信用状を使った輸出取引でもっとも難題なのが「信用状を入手したが輸入者が倒産した」この場合です。輸入者が倒産しているのなら、信用状発行銀行は絶対に自ら資金は払いたくないはずです。何かかんかと難癖を付けて払おうとしないと思います。そんなことが見え見えの状況で輸出代金を無事に回収するには相当の覚悟と準備が必要です。 |信用状取引と輸入者の倒産(前編)

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信用状取引と輸入者の倒産(前編)

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信用状を使った輸出取引でもっとも難題なのが、「信用状を入手した!輸入者が倒産した!」この場合です。

これに対する教科書的な回答はこうなります。「このような時(相手が倒産したとき)こそ、信用状の本領発揮場面です。信用状取引の本旨に従い、決済に向けて粛々と事を進めましょう。」

何となく気持ちは分かりますが、まるで具体性が無いと思いませんか?

正直どうしたものか分からないですよね。そこで言い換えてみましょう。

まず船積をしなさい。船会社がB/Lを発行してくれます。そしたらB/Lとその他の書類を銀行に持ち込ましょう。銀行はこの船積書類を買い取ってくれます。買い取った銀行は、その書類を信用状発行銀行に送ります。書類を受け取った信用状発行銀行は、資金を払ってくれます。これでお終いです。こう言いたいわけです。

しかし現実問題として、こんなに上手くいくのでしょうか?

輸入者が倒産しているのなら、信用状発行銀行は絶対に!本当に絶対にです!自ら資金は払いたくないはずです。何かかんかと難癖を付けて、払おうとしないと思います。そんなことが見え見えの状況で、輸出代金を無事に回収するには、こちらにも相当の覚悟と準備が必要です。

今回はこの難題に向けて、解決策を考えたいと思います。とても一回では無理なので、複数回に分ける事をお許しください。

それでは早速お話しを進めていきます。

その1 持込(予定)銀行への事態説明と協力要請
先ずはこれから始めましょう。信用状取引において、船積書類を持ち込んで買い取って貰う銀行は、輸出側当事者として大変重要な位置づけになります。特に輸出者から見れば共通利害者として、資金回収に向けて、100%自分と協調して貰うことが必要です。

そこで第一歩は買取銀行への、事態説明と全面協力要請です。仲裁や訴訟への協力要請も、出来ればしておく必要があります。(詳しくは後述します。)

その2 入手した信用状の内容点検
銀行協議と同時進行で、手に入れた虎の子の信用状を、次の各点に関して実際に確認してください。銀行協議の席に持ち込んで、銀行に見て貰うのも有効です。なおこの時点までに信用状発行銀行から、信用状の取消(キャンセル)を求めてくる可能性があります。相手の申し出も尊重せねばと一瞬思いますが、信用状の取消には全当事者の同意が必要です。輸出者が同意しなければ取消は出来ません。

こちらはこれからこの信用状で、船積・買取をする予定です。取消に同意なんか出来ません。不同意の返事。若しくは何も反応しない。という対応になります。ちなみにこの段階で、輸入国側はこちらの意図を察知しますので、有る意味これ以降はガチンコの話に移行します。

以下は中編に続きます。

2019/07/06

銀行から「良いサービス」を引き出す方法(後編)

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前回からのお話しを、引き続き進めたいと思います。

今回は銀行から好条件を引き出すコツです。

以下をすれば100%効果を保証!こんな訳にはいきませんが、かなりの確率で好条件を引き出せると思います。

(早い話、銀行は「これは儲かる客だ!と判断すると、途端に対応を変えてくるからなのです。)

コツその1 取引は集中!
私はFP(ファイナンシャル・プランナー)の末席を汚してるのですが、よくクライアントの方から資産運用のコツを聞かれます。その時には分散運用を強く勧めています。同じ分野で運用しないとか、同じ時期に資金を投入しないとかです。しかし銀行取引では真逆です。分散よりも「集中」をお勧めします。
つまり一つの銀行に取引をまとめてしまうのです。

このメリットは同じ取引内容でも、取引ボリュームが大きいほど、銀行は採算が良くなり、ひいては皆さんの待遇が良くなるからです。ま、平たく言えば銀行に「多買」を持って「薄利」を迫る。えげつないですが分かり易いと思います。銀行サイドでもこの様に取引を集中してくれるお客様のことを、「一行先」(いっこうさきと読みます)と呼んで大事にします。

本部への稟議でも、意見欄に「一行先」と記載すれば、それだけで本部の審査部門も、無下には拒絶できなくなります。さらにもう一押しすれば、中小企業であれば会社だけでなく個人取引も、或いは従業員取引も集中してもらえれば、更に銀行は丁重になります。

コツその2 協力する
銀行からのお願いは、出来る範囲で良いので協力する。銀行員も人の子です。同じ案件を採りあげるときでも、銀行のお願いを聞いてくれる取引先と、全く聞いてくれない先とでは、どうしても力の入れ具合が変わってきます。力が入る取引先からの依頼であれば、条件交渉申し出にも好意的な対応を努力します。

銀行からのお願いはきりがない。しつこい。こんな感想を持つ人もいます。これは有る意味本当ですが、その時は遠慮無く断れば良いのです。問題は銀行を打ち出の小槌としか見ていなくて、自分の要求は声高にするが、銀行の要求は拒否する。この取組姿勢では担当者も人の子なので、良い結果は望めない。これが言いたいのです。出来る範囲で良いので応じてみてください。

コツその3 他銀行の話をぶつける
今までの話とは真逆ですが、銀行員は他行動向を異常に気にします。他行が積極姿勢であれば自分たちも積極化しますし、他行の腰が引けていると自分たちも半身を引いてしまいます。私も入行した頃、先輩から企業観察はその企業自体を見るだけでなく、同業他社の動向と、他行動向を注視するようにと口酸っぱく言われました。特に他行動向を見誤るとロスにつながる。こう戒められました。

皆さんはこれを逆手に取れば良いと思います。自分の取引銀行が一行であっても、他行から取引条件の提示を受けることは可能です。他行から見れば新規先からの取引オファーになりますので。絶対に断ることはありません。そして元々の銀行との条件交渉の場に、その他行が出してきた条件を、提示するのです。(いわゆる相見積もりの応用です)

これをやられると銀行の方では取引を失いたくないので、「取引防衛の観点」から「他行同調」という行動をとります。かなりこの方法はえぐいだけに効果的です。何回もやると取引感触が悪くなりますが、ここぞと言うときには、極めて効果的な作戦です。

以上、三点お話ししました。ご参考まで。

2019/06/29

銀行から「良いサービス」を引き出す方法(前編)

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銀行との取引は、ほぼ銀行の言うとおりの条件になります。

顧客から見れば少々不満な点があっても、立場的には弱いので、「仰せごもっとも」の場合がほとんどです。

もちろん取引の条件には、法令の定めによる物も多々あります。これは銀行でもどうすることも出来ません。決め事ですので。

しかし交渉可能な条件もあります。

今回はそういった交渉可能な条件に注目して、顧客有利な状況を引き出すお話をします。対象は外為取引です。

さて何が交渉のテーブルに上げられるのか、ここから始めます。

銀行との取引条件が記載されたものは大きく分けると、「規定」や「約定書」と「料率表」や「相場表」になります。このうち「規定」や「約定書」はペーパー化しているので良く目にしますし、銀行から交付されたり、自署や記名捺印を求められたりするので、皆さん一定の理解も得られています。

この「規定」や「約定書」は、残念ですが交渉対象ではありません。もし皆さんが気に入らなければ、取引をしないことは出来ますが、そこまでです。取引したいのであれば丸呑みが条件です。いわば「橋の下に寝る自由がある」だけの状態です。

一方「料率表」や「相場表」はどうでしょうか。皆さんも手に取ることはあっても、交渉可能とは思わないのでは。

しかし、こちらは十分交渉可能なのです。但しいきなり支店の店頭で「料率表」や「相場表」を振りかざして、「条件を交渉したい!」と叫んでも、銀行担当者から、丁重にお引き取り願われてしまうのが落ちです。

相手にして貰うには、ちょっとしたコツがあります。以下三つほどお示し致します。

1.銀行キャンペーンを利用する
スーパーや量販店ほどではありませんが、銀行でも全行的にキャンペーンをすることがあります。この時は既定料率・相場よりも、皆さんに有利な条件が適用になります。これは誰にでも適用となるものですので、大手を振って要求できます。

また「周年運動」といってその営業店が開設して10年経ったなどと、イベント的な年度にその店独自の運動をすることがあります。この時にもその内容が自分の要求に合致するのであれば、堂々と適用を要求することが出来ます。

2.銀行訪問時の同行者を選ぶ
銀行を訪問するときに、既にその銀行と取引している人と一緒に行くと、効果的な場合があります。前述の1.と違って確実とまではいきませんが、その人と同条件は検討してもらえる可能性が大です。(その人と同程度の取引ボリュームが必要ですが)

3.法人・営業性個人なら銀行担当者の来訪を乞う
皆さんが法人の担当者や営業性個人(個人事業主のことです)であれば、取引をしようと思う銀行(支店)に、電話することをお勧めします。「取引したいのだが、来てもらえないか。」こう話してみてください。

ポイントは支店に電話する際に、「営業担当のセクション」と指名して、内部事務部門ではなく、外訪活動をしている部署につないで貰う事です。内部事務担当につないでもらうと、「では一度ご来店ください」となって、皆さんの思うような折衝が出来なくなってしまいます。

営業担当であれば、顧客訪問は生命線ですので、絶対に皆さんのところに行かないとは言いません。一度来てもらえれば、その場で条件交渉することは、何の問題もありません。皆さん主導で話を進めてください。

以上です。如何でしたか。次回はより具体的に、好条件を目指すコツに触れたいと思います。

2019/06/20

AIBAの無料貿易相談

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今回は貿易アドバイザー協会(以下AIBA)の、無料相談のお話しです。

皆さんはAIBA(アイバと呼びます)をご存じでしょうか?

元々はジェトロ(独立行政法人日本貿易振興機構)認定の、貿易アドバイザーのメンバーが集まって組織した団体です。

ジェトロでの認定試験が終了した後は、自らが主催して認定試験を行い、貿易アドバイザーを約300名抱える、外為を含めた貿易プロ集団です。

こんなAIBAにもホームページがあります。最近、装いも新しくなり見やすくなりました。

さてこのページ上方に、TRADE CONCIERGE(無料相談)があります。これはAIBAが用意したドアノックツールと言うべきものです。

外為(大きく貿易も)のアドバイスを求めたいときに、ここから必要事項を入力すれば、解決策を示してもらえる。こんな仕組みのページです。初回ご相談は無料です。ここには開設以来、様々な問い合わせが来ています。

皆さんは新規業務や新規事業で外為(あるいは貿易)を考える時、取引銀行に相談を持ちかけると思いますが、過去何回かお話ししたように、銀行に聞いても銀行関係の外為以外は、からきし門外漢の場合がほとんどで、何も有効な回答が無く、裏切られた気持ちになる事が多々だと思います。

しかしAIBAであれば、的確なアドバイスを受けられると思います。なぜなら所属する貿易アドバイザーは、本当の意味での専門家ばかりなのです。そしてその知見は非常に深いものがあり、私は常々ただひたすら感銘を受けるばかりです。

しかも電子メールでは不十分とお考えであれば、東京本部事務所での無料相談も受けてくれます。実際に貿易アドバイザーと面談しながら相談を行うことが出来るのです。そして一度相談してみて、更なる具体的なサポートを求めるのであれば、個別に手を挙げた貿易アドバイザーが、その任に応じてくれます。(但しここの部分は有料です。)

AIBAホームページには具体的サポート内容として、
・海外の会社へのM&Aのやり方
・海外展示会への視察・買い付けへの同行依頼
・社内での海外ビジネス要員の育成サポート
・海外での販売代理店やバイヤーの探索 etc.
いやはやすごい内容が、分かり易く列挙されています。

これを見ると相談内容は、貿易に関することは何でもOK!こう断言できそうです。

如何でしょうか。世の中にはいろいろなコンサルタント機関がありますが、AIBAはそれ以上にお役に立つと思います。思い立ったが吉日とも言います。一度コンタクトしてみてください。

貿易アドバイザー協会(AIBA)
https://trade-advisers.com/

2019/06/07

「居住者・非居住者」はここに注意!

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今回は知識の整理を兼ねて、「居住者・非居住者」について、お話ししたいと思います。(別名、居住性の問題とも言います。)

ちなみに法人にもこの区別はあるのですが、ウッカリしがちなのは個人のほうです。

そこでここでは個人のお話しをさせて頂きます。さて「居住者・非居住者」とは「何ぞや?」ですが、一般的には日本国内に住んでいる人が居住者で、住んでいない人が非居住者になります。

特定の個人を考えたとき、その人はどちらかに分類される。例外は無い。こう整理できるわけです。

しかし実際にはそうは上手くは行きません。

前提として居住者と非居住者の定義づけが必要なのですが、一般に言われるもの(所得税法における居住性)と、外為で使われる物(その根拠は外為法令)は違っているのです。(ここでの外為法令との略称使用を、お許しください。)

元になる法令が違うのだから定義づけも違う。こういった已む無しの側面もあるのですが、銀行員自身が、この違いを認識していない場合が散見されます。結果として皆さんが振り回されてしまう。こんな事も起こりえます。

そこで違いの例をご紹介しますので、何かのご参考にして頂ければと思います。

【外国人は、日本入国後6ヶ月以上経過すると居住者になる。】

但し日本国内の事業体勤務であれば、直ちに居住者です。(外国為替法令の解釈及び運用について 蔵国第2345号 平成12年12月28日)

これに対して所得税法では、

【「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」をいう。】

つまり外国人が日本に入国して住所を持たなければ、一年を経過するまでは非居住者となるわけです。(国税庁タックスアンサーNo.2875 居住者と非居住者の区分)これは長期出張などで日本に滞在する外国人が、住所を持たない場合(普通は持たないと思いますが)は、税務上は一年ですが、外為取引では長くとも半年経てば、居住者扱いとなる。こういうことになります。

やや煩雑になりましたが具体的な例で考えると、来日して半年経った海外からの非居住者が、海外送金をしようとすると、居住者扱いされることになる。この理解で良いと思います。

外為関係で言えば他にも、

1. 日本人の海外駐在員が一時帰国した場合、帰国後半年未満であれば非居住者扱いである。
2. 日本人の在外公館勤務者は、期間を問わず居住者となる。
3. 日本人が海外でどこにも勤務せず、2年以上となった場合は非居住者となる。

などのように知らなければ判断に苦しむような、ケースがいろいろあります。

もし不明点があれば、取引銀行への問い合わせで良いと思いますが、その回答は外為法関連規定の基づいた物である。この点お忘れ無きようお願いします。

2019/06/01 

輸入をしたら、船積書類が銀行に到着した!

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海外から商品を購入すると、商品引き取りのために、輸出相手からの船積書類が、必要になる事が多々あります。

少額の場合や既に代金支払済の場合は、輸出者から直接輸入者に送られてくると思いますので、それを使えばそれで終了です。

しかしそんなに頻度は多くないのですが、銀行に直接船積書類が届くことがあります。

銀行ではそういった書類が到着すると、書類に記載された指示内容に従って、まずは輸入者に書類が到着した事を連絡します。

この「書類到着案内」が突然だったりすると、皆さんをびっくりさせてしまうわけです。

今回はその辺の機微をまとめてみました。ご参考になればと思います。

さて銀行から連絡が行ったと言うことは、皆さんはまだ輸入貨物は引き取っておらず、代金決済も済んでいない状態だと思います。

この場合別ルートで輸出者から、書類引取方法・代金決済方法について、明確な指示が来ていない場合は、銀行に以下の点を是非確認をしてください。

1. 書類はだれから。海外銀行?それとも輸出者?
海外銀行なら良いのですが、輸出者の場合は少々厄介です。場合によっては別途輸出者に直接コンタクトして、書類の受取や代金決済を詰める必要があります。海外銀行であればこのポイントはスルーして下さい。

2.到着書類の受取は決済と引替?引受で良い?
ここは重要なポイントです。到着書類にD/Pとあれば、決済をしなければ書類は受け取れません。D/Pは、Documents against Paymentの略でディーピーと呼びます。また書類にD/Aと表示されている場合があります。これは船積書類に入っている為替手形に引受サインをすれば、書類が受け取れることになる指示です。D/Aは、Documents against Acceptanceの略でディーエーと呼びます。D/Aの方が輸入者は有難いのですが、いきなり到着した場合はほぼ100%D/Pです。

3.何時までに対応すれば良いのか。
先方からの指示には、輸入サイドでの処理希望期限が、書かれている場合があります。この指示はあくまでも先方希望であって、強制では無いのですが、何もしなければ貨物はそのままです。結局先方希望に添うのが、望ましいことになります。

また特段の期限が無ければ、銀行の指示に従います。多くの場合、銀行はいつまでと言ってくれませんので、到着案内を受けてから一週間をめどにしてください。

以上、一通りお話ししましたが、注意して頂きたいのは、連絡をしてくる銀行は、必ずしも皆さんの取引銀行とは限らない点です。しかし取引が無い銀行であっても、その指示に従ってください。

場合によっては本人確認資料や、最低限の書類提出を、求められるかもしれませんが、その場合は適切に対応してくだされば幸いです。

2019/05/18

外為のアノマリーって?

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皆さんはアノマリー(Anomaly)と言う言葉をご存じでしょうか。

法則や理論では説明できない事象を総称します。

いわゆる「経験則」と呼んでいる物です。

株式投資や外国為替証拠金取引をやっている人には、お馴染みの言葉かもしれませんが、皆さんは如何でしょうか。

ところでそのアノマリーですが、外為実務の現場を考えてみます。

日々実務に追われていると、中々そんな分析も出来ないのですが、それでもいくつかそれらしき物は思いつきます。今回はこういったアノマリーを、ご照会したいと思います。

1.ドル円相場が動くと、外為の持ち込みが増える

一番目はこれです。パッと聞くと当然のように聞こえますが、実は何の裏付けもありません。外貨建てだけでなく円貨建ても増えました。円建ては相場とは無関係ですから、増える理由は不明です。逆に相場が動かないときは持ち込みも少なく、支店の中で妙に外為だけ「ヒマ~」という、間の悪いことになっていました。

結局、為替相場の動向と為替の持ち込みの関係は、うまく説明できそうもありませんでした。強いて言えば、為替相場の変化がお客様の銀行への依頼を動機づけた。こんな感じでしょうか。

2.魔の金曜日

外国為替証拠金取引ではよく知られているようですが、外為実務でも魔の金曜日はありました。全ての金曜日が忙しいわけでは無いのですが、突然、月曜から木曜と変わってしまうのです。暇になるならまだしも、いきなり忙しくなるのです。

担当者としては大変でした。事前に分かっていれば、準備も出来るのですが、当日いきなり忙しくなると、他の日と違って翌営業日に回せません。回すと土日分がロスタイムとねり、余計な金利が発生します。お客様は金曜日に持ち込んだのだから、なんとか今週中に!こう依頼されますので、必死に対応せざるを得ません。

二年前に始まったプレミアム・フライデーは、こんな状況の上乗せになる訳ですから、現場の苦労が偲ばれます。

3.用が無いときこそお客様の許へ!

外為に限らず、銀行の営業は店の中だけではありません。特に営業担当者の店外活動は、お約束とも言えます。
といっても一年365日、取引先に用事があるわけではありません。そこで提案と称して自行商品の売込をしてみたり、相手には大した価値もないかもしれない情報を、紙に落として届けて見たりと、涙ぐましい努力をしていました。

ところがそんな事をしなくても、ただ単にふらっと立ち寄っただけで、上手くいくことがあります。それも偶然とは言えない確率なのです。周囲に聞いてみた限りでは根拠はないものの、多少とも同じような経験をしているようです。手ぶらで用事も無く訪問するなんて、とんでもないことになりそうな話です。

しかし現実は違いました。これなどもアノマリーなのでしょう。

如何でしたか。今回はアノマリーについてでした。

2019/05/11

自分の銀行が合併!聞いたその瞬間は?

