと、意味がありません。言い替えると官公庁が発行しているものが必要です。運転免許証はこれらの条件をクリアーしているわけです。

ただこれだけなら最強とは言えません。
わたしが最強と判断する理由は以下の3点です。
1.圧倒的な知名度!
みんなの認知度が高く、「これなに?」と言われずに済む。
2.写真が付いている。
免許更新センターで撮られた写真が、余り映りが良くないとの話はよく聞きますが。本人確認には十分すぎるくらいハッキリ写ります。
3.本来は運転の免許証ですが、そのまま完璧な本人確認資料になる。
一人二役が重宝されるのは、いずこも同じです。

加えて高齢等で免許証を返納しても、代わりに「運転経歴証明書」を発行してもらうことができ、これもそのまま本人確認資料になり、生涯のお墨付きとなります。

ところで、運転免許証なんて持ってない。と言う人も沢山おられると思います。
そんな時には、「個人番号カード」の取得をお勧めします。すでに皆さんのお手元には、「マイナンバー通知カード」が、送られてきたと思います。これは住民票を有するすべての人に対して、発行されているものですが、このままでは本人確認資料にはなりません。

これに写真を付けた「個人番号カード」となると、今度はこれ単体で、本人確認資料になります。しかも当面の間、発行手数料は無料です。

現時点で「個人番号カード」は、本人確認資料+個人番号確認資料の位置付けですが、将来的にはこれ一枚で、個人に関する手続きが、かなり出来るようになるようです。

となるとこちらの方が、「最強」かもしれません。ただ「個人番号カード」は、カード裏面には、個人番号が記載されているため、情報漏えいリスクがあります。

そこまで考えれば、運転免許証に軍配が上がると思います。

(注)「個人番号カード」のことを総務省のHPではマイナンバーカードと呼んでいます。

銀行の営業担当者って何者?

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世の中には変わった手紙もあるもので、会ったこともない人から親展扱いで、「お世話になりました。こんど担当者が交代して、凸凹○△になりました。よろしくお願い申し上げます。」と言ったDMが来ることがあります。

お世話してもらったことなど無いのに、と、薄気味悪くなったことはありませんか。今回はそんな銀行の営業担当者のお話です。

銀行で担当者には、二種類あると考えて下さい。

一つ目は仕事の担当者です。業務担当者とも言います。預金、融資、外為と言った銀行業務を担当している人です。これは分かり易い話だと思います。もちろん担当者が交代しても、DMなどは来ません。

二つ目が今回お話しする、営業担当です。この担当者は交代すると、DMが親展で来るのです。

それにしても「私の何を担当しているの?」こんな疑問がふつふつと沸いてきます。実はこの担当者が担当しているのは、貴方自身ではなく、貴方が銀行にもたらしてくれるはずの、利益や実績を管理する担当者なのです。

管理する対象が対象なので、大して旨みがないと判断すると、何もしてきません。音沙汰なしです。それなら放っておいてくれればよさそうなものですが、何かあった時に、よその銀行に行かれては大変なので、最低限のDMはよこします。(担当者交代はその一つというわけです)

さてこんな担当者(と呼んで良いものか)への対応は、どうすれば良いと思いますか。
結論から言うと、「何もしなくて結構です。」

DMはそのままゴミ箱へ、電話は無視、万一こちらに来ても「今、忙しい。」と断れば、それで充分です。
彼ら彼女らの提案は、まず100%ちらの役に立ちません。人によってはせっかく言って呉れているのに、申し訳ない気がする。と、心優しく考えたり、万一銀行に用事があった時に、いきなり行くより、良い扱いを受けられるのでは、と考えたりする人もあると思います。しかしそんな心配いりません。

最初にお話ししたように、銀行の仕事には、それぞれ業務担当者がいますので、その人と個人的なつながりでもない限り、営業担当者に話をしても、単なる取次しかしてくれません。

この営業担当者なる存在。表向きはどこまでもお客様の担当の位置付けですが、実際はそのお店の実績の担当者です。ある意味薄気味悪いDMが、忘れたころにやってくるのは、このようなからくりからなのです。

銀行口座を持ってると手数料がかかるの!?

日経紙上に、ATM手数料の一部有料化の記事が出ていました。今回はここから見えてくる、銀行の本音を探ってみます。

「受益者負担の原則」という考え方があります。これは利益を受ける人は、その利益に関する費用を、負担しなければならない。という考え方です。

比較的納得しやすい考え方なので、よく手数料の理論づけに用いられます。実は銀行サイドもチャッカリ利用していて、手数料の理由づけにしています。

さて今回の日経新聞の記事は、時間外手数料の話ですが、これは元々有料とすべきものを無料にしていたが、やっぱりしんどいのでこれをやめる。という立てつけのようです。

ただそれでは銀行の勝手だと批判されそうなので、別の理由づけが必要になってきます。この点、「受益者負担の原則」を援用すれば、時間外という特別な状況でのサービスに対して、そこで発生する費用はその利用者本人に負担願う。という銀行のロジックが成り立ちます。

私としてはこのロジック。理解できなくもありません。実はこの記事を読んでいて、ふと頭をよぎったのは、別の手数料のことです。「口座維持手数料」と呼ばれるもので、これは文字通り銀行口座を持っている人に、負担してもらうものです。

銀行が口座維持のために必要とした費用を、銀行で口座を持っている人に、手数料として払ってもらう。こんな感じの話です。
ただこの考えは日本ではなかなか根付かず、規定すらない銀行が大多数と思います。

そうはいってもこの口座維持手数料、低採算の個人口座を抱える銀行にとっては、非常に魅力的なものです。銀行口座はその維持には多大の費用が必要で、特に通帳を発行することが多い個人口座は、通帳取引には印紙税の納付が必要ですし、もしその通帳に未記載の明細があれば、別途その未記入明細をオンライン上一時的に保管し、いつでも通帳に印字できるようにしておかねばなりません。

なんやかやで、年間一冊当たり700円ぐらいコストが発生する。と聞いたことがあります。
メガバンクの一角である三井住友銀行の個人口座数は、約2,700万件ですから単純計算で行くと、年間コストは約2,700万件X700円=約189億円!!

これを幾分かでも顧客に負担してもらえないかと言うのが、銀行の本音です。とすれば早晩何らかの形で、具体化してくるかもしれません。

預金者の自衛策としては通帳が不要であれば、インターネット契約を結び、通帳をWeb化してしまうとか、銀行取引を一本化して不要な口座を解約するとか、といったことが考えられます。(追記)日経の記事に、3メガバンクは個人口座への手数料設定は、
消極的と出ました。

記事として出た以上、内容の如何を問わず、事態は動く可能性があります。皆さんも状況を注視し、早めに行動願えれば幸いです。

欧州へ送金する際「IBAN」が必要と言われたが?

欧州へ送金しようと思ったら、「IBAN」が必要と言われた。これって何?

銀行の窓口で海外送金を頼むと、受取人の情報以外に、「IBAN」(アイバンと言います)を求められることがあります。
今回はこの「IBAN」にまつわるお話です。

「IBAN」とはおもに欧州で使用されている、顧客識別符号です。簡単に言うと、欧州版マイナンバーと言った所でしょうか。
(やや乱暴ですが)
正式名称はInternational Bank Account Numberとなります。最大では34文字にもなる、数字とアルファベットの一連番号です。この一連番号で、取引相手の国・地域から個人の口座番号まで、特定することができます。

欧州への送金では「IBAN」が入ってないと、相手への資金到着の遅延や、余計な手数料発生の恐れが大です。
しかも最悪、資金が戻ってくることもあります。この少々厄介な「IBAN」ですが、幾つか留意点があります。

1.「IBAN」はグローバル・スタンダードではない。
この「IBAN」はアメリカやアジア(もちろん日本も)などでは、使われていません。あくまでも欧州中心の制度です。

2.欧州諸国内でも自国限定のナンバー制度あり。
では欧州では「IBAN」さえ分かればよいか。というと、そうともいえません。各国が独自のナンバー制度を設けているからです。つまりそれらの国への送金は、「IBAN」に加えて、独自ナンバーが必要となります。(ドイツのBLZが有名です)

3. 送金相手の「IBAN」は一つとは限らない。
こんな事どこにも出ていませんが、本当の話です。よく確認しないで送金すると、先方とトラブルになりかねません。実例では、米ドル契約のものを米ドルで送金したら、相手からの「IBAN」がユーロ口座のものだったので、現地の銀行で勝手に米ドルからユーロに交換のうえ、入金されてしてしまった。ということがありました。
日本サイドのミスではないのですが、当初は海外から口座相違のクレームの形で来たので、事実を確認して解決するまでに、相当な時間と費用が掛かりました。

4.相手からしつこく日本の「IBAN」を聞いてくる。
欧州では「IBAN」有って当たり前なので、こちらにも当然のように「IBAN」を教えろと言ってきます。ところが日本には「IBAN」はありません。ここで良くボタンのかけ違いが発生します。先方の思い込みは相当なもので、現地の銀行を巻き込んでワーワー言ってきます。こちらとしては「制度として無いものは無い」ので、お客様に「無いものは無い」と、押し返してもらうことになります。

これも一円の得にもならない、結構骨の折れる仕事でした。
そんな「IBAN」ですが、欧州では引き続き使われると思います。それ以外の地域では全く分かりません。(というか無理そうですが)

結局「IBAN」は、海外送金の仕組み自体が、変わらない限り、その都度注意していく必要があるのだと思います。

自分の銀行口座に他銀行で入金!日本の銀行タイで開始

日経新聞の一面に、「預金業務 外銀に委託」と、三井住友銀行の記事が出ていました。
みんなにお役立ち!とまではいきませんが、なかなか良い話ではと思います。

記事をざっと読んだだけでは、なぜこれが一面記事に値するのか、分かりませんでした。(最初は読み飛ばしたせいもありますが)
けれどもよく読んだら見えてきました。簡単に言うと銀行の窓口で、別の銀行口座(自分名義)への入金。
これが出来るようになるのです。

普通はもちろん出来ません。
「振込にしてくれ」とか、「その銀行の支店に行ってくれ」これでおしまいです。

これがタイのバンコク銀行限定の話ではありますが、出来るようになるのです。では具体的に預金者には、どんなメリットがあるのでしょうか。

まず浮かぶのが、
三井住友銀行バンコク支店に口座がある企業は、自分の口座に入金したいときは、バンコク銀行の窓口に行けばよい。直接現金を三井住友に持ち込む必要もなく、振り込みをする必要も無くなる。これです。

日銭商売ですと、日々売上金が現金で入ってきます。現金はそのまま置いとけませんので、通常は即日銀行に入金します。これがなかなか面倒ですし、振込したとしても手数料が馬鹿になりません。これが近くの銀行窓口での入金で済むのであれば、大きなメリットと言えます。

次にこれは日本にある親会社のメリットと言えますが、資金管理が楽になります。

今までですと、三井住友銀行のバンコク支店の口座に入金されないと、残高も把握できないし、そこから資金移動もできなかったのですが、今後はバンコク銀行の支店で入金手続きをとれば、瞬時とはいかないまでも、速やかに資金管理が可能となるわけです。

今でも海外子会社の口座残高や資金移動は、親会社で出来るのですが、さらに使い勝手が良くなることになります。これもメリットだと思います。

ただ記事には書いてありませんが、いくつか注意すべき点はありそうです。

まずこの話は入金限定だとすると、出金用の口座を、近くの銀行に作っておく必要があります。またこの預金業務の委託は企業が対象であり、個人は対象外と思われます。

また記事内容とは直接関係ありませんが、日本の銀行の海外支店は、リテール(個人相手の預貸業務)は、ほとんどやっていません。

なので三井住友銀行バンコク支店の口座開設は、日本サイドでコントロールする必要がありそうです。

とはいえ、今後このサービスは、他の国にも展開されるとの事なので、複数の国に進出している企業にとっては、検討に値する話だと思います。

2016/08/10 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

なんで為替予約はとれないの?

レストランの予約は取れるのに、なぜ為替予約は取れないのか?

今回のお題は「為替先物予約」(以下「為替予約」)です。皆さんは日常的に予約を取っておられると思います。ところが為替予約は、銀行の窓口で頼んでも、まず取らせてくれません。

どこが違うのでしょうか。今回はここのお話です。

皆さん予約と言えば何を思い浮かべますか?レストラン、航空会社、病院、スポーツ観戦等々でしょうか。

何れも予約したいと申し出れば、空きがあれば受け付けてくれます。料金前払いかもしれませんが、特にそれ以上の手続きは不要です。あとは当日そこに行けば予約の役目は終了です。

為替予約も実は流れは一緒です。

ただ一点だけ違う点は、為替予約は銀行にとって与信になる点です。銀行にとってお金を貸すのと同じことなのです。(正確に言うと与信に準ずるとする銀行が多いのと、僅かですが与信にはならない場合があります。)

与信であれば審査が必要ですし、いろいろと書類も提出しなければなりません。場合によっては担保や保証人といった話になるかもしれません。店頭で「予約したい」と言われても、すぐにはOKにならない状況は、ご理解頂けますか。

でもよく考えると、なぜ与信になるのでしょうか。
ここが一番わかり難いかもしれません。

「為替予約」自体は皆さんが想像される通り、将来のある時点での通貨交換の約束です。これだけではお金は動きません。与信となぜ同じなのか説明できそうもありません。

では実際に銀行が為替予約を、顧客と締結したときの動きを見てみましょう。

顧客から予約の申し出を受けると、銀行の担当者は通貨や金額、行使日(予約使用日のこと)を聴取します。レートは本部に問い合わせたり、オンラインで照会し、顧客に提示します。顧客がそのレートでよければ、めでたく為替予約の一丁上がりです。

顧客とはこれでよいのですが、銀行はこの予約を仕上げるために、実際には同じ金額での売買を、同時に東京為替市場で行ってしまいます。

詳しいことは省きますが、対顧客では何もお金を動かしませんが、銀行としては為替予約に見合う取引は実施済なのです。もし予約をとっても顧客が使ってくれないと、銀行としては貸し倒れ同様になってしまうのです。
つまり与信と同じような考え方をしないと、銀行は不測の損害を被る可能性があるのです。

ただ融資と違って予約金額全額が損失になる事は、まずないので100%与信と同じ扱いをする銀行は、少ないと思います。

こんな事情があるので銀行の窓口では、為替予約はすぐ受けては貰えないわけなのです。しかし数少ない例外として、外貨定期預金の元金と税引後利息に対しては、為替予約を与信とせずに受けてくれる銀行もあるので、
外貨預金で運用しているのであれば、一度銀行に問い合わせるのもいいかもしれません。

このように顧客の見えない所で、取引をしている為替予約の説明は、窓口泣かせで、担当者が説明に四苦八苦していました。

皆さんに取引銀行を困らせろ。とは言いませんが、勉強してもらう意味で、「為替予約」を取りたいと窓口で申し出るのも、いいことかもしれません。

2016/07/29 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

銀行の営業時間が自由になると!


銀行の営業時間が自由になる!

