販売代理店にとってメーカーからその努力を認めてもらう事がいかにうれしい事なのか。販売代理店へやる気を出してもらうための具体的方策例です。貿易実務の情報サイトらくらく貿易。 |海外販路網構築講座 販売代理店の動機づけ

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海外販路網構築講座その7 販売代理店の動機づけ2013/03/15



海外販路網構築講座 その7:海外巨大市場の攻略方法―代理店の動機づけ―

米国の株価が史上最高を更新し続けています。ここ数年アジアからの攻勢に押されてきた米国製造業でしたが、シェールガス革命によるエネルギー価格低下と金融緩和、オバマ大統領のメイドインアメリカ製品への政策支援によって急速に復活しつつあります。もともとGNPではヨーロッパにほぼ匹敵し、アジアの中国・日本・韓国を合わせた以上の巨大市場、復活し始めるとそのインパクトは大きいものがあります。

現在、ニューヨークではテロで倒壊した貿易センタービルの後、さらに巨大な建築中のビルが偉容を誇っています。「テロに屈しない」というアメリカの強い意志をアピールしているかのようです。マイアミは中南米への玄関口として発展著しいです。ブラジル等の中南米の好景気にささえられて人口も急増しています。そしてメキシコと接する南部地域には一端中国に進出した工場が戻ってきています。やはり市場に近いところで生産した方がよいという判断があるようです。こういった米国のような多様な巨大市場を攻略するには販売代理店の活用が不可欠です。

先日の米国出張で訪問したニューヨーク近郊のA社はもう30年以上にわたって日本の大手メーカーM社の販売代理をしています。玄関口にメーカーからの表彰状がいつくも飾られていました。こういった事はよくあって、弊社のシアトルオフィスの近くにある電子機器の販売代理店は、たった2人のセールスレップでしたがソニーからの感謝状が飾ってあります。

別のセールスレップは、日本の某大手企業の全米トップ20位にはいる販売代理店になり、ご夫妻で日本に招待されたことがあるそうです。「空港に豪華バスが迎えに来てくれたのだが、皆のスーツケースが入りきらないでね。急遽、もう一台、荷物用のバスを用意してくれて、それで日本中を回ったよ。」と楽しそうに思い出を語ってくれました。

こういった話を聞くと、代理店にとってメーカーからその努力を認めてもらう事がいかにうれしい事なのかが、よくわかります。下記はそういった代理店へやる気を出してもらうための具体的方策例です。

‐代理店契約を結んだら、その任命書を与える。(潜在顧客に見せられるように)。
‐はじめて代理店経由でモノが売れたら、それが少量でもThank you mailを打つ。
‐もっと売れたら、優秀代理店として表彰してやる。
‐もっと売れたら、日本に夫婦で招待してやる。

というように必ずしもお金をかけなくても、やる気にさせる手段はあります。代理店契約を結んだのなら、気持ちよく働いてもらえるように、いろんな方策を考えましょう。海外販売担当者は、「自分が売り込みに行く」という発想から「よい代理店を見つけて彼らにやる気を出させるのが自分の役割」と考えた方がよいです。特に米国や中国、欧州等のような広大な市場では各地の代理店活用を真剣に考えるべきです。自分(自社)で出来る事には限りがありますからね。

2012 © 大澤裕@ (株)ピンポイント・マーケティング・ジャパン

海外販路網構築講座その6 グローバル経営人材育成2012/12/13



海外販路網構築講座 その6:グローバル経営人材育成講座

首都圏産業活性化協会(TAMA協会)というところで、グローバル経営人材育成講座のアドバンスコースを担当させていただきました。海外販路の作り方、展示会活用の仕方、代理店候補への提案書の作り方、契約書の作り方、法的な問題点等を実例挙げて説明し、プレゼンも各社4回していただきました。

面白かったのは他社紹介です。2人でペアになって、相手を15分程インタビューしたあとで相手の会社の概要と製品を皆さんの前に紹介発表してもらったのですが、皆さん自分の会社を説明するよりも、他社の事の方がよほどうまく説明されます。自分も知識のない業界の事なので、素人にもわかるように噛み砕いて説明してくれるのです。また自分自身をアピールする事には抵抗があるが、他社の事は遠慮なく誉められるのでしょう。

我々、ピンポイント・マーケティング・ジャパンも「業務内容が一番分かりやすいのはジャングルシティーのインタビュー記事でした」と言われる事があります。自社のHPよりも外部の人が書いたインタビュー記事の方が分かりやすいというのですから、マーケティングの会社として若干恥ずかしいものがあります。日本人的謙虚さを我々ももっているのでしょう。