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今回は外為を離れて、銀行の合併についてです。

よく企業の合併は、結婚に例えられます。
確かに両方の経験者の私からすると、もっともな部分が多々あります。

しかし相違点も有ります。その最たる物は知ったときの瞬間です。自分の結婚に自分で驚く人はいないでしょうが、合併の方は聞いてびっくりする人は大勢います。

私も二度合併を経験しましたが、一度目は「まさか!?」二度目は「何で!?」と。

何れも困惑と混乱の意味不明な驚きになってしまいました。後から経営トップの話などが公表されると、決して偶然ではなく必然だったのだ。こう判断できるのですが・・・。

一回目の合併のとき私は関西のお店でした。バブル景気が大都市圏を席巻していたころと重なります。今から思えば積極的と言えば聞こえは良いのですが、無茶ぶりに近い融資をやっていました。もし本部検査があったら、かなり絞られるだろうと若手みんなでよく話したものでした。

そんな雰囲気の中でのある日の朝。日経新聞の一面に、デカデカと「合併へ!」の文字が躍っているではありませんか。しかも銀行名は自分の所。目が吸い付けられました。瞬間は思ったことは。そう。「まさか!」です。もう一度見直します。やはり間違いありません。

当時はSNSなんて便利な物はありませんから、半信半疑のまま急いでお店に行くことになります。出社して出てきた連中に、「おい知ってるか?」こう聞くと、「えっ!まさか検査か?」こんな反応です。(どうやら、本部の抜き打ち検査が来たと思ったようです。)

重ねて「日経見てないのか?」と聞いても、「ほれっ!」と見せてくれた日経には、どこにも合併の記事は無しです。そのうち支店長が出社してきて、我々の喧噪を見て怪訝な顔です。(後で聞いたら、支店長も知らなかったとのこと。)程なくして本部から支店長宛に電話が入り、慌ただしく支店長は自室にこもり、扉を閉めてしまいました。

しばらくして部屋から顔を出して、支店幹部を招き入れました。我々若手は気になって、仕事の準備が全く出来ません。そうこうして臨時朝礼が開かれることになりました。開口一番、支店長の口から出たのは、「当行は合併する。」でした。それ以上のことは本部から招集が掛っているので、その報告を待てとの指示でした。併せてお客様からのご照会には、詳細はまだ通知されていないので、分かり次第お知らせする。このようにお応えするようにとの発言がありました。

それから実際の合併までは怒濤の嵐のような日々でした。この時に比べて二回目は、既に自分たちが合併経験者の上に、バブルも崩壊し、金融機関の破綻も相次ぎ、そろそろウチも合併か?こんな気持ちをみんな持っていました。そんなこんなで合併を聞いた瞬間は冷静だったのですが、合併相手には悶絶しそうになりました。文字通り「まさか!?」です。

それでも慣れとは恐ろしい物で、いつの間にか合併にひた走りです。こうして二度の合併を経験すると、合併と聞いても平気な自分がいます。たいした物です。

さて一つお話しをもらしました。一回目の合併でなぜ同じ新聞に違いがあったのか。この点です。これは配達エリアの違いにより締め切り時間が異なり、合併記事が間に合ったエリア⇒一面トップに「合併」の文字。間に合わなかったエリア⇒一面トップは別の記事。

こんな仕組みだったようです。聞けば「なぁーんだ」の世界ですが、気が動転していた当時は、狐につままれた気がした物でした。

2019/05/02

外為における英文サインについて

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今は何でもペーパーレスの時代です。

実際にサインをすることは、大変に少なくなりました。

しかし今でも外為取引では、送金小切手の発行・輸出手形の裏書き・輸入船積書類の裏書きなど、サインが必要な場面があります。

今回はこの英文サインにまつわるお話しです。

日本で銀行取引と言えば、すぐ思い浮かぶのが印鑑です。

商家の友人の家では銀行の用事は例え通帳記帳だけでも、印鑑を忘れないようにと言っていたそうです。事ほどさように銀行では印鑑が必要不可欠な存在です。

しかし同じ銀行と言っても外為の現場では、印鑑取引が通用するのは、東アジアの限られた国でした。具体的には中国・台湾・香港・韓国です。それ以外の国は全てサインが必要です。

そこで銀行は外為担当者から、必要に応じてサイン権限者を任命しています。このサイン権限者をサイナーと呼びます。外為にいると周りはサイナーだらけですが、他の現場に行くとまずお目にかかれない。いわば珍品扱いでした。サイナーは英文署名権者という厳めしい名前の資格でしたが外為担当の管理職の多くが持っている割には、その役割は中々に大変でした。

その理由はこんなことからです。

銀行が対外的にその意思を表すとき日本語文書であれば、頭取印が大基本となります。もっとも何でもかんでも頭取印ではなく、通常の大多数は押切印(おしきりいん)と称する印鑑を使います。これが押されると、その文書は銀行の正式文書と認められるのです。

しかし外為取引にはいくら頭取印を押しても、海外では認めてもらえません。そこで英文サインが必要となるのです。つまりサインが必要となる場面は多々あるのです。そこで一定資格者をサイナーとして、サインリストに登録した上で、サイン業務を行わせるわけです。

一旦サインをするとその文書は銀行の正式文書となりますので、有る意味頭取印と同等の重みがあると言えます。ところがこのサイナー。外為現場では意外にありきたりで、役職者であればほぼ全員が権限を持っていました。本部が承認すれば主任クラスでも持てました。

サインの形状は自分で考えれば良いので、有名人のまねをして凝ったサインを登録する人間もいましたが、多くの人は日本語の姓と名をひっくり返して、ヘボン式でローマ字表記。これを筆記体で書いてお終い。というなんとも形容しがたいものでした。私は少し凝って名の第一文字を大きく書いて、その中に姓全体を埋め込む形とし少し変化を持たせました。

このサインが、外為に縁がある間はずっとついて回りました。サインリストはコルレス先全行に配布されますので、世界中の銀行に、自分のサインが伝わっていたことになります。長く外為をやっていると、古くから登録者として信頼が出来てしまい、登録日浅の役員より受けが良かった。などという信じられない話もありました。

如何でしたでしょうか、今回は英文サインのお話しでした。

2019/04/19

外為の端数処理はこれだ

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今回は少し小さいお話をします。何の話かと言えば数字の話です。

銀行業務にはお金と数字は付きものです。

外為の現場では、主に通貨交換のレートで端数が大活躍します。この端数処理ですが、ある一定のルールに基づいてます。

これを知っていると、銀行とのやり取りが楽になってきます。

これを今回はお話ししようというわけです。

そもそも端数処理は割り切れなかったときや、整数部分だけでは正確に処理できない場合に、小数点以下を出して、最小の単位を上げ下げすることです。

外為では多くの場合小数点第三位まで計算して、出てきた第三位の数字を上げたり下げたりします。この上げ方には一律上げてしまう「切り上げ」、一律捨ててしまう「切り捨て」、その中間形態としての「○捨△入」があります。(四捨五入が有名です)どれか一つが採用になって、あらゆる場合その方式で臨む。この方針なら楽なのですが、実際は少し複雑です。

まず原則は一律「切り捨て」です。金利計算や交換相場は、こう見ておけばまず間違い有りません。あまりやっている人を見たことはありませんが、銀行からの計算書を検算してみて下さい。そうなっているはずです。

ただしこれは法律で定められた物で有りませんので、切り上げとか四捨五入の銀行もあり得ます。端数のこととはいえ注意する必要があります。

さらに消費税の問題があります。実は外為取引はほとんどの場合、国内取引に該当しないため、銀行手数料に消費税は掛りません。今はそんなことはありませんが、消費税の導入当初は、外為の仕切りに入っている中で、サービス内容が海外に関係ない物は、消費税が掛る旨、念のための注記がありました。

例えば外為Webサービスは海外送金とかL/Cオープンに掛る手数料は、外為手数料そのものなので、消費税は掛りません。しかしWebサービスの利用手数料は、銀行が提供したサービスを、お客様が利用されるものに発生するのですが、これは外為であっても、国内取引ですので消費税は掛ります。

この辺の呼吸がつかめず、何でもかんでも消費税を乗せてしまったこともありました。(オンライン計算書を見れば間違いはすぐ分かります。)

お客様の方でも消費税の明示がないと、内税方式なのか?それならば税額を教えて欲しい。こんな質問が相次ぎ。そもそも消費税は内国取引に掛るもので、外為には掛らない。こんな説明を何回もしたものでした。

少し脱線したので話を戻すと、この消費税ですが端数処理は、銀行によって必ずしも一致しません。切り捨てが多い印象ですが、切り上げも目にします。

これは消費税法では端数処理について、明文規定がなく通達で端数処理は各課税業者に任せるとなっているからです。

以上、外為の端数処理についてお話ししました。

2019/04/05

英文小切手は外為にあらず!

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メガバンクの銀行員といえども、スーパー銀行員ではありません。各人が持っている外為知識は限られています。

限られた知識でも、教科書的な事であればなんとかなりますが、実際の現場では教科書的な事だけではなく、持っている知識を総動員しても、サッパリ分からないがよくあります。

そこで研修部ではお助け部隊として、ヘルプデスクを設けていました。外為で分からない事があるなら、何でも聞いてきてという部隊です。ここに掛ってくる質問の一つが、今日お話しする英文小切手です。

英文小切手は表券面(小切手の表面です)がほとんど英文字です。日付や支払地がです。更に支払人も英文表記されサインまで入ってます。こうなると電話を掛けてくる担当者は、外為と信じて疑いません。ところがこの英文小切手、所管は外為ではなく国内部門なのです。

しかしこちらに電話してくるぐらいですから、外為所管と信じ込んでいます。しかもお客様は店頭でイライラしながら待っておられる。
この状態ではそもそも論を言っても何の役にも立ちません。最悪、顧客トラブルに直結してしまいます。しかも稀にですが、海外からの小切手を持ち込むお客様もあります。外為先でなければ全部国内取引だ。とはとても言えません。

そこでよく使った手が、日本語表記の確認です。英文小切手であっても日本語の部分が実はあります。つまり日本語があれば英文小切手(すなわち国内取引扱い)。なければ外貨小切手なので外為取引。こう仕分けて貰うのです。(正確に言うとこの場合は円表示の外貨小切手ですが)

さてその日本語表示の部分はどこかと言えば、小切手券面右上にあります。いわゆる手形交換所欄です。ここは小切手の所属を示すところなのですが、小切手要件には関係がないので、英文小切手であっても堂々と日本語で書いてあります。(東京とか大阪とかです)ここがあるかないかを、電話を掛けてきた担当者に見て貰います。

ここがある場合は100%国内小切手なので、落ち着くように言って、英語に惑わされず入金や取立処理を行うように伝えてました。これで一件落着です。

この交換所欄は有る無しは結構重要です。手形・小切手法上では、使う用紙に特に制限してません。お互いが了解すれば、その辺のメモ用紙でもOKです。ただそれでは銀行は堪りませんので、手形交換所制定の様式を整えた用紙を使って貰っています。

この制式用紙には手形交換所欄が必ずあるので、こんな回答が出来るわけです。さてここに日本語がなかった場合は、外為所管となりますので、コピーをFAXやPDFで貰うなどして、外貨小切手としてチェックします。

現在、銀行によっては、外貨小切手取扱を止めたところもあります。その場合はお断りするのが、正しい事務処理となります。

以上、英文小切手についてでした。

2019/03/30

銀行にL/C(信用状)を上手く開いて貰うコツ

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海外から輸入をするとき、輸出方から信用状(以下L/C)の開設を求められることがあります。

よく分からずに簡単に考えて銀行に依頼しても、L/C開設は銀行には与信行為であり、すぐに対応してはくれません。

これを如何に上手く開設して貰うか、これが今回のテーマです。

銀行担当者がL/C発行を依頼されてまず考えるのは、依頼してきたお客様に担保があるかです。

「担保なし」或いは「担保不足」と判断すれば、どんなに美味しい話であっても、前向きに検討はしてくれません。これは銀行員の習い性のような物で、ここをクリアーしなければ先へ進みません。今回のお話しに即して言えば、L/C開設に対する担保をどうするかです。

一番簡単なのは預金を担保にする方法です。これに不動産担保や有価証券を担保にする方法が続きます。しかしこれらは何れもL/C取引特有の物ではありません。

それに対して今からお話しする方法は、L/C開設特有のものです。ただ銀行が吞みやすい条件は、皆さんにとって不利の場合が多いです。そこで単一の方法だけを話すのではなく、二の矢・三の矢と選択肢を示すようにしてください。

銀行担当者が外為実務に通じていれば、一気に皆さんに対する認識が変わってくると思います。いずれにしてもポイントとなるのは、船荷証券(以下B/L)の扱いです。(今回は、航空貨物は対象外とします)

まずはB/L一部直送を持ちかけてみてください。これがすんなり通れば、銀行の貴社への信用は十分です。以後のコメントは読む必要はありません。

さてこの段階ではあえなく撃沈されたのであれば、輸入貨物貸渡(以下L/G)OKを交渉してください。若干費用は掛りますが、これが通れば貨物が日本に到着した時点で、皆さんは貨物引き取りが可能となります。これが二の矢です。

これでも駄目な場合はやむを得ません。

B/L全通銀行経由、かつL/G取組不可の条件を出してください。この条件は銀行に取っては輸入貨物そのものが担保となるため、同じL/C与信でも保全が効いていると判断します。つまり担保付き与信として、審査が通りやすくなるのです。

どんな銀行でも無担保の与信は、よほど企業規模が大きいか、その銀行との取引が超の付く優良先か、L/C金額が僅少かでなければ、いい顔はしてくれません。つまり上手くいかないのです。

しかしB/Lが全通銀行に提示され、L/Gも発生しない案件は、与信に担保が付いてる事になるので、上手くいく場合が多いです。つまりこれが三の矢となります。

L/C取引そのものは信用状統一規則の定めが、輸出者有利の面があるので、輸入者の人気は今一ですが、欲しい貨物が確実に手に入ることが期待できる上に、銀行が輸出者への代金支払を保証してくれるため、輸出側が大きなメリットを感じてくれます。つまり取引全体が上手く行き易いのです。

このメリットは大きいと考えます。是非皆さんも検討してみてください。

なお最後に一言。サレンダーB/Lという仕組みがあります。サレンダーB/L・OK.のL/Cも昨今では目にしますが、サレンダーB/Lは有価証券ではありません。銀行は担保とは見なさないので、たとえ全通銀行経由としても、無担保与信とみられる可能性が大きいです。この点は留意してください。

2019/03/18

再び外為取引のリスクについて考える

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外為実務と貿易実務。似ているようで違う部分も多々あります。

今回はそんな違いの中から、「リスク」について採りあげたいと思います。

紙幅の関係で、項目上げと若干のコメントに留まると思いますが、その点はご容赦願います。

では早速見ていきましょう。どんな物があるでしょうか。題して外為における3大リスクです。大きく出て面はゆいのですが・・・。

まず一番目はなんと言っても「信用リスク」です。平たく言えば、取引相手の支払の遅れ、不払い、倒産等です。場合によっては、取引先による詐欺も此処に含まれます。これは貿易実務でも大きなポイントだと思います。

二番目は為替リスクです。外為の現場では、取引するときは相手の持つリスクは、検討済だと思うので、実質これが一番目のポイントとなります。外国との取引では、まず逃れられないリスクといえます。

三番目は非常リスクです。カントリーリスクとも呼ばれます。言葉としては、非常危険の方がよく使われます。ちなみに信用リスクも信用危険の方が多いです。一方、為替リスクはそのまま為替リスクで使います。面倒ですね。
以上が教科書にもよく出てくる主な外為リスクです。

実はこの他にもリスクは存在します。正直ここから力が入ります。

4. 母語の相違  
在外日本人と取引でもしない限り、母語(一番最初に覚えた言葉)は、相手とこちらでは違うのが普通です。これは国内取引にはないリスクといえます。

5. 取引使用言語におけるハンデの有無
例えば国際語としての英語を取引する場合に、英米人とそれ以外では、取引言語へのハンデが生じる可能性があります。これもリスクです。

6. 準拠法
商取引はすべからく法律の影響下にあります。どこの国の法律に従うのか?これを相手の国とするのはリスクでしょう。

7. 裁判管轄権
準拠法の問題と関連しますが、万一相手方と争いになった場合、自国で裁判が起こせないと、かなり不利になります。しかし一方で折角勝訴判決を得ても、相手国の勝訴判決でないと、強制執行による差し押さえが、出来ないという可能性もあります。この点は悩ましい点ではあります。

8. 法令遵守(コンプライアンス)
これをリスクと呼ぶと、おしかりを受けるかもしれませんが、自国・相手国の法令はもちろん、場合によっては第三国のも、問題となる場合があります。外為の場合は、資金経路に第三国が入るとそうなります。よくあるのは米国が入った場合です。

9. 偽造・変造
外為実務での偽造変造はどうなのか、これもリスクといえます。外為では比較的よく目にします。私もL/C(信用状)の偽物をお客様から持ち込まれて、対応に大変だった思い出があります。

その他にも、「商習慣の違い」「休日の違い」「時差の存在」などが、リスクとして考えられます。

今回は総花的なお話になりましたが、気になる点があったら、お取引の銀行で聞いてみると、違いがより明確になると思います。

2019/03/05

これなら海外からの送金が満額で受け取れる!

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海外からの送金を満額で受け取れない。こんな悩みをよく聞きます。

相手は確かに満額で銀行に依頼してくれたのだけど、日本に来てみるとしっかり減っている!

なんでこんなことになるんだ。こういったご相談が本当に多いです。

じつはこれ、海外送金は送金を取り組んだ銀行(仕向銀行)と、送金を受け取る銀行(被仕向銀行)の間に、第三の銀行(経由銀行)が入る場合が多いからなのです。

なんでそんな余計なことをするのか。そう思われるのも尤もです。これには理由があります。例えばUSD建ての送金であれば、まずほとんどの場合ニューヨークを経由します。仕向銀行も被仕向銀行もその方が早くて確実ですし、お互いの資金効率も良好になります。

ただニューヨークでの資金受け渡しに際し、直接出来れば良いのですが、そうでない場合は第三の銀行(経由銀行)を通すことになります。この場合経由銀行は、タダでは資金受け渡しをやってくれません。手数料を取ってきます。

その際一番手っ取り早くて確実なのが、当該送金そのものから差し引いてしまうやり方です。これでおわかり頂けますでしょうか。金額が減ってしまう仕組み。

このこと自体は違法でもなければ、商慣習違反でもないし、受益者負担の原則からいって、クレームするのは困難です。

そこでここでは出来るだけこんな状況を回避するために、以下の三つの手段をお勧めしたいと思います。

一番目は、手数料をすべて送金依頼人に負担して貰う事です。海外送金は手数料受取人負担が原則ですが、依頼人負担ももちろんありです。惜しむらくはこの指示に強制力は無いので、経由銀行が守ってくれるかどうかは、先方任せになってしまいます。しかし実務の現場から見れば、結構有効に機能している印象があります。

特に日本の銀行はよくこの指示を守るので、日本に送金が到着して口座入金時の手数料も、仕向銀行に請求してくれます。本当に満額で受け取れるわけです。

二番目は送金通貨を日本円にして貰う手です。日本円の決済はほぼ全件、日本国内で行われますので、先ほどお話ししたニューヨークの経由銀行に当たる存在が、東京の邦銀になる訳です。この場合、円決済は日銀を通じて行いますので、ノーチャージすなわち無手数料で行われる可能性が、非常に高いといえます。結果として満額入金が期待出来ます。

三番目が仕向銀行に、邦銀の海外支店を使って貰う事です。さらにその邦銀が、自分の取引銀行であれば尚良しです。これは本支店か送金を狙ったものです。これであれば細かな指示も期待できる上に、万一トラブルが発生したときでも親身の対応が期待できます。

以上が三つの手段ですが、各々を独立させる必要はありません。合わせ技もOKですので、是非トライしてみて下さい。

2019/02/21

スタンドバイ信用状は怖い物?

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日々メディアを賑わす、大手自動車メーカー元最高幹部。

先日、産経新聞(ネット)で気になる記事を見つけました。

『「スタンドバイ信用状」損失なら全額弁済リスク』これがタイトルです。

此処だけ見ると「スタンドバイ信用状」なるものが、一連の取引の鍵を握る可能性がある。こう読めなくもありません。

実際の所はどうなのでしょうか。少し紐解いてみたいと思います。

先ずお断りしておきたいのは、このネット記事の内容は、極めて穏当で問題が無いと言うことです。決して偏見や先入観を持たせようというのではなく、事態を正確に記そうとしています。この態度は大いに評価すべきです。

本記事に登場する大学准教授は個人的によく存じ上げた方で、引用された内容も正鵠を得ています。ただ惜しむらくはスペースの関係か、「スタンドバイ信用状」の説明がなく、折角の准教授のコメントも記事を一通り読んで、ほとんどの人が「へーそんな物か」で終わってしまうと思います。

そこで僭越ながら、この場をお借りして説明しようと言うわけです。まず「スタンドバイ信用状」ですが、あえて日本語で言うと、「予備(的)信用状」とでも言う物です。

これは普通の信用状は使ってしまうのが大前提であるのに対して、「スタンドバイ信用状」は取引が正常に終了すれば、使われない。つまり予備的な位置づけにある。こんな意味を表しています。なお通常の呼び方は「スタンドバイ・クレジット」です。ご参考まで。

さてこの「スタンドバイ信用状」を、なぜ新生銀行が受け入れたのか?これは大きく二つの理由があります。

一つ目はこれが外為実務ではよく選択される手段だからです。銀行としては具体的な担保を徴求すると、それに対して法的な手続きや、一定の費用をかけねばならないのですが、「スタンドバイ信用状」なら海外銀行発行した物を受け入れるだけです。(発行銀行が信用できるかと言う問題はありますが)

二点目は万一の場合、容易に債権回収が図られるからです。この点は記事にも書かれていましたが、万一の時は新生銀行が、自らが債務不履行を受けた旨の書状(「Statement」(ステイトメント略してステイトと言ってます))と、ドラフト(支払請求の手形)を相手に送りつけるだけです。

これだけで相手銀行には支払義務が発生します。つまり新生銀行から見れば「スタンドバイ信用状」を確保するのは、不足した担保を補う十分な手段だったのです。

外為担当者から見れば、これでこのお話はお終いです。しかしこれだけの金額の「スタンドバイ信用状」を、サウジアラビアの実業家がどういう判断で開設に応じたのか、これは大いに関心があります。

よっぽどの信頼関係でもなければ、通常は応じません。例え応じても相当額の手数料を要求してきます。この点はどうだったのでしょうか。

この記事の本質はそこにあるとすれば、ここで終わらせることなく、この実業家の説明を、是非取って欲しいと痛切に思います。

2019/02/15

外為で「Urgent!」は「至急!」ではない!?

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外為の現場では、様々なテクニカルタームが飛び交います。

例えば今回お話しする「Urgent」(アージェントと読みます)は、「至急扱い」の意味で大変よく使われます。

話し言葉としても、書き言葉としても、よく使われます。お客様も心得たもので、「この送金、Urgent!でお願い。」などと、店頭で依頼してきます。

さてこのUrgentですが、受け付けた我々が本当に大至急やるか。ンー。この辺りスイマセン。いささか???なのです。

その意味を、今回はお話ししたいと思います。

実はお客様から至急扱いの外為を依頼されたときに、我々はなぜ至急なのかを考えます。客観的に急ぐ必要があるのが、それを判断するのです。例えばL/C(信用状)の有効期限が今日だ!とか、当日発信が必要なオセアニア向けの送金が持ち込まれた!です。

さらに場合によってはお客様が急がないよとおっしゃっても、こちらの方で至急扱いにする場合もあります。具体的にはL/C(信用状)取引で、日本にある他所の銀行(在日他行のことです)に持ち込み制限が掛っている場合
(これを在日他行リストと呼んでます)とか、L/C(信用状)の有効期限の判定を買取国(日本からの輸出なら日本)ではなく、L/C(信用状)発行国(例えばアメリカとかオーストライアなど)で行う。

こんな場合はよほどのことが無い限り、すべて最優先で処理します。となると当然「Urgent」になります。ところが我々が見る限り、急ぐ理由が見当たらない場合があります。こんな時でも、黙ってそのままお受けします。

理由をお聞きしても良いのですが過去の経験からいって、具体的な事情がある場合は、そもそもその旨コメントがあります。それがないのは、急いで欲しいという包括依頼と解釈するわけです。

このタイプのご依頼は、お客様によってかなり偏りがあります。何でもかんでも「Urgent」とする会社と、全くと言って良いほど何も指示してこない会社とです。

いずれも基本はそのままお受けして、外為センターに送ります。一方外為センターでは、傘下営業拠点から多くの外為書類が来ます。当然「Urgent」も一杯やってきます。そんな状況で「Urgent」はどうか?実はほとんど役に立ちません。これ本当です。

我々がいの一番に手がけるのは、理由明記の急ぐ書類です。これは全ての行程で優先扱いを受けます。特に「Urgent」表示がなくても、至急の理由が目立つようになってますから、当然のことといえます。それ以外の書類は、到着順に処理していく場合が圧倒的です。この時点で単なる「Urgent」は至急にならないのです。

そこでお客様も知恵を絞って、「Urgent!Urgent!」とか、「Top Urgent!」とされてきます。これらはこちらも忖度して他の物より急ぐ場合もあるのですが、じきに他所の会社にも情報が伝わって、皆さんその表現となってきます。

こうなると他と一緒ですから特に優先されることはなくなり、やがてそんな「Urgent」表現も廃れてきます。そうなるとまたどこからか「Urgent」が出てくる。これの繰り返しです。

こうなると「Urgent」は本当に至急なのか。よく分からなくなってしまいます。なんとも皮肉なことですが、これが本当のところでした。

2019/01/31

ところでオプション・スワップ取引って何よ?

