イスラム教徒が守ってきているハラール。輸出展開もあるが輸入ビジネスもターゲットでしょう。ハラール認証についても情報共有しましょう。貿易実務の情報サイト「らくらく貿易」。|ハラールマーケットに輸出入ビジネスのチャンスあり!

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ハラールマーケットに輸出入ビジネスのチャンスあり!

世界のイスラム人口が15億人もいることから巨大市場として注目のハラール
(HALAL)。でも、なんとなくよくわからない世界ですね。

MIPROが開催したハラール特集セミナーのキーワードを皆さんと情報共有しましょう。

■ハラール(HALAL)とは?

ハラールというと豚肉を食べてはいけない。このイメージが強いですが大きく違いました。
ハラール=オーガニック、つまり食べるものだけでなくイスラムの教えで許されたものすべてが対象とのこと。安全な生活をするためのガイドラインとか。

ハラール認証マークがこの基準に沿っていることを示しているが、ハラール認証マークは1つだけではありません。全世界で20以上ものマークがあるとか。
「どこの国で作って、どこの国に売るか」によって、取るべきハラール認証が異なるそうです。

■ハラール市場は日本にもある!

世界のイスラム人口15億人のうち6億人ほどのアセアン市場が注目されています。日本人=健康で長生きのイメージが強く、それだけにMade In Japanは人気商品。

日本特産のお茶や自然発酵品などはもともとハラール対応されていることから売りやすい商品でしょう。水産物、野菜や果物などもオーガニックな商品ですね。

海外市場だけでなく日本国内のイスラム人口も20万人もおり、日本を訪問する旅行者も含めると50万人規模。
その点を考えると輸出だけでなく、ハラール製品の輸入ビジネスも視野に入れられそうです。

2014/05/29

ファンド投資(積立型)



【1】オフショアバンクとは

オフショア・バンク、オフショア銀行とは、海外から資金を集めることを意図して税金を非常に安く(もしくは完全に非課税)設定している国や地域(オフショア・センター)に設立された銀行と説明されます。 

しかしオフショア金融市場が銀行間取引のメイン市場となった今となっては、世界の主要銀行はすべて、オフショア・バンクでもあり、必ずしも特定の銀行群を指し示す単語ではありません。

ここでは、個人・法人の資産運用を業務とする、オフショア・センターに設立された金融機関という狭い意味で説明します。

オフショア・バンクは 政治的な干渉を受けにくいという事情から、世界の富裕層がその金融資産の大部分をオフショアで保全・運用しています。 IMFでは、オフショアで運用されている資産は全世界で 5兆-7兆USドルに上ると推計しています。

オフショア・バンクのなかで、ゴールドマン・サックス、JPモーガン、メリルリンチ、スミスバーニーなどのもともと証券会社から発展した金融機関は、しばしば投資銀行と呼ばれ、資産家に ターゲットを絞った運用成績重視のサービスに特化しております。 一方 HSBC、スタンダード・チャータード、 シティバンクなど、商業銀行が総合化した銀行は、より広い顧客層に対してサービスを提供しています。

UBS、クレディ・スイスは、スイスの伝統ある金融機関ですが、最先端の資産運用、資産管理技術を持ち、高度な プライベート・バンキング・サービスを誇っています。

名前をあげたような超大手金融機関は、自社やグループ企業で運用会社をもっており、それぞれに金融商品を 開発し、自社で運用し、また他の金融機関へ金融商品の卸販売もしています。

【2】オフショア銀行・口座、それぞれの金融機関が提供するサービス

1.)預金+決済口座 
単一通貨もしくは多通貨の、預金商品による運用と決済機能だけの口座。小国のオフショアセンターに多い銀行口座。口座開設時の最低預け入れ金額は、数万円から数十万円。

2.) 預金+決済+投資口座 
シンガポール、香港のオフショア・センターに多い銀行口座。シティバンクIPB ブルー会員、HSBC バンテージ口座一般会員などが該当。預金型商品だけでなく株式や、ファンドや、公社債などの売買も同じ口座ででき、クレジットカードなどのサービスも利用できる場合が多ようです。運用窓口担当者が付くこともあるが、顧客の求めに応じて情報を提供するという役割です。口座開設時の最低預け入れ金額は、数十万円から数百万円。

3.) プライベートバンキングに近い投資口座 

シティバンクIPB ゴールド会員、HSBC バンテージ口座ゴールド会員、リーマン・ブラザーズ、メリルリンチ、スミスバーニー, DBS, UOB, OCBC のオフショア口座など。投資相談担当者がそれぞれの顧客の要望を理解し、金融商品の紹介や情報提供をしてくれます。

また金融機関によっては大口用の条件のよい ( 広く一般に販売していない) 商品も紹介ができます。遺産相続に関する相談や、総合的な資産管理のアドバイスは基本的に提供しません。

口座開設時の最低預け入れ金額はUS$100,000- US$250,000(1200万円-3000万円)以上。当然ながら担当者のサービスの度合いは預け入れ金額によって変わってきます。

4.) 大手金融機関のプライベートバンキング 

ゴールドマン・サックス、JPモーガン、 UBS、クレディ・スイス などが大手ですが、上に揚げた金融機関も含め、ほとんどの海外大手銀行が大口顧客にプライベートバンキング・サービスを提供しています。

金融機関向けの商品を小分けにして紹介、販売することもできます。投資相談担当者が遺産相続に関する相談や、総合的な資産管理のサービスも提供します。顧客の要請に応じて、資産の信託運用のサービスも提供します。

通常 0.1-0.5 % 程度の年間資産管理料を取り、それが銀行の収益となります。口座開設時の預け入れ金額は通常US$1Million(1.1億円)以上という設定をしているところが多いですが、金融機関によっては US$5Million以上の預け入れを求めます。 

プライベート・バンキングでポートフォリオに組み入れる各金融商品の購入金額はロットが大きいため、プライベートバンキングのメリットを享受するためには、最終的には数百万USドルの運用規模が必要と言われています。

口座開設の審査が厳しく、最近は資金の出所がはっきりしないと簡単には開けなくなっています。

5.) パートナーシップのプライベートバンク   

ピクテ(Pictet&Cie), ロンバー・オディエ(Lomberd Odier&Cie), ダリエ・エンシュ(Darier Hentsch&Cie) など。
スイスのプライベート・バンクは、一般的な意味でのオフショア・バンクではありません。

預金の勧誘や、貸付業務を行わないパートナーシップという経営形態であるため情報開示義務がなく、顧客の守秘義務が保証されています。 通常半分以上の資産を一任勘定で運用します。

資産は長期的な保全の観点で運用され、資産継承まで含めた総合サービスを提供する形態です。欧州の資産家の金融資産の40%は、スイスのプラーベート・バンクにあると言われています。

最近は、資産保全が主眼のプライベート・バンクは、資産運用が主眼の世界の大手金融機関のプライベート・バンキング・サービスにおされております。

預け入れ資産はUS$1Million程度から対応しますが、通常一見の顧客の資産は預かりません。最低限、既存顧客の推薦や、取引銀行からの人物紹介などのレターが必要です。

顧客の情報の秘匿は徹底的に遵守しますが、一方顧客が預け入れる資産の出所も徹底的に調べます。

【3】プライベートバンクの利用傾向、目的

利用者の数で言えば、日本人が利用しているオフショア銀行は, ほとんど上記の1.), 2.), 3.)のタイプであり、4)プライベートバンキング、5)プライベートバンク利用者はごく一部の数億円以上の資産家です。

4.), 5.), のサービスは、特に包括的な節税対策や、多額の資産継承において真価を発揮します。

1.), 2.), 3.)のタイプの場合、その金融機関では扱っていないファンドや保険型商品などの購入をしたい場合、別に証券会社や保険会社と契約し、オフショア銀行口座を決済口座として売り買いをすることになります。

弊社では、様々な資産クラス、目的に応じたプライベートバンク、
プライベートバンクサービス、ポートフォリオの構築のお手伝いをさせていただきます。

【エムズアジアホールディングスの提供サービス】
・香港法人の設立
・香港法人・オフショア法人の記帳・決算・監査・申告
・中国法人の設立
・中国法人の記帳・決算・監査・申告
・オフショア・BVI法人の設立
・海外資産保全サービス
・プライベートバンキングの紹介
・海外(香港、シンガポール)銀行口座の開設
・海外(香港)証券口座の開設・
・海外ファンド組成
・海外(香港)進出支援(オフィス紹介、住居紹介、人材紹介)

EMZ ASIA HOLDINGS Co., Limited.
(中国名:愛慕斯亞細亞控股有限公司)
エムズアジアホールディングス
Customer Desk カスタマー デスク

Unit 2-3, 23F/., Technology Plaza, 651 King’s Road,
North Point, Hong Kong
TEL:(852) 2561 - 6722/FAX:(852) 2565 - 8488
E-mail:customer@emzah.asia
URL:http://emzah.asia

2014/04/11 エムズアジアホールディングス

エムズ株式会社

フィリピン不動産投資の魅力 



【1】フィリピン不動産は物件価格が安く、ローン購入もOK。

現地の富裕層や海外駐在員などが好んで住む、「マカティCBD(経済中心地)」の最高級コンドミニアム(高級マンション)の㎡単価は、東京都心の最高級マンションと比べて、概ね「1/4」程度です。

フィリピンの高級コンドミニアムは、24時間ガードマン常駐のセキュリティゲート、プール、ジムなどが完備されているのが一般的で、日本よりも安いコストで、都心一等地のクオリティの高い物件を手に入れることができます。

【2】低額なローカル向け住宅を、外国人でも購入可能

フィリピンでは、外国人が購入する際の最低購入価格等は定められていないため、高級コンドミニアムに限らず、ローカル向けの低価格帯の物件でも、投資用として購入することが可能です。

1戸数百万円の小型物件をワンフロア分所有し、ローカルの人々から家賃収入を安定的に得るという、日本でいうアパート経営のような投資方法も可能です。

更に、人口増加・経済発展に伴い、不動産価格が年々上昇しているフィリピンなら、日本とは異なり、値上がり益も期待できます。
住宅ローンを利用して購入可能、更に頭金も分割支払いが可能。
購入するフィリピン不動産を担保に、現地銀行から住宅ローン融資を受けて購入することも可能です。

また、フィリピンでの住宅ローンは日本とは異なり「ノンリコースローン」であるため、万一、ローン返済が滞った場合でも、物件を手放せばそれ以上の返済義務を負う必要がなく、投資におけるリスクを限定することができます。更に、頭金(20%~50%)を

数年掛けて分割払い(無利子)することも可能で、その場合、当初支払額を月々数万円程度に抑えることができます。

【3】何故、フィリピンの不動産価格はまだ割安なのか?

フィリピンの不動産価格がアジアの中でも格安水準にある理由としては、周辺アジア諸国は1990年代にかけて、「東アジアの奇跡」とも称される目覚ましい発展を遂げ、不動産価格も上昇していった一方、フィリピンは1980年代の政情不安などの影響で経済の停滞が長く続き、不動産価格も安値に放置されていたこと等が挙げられます。

近年、政治の安定や政府の積極的な外国資本誘致によって、フィリピンがアジア屈指の高成長国へと変貌を遂げ始めている中、まだまだ割安感のある今こそ、フィリピン不動産投資をスタートさせるには絶好のタイミングと言えるでしょう。

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2014/04/10 エムズアジアホールディングス

エムズ株式会社

輸入ビジネスで考えるべき仕入先の供給能力は?

輸入ビジネスをする場合、できるだけ代理店契約を結びたいと考えるのが一般的ですね。
それも独占的な販売権がある包括代理店契約のほうが営業的にベターであることは間違いありません。

しかし、包括代理店契約以外にも考えておくもうひとつの経営判断ポイントがあります。
「買いの与信」ということを考えてみてはいかがでしょうか。
つまり、海外の仕入先にはどれだけの供給能力があるのか契約前に調査・確認しておくことです。

海外から仕入れて国内の需要者に安定的に供給するのが輸入商社の役割だからです。
また自分で使うために輸入する場合も供給の安定は最大課題となるでしょう。

輸入購買契約には必ず「不可抗力条項」が含まれています。
一般的には天変地異での納期遅れなどの契約不履行は売主責任でないことを規定しますが、一部の不可抗力条項には売主の下請けからの納期遅延も含まれている場合があります。

売主としてのリスク回避からだと思われますが、輸入する側にとっては安定供給の面で不安要因を抱えることになります。

このようなことがないように仕入先の供給能力の実態を知っておくこと。
もうひとつの経営判断ポイントになろうかと思います。

2014/03/03

「直接輸出 対 間接輸出」商社機能の活用を見直す

国際貿易の学問的研究の世界では、「貿易論」と呼ばれる研究分野があります。
「貿易論」では商社の果たす役割=間接輸出への研究が急速に進んでいます。
日本の貿易構造を「直接輸出 対 間接輸出」に分けて論じられている点に注目です。

商社経由の間接輸出は、日本の貿易構造の大きな特徴でした。
特に為替管理が行われていた1970年代は商社経由だけと言っても過言ではないでしょう。
商社が輸出メーカーに対してのファイナンス機能も果たしていたからです。
「商社」の果たしてきた役割が重要と指摘されている所以です。

その後、商社無用論が論じられた時もありました。
経済自由化が進むに従って、誰でも商社に頼らないでも輸出できる時代です。

海外展開をするには、先行投資が必要となります。
取引先の開拓や物流構築などのビジネスモデル作りをしなければなりません。
こうした費用負担ができる生産性の高い企業は自力で直接輸出することができるでしょう。

しかし、自分で生産した製品を自分自身で輸出できない場合はどうでしょうか。
商社のインフラを利用した間接輸出を行うことになるでしょう。

企業の生産性といった視点だけでなく、その他の商社機能も活用すべきでしょう。
輸出が容易な国には自力で直接輸出できる企業も、輸出が困難な国には商社を通じて間接輸出を行うことも一案でしょう。

最近は誰でも自力で海外展開を考えられる時代になりました。
商社機能の活用という観点から「直接輸出 対 間接輸出」を考えてみてはどうでしょうか。

関連コラム:
海外展開・よくあるご相談 2012/09/24

2014/01/20

南米各国へのパイロット市場・チリ

「チリから南米を攻める」チリのビジネス環境・将来性が紹介されている。
JETROサンティアゴ事務所堀之内所長の視点に注目したい。
(東商新聞 World Topics 2013/10/20)

チリ市場を足場に南米市場を攻めようとするビジネス展開が動き始めているようだ。

チリは、日本と2007年にEPAを締結しており、さらにTPPでのメンバーと密接な関係となっている。
チリというと銅鉱山などの鉱物資源を連想しがちだが、チリ産ワイン、サーモンは日常よく見かける。
これだけではなく、二国間の経済関係は想像以上に密接だと解説している。

開放経済政策で、チリは、世界60か国以上と自由貿易協定FTAや経済連携協定EPAを締結している。
このため、日本・欧米・韓国などから60以上のブランドの新車が輸入されているという。
日本車の販売シャアも27%を超えているという。

小売り・流通市場へも日本から食品(醤油やインスタントラーメン)やアパレルが浸透してきているという。

日本企業が南米ビジネス戦略を練る上で、ビジネス環境のよいチリに注目してほしいとアドバイスしている。

2013/10/29

海外取引をサポートしている2種類の保険

「貿易保険の補償拡大」との新聞記事が目に留まりました。
経済産業省が貿易保険の仕組みを見直す方針と報道されています。
今年アルジェリアでおきた日揮のテロ事件がきっかけのようです。

貿易保険では事業継続ができない場合のみに補償適用されています。
今回のように即撤退でなく、一時中断の際にも適用できるよう法改正するとのことです。

海外取引に使われる保険には2種類あります。

輸出入でよく使われる保険は、「貨物海上保険Marine Insurance」です。
航海中の危険(沈没、水濡れ、盗難、火災など)を損害保険会社が補償しています。

企業の海外進出リスクを減らすため、政府機関が後押ししている保険もあります。
カントリーリスク(非常危険や信用危険)を補償する「貿易保険Trade Insurance」です。

関連コラム:
中国・反日デモと貨物海上保険 2012/10/08

2013/09/24

LC以外の国際決済方法



初めての輸出取引、「代金回収は大丈夫か?」最大の心配ごとだと思います。
最近あったお問い合わせです。
LCで取引をすれば万全でしょうか?」

かつて為替管理が厳しかった時代には、国際決済は銀行を通さないとできなかった、それも特定の銀行だけでしか国際業務ができませんでした。

輸出取引の場合は、海外から受け取ったLCを割り引いて資金繰りに利用するなど、まさに輸出企業にとってLCは国際手形の役割を果たしていました。

でも、最近はネット通販などEコマース全盛の時代です。
一度もLCを利用したことがないという企業も多いのではないでしょうか。
手続きが簡単な外貨送金を利用している企業が増えていると実感しています。

2013/08/26

ミャンマー・ダウエー港はインドへのゲートウェイ 

ミャンマー・ダウエー港が東アジアの物流拠点として注目されています。
自動車業界の最新情報に目が留まりました。
(WEDGE 2013年7月号)

アジアのデトロイト・タイと、新興デトロイト・インドとの間のFTA協定を利用してこの2国間での現地調達が活発になっていると報じられています。

インドシナ半島を横断する南部回廊がバンコクからダウエーまで延伸されたことで、太平洋とインド洋をつなぐ大動脈となると期待されています。
日本・ASEANとインドを結ぶ壮大なサプライチェインが構築されつつあります。

関連コラム:
ミャンマー・ティラワ経済特別区【アジア市場】 2012/08/27

2013/07/08

日本にはたくさんの「お宝商材」が埋もれている! 

