フィンランドはサウナの発祥地として日常において、そしてビジネスシーンにおいても欠かせない大切なものとされています。人口およそ550万人に対しておよそ330万のサウナ風呂があり、サウナで会議が行われることがあります。会議で凝り固まった脳をほぐすためにサウナに入り、相手とじっくり向き合い共に汗を流して議論を続けるビジネス文化が受け継がれています。|

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公開日:2018.04.04  / 最終更新日:2022.10.20

Terve! サウナはフィンランドのアイデンティティ

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突然ですが、みなさんサウナは好きですか?

日本でもスーパー銭湯や温泉施設があちこちにお目見えし、サウナや岩盤浴を楽しむ機会が増えてきましたね。

ここフィンランドはサウナの発祥地として日常において、そしてビジネスシーンにおいても欠かせない大切なものとされています。

その証拠に人口およそ550万人に対しておよそ330万のサウナ風呂があるといわれています。

神聖で清潔な場所

その昔、サウナは身体を洗う場所だけでなく、お産をし新生児を洗いその後1週間ほどの仮住まいの場所とされていました。そして家族の誰かが他界すると、遺体を洗う場所にもなっていました。今ではこのような神聖な儀式はなくなりつつありますが、フィンランドの夏至祭やクリスマス前夜には、心身を清める場所として必ず利用されています。

フィンランドのサウナには、薪でたくサウナと電気ストーブ式のサウナがあります。前者は、一軒家やコテージのサウナに多く、後者は集合住宅や学生寮などにあります。集合住宅には一世帯ずつあり、学生寮や、やや古い集合住宅では共同サウナとして備え付けられているので、事前に予約して利用できます。

ビジネス会議はサウナ室で?!

自宅にサウナが場合は、公衆サウナを利用できます。日本の銭湯と同じ感覚でいつでも利用できます。他にも、ホテルや国会議事堂、そして民間企業のオフィスの中にもあります。フィンランドのビジネスシーンではサウナで会議が行われることがあります。かつてサウナ外交を推奨していたといわれる元首相で大統領のウルフ・ケッコネン氏が、国際会議の後に各国のリーダーや官公使たちをサウナに誘い、裸の付き合いをしながら議論し続けたというエピソードがあります。それに倣ってか、今でも会議で凝り固まった脳をほぐすためにサウナに入り、相手とじっくり向き合い共に汗を流して議論を続けるビジネス文化が受け継がれています。

会議以外でも、忘年会や慰労会など社内レクリエーションとしてサウナパーティーを開催する会社もあります。サウナが温まるまでの間、参加者たちは飲食しながらくつろぎ、サウナが温まればサウナでリラックスし、サウナの途中ではタオルを巻いて外に出て涼みながらまた飲食したりおしゃべりしたり。身体を一気に冷やしたいなら夏なら海へ、冬なら凍湖へ入る人もいたり。日頃の疲れを癒しながら同僚や上司たちとの交流を深める場として利用されています。

こうした公共の場でのサウナは、男女別のところもあれば混浴のところもあります。混浴の場合はタオルや水着を着用することになっています。

サウナはフィンランドの「おもてなし」

私が初めて義家族に会った日、義父に「サウナができているからどうぞ」と言われました。当時はただ、サウナの準備ができたよ、と知らせてくれたという理解でしたが、ここに住んでみるとこの意味は「人をもてなす」行為であることがわかりました。

サウナに一人で入ることもありますが、基本的にフィンランドでは家族や友人、そして職場の同僚などと入ることで相手との距離を縮めながら共にくつろぐ時間を共有しています。その貴重な時間に価値を置いているため、そのような場所(サウナ)をもてなすことがフィンランド人にとってのホスピタリティになります。

もし観光でフィンランドへ訪れたりフィンランド人と交渉する機会があったら、躊躇することなくサウナに入ることをオススメします。人々との交流はもちろんのこと、ビジネスでの交渉がまとまらないとサウナから出してもらえず帰国することが許されないかもしれませんよ。

2018/04/04

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