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このごろ新聞やネット上で、オプション取引とかスワップ取引とか、何やら東京地検特捜部絡みで話が飛び交っています。

なんとなくみんな一応の理解が有るようなのですが、折角の機会なので、この場で整理してみたいと思います。

このオプション取引・スワップ取引というのは、デリバティブ取引の一種で、金融派生商品を対象とした取引です。本来の商取引とは異なります。

余り大きな声では言えませんが、目に見えないが頭で考えたもの。こんな理解でもとりあえずOKです。

しかしやはりこれではサッパリ分かりません。少し具体的に見てみます。

先ずオプション取引です。

これは日本語では選択権取引と言われます。これはオプションを持った側がこのオプションの権利を、行使するかしないか、選択権を持っていることに由来します。取引相手にオプション料を支払ってこの権利を入手しますが、自分に有利にしようとするとこのオプション料が跳ね上がり、取引としては非常にうま味がなくなってしまいます。

このオプション料の負担を消すために、逆サイドのオプションをかけることもあります、これをやるとリスクが大きくなることも多々有りで、大きな問題になってました。これゼロコストオプションと呼んでましたが。「なにがゼロなもんか」と心の中で思ってたのも事実です。

次にスワップ取引です。

これは日本語で言うと、交換取引でしょうか。すなわち通貨を交換したり、金利を交換したりします。一番分かり易いのは、変動金利と固定金利の交換です。いま変動金利の借入をしていた場合、近い将来金利が上昇する。

こう判断した場合、変動金利の借入はそのままにして、変動金利の渡し・固定金利の受け、このスワップ取引を締結します。
これで借入金利は固定化され、将来の金利上昇リスクがヘッジできます。

以上オプション取引、スワップ取引と見てきました。じつはこれらの取引自体に犯罪性は全くありません。にもかかわらず「デリバティブ取引=諸悪の根源」。

こんな図式が出て来そうな気がします。過去の既視感からだと思います。この件の最大当事者の方は、自らが最高経営幹部であることは自覚され、相当程度以上の報酬を当然受ける権利を有するという認識のもと、デリバティブ取引をされたようです。この時損失が発生しなければ、どこにも損失付替などする必要は無く、今回のような疑いは発生しなかったはずです。

しかし発生した損失を会社に付け替えようとしたり、証券取引等監視委員会の指摘で元に戻して、その際に海外から保証を取り付けたりと、複雑なことをされました。これらは本来の取引とは無縁のものです。

私としては取引当事者の銀行が、最善の対応をしたのか。大変気にしています。ここが明らかになると、事件の全容がより明確になると思います。

2019/01/25

銀行マンの情報戦略って!?

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銀行の仕事も詰まるところ、情報の有無や優劣が勝敗を決めます。

他行に競り勝つためや、自行他店に出し抜かれないために、正しい情報を得ることは重要なポイントとなります。

今回は「銀行員の情報戦略」と大きく題してお話しします。

情報はその正確性は勿論ですが、スピード性も非常に大切です。

どんなに重要・貴重な情報でも、既に周りのみんなが知っていた。こんな情報では何の役にも立ちません。

そこで頭をひねるわけですが、以下はその情報源のご紹介です。

【その1 公開資料】
文字通り公開の資料です。ここでの情報は、裏付けが原則不要です。周りや本部を説得するには、非常に力となります。が、如何せん独自性がない上に、スピード性もありません。どちらかと言うと、我が身を守る盾としてよく使いました。

【その2 調査機関資料】
海外で言えばダン・レポートで有名なD&B社や、国内で言えば帝国データバンク・東京商工リサーチから得られる情報です。

これらも裏付けは不要ですが、今ひとつ掘り下げてないのが難点です。自分自身がこれらの会社からヒアリングされた身なので、よく分かるのですが、彼らからの質問にマトモに数字を交えて話すことは絶対にありません。

例えば融資量とか外為取扱高、預金残高などは絶対に話しません。さらに余計なことは一切喋りませんので、詰まるところ「はい」「いいえ」、ぐらいになってしまいます。

これで出来上がった調査報告書の内容はどうでしょうか。ご想像通り、余り使えなかったというのが本音です。

【その3 ネット検索】
何より手軽で、まずはここからが多かったです。ただ裏付けが中々取れず、信頼性が乏しいまま進んでしまい、結局参考程度にしかなら無いことが多発しました。この点は今もそうでしょうが、注意すべき点です。

【その4 同業他社へのヒアリング】
妬みや中傷が混じる恐れがありましたが、聞きたいことが聞ける上に、具体性が一番有りました。

また噂段階から、一番早く情報が得られるのもこのルートでした。正直何度も助けられました。いい話は余り出てこないのですが、我々が最も恐れる資金繰りの悪化や、商売上の不手際などなど、試算表を見るより、当該社にヒアリングするより、よっぽどこのルートは確実でした。

今も昔も人の口には戸は立てられない。これは本当です。

【その5 当該社内の別ルート】
これは何を指すかと言えば、通常とは別部門に当たれと言うことです。銀行員の主な情報源は、企業の財務・経理担当者です。ここからの情報だけで当該社の状況を判断すると、とんだ判断間違いをすることがあります。

そこで我々は、よく貿易担当者とコンタクトを取りました。彼らも銀行との接点は無いらしく、いろいろ話を聞かせてくれました。勿論こちらの商売に直接結びつく美味しい話も有りましたが、会社の現況など率直に語ってくれることが多く重宝したものです。

最後に、今までのお話は法人が対象でしたが、個人の場合はどうするか。

実はあるトレーニーから大変面白い話を聞きました。彼は個人担当でしたが、訪問しても不在が多く困っていたそうです。そんな彼があるときエレベータの中で、宅配便の担当者にあって、思わず愚痴ると、いろいろ有益な情報をくれたそうです。

よく考えたら、宅配便担当者の最大のネックは配達先の不在です。「不在持帰り・再配達」、これをなんとしても防ぐ必要があります。それには各家庭の在宅時間を把握することです。そこで担当地域の家は何時が在宅か。これをノウハウとして蓄積しているのです。それを聞いて彼はこれだと閃いたそうです。

その後彼は宅配便の配達員を見ると声かけをし、一息入れるのに付き合ったり、愚痴も聞いてあげながら、必要な情報を得たそうです。

これを聞いて、私はなんとも彼は「慧眼の士」だと心底驚きました。

如何でしたか、この一文が参考になれば幸いです。

2019/01/15

輸出、近い未来の資金回収。何か良い方法は?

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輸出を行っている皆さん!

皆さんには釈迦に説法かもしれませんが、船積が終われば、後は資金回収で一件落着ですね。ご苦労様です。

当初の契約にもよりますが、そんなに時間が掛らない場合が、圧倒的に多いはずです。遅くても一年後までぐらいでしょうか。

ところがまれに、とんでもない話が出てきます。

今回はそんな話になったメーカーさんからのご相談です。

この会社。東南アジアに向け自社機械を輸出しています。扱い商品は欧州メーカーとの競合が厳しく、商談は毎回難航しています。特に問題になるのが決済条件で、全額後払いになるそうです。後払いと言っても1年程度が限度の日本側に比べ、欧州の競合相手は5年でも7年でも構わない。こう言ってくるそうです。

これでは勝負になりません。なんとかならないか。智恵を出して欲しい。ざっくりと言えばこんな内容のご相談です。

ネットでこの相談が開示されると、銀行関係の会員から、いくつかの解決策が提議されました。それをご紹介していきます。

まずは基本案として、日本貿易保険の輸出保険の利用です。日本貿易保険は過去触れたことがありますが、元々は通産省(現経産省)の貿易産業局が、独立法人化したものです。独法化当時はお役所気質丸出しの所もあったのですが、最近ではすこぶる付きの商売熱心で、銀行としても案件相談や、お客様の誘導とか、何かと接点が多くなってきています。

当初、相談してきた銀行所属の貿易アドバイザーは、日本貿易保険に問い合わせたそうですが、定型商品には超長期のものはない。と断られてしまったようです。

そこで他のみんなのお知恵拝借と言うことらしいのですが、出てきた案を見てみますと、

1.保険会社と組んで債権流動化を図り、当該債権を売り切ってはどうか
2.フォーフェイティング(銀行が買戻請求権なしに債権を買取)をする
3.輸入国の銀行からBOND(支払保証)を差し入れて貰う
4.バイヤーズクレジット(日本の銀行が輸入者に資金を貸付)
5. バンクローン(日本の銀行が輸入国の銀行に資金を貸付)

などが出てきました。(ちなみに4・5は私が気づいたものです)

これらを基に議論白熱。と言いたいところですが意外なことから話が落着を見ました。

横レスをしてきた1人の会員(貿易アドバイザー)が、日本貿易保険に個別照会をしたときに、5年を越える輸出案件でも、保険対象とする。こういった言質を得たと書いてきました。

日本貿易保険が受けてくれるのであれば、それが一番です。話は急遽その線で収束してしまいました。結果がどうなったのかの報告はまだですが、上手くいっているのであれば何よりです。

今回のお話、尻切れトンボみたいで恐縮ですが、ご参考になりましたでしょうか。

2019/01/09

在日華僑とのお付き合い

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銀行で外為を長年やっていると、お客様にも様々な人がいるなあ。

本当にそう感じます。その筆頭が在日華僑の人達です。

印僑(インド人)の人達の方が、インパクトありという人もいますが、私は中国や台湾からの人々のほうが、強く印象に残っています。

よく言われるように華僑の人々は、大変に地縁や血縁を大事にします。

私は神戸と横浜で華僑商社を担当していましたが、この地縁、血縁については、いずれの場所でも強く感じました。この感覚、上手くいえないのですが、対応を間違うと取引に応じてもらえません。私の所属した銀行も勿論ですが、他の日本の銀行も多くの場合、この対応がお世辞にも上手とは言えなくて、華僑とは取引内容が限定されていました。

しかし、そんな状況でも一度信頼関係が出来上がると、銀行取引は全部お任せの状態になります。全て分かった上で銀行にも商売をさせてくれます。本当に大人の取引先だと、いつも感じていました。ただ大人の取引をして貰うにはいくつかポイントがあります。

その一番目は、法人と取引しても個人から担保を取れない。です。よく銀行は中小企業取引をするときにその会社だけでなく、社長個人(場合によっては家族)にも目を向けます。法人はボロボロでも個人は大金持ち。こんな例はざらだからです。法人単体ではとても取引出来なくても、社長や家族から担保を貰えば、安心して取引出来ます。

ところが華僑の場合、個人資産がさっぱり分かりません。家族構成程度は社長との雑談で分かるのですが、社長個人はもちろん、家族の資産など全く手がかりも貰えません。

よく本部に外為稟議を挙げると承認条件に、
「個人資産調査の上、報告のこと。」
と指示がありました。

が、華僑に限ってはこの点は、ほぼ全滅でした。調査しても詳細は不明。社長の自宅の不動産評価のみ報告。これぐらいで、本部に納得してもらっていました。本部も心得たもので、取引を止めろとは言ってきませんでした。ある程度、華僑の特殊性は理解していたようです。

二番目は、担当者として気に入って貰う必要がある。です。大企業なら、相手が気に入らなくても仕事と割り切りますが、華僑の場合は、嫌われると全く取引してもらえません。逆に一旦好かれると、それこそ丸ごと為替を、持ち込んでもらえるようになります。

この辺の勘所が難しく、担当者交替で持ち込みが、急減したり急増したりして大いに閉口したことがあります。最初は面食らったのですが、事情が分かってからは、そのようなときはすぐに自分が出張ったり、上席の出馬を仰いだり、銀行全体として今まで通りのお付き合いを強く望んでいる。このスタイルを貫きました。

今から思っても華僑取引は大変でしたが、勉強になることが多く、その後の営業活動にも、大いに参考にしたものです。

2018/12/25

ATMの相互無料化が進む!?

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日経新聞の一面に、「ATM、相互無料化」の記事が出ました。

内容が一面マターかどうか「?」ですが、興味深い記事です。

外為と直接関係なしですが、今回のテーマとしたいと思います。

この記事の心柱は冒頭に掲げたように、三菱UFJ銀行と三井住友銀行の店舗外ATMの一部が、平日の現金引き出しに限り、お互いに無料開放する。この点です。

話自体は簡単で、利用者にもメリットがある話で歓迎なのですが、そこに潜む事柄が私の気をひどく揉ませます。それをお話ししたいと思います。

まずどこまで相互利用の無料化が進むかですが、今回の施策で両行の利用バランスや利用頻度を検証して、半年ぐらいで一気に、全国の店舗外ATMに適用すると思います。この時、重複するATMは廃止するはずなので、ここで両行とも大きくコストが、削減されることになります。

新聞記事には全ての拠点のATM相互解放も検討する。とありますが、「店舗内」ATMはそこだけ効率化しても、店舗を廃止するわけには行かないので、ややハードルは高いと見てます。むしろ硬貨や通帳を受け入れない簡易型ATM、これは既にコンビニ等に導入されており、実現すれば影響は大きいです。特に三菱UFJ銀行のATMは、現在でも店舗外ATMでも硬貨を受け入れており、簡易型への移行メリットは大きいものがあります。

また金融機関全体として、通帳発行体制の維持は大きな経費負担です。、通帳一冊ごとに納付する印紙税も馬鹿になりません。昨今ではあの手この手で、銀行は通帳をWEB化しようとしており、この流れにも一致することとなります。

また記事では両行間の振込手数料の取り扱いにも触れていますが、この点は直接今回の相互無料化とは関係はありません。

ATM利用者にとって現金出金無料化は全員のメリットですが、振込となるとそのメリット対象者は限定的であり、両行共にここに手を入れると自行にメリットが出てくるのか。この検証を入念に行うと思うので、一気呵成とは行かないと思います。

また記事の末尾に、口座維持手数料について触れていますが、この問題は古くから提起されている問題です。預金者の銀行への素朴な感情。

「預金を預ければ利息がもらえる。当たり前の話である。それなのに手数料が掛るなんてとんでもない!」

これを崩せない限り、口座維持手数料を導入しても、全面的な有料が出来ずに、原則有料だが例外的に無料。こうした仕組みになってしまい、いつの間にか原則と例外が入れ替わって、無料口座だらけになる、こんなデジャブ感あふれることになってしまいそうです。

いずれにしてもこの話は此処だけには収まらず、メガバンクと言えどもなりふり構わず合理化効率化に走る。そんなことを強く感じさせる記事といえます。

2018/12/18

キチンとしたL/C(信用状)を受け取りたい

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銀行の外為をやっていると、よくお取引先からご相談を受けます。

今回もその中から一件。ある輸出業者さんからのものをご紹介します。

この会社は、工作機械を中国や東南アジアに輸出している会社です。中古ですが、特上品を輸出するため引き合いが絶えません。

値段は事実上、このお取引先に専決権があります。決済条件も全額前金かL/C(信用状)で通しています。

こんな端から見ても、上手く立ち回っているこの会社の悩みの種は、海外取引先から来るL/C(信用状)が、いろいろな面で上手くいってない。この点にあるのだそうです。相談事はこの点でした。

「どうしたらキチンとしたL/Cを受け取れるのか」

これがご相談の本願でした。そこで具体的にお聞きしました。そこで出たのが次の3点です。到着するL/Cの3通に1通は、どれかに該当するのだそうです。さてその3点はと言うと、

1. L/C原本の到着が遅い
2. L/C内容に不備がある
3. 決済に時間が掛かる

こちらでした。いずれも、さもありなんといった事柄ばかりです。しかしそれでは回答になりませんので、いろいろとお話ししました。以下にその概略を書いてみます。

まずL/C原本の到着が遅い件ですが、どの段階で遅れるのか、まずはその調査からと申し上げました。過去の例から見ると、輸入者の信用が足りないため、L/C開設が1本ごとに本部承認になっていた事があります。これでは遅くなって当たり前です。

あるいはL/C発行銀行が外為事務に不慣れで、発行依頼書を持ち込んでも、すぐに対応してくれない。こんな例もありました。

いずれの場合も、その業者と取引するのであれば、送金取引に切り替えた方が良いとアドバイスしました。

次にL/C内容の不備ですが、輸入者がL/C依頼書を正しく作れずに、何回も銀行と依頼書が往復していた。こんな例もあります。いずれの場合も、送金取引を考えた方が良いとアドバイスしました。

次にL/C内容の不備ですが、発生要因として考えられるのは、輸入者側が銀行にL/C発行依頼書を持ち込む際に、当初契約との、整合性確認を怠ることに原因があるようです。契約時点では少しでも自分に有利な取引条件をと努力しても、L/C発行依頼になると発行して貰うのに関心が移ってしまい、中身の点検がおろそかになるようです。

これに対しては、銀行受付済のL/C発行依頼書コピーを、FAXさせることと、実際に発行したときのSWIFTモニターを入手すること。

この二つをアドバイスしました。これで少なくとも2回は、L/C原本入手前に内容点検が出来るわけです。

最後に決済が遅い点ですが、相手が決済遅延を起こすのは論外ですが、一般に相手が新興国だと外貨繰りや通貨規制の点で、現地決済は終了しているが対外決済が未了である。こんな事例が散見されます。

これは業者間では如何ともし難いのですが、過去の事例では第三国での資金決済をL/C条件としたり、外貨は難しくても現地通貨であれば決済可能である場合は、あえて現地通貨での決済を認めた上で、受領した現地通貨を、日本サイドで日本円他に通貨交換する。

こんなこともやりました。(但し非常に交換レートは不利ですし、どうしても交換できない通貨もありました。)

以上が概略です。L/C取引は輸出者に有利なしくみになっています。出来るだけL/C取引となるように、これらの工夫をしてみて下さい。

2018/12/05

現金送金停止!貴方ならどうする?

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日経新聞の金融経済欄に、ショッキングな見出しが有りました。

「地銀6割、現金送金停止!」何のことだと思われますか。

これ実は過半の地銀が現金扱いの海外送金を止めている。こういった状況を表現しているのです。

意図するところはマネロン対策強化のようですが、現金以外での海外送金利用者であっても、傍観できるような話ではない。

こう考えて今回はこのテーマについて考えてみます。

ご承知のように、地銀の経営状態は大変厳しいものがあります。全国の地銀は存亡をかけて、あらゆる手を講じているのが実態です。外為も例外ではありません。外為収益は手数料を根幹とします。自らの資本を投じること無しに、収益を挙げられます。この点モチベーションは高く維持できるものがあります。

しかし実際にはトップクラスの首都圏地銀を除いて、どちらかと言えば半身の構えのところが多いような気がします。もし自分の取引銀行がどこかの地銀だったら。こう考えると、気がついてみたら肝心の外為が制限だらけになっていた。この可能性もあります。こうならないために留意すべき点をお伝えします。

まず留意点その一は、取引銀行が自前でやっているかどうかです。自分の所でやっていなければ委託している銀行の都合で、いろいろな制限が掛かってくる可能性があります。場合によっては外為そのものから撤退する恐れもあります。こうなっては、対策を取ろうとしても上手くいくわけはありません。

転ばぬ先の杖です。外為をキチンとやってくれる銀行かどうか。見分け方をご参考までにお話しします。

見分け方その一。
計算書の欄外に着目。何か数字や記号はないか。既に外為取引を行っているのであれば、計算書を見て下さい。欄外に数字や英文字で記載がありませんか。これがあれば、その計算書は伝票とセットになった、その銀行の制定帳票です。つまり勘定起票をしていることの証拠になります。

メガバンクなどに丸投げをしている場合は、計算書と言っても単なる記録で、勘定起票とは無縁のものが多いです。意味の無い文字数字ですが、こんな時に役に立ちます。もし外為取引をこれから始めようと言うのなら、

銀行の担当者に「海外から送金が来るので、IBANかSWIFTを、教えて欲しい。」
こう尋ねてみて下さい。(IBANはアイバン、SWIFTはスイフトと呼びます。)
返事がすぐあるようでしたら、自前の外為である可能性は高いです。

ただしIBANは先ず無いので、SWIFTがその回答のハズです。

見分け方その二。
銀行のHPを見て下さい。インターネットでの外為サービスの提供はありますか。意外に多いのが外貨両替だけの場合です。これは、あるメガバンクの外貨宅配サービスへの誘導です。外国送金などの外為取引とは関係ありません。どちらかと言えば外為にネガティブな対応といえます。

これらの結果。あまり良い感触が得られなかった場合、自前で外為をやっていないことが判明した場合、思い切ってメガバンクでの取引をお勧めします。

メガバンクの外為サービスはもちろん自前です。その点は安心です。どこにも丸投げしてません。インターネットサービスを利用するようにすれば、銀行店舗を訪れる必要も先ずありません。

メガバンクの店舗統合の話題が出ていますが、現時点では、いずれかのメガバンクが全都道府県にあります。外為取り扱いのフロントランナーとして、メガバンクのアドバンテージは当分続くと思いますので、あれこれ考えるよりも、早めに動いた方が良いかもしれません。

参考になれば幸いです。

2018/11/26

新インコタームズ、外為にはここが肝かも!

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過去このコラムで採りあげたインコタームズですが、ようやくインコタームズ2020について、情報を得ることが出来ました。

最近、「新インコタームズ」について貴重な情報をいただいたので、外為に関係しそうな点をお話したいと思います。

まず一番目は、商品代金に保険料を加えた条件の新設です。

「CNI」という呼称のようで、「Cost&Insurance」の略でしょうか。実はこの概念は昔から有りました。「C&I」と呼んでました。輸出入共に目にする機会が有ったのですが、インコタームズの解説書には記載が無く、調べても根拠が分からない不思議な存在でした。

しかし「FOB」、「C&F」、「CIF」とあるのに、何で「C&I」が無いのか。間尺に合わない話ではないか。そう思ったのですが、実際は「L/Cにそう書いてある。」これで通してました。

それにしても、なんでいまごろこの話が、ICCの俎上に登ったのか。(ICCは国際商業会議所のこと。インコタームズを決める機関です。)これは私の想像ですが、この条件の背景にはコンテナターミナル保管中の貨物に対する、リスクヘッジがあるのではないでしょうか。

古くは阪神淡路大震災から、今回の台風21号に至るまで、ターミナル保管中のコンテナは、津波や高潮の被害を受けやすく、万一の場合は保険求償せざるを得ません。海上保険を輸入者が付保する場合、輸出者が別途付保しない限り、ターミナルに留置中のコンテナは無保険状態です。

こんなリスクを避けるために、インコタームズでも認めよう。そう考えたのだと思います。これはよく分かる話です。

二番目はFOBやCFR、CIFを、コンテナ輸送にも使えるようにする。インコタームズ2010で大きく打ち出した方針の変更です。古くからの外為人間にとっては、先祖返りと感じてしまいます。なぜこの方向性が出てきたのか分かりませんが、
現行のインコタームズ2010では、FOB等は第二グループです。

これはコンテナ輸送の分野からの閉め出しを意味します。これを再度利用できるように、しようとするものです。実際、日本の銀行で目にする貿易条件は、FOB系列が未だに多数を占めており、インコタームズ2010の理念が、広く行き渡っているとはいえない状態です。

こんな現実を踏まえた上での見直しでしょうか。だとしたら外為畑の人間としては、ほっとする出来事となります。規則は実務上の要請によって制定運用されるべき。こう先輩に教わりました。今回の話はまさしくそれの実践といえます。

以上二点が外為関連の部分です。

それにしてもUCP700(現行の信用状統一規則の次世代バージョン)は、どうなっているのでしょうか?