TPP交渉でアメリカから日本市場開放への圧力が強まるのではないかといったマスコミの論調もありますが、アメリカが日本の産業活性化に注目している動きもあります。

マサチューセッツ工科大学(MIT)/スタンフォード・ベンチャー・ラボのアドバイザーも務めているポール・チン博士から、Re-Vitalize & Monetize the Old Businessというタイトルのプレゼンを伺う機会に恵まれました。

海外展開への動きが活発化しているが、取り組み方を変えようと力説されています。

・米国市場から見て、日本にはたくさんの強みがある。
・でも、多くの商材が埋もれている。
・日本の強みを活かした相乗効果で、新しいビジネスチャンスが作れる。

米国式ベンチャー育成の考え方で、日本の中小企業の持っている埋もれた商材を発掘して、新しいビジネスを創造して活性化につなげたいという趣旨です。

そのために、今までの各企業単位での取り組みではなく、中小企業のチームとしての取り組みを提案しています。

米国大使館もこの提唱に期待しており、今後の活動に期待したい。
とかく中国・ASEANへ目が向けられがちの海外展開だが、米国市場の懐の深さを再認識すべき時期なのではないだろうか。

2013/04/08

シンガポールへの進出リスクか?就労ビザ 

シンガポールを拠点としたビジネス展開を検討している企業は多い。
インフラ・税制面で外資進出にとって、シンガポールは魅力的だ。

ジェトロ・シンガポール事務所(椎野次長)の最新レポートに注目したい。
(東商新聞 2013-03-20)

シンガポールの総人口は、531万人。このうち、外国人はなんと202万人もいる。
パーセンテージにすると、38%も外国人が占めていることになる。
2030年には外国人比率が45%に拡大との見通しもあるようだ。

外国人の増加に対して国民から強い不満が出ているという。
不動産価格をはじめインフレ傾向、交通機関も混雑してきているなど。
政府施策へ公然と反対集会まで開かれているという。

政府の外国人受入政策に変化が現れているようだ。
今後、就労ビザの発給が厳しくなるのではないかと報告されている。
就労ビザの問題を進出リスクとして考えておく必要があるとアドバイスしている。

関連コラム:
ASEAN+6をシングルマーケットに【アジア市場】 2012/11/26

2013/03/27

ASEANの話題BIMP-EAGA地域 

世界の通商交渉で主役になるASEANの話題です。

赤道直下にあるBIMP-EAGA地域をご存知ですか?
Brunei-Darussalam Indonesia Malaysia Philippines East Asia Growth Areaの略。
東ASEANに位置するブルネイ・インドネシア・マレーシア・フィリピンの各国のこと。

ASEAN諸国との貿易をサポートしている日本アセアンセンターの活動に協力する趣旨で、「アセアン協力会」がスタートしている。
アセアン協力会の公式ブログhttp://blog.livedoor.jp/ascblog/

関連コラム:
人気ジャーナリストがASEANに注目 2013/02/13

2013/03/21

海外販路網構築講座その7 販売代理店の動機づけ2013/03/15



海外販路網構築講座 その7:海外巨大市場の攻略方法―代理店の動機づけ―

米国の株価が史上最高を更新し続けています。ここ数年アジアからの攻勢に押されてきた米国製造業でしたが、シェールガス革命によるエネルギー価格低下と金融緩和、オバマ大統領のメイドインアメリカ製品への政策支援によって急速に復活しつつあります。もともとGNPではヨーロッパにほぼ匹敵し、アジアの中国・日本・韓国を合わせた以上の巨大市場、復活し始めるとそのインパクトは大きいものがあります。

現在、ニューヨークではテロで倒壊した貿易センタービルの後、さらに巨大な建築中のビルが偉容を誇っています。「テロに屈しない」というアメリカの強い意志をアピールしているかのようです。マイアミは中南米への玄関口として発展著しいです。ブラジル等の中南米の好景気にささえられて人口も急増しています。そしてメキシコと接する南部地域には一端中国に進出した工場が戻ってきています。やはり市場に近いところで生産した方がよいという判断があるようです。こういった米国のような多様な巨大市場を攻略するには販売代理店の活用が不可欠です。

先日の米国出張で訪問したニューヨーク近郊のA社はもう30年以上にわたって日本の大手メーカーM社の販売代理をしています。玄関口にメーカーからの表彰状がいつくも飾られていました。こういった事はよくあって、弊社のシアトルオフィスの近くにある電子機器の販売代理店は、たった2人のセールスレップでしたがソニーからの感謝状が飾ってあります。

別のセールスレップは、日本の某大手企業の全米トップ20位にはいる販売代理店になり、ご夫妻で日本に招待されたことがあるそうです。「空港に豪華バスが迎えに来てくれたのだが、皆のスーツケースが入りきらないでね。急遽、もう一台、荷物用のバスを用意してくれて、それで日本中を回ったよ。」と楽しそうに思い出を語ってくれました。

こういった話を聞くと、代理店にとってメーカーからその努力を認めてもらう事がいかにうれしい事なのかが、よくわかります。下記はそういった代理店へやる気を出してもらうための具体的方策例です。

‐代理店契約を結んだら、その任命書を与える。(潜在顧客に見せられるように)。
‐はじめて代理店経由でモノが売れたら、それが少量でもThank you mailを打つ。
‐もっと売れたら、優秀代理店として表彰してやる。
‐もっと売れたら、日本に夫婦で招待してやる。

というように必ずしもお金をかけなくても、やる気にさせる手段はあります。代理店契約を結んだのなら、気持ちよく働いてもらえるように、いろんな方策を考えましょう。海外販売担当者は、「自分が売り込みに行く」という発想から「よい代理店を見つけて彼らにやる気を出させるのが自分の役割」と考えた方がよいです。特に米国や中国、欧州等のような広大な市場では各地の代理店活用を真剣に考えるべきです。自分(自社)で出来る事には限りがありますからね。

2012 © 大澤裕@ (株)ピンポイント・マーケティング・ジャパン

露の日本人経営者が「カモ」に 【ロシア市場】 

3月10日読売新聞ワールドビュー記事のセンセーショナルなタイトルに目が奪われました。

海外進出をする際のリスクとして考えておくべき事例として紹介したい。
ロシアに魅せられて大学留学、卒業後ロシアで起業した日本人起業家の紹介記事でした。

日本食ブームのモスクワでレストランをオープンしたが、2年足らずでクローズせざるを得なかった。
レストランへの定期的な立ち入れ検査で罰金をとられる、それも頻繁に行われた。
挙句の果てに、ニセの検査員まで「たかり」に登場。
ついに、クローズの決断をせざるを得なかった。

このような事例はロシアだけに限らないと思える。
「たかり」にあわないような自己防衛策も大事だが、受け入れ国として、起業家のリスクを少なくしてビジネスがしやすいように改善して欲しいものである。

2013/03/12

公認会計士の海外展開講座その5 香港政府予算 2013/03/04

公認会計士の海外展開講座 その5 【2013/14年度香港政府予算案】

日本では、2015年からの相続税の引き上げ、2014年からの消費税の引き上げ、厚生年金基金の解散など、お金の暗い話ばかり議論されていますが、香港では様相が全く異なります。

香港も盛れなく、高齢化、歳入の減少が叫ばれていますが、なんといっても特筆すべきは、税金の還付です。ここ2年間、納税者にして、一律HKD6,000が還付されるという大胆な施策が実施されています。
消費税や相続税もなく、キャピタルゲイン課税もなく、低所得税、低法人税でも、このような施策を実現できるということが、我が日本人にとっては、とても耳が痛い所です。

2013/14年度香港政府予算案が発表され、歳出予算の総額は前年比15.6%増の4,400億香港ドル(約5兆2,140億円)で、予算の配分先はこれまで通り、教育、社会福祉、医療が中心であり、これら3分野で経常支出の6割を占めています。

一方、歳入予算の総額は4,351億香港ドル(約5兆1,559億円)にとどまり、来年度は現時点で約49億香港ドル(約581億円)の歳入不足が見込まれることになります。

注目される財政上の支援策は下記の通りとなっています。
■ 事業所得税・給与所得税および個人総合課税の75%減免(上限10,000香港ドル)
■ レーツの免除(1物件あたり上限1,500香港ドル)
■ 住宅用電気料金の補助(1,800香港ドル)
■ 公営住宅賃料の2ヶ月分免除
■ 総合社会保障支援制度による給付金の1ヶ月分増額
■ 社会保障給付金制度における高齢者手当、高齢者生活手当、障害者手当の1ヶ月分増額

また、演説の終盤近くの「Embracing the Challenges Ahead」という箇所では、そこに題された通り、香港の前途に横たわる高齢化問題から目を背けるのではなく、それをembrace(受容)した上で、将来予想しうる財政上の困難に備える必要があることを述べています。

また、この問題を長期的視点に立って研究するためのワーキンググループを設置することも明らかにしています。

香港では現在、現役世代5.3人で1人の高齢者を支えている形ですが、これが30年後には現役世代1.8人で1人の高齢者を支えるようになります。

今回の予算演説には、人口構成の高齢化に伴って将来予想される歳入不足に対し、例えば、これまでのような公有地の売却やFundの剰余金による穴埋めというような、その場しのぎの対応にはもはや限界があり、何らかの抜本的な対応が必要だという思いが見て取れます。

財政長官の脳裏には、例えば近い将来の消費税の導入なども描かれているのでしょうか。

なお、財政長官は予算案の発表に先立ち、前年の香港のGDP成長率が+1.4%にとどまったことを明らかにした上で、2013年のGDP成長率も+1.5~3.5%の比較的低い数値にとどまるとの見通しを示しています

2012 © 佐久間 将司@EMZ株式会社

「公認会計士の海外展開講座その4 2012年度シンガポール政府予算案のポイント(3)」はこちら

人気ジャーナリストがASEANに注目 

まずは、ジャーナリスト・池上彰の見たASEAN。
「学べるニュース そうだったのか!」で、チャイナプラスワンとしてのASEAN特集がTV放送された。

ASEANの魅力は、やはり人口が多いことに注目している。
なかでも民主化の進むミャンマーを取り上げ、「自由に商売ができるようになった」、「情報が自由に入ってくるようになった」といった庶民の声を紹介、歴史的に「親日的」であることを強調していた。
日本が官民でインフラ整備を支援している経済特区への製造拠点進出だけでなく、マーケットとして考えると、「親日的な人が多いこと」が大きな魅力と強調している。

続いて、ジャーナリスト・田原総一朗の見たASEAN。
15年ぶりにインドネシアを訪れ、最新のコラムで成長するインドネシアを取り上げている。
「熱気あふれるインドネシアは日本のASEAN戦略の拠点」(日経BP Net)

「それにしてもインドネシアはいつの間にこんなに成長したのだろうか?」と書いている。

ASEANの人口は6億人、主要国の国内総生産(GDP)成長率は5%以上と高い。
なかでもインドネシアがASEAN最大の人口(2億4000万人)であることを取り上げ、
インドネシアは日本のASEAN戦略の拠点になると注目している。

最後に「日本の関心はこれから、否応なくASEANへ向かっていく。世界がASEANに注目していると言ってよい。」と締めくくっている。

2013/02/13

将来性のあるパキスタン市場【アジア市場】 

日本とパキスタンの関係は古い。パキスタンは綿花の産地であり、日本の繊維産業はパキスタンから多くの原綿を輸入して、戦後復興の主役であった。しかし、最近はイスラム過激派のテロのイメージが強く、治安上の問題点がクローズアップされてしまっている。そのためか、パキスタンに進出している日系企業は少ない。

JETROカラチ事務所白石所長が最新パキスタン事情を紹介している。(東商新聞 2012/11/20)
マイナスのイメージだけではないという。初めてパキスタンを訪問したビジネスマンも、「思ったより普通」、「他の東南アジア諸国よりきれい」との第一印象が紹介されている。

農林水産物や鉱物資源の調達拠点としてだけでなく、製造拠点として、また中東・アフリカ地区への輸出拠点としての将来性に期待を寄せている。特に、人口1億7千万人にも注目すべきだろう。
それも若い世代が半数以上であり、国内消費市場としても魅力がある。2023年にはブラジルを超えて世界第5位の人口大国になることも見込まれており、この点でも将来性があるだろう。

最近、パキスタン最大級の見本市「エキスポ・パキスタン」でジャパンブランドに対するイメージ調査をジェトロが行ったという記事があった。品質のよさから「ジャパンブランド好き」の国民性を考えると消費者市場としても注目すべき市場であろう。

2013/01/28

「自己主張」は国際ビジネスの鉄則 

「Agree to disagree、同意しないことに同意する」
「世界最大の気象会社になった日」(石橋博良著 IDP新書)

大手木材商社での経験から、気象情報サービスの世界に転進。夢と信念とたゆまぬ努力をもって、世界のトップ企業になったウエザーニューズ社創業社長・故石橋博良氏の言葉です。

さまざまな人種・民族が混在する国際社会でビジネスをするとき、考え方が違っても、選ぶ道が違っても、この考え方が鉄則と力説しています。

よい意味での自己主張は、国際ビジネスすべてに大切なことだと思います。

2013/01/18

マレーシア市場の強み【アジア市場】 

マレーシアに進出している日系企業に対して現地日本人商工会議所とJETROクアランプール事務所が行ったアンケート調査結果が東商新聞(2012/12/20)に紹介されている。

マレーシアに進出している日系企業は、現在1,409社。内訳は、製造業52%(729社)と非製造業48%(680社)とほぼ同じ割合。
JETROクアランプール事務所の分析によると、製造業のうち40%強は、電気・電子関連。特に、主要家電メーカーの拠点工場があることから、関連産業の電子部品産業も多く進出してきている。

「政治が安定している」「語学力が高い」「インフラが充実している」、いずれも現地進出の日系企業がマレーシア市場の強み(投資の魅力)として挙げている。
しかし、「通信環境が悪い」との課題もあるようだ。特に、インターネット環境には「不満」と回答した企業が半数を超えているようだ。

課題もあるが、多くの魅力を持っているマレーシア市場の強みに注目だろう。

2013/01/15

グローカル人財は海外展開のキーポイント

海のエッセイスト・拓海広志さんのブログHellosea Worldで拝見しました。

・ただのグローバル人材では、なかなか世界では通用しない
・グローバル+ローカルにも適応できる「グローカル人財」の考え方が大事!

