コロナ禍になってから在宅勤務へ移行する企業が世界各国で見受けられます。フィンランドももちろんその状況下にありますが、EU機関の調査によると、フィンランドはEU加盟国の中で在宅勤務への移行率が最も高かったという結果がありました。 |在宅勤務率が高いフィンランドの課題とは?

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公開日:2020.05.24  / 最終更新日:2022.10.20

Terve! 在宅勤務率が高いフィンランドの課題とは?

フィンランドの在宅勤務

コロナ禍になってから在宅勤務へ移行する企業が世界各国で見受けられます。フィンランドももちろんその状況下にありますが、EU機関の調査によると、フィンランドはEU加盟国の中で在宅勤務への移行率が最も高かったという結果がありました。

今回はEUをはじめとするフィンランドの在宅勤務事情についてお伝えします。

平時から在宅勤務が推奨されているフィンランド企業。今回のコロナ禍でも大きな問題もなくスムーズに在宅勤務へ移行した人たちが大勢います。そうした状況の中、欧州生活労働条件改善財団の調査結果によると、EU加盟国の中でフィンランドは、約60%の従業員が在宅勤務に移行できたと回答しています。移行率が50%を超えたのはルクセンブルク、オランダ、ベルギー、デンマークの4ヵ国でした。

一方、在宅勤務へ移行した後、労働時間が以前と変わっていないと回答した労働者の割合が最も高かったのはスウェーデンとフィンランド(それぞれ52%、49%)でした。

こうした在宅勤務へ移行および実施するにあたっての影響は、さまざまなところで見受けられます。日本でも課題となっているワークライフバランスの問題がEU諸国でも深刻化しています。例えば、12歳未満の子どもと暮らす労働者5人に1人にあたる22%が仕事に集中できないと回答しています。反対に子どものいない世帯ではわずか5%、12~17歳の子どもがいる世帯では7%という結果です。

フィンランドの在宅勤務率がEU諸国の中で最も高い理由としては、ワークライフバランスの実施と遠距離通勤を避けるために、政府がテレワークを長年推進してきたことが大きな理由として挙げられています。

ワークライフバランスを実施してきたといえども、在宅勤務への移行の影響は物理的にも精神的にもますます境目がなくなってきています。住環境(日常生活を営む空間と仕事をする空間との境目)、介護・育児の関わり方、さまざまな家族支援ネットワークの欠如などの問題を抱えている人が多いと指摘しています。さらにすべての企業や世帯、地域が在宅勤務に適切なインフラが整備されていない点も指摘しています。

また、同僚たちとの交流が少なくなっていることが不満という結果があります。仕事の中断がなくなったことは効率的に業務が進められる一方で、やはり社会的な交流などの機会が少なくなるのは精神的に寂しいという状況がみられます。

コロナ禍が収束するころ、またはこれからの労働環境のあり方として例えば一つの会議でも会社に出社して参加する従業員と、リモートで参加する従業員のハイブリッドモデルになるのではないかと予測しています。

コロナのような見えないウイルス、そしていつまで続くかわからない不安定な日常生活。こうした状況がしばらく続くことを前提に、仕事と家庭のバランスをどう取るのかが一層問われ始めています。

記事参照元:
https://yle.fi/uutiset/osasto/news/study_finland_quickest_in_eu_to_shift_to_teleworking_in_corona_era/11344924

画像提供元:
https://ahjocomms.fi/etatyo-toi-aitouden-tyoelamaan/

2020/05/25

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