日経新聞の一面に、掲題記事が出ていました。
これの意味するところと、影響について考えてみます。

銀行は「銀行法」という法律で、いろいろ縛られていて、
あちこち制限だらけでした。
勝手に〇〇銀行とは名乗れませんし、
営業内容や、出店の規制、営業時間の定め等々
よく言われるように、箸の上げ下げまで決められて、
がんじがらめの状態でした。

しかしこういった閉鎖的な銀行業界にも、
規制緩和の波が押し寄せてくることになります。
預金金利の自由化に始って、
外為取り扱いの自由化、店舗規制の撤廃などが、
順次その俎上に上がり、日の目を見てきました。

しかし営業時間は相変わらず「午前9時から午後3時」が、
いままで原則として守られてきたわけです。

今回の報道は、この営業時間について、
自由化しようというものです。

これの意味するところは決して小さくありません。
いままで銀行は営業時間の縛りがあるので、
一度店を出すと採算が悪化しても、
赤字営業を続けるか、思い切って閉店するか、
この二つしか方法がありませんでした。

人口減少に直面する地域では、
銀行・住民共に、その維持には大変な思いをしています。

しかし今後はこれらの選択肢に加えて、
思い切った短縮営業による対応も、
可能になるわけです。

たとえば市内にA店とB店がある銀行の場合、
今までは閉鎖しない限りは、
両方のお店を最低午前9時から午後3時まで、
開ける必要があったのですが、
今後はA店は月、水、金、午前中営業。
火、木、は午後営業。
B店はその逆で営業。といったことも可能なわけです。

営業時間を短縮すれば、
必要人員も諸経費も少なくて済みます。
採算ラインが下がれば、
店舗を閉鎖しないで済む可能性が出てきます。

一方、ベッドタウンにある店舗では、
夜にならないと住民が戻ってこないという、
現実があります。

こんな時は今までは営業時間の延長で、
対応していたのですが、
午前9時から午後3時の縛りのため、
思い切った営業時間が組めませんでした。

しかし今後は、午後5時から開店でもOKとなります。
利用する側からすれば大幅な利便性UPです。

ここまで書いてくると、皆さんの中には
営業日も自由にならないのかという、
当然の疑問が出てくると思います。

実はこの点はまだ規制が残っています。
銀行の窓口を閉められるのは、土日と国民の休日、
大みそかと正月三日間。これだけです。
これ以外は勝手に休めません。
(震災などで営業が不可能な場合は別ですが)

前述のような地方のお店を続けるのなら、
もう一段踏み込む必要があると思います。

そのためには営業日も自由化して、
ATMは稼働するが、
窓口業務はお休みする日を設ける。
と言ったことも必要と思います。

こうすれば、採算ラインもさらに下がります。
いずれにしても「護送船団方式」と揶揄されてきた銀行が、
少しずつとはいえ自由化されています。

これは利用する側から見れば、
銀行の価値が高まることであり、
結果として銀行も生き残っていけるようになる。
こういった印象を強く持った記事でした。

2016/07/20 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

銀行融資の審査、最後のポイントは?

銀行の融資審査ポイントの最終回。
今回は「他にメリットはありませんか」です。

銀行はいつの時代でも「儲けてなんぼ」の世界です。
どんな立派な案件でも、採算が取れなければ、
銀行審査はボツ!となります。

よく銀行の仕事は「お役所仕事」と揶揄されますが、
採算重視という点では、「お役所仕事」とは決定的に違います。
(昨今では、お役所と言えども民間の力を借りて、
採算にも配慮した事業も行っているようですが・・・。)

ところで銀行営業の現場にいると、
これではとても(銀行として)採算が取れないとか、
(銀行として)採算が見通せないといった案件でも、
審査が通ることがあります。

これはどういうことでしょうか?

銀行が、内容に感激して採算度外視でOKした。(ん!?)
あるいは、
銀行全体で融資のバーゲンセールをやっていた。(さらに!?)

どちらも、ちょっと変ですね。
もちろん銀行はこんなことで、OKしたわけではありません。

ではなぜOKになったのでしょうか。
じつは銀行には「総合採算」という考え方があります。

この考え方は簡単に言うと、
その案件だけでは、どうあがいても赤字の場合でも、
その顧客との取引全体で見たら、
あるいは他の要素も入れて考えると採算に乗る。

こうであれば審査は通そうという考え方です。
これには具体的には、二つのアプローチがあります。

一つ目は、いろいろな取引を自分の銀行に引き込んで、
文字通り総合的に採算を確保しようというものです。

これはある意味当たり前の話でして、
たとえ単体ベースが黒字でも、
その融資だけでは、やがてじり貧になってしまいます。

よってここの部分、銀行としても外せないので、
既に取引すべてを、そこの銀行に持ち込んでいるのでなければ、
相当強烈な折衝を仕掛けてきます。

その代りここをクリアーすると、
審査が完了するという場合が多いのも事実です。

二つ目は取引内容を充実させて、
採算を向上させるというやり方です。

法人名義で融資申し込みをしているのであれば、
個人取引(たとえば社長や役員)を依頼する。とか、
従業員取引も依頼する。といった具合です。

ただしこの方法は、銀行の優先的地位の濫用(らんよう)という、
難しい問題を含むため、明確には依頼できません。

せいぜい「社長さんの取引銀行はどちらですか?」とか、
「従業員さんの給与振込。どこの銀行が元受ですか?」と、
聞くぐらいです。

もしこんな質問が飛んできたら、
相手としては採算面を問題としている。

つまり他のポイントはクリアーしている。と考えて下さい。

何れの場合でも、担当者段階では審査をOKとしていますので、
担当者が動きやすいような環境になれば、
結果として自分の依頼も通り易くなるという構図ですので、
もうひと踏ん張りと考えてもらえばよいと思います。

2016/07/9 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

担保があれば融資の審査は大丈夫?

前回に引き続き、銀行の審査ポイントをお話しします。
今回は二回目として「返済は確実か?」です。

皆さんはお友達にお金を貸すときに、
お友達から
「ありがとう。すぐ返すよ。」と言われたら、
「そんなこと気にしなくていいよ。」と返事をしませんか。

この言葉の根っこは、友達だから信用して貸したんだ。
だから返済の心配はしていない。だと思います。
つまり「返済は確実」と、判断したともいえるでしょう。

しかし銀行の場合は、初対面に近いような相手に、
お金を貸すわけですから。
そんな判断をすぐにはできません。

たとえ担保をしっかり確保しても、
何のお金で返してくれるのか(返済原資と言います)。
いつまでに返済してくれるのか(返済計画のことです)。

これらをハッキリと確認する必要が出てくるのです。
今回のお話は、ここの二点がポイントとなります。

それでは始めましょう。
先ず貸したお金を、何で返済してくれるかの見極めです。

個人の場合一番簡単なのは定期収入のある人が、
その収入に関する証明書を提示してくれる場合です。

これは特殊な場合(今年定年になる場合など)を除くと、
融資を実行しても、その収入から返済してもらえると、
銀行は判断することになります。

また法人などで、創業から何年か経っていていれば、
直前3期ぐらいの決算書類を提示してもらうことで、
そこに書かれた売上と利益から、同じような判断ができます。

問題はこのような人たちだけが、来るわけではない。
ということです。

例えば定期収入のない人や、設立間もない法人が、
お金を借りに来た場合、銀行は返済の不安をおぼえるわけです。

この場合よくやる手が、前回お話しした担保の交渉です。
万一のことを考えて、担保を固めてしまうのです。
もし銀行と返済原資の話をして、担保について何も言わない場合は、
こちらをよほど信用しているか、担保が前提になっているか、
このどちらかだと断言できます。

次にいつまでに返してくれるかですが、
貸せるお金には限界があるので、同じお金を何回も回転させて、
銀行は利息収入を挙げようとします。
これを資金効率の問題と言います。

一方、借りる方も金利のことがあるので、
いつまでも借りたくはありません。
この点で両者の利害は一致します。

けれども借りる方としては、
返せないような無理をするわけにもいきません。
結局双方に無理のない内容に落ち着く形になります。

もし審査をスムーズにと考えるのであれば、
借りる期間は出来るだけ短期にした方が、
間違いなく審査は通り易くなります。

特に借入期間の境目を、
一年、五年、十年に置く銀行が多いので、
一年半とか五年半の借入計画の場合は、
頑張って一年や五年を跨がないようにすれば、
ポイントを稼げると思います。
いかがでしたか。

次回はちょっと変わった審査のポイントを、
お話ししたいと思います。

2016/06/28 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

銀行の融資審査はどうやっているのか?

今回から何回かに分けて、銀行がお金を貸すときの、
審査ポイントは何かを、お話しします。

住宅ローンのような定型商品は別にして、
銀行から融資を受ける場面は、そう多くはないと思います。

とはいえいきなり銀行の窓口に行っても、
何も分からなければ、相手の言うことを「へいへい」と聞く、
全くのお任せ状態になりかねません。

でも相手の考えが分かれば、
ただひたすらお金を貸して下さい。
とお願いするより、
何百倍もましだと思います。

そんな気持ちでこの一文を書きました。
孫子の兵法ではありませんが、
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」です。
それでは早速はじめましょう。

銀行の融資で即断即決は先ずありません。
担当者との面談

担当者の起案

支店内での稟申

支店での決裁

本部へ回付

本部での決裁

実行
これが通常の流れです。
(支店での決裁で完結の場合もあります)

受付の担当者は皆さんとの面談で、
次のステップである起案に向けての、情報を集めています。

ではその中身は何か。
教科書的には、金額・使途・償還能力なのでしょうが、
実際に考えているのは、ズバリ次の3つです。
1.担保はあるのか
2.返済は確実か
3.金利収益以外にメリットがあるか
この3つです。

教科書と重なるのは2.の部分だけです。
今回はこの内、1.担保はあるのか。
この点を見ていきます。

皆さんは担保と言うと何を考えますか?

銀行の担当者は担保と言うと、
まず現金を積んでもらうことを考えます。

これを預担(よたん:預金担保の意味です)とよんで、
最も強力な担保と判断します。
お金を借りるのにお金を預けるなんて、
と思われるかも知れませんが、
現場ではそう珍しい話ではありません。

預金の名義は借入者の本人名義でなくても良いので、
第三者の預金を担保にする。
これならお分かり頂けるでしょうか。

次に強力なのが「不動産」です。これも第三者名義OKです。

不動産の担保手続きは、手数と費用が掛かるのですが、
不動産を担保にするというのは、
借り手の本気度を測るメルクマールとなります。

次に公社債や上場株式などの「有価証券」があります。

預金や不動産と違って、担保提供側から見れば、
費用と手間の面で取り組みやすいものです。

しかし銀行としては公社債であれ上場株式であれ、
日々価格が変動しているのがネックです。
その関係で担保評価には掛け目を使います。
例えば額面の70%を評価額とする。といった具合です。

このやり方ですと、担保として提供したほうは、
額面より少ない価値しか担保として認めてもらえない。
という不満が出る傾向があります。

さて最後は「保証人」です。

じつは法人であれ、個人であれ、保証人手続は
面倒かつ厄介な点が多いので、銀行の本音は回避です。

保証人の話しを銀行が言い出したら、
借入は少し難しくなっている可能性があります。

以上担保と言う面でお話ししましたが、
担保にはデリケートな部分があるので、
皆さんの方から話を向けてもらうと、手続きが早くなります。

以上ご参考になれば幸いです。

次回は2番目の返済は確実かについて、お話ししたいと思います。

2016/06/18 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

実は減らせる銀行書類に押すハンコの数

銀行手続きと言えば、すぐにハンコが思い浮かびますが、
このハンコが押される書類の数々。

何でまたこんなにたくさんの書類がいるのだろう。
と言う点について今回は見ていきます。

銀行でハンコを押す書類は、大きく二つに分かれます。

一つは「約定書」です。
これはおもにお金を借りるときや、輸出書類の買取、
輸入信用状の開設、銀行保証の依頼などなど、
いわゆる「与信」に関する取引を行うときに、必要になります。
取引に先立って銀行に提出するものです。
一般的には契約書がイメージしやすいと思います。

書式は「全国銀行協会」という銀行の団体が、
「ひな型」を用意していますので、
各銀行ではそれに基づき自分仕様にしています。
その結果、形式や内容は
その銀行でもほぼ同じものになります。

けれども複数の銀行と取引している場合は、
取引銀行の数だけ必要になります。

但し預金だけの取引や、
送金のように与信の発生しない取引では、
提出の必要はありません。

二つ目は「依頼書」です。
これは銀行取引すべてに必要です。
約定書と違って、便利な「ひな型」はありませんので、
銀行によって要求されるものはバラバラです。
しかも取引の都度必要なので、負担感は相当のものです。

「約定書」は通常一回出せば良いので、こうはなりません。

どーも書類の多さにうんざりする原因は、
結局この「依頼書」ということになります。

ではこの「依頼書」、少しでも楽は出来ないだろうか。
こう考えたとき、幾つかヒントがあります。

以下はそれを挙げてみます。
まず第一点は、依頼書のWEB化です。
銀行では様々なWEBサービスを用意しています。
これを上手く利用すれば、手数料の支払いは発生しますが、
確実にハンコを押す回数は、減るので省力化になります。

加えてペーパーレスとなるので、控えの保管が不要ですし、
同じ依頼であればデータをアップ・デートするだけでよく、
依頼書を何回も出し続ける必要もなくなります。

第二点は、依頼書を自社仕様に変えてしまうことです。
複数の銀行と取引していると、よく分かるのですが、
銀行が違うと依頼書の様式は、ガラッと変わります。
特に外為のように、対象顧客が少ない取引に、
その傾向は顕著です。

銀行に依頼するたびに、これはA行、これはB行と、
使い分けるのは大変です。
ですからこれを自分仕様にしてしまうのです。

と言っても自分で考えるのではなく、
どこか使い勝手の良さそうな銀行の用紙を、
「これを今後使います。」と他の銀行に事前に持ち込むのです。
(なお用紙に事前に入っている銀行の名前は消すのを忘れずに)

私の経験からすると、この手の話でも本部は、
例外なく特認として認めてくれました。
こうすればWEB化ほどではありませんが、メリットは出てきます。

如何でしょうか?
一番目と二番目を比べれば、費用の問題はありますが、
一番目の方が実現のハードルは低そうですし、
何よりメリットが大きいと思います。

今後、ペーパーレスは進展していくと思いますので、
その波に乗って効率化を進めて頂ければと思います。

2016/06/06 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

外貨でお金を借りるインパクトローン活用法

銀行からお金を借りるとき、
だれも何の通貨で借りようか。とは考えたりしません。
日本円に決めているからです。

ただ日本円以外が良い場合もあります。
今回はそんなときの、外貨でお金を借りるお話です。

銀行では外貨での貸し出しを「インパクトローン」と呼びます。
(和製英語です。外人さんには通じません。恐らく。ご注意を。)

本当は通貨の種類制限はないのですが、
現実には米ドルやユーロ、英ポンドが大半です。
借入手続きは、日本円の借り入れと全く一緒で、
銀行の審査が下りればそれでOKです。

ただ銀行には、なぜ外貨なのか。の説明は必要かもしれません。

インパクトローンには期間や金額、返済方法の制限はありません。
銀行に必要書類を提出して、借入実行日に外貨を受け取るだけです。

さてこのインパクトローン。資金使途にも制限はありません。
そのため過去には外貨金利が円金利より低いときをねらって、
円資金調達の代替品扱いをしたこともありました。

現在は円金利マイナス状態ですから、このパターンはありません。

代わって為替リスクヘッジ策として、使われることがあります。
輸出業者さんのように外貨債権がある人にとって、
為替リスクとは、相場が円高に行ってしまうことです。
(円高になると、円転したときに受取額が減ってしまいます。)

これへのヘッジといえば、円転の為替予約がまず頭に浮かびます。
為替予約も銀行の与信の一種なので、
銀行の対応はインパクトローンと大差はありません。

が、利用する側からみれば、
約定レートに含まれる為替手数料が馬鹿になりません。

あまり大きな声では言えませんが、
直物と違って先物はベースレートがわかり難いので、
此処の部分で私もだいぶ稼がせてもらいました。

その点、インパクトローンにすれば、
返済ないしは内入れするときに、円で用意するか外貨で用意するかは、
皆さんの自由なので、銀行はもうける場面が限られてきます。

例えば円預金を使い外貨で返済するのであれば、
直物相場が適用されるので、先物に比べて分かり易いです。
さらに回収した外貨建て輸出代金で返済、内入れするのなら、
その部分での為替リスクはゼロになります。
(これを為替マリーと呼びます)

為替マリーは海外の取引相手との交渉は不要であり、
返済、内入れの金額割合は、自分で自由に決められます。
(銀行は面倒でしょうが)

このようにインパクトローンは、お役にたつことがあります。
特に外貨債権が常時発生する事業者にとっては、
インパクトローンを一定程度持っておくのは、
有効な為替リスクヘッジになると思います。

銀行の担当者に単純にインパクトローンの話を聞いても、
うやむやにされるかもしれません。

でも為替リスクヘッジのためと、目的を明確にして、
それへの銀行提案を用意させるというのも、
一つの付き合い方だと思います。

2016/05/30 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

売買益・手数料の優遇を銀行と交渉し支払いを減らす

少しでも銀行への支払いを減らしたい。どうすればよいか?