さて、海外におけるマーケティング力は1.語学力・文化的適応力 2.提案力 3.交渉力に分けられます。

一般的には1が強調されることが多いのですが、今回のグローバル経営人材育成講座のアドバンスコースで私が強調したのは2の提案力と3の交渉力でした。というのは、日本企業は海外の販売会社に向けて「自ら提案する」という事がほとんどないからです。製品を海外展示会にもっていって「こんな製品です。よろしくお願いします。」と製品説明だけして販売戦略に関しては、完全にノータッチ・提案待ちの姿勢です。

必要なのは、どういった海外販売パートナーで、何をしてほしいのか、そしてその販売パートナーにどういったメリットがあるのかを明確に説明できる会社は非常にわずかですし、それを販売代理店契約書に落とし込んで提出できる形にしている会社は更に少ないです。これではいくら海外展示会に出展しても販売パートナー候補との契約には至らないでしょう。

私のコンサルティングしている会社でこの半年で海外代理店を10社も次々と獲得して順調に海外販売を伸ばしている会社があります。上記のような準備をしてから国内・海外展示会に出展するようになったからです。出会いを具体的な形にもっていく手順を作ったとたんに成果が表れ始めたのです。

グローバル経営人材育成講座のアドバンスコースでも、そのような説明をして海外の代理店候補(セールスレップ・ディストリビューター候補)への提案をプレゼンしてもらいました。数年後、参加企業の中からグローバルニッチ企業が生まれている事を信じています。

2012 © 大澤裕@ (株)ピンポイント・マーケティング・ジャパン

「海外販路網構築講座その7 販売代理店の動機づけ」はこちら

「海外販路網構築講座その5 海外への技術ライセンス交渉」はこちら

海外販路網構築講座その5 海外への技術ライセンス2012/10/10



海外販路網構築講座 その5:海外への技術ライセンス交渉

有望な特許をもつベンチャー企業から「海外に特許ライセンスしたいのだが…」という相談を受ける事があります。実際、我々はIBM社、GM社、3M社、GE社、フォード社、ダイムラークライスラー社、ロックウエル社等々の超多国籍大企業の特許ライセンス部門に日本の発明家・ベンチャー企業のもつ特許ライセンスの打診・交渉を行った事が何度かあります。その際の交渉の注意点を簡単に記しましょう。

まず正しい特許ライセンス先を見つける事は特許を取得する事以上に難しいと考えて下さい。出来るかぎり多くのライセンス候補企業にアプローチすべきです。アプローチしたすべての会社が高く評価しようとも、企業は、特許に基づくビジネスを展開するために最低でも資金・人員・工場スペース・販売経路等の問題をクリアーしなければならず、今の時点でこれら問題のない企業だけしか実際にライセンス取得に名乗りをあげる事が出来ないからです。

また交渉相手企業が1社しかないのと、多数あるのとでは、発明家の交渉力・立場はまったく異なります。例えばその特許に強い興味を示す会社を10社見つければ、強い立場で交渉する事ができます。それに対して交渉相手が1社しかなければその企業の条件を飲まざるを得ないのです。

「多くの企業にアプローチするとその発明を盗用する会社が出てくるのではないか」とある発明セミナーで質問された国立発明殿堂(National Inventor’s Hall of Fame)のエド・ソベイ博士はこう答えています。「実際は逆の心配をすべきです。誰もその特許を欲しくない、または誰もその特許の真価を理解してくれない、というケースの方が圧倒的に多いのです。電話やトランジスタといった大発明でさえその真価は長年認められなかったのです。」

また「現在、交渉中の会社があるので、その交渉の結果がでてから再度考えたい」と言われる方もおられます。そういう方に逆にお聞きしたいのは、その交渉相手が「10億円で貴兄特許を買いたい」と提案した場合、その値段を高いと評価するのですか?それとも安いと評価するのですか?という事です。たいていの場合は「わかりません」というのが答えのようです。

本当の答えは他の企業の姿勢にあります。他にその特許を高く評価する企業があり、「100億円でも出す」というならば、10億円の値段は安すぎるという事になります。逆に他の企業が1億円程度の評価しかしていなければ、10億円の評価は非常によいものとなります。つまり代替案を常に知っていなければ、交渉の基準がつかめないのです。

「1社と交渉中は他社とは交渉をしない」という姿勢は日本的な美徳ですが、海外では逆に複数の交渉相手をもつ事を常識としています。お互いに競争させて有利な条件を引き出すためです。1社づつ交渉していくという姿勢は相手企業に足元を見られるだけです。これは特許ライセンスに限った話ではありませんが、海外企業との交渉はすでにオプションを持ち、多く会社と同時進行する努力をすべきです。