こちらもとんと聞こえてきません。気になって仕方ないこの頃です。

2018/11/22

銀行にブラックリストはあるのか?

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ホテルのフロントマネジャーさんから聞いた話です。ホテルにとって困るお客さんは様々だそうです。でもこれらを総称する言葉は「UG客」。UGとはundesirable guest。 つまり好ましからざる客。

平たく言えば、二度と来て欲しくない客。顔を見たくない客。確かに私も同じ客商売として、こんなタイプは絶対願い下げです。

こんなUG客が発生した場合。これをリスト化しているそうです。これはホテル版のブラックリスト。

これの銀行版はあるのか。これが今回のテーマです。

ホテルほどでは有りませんが、銀行もいろいろな人と接点があります。お金が絡むだけに、トラブルや問題を起こす人は常に満載です。ではこんな人達をリスト化しているかと言えば、答えは「NO!」です。

皆さんの中には、住宅ローンやカードローンの審査の時に、ブラックリストに入っていると審査に落ちる。だから銀行にはブラックリストがある。こんな話をする人がいます。しかしここで言うリストは、情報信用機関の延滞者登録です。これはあくまでも個々人の延滞状況が記されているに過ぎませせん。

その人がクレーマーだ!とか、トラブルメーカーだ! こんな情報を登録しているわけではありません。

しかし銀行がこの手の情報を一切記録しないかと言えば、それも違います。公正な取引推進と法令遵守、取引水準の維持、そして何よりも他のお客様の安全安心確保のため、1件ごとに丁寧に記録しています。

これは犯罪収益移転防止の観点から定められている、「疑わしい取引」という、当局からの要請に応える意味合いもあります。また銀行に取ってお客様からの依頼に応じるには、その取引結果を記録すれば問題ありませんが、お断りする場合はその内容を何らかの記録にとどめねばならない。こういった事情もあります。

実際、銀行によって表現はまちまちですが、顧客依頼を断った。すなわち謝絶した。この場合は内容を記した記録を、必ず残しておきます。これがリストといえますでしょうか。(ブラックリストではありませんが)

しかしこれは案件単位であって、その人個人のリストではありません。我々は警察のような権限が有るわけでもないので、記録を残し必要に応じて金融庁等へ報告。ここまでです。

もちろん銀行が違えば情報は遮断されます。他の銀行で誰がUG客なのかは分かりません。私が目にした数少ない例外は、過去バンカメ(Bank of America)が、偽札情報を連絡してくる時に、どんな人間が偽札を持ち込んだかを、教えてくれていました。

偽札使いはある銀行で両替に成功すると、他の金融機関にも同じタイプの偽札を持ち込む傾向があり、流通防止の観点からの通知のようでした。これなどはブラックリストそのものでしたが、その通知で人相や服装は概略判明するものの、個人を特定できるほどではありませんでした。

その通知は一応カウンターの裏の方に貼っていましたが、役に立った覚えはないのが実態でした。

ありそうで無い「ブラックリスト」。あればと思ったこともありましたが、それよりもそんな状況にお客様を追い込まないようにするのが肝心、こう自らを戒めていたのも事実です。

2018/11/17

送金決済に手形は必要か?

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普段講師をしているワークショップがあります。

ここの出席者から、貿易決済に関する質問が有りました。

「送金決済に手形を付けてやっている。これで良いのか?」

こんな質問です。

この担当者は自分の貿易知識では、手形はL/C決済などに使う物であって、送金決済に使うのは変だ。

こういう疑問が湧いてきたそうです。

自分で本やネットで調べても、さっぱり分からなかったとのこと。こんな質問を聞いて、なるほど銀行を介せずに、手形がこんな形で使われているのだ。と逆に感心してしまいました。貿易実務ご担当ならご存じのように、銀行は送金決済では書類に一切関与しません。顧客から送金依頼を受けるだけです。なのでこんな事態を、意識したこともありませんでした。

しかしよく考えれば疑問は尤もです。おそらくネットを探しても解答は出てないと思います。どこが問題なのか分からないままです。そこで今回はこの問題を少しひもといてみます。

まず案件の概要です。
台湾からの輸入で支払条件は、T/T60days after B/L dateとのこと。つまり決済は、船積日から60日後までの電信送金で行われます。輸入者は台湾からの船荷証券を、船会社に提出し貨物を受け取ります。問題はこの船荷証券を含む船積書類に、Bill of Exchange(荷為替手形)が入っていることです。

日本側ではこれにサインをして、台湾に返送していると言うのです。長年の信頼関係から手形のやり取りをしているそうですが、何のための手形かと思い台湾側へも照会してみても、先方からの返事では、銀行出身の社長からの指示というだけで、
具体的には何も明らかにならなかったようです。

そこで私はこのやり取りは、輸入者側にメリットなく見直した方が良い。とアドバイスしました。なぜそうアドバイスしたのか。

以下はその理由です。

1.手形債権は、原因債権(ここでは輸入債権)とは別個独立のものです。手形があると台湾側は、手形債権からも原因債権からも求償できます。つまり日本側には、二重の縛りが掛かられているのです。
2.手形なら期日に決済されなければ、即日求償できます。督促とか催告は不要です。
3.支払地の法律にもよりますが訴訟になった場合は、日本では簡易な方法が定められています。例えば裁判は1回で済みまJす。しかも書面審査だけです。判決が出ればそこには仮執行宣言が付いていますので、実力行使に出ることが即日可能です。

このように手形があると台湾側は有利なので、日本側としては、見直し要求は大いにありです。この会社も早速、台湾側に申し入れをしたようです。

その後の顛末はまだ聞いてませんが、皆さんの中にも、似たような状況の方もあるのではと思い、ここに書いてみました。ご参考になれば幸いです。

2018/11/03

銀行のシステム更新、外為は?

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銀行のシステムは、お金を扱うだけに堅牢且つ大規模です。

しかも時代は変わっていくし取扱業務は拡大していくので、一定年月が経つとシステム更新する必要が出てきます。

加えて合併や統合など予期せざる事情により、経年劣化していないシステムでも、更新する場合があります。

今回はこんな銀行のシステム更新についてお話します。

銀行のシステムは外からは分かりませんが、全国的に統一されたものがあるわけではありません。各銀行が人・物・金を投入して独自に構築しています。もちろん近頃ではあまりにも金食い虫なので、同じシステムを複数行で使う場合も増えてきました。

この銀行システムですが、銀行内部ではオンラインシステムとか、略してオンラインと呼んでいます。ここでもこれからはオンラインと呼ばせて頂きます。

さてこのオンライン更新ですが、大きく二つの側面があります。
一つはハード面、今ひとつはソフト面です。

このうちハード面は、メーカーと銀行システム部門の協働であり、営業店担当者には、ほとんど出番がありません。しかしソフト面となると話は全く別です。全面的に動く必要があります。

特に外為は、預金や融資に比べて事務量や従事する人員が、圧倒的に少ないために、他人任せでは何も進まない事が頻発でした。過去の合併では、基幹システムや預金・融資は相手のシステムなのに、外為だけは自行のシステムと言うときがありました。その話を聞いた時は、変更しないのならラッキー!と思いました。

ところが新しいオンラインの内容が明らかになるにつれて、我々外為に関しては、新システムは全く考慮していない。こんな当たり前のような話が明らかになってきました。しかしいくら今まで通りと言っても、銀行業務の中で外為は、一切他の業務と無関係かと言えば、そんなことはありません。預金にも融資にも国内為替にも、密接な関係があります。にもかかわらずいろんな所で外為関連の視点が、きれいに落ちているのです。

例えて言えばキャッチボールをしていたら、突然相手が居なくなった。こんな感じです。あわてて本部に聞いても変更対象の店のケアは、事前に集合説明や臨店指導があります。が、変更無しの店には何もケアもありません。いくら今まで通りと言われても、これでは不安なことこの上無しです。あのとき変更初日は、終日本当に不安でした。これなら変更対象店の方が、まだ良かったと正直思いました。

このようにシステム変更は、いろいろとあるのですが、AIやクラウドの利用など一連のフィンテックの進歩により、これらのお話は、過去の遺物になる可能性が出てきました。システム変更は今後どうなるのか。銀行の行く末が、こんな点からも心配される今日この頃です。

2018/10/21

外為研修は商売になる!?

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先日私の経歴を知ったある上場会社から、外為研修についての相談がありました。

その会社はご近所でもあり、早速お邪魔してきました。

お会いした事業部長さんは元々銀行員の方で、主に外為システムに関するお仕事をされていたとのこと。

今の会社もその関係だったそうです。さてご相談の内容ですが、「外為研修を自社の商売に使えないか。」一言で言えばこういうことでした。

ここの会社は銀行の外為部門(特に外国送金)で使う、アンチ・マネー・ロンダリング・システムを販売しています。このシステム、簡単に言うと、銀行がマネーロンダリング(資金洗浄)に利用されないように、チェックするシステムです。

いままでは地銀上位行のように、外為を自前でやっているが、マネロンシステムは自前で構築していない。このような所に売り込みをかけていたようです。(ちなみにメガバンクはシステム自前です)

しかしこれらへの営業も一巡したため、さらに営業範囲を拡大したところ、人材不足を理由に商談不成立。これが続出したため、「人材育成込みでのシステム販売」を考えたようです。私の経験からも地銀トップクラスを除くと、多くの金融機関は外為を自前でやるための人材育成には、大変苦労されていました。

さて人材育成で、誰でも思いつくのは研修です。世の中には外為研修と、銘を打つものは多くあります。しかし多くはいわゆる「お勉強」と称するものの類いです。内容はと言えば「外国為替とは」なんぞやから始まって、「為替相場」とか「輸出入」、「外国送金」、「先物為替予約」等々。まるで学校の教科書をなぞるようなものです。

依頼する側から見れば、受講修了者は即戦力!!と期待します。が、この類いの研修だけでは先ず使えません。OJTが必要です。ところがOJTする場所までは研修では用意してくれません。しかも一度受講したら、アフターフォロー等はないのが普通です。必要があればもう一度受講して下さい。というわけです。

その点を気にしながら部長さんのお話を伺っていると、こちらの会社では研修終了者は自行に戻ってからも、WEB上で常時サポートが受けられる。こうされるようです。これを聞いてよく考えてるなあ。と正直思いました。ただサポート内容を購入システム関連に限定すると、金融機関から見ると、いかにも使い勝手が悪いことになります。

外為全般をサポート出来れば、圧倒的な強みになります。その点を、それとなく聞いてみたのですが、反応は今ひとつでした。確かにそこまでやると、常時サポート要員を社内に抱える必要があり、研修会社でもないのにそのコスト負担は難しい思います。

とはいえ、一般の事業会社に外為研修を商売に使おうと考えてもらえたのは大変嬉しいことです。部長さんには、協力は惜しまない旨申し上げて辞去しました。

今までの外為研修の主体は、メガバンクやその系列、あるいは人材派遣会社が圧倒的でした。その点、今回のお話は競合他社との優位性十分な話と思います。

まだすべてはこれからですが、私も前向きで行くつもりです。

2018/10/11

日経新聞記事の「海外送金の時間短縮」について

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8月下旬の日経に、「海外送金の時間短縮」との記事が出ていました。

金融経済欄の大部分が使われていたので、目にされた方も多かったのではないでしょうか。

このようなタイトルが掲げてあると中身が気になるのですが、読んでみるとスクープとか観測気球ものではなく、極めて常識的な内容のものでした。(良い意味での期待外れ)

しかし、専門外の人が見ても一読では理解困難と思い、解説を兼ねて今回のテーマとしてみました。

記事の内容は大きく分けて二つです。
一番目は3メガバンクが、SWIFTの新システムに参加する。二番目はフィンテック勢が急成長しているのです。

大部分はSWIFT新システムへの参加についてでしたが、この記事が皆さんにどう影響するかと言えば、間接的なものに留まる。
これが結論だなと思いました。

理由はこうです。記事によるとこの新システムにより、中継銀行手数料の開示や、即時処理ルールが制定されるようです。実はこれらの点。私が担当者の頃から送金側ではどうにもならず、頭を悩ましていた事柄です。中継銀行の都合で思いもよらぬ手数料が発生したり、不自然な送金遅延が発生したりで、よく顧客クレームになりました。新システムの導入により改善されるのなら、大いに歓迎すべきことです。

しかしこれらをやったとしても、やがて来る大きな波に対する、抜本的解決策たり得ない。正直そう思います。となると、この記事の筆者も実は言いたかったのは、控えめに書かれた、二番目の話題だったのかもしれません。そんな目でこの記事を読んでみました。

フィンテック勢は安さ、早さを武器に急成長している。こう書いてあります。たしかに私が調べた範囲でも、安さは圧倒的です。また早さも相当なものがあります。しかしこれらは、ある程度関係者には周知の事実です。むしろ書きぶりは大変控えめであり、強いものは伝わってきません。

どちらかと言えば淡々として、事実を説明している。こんな印象です。外為畑の人間から見ると、安さと早さ以上に重要なのは、犯罪収益の移転防止であり、不法・脱法の収益移転防止です。銀行ではこれらに対して、相当の人員・システム・費用を投じています。この点、言及がなかったのはやむを得ませんが、正直物足りないものを感じました。

現行規制の枠組みを逸脱できない以上、守るべき事に対しても、資源を投入せざるを得ません。顧客は自らの利便性向上を先ず念頭に置きますが、銀行に取ってはどちらも大事です。この双方を満足させ続けるのは、本当に難しいものだと思いました。

2018/10/04

海外送金!TransferWiseが良いのでは?

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私の所属する貿易アドバイザー協会(通称AIBA)のNET論壇で、先日海外送金が話題になりました。

そこで紹介されたのが、TransferWiseと言う仕組みです。PayPalとよく似た感じですが、さらに進化している感触を得ました。

外為畑の人間として、どんな仕組みなのか。興味があります。

皆さんにお勧めできるか調べてみるました。今日はこのお話です。

(お願い)私はTransferWiseについて全くの初心者です。以下の文面は誤解や錯覚が入っているかもしれません。内容については是非ご自身でHP等で確認し、疑問点等は直接運営会社にお問い合わせ下さい。本件に関する内容責任はご容赦願う次第です。

さて本題です。TransferWiseの概要やPayPalとの比較などは、ネットで検索するといろいろと出てきます。なので此処では別の切り口。すなわち外為実務者から見た、この仕組みについての感想についてお話します。

といっても網羅的ではてんこ盛り状態になるので、今回は、

・なぜ通貨交換が手数料なしで市場レートほぼ同値で出来るのか
・取扱金額に制限はないのか、特に円ベースで100万円超の場合は当局への報告はどうなっているのか

この二点に絞っていきます。

先ず一点目の換算レートが実勢ほぼ同値ですが、インターバンク取引ならいざ知らず、顧客取引では先ず考えられません。興味津々です。HPを見てみました。すると意外な仕組みが記載されていました。

実際には通貨交換などしていないのです。日本から米国へUSD送金では、日本では円資金を受けるだけです。この資金は別途、海外から支払いに充当されます。一方米国では予めプールされているUSDから支払いをするだけです。

つまり換算レートは、単に金額算出のための数値にすぎないのです。これなら手数料無しでも商売は出来そうです。さてそうなると取扱金額が気になってきました。上限無しだとある日突然資金繰りが破綻しかねません。

この点はどうでしょうか。見るとHPには金額制限がちゃんとありました。流石です。最大額(1回あたり)1百万円だそうです。これはTransferWise日本法人が、銀行ではなく資金移動業者ですので、資金決済法上の制限金額とも一致します。そしてこの金額以下であれば、いわゆる国外送金等調書の作成義務は、発生しません。事業者にとっては有難いことです。上手く出来ています。

ただHPを見る限りでは1百万円を越えた金額でも、取り扱いを拒絶している訳ではなさそうです。1百万円を超えた送金依頼は、SWIFTでの資金移動を行う。こう記載されています。素直に読めばある一定の金額を越えれば、実際に資金移動を行うと読めます。そしてその場合はSWIFT手数料もかかるようです。

ここからは推測ですが、SWIFT利用の海外送金は、丸ごと銀行にお任せではないかと思います。告知書の受け入れや国外送金等調書の提出も、お任せした銀行にやってもらえれば良いわけです。利用者から徴求した追加の手数料は、これに充当すれば上手くいきます。

このようにTransferWiseは利点の多い送金システムだと思います。ただその手数料は定率です。送金金額が大きくなると、手数料も多く掛かります。数万円程度の小口であれば、何も考える必要は無いと思いますが、数十万円あるいはそれ以上で有れば、念のため銀行手数料と比較することをお勧めします。

特にネットバンクのサービスはかなり競争力があります。他に調べたい点はあるのですが紙幅の関係もあり、今回はここでお終いとします。

2018/09/21

海外送金、名前が先か?口座番号が先か?

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今回のテーマは、「卵が先か?」「鶏が先か?」みたいですが、実は結構まっとうな話で、今でも十分注意を要する問題です。

あるときお取引先の中堅メーカーから、海外送金の依頼がありました。依頼書を点検しましたが全く問題無し。当日中に発信しました。

ところが2・3日後に海外から、この中堅メーカーからまだ送金が届いていない!こんなクレームが入ってきました。

外為をやっていると、こんな話は日常茶飯事です。

初動として依頼書の内容再点検。発信済SWIFTも確認。すべて問題なしでしたので、お客様にはその旨回答しました。加えて必要であれば電信料は負担願うことになるが、先方銀行に至急入金するように督促するが、とお話ししたところ、是非やって欲しいとのことでしたので、相手銀行にその旨発信しました。

折り返し返事が返ってきたのですが、送金は既に入金処理済。こんな意外な回答でした。

一方受取人からは、お客様へ再度、再々度の入金督促。これは一体どうしたことか?

今一度相手銀行にかなりきつい調子で、こちらは間違っていない。きちんと調べろと発電しました。すぐに先方から返電があり、そこで判明した事実です。

先方曰く、送金依頼に基づき支店番号・口座番号が一致した、口座に入金した。(当時はまだIBANはありませんでした)
こういうことでした。

こうなると日本サイドは全くチンプンカンプンです。やむなく受取人に銀行に出向いて貰い、送金内容を示す発信モニターを提示して貰いました。その結果驚くべき事に。

違う名前の口座に入金されていたのです。しかも相手銀行に言わせると、口座番号が合っているのだから、問題は無い。変更には応じるので申し出て欲しい。こんな具合です。違う名前の口座に入金したのに、間違いではない。猛烈な違和感を覚えました。

しかし、少し頭を冷やしてみると、別の見方が出来ることに気づきました。

海外送金は、すべて仕向銀行からの情報のみで処理されます。その情報に原則優劣はありません。しかも入金手続きは自動処理です。口座番号が一致すればそのまま入金する。これはあり得ます。日本の銀行であれば、全ての項目が一致した場合のみ入金する。これで運用されていると思いますが、全件上手くいくとは思えません。

結局、効率と効果の比較考量となるわけです。こう見ると相手銀行の主張にも、一理あるといえます。しかも今回の送金は日本側に全く問題ないかと言えば、一点だけ先方から主張されると弱い点がありました。

それは口座番号そのものでした。お客様は取引相手から取引銀行の合併が知らされていました。そこには新しい口座番号も記されていたのです。ただいつからとは書いてはなかったので、まだ大丈夫だろうと、今まで通りの口座番号を記入したのです。

今回のトラブルは、その口座番号が別人のものとして存在していた点にありました。この様な諸事情から、相手銀行には訂正を依頼しました。これ以来、取引銀行に関する情報が有ったら即座に、何もなくても年に一度は相手に確認する。

これをお客様にお願いするようになりました。日本流であればトラブルにならなかったのかもしれませんが、海外取引では日本流が通じないことも多々あります。

今でも教訓としている出来事です。

2018/09/14

決済資金を少しでも早く受け取りたい!

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貿易取引で銀行が登場するのは、主として資金決済の場面です。

輸出であれば資金の受け取り。輸入であれば資金の支払いの場面です。

輸出業者にとって資金を受け取らないことには、次の商売の仕入れすら出来ないので、当たり前ともいえますが。

この資金を早く受け取る事。これには意外な点がポイントになります。今回はそのお話です。

外為に関する書籍やネット記事を見てみると、よく「コルレス契約」とか「コルレス銀行」といった言葉を目にします。ここでは中身の説明は、やや話が外れるので割愛しますが、今の外為ではこれらを意識しなくとも、大きな障害は無くなっています。

しかしもうちょっと突っ込むと、皆さんにもメリットが出てきます。でここで、少し突っ込んでみようと言うわけです。実はコルレス銀行と言った場合には、2種類の銀行が存在します。

一つ目は単にコルレス契約で資金の授受方法を定めるだけで、具体的な資金のやり取りは第三の銀行を使う場合です。これらの銀行は「ノン・デポジタリー・コルレスバンク」とか、単に「ノンデポバンク」と呼んでます。皆さんにとっては、コルレスのない銀行と余り変わりません。

これに対して二つ目のカテゴリーの銀行は、たとえ一部でも資金のやり取りを、お互いが預金口座を持ち合うことにより行う場合です。これは「デポジタリー・コルレスバンク」とか、単に「デポバンク」と呼んでいます。

実はこのパターンの銀行が皆さんのお役に立つのです。では具体的にどうお役に立つのでしょうか。

輸出の場合では代金回収をより確実にするのに、一番手っ取り早いのは、決済資金を日本国内で確保することです。通貨は主として日本円ですが、海外の銀行が自分の取引銀行に預金口座を持っていてくれれば、その口座から出金してお終い。こういう上手い具合になります。

どの銀行が口座を持っているかは、銀行は対外的に公表してませんので、理由を話してどの銀行かを、教えて貰う必要があります。

メガバンクでコルレス銀行が複数ある国・地域なら、その中の一行ぐらいには円口座を預かっている銀行があります。その銀行を使って資金回収を図るわけです。この方法の良い点は、第三国(特にアメリカ)の影響を回避出来る点です。

外為をやっていると、どうしてもアメリカの影響は避けられません。お互いが了解してもアメリカの規制が入ると、取引が止まってしまいます。それを避けることが出来るのです。USDは大変取引しやすい通貨ですが、こういったデメリットもあると、気をつける必要があります。

過去、イランやキューバ、ミヤンマーといった国との取引では、相手銀行の預かり円口座で、随分取引が成立しました。しかも円取引であれば為替リスクも避けられます。

もし輸出取引で資金回収に難儀しているのであれば、自社の取引銀行が預かっている円口座の銀行を、輸入者に使ってみてくれないかと提案するのも一方と思います。

上手くすれば為替リスクもヘッジできるので、一石二鳥ともいえます。

2018/09/08

レートサービス(相場優遇)がどこかに消えた!?