Japanブランドや日本独特の強みなど「商品力」も大事な経営判断材料ですが、ビジネスを行うのは、人と人です。グローバルとローカルを併せ持った柔軟な思考やコミュニケーション能力は、最優先に考えるべきことでしょう。

海外展開の経営判断でもっとも大事なことだと思われます、大いに共感します。「人材」でなく、「人財」にも注目です。 

拓海広志さんのブログHellosea World
http://d.hatena.ne.jp/HelloseaWorld/20121231/p1
http://d.hatena.ne.jp/HelloseaWorld/20130106

2013/01/07

海外販路網構築講座その6 グローバル経営人材育成2012/12/13



海外販路網構築講座 その6:グローバル経営人材育成講座

首都圏産業活性化協会(TAMA協会)というところで、グローバル経営人材育成講座のアドバンスコースを担当させていただきました。海外販路の作り方、展示会活用の仕方、代理店候補への提案書の作り方、契約書の作り方、法的な問題点等を実例挙げて説明し、プレゼンも各社4回していただきました。

面白かったのは他社紹介です。2人でペアになって、相手を15分程インタビューしたあとで相手の会社の概要と製品を皆さんの前に紹介発表してもらったのですが、皆さん自分の会社を説明するよりも、他社の事の方がよほどうまく説明されます。自分も知識のない業界の事なので、素人にもわかるように噛み砕いて説明してくれるのです。また自分自身をアピールする事には抵抗があるが、他社の事は遠慮なく誉められるのでしょう。

我々、ピンポイント・マーケティング・ジャパンも「業務内容が一番分かりやすいのはジャングルシティーのインタビュー記事でした」と言われる事があります。自社のHPよりも外部の人が書いたインタビュー記事の方が分かりやすいというのですから、マーケティングの会社として若干恥ずかしいものがあります。日本人的謙虚さを我々ももっているのでしょう。

さて、海外におけるマーケティング力は1.語学力・文化的適応力 2.提案力 3.交渉力に分けられます。

一般的には1が強調されることが多いのですが、今回のグローバル経営人材育成講座のアドバンスコースで私が強調したのは2の提案力と3の交渉力でした。というのは、日本企業は海外の販売会社に向けて「自ら提案する」という事がほとんどないからです。製品を海外展示会にもっていって「こんな製品です。よろしくお願いします。」と製品説明だけして販売戦略に関しては、完全にノータッチ・提案待ちの姿勢です。

必要なのは、どういった海外販売パートナーで、何をしてほしいのか、そしてその販売パートナーにどういったメリットがあるのかを明確に説明できる会社は非常にわずかですし、それを販売代理店契約書に落とし込んで提出できる形にしている会社は更に少ないです。これではいくら海外展示会に出展しても販売パートナー候補との契約には至らないでしょう。

私のコンサルティングしている会社でこの半年で海外代理店を10社も次々と獲得して順調に海外販売を伸ばしている会社があります。上記のような準備をしてから国内・海外展示会に出展するようになったからです。出会いを具体的な形にもっていく手順を作ったとたんに成果が表れ始めたのです。

グローバル経営人材育成講座のアドバンスコースでも、そのような説明をして海外の代理店候補(セールスレップ・ディストリビューター候補)への提案をプレゼンしてもらいました。数年後、参加企業の中からグローバルニッチ企業が生まれている事を信じています。

2012 © 大澤裕@ (株)ピンポイント・マーケティング・ジャパン

「海外販路網構築講座その7 販売代理店の動機づけ」はこちら

「海外販路網構築講座その5 海外への技術ライセンス交渉」はこちら

貿易の基本6:B2BとB2C の貿易 

EC・WEBショップを運営している方からよくある質問です。
「B2BとB2C の貿易はどう違うのですか?」

B2Cは、電子媒体を通じた電子商取引、つまり、消費者の視点で、商品開発を行い、最適地で生産をした商品を最適コストで調達する。

消費者を顧客に置きかえれば、B2Bでも、全く同じ考え方ですね。
ですから、B2Cだからといって、特別な貿易形態ではないのです。
B2BもB2Cも、同じなのです。

貿易とは、当たり前ですが、国内取引ではありません。
異なる国の間で行われる売買取引です。

当然、言葉が異なる、商慣習・法制度も異なる国同士での取引となります。
そのために、国内取引と比較すると、より多くのリスクがあります。

国内取引でもそうですが、売主と買主の利害は反しています。
ですから、当事者間のトラブルはつきものなのです。
これも、どの形態の貿易にも当てはまると思います。

B2Cだからといって、特別な貿易形態ではないのです。
B2BもB2Cも、同じようにリスクはあるのです。

まとめ:
・B2C貿易は特別な貿易ではない
・B2B貿易と同じルール=貿易の基本は同じ

でも、売主と買主の利害は反する

そのために、3ポイントをたえずチェックしましょう。
・売買当事者の責任範囲と免責範囲を明確にする
・最悪を想定した契約管理を行なう
・自らクレームリスクを招かないようにする

2012/12/10

公認会計士の海外展開講座その4 シンガポール政府予算3 2012/12/04

公認会計士の海外展開講座 その4 2012年度シンガポール政府予算案のポイント(3)

M&A控除
M&A所得控除(2015年3月31日までの時限措置)に関し、株主取得にかかった費用(株価算定、デューデリジェンス等)について、1賦課年度につきS$100,000を限度として費用の200%の所得控除が認められます。
また、現行では、直接買収または直接の100%子会社を介した買収のみが対象ですが、孫会社等の間接の100%子会社を介した買収についても対象とされます。改正は、2012年2月17日以降に完了したM&Aについて適用されます。

内装工事費控除
一般の事務所や店舗の内装工事は、2008年2月16日から2013年2月15日までの期間に発生した所定の費用に限りS$150,000を限度として3年間の減価償却が認められていますが、2013賦課年度より限度額がS$300,000に引き上げられます。

少額固定資産の全額償却
現行では、1資産当たりの取得価額がS$1,000以下の固定資産の取得について1賦課年度につき合計S$30,000まで全額償却が認められていますが、2013賦課年度より1資産当たりの取得価額の上限についてS$5,000に引き上げられます。

個人所得税及び中央積立基金(CPF) 拠出金
個人所得税及びCPFに関して、高齢者及び障害者のための改正がいくつかなされました。
55歳以上または障害者について、2013賦課年度より勤労所得控除の金額が現行の2倍に引き上げられます。

これにより、健常者の場合、55歳から59歳の勤労所得控除はS$6,000、60歳以上の勤労所得控除はS$8,000になります。
また、2012年9月1日より51歳以上の従業員のCPF拠出率が引き上げられ、雇用主の拠出率は51歳から55歳について14%(現行12%)、56歳から60歳について10.5%(現行9%)、61歳から65歳について7%(現行6.5%)へ引き上げとなります。

2012 © 佐久間 将司@EMZ株式会社

「公認会計士の海外展開講座その5 2013/14年度香港政府予算案」はこちら

「公認会計士の海外展開講座その3 2012年度シンガポール政府予算案のポイント(2)」はこちら

ASEAN+6をシングルマーケットに【アジア市場】 

「中国進出の入口として台湾経由がベターか?シンガポール経由がベターか?」
最近のセミナーでの質問です。

シンガポールが進めている施策「ASEAN+6をシングルマーケットに」も含め、アジア展開の拠点としてシンガポールが着目されている。

以前から中継貿易の拠点として、シンガポールの物流ハブとしての機能はよく知られている。中国だけでなく、中近東も含めたアジア地区への拠点としてのシンガポールに着目したい。

物流ハブ機能を生かしたサプライチェインにプラスして、研究開発・マーケティングにシンガポールを統括機能として利用している海外企業が多いという。
中継貿易の拠点というと、製造業の進出先と思われないが、製造業の占める割合が25%超という。

このような複合的な機能以外に、アジア地区にありながら、シンガポールは、「明快なルールと運用」が行われている点も経営判断材料としては心強い。

シンガポールが進めている施策「ASEAN+6をシングルマーケットに」も含め、アジア展開の拠点として考えたらどうだろうか。

中国進出へのベストパートナー 2012/02/14

2012/11/26

2050年の世界・・・ 

今年4月、日経連・21世紀政策研究所が発表した2050年の世界・・・
(グローバルJAPAN報告から一部を抜粋)

・アジアが世界のGDPの半分を占める
・ヒト・モノ・カネがもっと自由に国境を超える時代になる

そのために、
・ITをいかに使いこなせるかが経済成長のカギになる

グローバル展開するためには、
・「英語」「IT」だけでなく、幅広い教養を持った人材が必要になる
・グローバル人材育成のための教育制度の見直しも必要になるだろう

2012/11/19

公認会計士の海外展開講座その3 シンガポール政府予算案2 2012/11/03

公認会計士の海外展開講座 その3 2012年度シンガポール政府予算案のポイント(2)

特別雇用助成金(SEC)
2011年の予算案において導入された特別雇用助成金(SEC)は、対象者が55歳以上に限定され、かつ支給額も1人につき最高S$35というものでした。

外国人労働者に代わる労働力となりうる高齢者の雇用を促進する制度としてSECの内容が見直され、50歳以上のシンガポール国籍の従業員の雇用主に対して、月額賃金S$3,000以下の従業員については賃金の8%(最高S$240)、S$3,000からS$4,000の従業員についてはS$240からS$0の賃金に反比例する金額が支給されます。
2012年1月から2016年12月までの賃金が対象となり、毎年1月から6月および7月から12月の6か月間のCPF納付記録に基づき、9月および3月の年2回の助成金が交付されます。

生産性・技術革新控除(PIC)
生産性の向上を後押しするための優遇税制として導入されたPICに関しては、企業によるこれらの支出をさらに促すため、以下のような改正がなされました。

①所得控除に代わる助成金交付について、支給額を最高S$100,000までの支出額の60%(最高S$60,000)とする。
(2011賦課年度および2012賦課年度については最高S$200,000までの支出額30%であった)

②社内での教育訓練費については、1賦課年度につきS$10,000を限度として労働力開発庁(WDA)の認証要件を満たさないものも対象支出に含める。

③代理店に対して実施する社員教育の費用について、所定の要件を満たす場合には対象支出に含める。

④研究開発費配賦契約に基づいて発生した費用については、外部委託研究費と同様に配賦費用の60%を対象支出に含める。

⑤ソフトウェア開発費用について、複数の顧客に販売することという要件を削除する。

⑥2会計年度以上にわたる割賦契約により取得した自動化装置について、助成金交付の対象支出に含める。

上記の改正は、2013賦課年度から2015賦課年度まで適用されます。

2012 © 佐久間 将司@EMZ株式会社

「公認会計士の海外展開講座その4 2012年度シンガポール政府予算案のポイント(3)」はこちら

「公認会計士の海外展開講座その2 2012年度シンガポール政府予算案のポイント(1)」はこちら

海外販路網構築講座その5 海外への技術ライセンス2012/10/10



海外販路網構築講座 その5:海外への技術ライセンス交渉

有望な特許をもつベンチャー企業から「海外に特許ライセンスしたいのだが…」という相談を受ける事があります。実際、我々はIBM社、GM社、3M社、GE社、フォード社、ダイムラークライスラー社、ロックウエル社等々の超多国籍大企業の特許ライセンス部門に日本の発明家・ベンチャー企業のもつ特許ライセンスの打診・交渉を行った事が何度かあります。その際の交渉の注意点を簡単に記しましょう。

まず正しい特許ライセンス先を見つける事は特許を取得する事以上に難しいと考えて下さい。出来るかぎり多くのライセンス候補企業にアプローチすべきです。アプローチしたすべての会社が高く評価しようとも、企業は、特許に基づくビジネスを展開するために最低でも資金・人員・工場スペース・販売経路等の問題をクリアーしなければならず、今の時点でこれら問題のない企業だけしか実際にライセンス取得に名乗りをあげる事が出来ないからです。

また交渉相手企業が1社しかないのと、多数あるのとでは、発明家の交渉力・立場はまったく異なります。例えばその特許に強い興味を示す会社を10社見つければ、強い立場で交渉する事ができます。それに対して交渉相手が1社しかなければその企業の条件を飲まざるを得ないのです。

「多くの企業にアプローチするとその発明を盗用する会社が出てくるのではないか」とある発明セミナーで質問された国立発明殿堂(National Inventor’s Hall of Fame)のエド・ソベイ博士はこう答えています。「実際は逆の心配をすべきです。誰もその特許を欲しくない、または誰もその特許の真価を理解してくれない、というケースの方が圧倒的に多いのです。電話やトランジスタといった大発明でさえその真価は長年認められなかったのです。」

また「現在、交渉中の会社があるので、その交渉の結果がでてから再度考えたい」と言われる方もおられます。そういう方に逆にお聞きしたいのは、その交渉相手が「10億円で貴兄特許を買いたい」と提案した場合、その値段を高いと評価するのですか?それとも安いと評価するのですか?という事です。たいていの場合は「わかりません」というのが答えのようです。

本当の答えは他の企業の姿勢にあります。他にその特許を高く評価する企業があり、「100億円でも出す」というならば、10億円の値段は安すぎるという事になります。逆に他の企業が1億円程度の評価しかしていなければ、10億円の評価は非常によいものとなります。つまり代替案を常に知っていなければ、交渉の基準がつかめないのです。

「1社と交渉中は他社とは交渉をしない」という姿勢は日本的な美徳ですが、海外では逆に複数の交渉相手をもつ事を常識としています。お互いに競争させて有利な条件を引き出すためです。1社づつ交渉していくという姿勢は相手企業に足元を見られるだけです。これは特許ライセンスに限った話ではありませんが、海外企業との交渉はすでにオプションを持ち、多く会社と同時進行する努力をすべきです。

2012 © 大澤裕@ (株)ピンポイント・マーケティング・ジャパン

「海外販路網構築講座その6 グローバル経営人材育成」はこちら

「海外販路網構築講座その4 航空機産業への売り込み方」はこちら

中国・反日デモと貨物海上保険 

あまり関係がないようなタイトルですが、大いに関係ありです!