銀行への支払いを減らすためには、
銀行の収益の源泉を知るのが一番です。

外からはどこが収益源なのか、よく分からないと思います。
そこで今回は、銀行の収益源のお話しをしていきます。

なお国際部門の収益は、皆さんと余り関係ないので、
ここでは国内部門に話を絞ります。

銀行の収益は、
皆さんからの利息・手数料収入から成り立ちます。

払っている皆さんから見て、
これらの銀行費用を少しでも減らしたいのなら、
銀行の利幅が大きい部分を知って、
そこから取り戻すことが有効な方法となりますす。

特に外為は対象顧客が少ないこともあって、
銀行の収益構造が余り知られていません。

では早速、その中身について見ていきましょう。

外為は「通貨の交換」と前にお話ししたことがありますが、
銀行の外為収益で最も大きい部分を占めるのは、
この「通貨交換」時に発生する、いわゆる「為替手数料」です。

銀行ではこれを「売買益」と呼んでいます。
どれくらいこの「売買益」が収益に貢献するかというと、

通常米ドルと日本円の交換では、
円→米ドル、米ドル→円、いずれであれ一回ごとに、
1米ドルについて1円を銀行はもらっています。

これは1米ドル=100円とすると、ちょうど1%になります。
「通貨交換」の度に、1%のマージンが発生するのです。
かなりいい商売と思いませんか。

銀行も実はここでの利幅が大きいのは分かっていて、
交渉次第ではサービスしてくれることもあります。

というか、中堅以上の企業では
当たり前のようにサービスしています。
これを銀行では「相場優遇」とか、単に「優遇」と呼んでいます。

この「売買益」は米ドルだけでなく他の通貨にもあるので、
「優遇」を交渉する場合は、「米ドル相当50%」といった形で、
他の通貨のことも、忘れずに話をする必要があります。

次にそのほかの手数料を見ていきます。

皆さんの中には、
海外取引は円建てだったり、
外貨が入金も出金もそこそこあって、
「通貨交換」があまり発生しない。
ということがあります。

これはこれで大変良い事なのです。
が、銀行から見ると余りもうかりません。

そこで銀行ではこのタイプの取引には、
手数料を取引発生の都度、頂戴しています。

ただ料率は先ほどの「売買益」に比べるとはるかに少なく、
例えば「Handling Commission」とか「Lifting Charge」と呼ばれる、
取扱手数料は取扱金額の0.1%とか0.05%が基本です。

これは文字通り、「売買益」に比べ桁違いに少ないと言えます。
ただこの手数料も「優遇」は可能です。
交渉する価値はあると思います。一度お試しを。

収益源の最後は利息なのですが、
世界的な低金利のおかげで、
外為でも金利水準はかなり低くなっています。

その結果、銀行に支払う利息も低くなっており、
交渉の余地は意外に少ないと思います。
銀行の言うなりでOKとまでは言いませんが、
「売買益」、「取扱手数料」に比べてメリット感がありません。

ここで交渉するより取り戻すなら、
やはり前の二つがターゲットです。

要は交渉の正解の話ですから、
是非一度、銀行の担当者に、話すことをお勧めします。

2016/05/18 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

銀行取引に印鑑が不要になる?

「銀行取引に印鑑は不要?」

日経新聞に興味を引く記事が出ていました。
「口座開設 サインでOK」と言うものです。

言葉通りなら、印鑑は不要になるはずです。
さて記事の内容は、どうなっているのでしょうか。

記事には三井住友銀行が今年から一年かけて、
全店で個人の顧客を対象に「電子サイン」による、
取引を始めるとあります。

これは興味深い話です。

私は幸いにして印鑑を無くしたことはないのですが、
使っている印鑑の縁(ふち)が欠けたり磨滅したりで、
届け出印を変えたことがあります。

印鑑を変えるたびに、手続きの煩雑さにうんざりしました。
今後「電子サイン」取引がスタートすれば、
そんな思いもしなくて済むのです。

更に、記事には
「文字を書く際のクセや筆圧を読み込むことで、
他人による成りすましなどの不正ができないほど
本人確認の照合精度を高めた。」
とあります。

印鑑というものは誰が押しても、
印影(紙などに押された印鑑のあと)は一緒になります。

つまり印鑑を押すことだけでは、本人の証明にはならないし、
成りすましも防げないのです。
これが「電子サイン」なら防げる。これは期待できます。

ただ考えているうちに、二点心配な点が出てきました。

先ず一点目は、「字崩れ」に対する対応です。
「字崩れ」とは文字通り、書いた字が崩れていくことで、
何回も書いたり、時間がたつと出てくる現象です。

日本人は自署を求められる場面が少ないので、
自署と言うと「楷書」に近いものとなりがちです。
ところが何回も書いたり、久しぶりに書くと
当初の字体から離れて、ちょっと目には別物になる可能性もあります。

この状態で「電子サイン」と照合しても不一致は生じないのだろうか。
気になる所です。対策を是非聞いてみたいです。

二点目は「電子サイン」に登録する字体をどこまで認めるかです。
「楷書」はもちろんOKでしょうが、「行書」や「草書」あるいは、
自己流の崩し字も認めるのか。

記事の書きぶりからすると、システムが判別できるのであれば、
かなり広範囲にOKを出してくれそうな気がします。

となると人にまねされないように、
人目では判別できない字体の登録が増えないのでしょうか。
ちょっと気になります。

以上、ちょっと横道にそれましたが、
そもそも法律上求められるのは、署名もしくは記名捺印なので、
署名のみで銀行取引が出来るようになるのは、
大いに評価すべきと思います。

2016/05/11 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

通貨オプションを使って為替リスクに対応する

為替リスクを何とか避けたい。方法はないだろうか。

海外と取引をしていていると、為替相場の動きで採算がブレて、
困ることが多々あります。
ブレを上回る利益が確保できれば別ですが、
通常はそこまで利幅は取れません。
本当に頭が痛い事です。

何とか為替リスクに対応できないか。
今回はこの対策を考えてみます。

一般に貿易決済では、自分と相手の使用通貨が異なるので、
資金決済時の「通貨交換」は避けることができません。
このとき発生する相場のブレが、「為替リスク」と認識されます。

為替リスクへのヘッジ策とは、このブレを如何に回避するか、
という対応策に他なりません。

【究極のヘッジ策とは】
実は「為替リスク」そのものは消せませんが、
自分が全く負担しないことは可能です。

端的に言えば、すべて円建てにしてしまうのです。
もし外貨建で取引しているのであれば、
国内取引も同じ外貨建てにしてしまいます。
なんともものすごい話です。

圧倒的に自分が強くないと出来ませんが、
現実には過去何回か、このような事例に遭遇しました。
こうすると完全に為替リスクから解放されます。
リスクは100%相手持ちなので、「究極のヘッジ策」といえます。

この方法、場合によっては可能かもしれないので、
検討の余地はありそうです。

しかし、現実はそう上手くいきません。
では、どうしましょうか。もう少し掘り下げてみます。

【先物為替予約では】
教科書的には「先物為替予約」が、
対策の一番目に来るのですが、
意外に使い勝手がよくありません。

なぜかと言うと、為替予約は一旦締結すると、
原則としてキャンセルや、利用期日の変更ができないのです。
しかも為替予約は銀行にとって「与信」となるので、
為替予約を頼んだからと言って、二つ返事では引き受けてくれません。
場合によっては、担保や保証人を要求されます。

その上せっかく予約をとっても、
使うときになは当日の相場ほうが有利、
ということがしばしば起こります。

これではリスクはヘッジできても、メリットは受けらません。

【通貨オプションという手が】
では決めた為替相場の利用権は確保しつつ、
いざとなったら、その権利は放棄して有利な実勢相場を使う。
こんなことができればいいと思いませんか。

実は出来るのです。
それが「通貨オプション」の購入と呼ばれるものです。
「通貨オプションとは」簡単に言うと、
使っても使わなくても良い「為替予約」ということです。
使う・使わないは自分で決めます。

予約相場が当日の相場より良ければ予約を使い、
当日の相場が良ければ予約の権利を放棄して、
当日の相場を使います。

「通貨オプション」は通常銀行から買うのですが、
「為替予約」と異なり「通貨オプション」の購入は、
オプションプレミアムと呼ばれる手数料を、
銀行に支払います。

ただ支払うだけですので銀行与信とはなりません。
つまり担保や保証人は必要ありません。

注意点として「通貨オプション」を売る場合は、
与信の対象となります。念のため。

「通貨オプション」はプレミアムの金額にもよりますが、
利用者にメリットがある商品なので、
もっと利用されても良い気がします。

ただ銀行にうまみが少ないせいでしょうか、
積極的な販売を見たことがありません。
この手の商品は、銀行からの売込みを待っていても、
なかなか「らちが開かない」ものなので、
興味のある方は一度、銀行に照会をする事をお奨めします。

その他の方法もあるのですが、紙幅の関係もあり、
別の機会に譲りたいと思います。

2016/05/02 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

為替相場の市場原理はだれが?

景気動向や株式市場の行方、国や企業の運営など、
いろいろな点で為替相場は大きな影響を持っています。

今回は為替相場の動向は、だれの影響が大きく
市場原理を働かせているのか。
この点を検討してみたいと思います。
なお長期的な観点は、ここでは触れない事にします。

「為替」と「金利」は同様に語られることが多いのですが、
金利の決定には、自由な部分と規制された部分があります。

ところが先進国の為替は、これと言って決めは見当たりません。
あくまでも市場原理で自由に決めることが出来ます。

ただなんでもかんでも自由かというと、そうでもありません。
これはどういうことなのでしょうか。

実は為替相場は人気投票にたとえられます。

人気を集めそうな通貨があると、
そこに多くの市場参加者の関心が集まり、
結果として、実際の売買もその通貨に集中してきます。

いわばみんなの思いが、実際の相場を決めていく
市場原理が働いているのです。

さらに最近では次の二つの大きな特徴が見られます。
(先進国の間の話と思ってください)

その一つ目は、情報拡散スピードの大幅なアップです。
かつては情報が拡散するまでの間に、
その情報を基に大儲けした。と言う話も聞きましたが、
今では世界各地の情報が、瞬時にして拡散していきます。
情報を持っていても、すぐに優位性はなくなってきます。

二つ目はお金の流動化です。
昔は国をまたいで資金を移動させるのは、
規制があり大変でしたが、
いまでは市場参加者が持っている資金は、
あっという間に世界中を移動していきます。

この二つから言えることは、世界中の市場参加者は、
同じ土俵で勝負している。ということです。

ではこれら市場参加者の思いは何でしょうか。
これは昔から変わっていません。
安全・確実に儲けたい。(あるいは損はしたくない。)
これにつきます。

そこで市場参加者は売買をするときに、
その時点の状況が、
自分にとってリスクをとれるか(=リスクオン)、
それともリスクが取れないか(=リスクオフ)を、
判断して取引を行います。

リスクオンの時は、
高金利通貨や資源国通貨、新興国通貨に、
人気が集まり、取引も多くなる傾向があります。

逆にリスクオフの時は、
他の条件は一切無視されて、
目減りしにくい通貨に逃げ込む傾向があります。

我が日本円は、通貨規制が緩やかなことや、
政治体制が安定している。と評価されることが多いため、
リスクオフの時によく避難の対象とされます。

以上から「為替相場を決めているのは誰か」の問いには、
答えは、「世界中の市場参加者だ」となりそうです。

それでは答えになっていない。
とお叱りを受けそうですが、世界は狭くなってきています。

「全員の思いが相場を決めている」で、
大きな間違いはないと思います。

皆さんも為替取引をするときは、
自分の取引が為替相場を決め、市場原理を作っている。
これぐらいの気概で、取り組んでみてください。

2016/04/17 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

税務署から「国外送金等に関するお尋ね」が来た!

税務署から何か来るとドキッとしませんか?

「不動産に関するお尋ね」はご経験おありでしょうか?
今回はその外為版とでもいう、
「国外送金等に関するお尋ね」についてです。

この「国外送金等に関するお尋ね」とは
海外と資金のやり取りをした、
主に個人に対して税務署が送ってきます。

「お尋ね」文中には、その資金について報告を求めています。
なんで?唐突に?と思われるかもしれませんが、
この段階で税務署は、
あなたの資金の動きに関心を持っています。

この「お尋ね」むやみやたらに出されません。
一定の根拠に基づき税務署は作成しています。

そして、これはと思う人に送るのです。
なので、単なる照会状と考えると、大変なことになります。

ここで税務署が根拠とするものが、
今回お話しする「国外送金等調書」(以下「調書」)のことなのです。
この報告、金融機関にとっては直接商売に関係しないのですが、
法律で決められた事で報告もれは許されません。

ではこの制度について説明します。
まず制度名ですが、「国外送金等調書制度」と言います。

ちゃんとした法律も設けられています。
金融機関はこの法律に従って、「調書」を作成し税務署に提出します。

ではこの「国外送金等調書」(以下「調書」)とは何者でしょうか。
具体的には以下の特徴を持っています。
1.対象取引
海外との資金のやり取りすべてです。
船積書類が、金融機関を通過する輸出入取引は対象外です。

2.対象者
個人も法人もすべてです。但し公共法人等は除きます。

3.金額
一件百万円超からすべて対象です。
米ドルやユーロのような外貨取引は、
一定の換算率で円に引き直して判定します。

4.報告義務者
海外取引を行った金融機関です。
つまり皆さんが報告義務者ではないので、
「お尋ね」が来ても、ピン!と来ないわけです。

5.制度の目的
ハッキリ言うと、税金逃れを防ぐためです。
国内取引であれば、相手方への税務調査も可能ですが、
海外では簡単に調査にも行けないので、
このような報告義務を金融機関に課して、
実効を上げようとしているのです。

そこで結論です。
税務署からの「お尋ね」はこのように、
金融機関からの報告を基にしています。
任意調査の形式とはいえ、放置は好ましくありません。
必ず回答するように致しましょう。

ただし税務署は、この段階では確定判断まではしていません。
つまり脱税容疑の調査ではないのです。

ただし早めにきちんと正確に、報告することが肝心です。
それが一番の対応方法です。

実はこの制度を知っている人の中に、
税務署への報告を嫌って、金額を百万円以下にする人がいます。
百万円を超える場合は、
複数回に分けたり、別々の金融機関を使ったりするわけです。

このやり方。たしかに金融機関から「調書」はでませんが、
金融機関は当局から「疑わしい取引」という報告を求められており、
変だなと感じた場合は、当局へ報告するシステムになっています。

税務署がその報告を基に調査に入る可能性は充分あります。
調査で発見された場合は、
この行為は徴税回避そのものと判断される可能性が高く、
とてもお勧めできる話ではありません。

税務署から「お尋ね」が来た場合は、
正確、迅速に対応するのが一番です。

そして対応に困るときは、
直接、関係資料等を持って照会してきた税務署に問い合わせるのが、
結局は一番の近道となります。

「国外送金等に関するお尋ね」に対して、
変に委縮する必要はありませんが、
その重要性については是非理解するようにして下さい。

2016/04/03 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

輸出者にとって信用状(L/C)取引は有利なの?

