ケニアの電子マネーM-PESAがなぜケニアで成功したのか。 その理由と今後のビジネスチャンスについて現地にいる視点 から考えてみたいと思います。|なぜ電子マネーM-PESAが成功したか

  • Twitter
  • facebook
  • LINE
検索
公開日:2016.01.30

Mama Africa! Kenya便り:なぜ電子マネーM-PESAが成功したか

こんにちは。

今回は、前回ご紹介したケニアの電子マネーM-PESAに
ついて後編をお届けします。

このケニア版電子マネーは、
携帯電話のSMS機能を使うことで、決済、送金、出金、
マイクロファイナンスなど様々な使途で使われていることを
お届けしました。

当初は、トライアルで貧困者向けの融資サービスを目的として
始まったM-PESAですが、後編はなぜケニアで成功したのか、
その理由と今後のビジネスチャンスについて現地にいる視点
から考えてみたいと思います。

M-PESAがケニアで成功した主な理由は、
ケニアで広く普及している携帯電話に着目したことや
競合相手となる銀行に対してM-PESAがケニアの
大多数である低所得者・貧困層のニーズに合致していたことです。

では、何故各銀行と比べていかに大衆のニーズを掴んだのか、
3つの成功理由を挙げてみたいと思います。

第一に、銀行よりも簡単に登録できる敷居の低さです。
銀行の口座開設のように面倒な手続きや審査はなく、
口座維持費など利用するサービス以外の手数料も発生しません。

一方、M-PESA手数料は取扱いの金額によって変動する
システムで、少額を日常的に取引したい低所得者・貧困層の
ニーズを捉えた便利なサービスと言えます。

第二に、ケニア人大衆の用途にマッチしていることも挙げられます。
前編でも触れましたが、ケニアでは都市部への出稼ぎ者が
非常に多く、仕送りのたびに帰省することは現実的ではありません。

また大金を持ち帰ることも、強盗やバスジャックが頻発するケニア
では非常に危険で、犯罪を誘発することにもなりかねません。
日常でも街中ではスリや強盗は頻繁するため、お金を携帯するより
安全かつ安心です。

最後に、M-PESA取扱店数の多さです。
実際のところ、取扱店数はSafaricomやVodafoneで管理・把握は
してはいないものの、路面店、スラム、農村部の至る所に
存在します。
農村部に住む家族は、送金された仕送りをすぐ近くの取扱店で
出金することが可能です。

現在、世界中にいるモバイルマネー利用者は約6,000万人と
言われていますが、そのうち3人に1人がケニア人とも言われ、
彼らがいかにM-PESAを利用しているかがわかります。

急速に普及したM-PESAですが、
今後このネットワークを使い以下のようなビジネス展開が
期待されています。

・公共料金やインターネットの支払い
・行政への各種登録と納税
・高度なサービス(医療など)が享受できない貧困層への情報提供サービスへの支払い
・顧客情報の管理

また、ケニアで普及しているM-PESAと日本で普及しつつある
LINE Payの相互連携なども期待できるかと思います。

便利なサービスである一方、詐欺や誤送金などへの
トラブル対策が個人に依存することも事実です。

実際に私も経験がありますが、SMSで入金の連絡が入り突然
そのSMSの番号から電話かもしくはメッセージが送られ、
間違って送金したから返金してくれとの連絡が入るのです。

誤送金をしてもキャンセル機能はないことを逆手に取った詐欺と
言えます。また、仮に他人に誤送金(日本の銀行のように送金先
情報が確認できるシステムはありません)しても返金されることは
ゼロに等しいので、現状個々人で注意するしか術がありません。

発展途上国にして携帯電話の普及と共に広がったケニアの
電子マネーM-PESA、今後のビジネスチャンスは計り知れません。

次回は、意識しておきたいケニアのビジネスマナーについて
お届けしたいと思います。

2016/1/29 E W Africa, Schema Corporation

海外:ケニアよりの関連記事