「反日デモの暴動による工場や店舗の損害を補償する保険契約の新規引き受けを停止している」と報道されています。

一般の火災保険に特約を付け、暴動などの危険をカバーしていますが、デモ以来、この特約(SRCC)の引き受けを停止しています。
SRCCとは、Strike(ストライキ)・Riots(暴動)・Civil Commotion(一揆)の略です。

輸出入貨物の海上保険でも、同じ特約をつけるのが一般的です。
ストライキや戦争による危険は、貨物海上保険約款では免責となっているためです。
このため、SRCCWar特約で、万一のための補償をしています。

関連コラム:
輸出入取引の貨物保険 2008/10/7

2012/10/07

公認会計士の海外展開講座その2 シンガポール政府予算1 2012/10/01

公認会計士の海外展開講座 その2 2012年度シンガポール政府予算案のポイント(1)

2012年2月17日、今年度のシンガポール予算案が発表されました。
既にエンプロイメント・パスの発行基準の厳格化や外国人労働者税の引き上げ等で明らかなように、シンガポール政府は、外国人労働者への依存を抑制する方針を明確にしています。

これは、シンガポールの長期的な成長を支えるには、外国人労働者をはじめとする単純な労働者数の増強に頼るのではなく、労働者の技能の向上やより効率的な設備の投入、新技術の開発等により生産性を高めるよう企業が構造改革を行う必要があるとの認識に立ったものです。

こういった政府の方針は、特に中小企業に対して短期的に大きな負担を強いることになるでしょう。
そのため、今年度の予算案には、助成金交付を含め、中小企業の負担の軽減を意識した税制改正がいくつか盛り込まれています。

2012賦課年度に限る助成金の交付
2011賦課年度には、法人税について20%の税額控除(最高S$10,000)または収益の5%の助成金交付(最高S$5,000)が適用にされましたが、2012賦課年度についても5%の助成金交付(最高S$5,000)が引き続き適用されます。
昨年と同様に、基準年度中に最低1名以上の株主ではない従業員について中央積立基金(CPF)に拠出していることが要件となります。

2012 © 佐久間 将司@EMZ株式会社

「公認会計士の海外展開講座その3 2012年度シンガポール政府予算案のポイント(2)」はこちら

「公認会計士の海外展開講座その1 日本・香港租税協定」はこちら

海外展開・よくあるご相談 

海外展開を考えている経営者からよくあるご相談・・・
「海外展開をしたい。でも、どこから手をつけていいかわからない」
このようなご相談もよくあります・・・「まず、展示会に出展して可能性を探ってみたいが、どうか?」

よくあるパターンですが、経営判断する材料を洗い出す「初期調査」からはじめることが、先決であることを申し上げたいと思います。

ターゲットとする市場規模・ニーズなどだけでなく、輸入規制などの初期調査から始めましょう。
ざっくりでいいですが、自分の商品をターゲットとする市場に持ち込んで、「競争力があるか?」。
このざっくり試算をすることも、初期調査段階で経営判断すべきことだと思います。

ある程度可能性がありそうであれば、次のステップへ。
分析作業・ビジネスモデル作り・戦略を検討することになります。

販売戦略を検討する段階で、海外へ販売する場合の取引条件を煮詰めておくことも大事でしょう。
相手から「この条件で買いたい」と条件を提示されると、概して、自分に都合のよい条件ばかり、といったケースが多いものです。

そのようなことがないように、「売主としての取引リスクを少なくする準備」=自分に有利な条件を提示して、それから交渉するといった「先手、先手の販売戦略」(イニシアティブを持った販売戦略)が大事なのでは無いのではないでしょうか。

2012/09/24

オフショアリング(海外移転) 

ジャーナリスト・池上彰氏が「先送りできない日本」(角川Oneテーマ21)の中で、トーマス・フリードマンの言葉を引用して、「2001年に中国がWTOに加盟してから、世界の貿易の流れが変わってきた」と指摘していますので、ご紹介したいと思います。

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トーマス・フリードマン著「フラット化する世界」 より

アフリカで毎朝、シマウマが目を覚ます。
一番足の速いライオンよりも速く走らないと殺されることを、シマウマは知っている。

毎朝、ライオンが目を覚ます。
一番足の遅いシマウマに追いつけないと飢え死にすることを、ライオンは知っている。

ライオンであろうとシマウマであろうと変わりはない。
日が昇ったら、走りはじめたほうがいい。

誰がライオンで誰がシマウマなのか。
私にはわからないが、これだけはわかっている。

中国がWTOに加盟して以来、その両者と世界各国は、どんどん速く走らなければならなくなっている。
中国のWTO加盟が、共同作業の別の形-オフショアリングを強烈に加速させたからだ。
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大地震以来「海外移転・空洞化」とのマスコミ論調が多い中、2001年の中国のWTO加盟から流れが、オフショアリング(海外移転)に向かっているとの指摘に鋭いものを感じました。

2012/09/13

中小企業のグローバル展開 

「東京の市場は量・質において、国際的にも恵まれた環境にある」
東京商工会議所が「東京の特性を踏まえた中小企業の成長のあり方」を提言している。

「変化に対応する」、「強みを作る」など中小企業が成長戦略を策定する際に必要となる視点をまとめている。その中から「グローバル化」について紹介してみたい。

海外進出した多くの企業が「国内市場に危機感を抱いた」ことを進出動機に挙げている。
多くの業界が「国内市場の縮小」という問題に直面しており、これを打破するために、既存の技術を活用して、「海外」という新市場に出て行く戦略を選んでいる。

一方、海外から撤退している企業もいる。
撤退しているのは、大企業に比べ、中小企業の比率が高い。海外に進出しても、「受注先・販売先の開拓が困難」「生産・品質確保が困難」「生産コストがアップ」などの問題に直面したケースが多く、事前調査を充分に行ってリスク分析などを行ってから経営判断をすべきと注意を喚起している。

「グローバル化」についての成功事例がいくつも紹介されているが、海外に直接進出せずに、グローバルにビジネス展開をするソフトウエア開発会社のケースが興味を引いた。

人材採用でグローバルにビジネス展開をするソフトウエア開発会社のケース
「日本人の頭脳だけでは勝てない」という考えのもと、いかにして国籍を問わず優秀な人材を確保・活用するかという課題意識を持ち、海外に進出せずに東京本社をグローバル化している。
現在、6カ国18名の外国人が働いており、本社社員の20%弱を占めている。
入社3年目で部長となる中国人社員もでてきているそうだ。

「海外」という新市場に出て行く戦略だけが、「グローバル化」への道ではないよき事例として紹介したい。

2012/09/03

公認会計士の海外展開講座その1 日本・香港租税協定 2012/09/01

公認会計士の海外展開講座 その1 日本・香港租税協定締結へ
~対香港投資、対日投資の増加が見込まれます!~

2010年11月に署名された、日本と香港における租税協定です。
今後、国会(日本)、立法評議会(香港)でそれぞれ承認を経た後、8月14日に発効し、2012年1月以降に適用されることになりました。

日本・香港租税税協定の主な目的は、
① 両国(地域)における源泉税の軽減
日本、香港それぞれにおいて、投資所得(配当、利子 及び特許などの使用料について、現在の一律20%から、5%から10%に軽減されました。

② 両国(地域)間の課税関係の明確化
日本・香港間の取引において、課税される対象(法人/個人)や課税される所得の範囲を明らかにし、二重課税を避けることが目的です。

これまで日本で収益を獲得していた香港の会社は、当該収益が香港の源泉とみなされた場合、日本 及び香港の両国で課税されてしまうというリスクがありました。

しかし、本協定発効後は、日本で支払った税金については香港で控除されるため、香港から日本への投資が促進されることが期待されます。

逆に、日本から香港に投資される場合の税務上の取り扱いがはっきりしたため、日本から香港への投資が促進されることも期待されます。

2012 © 佐久間 将司@EMZ株式会社

「公認会計士の海外展開講座その2 2012年度シンガポール政府予算案のポイント(1)」はこちら

ミャンマー・ティラワ経済特別区【アジア市場】

熱い視線が注がれているミャンマー。
日本・ミャンマー政府が基本合意している巨大開発計画、ティラワ経済特別区(SEZ)が注目されている。
・ヤンゴンから南へ車で約1時間のところに、2,400ヘクタールと広大なスペース

インフラが整備されれば、一気に日本企業の進出が加速かと、高い技術力のある日本企業の協力に期待している。

一方、中国・韓国も開発に意欲を見せているという。
「より多くの企業を連れてくる国に開発を任せようと天秤にかけているという状況なのかもしれない」
(WEDGE 8月号)

インフラ整備の主導権争いだけでなく、安価な労働力にも問題が多いとも報じられています。
「民主的な空間が広がるにつれ、人々の要求の比重は生活面に移り始めた。賃上げストや頻発する停電への抗議デモも起こるようになった。」 
(8/13 読売新聞 ワールドビュー アジア総局長 深沢淳一氏)

2012/08/27

インドパワー【中東市場】 

ゴールドマンサックスが予測している2050年のG7に挙げられているインド。
中東地区でも影響力が高い。
湾岸地区の総人口4,200万のうち、14%ほどの600万人がインドからだという。

ドバイの企業で、スタッフのほとんどがインド人という企業も多い。
オイルマネー財閥の豊富な資金とインド人ビジネスマンの進取の気性で活動しているが、最近は、日本の技術を組み合わせたいとの申し入れも多いようだ。

参考までに、ゴールドマンサックスが予測している2050年のG7は、インド以外に、中国・米国・ブラジル・メキシコ・ロシア・インドネシア。

残念ながら、日本は見当たりません。
でも、日本企業も中東とインドという巨大新興マーケットで成功の可能性がある。

2012/08/22

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 最終回東方見聞録」2012/08/15

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その10 最終回 -東方見聞録 (マルコ・ポーロ)」

「松江をたって、美しい田園や町や村をすぎ、三日の後、もっとも豪華なキンサイ(行在の音訳。今の杭州)につく。このすばらしい都市については、詳細に話そう。美しさといい、豪華なことといい、世界の他の都市よりはるかにすぐれているから、くわしく話すだけの値打ちはある。」

杭州を語る時、よく引用される「東方見聞録」。
元に仕えたヴェニスの商人マルコ・ポーロの旅行記では、「黄金の国チパング」以上に、文庫本で15ページにも及ぶ詳細な詳しく紹介が続きます。

元軍の揚子江以南への進行から、首都の陥落、その後の変わらぬ都市の繁栄の様子、さらには豊かで優雅な市民生活と彼らの美徳に、書中惜しみない賛辞が贈られます。
この美しい情景が今も、そして未来の杭州の実景として続くことを祈りたく思います。

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バヤンがおしよせてきたのを見た皇帝は周章狼狽し、重臣とともに一千艘の船に乗って大海の中の島にのがれた。皇后はキンサイに残り、勇敢に全力をあげて防衛につとめた。

この頃、皇后は敵の司令官の名がバヤン(百眼)だということをはじめて知った。彼女はさきに天文家が、百の眼をもった人がこの国を奪うだろうと予言したことを思いだし、敵対しても無駄だとさとり、バヤンに降伏し、全領土を引き渡した。引渡しにあたって、何らの抵抗もなく、全くすばらしい征服だった。(中略)

キンサイの市民は平和を好んでいるが、これはそのような教育をうけているためでもあるし、皇帝がその模範をしめしたからでもある。彼らは武器を所蔵してもいないし、使い方も知らない。彼らの間にはいかなる不和、反目、口論さえおこらない。商取引においても、品物の製造においても、彼らは実に正直で、信用できるし、男女も善意にみち、人づきあいもよいので、同じ町内にすむ人々は一家族のように見える。

家庭内では、彼らは大いに妻を尊敬し、決して嫉妬したり、疑ったりしない。既婚の婦人に下品な言葉を使ったものは、野卑な人物と見なされる。外国人が商用でくると、愛想よく親切にとりあつかい、いろいろ援助もするし、助言もする。しかし兵士は、これを見るのも嫌い、大ハーンの守備兵を見ても、自分らの皇帝や貴族を奪った元凶だと考えている。

- マルコ・ポーロ著 青木富太郎訳 「東方見聞録 全マンジの首都キンサイ」社会思想社 現代教養文庫 -
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2012 © 宮下江里子@杭州超海科技有限公司
(Hangzhou Chao-hi Co. Ltd.)

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その9はこちら

海外販路網構築講座その4 航空機産業2012/08/06



海外販路網構築講座 その4:航空機産業への売り込み方

国内市場が飽和するなかで、新しい市場を求める動きが活発化しています。その一つが航空機産業です。「自動車の次は航空機だ!」というシンプルな発想(?)かどうか、各地で航空機産業への売り込み勉強会が開催されています。

我々の経験からいうと航空機産業に物を売り込むといってもいろんなケースがあります。
大雑把にわけると

1.飛行機本体に搭載される主用機器 
2.飛行機本体に搭載される付属機器(キッチン・トイレ・イス・オーディオ等)
3.飛行機を作る工場で使用される機器(検査機器や加工機器)
4.飛行機のMRO(保守・修理・オーバーオール)機器

といった分類があります(我々独自の分類です)。それぞれについて説明します。

1.飛行機本体に採用・搭載される製品 

例えばランディングギアやエンジン等、まさに主要部品です。
今回のボーイング787の開発に伴って東レの炭素繊維が機体に採用されたように、十年単位の新型機開発のタイミングでしか売り込みができません。
また認証も大変で時間がかかります。中小企業の手だしできる分野ではありません。(若干の例外あり)

2.飛行機本体に搭載される付属機器(キッチン・トイレ・イス・オーディオ等)

この売り込み先はボーイングやエアバスというよりもANAやシンガポール航空等の各航空会社になります。
例えば、ANAの787型機のビジネスクラスにはウオシュレットが採用されていますが、これは当時のANAとTOTOの社長が友人だったから実現したそうです。
製造したボーイングの立場からすれば、顧客であるANAが「このトイレを採用してくれ」と言われたので、その指示に従ったと言う事になります。

ただ事情に詳しい人に聞くと「ボーイング787に搭載されたウオシュレットの数など、たかが知れている。その認証のためにTOTOの使った費用や手間ヒマを考えるととても割に会うものではなかっただろう」との事です。
これも中小企業が参入すべき分野とは思われません。

3.飛行機を作る工場で使用される機器(検査機器や加工機器)

これは飛行機に搭載されるものではないので航空関係認証の問題はありません。
ボーイングやエアバスの工場に食い込んでいる代理店に扱ってもらえれば採用の可能性は十分にあります。
現に私の友人であるシアトルの某セールスレップは島津製作所の検査機器をボーイングに販売しています。

4.飛行機のMRO(保守・修理・オーバーオール)機器

これは飛行機の保守・メインテナンスに使われる機器・部品です。
例えばある日本の鏡メーカーは、飛行機の中を検査するのに便利な鏡(棒の先に手鏡のついたようなモノ)を大量にMRO会社に販売しています。
各飛行場にMRO会社は存在するので、その売り込み先の選定・アプローチが容易ですし、まったく認証の問題もありません。中小・ベンチャー企業が航空機市場に参入するならここが一番狙い目でしょう。

このように、同じ「航空関連製品・部品」といっても売り込み先・認証・販売難易度はまったく異なっています。
まずは自社の製品がどの分類に属するかを考えましょう。場合によっては「航空機マーケットはきっぱり諦める!」というのも中小企業としては立派な決断です。

2012 © 大澤裕@ (株)ピンポイント・マーケティング・ジャパン

「海外販路網構築講座その5 海外への技術ライセンス交渉」はこちら

「海外販路網構築講座その3 中国市場での失敗例」はこちら

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その9」 2012/07/31

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その9 -海嘯 (田中芳樹)」

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」
2012年のNHK大河ドラマは平清盛。杭州を都とした南宋王朝をたどると、その興亡が平家と類似することに驚きます。

共通点は貿易で築いた富と高い文化。平家を滅ぼすのは関東騎馬武士団を率いる源家。指揮官源義経は東北平泉では自刃せず、大陸へ渡りチンギス汗に成るという夢の民間伝承もあり、そのチンギスの孫、騎馬民族蒙古元帝国第五代ハーン・フビライが、南宋朝廷を杭州臨安府から厓山の彼方の海洋へ追い滅ぼしました。

陸路を馬に追われ、最後は海戦で海にて滅ぶ。1185年、平家方八歳の安徳天皇は、平清盛の未亡人二位ノ尼に抱かれ壇ノ浦海中へ。1279年、南宋最後の帝ヘイ(日かんむりに丙)は九歳、「左承相陸秀夫負帝投海、宋亡。」ともに罪無き幼帝の入水で終焉を迎えました。

元王朝はこの後1281年に日本へ襲来(元寇弘安の役)、巡る因果、九州沖の「神風(台風)」でほぼ全滅の憂き目に遭い、これを機に滅びの下り坂を転がり出します。

元の軍船には南宋の民も徴兵され、日本方は海難の兵が宋の遺民だと判ると、亡国の境遇を哀れみ、密かに救命したというエピソードが残されています。

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船室を出てみると、蘇劉義や兵士たちがこぞって前方を指さしている。視線を動かして、陳宜中や鄭虎臣は見た。遠く海面上に陽炎が揺れ、そのなかに、あるはずのない城市が浮揚している。