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皆さんは「レート・サービス」と言う言葉をご存じですか。

「相場優遇」とも呼ばれる、銀行の顧客サービスのことです。

これは銀行の対顧客相場(公表相場、公示相場のこと)より、皆さんにとって有利な相場が適用される制度です。

ホームページP等には出てませんが、どの銀行でもやっています。

たとえば銀行は一般的にUSD1.00について、1円の利幅を取っていますが、この顧客サービスが適用になると、1円の範囲内で銀行は自らのもうけを、顧客に戻します。その結果、皆さんが得をする。こういう仕組みです。

ちなみにこの利幅を、「為替売買益」とか「為替手数料」と呼んでいます。輸出取引であれば優遇分だけ手取りは増えますし、輸入取引であれば優遇分だけ支払額が減ります。80%優遇であれば1円の利幅から80銭を還元します。USD100千の取引で8万円戻りますので、皆さんには8万円の利益増加と同じことになります。粗利ではなくネット利益です。重なれば大きな数字になります。

こんな「レート・サービス」ですが、毎回銀行に頼む必要はありません。銀行と約束すればその後は自動適用です。お任せでOKです。皆さんは計算書などで、結果を確認すれば良いだけです。

しかしあるパターンの取引だけは注意が必要です。それをお話しします。

海外取引先と円ベース契約で支払いが外国通貨。こんな取引はありませんか。結構多いと思います。事前に契約で換算レートが決まっている。あるいは、送金時に自分で換算して外貨額を出す。これらであれば問題ありません。必要な日本円はキチンと優遇されます。

問題は銀行に外貨額を出して貰う場合です。具体的には「○○円相当の外貨を送金して欲しい」、このような依頼を銀行にした場合です。これは注意して下さい。計算書を見るとちゃんとレート・サービスされているのに、実は皆さんは優遇されてません。どういうことでしょうか。

このパターンでは、換算レートと送金のレートが一致してしまいます。しかし計算書に出てくるレートは、キチンと優遇されてます。この状態がまずいのです。

これは折角の優遇が、海外取引先に行ったことを意味します。なんとも口惜しい話ではありませんか。こうならないためには、工夫が必要です。

銀行依頼時は、優遇が自社に落ちるように以下の指示をして下さい。

1. 外貨換算は公表(公示)相場を用いる
2. 実際の換算レートは、優遇後相場を使う

これで銀行は分かります。後で計算書を見ても後悔することはありません。銀行によっては予めこのような依頼が出来るように、依頼書フォームを作り込んである場合もあります。

如何でしょうか。是非、この話をご活用下さい。万一、このパターンを銀行が理解できないようであれば、他所の銀行の利用を考えた方がいいかもしれません。

それほどこの話はマニアックではありますが、外為取扱銀行としては、対応しなければいけない話なのです。

2018/08/22

為替予約のヘッジ率はどうすべきか

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輸出入を問わず、貿易取引では通貨交換が発生します。(全額円建て取引。こんな恵まれた話は別ですが。)

今回は、どの程度為替予約を取るべきか。いわゆる為替ヘッジ率に、焦点を当ててお話しします。

外貨建債権債務の為替ヘッジ策はいろいろ有ります。

そしてその中で、真っ先に上がるのが先物為替予約です。

この為替予約、一般に銀行と結ぶことが多いのですが、融資と違って資金は動きませんし、コストも締結レート織込みなので、貿易業者にとっては取り組みやすい為替ヘッジ策です。予約すれば交換レートはその時点で確定するので、採算は決めやすくなります。

また予約を使う時は、当日の実勢レートに一切関係ないので、安心して取引出来る点も大きなメリットです。それでは全額為替予約にすればいいではないか。こうなりそうですが、そうも行かない場合があります。

例えば輸出を考えます。円安になれば外貨を円に交換するとき、円安になった分手取りが増えます。USD1.00=100円からUSD1.00=110円になったとすれば、何もしないのに10%手取りが増えます。為替予約を取っていれば実勢レートが110円であれ120円であれ、予め決められたレートで交換しますので、このメリットは受けられません。100円のままです。(これは得べかりし利益の喪失です。)

一方相手から見れば外貨額は変わっていないのに、為替レートが変化したので、輸入商品は割高になっています。レート変化前と同じ商売をしたければ、100円の商品は100/110減価して貰わない合わない理屈です。つまり約90.9円になって変化前と同じ水準と考えます。

そうなると当然値引き要求が出てきます。こんな状態で予約を使うと、赤字になる可能性大です。このように為替予約によるリスクヘッジは、儲け損ねだけでなく、相手からの値引き要求にも晒されかねません。

そんなこんなで、為替予約100%ヘッジがベストともいえません。

さてどうしたものか。相談を受けるたびに悩みました。しかし経験則的な積み上げで、ある程度分かってきたことがあります。それをここでご披露します。

まずカバーする割合ですが、通貨交換が発生する為替量に対して、50・70・90・100%のいずれかまでヘッジします。もちろん厳密な話ではありません。あくまでも目安です。

50%未満では為替リスクに晒される部分が過半数となり、あまりヘッジしたという実感が湧きませんし、なによりレートの変化がもろに響いてきます。

70%はメーカーの場合であれば、原価率に近似するでしょうし、90%まで予約を取れば、残りは利益部分ともいえ、そこの部分は最悪ゼロで無ければ良し。こう考えることも出来ます。

100%はもちろんフルヘッジですが、デメリットもあるのでそこを納得されたお客様は上手に100%ヘッジされていました。

世の中がどんなに進歩しても、世界中が単一通貨にならない限り、通貨交換の問題はついて回ります。今になってみると、必要に応じて全額為替予約をして、その後は一切レート変動を気にせず、取引相手に対してもその旨を言い込んで、本来の商売に注力していた会社がありました。

この会社が一番確実に利を重ねていたように見えました。何か王道を歩んでいるように思えました。如何でしょうか。

2018/08/17

外為取引の決まり事

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銀行員の話をマトモに聞いてはいけない。こんなフレーズを資金運用の講演会でよく聞きます。

講師の言わんとするところは、銀行の言うとおりにすると、銀行都合の運用商品をつかまされる。
これは決して皆さんのためにならない。こういう意味だと思います。

この発言に対し正面切って、違うと言い切れないのが残念ですが、昨今の銀行セールスは良くなったと、わたしは見ています。

翻って外為の現場ではどうでしょうか。これがなかなかくせ者です。

今回は外為取引の決まり事と題して、外為担当者の言葉に注目します。外為担当者がお客様と話をする場合に雑談は別として、必ず何らかの意図があります。その多くは自分の銀行に、外為を持ち込んで欲しいための「ご提案」「お願い」と称するものです。

しかし他にも「これはダメ」「こうして欲しい」という話も出てきます。100%素直に聞くつもりなら「はい。はい。」で良いのですが、実際にしゃべっていた立場からするとこの手の話には、かなり銀行に取って虫がいい話もありました。

ではこれらをどう聞き分けるか、ここが問題です。

銀行とお客様間の決め事には、大きく三つの種類があります。一番は法律や規則です。その数は圧倒的なものでして、上は憲法・法律・条約から始まって、下は政省令、規則、行政指導まで、とても数えられる物でありません。

これらの決め事には、万古不変どころか朝令暮改もありました。お客様からはよく文句を言われたものでした。
しかしこれらには強制力がありますので、銀行もお客様も関係者全員従わざるを得ません。

二番目は信用状統一規則や銀行取引の各種約款です。これらは第三者に対する強制力はありませんが、当事者が同意すれば当事者間では強制力を持つため、有る意味一番目のカテゴリーと同じものとなります。

三番目は銀行内の手続きや規則です(インハウスルールのこと)。実はこれが一番厄介です。銀行の内部の人間には強制力がありますが、外部の人間(お客様も含む)には強制力を持ちません。しかしインハウスルールに従わないと、銀行が取引しないので、結局お客様は、受け入れるか拒絶するかの二者択一となります。

ここがポイントで、銀行と取引を解消するという選択肢がない場合、事実上の強制力が働いてしまうのです。この結果、銀行担当者から見れば一番目から三番目のすべてが、同一のような錯覚に陥って、その態度が自然に表に出てしまいます。つまり全部銀行の言うとおりにしてください。この理屈です。

しかし、今から思えば多くの場合これらは疑問符だらけでした。A銀行時代ではOKのものがB銀行になるとNGだった。こんな例はいくらでもありました。

こうして欲しいと言っていても、システム変更や規則変更で、全然違うことをお願いする。これもよくありました。お客様からすれば自分は全く変わっていないのに、何で変えなきゃならないんだ!こんな気持ちだと思います。

今になればすごく納得できる話です。そこでせめてもの償いを込めて、今の私に出来るアドバイスは、

1. 話が変だと思ったら別の銀行に聞いてみる(ゆわゆるセカンドオピニオンです)
2. 銀行を代えるのもあり

この二つです。今の時代、銀行取引に聖域はありません。疑問に思ったときら銀行を変える。これぐらいで丁度いいと思います。

2018/08/01

マルサが来た!

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今回は外為ではありません。マルサです。

長い銀行員生活で、たった1回だけの国税局査察(マルサ)の話です。

今でも夢に出てくるぐらい強烈な体験でした。時は遙か昭和の御代に遡ります。当時はバブル真っ盛り。

今から思えばバブル崩壊の前兆は出ていたのですが、世の中全体そんなことは夢にも思わずに、船に乗り遅れるなと、日夜狂喜乱舞していました。

そんなある日の開店前、午前8時30分過ぎのこと。いつものように支店二階の会議室で打合せをやっていました。そこに突然ノックも無しに、見知らぬ人が複数入ってきました。

全員あっけにとられていると、その中で一番偉そうな人が、

「国税局の査察です!みなさんそのまま動かないでください。」
といきなり切り出しました。
「私がいいと言うまでその場にいてください!電話にも出てはいけません!」

完全に命令口調です。

ここまで言われて事態を把握した支店長が、
「全員。その場で待機。OKが出るまで外訪も中止。」
と全員に命じました。

その間にも内線が鳴るのですが、電話に出るなと言われてるので、誰も出られず張り付いた空気の中で響くばかりです。

ややあって、国税の統括官が支店長に向かって、
「本日の査察内容をお話ししたいので、別室をご手配下さい。」
こう依頼してきました。

そして支店長とその統括官が部屋からいなくなりました。が、他の査察官はそのまま部屋で睨みを効かしたままです。我々はただひたすらジッとしていました。そのうちにシャッターの上がる音が聞こえてきます、9時になり店が開店したようです。

朝一番、外為にお客様は先ず無いのですが、窓口には誰もいません。これはさすがに異様な光景です。といって動くなと言われてますので、動くわけにはいきません。

ジリジリしながら座っていると、支店長と統括官が戻ってきました。

支店長から、
「本日、国税局の査察があった。査察に協力するように。」
と指示がありました。

そして融資と得意先担当者以外は、営業室に戻っていいと言われました。この時点で外為担当の私は解放されたのです。実はこの時戻れたのは外為担当二人と、預金担当の副支店長、預金課長だけで、その場にいたほとんど全員がそのままでした。

それから後のことはほとんど記憶にありません。パラパラとはメンバーが戻って来たのですが、こちらも電話や、来店者の応接に必死で全く記憶がありません。それでも昼前には、ほぼ全員が通常業務に復しました。しかし支店長・営業担当副支店長・融資課長・得意先課長、それと1・2名の担当者は結局、終日営業室には現れませんでした。

夕刻、支店長から朝の会議のメンバー全員に、もう一度会議室に集まるように指示がありました。その席で支店長から事情説明がありました。

それによると今日の査察は「側面調査」だったようです。(当行は査察対象者のメインバンクではない。の意?)調査の結果、特に我々に問題は無かった。一部資料提出依頼があったので、至急調査手配する。と、これだけでした。

なんともモヤモヤした話なのですが、これでお終いです。その後も一切、この話は出てきませんでした。あれから30年。未だに私にはすべてが謎のままです。

国税が手ぶらで帰るわけはありません。何かあったはずです。結局私には、朝一番のいきなり踏み込まれた経験。これだけが残りました。

マルサはもうこりごりです。

2018/07/21

外為書類に間違いがあった!

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輸出代金回収のため、銀行に船積書類を提出し買取を依頼する。

典型的な輸出為替の取り扱い依頼場面です。

ところが書類上のミスが発見された。どうしましょうか、と銀行からの問い合わせが来た。

今回はこんな時はどうするの?これをお話します。

貿易担当者として対応を間違うと、とんでもないことになりそうです。
解決方法ですが教科書的に言えば、もちろん正しい書類に差し替える。これです。ところが往々にして、現実はそうなりません。時間が切迫して差替の暇が無いとか、会社印やサインが必要なのに、権限のある人が海外出張で貰えない。こんなまるで嵌められたような場面になることがあります。

私が経験した中にも社長が2週間フィリピンに出張していて、その間どうしようもない。こんな事例もありました。(この時はやむなく訂正せず送り、なんとか決済してもらいました。)

そこで登場するのが、訂正印です。

国内取引でもよく聞く話で、訂正印とか訂正小印と呼ばれています。外為取引でこれに当たるものが、チョップ印(又はチップ印)です。なたで切ったように形なのでチョップ印、木っ端みたいなのでチップ印。こう呼ばれていました。実物は縦横1〜1.5cmの角形、長さ5〜6cmの木製ゴム判で、印面は小さな丸形のゴム判でした。

この丸形の印面に予め会社名が彫り込んであり、訂正する箇所にその部分を黒いスタンプで押捺するというものです。文章にすると煩雑ですが、実際に使ってみると中々の優れもので、物の本などにはどこにも書いてませんが、実務上は重宝していました。

訂正箇所にチョップ印が押されていれば、海外の銀行から書類が、偽造・変造だとの指摘は受ける心配はありませんでした。つまり差替え書類ではなく、訂正書類を海外へ送っていたわけです。これならば社長が海外出張でも、安心して対応できます。

そんなわけでチョップ印を作っている会社は、相当数有りました。さらに時間節約の観点から、チョップ印を銀行に預ける方法もありました。銀行とはいえ第三者に預ける点は、議論の分かれるところで、銀行によっては全く預かりが駄目なところから、行内手続きに従って重要物に準じた扱いで預かるところまで、いろいろでした。預かり銀行が多かった印象です。

完璧な書類が一番ですが、次善の策としてのチョップ印利用。要はシッパーバイヤー間の了解と、納得しての決済に問題が無ければ、これもありかなと思います。

いま皆さんの所でチョップ印を使わずに、すべて差替えで対応しているのであれば、取引銀行に相談してチョップ印を作られたらどうでしょうか。

特に印鑑登録が必要な話でもありませんし、作る数にも制限無しです。少しでもお役に立てばと思い書いてみました。チョップ印のお話でした。

2018/07/04

L/C取引にも上級テクがあるんです

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今回はL/C(信用状)に関心のあるご担当向けに、ほとんど目にしたことの無いような、上級テクをご披露します。(ちと大げさですが。。。)

これは輸出ご担当向けなので、その点お許し下さい。

輸出企業にとって永遠のテーマは、迅速・確実な輸出代金の回収です。

全額前金は別としてそれ以外の決済方法では、お金が入ってくるまで常に心労が絶えません。これを少しでも軽減したいときに使われるのがL/Cです。

L/Cは記載条件通りの書類を銀行に提出すれば、L/C発行銀行から支払いを約束してもらえるという、極めて優れた仕組みをもっています。このL/C取引に、上級テクをかませようというのは今回の趣旨です。

ではどうかませるのか。

L/C条件はほとんど輸出入者間で決めることが出来ます。しかし2点例外があるのです。それは輸出買取銀行からL/C発行銀行への書類送付方法と、L/C発行銀行からの資金決済方法です。いずれもL/C発行銀行の専決事項のような扱いがされており、だれも問題視していません。

しかしこれらは信用状統一規則に定めがあるわけでも無く、なんとなく商慣習的にL/C発行銀行に任せられています。
もちろんそれでもいいのですが、輸出者として資金回収をより確実にしたいのであれば、この2点を輸入者経由で、L/C発行銀行へ依頼することをお勧めします。

相手からノーと言われるかもしれませんが、輸入者やL/C発行銀行に、それなりにプレッシャーをかけられますので、万一この二点で問題が発生したときに、有利になる可能性が大きいです。

では具体的にどう注文するのかです。

まず書類発送方法については、船積書類をすべてまとめて一回で発送するのでは無く、二回に分けて送るように指示して下さい。これは途中での事故による書類紛失を避けるためです。出来れば一回目・二回目を、一週間は開けるようにすればなお良しです。

滅多に無いことですが、現実に書類が無くなることはあります。こうなると輸入者も貨物を引き取れなくなる可能性が出てきます。お互いの幸せのためと考え、是非申し入れをしてみて下さい。

二点目の決済方法ですが、これは随分ハードルが高いです。なにを依頼するかと言えば、輸出買取銀行がL/C発行銀行から、直接資金を受領できるようなL/C条件にして貰うのです。L/C発行銀行が、輸出買取銀行に口座を持っていればベストです。

どこの銀行の口座があるかは買取銀行に聞けば、教えてくれるはずです。銀行担当者から「なんで?」と不審がられたら、代金回収をより確実にしたいので、L/C決済条件を「借記授権方式(しゃっきじゅけんほうしき)」にしたい。

こう言ってみて下さい。かなりの確率でびっくりされると思います。この方法は特に外貨繰りの厳しい新興国相手ですと、有効な手段となります。(この方式の説明は別の機会に譲ります)

以上の2点意外に使えます。上級テクとして是非やってみて下さい。

2018/06/22

「疑わしい海外送金」は事前に分かる?

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先日、日経新聞の金融経済欄に、海外送金の話が出ていました。

話自体は「ふーんそうなんだ。」程度でしたが、皆さんと共有したい部分があり、今回とりあげる事にしました。

まず記事ですが、タイトルは「疑わしい海外送金検知」です。

あるメガバンクのインターネットバンキングで海外送金を依頼すると、入力項目に問題ありと判断された場合、PC画面にマネロン関係の注意喚起が出るそうです。

この状態でも海外送金を受け付けて貰うには、適法である旨の証明書提示が必要となる。こんな内容です。(マネロンとはマネーロンダリングの略で資金洗浄のことです)

さらに来年にはAIを活用して検知精度を向上させる。こうも述べています。記事自体はこれでお終いなのですが、考えることが多々ありました。

それを順番にご披露します。まずその一です。ここで使うシステムは新しく開発されたものではなく、行内仕様のものを顧客向けに開放したのだな。こう推理しました。

作業の主体が銀行員から顧客に代わるわけです。事務量の削減につながりますね。これは。

二番目です。実際にどこまで踏み込むかは分かりませんが、このやり方で処理すれば送金受付から海外発信まで、銀行員が全く関与せず完全自動化が可能ではないでしょうか。これも恒久的な合理化になりますね。

三番目です。さらに今後はAIの力を借りると言うことは、より精緻なものになるわけで、いよいよ人間の出る幕はなくなりそうです。これも最初こそ費用が掛かりますが、その後のランニングコストは人力処理に比べて微々たる物になると思います。なにより今まで百人単位でやっていた仕事が、運行管理するだけの数人で済む可能性があります。

以上はどちらかというと銀行側の都合です。

一方、顧客側から見たメリットですが海外送金で一番怖いのは、国連等の経済制裁に引っかかって資金が凍結されてしまうことです。今回のこの銀行ではマネロンがらみの送金は、誤って海外へ発信されずに、ほぼ100%ブロックされるのであれば、顧客にとっても本当にありがたい話です。

今までの経験からすると資金凍結を喰うと、相手の銀行や政府当局は、こちらの話は一切聞いてくれません。さんざんスッタモンダしたあげく、泣く泣くその資金を諦めるということも、1回や2回ではありませんでした。それを思えば、、、です。

それと銀行にいちいち行かなくていいのも大きいポイントです。新聞記事で言うところの「証明書」は必要に応じて、PDFファイルや写真で銀行に送れるのであればなお良しです。

最後に忘れてはならないのは、銀行手数料が安くなる事です。いまフィンテックの影響で、銀行業務がいろいろと見直されています。今回のこのお話も、利用者へのメリット還元は当然予想されます。安くなる方向性は間違いないところです。

以上見てきたようにこんな小さな記事一つでからでも、銀行の今後は非常に厳しい!こんな現実が明らかになってきます。今後も銀行の対応変化には、目を離せないと思います。

2018/06/09

この取引は「旧皇族案件?」

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このところ世情を賑わす「〇〇案件」とか「忖度」という言葉。

皆さんはどうお聞きになっておられますか。

私は過去似たような案件にぶつかりました。
結果は何も無かったのですが、当時は狐につままれたような、本当に奇妙な気持ちがしました。

今回はそのお話をしてみたいと思います。

私のいた銀行には、いわゆる家柄の良い人がいました。その極めつけは旧皇族の方です。既に皇族から離脱されていましたが、ご両親や祖父母には、皇室関係者がずらっと並ばれていました。この元宮様が銀行を定年となり、私のいた支店の取引先に出向されて、経理部長をやっておられました。

あるとき、この元宮様から支店長に、
「今度、外為を始めたいという知り合いが、そちらに行くのでよろしく。」
と、電話があったそうです。

支店長としては大事なOBからの依頼と言うことで、私に対応せよとの指示をし、自分も同席すると言い出しました。(今から思えば支店長なりの忖度?)何日か後、ご婦人が二人で来店されました。正直ビジネスシーンでは、お見受けしない雰囲気の方々でした。しかしVIP扱いで、丁寧に対応したことは言うまでもありません。

さて初対面の挨拶もそこそこに、支店長・副支店長・私の3人で、ご用件をお伺いしました。以下《・・・》内は、私の感想です。
「どういったご商売をされるのですか?」(支店長)
「シンガポールから蘭を輸入します。」(婦人A)
「シンガポールの農園は大変熱心なのです。」(婦人B)
《・・・物を売る方が熱心なのは当然では???》

「輸入した蘭はどこに納めるのですか?」(支店長)
「二人で個人のお宅に届けます。」(婦人A)
「大手にはない。きめ細かさを売りにします。」(婦人B)
《・・・そんな、コスト掛かりすぎでは???》

「輸入決済はどうされるのですか。」(これは私)
「注文主から先にお金を預かり、それを送金します。」(婦人A)
《・・・リスクは無いけど、そんな気前のいいお客さんいるのかな???》

「どちらで営業されるのですか?」(副支店長)
「私たちは、一人が千葉・もう一人が自由が丘なので、それぞれの自宅を事務所にします。」(婦人A)
《・・・ここは千葉でも自由が丘でも無いのに、送金にわざわざ来るの???》

こんな感じで、表面的には和やかなやり取りが続きました。

しかし、だんだん支店長の顔色が曇ってきました。どうもまともな話にはならないと判断したようです。
そして
「次の予定があるので、後はこの二人にお話し下さい。」
こう言って、そのまま応接室を出てしまいました。

残された我々は、お二人の「こうなれば良いな」とか、「こういう風にしてみたい」的なお話をたっぷり聞かされました。結局その日は、口座作成でお引き取り願ったのですが、正直まともな外為案件になるとも思えず、思案投げ首の体となりました。

ちなみにこの後どうなったかと言えば、何回か口座への入出金はあったものの、肝心の外国送金は一回も発生しませんでした。当初の元宮様からの紹介案件という意気込みはどこへやら、結局ご婦人2人のお話を伺ったという事だけが残るという、なんとも締まりの無い話になってしまいました。

〇〇案件だから忖度してというのは、今も昔も上手くいかないようです。

2018/05/31

カボチャの馬車にシンデレラはいなかった?