2012 © 大澤裕@ (株)ピンポイント・マーケティング・ジャパン

「海外販路網構築講座その6 グローバル経営人材育成」はこちら

「海外販路網構築講座その4 航空機産業への売り込み方」はこちら

海外販路網構築講座その4 航空機産業2012/08/06



海外販路網構築講座 その4:航空機産業への売り込み方

国内市場が飽和するなかで、新しい市場を求める動きが活発化しています。その一つが航空機産業です。「自動車の次は航空機だ!」というシンプルな発想(?)かどうか、各地で航空機産業への売り込み勉強会が開催されています。

我々の経験からいうと航空機産業に物を売り込むといってもいろんなケースがあります。
大雑把にわけると

1.飛行機本体に搭載される主用機器 
2.飛行機本体に搭載される付属機器(キッチン・トイレ・イス・オーディオ等)
3.飛行機を作る工場で使用される機器(検査機器や加工機器)
4.飛行機のMRO(保守・修理・オーバーオール)機器

といった分類があります(我々独自の分類です)。それぞれについて説明します。

1.飛行機本体に採用・搭載される製品 

例えばランディングギアやエンジン等、まさに主要部品です。
今回のボーイング787の開発に伴って東レの炭素繊維が機体に採用されたように、十年単位の新型機開発のタイミングでしか売り込みができません。
また認証も大変で時間がかかります。中小企業の手だしできる分野ではありません。(若干の例外あり)

2.飛行機本体に搭載される付属機器(キッチン・トイレ・イス・オーディオ等)

この売り込み先はボーイングやエアバスというよりもANAやシンガポール航空等の各航空会社になります。
例えば、ANAの787型機のビジネスクラスにはウオシュレットが採用されていますが、これは当時のANAとTOTOの社長が友人だったから実現したそうです。
製造したボーイングの立場からすれば、顧客であるANAが「このトイレを採用してくれ」と言われたので、その指示に従ったと言う事になります。

ただ事情に詳しい人に聞くと「ボーイング787に搭載されたウオシュレットの数など、たかが知れている。その認証のためにTOTOの使った費用や手間ヒマを考えるととても割に会うものではなかっただろう」との事です。
これも中小企業が参入すべき分野とは思われません。

3.飛行機を作る工場で使用される機器(検査機器や加工機器)

これは飛行機に搭載されるものではないので航空関係認証の問題はありません。
ボーイングやエアバスの工場に食い込んでいる代理店に扱ってもらえれば採用の可能性は十分にあります。
現に私の友人であるシアトルの某セールスレップは島津製作所の検査機器をボーイングに販売しています。

4.飛行機のMRO(保守・修理・オーバーオール)機器

これは飛行機の保守・メインテナンスに使われる機器・部品です。
例えばある日本の鏡メーカーは、飛行機の中を検査するのに便利な鏡(棒の先に手鏡のついたようなモノ)を大量にMRO会社に販売しています。
各飛行場にMRO会社は存在するので、その売り込み先の選定・アプローチが容易ですし、まったく認証の問題もありません。中小・ベンチャー企業が航空機市場に参入するならここが一番狙い目でしょう。

このように、同じ「航空関連製品・部品」といっても売り込み先・認証・販売難易度はまったく異なっています。
まずは自社の製品がどの分類に属するかを考えましょう。場合によっては「航空機マーケットはきっぱり諦める!」というのも中小企業としては立派な決断です。

2012 © 大澤裕@ (株)ピンポイント・マーケティング・ジャパン

「海外販路網構築講座その5 海外への技術ライセンス交渉」はこちら

「海外販路網構築講座その3 中国市場での失敗例」はこちら

海外販路網構築講座その3 中国市場での失敗例2012/06/11



海外販路網構築講座 その3:中国市場での失敗例

景気低迷がささやかれる中国ですが市場としての魅力はますます高まってきています。私も先月に大連に行ってきましたが、衣食住のすべてにおいて現地の購買力の強さに驚きました。しかしながら、そういった表面上の魅力に反して、実際は中国での販路開拓・進出に失敗している日本企業も多いです。その失敗例をご紹介します。

1.現地総経理の不正

販売子会社を設立して現地人を社長(総経理)にしたところ、彼の親類の会社を販路に入れられてマージンをとられていたというケースがあります。なかなかこういった不正は表にでにくいですが潜在的には相当にありそうです。

2.労使問題

物価上昇が続く中、現地労働者から毎月のような賃上げ要求にゲンナリしている会社があります。最近は日本以上に厳しい雇用法が施行されていて簡単に馘首したりもできません。

3.賃貸料の急上昇

特に都市部ですがオフィスや店舗の賃貸料金が急上昇しており、当初の想定をはるかに上回る固定費を製品・サービスの値段に転嫁する事ができずに苦しんでいる会社も多いです。場所によっては5年で5倍の賃貸料になったところもあるそうです。