蜃気楼。あるいは海市蜃楼という。海中に巨大な蜃(はまぐり)がおり、それが息を吐き出すと空中に楼閣があらわれると信じられていた。このとき、よほど気象条件がよかったのであろう。あわい虹色にきらめく海上の城市は、いくつもの高層の楼閣をつらね、潮の音はさながら数万の群衆のざわめきを想わせる。

「まるで杭州臨安府のようだ」
誰かがいった言葉に船上の男たちはと胸を突かれた。「ああ・・・・・・」という声が洩れた。

杭州の城市は今も存在する。だが「臨安府」の呼称は廃され、朝廷も存在しない。宋の首都ではなく、元の一地方都市となってしまった。あいかわらず繁栄し、人があふれていると伝え聞くが、それはもはや臨安府ではない。

臨安府!その名がとどろいて、船上の男たちは咽喉の奥から熱いかたまりがせりあがってくるのを感じた。強大な侵略者と戦いつづけ、主君と指揮官を失ってなお屈しない男たちが、ふいに泣き出した。生きようと死のうと、もはや絶対に臨安府に帰ることはできない。それは地上に実在する場所ではなく、海市蜃楼のように、手に触れることのできない存在であった。
- 田中芳樹 「海嘯 第八章 残照」中公文庫 -
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寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その10最終回はこちら
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海外進出と国際サプライチェイン 

「日本企業にいま大切なこと」(野中郁次郎、遠藤功著、PHP新書)
経営のプロが海外に売り込める日本の価値観を語り合っている。

日本の「当たり前」が注目されている、「日本の強み」を自覚せよ、と。
ポイントは「日本の当たり前が世界での競争力」と説いている

海外進出でキーとなる国際サプライチェインを考える上でも、共通している点があるので取り上げてみた。

グローバル戦略で海外売り上げ比率を伸ばしているケースが多く紹介されている。
たとえば、まさに「日本の当たり前」、時間指定の宅配便サービス。
これは、世界のどこにもない。

国境を越える物流は、情報化である程度のトレースはできるようになっているが、まだまだこのような「日本の当たり前」、時間指定の宅配便サービスなど、皆無だ。

海外進出を考える上で、日本と世界の違いを、まずは知ることが先決だと思う。

2012/07/25

期待されるミャンマー【アジア市場】 

これからの伸びが期待される国、ミャンマーに熱い視線が注がれている。
元JETROヤンゴン事務所所長(現、JETRO海外調査部小島課長代理)が最新ミャンマー事情を紹介している。(東商新聞 2012/7/10)

すでにアパレル製品の生産拠点として日本向けの輸出が急増している。
中国・ベトナムなど近隣の労働事情に比べて、安価な労働力が大きな理由だが、中国・インド・ASEANに挟まれた立地条件のよさに、チャイナ・プラス・ワンのサプライチェイン拠点として注目している企業も多いという。

安価な労働力に熱い視線が注がれる一方、インフラに問題のある「開発途上国」であることも指摘されている。 特に、発電事情が不安定のため、自家発電など投資コストにおりこんでおく必要があるようだ。

一方、最近の新聞報道記事(中国系住民が不動産投資で得た利益で経済を牛耳っている)を読み、投資リスクだけでなく、チャイナパワーとの経済競争が起こることも経営リスクとして想定しておいたほうがいいと思える。

この記事によると、ミャンマー第2の都市・マンダレーは、中国雲南省に近いため、中国系住民が人口の30%も占め、経済活動を牛耳っているそうだ。
この傾向は、中国に隣接したミャンマー北部の都市だけでなく、いずれ首都ヤンゴンにも進出してくると考えておいたほうがいいだろう。

2012/07/18

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その8」 2012/07/13

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その8 -杭州菊花園 (陳舜臣)」

さて、海外駐在経験者に質問です、帰国の折、毎回お土産はどうされていましたか?
私の住む杭州も名産品は数あれど、度重なればタネは尽き、空港の熊猫チョコは論外として、龍井緑茶、山胡桃、絹製品、鋏、扇子に老舗の銘菓、全て非情な我が家人の「不要一覧(買って来るな)」入りと相果てました。

先回は中部国際空港にて豊橋名産ヤマサのチクワが苦し紛れの「チューコク土産!」・・・現在、我自身、不要リスト入りの危難アリ。

陳舜臣、神戸生まれの華僑の直木賞作家。
「中国の歴史」「秘本三国志」「中国任侠伝」など、中国を題材にする著作も多く、今回取り上げるのは「杭州菊花園」、六十年前にあった杭州の名園(現少年宮)が舞台のミステリアスな短編です。

一人の女を巡る二人の男、菊を愛する杭州の造園職人、刺繍上手で薄命な娘、菊花園の主で蘇州の大物政商、そしてにぎやかな城隍廟の祭の夜、庭園に響く銃声・・・殺人事件。

ミステリーファンにはぜひ本編を楽しんでいただき、ここで紹介するのは以下の一節。
ありました、杭州土産のヒント、「杭白菊」なら今も市内の超市(スーパーマーケット)で、漢方薬茶として日本でも売られているそうです。次こそは名誉挽回、少しは能書きをタレながら家人に渡せるか?と想っております。

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「あの事件のあったころ、私はまだ子供でした。菊畑だったこの場所に、園林を造りはじめたことも覚えています」
と、彼女は行った。現代中国によく見られる、てきぱきした女性である。
「ほう、菊畑だったのですか。・・・・・・」

このへんの菊は、ただの観賞用ではない。薬用に供するのである。花びらを干したのを、緑茶などにいれる。ほかの土地の菊では、効き目がちがうらしい。杭州の菊でなければならない。それで「杭菊(ハンチ)」という。

杭菊は体内に熱があるとき、それを根本からとり去る効能がある。私など、子供のころから、鼻血が出たりすると、きまって「杭菊」を飲まされたものである。そして、たいてい、杭菊を飲むと、熱がすぐに下がった。

このごろでは、杭菊を粉状にしたものが市販されている。一回分が一袋になっていて、たいそう便利であるが、糖分が多すぎるような気がする。あまり甘いと、薬効がないようなかんじになる。おそらく「良薬は口に苦し」という諺の影響であろう。
- 陳舜臣 「杭州菊花園」徳間文庫 -
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アジアの力を生かす【アジア市場】 

讃岐うどんのチェーン店が初の海外進出、中国・上海1号店が盛況とのこと。
日本国内でのチェーン店展開で成功しているが、次なる成長エンジンとして「アジアの力を生かす」経営方針を打ち出しているという。
今後、中国だけでなく、アジアに200店の展開をめざしているそうだ。

経済産業省も中小企業の海外展開支援に力を入れていることを読売新聞社説(7月8日ちいさな企業)が取り上げている。
特に、中小零細の「ちいさな企業」のアジアでの販路拡大を支援するという。女性や若者のパワーをもっと活用していく方向性のようだ。

すでに、アジアに飛び出して活躍している「なでしこ」たちもたくさんいる!
イラストレータ・たかぎなおこが、NHKが取材放映した「アジアなでしこ」たちをインタビュー、描き下ろした本が面白い。「アジアで花咲け!なでしこたち」(メディアファクトリー)

ベトナム・カンボジア・中国・東ティモールからの「なでしこ」たちからのコメント
・もはや「海外で働く」ということが、特別ではなく、当たり前の選択肢になる、そんな時代に突入しているのではないでしょうか・・・
・物質的に恵まれた日本で育った井の中の蛙の私に、「幸せとは?」と疑問を投げかけてくれた・・・
・いくつになっても、新しいドアを開ける勇気、そして「きっと大丈夫!」という根拠のない自信を持ち続けたい・・・
・日本人ならではの「おもてなしの心」を持って働きたい・・・

インタビューしたイラストレータ・たかぎなおこからのコメントもいい!
「なでしこ」の「な」は、「なんとかなる」の「な」・・・この前向きの気持ちがいいですね。

経団連・21世紀政策研究所もアジアへ向かうべきとのコメントを出している。
「伸び盛りのアジア諸国に囲まれている、という地理的な利点を生かしきれていない」

2012/07/09

海外進出のよき事例

日経新聞「私の履歴書」、キッコーマン名誉会長 茂木友三郎氏の連載が始まりました。

今から55年も前の1957年に初の海外進出。
サンフランシスコに最初の販売拠点、その後、中西部・東海岸へ。

いまやMade in USAのキッコーマンですが、進出当初から、「現地生産しなければ本当の国際化はないの信念をもっていた」で連載がスタートしました。

一気に直接進出でなく、ステップ・バイ・ステップの「海外進出」対応など大先輩たちの信念と努力が大いに参考になることでしょう。今後の連載を期待しています。

2012/07/05

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その7」 2012/06/28

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その7 -雷峯塔物語 (田中貢太郎)」

駐在員の任務のひとつが訪問客の杭州案内。
初回なら迷わず西湖、三潭印月、宝石山の保俶塔、この一連の風景が中国一元札に印刷されているのは周知のとおり、少々年上の方には「白蛇伝」の舞台雷峰塔を加えれば、さらに親しみが沸くこと間違いなしです。

日中両国で著名な伝奇物語の題を聞き、東映動画第一号と即答するのはアニメ通、声優は宮城まり子に森繁久彌と言えたらもうマニア。しかし他に日本語で知られた作は少なく、大正の怪談作家の田中貢太郎がまとめたものが通読にはお奨めでしょう。
ただしこれは悲恋型、人と白蛇の異婚夫婦は法海禅師に引き裂かれ、白娘は「雷峯塔倒れ、西湖水乾れ」るまで塔下封印の結末です。

全編戦うヒロインに比し、ヒーロー許宣の不甲斐無さが今の若いカップルを彷彿とさせるのが一興かもしれません。雷峰塔は、西湖南、落雷で崩壊後近年再建され、エレベータで塔に上れば西湖を一望、今も賑わう観光名所です。
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 宋の高宗帝が金の兵に追われて、揚子江を渡って杭州に行幸した際のことであった。杭州城内過軍橋の黒珠巷という処に許宣という若い男があったが、それは小さい時に両親を没くして、姐の縁づいている李仁という官吏の許に世話になっていた。(中略)

 許宣はそのとき二十二であった。きゃしゃな綺麗な顔をした、どこか貴公子然たる処のある男であった。それは清明の節に当る日のことであった。許宣は保叔塔寺へ往って焼香しようと思って、宵に姐に相談して、朝早く起きて、紙の馬、抹香、赤い蝋燭、経幡、馬蹄銀の形をした紙の銭などを買い調え、飯を喫い、新しく仕立てた着物を著、鞋も佳いのを穿いて、官巷の舗へ往って李将仕に逢った。

「今日、保叔塔へお詣りしたいと思います、一日だけお暇をいただきとうございます」
 清明の日には祖先の墓へ行って祖先の冥福を祈るのが土地の習慣であるし、両親のない許宣が寺へ往くことはもっとものことであるから、李将仕は機嫌好く承知した。

「いいとも、往ってくるがいい、往ってお出で」
 そこで許宣は舗を出て、銭塘門の方へ往った。初夏のような輝の強い陽の照る日で、仏寺に往き墓参に往く男女が街路に溢れていた。(中略)

 山の麓に四聖観という堂があった。許宣が四聖観へまでおりた時、急に陽の光がかすれて四辺がくすんできた。許宣はおやと思って眼を瞠った。西湖の西北の空に鼠色の雲が出て、それが陽の光を遮っていた。東南の湖縁の雷峯塔のあるあたりには霧がかかって、その霧の中に塔が浮んだようになっていた。その霧はまだ東に流れて蘇堤をぼかしていた。
- 田中貢太郎 「中国の怪談(一)雷峯塔物語」河出文庫 -
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寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その6」 2012/06/15

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その6 -江南游記 (芥川龍之介)」

「ジョン・ブルは乙に澄まさなければ、紳士でないと思っている。アンクル・サムは金がなければ、紳士でないと思っている。ジャップは、――少なくとも紀行文を草する以上、旅愁の涙を落としたり、風景の美に見惚れたり、游子のポオズをつくらなければ、紳士でないと思っている。」

大正十(1921)年三月、芥川龍之介二十九歳、大阪毎日新聞海外視察員。上海上陸直後、乾性肋膜炎での入院がケチの最初、三週間後、ようやく杭州への旅立ちが叶いました。

この事態を彼一流のシニカルさ、「游子のポオズ」の苦笑いから始めた芥川先生、体調不良の故か、見るもの聞くもの気に入らぬ。中国絵画的風景の西湖も俗化観光地化が鼻につき、辛辣な筆は止まりません。加えて、杭州旅行の先輩谷崎潤一郎が「天鵞絨の夢」を紡いだ中国令嬢の不在、つまりは「美人に逢えぬ不運」をグチグチとこぼし続けます。

そんな芥川先生の陰々たる気分は、昼食で案内された老舗の菜館・楼外楼でいきなり立ち直ります。理由?・・・以下参照、案外ゲンキンで微笑ましい。
 楼外楼は蓮の葉で包み蒸した「乞食鶏」が名物菜、西湖北湖畔で今も営業中、昼食時には観光バスも横付けする大レストランとなりました。

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十分の後、我々は老酒を啜ったり、生姜煮の鯉を突ついたりしていた。すると其処へ又画舫が一艘槐の蔭に横づけになった。岸へ登った客を見れば、男が一人、女が三人、男女いずれとも判然しない、小さい赤ん坊が一人である(中略)

私は箸を動かしながら、時々彼等へ眼をやった。彼等は隣の卓子に、料理の来るのを待っている。その中でも二人の姉妹だけは、何かひそひそ話しながら、我々へ流眄(りゅうべん)を送ったりした。尤もこれは厳密に云うと、食事中の私を映すとか云って、村田君がカメラをいじっている――其処が御目にとまったのだから、余り自慢にもならないかも知れない。

「君、あの姉さんの方は細君だろうか?」
「細君さ。」
「僕にはどうもわからない。中国の女は三十を越さない限り、どれも皆御嬢さんに見える。」

そんな話をしている内に、彼等も食事にとりかかった。青々と枝垂れた槐の下に、このハイカラな中国人の家族が、文字通り嬉々と飯を食う所は、見ているだけでも面白い。私は葉巻へ火をつけながら、飽かずに彼等を眺めていた。断橋、孤山、雷峰塔、――それ等の美を談ずる事は、蘇峰先生に一任しても好い。私は明媚な山水よりも、やはり人間を見ている方が、どの位愉快だか知れないのである。
- 芥川龍之介 「江南游記 <西湖(四)>」講談社文芸文庫-
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海外販路網構築講座その3 中国市場での失敗例2012/06/11



海外販路網構築講座 その3:中国市場での失敗例

景気低迷がささやかれる中国ですが市場としての魅力はますます高まってきています。私も先月に大連に行ってきましたが、衣食住のすべてにおいて現地の購買力の強さに驚きました。しかしながら、そういった表面上の魅力に反して、実際は中国での販路開拓・進出に失敗している日本企業も多いです。その失敗例をご紹介します。

1.現地総経理の不正

販売子会社を設立して現地人を社長(総経理)にしたところ、彼の親類の会社を販路に入れられてマージンをとられていたというケースがあります。なかなかこういった不正は表にでにくいですが潜在的には相当にありそうです。

2.労使問題

物価上昇が続く中、現地労働者から毎月のような賃上げ要求にゲンナリしている会社があります。最近は日本以上に厳しい雇用法が施行されていて簡単に馘首したりもできません。

3.賃貸料の急上昇

特に都市部ですがオフィスや店舗の賃貸料金が急上昇しており、当初の想定をはるかに上回る固定費を製品・サービスの値段に転嫁する事ができずに苦しんでいる会社も多いです。場所によっては5年で5倍の賃貸料になったところもあるそうです。

4.ワイロ

1人に渡したら他の人からもどんどんと要求されるようになったという話を聞きました。本当に必要なのかもわからず現地責任者の言いなりになってしまう例もあるようです。

このように、まだ難しいことの多い中国の販路網構築ですが、その中で成功例として語られるのがダイキンやヤクルトです。共通点は自社販路を諦めて代理店を活用しているところ。問題はどうやって信用できる代理店候補を見つけて、育てていくかというところにあります。それについてはまた別の機会に。

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「海外販路網構築講座その4 航空機産業への売り込み方」はこちら

「海外販路網構築講座その2 海外用のカタログの作り方」はこちら

貿易の基本5:国際ビジネスで紛争の解決方法「仲裁」

紛争の解決には、当然ですが、当事者同士の話し合いによる解決が望ましいです。
でも、言葉が違う、商習慣が違うなど、なかなか解決はできないのが現実です。

裁判だと敷居が高い、さらに時間が掛かりすぎる。
そこで、「仲裁」が解決方法によく使われています。

「けんかを仲直りさせる」ではありませんが、第三者(仲裁人)の判断にゆだね、何が問題なのかを見極めてもらい、その判断(仲裁判断)に従う合意(仲裁合意)に従って紛争を解決できる手続きです。

仲裁は、裁判と違い、一般に公開されないため、どのような手順で行われるのか知っている方はごく少ないでしょう。
先日、日本仲裁人協会他主催で国際仲裁の模擬裁判が都内で行われました。

・案件に精通した専門家を仲裁人として選べるので、迅速な審理ができる
・当事者どうしの合意で紛争を解決する方法なので、手続き方法などを自由に選べる
・上訴できる裁判と違い、仲裁は一審性なので早くに結論が得られる

書類・Eメールなどの証拠書類を普段からのちゃんと取っておくことの重要性を再認識しました。
また、競合先同士が当事者となる場合も多く、企業秘密を開示すべきかも考えさせられました。

いずれにしても、「仲裁」について、国際取引をされる際に理解しておく必要があるでしょう。

2012/06/11

貿易の基本4:輸入通関に必要な書類とは?

