国産ニシキゴイに今、海外から注目が集まっている。現在日本で養殖されているニシキゴイの約9割は海外輸出用となっている。|国産ニシキゴイに海外が注目-輸出拡大

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公開日:2016.01.27

国産ニシキゴイに海外が注目-輸出拡大

【世界中の人々を魅了する泳ぐ宝石=ニシキゴイ】

中国の古い言い伝えが語源の「登竜門」。
「黄河上流の竜門という急流を上り来ったコイは、
やがて竜になるだろう」という意味を持つ。

「泳ぐ宝石」とも呼ばれるニシキゴイは、
立身出世や商売繁盛の助けとなる縁起の良い魚として、
またその美しさから、世界中の人々を魅了し続けている。

我が国で生産が始まったのは明治時代。
以降、さかんに品種改良が繰り返され、
より丈夫で美しいニシキゴイが誕生してきた。

そんな国産ニシキゴイに、今、海外から熱い視線が注がれている。

財務省の貿易統計によると、
2014年の輸出額は前年より3.4億円増の33.1億円にものぼり、
現在、日本で養殖されているニシキゴイの約9割は海外輸出用
だということがわかる。

輸出先では香港が約3割を占め、
これに、オランダ、タイ、インドネシア、ベトナムなどが続く。

特に、経済状況が上向いている東南アジア諸国の
富裕層の人々にとって、“富の象徴”であるニシキゴイを買い、
飼育することがステイタスとなっている模様で、
近年、東南アジアへの輸出額が急増中だ。

【長岡市と小千谷市は共同の推進協議会を設立】

例えばインドネシアの西ジャワ州、バンドン郊外では
大手の養鯉場が日本のニシキゴイ養殖業者と提携し、
2000年より幼魚や成魚を輸入して販売している。

ニシキゴイはインドネシア語でも「コイ」と呼ばれ、
古くから食用としてさかんに養殖されてきた。

また、年間を通じて暖かいインドネシアでは、コイが活発に動き、
エサをたくさん食べるため、より大きく成育。

インドネシア国内では品評会もたびたび開催され、
最近では会場に若者の姿も目立つという。

こうしたなか、
ニシキゴイの一大産地である新潟県の長岡市と小千谷市が
さらなる輸出拡大に向けて、ニシキゴイの生産関係者や観光協会
などと「長岡・小千谷『錦鯉発祥の地』活性化推進協議会」を設立。

輸出環境の整備を進めながら、ニシキゴイ文化の価値と発信力の
向上を図ることを同意した。

さらに、両市は日本貿易振興機構・新潟貿易情報センター
(ジェトロ新潟)と協力しながら、海外各国に対して買い付けツアーを
招聘するなど、様々なプロモーションを展開。

品評会や買い付けツアーには香港やタイ、ベトナム、ドバイなどから、
多くの富裕層が参加するなど各国との絆を深めつつある。

この4月にはドバイへの初輸出が実現したほか、
ベトナムでは11月に開催された
「ジャパン フェスティバル イン ベトナム2015」に
小千谷市長や新潟県議、そして養鯉業者で構成された
小千谷市漁業協同組合の役員らが参加して、
ニシキゴイを行政機関に売り込んだ。
 
【生き残りをかける国内外生産者】

ニシキゴイは、温暖な地域であれば比較的育てやすい
といわれているが、美しく丈夫なコイに仕上げるには、
気候の安定、適した水や土の完備などのほか
、膨大な稚魚の中から選抜を繰り返して、
体形や模様などが優れた魚を生み続けなければならず、
多くの時間と手間、そして経験が欠かせない。 

近年は広島県や九州などでの生産力が高まっているほか、
中国などのアジア勢の勢いもとまらない。

こうしたなか各地域、生き残りをかけて様々な策を練る。
勝ち抜くためには、品種の多さや品質、そしてコストやブランド力
といったところがカギになりそうだ。

2016/1/27 フリーライター 蛭川 薫

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