外出規制が全国的にかかっているフランスで毎日行われていることがあります。夜の8時になると窓をあけて拍手をする拍手運動です。これは厳しい状況の中でも活動を続けている医療関係従事者や食品販売などを支えてくれる方達に向けての周りからの応援の拍手です。5分程度の時間ですが毎日自主的に行われています。 |拍手でコミュニケーション?フランス人の表現法

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公開日:2020.04.20  / 最終更新日:2022.10.21

拍手でコミュニケーション?フランス人の表現法

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外出規制が全国的にかかっているフランスで毎日行われていることがあります。

夜の8時になると窓をあけて拍手をする拍手運動です。

これは厳しい状況の中でも活動を続けている医療関係の仕事についている方や食品販売などを支えてくれる方達に向けての周りからの応援の拍手です。5分程度の時間ですが毎日自主的に行われています。

私がフランスに住んで間もない頃、この拍手に救われたエピソードがあります。

子供用のスキーウエアを買いに子供2人を連れてスキークラブ主催のガレージセールに行ったときのことです。体育館ぐらいの広さの会場に、スキーウエア、スキーの板や靴などがぎっしりと並べられていました。私は、片手で幼い長女の手をつなぎ、もう片手は抱っこ紐でつないでいた次女を支えていました。

沢山あるウエアを物色し始めたら夢中になってしまい、私は気がつくと長女の手を放していました。すると隣で「ガッシャ―ン!!」とすごい物が倒れる音が響いてきたのです。ドミノ倒しのように次々と倒れるスキー板たちの横に、おびえる長女の姿がありました。どうやら長女が触ったスキー板が倒れ、並んでいたスキー板が崩れ去ったようです。会場が、一瞬シーンとなりました。私は顔面真っ青です。

数秒の沈黙の後、大きな拍手が送られました。「圧巻なドミノ倒しだったね。ブラボー!」

私はてっきり怒られると思っていたのでびっくり。皆に華麗なドミノ倒しを賞賛されて長女もほっとした様子で会場はあたたかな雰囲気に包まれました。この時の拍手の場面は今でもありありと思い出せます。機転を利かせて拍手をしてくださった会場の方には今でも感謝しかありません。

拍手なら言葉が通じなくても手があればできる簡単な事です。結婚式やコンサート会場でなくても普段の生活の中で拍手を上手にコミュニケーションのツールとして使っているフランス人達。今回の夜8時の拍手運動も周りへの感謝の心と自分たちを励ます役割を担っている気がします。

拍手は祝福の気持ちだけでなく、ねぎらいや賞賛など様々な意味合いで使える表現法の1つなのだということを再確認しました。

ビジネスシーンでの最初の挨拶は握手から始まることも多いフランス。一瞬の手の触れ合いから受ける印象というものも大きいと感じています。「握手をしたとき、まったく力が入ってない人は信用できないわ」といっていた女性社長がいました。手のコミュニケーション、意識してみると面白い発見があるかもしれません。

2020/04/20

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