輸出代金の回収条件の話です。

一部前金(現金or被仕向送金)、残金は船積後○○日以内の
T.T.送金というのはよくあるパターンです。

ところが新規の取引先と、いきなり後払い条件では、
不安を抱えて船積することになります。
と言って前金部分をむやみに増やすと、
相手がいい顔をしてくれません。
悩ましい状況です。

こんな時よく用いられるのが信用状です。
今回は信用状取引が、輸出者にとって有利なのか?
と言う点を見ていきます。

外為の世界では「信用状統一規則」と呼ばれる、
世界的に認められたルールがあります。

このルールは貨物の船積から代金決済まで、
当事者が安心して取引できるように定められたものです。

輸出入者・銀行等のすべての関係者は、これに従うのが一般的です。
(以下信用状統一規則をUCP600と呼びます)

このUCP600は全部で39条ですが、内容はなかなか難解です。
コンメンタール(法文の解説書)が出版されるぐらいです。
ただしUCP600のどこにも「輸出者が有利!」とは、
書いてありません。(当たり前かも・・・・)

けれどもよく見ると、いくつかヒントがあります。

ヒントその1 (第15条にあります)

信用状取引では代金決済をしてもらうために、
船積書類を銀行に提出する必要があります。
この書類と信用状条件との一致が、代金決済の条件です。

つまり書類が完璧であれば、提出時点で代金回収は確約されます。
輸出者にとって有利な条項と言えるでしょう。

この点に着目して昔のテキストには「石ころ」を積んでも、
船積書類が完璧なら、輸入サイドは決済しなければならない。
と書いてあるものまでありました。
(これ本当ですが、売買契約上は不完全履行です。)

ヒントその2 (第16条です)

船積書類を信用状の発行銀行が受け取ってから、
一定期間何もしなければ(具体的には輸出者の銀行に対して、
提出された書類と信用状条件の不一致を、
指摘する連絡をしない事です)、
たとえ書類が完璧でなくても、決済しなければならなくなる。
という決まりがあります。

一定期間とは発行銀行が書類を受け取った翌営業日を起算日として、
5営業日後までの期間です。
(だいたい暦日ベースで一週間から十日後のイメージです)

これは決済の遅延を防ぐために設けられたものです。
これも輸出者にとって有利な話です。

ヒントその3 (第35条です)

輸出者サイドの銀行が船積書類を買い取って後、
信用状発行銀行に向けて船積書類を発送するのですが、
信用状発行銀行に到着するまでの間に、
輸入者サイドの責任に依らずに紛失してしまった場合でも、
輸入者サイドは支払いをしなければなりません。

天災のような不可抗力であってもそうです。
これも輸出者の権利を保護することになります。

以上みてきましたように、
複数の条項で輸出者が、有利に取り扱われています。
貿易取引では、
とにかく輸出者が貨物を出荷してくれなければ、
何も始まりません。

UCP600は、輸出者が安心して出荷できるように、
円滑な取引構築を常に念頭に置いています。

もし身近で信用状取引の話が出たら、
食わず嫌いにならずに、
前向きに検討されることをお勧めします。

2016/3/28 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

銀行員のお札と硬貨の数え方

貿易実務とはちょっと離れますが、
今回は皆さんにとっても、銀行にとっても絶対必要なお金!

そこでお札と硬貨の数え方についてお話しします。

銀行員はお金のプロ!と言われることが多いのですが、
お金の数え方を見て、そう思われる方も多いと思います。

ただ実際に数える場所は様々で、
銀行の中とは限りません。外の場合も多々あります。
こんな時まず枚数計算する機械などないので、
頼るは自分の神の手(?)のみとなります。
(多少怪しげな手つきの人もいますが・・・・)

ここではこの手順を少しご紹介し、
皆さんのお役に立ちたいと思います。

それではまずお札(紙幣とも言います)から。
なお、ここではお札や硬貨は、日本銀行券・貨幣を指すこととします。
いわゆるお金そのものです。

お札は大きく二通りの読み方があります。
ちなみに銀行員は数えることを「読む」と言います

一つ目は「縦読み(たてよみ)」です。
これは文字通りお札を縦方向にして、一枚ずつ数えるやり方。
このやり方は正確、確実であり、万一金額の異なる紙幣が
入っていても、的確にハネルことが出来ます。

欠点としてはもう一つの方法に比べてスピードが落ちる事、
新券と正券(新券以外の通常流通している紙幣)が混在すると、
読み間違い(数え違い)をする可能性があることです。

二つ目は「横読み(よこよみ)」です。
お札がちょうど扇子や扇を開いた形になるため、
テレビなどでいかにも銀行らしい風景として、
紹介されることがあります。

この方法はコツがあるため、銀行以外ではめったに見かけません。
銀行員はこの扇形に広げたお札を、4~5枚ごと数えます。

この方法は縦読みに比べて、スピードがかなり速く、
新券と正券が混じっていても、上手く数えることが出来ます。

ただ欠点もあります。
横読みでは違う金種が混じっていても、
そのまま数えてしまう可能性があります。
例えば1万円の中に5千円が混じる場合です。

このようにやり方には一長一短があるため、
銀行員は通常は縦読みを一回行い、
検算をかねて横読みをする。というのがほぼ決めになっています。

次は硬貨です。
硬貨の場合、特殊技はありません。

先ず金額別に分けて、
その中からひとつかみし、手の中で形を整えます。

数え方は3枚ずつ6回数え、最後に2枚を加えます。
このかたまりを、机の上のような平らな場所に置きます。
これが20枚ですので、5回繰り返せば100枚となります。

日本の硬貨は磨滅が少ないため、
この20枚ごとの山は、きれいに同じ高さとなります。
万一の数え間違いはこれで防げます。

以上、数え方についてお話ししました。

これに注意点を少々。
お札を10枚ごとに束ねて、その10枚目を半分に折って、
紙幣挟み代わりにする人があります。

また枚数が多くなると、輪ゴムで止める人もあります。
お札を紙幣挟みにすると、1枚抜けても分かりません。
また輪ゴムはお札を破るだけでなく、
時間がたつと溶けてお札にくっついてしまいます。

10枚程度ならマネークリップの方がいいと思いますし、
それ以上であれば銀行員がやるように、
紙テープをお札にグルッと掛け回して、
テープの端を糊付けすれば上手くとまります。
試してみて下さい。

また硬貨は保管するのであれば、
封筒やビニール袋にそのまま入れて下さい。
セロハンテープなどでまとめる人を見かけますが、
糊がつくと自動販売機などでは、
はねてしまい使えないことが多いので、
お勧め出来ません。

最後に外国のお金です。
日本の紙幣は和紙で出来ており、
腰が強いので縦読みや横読みが可能ですが、
外国の紙幣はそれが上手くいきません。

銀行では外国のお札は、机に置いて1枚ずつめくりながら数えます。
また外国の硬貨はまず銀行では両替してくれません。

以上、付け足しですがご参考まで。

2016/3/15 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

マイナス金利、外貨預金は「お得」?

外貨預金は「お得」?

世界中の話題となった日銀のマイナス金利導入。
いろんな場面で影響が出てきていますが、
今回は貿易から少し離れて、
運用面で注目を集める、外貨預金について注目してみました。

新聞やネット上でお得な運用商品として、
金利が8%とか10%の外貨預金が紹介されています。
本当にこれは「お得」なのでしょうか?

あまり正面切って論じた文章が無いので、
ほとんどの人が断片的な知識や感覚的なもので、
決めておられると思います。

そこで今回は出来るだけ多面的に項目を挙げて、
皆さんの判断材料を提供していきたいと思います。

先ず結論です。

外貨預金をするのであれば、今からお話することを理解し、
リスクを受け入れて下さい。
そうすれば「得をする場合もある」。これが結論です。

余り威勢の良い話ではありませんが、やはりうまい話はそうはない。
という見本のようなことだと言えば、分かってもらえますでしょうか。
ではなぜそうなのか。

本題に入ります。

1.外貨預金特有の事情
(1) 為替リスクがある。
  日本円を外貨で運用すると、通貨交換の際に必ず発生します。

(2)為替手数料が必要
  銀行は通貨交換を無料ではしてくれないので、
  これまた発生するのは必至と考えて下さい。
  通常日本円と米ドルでは1円/USDですので、
  1ドル=100円で計算すると、
  円からドルで1円、ドルから円で1円かかるので、
  これだけで元本の2%が消えることになります。

(3)預金保険制度の対象外
  日本の銀行に円資金を預入すると、
  元本10百万円とそれに対応する利息が保険の対象となり、
  預けた銀行が万一破たんしても預金は保護されますが、
  外貨預金はその対象外です。

(4)為替予約を付けると元本割れを起こす可能性がある。
  為替リスクを避けるために、
  預入と同時に、為替予約をする場合があります。
  これにより為替リスクはなくなります。

  が、円に戻すときのレートは預入時のレートより悪くなるため、
  満期日に利息込みで円に戻しても、
  預入金額にもならない可能性が大です。
  このため銀行では、預入と同時の満期日予約はまず勧めません。

(5)利息に対する税金が、馬鹿にならない。
  税金は利息にかかりますので、円預金に比べてたくさんの
  利息が出る、外貨預金にはその分多くの税金が発生します。
  円から外貨に交換して外貨預金に預入した場合、
  多くは円ベースで運用実績を判断しますので、
  利息円貨額が減少する外貨預金はその点不利と言えます。

2.銀行の預金一般についての留意点。
  次に外貨預金に限りませんが、銀行の預金一般について、
  留意点を挙げていきます。

(1)金利は年利表示ではないか。
  12%とうたっていても1カ月だけなら1%となります。

(2)満期日以降の対応はどうか。
  多くは満期日時点の店頭金利で自動継続されます。
  つまり目玉の金利は最初だけです。

(3)預入、解約手続きは銀行窓口限定ではないか。
  預入や解約の度に銀行の窓口に行くのは、かなりの手間です。

(4)仕組み預金ではないか。
  オプションやスワップの顧客売りを組み込んで、
  発生するオプションプレミアムを、利息に加える預金があります。

  オプションプレミアムとは簡単に言うと、
  オプションやスワップを使う権利の価値を金額にしたものです。

  プレミアム部分が金利に加算されるため、
  結果として高金利となります。
  これはリスクを内包するため、
  販売には特に慎重さを求められますが、
  銀行からセールスされる場合もあります。

如何でしょうか。 種々申し上げてきましたが、
これらの留意点を納得したうえで預けるのであれば、
資産の分散やインフレヘッジと言った効果も望めると思います。

2016/3/2 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

TT送金の通知がきたが入金されてない。どうして?

海外の商売相手から、
「代金をT.T.送金した。」と言ってきた。
早速、銀行に照会したら、
「(送金)通知は来たが、入金はされてない。」といわれた。

てっきり入金とは自分の口座だと思ったので、
「自分は構わない。すぐ入金してほしい。」と頼んだら、
断られてしまった。なぜ???

これは実際にある話です。私も何度も経験しました。
もっとも私は銀行の側でしたが...。

なんでこんな変なことになるかと言えば、
相手銀行の送金方法に問題(というか理由)があるのです。

海外からの送金では送金指図だけが来て、
実際の資金が同時に来ないことがままあります。

送金指図はPayment Order(ペイメント オーダー)と呼ぶ、
具体的な送金内容がのっている電文です。

実はこれだけでは、銀行はお客さんへの入金ができません。
実際に資金が到着して、初めて入金処理をします。
無い袖は振れないというわけです。

では先方がなぜ送金通知と資金を、分けるようなことをしたかです。
主な理由は次の二つです。

一つ目は時間節約のためです。
送金通知と資金を一緒にすると、時間がかかる場合があります。
例えばオセアニアからのUSD(米ドル)建て送金を考えます。
この場合相手銀行と日本の銀行間の資金決済は、
主にニューヨークで行います。

資金受渡しはニューヨーク時間の昼間が普通なので、
日本やオセアニアから見ると、
受渡は発信した当日の、夜間にされることになります。
このため受渡結果が分かるのは、時差の関係で翌営業日です。

結局、電信送金を取り組んでも、一日余計に掛かることになります。
これでは電信送金の意味が無い。と考えた場合、
内容だけでも早く到着させようとすると、
送金通知と資金は別々にせざるを得ないというわけです。

二つ目の理由は、相手銀行の資金手配の都合です。
今度は海外から円建て送金が到着した場合を考えます。

海外の銀行は米ドルやユーロほど日本円は保有していないので、
円資金の支払には米ドルなどを売却して、
その資金で購入した日本円を、
日本のコルレス銀行に付け替える必要があります。

この間どうしても時間が余計に掛かるので、
送金通知は到着したが、入金してもらえない。
こんな状態になってしまうのです。

何れの理由も、もっともな部分はあるのですが、
受取人にしてみれば、自分の与り知らない理由で、
不利益を被ることになるわけです。

現在ではこういった不利益解消のために、
送金通知と資金は同じ電文にのせるという、
送金方法がつよく銀行に求められています。
シリアル・ペイメントといいます。

そして時差の影響を極小化するため、
ニューヨークの銀行間市場では機械化を進めて、
24時間資金処理が出来るようになってきています。
今後は今回のようなことは、
まれな出来事になっていくと思います。

2016/2/22 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

法人が銀行で本人確認と取引確認が必要なわけは?

『銀行に行くと事あるごとに、確認・確認と言われ書類が必要になる。
なんでこんなに面倒くさいのか。簡単にすむ方法はないの?』
(銀行窓口に訪れた経理担当者)

銀行の窓口では、よく確認書類を求められます。
たいていの人は手続きを、早くしてもらいたいので、
言われた通りにしています。

ただ書類を求める背景や必要なものが分かっていれば、
余計な時間を使わずに済みます。
今回はその辺のところを、お話ししてみたいと思います。

冒頭で確認・確認と述べましたが、実はこの言葉、
本人確認と取引時確認の二つに分かれます。

つまり銀行は取引者(皆さんのことです)を確認するとともに、
取引内容(海外送金なら海外送金)の確認をするわけです。

銀行の窓口担当者は、ニッコリ微笑んで取引依頼をうけつつ、
頭の中を猛烈に回転させて、この二つの確認を行っているのです。
その道のプロのなせる業とはいえ、敬服に値すると思います。

とはいえ感心ばかりでは仕方がないので、
ここから説明を加えていきます。

まず本人確認ですが、これは次の式が成立します。
本人確認=存在証明+同一証明 (ん!?よくわからん….)