輸出入取引では、輸出者が契約内容に沿って、発送手配完了後に、関連書類を輸入者に提出します。通常は、4点セットが必須書類となります。
 ・商業送り状 (インボイス)
 ・梱包明細書(パッキングリスト)
 ・船荷証券 (B/L,またはAWB)
 ・保険証券 (Insurance Policy)

インボイスは、輸出者fが作成した輸入者宛ての出荷案内書と価格計算書(請求書)を兼ねた書類です。

パッキングリストも輸出者fが作成した梱包明細書です。数量、正味重量、総重量、容積などが記載されます。

船荷証券は、船会社が発行する書類です。貨物を受取ったことの証明と、目的地までの運送・正当な所有者へ貨物を引渡すことを約束した有価証券です。
航空貨物の場合には、航空貨物運送送状(AWB)がB/Lの代用として発行されますが、有価証券ではなく、貨物の受取証(送り状)にすぎません。

保険証券は、CIF契約の場合に限り、輸出者が準備すべき書類となります。
CIF契約以外の場合には、輸入者側で保険契約をしますので、輸出者としては不要となります。

契約によっては、4点セットのほかに、以下のような書類を要求されることもあります。
 ・原産地証明書 
 ・重量容積証明書 
 ・検査証明書 
など

貨物が着いてから書類が足りない、などのことがないように、早めに準備を進めておくことが、輸入通関をスムーズに行うポイントです。

2012/06/07

人民元の国際化で注目される香港【アジア市場】 

円と人民元の直接取引で、一躍脚光を浴びている香港。
アジアの物流ハブとしての地理的メリットだけでなく、モノ・カネ・ヒトが集まるフリーポート。
今後は、中国市場へのゲートウエイとしても注目されるだろう。

香港貿易発展局主催のセミナー「国際化へのパートナー:香港」が東京都内で行われた。
香港を仲介した中国の対外貿易はすでに30%にもなっており、人民元の国際化とともに今後ますます香港の重要性は増すだろう。
人民元貿易への金融センターとしての役割だけでなく、中国からの優遇制度を利用できる点にも注目したい。

中国は、香港企業に対して、外国資本の誘致窓口として、多くのインセンティブを与えている。
CEPA協定 (Closer Economic Partner Arrangement)、香港―中国間の経済連携緊密化に関する協定が実施されている。

香港から中国への輸入関税の免除だけでなく、中国本土への市場参入に優遇策も与えており、特に、中国華南地区への加工貿易拠点として、またサービス業の中国本土への市場参入拠点としても、一考の余地が多いにあるだろう。
ヒトのネットワークだけでなく、外資への優遇制度には魅力があると思える。

2012/06/05

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その5」 2012/06/01

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その5 -蒼穹の昴 (浅田次郎)」

「選良」という言葉をご存知でしょうか。
清代まで続いた科挙制度で選ばれた官僚、「挙士は上天の星に応じ、進士は日月をも動かす」と称えられた一時代前の大陸の超エリート文官選良を指す言葉です。

次に浅田次郎、こちらは「鉄道員(ぽっぽや)」「壬生義士伝」などで人気の現代作家、この大メジャー作家の清朝末期中国宮廷ロマネスク、日中共同制作のテレビドラマにもなった「蒼穹の昴」に、「杭州」は実にさりげなくかつ含み深く登場しています。

小説の主な舞台は、北京の宮廷・故宮、実景としての杭州の風景が描かれるわけではありません。主人公の一人、梁文秀青年を運命の星の下に導く先輩、科挙本試験「順天会試」で出会う名も無き老生と、後に文秀青年の岳父となる礼部右侍郎・楊喜楨の二人の出身地、「選良」を多数輩出する由緒ある学芸の都として紹介されます。

なぜ主人公の二人の先達が揃って杭州出身なのか想像するのもオモシロイ。
杭州は風光明媚な観光都市、そして今も中国でも屈指の総合大学・浙江大学を中心に高等教育機関が集まる学問研究の街です。このような視点で杭州のイメージを膨らませつつ、ぜひ読んでください。

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「なんだ、諸君らお友達かね」
と、老生は二人の若者を見比べた。
「友達と呼ぶには畏れ多いがね。こちらは去年の直隷郷試の経魁、王逸君ですよ」
へえ、と老生は王逸の鮮やかな藍衣を眺めた。経魁とは郷試及第者のうち上位五名に与えられる尊称である。

「直隷省の経魁! それはすごいの。合格確実じゃわ」
王逸は応挙七十年の老生を見くだすように、鼻で笑った。

「何も珍しいことじゃあるまい。ここにはどこそこの経魁だけで何百人もいるんだ」
「ごもっともじゃ。かくいうわしも、何を隠そうもとは杭州府の経魁じゃて」
老人は笑いながら咳きこんだ。文秀と王逸は顔を見合わせた。

浙江省杭州府といえばかつての南宋の都、古くから多くの大吏高官を輩出する学芸の地である。同じ経魁といっても杭州のそれは当然水準が違う。
- 浅田次郎 「蒼穹の昴 <科挙登第>」講談社文庫 -
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ベトナム進出がふたたび注目【アジア市場】 

中国の人件費アップ、タイの洪水被害などアジア地区での事業環境が悪化しており、新たな生産基地としてベトナムが再注目されている。特に、中小企業メーカーの進出も目立つようになっている。

日本からベトナムへ新規進出した企業数は、1,000社を超え(2011年度)、前年比8割増の過去最高を記録したと、JETROが報じている。

今後の進出増を期待して、日系大手商社が、ベトナム北部の工業団地内に、進出中小企業向けに工場をスペース貸しする賃貸事業を始めたと報じられている。
進出を検討している企業にとっては、初期投資の負担が少なく、一考に値するものと思える。

ベトナムは、地理的に日本から近いだけでなく、優秀な労働力、さらに、賃金レベルがまだまだ安いのも魅力的だ。
ただ、ベトナム国内市場から部品調達をすることがほとんどできない状態で、輸入に頼らざるを得ないのも現状だ。
このため、賃金の安い労働力があっても、製造コストアップとなってしまうとの指摘もある。

2012/05/30

自動車部品工場中国進出の事例

先日のNHK特集で報道された海外進出の事例をご紹介したいと思います。
紹介された事例は、自動車部品製造の町工場が集団で中国へ。

メッキ・プレス・切削のプロが集団でニッポンブランド(技術力)を強みに進出。
日本から製造設備を持ち込み、日本と同等の品質を提供するビジネスモデル。

ところが、期待した受注がなく、工場稼動がうまくいかない。
品質にこだわる日本式とコスト重点のローカルメーカーとの戦略の違いがあった。

マーケットニーズに沿ったビジネス戦略がいかに重要か、考えさせられます。

2012/05/25

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その4」 2012/05/15

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その4 -岳飛伝 (田中芳樹、編訳)」

若い人に人気の現代作家、田中芳樹。
彼の作品は、アニメにもなった「銀河英雄伝説」、ベストセラーの超能力四兄弟「創竜伝」など、「壮大なスケールと緻密な構成」と評されるSFロマン作品が主流。
もうひとつの潮流が意外や中国歴史モノ、さすがノベルス界のスター、確かな資料収集とその解釈・アレンジ、組み立ての勘所、これがまた読みやすく、つい物語世界に引き込まれます。

杭州の英雄、宋代の悲劇の名将を描くのが「岳飛伝」。
西湖北の観光スポット岳王廟。ここに祀られる岳飛はとにかく大陸で人気です。この作品を読めば、生半可な杭州人よりずっと熱く岳飛を語れるでしょう。

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「鵬挙(岳飛の字)や、お前が逆賊の招聘を受けず、清貧に甘んじ、汚れた富をむさぼらないことは、とてもりっぱだと思います。
でも、私の死後、またあのようなよからぬ輩が誘いに来て、もしもお前が気の迷いから不忠のことをしでかしたらならば、半生の美名がたちまち失われてしまうでしょう。

そこで私は天地祖宗にお祈りし、お前の背中に『精忠報国』の四字を刺字(いれずみ)しようと思います。願わくば、お前が忠臣となり、母が死んでからも往来する人々から、『たいした母親だ、子に名を成させ、忠を尽くして国に恩返しさせ、美名を百世に伝えるとは』といわれますよう。そうすれば、私はあの世でも笑っていられるというものだからね」

中国では「孝」が「名誉」と一体であることがよくわかる台詞だ。母の声に、岳飛はうやうやしく答えた。
「母上のおっしゃるとおりです。どうか刺字をしてください」(中略)
「せがれや、痛いのかい」
「母上はまだ刺してもいないのに、なぜそのようなことお尋ねになるのです」
夫人は涙を流した。
「せがれや。お前は母の手が鈍らないように、痛くないと言っているのだね」
夫人は歯を食いしばって彫りつづけた。彫り終わると、醋墨を塗ったので、永遠に色は褪せなくなった。岳飛は起き上がり、母が子をさとした心に拝礼して感謝した。その後あらためて抱きあって泣いたりはせず、あっさりとそれぞれの部屋にもどった。これこそ千古に不滅の史話、「岳母在岳飛背上刺四字」の故事である。

- 田中芳樹(編訳)「岳飛伝 二巻、烽火篇 第二十二回 義盟を結びて王佐名を假り、精忠と刺して岳母子を訓える」
談社ノベルス -
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2012 © 宮下江里子@杭州超海科技有限公司
(Hangzhou Chao-hi Co. Ltd.)

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その5」はこちら
寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その3」はこちら

インドネシアは巨大市場【アジア市場】 

2億4000万人、世界第4位の人口を抱えるインドネシアが注目されている。
ジェトロ・ジャカルタ事務所(富吉所長)のマーケット分析記事を紹介したい。

注目すべきポイントを3点挙げられている。
第1、インドネシアの内需が堅調。リーマンショック後でもプラス成長を記録している点。
第2、政治的な安定感。長期安定政権である点。
第3、市場構造が消費社会に転換している点。GDP(国民総生産)が$3,000超となった。

魅力的な巨大な市場に注目する日本企業が増えている。ジェトロ・ジャカルタ事務所に進出の相談にこられる企業数も前年比倍増だそうだ。

一方、インドネシア側の課題も指摘されている。
日本からも官民一体となってインフラ整備に協力しているが、まだまだ物流インフラが不足しており、電力・エネルギーインフラも不安定な点を挙げられている。

しかし、若年人口を大量に抱える人材資源とエネルギー資源産出国としての潜在力は、注目に値する。

2012/05/14

海外販路網構築講座その2 海外用カタログ2012/05/09



海外販路網構築講座 その2:海外販路網構築と海外用のカタログの作り方

素晴らしい製品をもっていながら、そのカタログがあまりにも貧弱な会社というのは、とくに開発者=経営者であるベンチャー企業によく見られます。製品説明がペラペラの紙1枚だけといった場合もあります。「見る人が見ればこれで分かります」と自信をもっておっしゃいます。

先方からの問い合わせがあった場合は、そういった一枚紙でも十分でしょう。担当者は十分にその技術の事をわかった人でしょうから。しかし新しい顧客を開拓したいという場合はあきらかに不十分です。技術のバックグランドがない人にでも、その製品の優位性・メリットが明確に伝わらなければ「わかる人」にまで情報が転送されません。それにはカタログが中学生でも分かる言葉で説明されている必要があります。

しっかりした英文カタログを持たれている場合でも日本語パンフレットをそのまま翻訳しただけのものが多いです。しかし本来なら海外現地の同業社のパンフレットを取り寄せて、その表記の仕方をまねるべきです。例えば海外同業2-3社のパンフを読んでみると、同じような免責の説明が入っていたりして、「こういう免責はいれておいた方がいいのだな。」とか参考になる点が多々あります。期せずして現地の市場調査までできてしまうのです。

製品説明を記した英文カタログとは別に販売代理店向けには、その商品を扱う事によってどういったメリットがあるか、利益が見込めるかといった商業的な価値を説明したプレゼン資料もあった方がよいです。「どの製品を扱うか」を決める代理店責任者は、必ずしも技術的に詳しい人であるとは限らず、むしろ儲かるか否かという商業的価値のみに重きを置く人である場合も多いからです。

カタログの重要性は海外市場に限った事ではなく国内市場でも一緒です。しかし言葉や距離のため気軽に電話や訪問ができない海外市場ではその重要性は10倍にもなると認識した方がよいでしょう。

2012 © 大澤裕@ (株)ピンポイント・マーケティング・ジャパン

「海外販路網構築講座その3 中国市場での失敗例」はこちら

「海外販路網構築講座その1 セールスレップ制度」はこちら

円建て契約で為替リスクを少なく

ジャーナリスト・池上彰のインタビュー記事を読みました。
文芸春秋2012年5月号 「危機を乗り切る戦後不況史入門」

円高・空洞化など先行き不透明な今こそ、過去の経験から教訓を学びたいとの趣旨で、政財界の大先輩7名へのインタビュー、読み応えありです。

特に、元大蔵省・大場智満氏とのインタビュー記事に注目しました。
戦後の円相場をカジ取りしてきた国際金融の専門家の鋭い見方です。

・今は、円が高いけれど、そう長くは続かないだろう
・中長期的には、たぶん3~5年後には、円安となるだろう

・日本は、貿易立国として、「輸出」を伸ばすしか生けてゆく道がない
・しかし、為替変動リスクは、最小限に抑える必要がある
・そのために、「円建て契約」を増やすようにしたほうがいい