4.ワイロ

1人に渡したら他の人からもどんどんと要求されるようになったという話を聞きました。本当に必要なのかもわからず現地責任者の言いなりになってしまう例もあるようです。

このように、まだ難しいことの多い中国の販路網構築ですが、その中で成功例として語られるのがダイキンやヤクルトです。共通点は自社販路を諦めて代理店を活用しているところ。問題はどうやって信用できる代理店候補を見つけて、育てていくかというところにあります。それについてはまた別の機会に。

2012 © 大澤裕@ (株)ピンポイント・マーケティング・ジャパン

「海外販路網構築講座その4 航空機産業への売り込み方」はこちら

「海外販路網構築講座その2 海外用のカタログの作り方」はこちら

海外販路網構築講座その2 海外用カタログ2012/05/09



海外販路網構築講座 その2:海外販路網構築と海外用のカタログの作り方

素晴らしい製品をもっていながら、そのカタログがあまりにも貧弱な会社というのは、とくに開発者=経営者であるベンチャー企業によく見られます。製品説明がペラペラの紙1枚だけといった場合もあります。「見る人が見ればこれで分かります」と自信をもっておっしゃいます。

先方からの問い合わせがあった場合は、そういった一枚紙でも十分でしょう。担当者は十分にその技術の事をわかった人でしょうから。しかし新しい顧客を開拓したいという場合はあきらかに不十分です。技術のバックグランドがない人にでも、その製品の優位性・メリットが明確に伝わらなければ「わかる人」にまで情報が転送されません。それにはカタログが中学生でも分かる言葉で説明されている必要があります。

しっかりした英文カタログを持たれている場合でも日本語パンフレットをそのまま翻訳しただけのものが多いです。しかし本来なら海外現地の同業社のパンフレットを取り寄せて、その表記の仕方をまねるべきです。例えば海外同業2-3社のパンフを読んでみると、同じような免責の説明が入っていたりして、「こういう免責はいれておいた方がいいのだな。」とか参考になる点が多々あります。期せずして現地の市場調査までできてしまうのです。

製品説明を記した英文カタログとは別に販売代理店向けには、その商品を扱う事によってどういったメリットがあるか、利益が見込めるかといった商業的な価値を説明したプレゼン資料もあった方がよいです。「どの製品を扱うか」を決める代理店責任者は、必ずしも技術的に詳しい人であるとは限らず、むしろ儲かるか否かという商業的価値のみに重きを置く人である場合も多いからです。

カタログの重要性は海外市場に限った事ではなく国内市場でも一緒です。しかし言葉や距離のため気軽に電話や訪問ができない海外市場ではその重要性は10倍にもなると認識した方がよいでしょう。

2012 © 大澤裕@ (株)ピンポイント・マーケティング・ジャパン

「海外販路網構築講座その3 中国市場での失敗例」はこちら

「海外販路網構築講座その1 セールスレップ制度」はこちら

海外販路網構築講座その1 セールスレップ制度2012/04/13



海外販路網構築講座 その1:海外販路網構築とセールスレップ制度

初めて海外展示会に出展した中小企業がその国の販売会社と接触した際に「この国には全く販路がありませんから好きに売ってください。」と言う事があります。
一見理解あるようですが、長続きする戦略ではありません。

現在、日本企業が海外に売り込もうとしている製品は、安くて簡便に右から左へ売って稼げるようなものではありません。高い価格に合った付加価値があると時間をかけて理解してもらった後でやっと販売ができるものです。セールスに時間も労力もかかるのです。

そうやって時間をかけて売れて徐々に市場が立ち上がってきたら、どうなるか?
必ずエンドユーザーは直接メーカーにコンタクトを取ります。

インターネットが発達した現在、メーカーに電子メールを送るぐらいなんでもありません。「大量注文するから直に安く売ってよ」と頼まれると断れるメーカーは稀です。
海外の販売店は市場立ち上げの大変な部分だけを無料でした事になります。

というわけで、「自由に売って」と言われて、「ハイ」と頑張って売る販売店はありません。将来に飛ばされるリスクを十分に承知しているからです。
しかし、そういった海外販売店の心理にあまりにも疎いのが日本の中小企業です。

よい物を作ったから「後は勝手に売って」ではなく、販売代理店の義務と権利をしっかりと明文化して契約書に落とす必要があります。

それが米欧で発達したセールスレップ制度の基本であり、その考え方は中国やアジア諸国でも同じように活用できます。

2012 © 大澤裕@ (株)ピンポイント・マーケティング・ジャパン

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