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今回は外為から外れますが、見出しのテーマで書いています。

スマートデイズが手がけたシェアハウスの件です。前から大変興味がありました。

特に銀行がらみの部分です。一言で言えば「バブルを思い出す。」そんな気持ちでした。

ローンを実行した銀行を気にしていたら、最近大きく報道されていました。

この銀行は静岡県東部を地盤とする地方銀行なのですが、ユニークな融資戦略で金融庁も地銀生き残り策の一つとして、注目していた銀行です。有り体に言えば評価されていたのです。

自分がこの銀行の融資担当者だったら。どうしたのだろう。これが今回のお話の焦点です。

ではまず具体的に、案件を受け付けたときを想定してみましょう。借入れ希望者本人から、確認するポイントは以下の通りです。

1. いくら必要なのか(必要金額です。これが最高・最大に重要です!!)
2. 何に使うのか(資金使途です。これも重要です)
3. どうやって返済してくれるのか(返済原資・方法です。)
4. 担保や保証は付けられるのか(これがあると審査は容易になります。)
5. 何時返してくれるのか(貸出期間です。ローンは長期が多いです。)

これを今回の話に当てはめてみます。

1. 一件あたり一億円のようです。不動産案件として目を見張るような金額ではありません。
2. 収益物件購入資金です。貸金全額が充当されても、それはありです。
3. 返済原資は当該不動産の家賃収益からです。これも当たり前に近い話です。
4. この部分は想像です。担保は当該不動産に第一順位の抵当権を設定。加えて団体信用生命保険にも加入。さらに銀行関連の保証会社から保証を取り付ける。こんな感じではではないでしょうか。かなり厳しめです。勿論、保証料等は借主負担です。
5. 銀行が用意したローンの期間内です。

この銀行のホームページを見ると、これに類する商品が出ています。どうやら上記条件を満たせば審査可能のようです。加えてこの銀行の社長さんが記者会見で言われてましたが、この銀行は審査部門より営業部門が強かったようで、不動産案件は審査が通り易い環境だったようです。

であれば私が担当者でも、「採択願いたい」との意見を付けて、決裁権者に回付しそうです。しかしバブルのあの狂った時代を経験した者としては、どうもそれでは納得いきません。なんか変です。(この辺は感覚の問題で上手く説明できませんが)

あのとき得た教訓を踏まえて、私なりの留意点に触れたいと思います。ポイントは二点あります。先ず一点目は借入希望金額です。

水増しが無いか疑います。売買契約書の写しを貰うことが多いのですが、場合によっては建物の請負契約書を見せて貰います。建物金額と土地評価額(近隣公示地価などから推理)を合算した物と、売買契約書上の契約金額を比較します。

今回の話では実際の物件価格に30%~40%の上乗せが、有ったらしいと聞きますが、この段階でその差額が出てきてます。ここで70百万円の物件に、1億円の融資はおかしい!となっていたはずです。

しかしここまでの話は、書類が正しいというのが大前提です。契約書が本物と銀行提出用の二種類あるとか、請負契約書も偽物となれば、気づかない可能性も十分あります。

そこで二点目です。実はこの点が一番納得いかないのです。預金残高の確認資料として通帳コピーがあったとのことですが、どこの銀行の物なのでしょうか?自分の銀行のものならば、オンライン照会で容易に確認できるます。他行の物であれば求めるのはコピーでは無く、現物の通帳提示か、当該銀行発行の残高証明書であるべきと思います。

ここが曖昧なままスルーしたのであれば、脇の甘い審査と言われてもしょうがない気がします。

以上縷々述べてきましたが、この話は銀行の対応の甘さから、銀行が打ち出の小槌状態になっていたのは事実です。(ひょっとしたら銀行自身が振りまくっていたのかもしれませんが)

今後の展開が心配でならない。これが本音です。カボチャの馬車は12時になったら元のカボチャに戻ってしまいましたが、今後この話がどう展開しても、担当者だけが悪者にならないように、きちんと事実を明らかにして欲しい。そう思います。

今回は長文になってしまいました。ご寛恕願えれば幸いです。

2018/05/21

銀行におけるインコタームズと外為

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インコタームズは貿易取引条件とも呼ばれる、大変重要な取引概念です。

多くの貿易担当者の皆さんにとって、インコタームズのどの条件が取引に用いられるかが、仕事量やコストに直接響くので、常に意識されていると思います。

翻って銀行はどうでしょうか。銀行は直接貿易にタッチしませんが、間接的にはインコタームズと関係する部署があります。

今回のお話は、ここに着目したインコタームズと外為の関係です。

外為の部署は大きくドキュメンタリー部門とクリーン部門に分かれます。(以下それぞれドキュメンタリー、クリーンと呼びます。)この両者の違いは、実際の輸出入書類を取り扱うかどうかです。ドキュメンタリーは扱う。クリーンは扱わない。この区分けになります。

そしてインコタームズとの接点を持つ部門は、輸出入書類を取り扱う部門、すなわちドキュメンタリーになります。さらに細かく見ていくとドキュメンタリーの中では、輸入部門より輸出部門の方が接点は多いです。

そこで今回のお話は輸出部門が中心となります。さてここでのポイントは、輸出者が持ち込んだ書類にあります。輸出者は自らの船積書類を銀行に持ち込んで、買取をして貰うことにより輸出代金を回収します。(ここはよく手形割引類似の行為と紹介される所です)銀行は買取をする際に必ず書類を点検します。

この点検作業の中にインコタームズの確認が含まれているのです。と言っても、インコタームズ条件が契約内容と一致しているか。とか、実際の貨物がインコタームズ通りの取り扱いか。などと点検するわけではありません。

過去何回かこのコラムでも触れましたが、銀行では書類がすべてです。それ以外のことには一切タッチしません。つまりインコタームズも、書類の中の記載事項の一部として見ます。ここでは信用状付き取引について見ていきたいと思います。

ご承知のように信用状付き取引では、銀行に提出した書類は、信用状に書かれた条件と一致していなければ、銀行に買い取って貰うことが出来ません。(大原則です)信用状にはインボイスに関する項目が書かれています。
これがいささか難物で、信用状通りの記載が必須となります。

そしてここにはインコタームズが必ず書かれています。我々はこの部分を「建値(たてね)」と呼んでいました。ここが一致してくれなければ困るので、必死に見ざるを得ません。最初の頃は深い意味も知らず、「EXW」だの「FCA」だのと見ますが、やがてそれでは足りないことに気づかされます。

これは書類相互間の一致という原則があるからです。これは信用状のどこにも書いてませんが、いくら信用状と船積み書類が個々に一致していても、全体として書類を見た場合、相互に矛盾してはいけないという原則です。

これはある程度熟練しないと見極められないのですが、インボイスと保険証券、船荷証券相互間の一致が、特に重要とされています。つまりインボイスで「FCA」なのに、船荷証券は「Freight Prepaid」。これは矛盾。こういうことです。

なにやら藪から棒の気がしますが、信用状統一規則や銀行のルールとは別物といえます。しかしこのような話は多々あったのも事実で、如何にこれらの知見を集積し、共有し活用するかは、常に大きな問題でした。

今ならAIの得意分野かもしれませんが、まだまだ人間の力が必要な部分でもあると思っています。機会が有ればもう少し詳しくお話ししたいと思います。

2018/05/16

外為での書類の流れ:クーリエ(海外宅配業者)

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前回に引き続いて、外為における物流のお話です。

何を今更の感もありますが外国為替と名乗る以上、外為取引では海外とのやり取りは必須事項です。

ペーパーレスの世の中ではありますが、現場では今でも確りと、紙ベースでのやり取りがあります。

その一方の主体を担うのが「海外宅配業者」です。我々はクーリエサービスとか、単にクーリエと呼んでいました。(以下クーリエと呼ぶことにします)
このクーリエ、特に業者の指定が有ったわけではありませんが、使うクーリエは大体1社限定でした。(他メガも同様のようです)

我々の所はある外資系のクーリエでしたが、国内宅配業者とは違う点が多々あり、感心することが多かったです。

例えばその世界的スピード感が半端ではありませんでした。夕刻までに預けた書類は外為センターから、原木中山にあるこの会社の集荷センターに到着します。その後直ちに成田空港にと送られていきます。そのまま出国手続きがされ、その後専用便に搭載されます。(この専用便はこの会社のものです)

その後書類は、香港のこの会社のハブに送られて行きます。ここまでが当日中のことです。時間にして預けてから6時間程度です。

本当に流れるような作業です。よくお客様から書類の到着予定を聞かれたのですが、取り扱い番号を追っかければ分単位で現在位置が分かり、大いに重宝しました。

次に感心したのが、クライアントへの寄り添い感です。ここで言うクライアントは銀行です。銀行は役所みたいなもので本部、センター、営業店を問わず、原則として始業から終業までしか、対外的には仕事をしません。(シャッターを下ろしての内部での残業はもちろんやりますが)

なので海外からの書類で仕事をする輸入のセクションでは、海外からの書類が、朝一番に来ていないと仕事になりません。輸入のメンバーに朝一で仕事材料を提供するには、総務部の担当チームは早出して仕分ける必要があります。さらにその早出時点で海外書類は到着している必要があります。

こうなると玉突きで、クーリエ会社は早持ち込みをせざるを得なくなります。ここのところの塩梅感が絶妙で、こちらの希望に沿いつつ、ビル全体の始業時間には抵触しないように持ち込んでくれました。しかも一台では間に合わないようなときは、別便を仕立ててくれるます。この別便、別ルート経由にもかかわらず、同じ時間にビル前で待機していてくれる。という、こちらとしては本当にありがたい対応でした。

さらに月に一度は地区の責任者が、外為センターまで来てくれて、こちら側の実務責任者と打ち合わせに応じてくれました。ここで聞く世界の物流状況が大変面白く、打ち合わせの時間が、ほとんどそれに使われたなんてこともありました。

このクーリエの相手の希望を叶えつつ、適正利潤を追求する。この姿勢は今に至るも大いに参考になります。

2018/05/01

外為での書類の流れ:センターと各営業店

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銀行というと何でもオンライン!というイメージがあります。

これって嘘ではないのですが、全部本当ともいえません。

もっと泥臭い部分があります。今回はこの泥臭い部分。見てみたいと思います。 ところで何が泥臭いのかと言えば、それは物流の部分です。

外為センターでは、海外と書類のやりとりを頻繁にします。

さらに各営業店の間でも、常時書類をやりとりしています。一辺に両方をお話しするのは難しいので、ここのところを二回に分けてお話しします。

まず一回目の今回は、外為センターと各営業店の間のやりとりです。

各銀行で濃淡はありますが、やりとりの方法はその銀行内では一緒です。東京する。大阪しない。これは先ずありません。逆に言うと、どこの店のお客様であれ同じように対応します。

預金・融資もそうですが、外為も勿論その例外ではありません。お客様からの依頼を営業店で受け付け後、それらの書類は外為センターと呼ばれる集中拠点で処理します。その後、外為センターで処理された書類や情報が、海外へとつながれていくわけです。

この外為センター、銀行によって一つであったり複数だったりします。メガバンクの場合は東日本と西日本、さらに中京地区の、3拠点体制が多いようです。

さてこれら3拠点と各営業店との外為書類のやりとりですが、営業店からの書類は、外為センターでしか対応しませんので、中継拠点は単なる通過点です。途中で点検はしていません。このため専用の鍵付きバッグを用意します。このバッグが営業店と外為センターとの間を行き来します。

これで両者は直接やりとりすることになります。こうすればスピードアップが図られるとともに、紛失等の事故防止が期待できます。さらに面倒ですが専用袋を各店ごとに用意し、専用袋が他所の店を回遊しないようにします。
これで空袋が行き来する可能性はあるものの、他店への袋の誤配や、混入が防げることになります。

このシステムは想像以上のスピードが確保できていました。遠隔地店と呼んでいましたが、北海道の店舗や南九州の店舗でも、当日の夕刻発送すれば、翌日の午前中には到着していました。さらに取り扱いの多い店は、日に複数回(だいたい3回)袋のやりとりをしていましたので、お客様にしてみれば営業店で処理をして貰うのと、同じぐらいか、もしくはそれよりも早く、海外への発送がなされることになっていました。

よく事務の基本は「正・速・美」といいますが、それを支えるのは一定のスキルを持った役職員であり、整った 執務環境・執務体制です。

この観点から見ても、専用袋での外為書類のやりとりは、理にかなったものといえますし、いくらペーパーレスが進んでも、外為書類がなくなるとは思えませんので、今後も一定のニーズはあると思います。

2018/04/24

銀行の会議は踊る?

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「会議は踊る。されど進まず。」という有名な言葉があります。

1814年のウィーン会議を評したものです。
今でも会議漬け状態の「自虐ネタ」に使われるようです。

どんな会社でも打ち合わせ(=会議)は必要なので、気づくとこの状態が現実のものとなっています。

では銀行はどんな状態なのか。今回はその様子です。

銀行の会議は大きく分けて、

・全行的な会議
・地域ごとのブロック会議
・営業拠点(主に支店)内での会議
といった規模別のもの

・営業や融資、外為推進会議といった担当部門別のもの
・若手中心あるいは中堅中心の会議
といった年次別のもの

このように様々な会議が、年間を通して開催されます。

これらは業務の忙しい時を外して開催されますので、どうしても似たような日にち設定になっています。これだけで充分に会議漬けの日々が続きます。実際に翌月の予定表が会議の日程から埋まっていく。他の予定は会議のない日から選ぶ。こんな笑うに笑えない状態になっていました。

これでは仕事は何時するんだ!と突っ込みたくなります。もちろん会議のテーマは、事前に通達で明らかになっていますが、ただ通達を読んで参加すれば良い、というものでもありません。

会議で示達(じたつと読みます。時代がかった表現です。)された内容は、店に戻り全員に周知徹底し、一定の結果を出さねばなりません。しかし会議での示達事項はハードルが高いものが多く、往々にして店に戻ったらどうしようかと、店への帰り道アレコレ悩んだものでした。

こんな外部での会議の以外に、内部での会議(部内会議とか店内会議と呼んでました)があります。半期に一度、主に期初に全行会議を受けて行われる全体会議、営業担当者(渉外、融資、外為)が対象の月例の営業会議、毎朝行う情報共有を主目的とした連絡会議、これらが入り乱れて開催されます。

いずれも話すことを用意していかないと、針のむしろになってしまいます。このネタ探しが結構大変です。至急の案件は対応済みで、今更報告でもありませんし、のんびりした話では、自分の営業活動レベルが疑われてしまいます。
結局ネタ作りの営業に走り回ったり、少ないネタを小出しにするという、なんともいじましい話が、あちこちで聞こえていました。

こういった会議多過ぎ状態は大変問題視されて、会議数の削減や会議時間の短縮といった、対応策も検討されました。しかし今度はその検討のための会議とか準備とかが必要となり、他のことをする時間が無くなるといったことにもなりました。

これを「会議は踊る。されど進まず。」とは言い得て妙だと、独りごちたのも宜なるかなです。今回はそんな銀行の会議についてでした。

2018/04/17

銀行から外貨預金を勧められたら

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日銀のマイナス金利政策によって、円定期預金の無利息状態が続いています。

皆さんはこんな状況ではしょうが無いなと半ば諦めて、定期預金は貸金庫代わりでいい。こう思っておられませんか?

銀行は皆さんがこう思ってしまうと儲からないので、あの手この手で運用商品を勧めてきます。

それは保険や投資信託であったり、外貨預金であったりします。

このうち保険や投信(投資信託の略)では、銀行は仲介者の立場なので仲介手数料が収益源です。これらを皆さんにセールスすることの善し悪しは、FPである私としては意見があるのですが、このコラムは外為のお話なので、止めることにします。

ここでは外為畑の人間として、外貨預金についてお話しします。

さて外貨預金とは、文字通り外貨で預ける預金のことです。銀行本来の商品です。決して特別な物ではありません。ではなぜこの外貨預金を銀行が勧めるのかと言えば、正直いって銀行がもうかるからです。(身も蓋もありませんが)
銀行は皆さんにセールストークを駆使します。このセールストークがなかなかのもので、フンフンと聞いていると、なにもかも上手くいくような気になってしまいます。(もちろん上手くいけば本当に高利運用となります)

もし外貨預金をする決断をしたときは、是非今からお話しするポイントを、銀行に投げてみて下さい。それで納得できれば、上手な運用になる可能性はグンと高まります。納得できなかったときは一旦立ち止まることをお勧めします。

それでは以下をお読み下さい。(銀行窓口でパンフレットを見ながらの想定です)

質問1
「金利は4%となってますが、年利ですか? それとも半年とか三ヶ月でしょうか?」

コメント:
もし三ヶ月で4%なら、年に直すと1%です。一ヶ月だったら0.3%強にしかなりません。

質問2
「預入時の為替手数料が無料とのことですが、満期解約時の為替手数料は掛かるのですか?」

コメント:
解約時の為替手数料まで無料にしてしまったら、銀行は収益が無くなってしまいます。必ず解約時には発生するようになっています。この手数料がいくらなのかを聞いて下さい。

そしてこの分を受取利息から引くことが肝心です。少し乱暴ですが金利1%の外貨預金に預けた場合、為替手数料がUSD1.00について1円としたら、USD1.00=JY100の時はちょうど1%になるので、金利がそのまま手数料で消えてしまうことになります。

質問3
「外貨預金は銀行が元本を保証してくれるようですが、外貨の保証ですか?それとも円貨ですか?」

コメント:
外貨預金は元本保証です!こうセールスしてきた場合は、必ず確認して下さい。円貨での保証は出来るわけがありません。外貨預金一番のネックは、為替リスクの存在です。これを完全にクリアーし円ベース利回りを確保して、元本保証とすることは残念ながら無理です。この点を曖昧にするようなら問題ありといえます。

如何でしたか。ちょっと意地が悪い質問かもしれませんが、もし銀行から外貨預金を勧められたら、彼ら彼女らにこの質問を投げてみて下さい。案外本音が聞こえてくるかもしれません。

2018/04/07

銀行の言う「長期・短期」とは?

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銀行に外為や融資を依頼すると、よく「これは長期ですね」とか、「これは短期なので」という言葉が返ってきます。

「長期なので審査に時間が掛かります。」
「短期であれば問題ないでしょう。」
こんな具合です。

これって何を基準に使い分けているのでしょうか。
またそれを知っておけば、何かメリットはあるのでしょうか。

今回はこの少々ディープな話に、焦点を当てたいと思います。

まず長短の分岐点捜しです。これはどの銀行もまず同じです。スタート時点から一年後の応当日が分岐点となります。もし応当日が銀行休業日であれば、その翌営業日となります。そしてこの一年を境にしてそれ以内であれば「短期」、それを越えれば「長期」と区分するわけです。

さらにこの区分点を境にして、適用金利体系が変わります。期間リスクを考えて、長期の方が短期より高めとなります。また案件審査のハードルも、一般的に長期の方が高くなります。この一年という考え方は、企業会計での「ワン・イヤー・ルール」
(一年基準)とほぼ同じです。

銀行によっては期間区分を、もう少し細かくする場合もあります。たとえば短期の中でも、三ヶ月以内の物を「極短期」、十年超の物を「超長期」という具合です。この区分の意味は、次のように表現できます。

「極短期」:スタート時点から最終期日まで三ヶ月以内。銀行としてリスク期間は極めて短いといえます。
「超長期」:スタートして十年たっても最終期日は来ないので、リスク期間は極めて長いといえます。

このリスクの考え方は、銀行の審査体系にも影響します。「短期」であれば、金額にもよりますが営業店長決裁のものが、「超長期」となると、預金を担保とする場合や住宅ローンのような特殊なものを除き、すべて本部決裁になります。この場合、本部決裁の方が当然ハードルが高くなります。

なお上記記述で「短期」として「極短期」としなかったのは、審査をするときに「短期」と「極短期」に明確な基準分けはなく、二つを比較すれば相対的に「極短期」の方が、審査が通りやすいという状況を示すにとどまるからです。なおこれら以外に3~5年ぐらいまでの、「中期」と呼ばれるものがあります。これは長期の内訳としての意味合いが強い概念です。つまり「長期」とはいえるが、短期的な性格合わせ持っている。こんな期間概念です。どちらかと言えばお客様に対するものというよりも、銀行内部での与信管理上の要請といえるでしょう。

このように期間の長短によって、審査のハードルが上下しますので、銀行に頼む場合は金額や内容だけでなく、期間も考慮して申し込むと良いと思います。具体的にはできる限り短くすることをお勧めします。過去の例では、USD10百万の信用状開設依頼があったときに、金額としては本部稟議にならざるを得なかったのですが、期間を一ヶ月と短くして申し込んで貰ったために、本部との事前打ち合わせがスムーズにいき、担当審査役から「分かりました。その内容で稟議を上げて下さい。」との発言を引き出して、審査のハードルを下げたことがあります。

銀行にものを頼むときはできる限り短期にする。これもちょっとしたコツだと思います。

2018/03/29

チェッカーという仕事って?