ワンポイント:
まだまだ、ドル契約が圧倒的で、円建ては、4割程度だそうです。

2012/05/02

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その3」 2012/05/01

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その3 -西湖の月(谷崎潤一郎)」

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西湖の風景が美しいのは主として其の湖水の面積が、洞庭湖や鄱陽湖のやうな馬鹿々々しい大きさでなく、一と目で見渡される範囲に於て蒼茫とした広さを持ち、優しい姿をした周囲の山や丘陵と極めて適当な調和を保つて居る点にあるのだと思ふ。雄大だと思へば雄大のやうにも見え、箱庭のやうだと思へば箱庭のやうにも見え、その間に入り江があり、長堤があり、島嶼があり、鼓橋があつて、変化はありながら一枚の絵を拡げた如く凡べてが同時に双の眸に這入つて来るのが、此の湖の特長である。(中略)

此処に湛へられて居る三四尺の深さの水は、霊泉の如く清冽なばかりでなく、一種異様な、例へばとろゝのやうな重みのある滑らかさと飴のやうな粘りとを持つて居るからである。此の水の数滴を掌に掬んで暫く空中に曝して置いたなら、冷やゝかな月の光を受け留めて水晶の如く凝り固まつてしまふだらう。
- 谷崎潤一郎 「西湖の月」 改造1919年6月号 -
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文豪「大谷崎」の外遊は大正時代に二度、いずれも中国。「西湖の月」は大正七(1918)年の最初の旅、朝鮮半島経由で北京から南に下る二ヶ月の大陸周遊紀行文の一遍です。

谷崎は、上海北站から二等席の鉄道で杭州へ入り、その午後から夕刻までの五時間半の車窓風景と車内のにぎやかな旅客達、特に後日、月の西湖で再会する中国令嬢の瀟洒な姿を丹念に描写しています。

十一月の満月を挟む一週間の杭州滞在を、よほど谷崎は気に入ったようで、別の紀行文中では杭州料理もずいぶんと褒めています。湖水に面する湧金門清秦第二ホテルに泊まり、朝な夕な西湖を眺め、昼は車で周囲を廻り再建前の雷峰塔の優しさを愛で、月の夜更けには舟を頼み、水に浮かぶ三潭印月や湖心亭のほのかな陰影を堪能します。

文中の地名は今も知れる西湖付近の名前、世界文化遺産にも登録された箇所ですが、谷崎の見たのは、今よりも自然に近く、鄙びているがのびやかで優雅な西湖の姿でしょう。中国の詩人墨客が南で多く輩出したのは、御伽話のような江南地方の澄んだ水のある風景に日常接すればこそ、と力説します。

もしこの短編を手にしたなら、近年始まった西湖浄化プロジェクトがさらに進み、谷崎が称えた清澄な湖水と、湖底に暗緑色の柔らかな天鷲絨の藻を抱く西湖よ甦れ、と望む人は少なくないでしょう。わずか九十年の昔、夢のような西湖がここに在る。

2012 © 宮下江里子@杭州超海科技有限公司
(Hangzhou Chao-hi Co. Ltd.)

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ミャンマーの経済発展【アジア市場】

世界が注目するミャンマー。一種の鎖国政策から一転、外国企業誘致の方向性を打ち出している。
豊富な天然資源があり、経済発展の可能性が高い。

日本からもODA援助がらみだけでなく、コンビニのローソンも100店舗の出店を計画。
ミャンマーに注目している企業が多いと聞く。

ジェトロの荒木主査(海外調査部、元ヤンゴン事務所長)が、人材育成の必要性を指摘している。(2012年3月22日読売新聞)

ミャンマーは、識字率が90%以上と高く、アジア諸国の中では英語が非常によく通じる国と分析されている。そのため、子女を海外留学に送りだしたいと考えている中間所得層の家庭が多く、優秀な人材が海外へ流出しているのも現実のようだ。

日本として留学生の受入れも一案だが、ミャンマーでの積極的な支援が大事。
近い将来、現地での外資ラッシュが予想され、人材ニーズが必ず高まる。
それに備えて、人材育成ノウハウをもった日本企業がミャンマー現地に進出し、職業訓練学校など人材育成プログラムを充実させるべき、と指摘している。

2012/04/26

最悪のシナリオの準備も大事

海外展開のよい面ばかり報道されている傾向がありますが、撤退という最悪のケースもかなりあるといわざるを得ません。

初めての海外進出がうまく行くことは少ないとの前提で、覚悟を決めた海外進出の準備が必要です。進出前の検討段階から、最悪のシナリオも考えておくことをお勧めします。

いつまでに経営目標を達成しない場合には、潔く撤退を決断することも経営判断としては重要な点でしょう。

とかく、あるべき姿のシナリオを追い求めがちですが、逃げ遅れないように、再挑戦するなどの経営判断が必要でしょう。
最悪のシナリオを準備しなかったため、帰るに帰れなくなったケースとならないようにしましょう。

2012/04/20

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その2」 2012/04/17

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その2 - 空海求法伝 曼荼羅の人(陳舜臣)」

私事で恐縮です。仕事柄、月に二、三度、事務所のある杭州市西湖区から蕭山区へ銭塘江を渡ります。ゆったりとした川の流れに感激し、その広さを実感すべく、駐在初年の夏、六和塔から銭塘江大橋を徒歩で越えたことがありました。

杭州の夏は気温40度を越え、半端な暑さではありません。日陰の無い大橋も短い距離ではなく、汗でヨレヨレ、もう二度と、と堅く決心いたしました。我ながらホントに酔狂。

銭塘江が有名なのは旧暦九月、大潮時の潮水逆流。世界でも南米アマゾンと銭塘江だけで見られる珍現象です。大逆流の年は波の高さが十メートルにも及び、ニュースになり、観潮ポイントへの観光バスも出ます。2005年、私も観潮ツアーに参加しました。

逆流は自然の奇観、寄せる波の海に慣れた島国人の目には、彼方に白い波頭が見えてから、あわ立つ一波が目前を過ぎるのに悠に十五分、ゆったりのんきな光景に映りました。

さらには珍しくはあるが、あまり美しくはない、とも思いました。
水の色はこの国特有の細かい沙、粘土質を含んで濁ります。私の故郷、愛知木曽三川も決して清くはないが、小学生の夏休み、砂地の河原で靴を脱ぎ、水に足を入れることに躊躇なく、しかし逆流する黄色い泥水に、小指なりとも浸けたいとは思えませんでした。

古き昔、この銭塘江をもっと別の視点、別の感慨で眺めた人がいます。
銭塘江は寧波で東シナ海へと注ぎ、その先は大和の国へとつながります。西は京杭運河で黄河へ、そして大唐文明の粋、きらきらしい長安の都へと続きます。

一連の水の道は、大和の民にとっては渡海遭難の恐怖とともに、選ばれた国の留学生(るがくしょう)のみに許された晴れがましき憧れの道でした。

延歴二十三年(804年)発の遣唐使一行、讃岐国出身で日本の真言密教の巨星、弘法大師空海が、正にこの文化の水の道を旅しておりました。
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「別駕の句ではないが、あなたはいったい、万里の外からなにをしにきたのですか?」

惟上は軽いため息をまじえ、空海をみつめてそう訊いた。
杜知遠がそばでうなずいた。松柏観で知り合ったときから、彼はおなじ疑問をもっていたのである。
「さあ。・・・・・」空海は銭塘江の水に目をむけ、すこし首をかしげた。―「いろんなことを学びに来たのですよ。いろんなことを・・・・・」
一行は銭塘江をくだって杭州に着き、そこではじめてまる一日、旅をせずに城内にとどまった。
- 陳舜臣 「空海求法伝 曼荼羅の人 <星発星宿>」集英社文庫 -
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2012 © 宮下江里子@杭州超海科技有限公司
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海外販路網構築講座その1 セールスレップ制度2012/04/13



海外販路網構築講座 その1:海外販路網構築とセールスレップ制度

初めて海外展示会に出展した中小企業がその国の販売会社と接触した際に「この国には全く販路がありませんから好きに売ってください。」と言う事があります。
一見理解あるようですが、長続きする戦略ではありません。

現在、日本企業が海外に売り込もうとしている製品は、安くて簡便に右から左へ売って稼げるようなものではありません。高い価格に合った付加価値があると時間をかけて理解してもらった後でやっと販売ができるものです。セールスに時間も労力もかかるのです。

そうやって時間をかけて売れて徐々に市場が立ち上がってきたら、どうなるか?
必ずエンドユーザーは直接メーカーにコンタクトを取ります。

インターネットが発達した現在、メーカーに電子メールを送るぐらいなんでもありません。「大量注文するから直に安く売ってよ」と頼まれると断れるメーカーは稀です。
海外の販売店は市場立ち上げの大変な部分だけを無料でした事になります。

というわけで、「自由に売って」と言われて、「ハイ」と頑張って売る販売店はありません。将来に飛ばされるリスクを十分に承知しているからです。
しかし、そういった海外販売店の心理にあまりにも疎いのが日本の中小企業です。

よい物を作ったから「後は勝手に売って」ではなく、販売代理店の義務と権利をしっかりと明文化して契約書に落とす必要があります。

それが米欧で発達したセールスレップ制度の基本であり、その考え方は中国やアジア諸国でも同じように活用できます。

2012 © 大澤裕@ (株)ピンポイント・マーケティング・ジャパン

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寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その1」 2012/04/02

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 その1 - 街道をゆくシリーズ:中国・江南のみち(司馬遼太郎)」
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「さらにくだると、構造のがっちりした大きな楼門があり、金塗の額に、「岳王廟」とあった。南宋の武人岳飛(1103~41)の廟である。
岳飛は一介の武人で、むろん王などではなかったが、その死後、庶民がかれを敬愛したために南宋の朝廷も黙しえず、死んで六十三年後に鄂王という王号を追贈した。通称は、岳王である。(中略)
岳王廟は「関帝」ほどには民間信仰の対象にならず、その廟所は、かれの墳墓のあるこの場所にしかなさそうである。」
司馬遼太郎 「街道をゆく19 中国・江南のみち <岳飛廟>」朝日文庫より
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1975年、日本の国民的作家司馬遼太郎の一行は、無錫から蘇州、杭州を経て紹興、寧波にいたる江南の地を旅しています。

杭州では西湖を巡り、霊隠寺の弥勒菩薩(布袋)を観、竜井の西湖人民公社双峰大隊を訪ね、茶と急須の伝来を考察します。一行がたどったコースも、概ね今の観光ルートに重なり、訪問先の印象も30年以上の歳月、古さはほとんど感じさせません。

岳王廟は、西湖蘇堤の北辺、北山路にある有名な旧跡。
日本の明治維新の原動力、「尊王攘夷・尽忠報国」の水戸国学は宋学が出自。その宋学の本山、南宋の憂国の英雄へ注ぐ視線は、回天期の日本を書き続けた司馬らしくいかにも奥深いものがあります。

彼が訪れた時、岳王廟門内の建物は既に再建物後、さらなる修復はあれ、今の姿と大差はなかったでしょう。

ただし、門外は一変です。作家が見た洗濯物が翻り、子供らが遊ぶ長屋門の道沿いの白壁は、今や商業発展を謳歌する土産物屋や珈琲バー、ファーストフードチェーン店のカラフルな看板の並びに変わり、連日大勢の観光客で大賑わいです。

2012 © 宮下江里子@杭州超海科技有限公司
(Hangzhou Chao-hi Co. Ltd.)

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寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 はじめに」 2012/04/02

寄稿シリーズ:「書籍の中の杭州 はじめに」 著者:宮下江里子

大陸中国の華東地区、浙江省の省都・杭州をご存知でしょうか? 「上有天堂、下有蘇杭」

杭州は、中国内では古より「地の天堂(天国)」と称えられた歴史ある風光明媚な地です。けれど、つい先ごろまで対で語られる蘇州と比べ、日本での知名度はそれほど高くありませんでした。「蘇州夜曲」のような流行歌がなかったからかもしれません。

2011年に杭州の西湖- West Lake – がユネスコ世界文化遺産リストに登録され、東京大阪への航空直行便が飛び、最近は認知度も上がってきたようです。
しかし、実はそれ以前から、日本でも知る人ぞ知る土地ではありました。

私はベタな日本のオバさん、本業こそイマドキっぽいIT関連ですが、ニホンゴ以外にマトモに使える言語ナシ、和食大好き、弾ける楽器は細棹(小唄用)三味線、歌舞伎、文楽鑑賞が最大の娯楽でした。

そんな私が縁合って杭州の現地法人責任者として赴任し、異国に暮す内、カタコトながら言葉を解し、私以外は全員中国人の会社をジタバタしながら切り盛りし、この地の友人を得、気が付けば八年目を迎えます。

この度、コラムを執筆する機会をいただき、今は私の第二の本拠となった杭州を、故郷日本の方々にもっと知っていただけたらと、日本の書籍の中に表れるこの地を題材に、現在の風景と並べるかたちでお伝えしようと考えました。

コラムで紹介する本は、魅力的で読みやすいものを選びました。もし機会があれば、ぜひ原書も読み味わってください。そしてこれがきっかけとなり、実際に杭州にお越しくださる方が現れれば、本当に幸せに感じます。

2012 © 宮下江里子@杭州超海科技有限公司
(Hangzhou Chao-hi Co. Ltd.)

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中小企業の海外展開へのサポーター

「大企業についていくだけでなく、独自に思い切った海外展開をしないと」、日本商工会議所・岡本正会頭のインタビュー記事が紹介されている。

中小企業が独自に思い切った海外展開するための課題は?の問いに対し、「海外ビジネスをためらっている時間はない。進めなければ、世界経済の流れから振り落とされてしまう」と危機感を募らせている。

最近は、商工会議所が主催する海外視察団への応募が盛況で、「海外市場を開拓したいという気持ちの高まりを感じる」とのコメントもあるが、なお一層、「大企業についていく海外展開だけでなく、自らが海外展開を行う」必要性を強調している。

東京商工会議所では、海外展開を目指す中小企業の相談に応じている。
中小企業相談センター(東京都千代田区丸の内3-2-2 TEL:03-3283-7700)

関連コラム:
「海外ビジネスガイドブック」 2011/11/28

2012/03/21

日本人とタイ人との相性の良さ【アジア市場】

バンコク近郊の工業団地に進出している日系企業工場の多くが水没、世界のサプライチェインに多大な影響を与えたタイ大洪水被害。

ジェトロが、被災企業に対し、今後のタイ向け投資がどう展開するかのヒアリングを行った記事が目に留まった。

「被災した同じ場所で事業再開を目指している」と答えた企業は、実に7割以上。
興味をひいたのは、「タイ国外に移転したい」という企業は、ゼロであった点だ。

BOI(タイ投資委員会)が発表している先行指標も、日本企業のタイ向け投資が今後も拡大することを示唆している。
日本企業からの投資認可申請件数(2011年10-12月実績)は、前年同期比で36%増、投資金額ベースでも35%増とのこと。

洪水被害を受けたにも拘らず、タイへの進出への意欲が衰えるどころか、一層タイ進出に積極的な企業が増加傾向なのは、どうも「日本人とタイ人との相性のよさ」との見方もあるようだ。

2012/03/15

海外展開B・Cパターンでのトラブルと解決策

Aパターンよりも一歩進んで、現地で海外パートナーと事業展開をするBパターン・Cパターンでのトラブル事例をご紹介しましょう。

Bパターン(海外へ間接的に進出をするケース)でのトラブル事例

海外パートナーに販売委託する場合のトラブル事例:
・販売トラブル:代理店が販促活動を積極的に行わない、結果として売り上げが伸び悩むなど
・知財トラブル:ブランド保護を行わないだけでなく、無断登録をするなど
・契約条項違反トラブル:安値での販売、横流し販売、テリトリー外での販売など

海外企業への生産委託・技術委託する場合のトラブル事例:
・秘密保持条項違反トラブル:生産技術情報を無断で転用するなど
・委託条項違反トラブル:生産開始の遅れなど
・委託条件トラブル:生産委託料の増額要求を受けるなど