ここでいう存在証明とは、
この世にその人が存在している証明のことです。
また同一証明とは取引を依頼している人と、
窓口来店者が同じ人である証明のことです。

本人確認とはこの二つの証明を合わせたものです。

これらを満たすものとしては、
具体的には官公庁(お役所ともいいます)が、
発行した顔写真付きの証明書があげられます。
代表的なものは運転免許証や住民基本カードです。
(住民基本カードは2018年から個人番号カードに変わりました)

これらには本人の顔写真、氏名、住所、生年月日が表示されています。
つまりこれがあれば、上の算式の右側を満たすことになります。
本人確認はこれでOKというわけです。

銀行へ行くときは念のため、顔写真付きの資料携帯をお勧めします。

なお、人によってはこれらの確認書類は持ってない!
という人もおられると思います。

銀行では、ほかの書類(例えば健康保険証)でも可としています。
ただ同一証明の部分が弱いため(顔写真がないので)、
追加の資料を求められる場合があります。

もしこの手の資料を持参するのであれば、
あらかじめ銀行に照会することをお勧めします。

lここまでは個人の話でしたが、
次に取引依頼者が法人の場合はどうでしょうか?
こちらの方が皆さんには切実かもしれません。

法人は擬制的な存在
(この言葉の意味するところは、
法人は生き物ではありません。
そこで法律行為が出来るようにするため、
人間のような扱いをする。ということです。
擬制的というのはそのことを指します。)

なので、個人(自然人ともいいます)と違って、
本人確認は法人そのもの存在の証明と、
窓口に出向く担当者の個人としての本人確認
(存在証明と同一証明を満たす)が必要となります。

さらにはなはだ面倒なことではありますが、
担当者の方が、本当にその法人の所属かも確認する
必要があります。(なりすましを防ぐためです)

法人の存在証明の例として挙げられるのは、
その会社の登記事項証明書などが代表例です。
また担当者の本人確認資料は、
個人のところで述べた通りです。

最後に担当者の所属確認ですが、
一般には社員証や名刺(複数枚)で確認する場合が多いようです。
(これには特段の決め事はありません)

このように本人確認は大変面倒な部分があります。
ただ簡略化出来ないかと言えばそうでもありません。

窓口で現金で取引する限りは、
毎回これらの手続きが必要になるのですが、
本人確認が済んでいる口座で取引すれば、
「本人確認済口座取引」ということで、
改めて確認資料は原則として求められません。

どこか銀行を決めてそこで出来るだけ取引をすれば、
少なくとも本人確認については、通常は心配する必要はありません。

次に取引時確認です。
これは本人確認と異なり、
銀行取引全部に対して求められているわけではありません。
しかし外為取引などは、ほぼすべてがその対象となります。

この取引時確認は本人確認と異なり、
特定の確認資料が求められているわけではありません。

ポイントは大きく分けて二つです。

一つは取引の対象相手です。
国連の制裁対象国や、日本や米国の独自制裁の対象国との取引は、
銀行では受け付けてくれません。
(ここでは具体的には国名はあげませんが、
銀行に聞けば教えてくれます。)

注意を要するのは制裁対象国との取引とは、
単に取引の相手方が制裁対象国の場合がダメ、
ということだけではなく、
取引の相手方は制裁対象国の業者ではないし、
貨物も別の場所に行くのだが、
貨物のエンドユーザーが、制裁対象国所在の業者である場合とか、
使用する運送手段が、制裁対象国に関係する場合も含める。

ということです。
これは想像以上に範囲が広く、
銀行も事前に制裁対象を明らかにすることは困難なので、
取引ごとに確認をしていくという流れになります。

皆さんとしては、この銀行の判断を誤った方向に行かせないように、
正確に情報を銀行に伝える必要があります。

ポイントの二つ目は、商品そのものです。
武器や麻薬のように誰もが、これはNGと言うのはもちろんですが、
特に輸出の場合に軍事転用が可能なものが要注意です。

これは「安全保障貿易管理」というカテゴリーで対応します。
実際の対応としては銀行に対して、
取引時にこの取引は、「安全保障得貿易管理上問題ない」と
宣言すればよいのですが、
万一宣言した後で該当することが分かると、
大変にややこしい事となります。

このカテゴリーは「経済産業省貿易経済協力局貿易管理部」と言う
部署で管轄しています。
舌をかみそうな長さですが、
もし商品が該当するかもしれないと考えたら、
一度電話されることをお勧めします。

以上今回は、かなり難しいお話になりましたが、
要は本人確認については本人確認済口座を通じて行う。
取引時確認については正確な情報を銀行に伝える。
(エビデンスが必要な場合もアリです)
この二点が肝だと思います。

2016/2/11 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

新サービス構築で海外送金手数料が安く!

先般、日経朝刊の一面トップに「海外送金手数料1/10」と、
刺激的なタイトルの記事が掲載されました。

興味を持たれた方も多いと思いますので、
今回はこのニュースについて、コメントしたいと思います。

今回の新聞記事は、金融庁の諮問機関である
「金融審議会」で取りまとめた報告を基にしています。

内容は多岐に亘るのですが、要は日本のメガバンクが、
ペイクイックなどのベンチャーに対抗して、
安価な国際送金サービスを、構築しようとしている点です。

紙面によれば、全国銀行協会も後押ししているようです。

この時期なぜこのようなことを、始めようとしているのでしょうか?

様々な要因が絡み合っているのは間違いありませんが、
大きな要因の一つとして、急速に進む「フィンテック」への対応が、
挙げられると思います。

この点欧米諸国の銀行は、日本の銀行に先んじており、
このまま指をくわえていると、
主戦場である東アジアや東南アジアの国々の市場で、
日本の銀行が競争に敗れる事態になる、
との危機感があるからと推測します。

実際に現場で仕事をしていた経験からすると、
海外送金は本当に多種多様であり、金額も目的も通貨も様々です。
これらに優劣をつけて、処理するのはまず不可能です。

そこで多くの銀行はこれらの送金を、
「正確・迅速」に旗印に、受付順に処理しています。

早く処理すれば、少々の優劣の入り繰りには目をつぶろう。
こんな暗黙の了解が、銀行と顧客の間ではあります。
そのためこれの大量の事務処理のため、
銀行は独自にシステムを構築し、マンパワーを投入しているのです。

ここから発生するコストは相当のものがあり、
受益者負担の原則から、顧客に負担をお願いしています。
手数料が高止まりする要因です。

しかし銀行が自分の力でオンライン化やWeb化をはかっても、
限界があるのは明らかです。

今回の官民挙げての国際送金サービス開発への取り組みが、
顧客のためだけでなく、銀行そのものにも生き残りにもなる。

というのはこのような認識に基づくことだと思います。

ただ気になる点がいくつかあります。

まず一点目は
国内の送金サービスとのマッチングです。
国内の送金サービスは、為替業務と通常呼ばれます。
この為替業務と、外為業務では全く互換性がありません。
システムも違えば手続きも異なります。
本来は最も親和性の高い業務同士と言えるのですが、
今もってまったく別扱いです。
いい機会ですので、ぜひマッチングを検討してもらえばと思います。

二点目は
顧客からの受付をどうするかです。
現在の海外送金を含む外為業務の受付は、
原則として銀行の窓口に限られています。
特に一見客(その銀行と取引が無いお客)の場合は、
ほぼ銀行窓口に限定されます。

これをどこまで広げるのでしょうか。
いまのままでは、いくらサービスを整備しても、
利用する人が大挙して出てくるとは思えません。

顧客訴求力を大きくするには、
本人確認を含め法的規制をクリアーすれば、
特段の契約なしにATMやPC、スマホなどで、
利用できるようすべきです。
こうすれば手数料の低廉性と相まって、
効果大と確信します。

三点目は
このサービスの対象国であるアジア諸国の受入体制です。
海外送金は受取人の口座に入金されて、
初めてその役割を全うすることが出来ます。

いくら安価に取り組めても、受入側の体制整備が進まないと、
単に日本からの送金電文の種類が増えただけ、
といったことになりかねません。

報告にもあるのですが、相手国のシステム会社との、
すりあわせはもちろんですが、
相手国の合意取り付けも必要となります。

いろいろな推進方法が考えられますが、
新幹線の輸出のように、パッケージ化も一案と思います。

以上、いずれにしてもたとえ現在の海外送金に比べ、
若干先方への着金が遅くなるとはいえ、
手数料が1/10になるというのは、利用者にとって大変なメリットであり、
是非前倒しで進めてもらいたいものです。

2016/1/31 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

銀行取引を見直したいが何を基準に考えれば?

『あまり大きな声で言えないが、いま銀行取引を見直している。
ただ明確な基準が無くて困っている。
そもそも、銀行とはどう付き合えばいいのだろうか。』
(経理担当の役員から)

銀行との取引が無い企業なんて、聞いたことがありませんが、
では「なぜ他の銀行ではなく、その銀行と取引しているのか?」
と聞かれても、社内のだれも答えられなかった。

といった話は、意外によく耳にします。

今回は企業の生命線を握る銀行との付き合いを、
今一度見直して頂ければと思い、いくつかの切り口を考えてみました。

1.今の取引銀行は自社の業容や取引希望内容通りですか?

ここで言う取引銀行とは、銀行系金融機関全般と考えて下さい。
具体的には信用組合や農協、漁協、信用金庫等を含みます。

自社の取引希望が預金だけでしたら、
どの銀行と取引してもほとんど変わりはありません。
会社の近所だからとか、窓口が親切だからといった理由で、
選んでもいいですし、
人によっては預金金利が高い。という理由で選ぶかもしれません。
何れであっても、それはそれで構わないと思います。

しかし借り入れや外為が発生するのであれば、
取引金融機関はそれなりに考える必要があります。
知名度に魅力を感じて大手銀行と取引しても、
厳しい取引条件や、借入審査に時間が掛かるのであれば、
自社に合った銀行とは言えません。

また信用組合や農協、漁協には取引資格が必要の場合があり、
自社がそもそもその資格を持ってなければ、
取引したくても出来ない。といったことも考えられます。
またこれらの金融機関は、借入金額に上限がある場合もあります。
これらも自社に合っているとは言えないでしょう。

一方、外為が取引希望であれば、
自前で外為をやっているところと、取引する方がベターです。
となると候補はメガバンクや大手の地銀です。

外為を自前でやっていないと、
処理時間や手数料が余計にかかる可能性が大です。
この点から一度取引銀行を見直してみて下さい。

2.取引銀行は一行にするか。複数行にするか

ここでは借り入れや外為が、発生する場合を想定しています。

どんな企業でも、会社を立ち上げたときに、
いきなり複数の銀行と取引することはまずありません。
しかし何年か経つと、複数行と取引するようになるのが普通です。

実は銀行担当者から見て、この点はポイントです。

長年、一つの銀行とだけ取引している企業へは、
「一行先」という名前で呼んで、それなりの敬意を払います。
これは業績の浮沈があっても、一つの銀行が取引を継続している。
すなわち支援を継続している。こう判断できるためです。
銀行から見ると、「信用できる企業」と評価するからです。

ただ一行とだけ取引するというのは、
商売の相手方を一社に絞るようなもので、
実際問題としてあまりお勧めできません。

と言うのは、
今でこそ心配をする人はいなくなりましたが、
銀行そのものが、破たんする可能性もあります。

さらに取引条件などを他の銀行と比べられないので、
メリットを取り損なっている可能性もあります。

そこでここでの結論は複数行が良いとなります。

ただ多ければ良いのかと言えば、これまたそうも言えません。
取引行が多くなり、どこの銀行が主力銀行か判然としなくなると、
自社の業績が良くないときに、
取引銀行同士が様子見となってしまい、
結局どこの銀行も積極的に支援してくれなくなる。
という困った状況になります。

複数の銀行と取引するのであっても、
どこか主となる銀行を作っておくことをお勧めします。
「メインバンク制」と言うのは日本独特の慣行ですが、
いまだに一定の効果を持っています。参考にしてみて下さい。

なお具体的な銀行数ですが、私の経験からすると、
3~5行程度が最も安定しているようでした。

この中からメイン銀行とサブ銀行を一行ずつ設けて、
そこに取引を集中させるのが良いと思います。

3.取引に支店の規模は影響するか

とにかく取引は本店に限る。という人は別にして、
通常は支店と取引をすることになります。

同じ銀行であれば、どこでも取扱商品は同じです。
金利水準も同じ。手数料や事務処理手順も同じ。
であれば、自分にとって都合の良い支店が一番。
通常はこの考えでよいと思います。

しかし借り入れや外為がある場合は、
支店の規模が取引に影響する場合があります。

多くの銀行では、支店に決裁権限を付与しています。
これはいちいち本店に申請をしなくても、
支店長の権限で融資決済や預金金利の上乗せなどが、
出来るということです。

この権限内であれば、迅速な対応や弾力的な運用が期待できます。
この支店長の権限が、支店規模によって違うのです。
規模の大きな店だと権限も大きいですし、
小さな店はそれなりの大きさとなります。

ではこの規模の大きさは、どこで見分ければよいでしょうか。
まさか銀行担当者に、お宅の店は大きいか小さいかと、
聞くわけにも行きませんので、外形から判断することになります。

ポイントの第一は店構えです。
小さな店は少人数で運営していますので、
いきおい店舗も小さいものとなります。
大店は窓口がいくつもあって、行員もたくさんいます。

ポイントの第二は支店の名称です。
その地区で一番大きな店は、支店の立地場所をそのまま店名にします。
たとえば大手町支店とか丸の内支店、八重洲支店と言う具合です。

それ以外のお店は、その地区名を名乗っていても、
大手町中央支店とか新丸の内支店、八重洲駅前支店と、
微妙に使い分けています。
これはどの銀行でもやってますので、応用が利く判断方法です。

ただし合併銀行の中には店舗統合せずに、
区別だけのために、
あえて○○中央とか、○○駅前とする場合もあります。
この場合はほとんど規模的には違いが無いようです。

4.取引銀行にキーパーソンはいるか

銀行との取引は、会社と会社の取引ですが、
日々のやり取りは、お互いの担当者同士となります。

いまの取引銀行に、キーパーソンの担当者はいますか?
キーパーソンがこちらに好意を持ってくれれば、
相当程度以上、銀行取引は上手くいきます。

さきほどお話しした迅速な対応や、弾力的な運用は、
実はこのキーパーソンの動きが原動力となります。

このようなキーパーソンがいる銀行とは、
積極的にお付き合いするようにお勧めします。

ただ彼ら彼女らも組織の人間ですから、
あなたの会社との取引を通じて、組織内での評価が上がるように、
ギブ・アンド・テイクを心がけるようにして下さい。

もしキーパーソンが見つからない場合は、
担当者に限らずもっと上席者、
場合によっては支店長をキーパーソンにするぐらいが、
よいかもしれません。

それでもキーパーソンが見つからないようであれば、
ある程度割り切った付き合いを、心がけることになります。

2016/1/28 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

うちの銀行でも外為処理が速く安くできる!