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チェッカーという仕事が銀行にあります。

この仕事、実は銀行のHP等どこを見ても説明は出ていません。

銀行の人間でも、「チェッカー?」「ん???」の反応でしょう。

今回はこんな不思議な仕事、「チェッカー」のお話です。

皆さんはチェッカーと聞いて何を連想しますか?レジ係やキャシャーを思い浮かべる人が、大多数と思います。もちろんそれは大いに正しいです。

しかし外為のチェッカーは、別に現金担当ではありません。では何をしてるのでしょうか?実は輸出の仕事をしています。もう少し丁寧に言えば、輸出で書類点検の仕事をしています。お客様から買い取った輸出書類と、信用状の条件が一致しているか、その内容を点検しているのです。

この点検のことをドキュメンツ・チェックと呼んでいます。チェッカーとはこのドキュメンツ・チェックをする人を指します。

さてチェッカーの主な仕事は、

1. 書類点検
2. 船積書類と信用状条件との不一致対応
3. お客様との折衝
4. 海外銀行との折衝

です。

実はどの項目もイレギュラーな場合が多く、解決には担当者の力量が問われる物ばかりです。かく言う私もチェッカー経験者なのですが、本当に緊張の連続でした。

間違いを起こしたくないばかりに、丁寧に書類の点検をすると。気になることばかり目について、さっぱりスピードが上がりません。あっという間に書類の山に埋もれてました。かといってスピード重視でやると、どうしても目が粗くなり、海外からアンペイド(不渡りの意味です)が掛かって来ました。

この種のアンペイドが、チェッカーにとって一番不名誉でした。チェックミスによるアンペイドと呼んでましたが、よくお客様からクレームされました。そんなこんなで悶々とする。こんな日常を送っていました。

こんなお話をすると、なんでそんな仕事がいいんだ。こういわれそうですが、チェッカーの仕事は、経験が浅いと歯が立ちません。つまりチェッカーが勤まるというのは、一定の知識・経験を積んでいるという証明になるのです。これは大変に名誉なことでした。事実、このようなチェッカー達をとりまとめる立場の人は、チーフ・チェッカーと呼ばれ一定の市場価値がありました。私の知っている人のうち何人かは、外銀からヘッドハンティングされていました。

このようにチェッカーは、信用状取引がある限り不変のようですが、昨今のAI(人工知能)の進展見ていると、そうもいえないようです。個々のチェッカーはAIでもできそうです。人間はチーフ・チェッカーだけでいい。こんな世の中になるかもしれません。

いずれにしても銀行自身が生き残りをかけている現在、市場価値のあるチェッカーといえども、その先行きには目が離せません。今回はそんなチェッカーのご紹介でした。

2018/03/20

海外送金が劇的に変わる、外為も!?

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日経新聞に「スマホ送金、24時間OK!りそな銀など」という見出しで、新しい送金サービスの記事が出ていました。

記事は、りそな銀行、住信SBIネット銀行、スルガ銀行が、この夏からスマホを使って個人間の送金が出来るようにする。という内容でした。

さっと読むと、いよいよ銀行もスマホ決済に参入するのかで、スルーしてしまいそうです。が、他の記事も併せると、外為でも劇的な変化が起きる!これが分かりました。

そこで是非皆さんと情報共有したいと思い、今回はこのお話をします。

さてこの記事の背景ですが、もともとこの話は3メガバンクを含め邦銀61行が参加している、「内外為替一元化コンソーシアム」から生まれてきたものです。このコンソーシアムは次世代金融基盤の確立を目指しており、「Money Tap」という送金アプリを開発しています。

このアプリは米Ripple社商用版RCクラウド2.0との接続で、実際の送金が出来るようになっています。つまりこの新聞記事は試験的な試みでは無く、全体を見据えた商業利用の第一歩と読むことが出来ます。

ところで、これにより海外送金がどう激変するのか。ここに話を進めます。

まず一番目に手数料が劇的に安くなると思います。新聞記事では安くなるとしか書かれていませんが、海外・国内問わず40~50円/件程度になるのでは、と個人的に考えています。(全くの勘ですが)

今の決済制度は、国内の場合「全銀テレシステム」、海外の場合「スイフトシステム」という専用システムを使っています。今回の試みが拡大していけば、これらが不要となります。メンテナンスや更新の費用が不要になるわけです。さらに従事する人間も不要となるので、人件費も削減できます。これらをすべて料金に反映させれば、これぐらい安くなっても罰は当たらないだろうと考えたわけです。

二番目の激変は、送金相手への着金時間です。新方式を使えば送金人が受取人にスマホを操作して、直接入金することになります。銀行に出向く必要もありませんし、現行の専用決済システムも使いません。他人の手は一切触れずに処理が完結します。これで終わりです。

今のシステムのように、いつ着くか分からないし決まっていない。というのとは大変な違いです。

如何でしたか、今回の話は大きなメリットが含まれています。あっという間に全体的な話になると思いませんか。もしそうなれば、利用者にとって本当にありがたい話です。

一方銀行としてみれば、そんなに美味しい話でもありません。となると銀行が積極的にセールスするとも思えません。ならば乗り遅れないように、取引銀行の動きを注視して、メリットを取りもれないようにしたいものです。

2018/03/13

頼みもしないのにL/C(信用状)が着いた?

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今回はある機械メーカーからの相談です。案件はバングラデシュ向け機械輸出。

例によってネット論壇では多くの意見が出されました。議論の中身に入る前に、背景を若干説明します。

このメーカーでは在バングラデシュ顧客との、約一億円の機械輸出商談が進んでいました。

本体部分は一応合意に達していましたが、まだアクセサリーなど細かい仕様は合意していませんでした。

こんな状況下、相手から突然L/C(信用状)が到着したのです。普通はあり得ない話です。でも来てしまいました。このまま受け取っていいのか。製造に入っていいのか。教えて欲しい。これが相談の内容です。

背景は謎ですが、相手は早く本体の製造に入って欲しいようです。そのためかどうか、事前相談なしでL/Cが送られてきました。私のような銀行関係者がこの手の相談を受けると、真っ先に考えるのは「偽L/C(信用状)」の問題です。またL/C(信用状)が本物と判明しても、売買契約前に来たL/Cで本当に決済されるのか。

こんな不安が思い浮かび、ネガティブな回答しか出来ません。この辺は他の銀行関係者からも同様な指摘があり、論壇では多数となりつつありました。

しかし一方では商社・メーカー関係者からは、相手の本気度が分かる話だ!これほど有利な状況はない!など。商売の先行きに大きく期待する発言が相次ぎました。教科書的には銀行関係者の言うとおりなのでしょうが、商社・メーカー関係者の話にも十分な説得力があります。

さてこのメーカーはどうすべきなのでしょうか。

解決のポイントは、この輸出の特徴にあるようです。値が張りやすい機械輸出は、受注生産が一般的です。本体部分は共通でもアクセサリー等は顧客仕様が普通です。となれば購入する側から見れば、詳細決定までメーカーが動いてくれないとなると、機械の稼働は遠い先になってしまいます。

そんなことは誰も望みませんから、出来るところから進めて欲しい。L/Cもどうせ必要になるのなら、共通仕様である本体部分に関しては、先にメーカーに渡してかまわない。こう考えると話は自然なものとなります。そうであれば、商社・メーカー関係者の意見は理解できます。実際、このメーカーはL/Cを受け取って、本体の製造を開始しました。

今回の一連のやりとりは、私に二つのことを教えてくれました。

一つは問題が発生したときには、多面的なアプローチが必要である。これです。今回で言えば銀行の視点だけでなく、メーカーや商社的発想も必要と言うことです。

二つ目はリスク面ばかり考えると何も前に進まない。これに留意する必要がある点です。銀行員は「石橋を叩いて壊す」とよく言われました。叩いて「渡る」ではなく「壊してしまう」です。

壊すエネルギーがあるのなら、前に進むエネルギーに変えるべきなのでしょう。

2018/03/04

外為実務に英語は必要か?

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なんとも変なタイトルで恐縮です。

しかし英語ダメ人間としては、重要なことだと自信があります。今回はこの辺のお話です。

外為実務とよく混同されるものに貿易実務があります。この貿易実務。本当に英語力が必要だと思います。

隣の芝生を見るようで分かってない!

と言われそうですが、貿易実務の達人は押し並べて、英語の達人でもあります。

しかし外為実務に関しては、どうもそうではないのです。もちろん外為でも英語は必要です。英語漬けにはなります。ここは間違い有りません。けれどもそこで要求される英語力は高くないのです。私が言うのです。間違い有りません。

では具体的に見てみます。

語学力といった場合、思い浮かぶのは「聞く・話す・読む・書く」です。このうち「聞く・話す」を実際に使うのは、営業店窓口ぐらいです。窓口には本当にいろんな人が来ます。しかし外為窓口に来られるお客様の大半は両替客です。対応はほとんど日本語と英単語でOKです。

私はそのあとミドルオフィスやバックオフィスでも仕事をしましたが、そこでは「聞く・話す」には、全くご縁がありませんでした。外為には「聞く・話す」はあまり要求されません。

次に「読む・書く」ですが、さすがに日本語と英単語では無理です。しかしよくしたもので、海外とのやりとりはほとんど定型化されてます。英文が入電したらお手上げ!これはありませんでした。

ごくまれに「アザラン」(英語以外の言語の意味)と呼んでいましたが、フランス語やスペイン語などで伝聞が入ってきたときは、辞書と首っ引きで格闘して仕上げていました。つまり「読む」方はなんとかなってました。この辺は今なら自動翻訳の世界でしょうか。

最後に残った「書く」ですが、これは読む以上に定型化されていました。これはちょっと考えれば当たり前の話ですが、対外的に発信されるものは、すべて銀行名で出します。個人が勝手に英訳するわけにはいきません。

いい加減なものや、誤ったものを出すことも出来ません。そこで予め様々なひな形が用意されており、必要に応じてそれらを適宜使い分けるルールになっていました。

もちろんそれ以外で、新しく文章を作るものもあります。こんな時は本部のチェックが入ります。外国業務のセクションや法務のセクションが、具体的にその文言を検討するわけです。

こういった一連のやりとりはすべて日本語ですので、英語力は必要ありません。そんなこんなで、貧弱な英語力ながらなんとか外為をこなせました。

何の自慢もなりませんが、英語力に自信がなくても、外為に取り組めます!
以前にも書きましたが銀行で生き残るには、より多く銀行に業績貢献するか、より高い専門性で業績貢献するかです。

ぜひ皆さんも、その点理解して外為の門を叩いて頂ければ幸いです。

2018/02/23

銀行員の年収は何で決まるか?

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世間では高給取りのイメージの強い銀行員ですが、もちろん全員が高い年収を取っているわけではありません。

高い人も安い人もいます。となると差は何か?

皆さんも興味がおありではにないでしょうか。今回はこのお話です。

さて銀行業界ですが、今大きく変貌しつつ有あります。とはいえ銀行員の立場から言えば、働いて収入を確保することには、ほかの業界と全く違いはありません。

この収入確保に一番響くのは、銀行をいくら儲けさせたかです。言い換えると銀行収益への寄与度合いともいえます。特にボーナスではその割合が高いです。

二番目目に響くのは、その人の実績と能力です。銀行としてはその時々で儲けてくれた人に、報いるのはもちろんですが、それだけでは業績が安定・向上しません。コンスタントに稼いでくれる人にも、きちんと報酬を出す必要があります。つまり安定収益の確保ということです。

ここで言う実績と能力ですが、若手と中堅以上とでは若干意味合いが違います。若手における能力は、既に持っているものや開発されているものではありません。今後開発が期待される能力ものです。

つまり将来性に対して銀行は給料を支払うわけです。これに対して中堅以上では能力を開発すること自体は、引き続き求められますが、ここは既に給料は織り込みずなので、自分がさらなる収入増を図りたいのであれば、何よりも目に見える実績が必要となってきます。

ここでいう実績とは、一番目の収益貢献よりは範囲が広く、ラインで言えば円滑な組織運営や人材育成など、スタッフでは専門性発揮による組織活性や業績への寄与などです。

銀行員はこの流れにうまく乗って、自らの収入アップに励むのです。では若手と中堅はどこで線引きされるかと言えば、だいたい入行8年目ぐらいです。年齢で言えば30歳でしょうか。意外に遅いと思うかもしれませんね。我々も若手という場合はせいぜい入行3年目までで、それ以降は中堅扱いをします。

しかしこと収入に関して言えば、30歳の手前まではほとんど全員の差はつきません。つまり銀行から見れば能力開発にお金を使っている状態です。しかし30歳前ぐらいから役職者になるものが出てきます。いわゆる肩書きがつくわけです。

こうなると自分が挙げる業績が、他者と差がついてくるのとともに、年収にも差がついてきます。さらにラインマネジャー(課長やグループ長以上)になると、部下の実績と能力が自分の評価につながってきます。そしてここでの評価が自らの収入増につながっていくのです。

よく組織の長の評価は、どれだけ優秀な部下を育てたかにある。こう書いてある本がありますが、まさにこの点を衝いているわけです。

私は銀行ことしか知らないのですが、皆さんの所は如何でしょうか。案外通じるものがあるのではないか。そう思います。ご参考になれば幸いです。

2018/02/09

OFACを調べたい!

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外為取引にはいろいろな制限があります。

日本政府が日本企業にかける制限は理解できますが、アメリカが日本企業にかける制限て何なの?これが最近話題になりました。貿易アドバイザーのネット論壇でです。

アメリカ当局が日本企業に制限を加えるのはあり得る。が、その内容を調べるのはどうすれば良いのか?これが論点でした。

今回はこの制限を司る政府機関が「OFAC」という所なので、タイトルを「OFACを調べたい!」としました。

まずOFACです。ここはOffice of Foreign Assets Controlというアメリカ政府の機関で、米国財務省外国資産管理室と訳しているメガバンクがあります。アメリカ国外での米国籍企業や米国ドルを管理している部署です。ここに睨まれるとUSD(米ドル)での取引が出来なくなるので、世界中の銀行が一挙手一投足を注目しています。

日本の銀行も例外ではありません。さてこのOFAC。HPを見ても、何をどうして良いか、よくわからない。こんな話をよく聞きます。

そこで銀行としては啓蒙をかねて(偉そうにすいません)、企業を訪問して勉強会なぞを催すのですが、決まって返ってくる質問が、「お話の趣旨はよく分かったが、自分たちが調べる場合どうすれば良いのか。」これです。

もちろん正解は、OFACのHPを見て下さいなのですが、当たり前の話ですがすべて英語ですし、一目で分かるほど簡単な物ではありません。そこで今までは自分たちの銀行が掲出したサイト情報や、JETROなどの公的機関の情報をお勧めし、具体的な事例に関しては直接お問い合わせ願いたい。このような話をしてきました。

実際、銀行はOFACの規制内容を調べるソフトを持っており、OFACのみならず日本政府が取引を禁止あるいは制限している、個人や団体をチェックできます。照会したい固有名詞をINPUTすれば、即座に分かる仕組みです。

ただこのソフトあまり安くないのと、常に更新する必要があるので、普段は用事のない企業にとっては負担なのも事実です。その点を捉えて議論は、別法はないか?となりました。

そこで出てきたのが、図書館レファレンス制度の活用です。ご存じでしょうか。図書館は蔵書の閲覧貸出だけでなく、欲しい情報や資料を探し出す手伝いを行っています。これを利用してはというのです。この話には正直びっくりしました。

図書館は子供の頃から大変お世話になったところですし、様々な情報の宝庫であるのはよく認識していました。しかしこのような利用方法は、まったく思いつきませんでした。この図書館の情報リサーチ機能を積極的に利用しようというのです。

これなら一般の企業や個人でも取り組めそうです。残念ながら実際の使い勝手までには議論が及びませんでしたが、思わぬ切り口を提示されて、いまさらながら独りよがりはよくない。と反省させられました。早速次回のセミナーから、使わせてもらおうと思っています。

2018/2/2

L/CをBID BOND代わりに使った!

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いきなり専門的なタイトルですいません。

今回のタイトルは、(本来)注文が確定して使うL/C(信用状)を、まだ商売が成立していないうちに使ったと言うことです。銀行としては大変リスクのある話です。

過去お話ししたようにL/Cは一旦発行すると、まだ決まっていない商談の席に、銀行の保証状を持ち込むわけです。

普通は商談が成立して契約書の中で、L/C開設が決まるのが普通です。

ではなんでこんなことになったのか、少し具体的にお話しします。

今回の事例は輸入です。輸入するものは台湾産のライチです。ライチは茘枝(れいし)と呼ばれる、大変おいしい果物で、中華料理のコースには欠かせないものです。世界三大美人の一人である楊貴妃が大好きで、早馬で唐の長安まで運ばせたので有名ですね。

さて、このライチを日本に輸入しようと考えた商社があります。仮にA社とします。A社は農水産物の輸入商社で、ニュージーランドからのキウイ輸入では、業界トップクラスの実力がありました。

そんな会社がライチに目をつけたわけです。A社が事前調査したところ、ライチ取引は入札制となっており、落札して初めて台湾から出荷できることが分かりました。ただこの入札制度が一風変わっていて、
入札価格を競うのではなく引受予定数量を競うのです。

産地では引受数量の大きいもの(すなわちたくさん買うと申し出たもの)から傾斜配分に近い形で配分していました。さらにこの入札に参加するためには、自分が申し出る数量に見合った金額の保証金か銀行保証状が必要だったのです。

A社はその調査結果を基に、メインバンクである当行に相談に来ました。その話を聞いてこちらとしては、BID BOND(入札保証)とL/Cの二段構えを申し出ました。しかしA社は手間と経費の両面負担が大きいと、すんなりとは受け入れてくれません。

そこでL/Cを前倒しはどうだろうと思いつきました。このアイデアは銀行手数料に問題なければA社はOKです。しかし銀行としては問題がありました。

かなりの確率で全額使用されないL/Cを発行していいのか。L/Cありきで始まる商取引はおかしいのではないか。単純な保証取引にドキュメンタリーL/Cを使えるのか。(クリーンL/Cではなくです)などでした。

当時お店の中でも相当もめまして、結局問題のない形、すなわちL/C金額は実際に輸入可能な最大数量に見合った金額とする。落札できなかったときは速やかにL/Cをキャンセルする旨、台湾サイドの了解を事前に取り付ける。

発行するL/Cは船積みよりかなり前に発行することになるが、あくまでも商品輸入に用いる物である点を、L/Cに明記する。

このようなことで条件をクリアーして発行しました。実際に発行したときはやれやれでしたが、これだけ頑張ったのに結果はというと、思ったほど数量は確保できず、せっかく発行したL/Cも、その大部分が使われずに有効期限切れとなってしまいました。

結局、次の年からは台湾での制度が変わったこともあって、このようなL/Cを開くことはありませんでした。今思っても、一生懸命考えた割には達成感のなかった仕事だったなあ。と独りごちています。

2018/01/26

信用状(LC)サイレントコンファーム、沈黙は金?

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先日、あるミーティングで「サイレント・コンファーム」と呼ばれる、信用状取引について質問がありました。

この存在については過去この欄でも触れたましたが、そのときはそれ詳しい説明は省きましたので、今回はこちらのお話をしてみたいと思います。

信用状取引は手間や費用がかかるものの、貿易取引が安定するという、よく出来た仕組みを持っています。

この仕組みの大きなポイントの一つは、信用状を発行する銀行の、輸出者への支払いの約束です。

これは輸出者が買取銀行を経由して、信用状条件を充足する船積書類を発行銀行に提示すれば、輸入者の支払い能力や資金繰りには一切関係なく、商品市況などにも影響されずに、発行銀行が輸入者と同じ立場で支払ってくれるというものです。

この点は輸出者にとって大きなメリットであり、今に至るも信用状が生き残っている所以でもあります。しかしこの発行銀行の約束ですが、本当に履行してくれなければ意味が有りません。なかには経営状態の怪しい銀行もあるかもしれません。外為に不慣れな銀行もあるかもしれません。となるとその銀行の約束だけでは不安である。そう思う輸出者が出てきても不思議はありません。

そこで外為では発行銀行の信用力を補完する、信用状の確認というする取引が生まれてきました。この確認のことを「コンファーム」と呼んでいます。この信用状の確認という行為は、信用状統一規則により認められており、初めての取引先と商売する場合や、新興国所在の取引先との間でよく利用されます。

確認をつけると輸出者は支払確約をしてくれる銀行が、増えるので代金回収がより確実となるわけです。であればもっと利用が増えるのではと、最初は私もそう思いました。ところが実際にやってみると、結構問題があることに気づきました。まず「確認」はどんな信用状でも出来るのではなく、予め信用状条件で「確認」をしても良い。と定める必要があります。

これが実は結構難物で、発行銀行にしてみれば確認を認めるのは、自らの信用力不足を告白するような形になるからです。さらに一般に確認手数料は輸入者負担となりますので、輸入者自身がその負担をいやがることが容易に想像できます。そんなこんなで確認付き信用状は、あまりありません。

しかし輸出者の中には、何とかして確認をと考える人も出てきます。そんな人のために編み出されたのが、「サイレント・コンファーム」です。

これは輸入者側(輸入者と発行銀行です)には明示せずに、つまり黙って輸出者側(輸出者と確認銀行です)が、信用状に確認をつけてしまうものです。相手に黙ってつける確認なので、「サイレント・コンファーム」というわけです。

実際の場面では発行銀行の信用補完だけでなく、在日外銀の手数料稼ぎや、買取銀行の顧客ニーズに応えるため、といった側面も多々ありました。円滑な信用状取引推進という観点から、この仕組みはよく出来おり、ある程度の手数料は払っても、メリットが大きければ良い。

こんな考えの輸出者には、確りとした支持をいただきました。そのせいで私の正直な感想では「沈黙」も悪いものではない。こんな実感を持っていました。まさしく「沈黙は金」です。

2018/1/13

銀行外為担当者の「営業心得」とは

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皆さんは銀行の営業担当といえば、どんな姿を思い浮かべますか?

