運び役を介した金塊密輸が増えています。金の密輸とならないために関税などの正しい輸入の手続きを整理してみましょう。|金の密輸とならないために

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金の密輸とならないために

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金塊を密輸しようとした疑いで、愛知県の韓国籍の女性たちが逮捕される事件がありました。

この女性たちは主婦仲間で、別の人物が香港で買い付けた金塊を韓国で受取り、日本に密輸していたといいます。

また、唐津市では漁船で金塊200㎏を密輸しようとした男らが逮捕されました。

このように香港から韓国を経由し、複数の運び役を介した金塊密輸が増えています。

全国の税関が摘発した金塊密輸は平成25年度には全国で8件でした。しかし、26年度177件、27年度は294件と急増しています。増加した理由の一つに消費税率の引き上げが考えられます。

日本では消費税込み価格で金が売買されます。買う時も売るときも消費税込みの価格で取引されます。いっぽう、香港では金を購入しても消費税はかかりません。持ち出しにも税金はかかりません。主犯格は香港で買い付けた金塊を手に韓国経由便で日本に渡ります。韓国でトランジットするとき、集めておいた「運び役」に金塊を小分けにして渡します。

日本入国時に本来ならば支払うべき消費税を無申告で通過すれば、日本で売却するとき上乗せされる消費税8%分が儲かるという仕組みです。金の価格は近年上昇し続けており、2017年6月現在1㎏税込み490万円前後です。為替変動なども踏まえても、仕入価格より30万円以上高く売れることになります。

「うーん、オイシイ」とは思ってはいけません。これは関税法と消費税法違反であり、立派な犯罪です。5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科せられることがあります。未遂も同罪です。

では、「運び役」でなくとも、金を密輸してしまわないために、知っておくべきこととは?

金地金(純度90%以上)の持ち込みは、1㎏を超える場合、「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」を提出しなければなりません。じゃあ、1㎏超えなければ申告しなくていいのかというと、そうではありません。

金地金は現金やT/Cなど「支払い手段」と並列されていますが、モノであり、携帯品・別送品にあたります。携帯品・別送品の免税範囲は総額で20万円です。たとえ1㎏以内でも20万円を超える場合は課税されるので、別途「携帯品・別送品申告書」に記入します。金は関税無税ですが、消費税及び地方消費税を納付しなければなりません。

では、日本に出入りする際、税関に申告する必要がある「支払手段等」とは、
・現金(本邦通貨、外国通貨)
・小切手
・トラベラーズチェック、旅行小切手
・約束手形
・有価証券(株券、国債等)
これらの合計額が100万円を超える場合。

又は、金地金(純度90%以上)が1㎏を超える場合、です。出国時も入国時も必要です。申告=課税ではありません。

支払手段等の申告は、資金洗浄及びテロ資金供与対策の一環として、FATFの特別勧告にも盛り込まれています。日本以外の多くの国でも、出入国の際に申告が義務付けられています。

また、自国通貨の持ち出しについて厳しく制限している国もあります。申告せずに出入国しようとした場合、罰金や没収といったこともあります。多額の現金等を携帯する場合、渡航先国の大使館や総領事館に事前に確認することが必要です。

2017/06/23

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