『こと外為の話になると「うちの銀行」は、対応のスピードも遅く、
手数料も他行に比べて高い気がする。
何か原因があるのだろうか。【その2】(中小企業のオーナーより)』

今回も前回に引き続いて外為全体のお話です。

前回は取引銀行が外為に関して、
自前の処理か他行に任せているのか、
その見分け方を中心にお話ししました。

今回はそれを受けて、
速く処理してもらうコツ、安くあげるコツを、
お話ししたいと思います。

外為取引は大きく分けて、輸出と輸入サイドに分かれますが、
ここでは両方含めてお話します。

3.速く処理してもらうコツ  (この3.は前回からの通番です。)
この項目で、ひとつ予めお伝えしたいことは、
銀行を急がせても、余り意味が無いという点です。

どこの銀行もそうですが、外為はチームプレーです。
一人の担当者で完結することはありえません。
目の前の担当者を急がせても、
後工程の担当者が同様に急いでくれるとは限りません。

外為実務では、急ぐときに「至急」を意味する「Urgent」を使います。
急ぐ場合は店頭で、「Urgent」扱いと依頼するわけです。
こう頼まれると銀行担当者は心得たもので、
赤い付箋などで「Urgent/至急」表示を付けてくれます。

頼んだ方はこれで一安心なのですが、
実は、一歩裏に回ると受付けた書類は赤札だらけ。
こんな現実が待っています。

さらに外為センターにいくと、繁忙日などは赤札だらけで、
札のないものは殆どなく、
赤札が本来の意味をなしてはいません。

そこで今からお話しする事を参考すれば、
銀行が普通に処理する限り、
今より速くなったり、安くなったりが期待できます。

さてここから本論です。まず、

(1)自前で外為をやっている

A.営業店で勘定処理している
多くの銀行は営業店で、顧客勘定を動かしています。
外為も例外ではありません。
この場合のポイントは、勘定処理が終わらないと
次の工程に進まないということです。

早く次の工程に進んでもらうには、
輸出、輸入を問わず勘定処理に必要な情報を、
キチンと銀行に提供する必要があります。
何が必要かは銀行によって、
あるいは依頼内容によって異なりますので、
予め取引銀行の担当者に聞くとよいでしょう。
励行してみて下さい。

B.センターで処理している
この場合、営業店は単なる取次です。
受付も形式点検だけです。
(形式点検とは内容は吟味せず、枚数確認やサイン・印鑑もれ
のチェックするだけのことです。)

つまり営業店では、特段の処理はしません。
この場合は「Urgent」と依頼すれば良いと思います。

銀行によってはバックオフィスである、
外為センターと直接コンタクト出来る場合があります。
直接出来れば、営業店での手続きをカットできます。
これは大きな効果が得られますので、
ダメもとで外為センターとの直接取引を、一度交渉してみて下さい。

(2)他行に任せている

A.営業店で処理している
営業店から見れば、後工程によその銀行が入っていても、
自分の役割に変わりはありませんので、
前にお話しした(1)・Aと同じ方針でよいと思います。

B.センターで処理している場合
こちらも上記の(1)・Bと同じですが、取引銀行の外為センター
とではなく、実際にやり取りをしている他行の外為センター
と直接やり取り出来れば、一番早く処理が期待できるようになります。

こちらはかなりハードルが高いのですが、
決して可能性が無いわけではないので、
トライしてみることをお勧めします。

以上があらましですが、これ以外に共通した対応方法として、
インターネットバンクサービスの利用があげられます。
これは次の安くするコツにも通じるのですが、
確実な手段と言えます。こちらも併せての検討をお勧めします。

4.安くしてもらうコツ
輸出、輸入を問わずドキュメンタリー取引よりクリーン取引の方が、
安く上げることが出来ます。まずは取引内容の変更が可能か。
銀行ではなく商売相手と交渉してみて下さい。

クリーン取引となれば、コスト削減と共にスピードアップも図れます。
ここから着手するのが良い方法です。

(1)自前で外為をやっている

商売の相手方が指定する銀行が、自分の取引銀行と、
コルレス契約を結んでいるか確認してみて下さい。

コルレスが無いと、直接取引が出来ないので、
銀行は通常、コルレス契約のある銀行を経由します。
そうするとそこの銀行はただでは動いてくれませんので、
当然取引銀行経由で、依頼者である皆さんに、
手数料を請求してきます。

調べてみて下さい。
案外余計な手数料を払っているかもしれません。

ここを変更してコルレス契約のある銀行=商売相手の指定銀行。
となれば、コスト削減だけでなくスピードアップも期待できます。

また取引量にもよるのですが、
取引銀行に相手銀行とのコルレス契約締結を申し入れる。
というのも有効な手です。

事実、私も担当先からもそういった要望があり、
銀行本部に申請を出して、認可になった例も複数あります。

(2)他行に任せている

一つの方法ですが、取引通貨に着目します。
USD(米ドル)やEUR(ユーロ)ならそのままで構いませんが、
特殊とは言えないまでも、
余りお目にかからない通貨で取引していた場合は、
これをUSDやEURに変更するだけで、
支払や受取に要する日本円が変わってくることがあります。
(もちろん自分に有利に変わります)

これは自分の取引銀行が、直接その通貨を調達できないため、
外為を依頼している他行から、その銀行が提示するレートで
通貨を調達しているからです。

この時通貨の交換では、必ず手数料が発生しますので、
少なくとも一回は余計な手数料を払っているわけです。

これをUSDやEURに切り替えるということは、
通貨の交換回数が減るので、
手数料の減額を図ることが出来るというわけです。

また通貨をUSDやEURにすれば、
取引銀行が自分で調達出来ますので、
事務処理も自分のところで完結でき、スピードアップも期待できます。

如何でしょうか。ここでお話ししたことはほんの例示にすぎません。
多くの場合、一つクリアーすると「速くと安く」が同時に実現します。

是非、皆さんも試みて下さい。

2016/1/19 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

うちの銀行は外為処理が遅く手数料も高いが何故か?

『こと外為の話になると「うちの銀行」は、対応のスピードも遅く、
手数料も他行に比べて高い気がする。
何か原因があるのだろうか。【その1】(中小企業のオーナーより)』

今回は外為全体を見た、お話をしてみたいと思います

私が銀行の営業で外回りをしていると、企業のオーナーから
このようなお話を聞く機会がたびたびありました。

内容として共通しているのは、
普段の取引(預金や融資)では感じないのだが、
こと貿易がらみの話になると、
途端に担当者の歯切れが悪くなったり、
銀行からアレコレ条件を付けられたりもする。

そのくせ実際に取引をしたら、
やたらに処理に時間がかかり、
手数料もやけに高い感じがする。

これって何かおかしくないか?
まとめるとこんなところです。

如何でしょうか。
思い当たる方も、結構おられるのではないでしょうか。

実はこの現象、銀行担当者の知識・経験不足ばかりでなく、
もっと別のところに、根っこがある場合があるのです。
今回はそこに焦点を当てて、お話を進めていきましょう。

銀行には三大業務というのがあります。
「預金」「融資」「為替」のことです。

これは銀行業務の原点ともいえるもので、
いわば銀行業務の生命線といっても過言ではありません。

「外為」業務はこのうちの「為替」に属します。
ところがほとんどの人(銀行の人間を含めてです)は、
「為替」と言ったら国内為替(国内で取引される為替)しか、
頭に浮かべません。

「外為」が浮かんでこないのです。
なぜなのかという点は、本題から外れますので省略しますが、
この点は案外、大きいポイントなのかもしれません。

さて本題に戻ります。
このオーナーさんが感じたことですが、
自分の経験から言ってかなり的確な感じです。
そこでまず実態をご説明します。

その上で銀行と上手に付き合えるように、
アドバイスをさせて頂ければと思います。

以下箇条書きでコメントします。

1.銀行によって外為の取り扱いが違う?
「外国為替取扱」という看板を掲げている金融機関は、
街中で多く目にします。
なので、どこに持ち込んでも同じような気がします。
しかし実際に持ち込んでみると、実態は大きく異なります。

すべて自前でやっている銀行は少ないのです。
ここでいう自前とは、
営業店での顧客対応はもちろん、
海外銀行との電文や書類のやり取りまで、
すべて自分のところで行っている、
もしくは行える体制を持っている
銀行という意味です。

さすがに日本を代表する大手の銀行(例えば三大メガバンク)は、
完全に自前ですが、それ以外では名の通った銀行であっても、
すべての外為業務を、自前で行っているとは限りません。

預金や融資を自前でやらない銀行なんて聞いたことありませんが、
外為を自前でやらない銀行は、意外によく目にします。

さてこんな銀行が外為を受け付けた場合。どうするか、
実は他所の銀行に処理を依頼することになります。

ん!? 別の銀行が加わって問題はないのでしょうか。
実は次の二点で大きな問題が発生するのです。

まず第一点は、余計な時間がかかるということです。
皆さんが取引している銀行(以下取引行と呼びます)が、
もしよその銀行に外為を依頼していた場合は、
せっかく皆さんの依頼を受けても、
自分のところでは事務処理が完結しません。

他行(よその銀行)に処理をさらに頼むことになります。
これは皆さんから見れば、自分の銀行の処理時間に、
他行の処理時間が加わることになるわけです。
完全に自前で処理できる銀行と比べてみれば、
常に時間が余計にかかります。明らかに不利です。

第二点は、手数料が余計にかかるということです。
取引行は外為を持ち込む銀行との間で、
外為に関する手数料を定めます。
(これをインターバンク取引といいます)

ここで各種外為取引の手数料などを決めるのですが、
誰もただでは働いてくれませんので、
皆さんの取引行は他行に手数料を支払うことになります。
この支払の引き当ては、皆さんから徴求した手数料です。

さすがに徴求した手数料をそのまま相手に渡して、
自分の手取り「ゼロ」というわけにはいかないので、
自分の取り分も皆さんに請求するということになります。

これではどうしても完全自前の銀行に比べて、
割高とならざるをえません。

如何でしょうかここまでお話しすると、
先ほどの中小企業のオーナーさんのぼやきが、
なんとなくご理解いただけるのではないでしょうか。

時間とお金のかかる銀行と、
今まで通りの付き合っていていいのだろうか。
結構重たい問題と言えます。

次の項目では、取引銀行の外為取扱が、
自前か他行経由かの見分け方をお話しします。
(便宜的に二つにカテゴリーに分けます)

2.自前か他行経由かの見分け方
(1)仕向送金、被仕向送金
いわゆるクリーン取引と呼ばれるものです。
日本から海外へ向かう「仕向送金」、
海外から日本に来る「被仕向送金」がそれぞれ代表です。

「外国為替取扱」の看板を掲げている銀行の多くは、
このクリーン取引は完全自前の場合が多いのですが、
それでも他行に依頼している場合もあります。

この場合の一番簡単な見分け方は、
海外送金を持ち込んでいるのであれば、
実際に発信した電文モニターを見せてもらうことです。

送金が到着しないといったクレームが海外から入ってきた
ときなどが、電文モニターをもらう良いキッカケになります。

この電文モニターの発信時間の横に、SWIFTアドレスと呼ぶ、
各銀行の固有コードがあります。

このコードが取引銀行のものであれば自前で処理しているし、
他行のアドレスであればごく例外の場合(代行発電など)を
除いて、自前で処理していないと断言できます。

また海外から送金が到着している場合は、送金する場合と違って、
電文はなかなか見せてもらえないので、その代わりとして
入電した日時と到着連絡を受けた日時との間のタイムラグを、
チェックしてみると良いと思います。

朝一番に入電しているのに、案内が翌営業日になっていたら、
自前で処理していない可能性があります。

(2)輸出、輸入他
次にドキュメンタリー取引と呼ばれる、輸出入ですが、
こちらの見分け方はある意味簡単です。

銀行の担当者に実際の書類の流れを聞いてみて下さい。
いきなり聞くと疑問を持たれますので、
至急の案件で最速処理をお願いしたいので、
書類の流れを調べている、
とでも、申し入れると教えてくれると思います。

最速にもかかわらず、間に一日入ったり、
そもそも最速処理が難しいといった発言が出るようであれば、
自前ではない可能性が大です。

クリーン取引は自前でも、ドキュメンタリー取引は他行に
お任せしているという銀行は結構あります。

以上、如何でしたでしょうか。

次回はもし取引行が外為を自前でしていない場合、
如何に早く安くしてもらうかという点を、お話ししたいと思います。

続く

2016/1/10 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

信用状を開設したいが銀行からアレコレ聞かれる

『信用状を開設したいのだが、銀行からアレコレ聞かれ困っている。
信用状の開設は、そんな大変なことなのか。(ある輸入業者より)』

商品輸入のために、取引銀行に信用状(L/C)開設を依頼すると、
詳しく商売内容を聞かれたり、場合によっては担保を要求されたりと、
まるでお金を借りるみたいな対応をされる場合があります。

今回は輸入をお考えの皆さんが、一度は直面する
信用状開設の壁(?)について、お話ししたいと思います。

前回にもお話ししましたが、信用状取引は大変に優れた仕組みです。
一度も会ったことのない業者間でも、安心して貿易取引ができます。
この仕組みの一番の売りは、信用状発行銀行の輸出者に対する
確実な支払約束の存在です。

これは輸出者の取引銀行(買取銀行といいます)から
送られてきた船積書類が、発行した信用状の条件に
一致する事が大前提となります。

しかし、それさえ満たせば支払いは確実になされます。
この条件があるので輸出者は安心して船積できます。

出来上がった船積書類は、銀行に持込み買取りしてもらえば
よいことになります。
事実上この時点で、輸出代金は回収。というわけです。

ここで銀行の役割ついて考えてみます。

輸出者と輸入者の取引銀行は、それぞれ銀行には違いはない
のですが、その置かれた状況はかなり違います。

輸出サイドの銀行は、顧客から船積書類の買取を依頼
されるのですが、この買取は与信行為であり決して
ノーリスクではありません。

しかし、買い取る船積書類は輸出貨物そのものであり、
いわば商品の売買を書類でしているようなものです。
結局、皆さんのご商売と実態はあまり変わりません。

しかも代金は書類がOKであれば、
輸入サイドの銀行が必ず支払ってくれます。

如何でしょう。
輸出側の銀行はかなりしっかりした商売ですね。

実際、輸出信用状取引は代金回収の確実性が高いので、
銀行によっては輸出業者の経営状況にあまり影響されずに、
買取金額の上限は「なし」で応じる場合もあります。
(つまり青天井で買い取るというわけです)

一方、輸入サイドの銀行は、
信用状条件に一致した書類が送られて来たら、
決済をしなければなりません。

しかもこの決済義務は、
輸入者の支払い義務とは別個のものでして、
輸入者の動向とは無関係に履行する必要があります。
(たとえ輸入者の資金繰りがタイトで決済できなくても、
銀行は決済しなければなりません。
輸入業者が倒産していても決済する必要があります。)

となると、輸入サイドの銀行にとって、
信用状の開設はある意味、融資よりもハードルが
高いかもしれません。

ですので、信用状の開設依頼に銀行を訪れても、
外為が分かる担当者が応対すればするほど、
相談した方は壁のようなものを感じることになるわけです。

ではどうやってこの壁を乗り越えるか。
今からいくつかコツをお教えしたいと思います。

コツ その1
輸入決済資金を事前に銀行預金で用意する。

信用状を発行=輸出買取銀行への支払義務発生、
ですので銀行担当者の最大の関心事は、返済資金の確保です。

ここがクリアーされると、後の話はゆっくり詰めれば良いという、
大らかな気持ち(?)で輸入業者に対応できるというものです。
(余り面白い話ではありませんが、実態はそんなところです。)
なお細かく言えば、正式担保に入れる場合と
(預金担保、通常「預担」よたんと言います)、
そうでない場合がありますが、正式担保の方がスムーズにいきます。

コツ その2
信用状の有効期限を出来る限り短くする。

信用状の有効期限は、開設から3カ月までを一区切りとします。
そこまでの間は、1日でも3カ月でも同じ金額・料率で計算します。
(この3ヶ月を1TERM(ワンターム)と呼びます)。

手数料や保証料が一緒ですから、
有効期限の長い方が海外の業者も都合が良いのですが、
あえてこれを短めに、たとえば1カ月にしますと、
銀行担当者に申し入れます。これ意外に効きます。

銀行にとって与信は良い収益チャンスですが、
反面与信期間の固定長期化は体質的に嫌います。
その意味で1カ月は相当程度以上に短い印象があります。

いわゆる行内決裁文書(稟議書といいます)で、
「本件は短期収束見込み」と、コメントが出来るため、
支店や本部の受けが良くなります。

コツ その3
信用状金額は必要最低限にする。

せっかく開設するのだからと、
あれもこれもと盛り込みたくなりますが、
迅速に開設してもらうには、必要最小限の金額だけにすべきです。

これは前の二つと違って、そうすればよい印象になるかと言えば、
疑問があるのですが、逆にこの点を欲張ると、
依頼全体がピンボケな印象になってしまいます。

コツ その4
輸入商品の販売先と販売数量、代金回収条件を具体的に説明する。

信用状取引はあくまでも海外とのやり取りですが、
銀行の関心事は輸出者や商品ではなく船積書類です。
それと商品輸入後の代金回収状況も関心事です。

船積書類は輸入サイドではどうしようもありませんので、
銀行の担当者が皆さんに聞くことはありません。

しかし代金回収については大いにヒアリングされます。
このヒアリング。結構、皆さんの違和感が強いのではと
私は思っています。

端的に言えば信用状に直接関係ないのに、何をこと細かく聞くのか。
と感じられるのではと推察するわけです。

一定以上の企業では、資金繰りは会社全体で見ています。
仕入れや販売の資金を、商談ごとに結び付けていないというわけです。

ところが銀行は企業規模とは無関係に内容を聞いてきます。
これに対しては、割り切りの世界で対応すればよいと思います。
見込みでも、予定でも、とにかく説明できれば良しとしましょう。