Cパターン(海外へ直接的に進出をするケース)でのトラブル事例

海外に自社支店・工場を設立する場合のトラブル事例:
・進出準備トラブル:現地当局への許認可申請がうまくいかないなど
・労務トラブル:従業員の労務問題など
・調達トラブル:輸入関税の追加徴収など

現地パートナーと合弁事業をする場合のトラブル事例:
・進出準備トラブル:現地アドバイザーから過度な報酬の要求を受けるなど
・税法上トラブル:事業拡大で追加資金投入ができないなど
・想定外のトラブル:事業縮小・撤退への制約が多いなど

Bパターン・Cパターンでは、書面にした契約書が、なお一層重要な解決策となります。
相手はこう思っているだろうと勝手に判断することなく、お互いによく話し合って、合意した内容を書面にしておくことが大事です。

2012/03/07

グレーター・マンチェスター【欧州市場】

産業革命の発祥地、繊維産業が発達した英国イングランド地方が、「空港都市構想」を進めている。

マンチェスター国際空港を中心にした近隣10の自治体が取り組みをはじめた広域経済圏だ。イギリス第二の都市・マンチェスター市内から15分程度で国際空港という立地条件のよさを売り込みたいとしている。

特色あるのは、地域の大学を中心とした産学協同の取り組みが盛んで、科学技術産業や情報産業に強みがある点と、英国政府も特色あるこの地域の経済活性化の助成をしている点だ。

空港の周りに、事務所オフィス、研究施設スペース、さらに、入居者用住宅・レジャー施設などを整備して、積極的に外資企業を誘致、特に、アジアからの企業誘致に力を入れていく予定という。

2012/03/02

よいパートナーを見つけたい

自ら海外に進出せず、海外パートナーに販売委託、または、生産委託する方法があります。

「初めて海外進出を検討しているが、よいパートナーを見つけたい」
多くの経営者から受ける質問です。

間接的な進出だからリスクが少ないとは限りません。
よくあるトラブル事例をご紹介しましょう。

・輸入販売代理契約をしたが、売り上げが低迷している、よく調べると怪しげな販売ルートでダンピング販売をしている。
・商標を無断で登録されてしまった。
・生産委託契約をしたが、予定通り生産が始まらない、委託料の増額を要求された。
・相手先に開示した生産ノウハウを無断で使用された、類似品が出回ってわかった。

後から、「こんなはずではない」とならないようにしましょう。
契約交渉で、お互いのやるべきこと、やってはいけないことなど、事細かに話し合いましょう。

相手はこう思っているだろうと憶測したり、勝手に推測したりせず、話し合いで合意した内容を明確にした契約書を取り交わしておくことが大事です。

2012/2/29

書面契約でリスクを少なく

日本人は、契約書を交わすよりも、信頼できる相手とビジネスをする、お互いの信頼関係を重視する傾向があるといわれています。

「我われ日本人は法律や契約を単なる建前と考える傾向が強く、よって必ずしも重視せず、実際にトラブルがあっても話し合いや人間関係で解決に至ると考えがちである」(「日本人の法意識」、川島武宣著、岩波新書)

国際取引の契約書、それも英語で書かれた契約書をよく読まずに、署名していませんか?
署名する前に、内容をよく読んで、理解できないところがあれば、相手先に訂正の交渉をするようにしてから、納得して合意することが大事です。

日本人だけでなく、だれでも、自分に都合のよいように考えるものです。
口頭で契約交渉をして、すべて話し合ったつもりでも、抜けもれや見落としがあるものです。

お互いの主張する契約条件を話し合い、合意した内容を契約書面にして確認することで、お互いの意識のずれや見落としをなくすことができるのです。

国際取引の契約書を自分で作るには、法務的な知識が必要になるなど、手間もコストもかかるといったマイナス面もありますが、問題が起きてから対処する手間とコストを考えてみましょう。
お互いの認識の違いや誤解を未然に防いでおくのは、事後コストが多大なためです。

国際取引にはクレームは付きもので、起こるべくして発生した、あるいは自らクレームのリスクを招いたケースが多々あります。

書面で取り決めていても、円満解決できないことも多々あります。そのため、契約時に第三者による調停・仲裁などの解決方法についても取り決めておくことが、早期解決につながるのです。

2012/2/29

貿易の基本3:運送会社には賠償責任がない?

意外と思われるかもしれませんが、船会社や航空会社は、貨物を安全に輸送する義務を負っていますが、すべての損害について賠償責任を負っているわけではありません。

運送約款で、免責や責任限度額が細かく規定されているためです。 事故がおきてもすべてを補償してくれない場合があるのです。

そのため、貨物運送中に事故が発生し損害が生じることを想定し、貨物海上保険契約を掛けることにより、運送約款の免責・限度額に関係なく、損害額の補償を受けることができるのです。

貿易取引は異なる国の間で物(貨物)と紙(書類)が移動しますが、輸出者と輸入者の責任範囲が明確でないと、トラブルの原因になります。また、輸出者、輸入者のどちらが輸送中のリスクを負担するか、あるいはどちらが貨物海上保険や国際輸送を手配するかなど、貿易取引条件ごとに国際規則が定められています。

この国際規則に従って、輸出地から輸入地にまでの全輸送過程の中で、海上でのリスク対策として貨物海上保険を掛けることになります。その際、個々の貨物の性質や輸送実態に応じた保険条件にするには、海上保険の仕組みを十分に認識しておくことが大事になります。

関連サイト:
インコタームズ2010(その1) 2010/10/6
インコタームズ2010(その2) 2010/12/8
国際輸送での損害賠償責任 2011/6/20

2012/02/27

海外展開Aパターンでのトラブルと解決策

海外展開や輸出入取引をおこなったときに生じやすいトラブルがあります。

製品を海外で販売する場合のトラブル事例
・代金を払ってもらえない、支払いが遅れるなど、回収トラブル
・顧客都合で、一方的にキャンセルを受けるなど、受注トラブル
・品質クレームを受けるなど、品質トラブル 

部品・原材料などを海外から調達をする場合のトラブル事例
・仕入先都合での生産遅れなど、貨物受渡しトラブル
・到着貨物数量が発注数量と異なるなど、数量差異トラブル
・受注確定後の一方的な価格変更要求を受けるなど、発注条件トラブル

さまざまなトラブルがありますが、大きく分けると、
1)品質不良に関するもの
2)数量不足・商品受け渡しに関するもの
3)マーケットクレームに関するもの
になると考えられます。

契約時に価格と納期だけを取り決め、その他の条件を明確にしないで契約してしまうケースが多く見られます。
輸出入取引の契約では、売買当事者の責任範囲と免責範囲について、細かく取り決めておくとともに、最悪を想定した場合のクレーム解決方法も合意しておくことが大事です。

1)品質不良に関するトラブル解決策:

輸入取引を開始する前に、相手側に品質要件を十分に理解してもらうことが大事で、製造時の品質管理や出荷検品の管理方法などの話し合いや、輸出者の責任範囲の明確化がポイントです。
併せて、クレームが発生した場合の対応で、さらには円満解決できない場合を想定し、契約書にはクレーム条項と仲裁条項を明記しておくことも必要です。

2)数量不足・商品受け渡しに関するトラブル解決策:

輸出入の慣習で、契約数量の5%は許容範囲内とする考え方もあり、数量不足は特に注意すべきです。
もし、許容できる増減幅を設定する取引の場合、契約段階でその数値を明確にしておく必要があります。
輸出の場合、インボイス数量との差異を理由に、着荷不足のクレームを受けるケースも多発しています。輸出者自らが輸出時の検数・検量を行うことが必要でしょう。

3)マーケットクレームに関するトラブル解決策:

輸出者の小さなミスを契約不履行という理由でクレームにされたり、値引きを要求されるケースがあります。
船舶や航空機のスケジュール遅延は輸出者に直接の責任ではありませんが、納期遅延を理由に値引きを要求されたケースもあります。契約時に売買当事者の責任範囲と免責範囲を明確にしておくことが必須となります。

「当事者の利害は反する」、そのために、3ポイントをたえずチェックしましょう。

・当事者の責任範囲と免責範囲を明確にする
・最悪を想定した契約管理を行なう
・自らクレームリスクを招かないようにする

2012/02/24

貿易の基本2:取引に法規制があるの?

海外旅行には、いつでも誰でも自由に行けますが、税関でパスポートの提示は必要です。貨物の場合も同じように、税関での検査は必要です。

日本の輸出入取引は、原則自由です。
しかし、「外国為替および外国貿易管理法(外為法)」で事前に許可を申請しなければならない商品が決められています。
輸出をしてはいけないのではなく、輸出をする前に、経済産業省に許可申請、承認を得なければならない商品もあることを覚えておいてください。 

そのため、輸出する商品がこの法律に該当するかどうかの調査(貿易コンプライアンス)は、契約前の経営判断をするうえで、大変に重要なことなのです。

・法令を知らなかった
・自社製品は、高度な技術を用いた貨物ではないので、許可が不要と思った
・メーカーに該非判定を依頼し、間違った判定結果を鵜呑みにしてしまった
・海外にある自社子会社への輸出は許可が不要と思った

など、輸出当事者の認識不足から、国際的な安全保障貿易に抵触した不正輸出を理由に摘発される事件が相次いで生じています。

大手企業であれば、社内に輸出管理室等の貿易コンプライアンス専門の部署を設置して対応しています。専門部署の設置が困難な中小企業では、対応に苦慮しているケースが多く、通関業者任せのケースも多いと思われます。

貿易コンプライアンスは、輸出当事者の責務です。輸出者自身が貿易コンプライアンスの自主管理で適切に判断しなければなりません。

法的規制の認識不足から、委託業者に丸投げしたり、勝手に判断したりしないことが重要なのです。不正輸出が意図的でないにしても、知らなかったではすまされず、刑事罰を受けることもあります。

事前のコンプライアンス調査を忘れないようにしましょう。

関連サイト:
貿易業界で使うコンプライアンスとは? 2005/6/20

2012/02/24

セールスレップ制度とは【米国市場】

「販売ルート先を開拓できる人材・ノウハウが無い」、海外進出を考えている経営者にとって、共通の悩みでしょう。

アメリカの場合、セールスレップ制度があります。
米国に販売網を作りたいが、営業力や販売力が弱い中小企業やベンチャー企業にとっては、便利な存在です。

特定の製品を仕入れて販売する一般の販売代理店とは違い、専門知識と販売ルートをもったセールスレップが商品を購買先に紹介、ビジネスチャンスにつなげる橋渡し役・コーディネーターです。販路拡大のための事業パートナーともいえるでしょう。自社の営業力や販売力の弱さをカバーしてくれるのがセールスレップです。

2012/2/14

中国進出のベストパートナーは台湾企業【中国市場】

最近読んだブログから、「台湾の人材は、日本企業が中国に進出する時の最も良いパートナー」という記事です。

日本の文化や考えも理解できる一方、当然ですが、中国人の考えを一番理解できる立場にある、さらに、中国語・英語・日本語が話せるのが台湾人です。

多くの台湾企業が、中国華南地区だけでなく、上海などの華東地区への進出も増えてきています。中国市場をよく知っている点では、初めて中国に進出する日本の中小企業にとってはベストパートナーかもしれない。

日本人も人脈を大事にする点では同じですが、中華系の人たちはもっと強いものを持っています。世界中で一大ネットワークを持っており、台湾だけでなく、アジア全域に広がる華僑の人脈を頼りに中国展開を行うのも一案かもしれません。

2012/2/14

3パターンの海外展開

グローバル化の時代です。多くの企業が海外と関連があり、ますます海外展開をめざそうとする企業が多くなるものと思われます。

でも、「海外展開」と言っても漠然としていて、理解しづらいと思います。
「貿易とは何か?」から考えて見ましょう。

貿易とは、当たり前ですが、国内取引ではなく、異なる国の間で行われる売買取引です。当然、言葉が異なるため、話が伝わりにくい。さらに、文化・社会通念が違うため、お互いの理解や認識に大きなずれが起こりやすい。また、売買当事者それぞれで商慣習・法制度が異なる。

そのために、国内取引と比較すると、より多くのリスクがあります。国内取引でもそうですが、売主と買主の利害は反しています。ですから、当事者間のトラブルはつきものなのです。

このような環境で国際取引をすることになりますが、具体的にどのような海外展開があり、それぞれにどのようなトラブル事例があるか考えてみましょう。

Aパターン: 海外と取引契約をするケース(一般的な輸出入契約)
製品を海外で販売する、部品・原材料などを海外から調達をするなど

Bパターン: 海外へ間接的に進出をするケース
海外パートナーに販売委託する(現地代理店)、海外企業への生産委託・技術供与するなど

Cパターン: 海外へ直接的に進出をするケース
海外に自社支店・工場を設立する、現地パートナーと合弁事業をするなど

海外展開というと、BパターンまたはCパターンだけと考えがちです。Aパターン(一般的な輸出入契約)も、国境を挟んだ取引であることには変わりなく、海外展開の1パターンとして含めました。

2012/02/14

インドに「日本人の街」を輸出【アジア市場】

「中小企業向け工業団地だけでなく、日本基準の住みやすい住環境も含めたインフラ輸出を計画」–年始早々の新聞報道でした。

経済発展がめざましいインド、特に、自動車産業の進出がめざましいチェンナイで、日本政府が民間と一体となって、初めての海外での都市開発事業を展開すると報道されています。

電気・水道など工業団地のインフラ整備だけでなく、日本人医師がいる病院や、日系のショッピングセンターなど、進出企業の家族が安心して暮らせる住環境も整えるという。

海外進出のネック(生活基盤が異なる)がなくなり、中小企業が安心して進出できるようになるでしょう。

しかし、いままで多くの先人たちが知恵と工夫で、なんとか海外に溶け込んでいった決断と勇気に学ぶことも大事だと感じた新聞記事でした。

2012/02/14

貿易の基本1:取引はリスクが高い?

売主と買主がお互いに交渉して、自由に契約を取り決めることができるのが貿易取引です。当たり前ですが、国内取引ではなく、異なる国の間で行われる売買取引です。

そのため、当然、言葉が異なる、商慣習・法制度も異なる国同士での取引となります。さらに、物・金・書類が異なる流れをします。コンプライアンス(法令遵守)・代金回収トラブルや輸送中のリスクなどもあります。

いちばん気をつけておくのは、お互いにどこまでが自分の責任なのか取り決めておくことでしょう。よくあるケースですが、契約時に価格と納期だけ取り決め、その他の条件を明確にしないで契約してしまうケースが多く見られます。

輸出入取引の契約では、売買当事者の責任範囲と免責範囲について細かく取り決め、最悪を想定した場合の解決方法も合意しておくことが大事です。

売主と買主のどちらがどの費用を負担するか、また売主から買主にモノを引き渡す場所をどこにするかを取り決めておかないと、トラブルの原因となります。

輸出入取引の最大の基本は、貿易条件(インコタームズ)です。
インコタームズは、国際商業会議所が取り決めた貿易条件の解釈を明文化しており、世界で最も利用されている貿易取引の国際ルールなのです。

貿易取引は、国境をまたぐ国際取引です。人間の常として、自分に都合の良いように解釈しがちです。ましてや、異なる言語と異なる商習慣の下で、売主と買主間で契約内容の解釈について、しばしば論争や訴訟問題にもなっていました。

そこで、国際商業会議所が世界共通の貿易条件の国際基準を定めたのが、インコタームズ規則なのです。最新版は、2010年に改定されたインコタームズ2010です。

インコタームズ2010(その1) 2010/10/6
インコタームズ2010(その2) 2010/12/8
貿易業界で使うコンプライアンスとは? 2005/6/20

2012/02/14

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