貿易実務もネット化が進みLC信用状を使わず海外取引ができる時代です。 しかしLC信用状は貿易実務の基本であることをもう一度を振り返っておきましょう。|貿易実務で忘れてはならないLC信用状のしくみ

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公開日:2014.09.02  / 最終更新日:2016.06.20

貿易実務で忘れてはならないLC信用状のしくみ

LC信用状を使わずに海外取引ができる時代になっています。
たしかにB2CだけでなくB2BでもPayPalなどのネット決済や銀行送金で取引が行われています。

簡単に決済ができる便利な時代ですが、それだけで海外取引リスクが解決したわけではありません。
貿易実務の基本であったLC信用状のしくみを理解することで海外取引リスクについて考えてみましょう。

■海外取引リスクとは?
外国との取引にはさまざまな海外取引リスクがあるとよくいわれています。
輸送に時間が掛かる、商習慣が違うなど国内取引と比べれば確かにリスクがあるかもしれません。

このようなリスクを少なくするため貿易実務でリスクヘッジが行われています。

輸送に時間が掛かる、つまり輸送中に貨物が損害を受たり紛失することがあります。
このような保険事故に対して貨物保険をかけることで損害を補てんすることができます。

ドルやユーロなどの外国通貨での取引の場合は為替差損が問題となります。
自国通貨で取引できればいいですがなかなかそうはいかない場合があると思います。
銀行で為替予約をすることで為替差損を防ぐことができます。

売買当事者が直接会って商談をすることがなかなかできない海外取引。
輸出者にとって最大の海外取引リスクはやはり信用リスク、つまり代金回収にあると言えます。
そのため銀行を介在させて取引を行うことで代金回収リスクを補てんすることができます。
つまり買主側の銀行が万一の場合の支払保証をしているのがLC信用状なのです。

LC信用状は貿易実務の基本
外国との取引は、モノの流れ・書類の流れ・カネの流れに時間差があります。
輸出地から輸入地までに介在するプレーヤーの間をモノ・書類・カネがバラバラに流れているのです。

貿易実務には、フォワーダー・通関業者だけでなく、梱包業者、倉庫業者、国際運送業者など多くのプレーヤーの間で書類を担保にモノを引き渡す、書類提示を条件に代金支払が行われています。

買主に対して銀行が支払保証をしているLC信用状にはモノの流れ・書類の流れ・カネの流れの必要条件が細かく決められています。
LC信用状を使わなくても貿易実務でフォワーダーから提示を求められる書類はLC信用状で規定されている書類と同じものが要求されます。
たとえば、船荷証券BLのオリジナル書類の提示がないと船会社から貨物の引取ができないなど。

LC信用状の場合とまったく同じ条件で貿易実務が行われているのです。
簡易決済を利用したからといって貿易実務まで簡素化されるわけではないことをよく理解しておきましょう。

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LC以外の国際決済方法

2014/09/01

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