銀行ではこの結び付けを「ひも付き管理」と呼んでいます。

つまり資金の流れを、入口から出口まで見張るということです。
この「ひも付き管理」を徹底するという姿勢(ひいては言葉も)は、
銀行の稟議では良く使われます。
これは決済に向けての青信号の一つとなります。

以上コツを4つお話ししましたが、
銀行の担当者が外為に明るければ良いのですが、
不得手だとこちらの話が握り込まれる恐れがあります。

信用状開設に限りませんが、
銀行に依頼する場合は「〇月〇日までに回答してほしい」と、
期限を切るのが上策です。

もしいままで遠慮して言ってないのであれば、
ぜひ一度お試しください。意外に効果があります。

2015/12/28 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

信用状の照会電話を減らしたい-輸出担当者より

輸出をしていると決済方法が送金ではなく、
信用状(L/C)となる場合が、結構な頻度であります。

信用状が要求する書類を、きちんと作成し銀行に持ち込めば、
銀行は買取をしてくれ、輸出者はその段階で代り金を受け取れます。

つまり実質的にそこで資金回収は終了するというわけです。
よく考えられた便利なシステムといえます。

しかし銀行にとって、送金と違って買取は与信行為のため、
持ち込んだ書類に関して、かなり事細かに照会が来てしまいます。

この照会が曲者でして、屁理屈(品なく失礼!)に見えたり、
単に字面の問題のようだったりすることがままあります。
こんな照会をする銀行の担当者も大変でしょうが、

受ける方も電話の度に、自分の仕事が中断するので大変です。
そこでお互いの幸せのために、どうすればよいのかを考えてみます。

信用状取引はL/C取引とも呼ばれ、その起源は諸説ありますが、
12世紀ごろまで遡れるようです。(約1000年前!)

会ったこともない輸出者と輸入者の間を取り持って、
円滑な貿易を可能にする優れもので、
21世紀の現代でも件数こそ減りましたが、
重要な決済手段として、
外為取引にはお馴染みなものです。

この信用状取引では取引の安全性や、決済の確実性を守るために、
信用状統一規則(以下UCP600と呼びます)という、
世界的ルールを当事者全員が守るという約束があります。

このルールに従えば、輸出者は確実に貨物代金を受け取れる。
という決まりであり、その結果輸出者は安心して船積出来るわけです。

UCP600には様々な条項があるのですが、
とりわけ大切なのが、「書類性の原則」と「独立性の原則」です。

「書類性の原則」とは、信用状取引に関わる当事者は、
書類のみを取り扱うのであって、商品は一切扱わないという原則です。

この原則がある為、銀行は商品にタッチせずに、
貿易取引の当事者になり、決済に専念できるのです。

次に「独立性の原則」とは、信用状取引の当事者は、
商品売買契約には一切影響を受けない。という原則です。

資金のやり取りに関して、売買契約違反を理由に、
決済を拒んでもいけないし、
マーケットクレームを決済拒否の理由にはしないということです。

この原則のおかげで輸出者の取引銀行は、
商品を一切見ることなしに、
提出された船積書類と信用状の条件一致のみを確認し、
問題が無ければその書類を発行銀行に送ります。

そうしたら発行銀行から、必ず資金をもらえるというわけです。
輸出者の取引銀行(この場合は買取銀行と呼びます)が、
輸入者の取引銀行(この場合は信用状発行銀行とよびます)から、

資金を受領するには、
船積書類と信用状の厳密な一致が、唯一絶対条件です。
その条件を満たそうとして、疑問点や不明点があると、
書類の細部にわたって照会してくるというわけです。

銀行によっては、窓口である支店で一次チェックを行って、
バックオフィスの外為センターで二次チェックを行う。
という場合もあります。

加えて買取銀行を通過しても、
信用状発行銀行から照会が掛かれば、
買取銀行としては放置できませんので、
またまた照会してくる。
というかなり面倒な仕組みになっています。

さて前置きが長くなりましたが、このような負の連鎖状態を、
回避するにはどうしたら良いか。

以下箇条書きで説明したいと思います。

1.事前に信用状の内容を把握する。
船積書類(特に船荷証券)と信用状の内容が一致するのか、
事前に輸入者から信用状の発行依頼書のコピーを入手しましょう。

銀行は資金決済の当事者ですが、
関心があるのは信用状と船積書類の一致ですので、
それさえクリアーされれば何の文句もないはずです。
買取を決済も問題ないことになります。

とすれば書類を作成する段階で、信用状と一致を確認する。
これが第一となります。
輸出業務に習熟した企業でも、契約書との整合性は確認しても、
ブッキングの段階では信用状が未着の場合も多いので、
そこまではやっていないというところが多いようですが、
照会の削減や決済の迅速化、確実化には絶対必要と思います。

2.照会電話への対応は、まず訂正・差し替えです。
持ち込んだ書類に信用状と条件不一致が発見されて、
買取銀行から照会が掛かってきたときは、
一番に訂正・差し替えで対応します。

慣れてくるとまあそのままでもとか、
L/G(念書みたいなもの)差入れで、
その場を収めようとしがちですが、
輸出代金回収のためには、手間を惜しむべきではありません。

訂正・差し替えはどんどんやるべきと思います。
これで船積書類が信用状条件に一致すれば、
決済の確実性において、ほかの方法に勝るのは明らかです。
(これを外為実務ではクリーンな状態にすると言います)

3.上記の2が不可能な場合は、買取銀行から発行銀行に
あてて買取照会をかけてもらいましょう。
(これをケーブルネゴといいます)

実際問題として訂正や差し替えが出来ない
条件不一致もあり得ます。

例えば船積遅延や信用状の有効期限切れのような場合です。
これらの場合は、訂正や差し替えでは対応できませんので、
本来は信用状の条件変更を求める必要があります。
(これを信用状のアメンドを要求するといいます)

しかし、信用状のアメンドはすぐに発行されるのではないので、
現実問題として今回の買取には間に合いません。
そこでUCP600には明記はないのですが、
慣習的に認められた「ケーブルネゴ」という方法を、
選択する必要がでてきます。

この方法をとって発行銀行からOKがでれば、
今回の船積に限ってですが、アメンドと同一の効果が発生します。

以上が電話を減らす方法です。

厳密にいうと、2と3では一回目の電話までは減らせませんが、
それ以降の照会電話は掛かってこないことになります。

これ以外の方法も、ものの本には書いてありますが、
電話が絶対的に減るという効果は期待できません。

銀行からの照会電話を減らす王道は、
こと信用状取引にあっては、
入手した信用状と船積書類の一致しかありません。

とすれば作成段階から信用状条件も頭に入れた、
書類作成を心がけるというのが、ここでの結論となります。

2015/12/11 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

銀行から「送金がキャンセルされた。返金してほしい」と言われた

「海外から送金を受け取ったのだが、入金手続きをした銀行から、   
「送金がキャンセルになったので、返金してほしい。」
と言われた。

「こちらとしては、受け取るべきお金なので返却したくない。
断れるのだろうか。知恵を貸してほしい。」

こんな相談が持ち込まれました。

海外から送金が到着して、
そのお金を指定された口座に入金する事を、
銀行の外為用語では「被仕向送金」と呼びます。

被仕向送金は外為取引の中では、
非常にシンプルで分かり易い取引の一つです。
(到着した資金を指定された口座に入金するだけ。。。。)

けれど、このようなトラブルが発生することがままあります。
ではどうして、こんな問題が発生するのでしょうか?

原因は大きく分けて二つあります。

一つ目は、送金人(送金を依頼した人)や
送金銀行(送金を取り組んだ海外の銀行)に問題がある場合です。

送金がキチンと取り組まれ、
送金明細が正しく電文に表示され、
なおかつ資金も無事に到着していれば、
送金銀行の指示に従う限り、
受取銀行(あなたの取引銀行)には責任は発生しません。

もちろん最終受取人である、あなたにも責任はありません。
責任が無いのですから、返金する義務もないと言えます。

受取銀行もこの辺はよく心得ています。
このような時は「念のため」というトーンで、
あなたがキャンセルに応じるかどうかの、確認をしてきます。

キャンセルに応じる意思が無ければ、
「NO」を言えばそれでおしまいです。
特に手数料や手続きが発生するわけではありません。

このパターンとよく似ているのですが、若干注意要する場合があります。
それは送金の内容通知(送金指図:Payment orderといいます)は、
キチンと受取銀行に届いているが、肝心の資金が未着の場合です。

これは受取銀行にしてみれば中途半端な状態です。
厳密に言えば、本来は入金はまだできない状態です。

しかし実務では、送金銀行を信用して入金する場合があるのです。
この場合は前の場合とは異なり、
念のためと言った調子ではなく、
あなたにも当然応じてもらいたいと言ったトーンで、
「キャンセルが入ったので、入金取消に応じてほしい。」
と要請してきます。

この場合でもあなたに受け取る理由があり、
送金指図の内容(具合的には受取銀行、支店、口座番号、
英文社名などを指します)に間違いがなければ、
まずは「NO」で構わないと思います。

なぜならこの被仕向送金において、
あなたは何かをすべき当事者ではなく、
単に送金を受けるだけの立場だからです。

正しい送金を受けとる限り、返還に応じる義務はないと言えます。
ただこの場合、銀行は簡単には引き下がりません。
あなたも腰を据えての対応が必要となります。

銀行にしてみれば実際の資金は手に入らないままに、
あなたへの入金を先行させた訳ですから、こちらの事情ではないものの、
取消依頼には応じてほしいと、当然ねばってきます。

このようなときに、あなたがなすべきことは、
このトラブルの原因は、資金を送らない送金銀行に責任がある。
先ずはそちらと折衝してほしい。
と回答するのが良いと思います。

ただここからが悩ましいのですが、キャンセル請求に対しては、
杓子定規に突っぱねても、問題が解決しない場合があります。

こうしたときは、送金人と受取人の間の折衝が、
最終解決になる場合が多いのが実態です。

先ほどの言葉と相反するようですが、
あなたは重要な利害関係者として(送金の当事者ではありませんが)、
送金依頼人に対して事情を説明し、
送金銀行に速やかに資金を受取銀行に受渡してもらう。
この要請をするのが良い方法となります。

多くの場合、送金銀行のアクションによって資金は到着し、
受取銀行の立替払いが解消することとなります。
(受取銀行があなたに支払ってから、送金銀行からの資金が到着する
までの立替金利は、当然送金銀行に請求してもらうことになります)

この場合の問題点は、送金指図と実際の資金が別々だった点です。

実はこの点は銀行もよく承知しています。
現在では極力、
送金指図と実際の資金を、同時に同一ルートで送るようにしています。
(これをシリアルペイメント方式と言います)
ですから今後はレアケースになる事が予想されます。

第二の場合です。

これは送金指図が誤っていたり、一部が不正確だった場合です。

これはどこに原因があるのかは別の問題として、
一番問題なのは、誤りが直されることなくそのまま入金になった場合です。
これは今までの事例とはちょっと事情が異なります。

被仕向送金は送金依頼人が送金銀行に送金を文字通り依頼し、
その内容通りに送金を受け取った銀行が入金をする。
というスキームが大前提です。

送金指図と異なるにもかかわらず入金をしたとなると、
送金を受け取った銀行の契約違反(この場合は委任契約)となり、
その責任を問われることになります。

また入金を受けたあなたも、その入金は不当利得とみなされ、
返却に応じる必要が出てきます。
不当利得ですので善意か悪意かの違いはあっても、
あなたに返金義務が発生する点が大いに前の場合と異なります。
(ここでいう善意、悪意は一般的な用例ではなく、
法律的なもので善意は事情を知らなかった。
悪意は事情を知っていた。ということです。)

さらに外為実務ではよくあるのですが、
不正確な送金指図に銀行が気づいて、
あなたに確認を求めてきたときに、
あなたも不正確な点を認識した場合です。

例えば口座番号が、123456が正しいのに123465で来たとか、
口座の名前(口座名義といいます)がABE CO.LTD.が正しいのに
ABU CO.LTD.で到着した。
という場合がそれに当たります。 

こういった場合は本来なら送金銀行に照会し、
その回答を待って入金処理する必要があります。

しかしそれせずに受取銀行とあなたとの間で話をつけて、
銀行は「念書」(一種の補償状です)をあなたからもらって、
入金してしまう。という場合がままあります。

意外に簡単にこの取引はなされるのですが、
この「念書」が曲者で、何か問題が発生したときは、
受け取った資金は無条件で銀行に返却する。
という条項が入ってます。

このためキャンセル依頼があった場合は、
この条項に基づき即座に返金に応じなければなりません。

このように被仕向送金のキャンセル依頼においては、
先方からの送金指図の正確性と、
受け取り側の対応が、事の成否を分けます。

送金依頼人や送金銀行がわざと間違えたのでは、
どうしようもありませんが、先方が取り組んだ内容は、
もとはと言えばこちらからの情報のはずです。

正確な情報提供が、正確な送金につながり、
ひいては無用な送金キャンセル回避につながると言えます。

受け取るべき資金を迅速に受け取るのは、
企業として当然の要求ともいえますが、
そのためにはこういった細かい点にも留意すべきと思います。

2015/12/02 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

相手から「送金がまだ届かない!」 と言われた。どうしよう?

「海外送金をしたのだが、
受取人から未着のクレームを受けてしまった。
間違いなく送金したのだが、いくら送金したと言っても、
相手が納得してくれない。」

どうすればいいの?

このような場合、「送金した!」と相手に何度返事をしても、
肝心の送金が相手に着かない限り、問題は解決しません。

とにかく真っ先に確認すべきは、お金の所在です。
滞っているお金を、正常な動きに戻す必要があります。

一刻の猶予もできません。
この場合、チョッとだけコツがあります。

相手との間で「送金未着の原因探し」や、
「送金遅延の犯人捜し」をやりあうのではなく、
「自分は送金未着の状況解消に向けて、
貴方と協力していきたい。」
という姿勢で臨むのです。

これ、話として聞くと「なんだ、そんなことか。」と思えますが、
このようなクレーム処理では、どちらかが100%悪いということは、
先ずありません。

というかそう考えると、必ずと言っていいほど、上手くいきません。
裁判ではないのですから、黒白をつけるのではなく、一分一秒でも
早く先方の手許に届くように、双方が協力すべきなのです。

さてそこで具体的なお金捜しですが、
まだ日本にあるのか?(ない場合多いです)、
途中のどこかに引っ掛っているのか?(これはありそうです)、
相手の国に着いたがその先で止まっている(これもありそうです)、
大きく分けてこの三つになります。

よって捜索は実際の送金ルートに従い、銀行経由で行うことになります。

その際に忘れてはいけないことは、先方への返事です。
何はさておき先方には「大至急調べる!」と伝え、
時効の中断を図りましょう。(これ意外に大事です)

クレームが来たのは、待っても送金が来なかった。ことを意味します。
こちらが考えている以上に、相手は怒ったり焦ったりしています。
その気持ちを十二分に汲んであげましょう。

そして、この不幸な事態(送金が着かないこと)に対して、
私も最大限努力するので一刻も早く解決しようと、呼びかけるのです。

そして何はともあれ、送金を依頼した銀行に問い合わせをします。
実際の調査は、銀行にお任せする部分がほとんどですが、
自分で出来る事もあります。

そのためには、まず送金してもらった銀行に頼みごとをします。
実際に発信された内容を示す、
「SWIFT(スイフト)発信モニター」というものをもらうのです。
    
銀行の担当者に
「送金未着クレーム対応に必要なので、SWIFTモニターが欲しい。」
と言えば無料でもらえます。

ただもらったモニターは、送金電文そのものなので、
このままでは内容が全く分かりません。

そこで銀行の担当者に確認してください。
依頼書通りの内容で発信されたか。
相手の銀行名や支店名、口座番号は正しいか。
IBANやBICと呼ばれるコードも、きちんと発電されているのか。
これらを銀行担当者に確認してもらうことが肝心です。

さらにいつ発信されたのかも、重要なポイントになります。
発信モニターを見れば「何時何分何秒」発信かまでわかります。
日本時間ですが確認をしてください。
最後にその送金固有の取組番号(リファーとかリファレンスと呼びます)
を確認して、発信モニターを受領します。

この段階で、本当にレアケースですが、未発信だったり、
間違った所に行ってしまった。
などと、とんでもないことが分かる場合があります。

こうなった時は、先方に謝るしかありません。
もし喧嘩腰で対応していたら、こうなった時どんなマズイ状態か、
お分り頂けると思います。
未発信や間違った所へ発信(これを仕向相違といいます)は、
本当に例外的な話です。

ほとんどの場合、間違いなく送金されていると判断できます。
(これであなたの責任はない。証明してもらったようなものです。)

次にそのモニターを先方にFAXなり、PDFファイルなりで通知します。
先方にこの資料(エビデンスと呼んでます)を、
受取予定の銀行に提示して、送金到着の確認をするように
依頼するのです。

相手の銀行も発信モニターを見せつけられては、
あいまいな対応はできません。

意外なことに、到着しているのに何らかの不都合で、
入金はまだだったということが分かる場合があります。
この場合は、あとは先方サイドでの問題といえます。
クレームとしては一件落着です。

一番ややこしいのが、途中で止まっている場合です。
とりわけ困難さが増すのが、米ドル建ての送金が米国政府の規制
(OFAC規制が有名です)に抵触して、米国の銀行で資産凍結
あった場合です。
詳しいことは別の機会に譲りますが、これはほぼ完全にアウトになります。
取り戻すこともまず無理です。

それ以外にも途中で止まる場合があります。
原因はその場所固有の事情
(送金人にも受取人にも明確に原因が無い場合)が多く、
対応に苦慮する場合が多いのです。

このような場合でも急がば回れではありませんが、
いったん資金を取り戻して別の方法で送金し直すほうが、
良い場合が多々あります。

以上いろいろな状況で、送金を依頼した銀行に主体的に動いてもらって、
解決に向けて対応していくことになります。

最後に結論めいた話になりますが、送金未着クレームへの対応は、
「一に初動」、「二に相手との協力関係」となります。

この二つを念頭に、銀行を動かしてください。若干の手数料はかかりますが、
何とか窮地を脱することが出来ると思います。

2015/11/21 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

銀行との上手な付き合い方-輸入ユーザンス

前回は輸出企業の銀行との付き合い方についてお話をしました。

今回は輸入企業の皆さん向けてのお話です。
今回もL/C付取引が対象となります。

輸出企業との大きな違いは、
銀行との接点が、かなり早い段階からあるということです。

L/C付の取引であれば輸出者側との商談成立後、
場合によっては直ちに銀行に出向き、
L/C開設の申し込みをする必要があります。

そしてL/C発行後も、船積書類が到着する前に商品が到着した場合は、
L/G(荷物引取保証)やRelease Order(荷物引渡指図書)の発行を、
銀行に頼む必要が出来てきます。

更に船積書類が到着すれば、その書類を受領するために、
手金(てがね)で決済するか、輸入ユーザンスを銀行に起こしてもらい、
(この場合はユーザンス手形を差し入れる必要があります。)

この輸入ユーザンス、通常引き取った輸入貨物の販売代金の
回収金で、返済するのですが、
受け取った資金が現金ではなく手形の場合は、
その手形を割引してもらう必要が出てきます。
また手形回収でなくてもユーザンス期間だけでは終わらずに、
更に国内手形貸付を受けたりする場合もあります。

こうなると輸入では其の商売の過程で、
銀行はあちこちで顔を出すことになります。

輸出企業が輸入の話を手掛けたときに、
輸入は輸出の反対ぐらいの認識で銀行と付き合うと、
その煩雑さに悲鳴をあげることになります。

自分の仕事をスムーズにするためにも、
輸入企業の担当者は、銀行と上手く付き合う必要があるというのは、
おわかりいただけましたでしょうか。

さて、ではなぜ輸入では銀行とのやり取りが煩雑になるのでしょうか。
もちろん接点が多いのも大きな理由の一つですが、
私が経験した限りでは、
企業の担当者と銀行の担当者の、
輸入に対する認識の差が大きいように思います。

ここで目線を変えて、銀行から輸入企業を見てみましょう。

実は銀行にとって、輸入企業は一般の国内融資先と同じに見えています。
つまり貸出先であり与信先であると言うわけです。

違いがあるとすれば、仕入先が輸入なら海外ですが、
国内融資先であれば国内との違いだけです。

であれば輸入企業に対する銀行の姿勢は、
お金を貸すという銀行本来からのものに他なりません。

これに対して輸入企業の皆さんは、例えばL/Cの開設依頼が、
お金を借りるのと同じだとは思っていません。

いわば入口から、ボタンの掛け違いが生じているわけです。

皆さんにしてみれば、好きでその状態になったわけではないのですから、
こんな状態は何とかしてほしいと思うのは、当たり前だと思います。

そこで銀行の担当者の輸入に対する考えをお示しして、
それへの対応方法をご披露したいと思います。

1.銀行にL/Cを開設してもらうとき。
L/C金額と同額の借入申込みに話を置き換えた場合、
銀行はすぐ応じてくれるでしょうか?

自分のところはすぐ応じてくれるので大丈夫という方は、
そのまま銀行でL/C開設のお話をされても問題ないと思います。
しかし自分のところは心配である。
というのであれば、銀行の担当者からの質問は、
商売の中身に関する質問ではなく、
担保や保証人に関するものが複数飛んでくることになります。
(これが余り愉快な話ではありません)

2.商品の販売先は決まっていますか。
またそこからの回収条件は何でしょうか。

輸入の話をしているのに、なぜ国内取引の話が出るのか,
と不思議な気になるかもしれませんが、
銀行の担当者の輸入に関する話の関心は,
ズバリこの一点に集約されています。
要はきちんとお金を返してくれるかどうか。そこが知りたいのです。

ここの部分が明確で問題が無ければ、話は簡単です。
もしここが若干でも弱いのであれば、
上記1.でもお話しした担保だ保証人だとの話になります。

以上結論を申し上げると、輸入で上手く銀行を使うには、
輸入取引(特にL/C)は資金借り入れと同じと割り切って、
場合によっては追加で担保や保証人を考える。
これで行けばストレス・レベルを下げる事が出来ると思います。

輸出に比べて接点が多い分、銀行のロジックに辟易する場面も、
多いかと思いますが、銀行の本音を知って、
先手必勝で行って頂ければと思います。

2015/11/10 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

銀行との上手な付き合い方-輸出と船積書類

前回は貿易と外為の違いについてお話をしました。

ここからはその違いを踏まえて、銀行との上手な付き合い方を、
二回に分けて考えてみたいと思います。

先ずは輸出企業の皆さん向けのお話です。

ただし「カミ」をからめる話なので、
前回で触れた、「クリーン取引」はここでは考えません。

銀行が輸出企業と接点を持つのは、
銀行に船積書類が持ち込まれた段階からです。
ここが輸出「ドキュメンタリー取引」のスタート地点となります。

一方、輸出担当の皆さんから見れば、
銀行に書類を持ち込むのは船積後です。

陸上競技で言えば第四コーナーを過ぎて、
ホームストレッチに差し掛かった段階でしょうか。

ようやくゴールが見えてきたというわけですね。

「スタートとゴール」この認識の差は大きく、
いろいろな場面で、
銀行と企業の見解の相違が出る事になります。

平たく言うと、何か不都合が発生した場合、
銀行も企業も早く解決したいのに、

「なんでこんな書類を作ったのか?」(銀行)

「貨物はもう出したのだから、細かいことは言わずに、
一刻も早く輸入者側へ書類を発送してほしい。」(企業)

といった認識が衝突して、話がうまく進まないという、
不幸な状況に陥りがちです。

こんな状態では銀行と話をしても、
なかなかスムーズにはいかないと想像できませんか。

ちなみにこの衝突の傾向は、単純な取立依頼より買取の依頼、
中でもL/C付買取依頼の時に強く表れることになります。
(L/Cとは信用状のことです)

これはそれぞれの取引における、銀行の立場の違いによります。

取立であれば単なる委任契約の受任者の立場なので、
万一決済がされなくて代金回収が不能となっても、
銀行は直接損害を被るわけではありません。

しかし買取となると銀行は債権者の立場です。
代金回収が出来なければ、
輸出者から資金を返却してもらわねば、実損が出てしまいます。

銀行というところは、実損事故を極端に嫌がりますので、
その危険性のある取引には、事細かく関与してくるというわけです。

L/C付買取が最も細かく銀行と折衝が必要となる理由は、
銀行が今お話しした債権者の立場になるという点に加えて、
L/C取引では輸入者側から資金を回収するためには、
そのL/Cと輸出者提出の船積書類とが一致している事が、
大前提となるためです。

銀行から過剰(?)なまでの、問い合わせがくるのはこのせいです。

こういった銀行と上手に付き合うコツは以下の通りです。

先ずは一にも二にも「正確な書類」です。

特にL/C付の場合は、
もともとの契約やそれまでの商売の経緯がどうであれ、
L/Cで決められた通りの書類を作って、
銀行に提出することを強くお勧めします。

これはL/C取引の基本ルールである「信用状統一規則」という、
世界的な決め事の中に、L/Cで定めた条件通りの書類を、
L/C発行銀行に送れば、
必ず決済してもらえる、という約束が決められており、
銀行は、それを拠り所にする場合が大変に多いからです。

次に、銀行提出書類の作成にあたり、
L/C内容に疑問点があり、
不安を感じるようであれば、
持込予定の銀行に問い合わせれば、
実務上の対応について回答があると思います。

このように事前に銀行に照会しておけば、
その後何かあっても「事前に相談した」と強く反論できます。
(銀行はこの手のフレーズには弱いのです)

さらに言えば、普段から銀行担当者と連絡を密にしておき、
代金回収実績を積み上げておけば、銀行からたとえ照会があっても、

「指摘の点は、すでにシッパーバイヤー間で了解済みである。」

と回答することにより、迅速な書類発送が期待できます。

以上簡単ですが、輸出をする立場での、
銀行との付き合い方をお話ししました。

次回は輸入と銀行についてお話ししたいと思います。

2015/10/29 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

銀行との上手な付き合い方-貿易と外為

はじめに。
皆さんは、銀行の人と接点がありますか?

「銀行からの問い合わせにでたら、話がかみ合わなくて困った。」とか、
「銀行の人に必死に説明しても、ピンボケの会話になってしまった。」

こんな経験を持つ人が、意外に多いのではないでしょうか。

なぜこんなことになるのでしょうか?
どうすれば銀行と、上手に付き合えるのでしょうか?

ここではそういったお考えをお持ちの貿易担当の皆さんに、
銀行のロジックや銀行員の考えそうなことを、
35年間の経験をもとに、お伝えしたいと思います。

この小文が今後のお仕事の参考になれば幸いです。

それではまず第1回目として、
銀行の考える貿易と、皆さんのお仕事である貿易の違いを説明します。

よく貿易とは「モノ」「カミ」「カネ」の3要素からなるといいます。
それぞれの要素は、皆さんよく御存じと思います。
この三つどれもが重要な要素です。言うまでもありません。

しかし銀行は貿易を外国為替(以下外為と略します)の面から見ています。
外為というのは、銀行の三大業務「預金・融資・為替」の内、
為替の一部を構成するものです。
(為替は内国為替と外国為替で構成されます)

皆さんの貿易と、銀行の外為、この二つどこが違うのかと言えば、
実はかなり違いがあります。

外為には「モノ」の要素が全くありません。「カミ」もわずかです。
あるのはどこまでも「カネ」「カネ」「カネ」・・・・です。

こう言うと身もふたもないのですが、銀行の存在意義を考えれば、
納得していただけるのではと、ちょっとずうずうしく考えています。

では銀行がそれ程までに重く見ている「カネ」の部分ですが、
これにウェイトを付けてみましょう。

これを考えるときは、銀行取引を大きく2つのカテゴリーに分けます。

一つ目は銀行で「送金ベース」とか「クリーン」と呼んでいる取引です。

これは船積書類が銀行を経由しません。
銀行の役割は決済資金の受け渡しだけです。

この場合は100%「貿易」=「外為」=「カネ」となります。

皆さんも代金回収が送金の場合は、銀行から改めて聞かれない限りは、
銀行と貨物や書類の話はしないと思います。
一方、銀行の人間も事務処理に必要なこと以外では、
まず話をすることはありません。

ある意味、ズレの起きにくい部分と言えます。

二つ目は「ドキュメンタリー」と呼んでいる取引です。

こちらは船積書類が銀行を経由します。
なので、多少ですが「カネ」以外にも、「カミ」の部分があります。

銀行の人間と「カネ」以外の部分で、接点が出来るわけです。
(もちろんこの場合でも、「モノ」は全く関係なしです。)

ただどうでしょうか?
銀行実務に携わった人間から見ると、
船積書類を扱うと言っても、自分で作成しているわけではありません。
なので余り「カミ」の部分で役割を発揮しているとは言えません。

手間はクリーン取引よりかかるのですが「3:7」ぐらいで、
やはり「カネ」が中心の世界です。

アバウトな話ですみませんが、実態はそんなところです。

「ドキュメンタリー取引」の特徴は前に述べた通り、
銀行の担当者との間で、貨物や書類の話が
出てくる可能性があることです。

実は皆さんが、「話がかみ合わない!」と感じるのは、
ここの部分なのです。

私も企業の貿易担当者と話をするとき、
銀行としては依頼を受けた「外為」の事務処理について、
「貿易」を仕事とする皆さんと、何が問題になっているのか。
解決に向けてどうすればいいのか。等々を打合せたいのに、
うまく話がかみ合わず、貨物あるいは売買契約の話になって、
困ってしまった経験が何度もあります。

逆に言えば、銀行の人間は「モノ」や「カミ」に関心は余りなく、
事務処理を早く終了させるため、「モノ」や「カミ」についても、
話をしているだけなのです。

ここまでお話しすると、見えてくることはありませんか。

冒頭書きました
「銀行からの問い合わせにでたら、話がかみ合わなくて困った。」

というのは、銀行の考える貿易(実は外為ですが)と、
皆さんの貿易が一致していない部分が、話題となったため考えられます。

銀行の関心事は「カネ」の部分ですから、
このような話をするときは、意識して「カネ」に焦点を当てるべきです。
これがここでの結論となります。

「モノ」や「カミ」の話になっても、あくまでも「カネ」が前提です。

何やら改めて「銀行=カネ」の公式を見せつけられるようで、

初回から意気の上がらない話となってしまいましたが、
次回は、そんな銀行とどう付き合えばよいのかを、
お伝えしたいと思います。

2015/10/22 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

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