黒い営業鞄を持って自転車やバイクで走りまわっている。これが「いの一番」で出てくるのではないでしょうか。

実は外為の営業担当者も全く一緒でした。日々走り回ってました。通常の担当者と違う点は訪問する先が、貿易業者かどうかという点だけでした。

今回はそんな外為担当者の営業心得と題して、外為担当者がどんな手法で走り回っているかお話しします。

銀行も営利企業ですから、日々の活動は収益目標に密接にリンクしています。つまり日々の活動も収益抜きには語れません。外為担当者の収益源はもちろん外為の取扱です。より多くの「外国為替」をお客様に、持ち込んでもらう必要があります。

そこで具体的にお客様にアプローチをします。銀行の研修では外為の仕組みや、セールスする商品の説明は、熱心に教えてくれるのですが、この手のノウハウの伝授には熱心とは言えませんでした。そこでOJTの美名のもとに、先輩の技を盗む形で腕を磨いていきました。

まずどうするか。最初は「くれくれマン」です。これはその名の通り取引先に行って、「外為をくれ!くれ!」と、ひたすらお願いしまくります。技術でもテクニックでもありません。情熱を持って「くれ!くれ!」と叫びます。「融資シェアに応じて外為をくれ!」などと、バリエーションを付けることもあります。

この方法は直截的であるが故に、一定の効果はあります。ただし相手には全くメリットのない話なので、早晩行き詰ります。

そこで次の手段を考えます。我々はこれを「御用聞き」と呼んでいました。外為担当者は「取引先ニーズに応える」と称して、取引先を軒並み訪問し、相手の希望や要望を聞いて回ります。これらの希望・要望に個別に対応していくわけです。そのご褒美は外為の持込です。この方法は相手の希望・要望を満たすという点では、相手にもメリットがあります。

しかしそれだけでは他の銀行との差別化ができないため、あっという間に他所の銀行も真似をし出して、結局元の木阿弥になってしまうという欠点がありました。

そこで考え出したのが「提案営業」です。これは取引先の希望や要望が具体化する前に、こちらから希望や要望を推測して、それに合う提案を行うものです。

このやり方はうまくハマればビックリするほど相手に感謝されますし、手数料や利ザヤはこちらの言い値が通ります。しかしトンチンカンな提案は馬鹿にされるのがオチなので、よほど周到に準備しなければなりません。わたしもかなり提案しましたが、なかなかヒットしませんでした。

しかし少ないながらもヒットした案件は、あとで振り返ってみても、われながらよくやったわい。と思えます。
とすればこの方法、営業スタイルとしてはOKなのでしょう。

今から思えば、外為の現場でもこの「提案営業」が上手だった銀行が、いまのメガバンクの中核をなしています。その点からもこの営業スタイルの有効性は、証明されているのではないでしょうか。

2018/1/8

L/C取引、銀行手数料と利息は誰が払う?

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先日、初めてL/C取引をするという輸出業者の方から、手数料や利息の負担者について照会がありました。

取引銀行に聞いたら自分の銀行については教えてくれても、他の銀行のことや、外国のことは分からないという返事で、これでは相手と交渉できず困っている。との事でした。

このお話は皆さんのお役にも立つのではと思い、少しお話ししてみたいと思います。

実はこの問題、輸出者や輸入者にとって結構切実な問題です。銀行手数料だけで決済代金の1%ぐらいになる例もあり、かつてネットで利幅が3%しかないとこぼすお取引先から、よく「バンク・チャージは高すぎる!何とかしろ!」と、お叱りを受けていました。

そんなこと言われてもこちらにも事情が大ありなのですが(これ本音)、当時はなだめに回っていました。

本題に戻ります。この問題にはこれと言う正解はありません。世界的な取り決め(信用状統一規則のような)があるわけでなく、そうかといって各銀行が勝手に決めているわけでもありません。

要は商習慣の問題といえそうです。おえて正解らしきものを導き出すと、銀行利息は「輸出者負担」、銀行手数料は「輸入者負担」となります。ほぼこれでコンセンサスが得られています。ただ実際はどうなの?と言うと、銀行利息「輸入者負担」も多く目にしますし、銀行手数料「輸出者負担」も多く目にします。

これは何とも不思議な気持ちになります。そこでこの点を説明します。まず利息ですがL/C取引で発生するのは、手形サイト(振出から決済までの期間)を問わず、輸出者が銀行に買取を依頼するときに発生する割引利息と、手形サイトがユーザンス物(期間物とも言います)で発生する、振出日から満期日までの期間利息の二つがあります。

前者は輸入者に関係のない話で100%輸出者負担です。後者は満期日まで決済を輸出者が待つという条件になりますので、これも輸出者負担です。

ところが実際のL/Cでは期間利息に関して、輸入者負担も多く目にします。これはなぜでしょうか?

じつは輸入者の「利息を払っても、支払は遅い方がいい。」と、輸出者の「利息はいらないから、早く払って欲しい。」この二つの相反する要請に銀行が応える形で、利息を輸入者負担にした上で、銀行が一覧で割り引くというものです。詳細は省きますが韓国向け輸出でよく見られます。

次に手数料ですが、誰がL/C発行を頼んだのか。この点に着目して原則は輸入者負担となっています。しかし輸出者の取引銀行の手数料や、どこかを経由した場合のその経由銀行の手数料まで、輸入者に負担させるのは如何なものかとの観点から、L/C条件では、輸入者の属する国以外の場所で発生した銀行手数料はすべて輸出者負担とする。

これが圧倒的多数です。

2017/12/22

外為は書類との格闘だ!

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皆さんに銀行の外為についてイメージを聞くと、
・「外国通貨のディーリング」
・「海外とのデータ通信」
・「海外との資金決済」
・「日本企業の海外進出支援」
等々、いろんな答えが返ってきます。

どれもその通りだと思います。これらは銀行の外為業務(国際業務も含む)そのものです。

しかし実際に外為をやっていて私が日々感じたのは、同じくらい重要なことが別にある。この気持ちでした。

それをお話しするのが今回のテーマです。さてそれでは、いったい何が重要だったのでしょうか?

ここで勿体ぶってもしょうがないので、勿体ぶらずに申し上げます。それは「書類との格闘!」でした。私は入行4年目で初めて外為業務を担当しました。それまでの3年間は銀行業務全般のトレーニーだったので、この時初めて銀行担当者らしい業務についたことになります。

そしてその時の仕事が「輸出チェッカー」でした。この仕事。一言でいえば、お客様が作成した船積書類を点検して、海外の銀行に発送する仕事です。(簡単すぎる説明ですが)

仕事に対する時間の制約が比較的ゆるく、お金のやり取りも記帳方(きちょうかた)と呼ばれる、専門の担当者がやってくれるので、初任の外為担当者にうってつけだったのです。

とはいえ海外に送る書類ですから、日本語で書かれたものなど一つもありません。ほとんどが英語で、フランス語やスペイン語も良く混じっていました。英語は兎も角、フランス語やスペイン語はちんぷんかんぷんです。

辞書と首っ引きで日々書類と格闘していました。(これは頭脳面の格闘といえます)
また書類のボリュームと金額は全く関係ありません。金額が米ドルで1百万ドルを優に超えるのに、紙切れ(インボイスのことです)2・3枚の書類もありました。逆に数千ドルなのに書類は段ボール箱いっぱい。こんなこともありました。

日々商社やメーカーから持ち込まれるこれらの書類を点検して、海外発送できるように梱包してセンターに担ぎ上げると、外為は書類との格闘だと実感しました。(これは体力面といえます)

こんな頭脳・体力両面の格闘が必要な外為業務に、それから30年余り携わってきましたが、営業担当となっても、「営業と事務は外為の両輪」と言われ続け、書類との格闘は続きました。

輸入を担当していたころは、海外から紙質や様式がまちまちな書類が日々到着し、書類の山を捌く仕事に日々忙殺されました。今でも街中でDHLやOCS、FedExの営業車を見るとお世話になったこれらの車たちに、ご苦労でしたと声を掛けたくなります。

IT化により銀行でもペーパーレスが進んでいますが、外為業務と書類のつながりは、まだまだ続きそうです。

皆さんも外為の話が出たときに、「外為は書類との格闘だ!」と、一言つぶやいて頂ければ、このお話をした甲斐があります。

2017/12/13

銀行に行くタイミングはいつがベスト?

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今回は覚えておいて損のないお話を一つ。今も昔も銀行の窓口は混雑しています。

もちろんガラーンとしている時もあるのですが、そうそう都合よく、自分が行くときにすいているわけではありません。

で結局、気が進まないながらも銀行に行って見ると、案の定ワンワンで混雑したロビーでじっと待つ。

こんな体験。皆さんも一度や二度はされたのではありませんか?

今でこそインターネットの普及で、銀行取引はかなりWeb上で出来るようになりました。また単純な入出金はATMのお世話になる。このパターンが一般化しました。その結果、皆さんが行員のいる窓口を利用することは少なくなりました。ところが銀行の方も窓口の数を減らしてますので、結局忙しいときに待つのは一緒。となるわけです。

そこでこんなときに、出来る限り待たなくて済むのはいつだろう。それがわかればもう少し楽なのに。そう思いませんか。そこでこれについて、お話ししてみたいと思います。

話を整理していくうえで、暇な時をここと断定するのは難しいので、逆に忙しい時はいつなのかを考えて、それ以外が暇だろうとしたいと思います。

それでは何月が忙しいかから始めます。

ずばり、忙しいのは12月と3月です。特に20日過ぎは本当に混みます。これに加えるとすると、9月が比較的混みます。よって月単位で銀行に行く日を選べるなら、これらの月を外すことをお勧めします。

余談ですが昔は二八(にっぱち)と呼ばれる2月、8月が暇でしたが、今は特に暇とは言えないようです。(要は普通に忙しい)

次に忙しい日はいつでしょうか。

これは日にちでいえば、月末月初です。その月の最終営業日と翌月最初の営業日が忙しいです。さらに曜日もいえば金曜と月曜日。(それぞれが休日の場合は、それぞれ前の営業日と後の営業日)これが忙しいです。

となると月末の金曜日はどうなの?となりますが、これは間違いなく「大忙しです」!

今年からお国の政策で「プレミアム・フライデー」が始まりましたが、毎回月末の金曜日が該当するのですが、どう考えても大変です。将来的には見直さないと無理だと思います。

最後に時間帯を見てみます。

今でも銀行の窓口は一般的に9時から15時に開いています。この中で比較的すいているのは、午前中それも早い時間帯です。大体9時から10時半ごろまでが、その日のうちで一番すいている時間帯になります。

外為では10時ごろにUSD公示相場が決まりますので、やはり午前中の早い時間帯がいいといえます。

如何でしょうか。以上見てきましたが、結論から言うと月や日にちを選べないのなら、週明けや週末以外の銀行営業日のどこかで、朝一番に銀行に出向くというのが、もっともストレスが掛からずに、用事を済ますことができると言えるでしょう。

少しでもお役にたてれば幸いです。

2017/11/30

銀行員は研修でつくられる?!

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どんな組織でも人材が揃わなければ、前には一歩も進めません。

特に銀行は今も昔も「人」が基本です。銀行のような労働集約型産業では、一定レベルの人材が常に求められます。既にそのレベルにある人を中途採用するパターンも、昨今では多くなりましたが、やはり圧倒的に多いのは新卒を採用するパターンです。

しかし学校を卒業したての人間に、即戦力を求めるのは無理なので、スキルアップが必要です。
ここに研修の必要性があります。

これは銀行としては共通のことなので、どこの銀行でも研修体系は、よく似たものになっています。
すなわち、

・学生を社会人にするのを目的とした「新人研修」
・銀行事務を習得する「事務研修」
・営業スキルを身につける「営業研修」

更に
・入行後5・6年目を対象の「中堅職員研修」
・50歳以降に受ける「セカンドキャリア研修」(別名たそがれ研修)
といった年次別研修があります。

また全員対象ではありませんが新任役職者対象の「管理職研修」や新任支店長対象の「部店長研修」のような階層別研修などが、それぞれの対象者に対して課されます。また人によっては外部派遣や他行トレーニーなどもありえます。

こう見ると銀行は人育成のために、相当の手間暇をかけていることが分かります。しかも銀行は研修対象者に研修中の給料は払っていますが、当人にはまったく稼いでもらっていない状態となります。

これが一人や二人ならともかく、銀行全体でみると常時何百人と言う人間がそうなのです。しかしそれでもまったく平常と変わらない業務を行うわけですから、良く考えればものすごい話です。

私もある意味こんな研修漬けの銀行員生活でしたが、数ある研修の中でどの研修が最も印象に残っているかと言えば、私の場合は「新人研修」です。私の入行は1970年代終盤で、同期は77名でした。当時は就職氷河期と呼ばれており、今から考えると本当によく入行を出来たものです。

実はその時の同期は内定時点では78名だったのですが、なぜか入行式当日に1名来ないという珍事が発生し、77名ということになりました。入行式が終わってそのまま研修所に直行です。一騎当千のつわもの達(本人たちは大まじめにそう思ってました)が、丸一週間缶詰となり、合宿形式で研修を受けました。

この研修が一番印象に残っています。何しろ全員が社会人としても銀行員としてもド素人です。何をするにも一致団結せねば一歩も前に進みません。この点が明らかに他の研修と際立って違っていました。

この体験がベースにあるせいか同期の人間とはその後も、会えば立場や環境を越えて腹を割って話し合える。そんな関係が続きました。

あれから幾星霜、今でも街中で年配者とすれ違うと、「あっ、この人は!銀行OB,OGだ!」とピンとくる瞬間があります。

2017/11/22

それでもL/Cは無くならない!?

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私が外為を始めた昭和のころ、「L/Cはやがて無くなる。」こう言われていました。

しかし平成も29年、L/Cは健在です!

最近イラン向け輸出で決済方法が問題となり、結局L/C決済になった例がありました。

イラン・日本双方で最初は送金決済を模索したそうですが、先方は後払いを、こちらは前受けをそれぞれ主張。結局折り合いがつかなかったようです。

そこで次善の策として、日本側からL/C決済を提案したところ、先方もようやく応じるようになったそうです。ただ決済通貨をどうするか?(米ドルはまず無理なので、ユーロか日本円になる予定)そもそもイランの銀行でL/Cは発行できるのか?など、問題は山積状態だそうです。

とは言えこんな時、「一番頼りになるのはL/C」である。こうシッパー・バイヤー共に認識を新たにしたのですから、L/Cの面目躍如と言えます。

そこで今回はこの話にヒントを得て、「L/Cは不滅?」これを考えてみます。

さてL/Cの話に入る前に皆さんに質問です。皆さんは貿易取引の要は何だとお考えでしょうか。相手国や相手業界の市場調査でしょうか?それとも取引相手の信用状態?商品の市場価値? 取引の採算性? etc.とにかく、数が多そうです。

しかし私は根本的には、シッパーサイドでは「輸出代金の回収」、バイヤーサイドでは「輸入貨物の確保」、だと考えています。

いくら他の条件を考えてもこの点が不安であれば、とても取引する気になれないのではないでしょうか。

さてこの二つの要素。同時に上手くいかせるのは実は大変です。一番簡単なのは、シッパーが貨物をバイヤーがお金を、それぞれ持ち寄って直接その場で取引することです。これに勝るものはありません。

ただ国際取引ではそんな事はできません。では何なら出来そうか。これを考えます。

資金決済の方は若干のタイムラグはありますが、送金決済を選択すれば上手くいきそうです。

貨物の受け渡しはどうでしょうか。後受金ならばシッパーは船積から代金回収まで、リスクを負担しなければなりません。バイヤーから見れば前金決済では、実際に貨物が来るまでリスクを抱えることになります。

これではいつまでたっても双方の利害は一致しません。シッパー・バイヤー共に、取引をためらう場面が増えるばかりです。

如何にシッパー・バイヤー共に安心して取引してもらうか。これがL/Cの一番かつ最重要の目的となります。L/Cの特長は船積書類がL/C条件に合えば、L/C発行銀行が必ず支払ってくれる点です。

ここが肝心の所です。それであればシッパーは安心して船積できますし、バイヤーは船積書類(=輸入貨物)と引き換えに代金を支払えば、良いことになります。

カントリーリスクのある国・地域との取引や、新規の相手と取引をする時、この特長が大いに発揮されます。つまりL/Cでシッパー・バイヤー双方の、利害一致が可能になります。

そこで今回は冒頭で述べた「L/Cは不滅?」に対しては、「L/Cは不滅!」を結論としたいと思います。「?」に対しては「!」で応えるということです。

2017/11/18

「メガ銀大リストラ時代」えっ、いよいよ!?

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先日の日経朝刊に「メガ銀大リストラ時代」という記事が出ていました。

思わずドキンとして記事に読み入ってしまいましたが、さすがは日経です。内容はキチンとしており安心しました。

ただ他の人が読んだらどんな気持ちか、と心配になりました。

そこで今回はこの記事を私なりに少しかみ砕いて、皆さんにお話をしてみたいと思います。

まず最初に申し上げたいのは、「リストラ=人減らし」ではない点です。この日経記事にも当然ありません。タイトルこそ「大リストラ時代」ですが、決して「リストラ=人減らし」とは述べていません。

「リストラ=構造改革」 ⇒ 自動化・効率化 ⇒ 事務量の削減。記事ではリストラの流れを、このように説明しているだけです。

実は3メガバンクでは早くから危機意識を持ち、この構造改革を開始していました。しかしながら、今回はいよいよこの待ったなしの状況下、3メガ共に全力で取り組むということです。記事ではこのリストラ効果を端的に表現するため、3メガ合計で3.2万人分の事務量が削減されるとしているのです。

ここで注意して頂きたいのは、リストラにより減るのは事務量であって、銀行員の数そのものではないという点です。リストラで削減された事務に携わっていた銀行員は、今後は銀行としてもうかる仕事についてもらうということになります。決して大量に退職者が出るということではありません。

さてこのリストラが銀行の外為窓口を通して、貿易実務に与える影響を考えてみます。
これは大きく二つあると思います。

一つ目はより一層の自動化・省力化です。外為は預金や貸付と異なり、その対象顧客が限られるため、自動化は費用対効果の点で後回しにされがちでした。3メガの中ではみずほ銀行が、比較的昔からの体制を維持しており、そのため収益面でのテコ入れが強調されているのではないでしょうか。

しかし残る2行も内部事務はセンターに集中していますが、そこで行われている業務には、かなりのマンパワーが割かれています。今後はこの部分にさらにメスが入り、徹底的な省力化が図られるのだと思います。省力化に欠かせない自動化・機械化の大きな利点に、事務事故・事務ミスの根絶があります。

いくら事務センターで専門的にやっている人間でも、必ず事故やミスは起きます。私のころはその確率は100万回に3・4回と教えられました。同じことを100万回やると4回弱は間違えるということです。

自動化・機械化すればこれが「ゼロ」になります。これは大きいです。さらに人間であれば24時間ぶっ通しで仕事なんかできませんが、自動化・機械化すればこれも可能で、結果としてスピードアップとなります。いずれも顧客満足の向上に直結です。

二つ目は余剰となった外為担当者が外為専門のアドバイザーとして、皆さんの仕事のサポートをしていくことが期待できます。これは正しく私のような貿易アドバイザーが、銀行の中で多く誕生するものを予見させるものです。

以上見てきましたようにこのメガ銀行の動きは、貿易実務にたずさわる皆さんの仕事にも大きなメリットをもたらす可能性が大きく、是非前向きに受け入れて頂ければと思います。

2017/11/01

出世する銀行員はこのタイプ!

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今回はちょっと毛色を変えて、出世する銀行員をフォーカスします。

今も昔も銀行には就職志望者が多く集まります。勢い優秀な人材も多くなるのですが、昔はそれでも、「なんであいつが」と言うような人間も、採用になっていました。(実は私もその一人です)

翻って今は、本当に優秀な人ばかりのようです。これら俊英の中から、いわゆる「出世」をしていく人たちがいます。

これらの人々の顔ぶれをつらつらと今思いだすと、幾つかのパターンがあるわい。と妙に納得してしまいました。それを今回はお話ししたいと思います。

【パターン其の1】
全方位型・・・・無敵のスーパーマン(ウーマン)タイプ役員クラスまで駆け上がるのがこのタイプです。このタイプの人はとにかく全体が見えていますし、細かい事への気配りがシッカリです。持って生まれた器が違うとしか思えません。

必死に仕事をしていなくても、常によい結果を出し続けます。(この「出し続ける」がポイントです)銀行員を100人集めても、その中に1人いるかどうかですが、確実に1人はいます。おそらく皆さんの周りにも、当てはまる人がいるのでは。これが第一のパターンです。

【パターン其の2】
卓越した専門知識を持っている人。このタイプで役員になる人はそんなにいません。けれども侮れません。過去某信託銀行で部長や支店長を経験せずに、いきなり執行役員に抜擢され、話題になった人がいました。

この人の書いた文章は大変に分かり易く、その豊かな才能に圧倒された記憶があります。(惜しいかなこの方は、ガンで52歳の若さで亡くなられました。)

このタイプ、全員が役員になるのは難しいかもしれませんが、かなりの確率でその近くまで上がっていきます。但し上がるには条件があります。ここで言う「卓越した」とは、良く知っているとか、物知りである。という程度ではダメです。

例えば日本貿易学会で発表できる。大学で教鞭をとれる。論文を上梓できる。こういったいわば、その分野での専門家レベルが必要です。このタイプ、一番目のタイプと同じくらい少ないです。100人に1人のレベルです。これが二番目です。

最後に最も多いタイプです。

【パターン其の3】
数字にこだわる人。このタイプが一番多いと思います。数字にこだわるとは、目標を必達することです。目標は与えられたものばかりでなく、自主目標の場合もあります。

これらの人々は、出世するにつれて目標達成の対象が、自分→部下→店全体→部門全体→銀行全体と、だんだん大きくなっていくのが特徴です。

この目標への強烈なこだわりが、組織を活性させるとともに、自らをハッピーにさせるという訳です。このタイプの人は100人のうち10人程度はいる印象です。

以上が出世する人のタイプ分けです。

このタイプ分け、ほかの業界では通じないかもしれませんが、自分ではすごく納得感のあるものでした。そして本当に残念でしたが、自分がそのどれでもない。この現実。これも正直つらかったです。

もし機会があれば、この間の35年どう過ごしたか。これをお話ししたいと思います。では今日はこの辺で。

2017/10/26

取引相手がB/L(船荷証券)を無くした!最終編

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前回は対策編をお送りしました。今回は最終編として結果と私の意見をお話しします。

AIBA論壇でひとしきり議論がなされた後、相談してきた会員から、結果みたいな報告がありました。
結果みたいなと言うのは、そこに書かれた内容では、輸入者が満足するとは思えず、最終違った結果になるのでは?と考えたからです。

さてその内容とは、輸入者のそもそも依頼であった、英国船会社への銀行保証は謝絶。(「しゃぜつ」と読みお断りの意です)

AIBA論壇でのやり取りは情報として伝える。この二点でした。

皆さんはどのような印象を持たれますか。

実質的なゼロ解答ではないか。そう思われるのではないでしょうか。だとすると輸入者には、重たい結果のような気がします。AIBA論壇でのやり取りを伝えるというのは、B/L紛失という非常事態に巻き込まれているときに、いろいろな話をいくら聞かされても、感謝の気持ちは湧かないだろうなあ。正直そう思いました。

では自分だったらと考えると、これが実に難しいのです。銀行出身者としては輸入者のそもそもの希望、すなわち英国船会社への保証差入れ。これはまず無理です。よく分かります。銀行にとっては英国の輸出者のために、英国の船会社に保証を出すのであれば、結局、英国の輸出者に対する与信と同じことです。

英国の業者の業況を、把握し続けるのは現実には困難ですし、相手が取引先(この場合日本の輸入者)ではないのは、案件としてはかなりハードルが高いものといえます。

では日本サイドで動くとすると、具体的には前回お話しした、船会社へのL/G差入れと、除権決定を得ることが考えられます。

しかしこれらの方法は時間も費用も掛かる上に、なにより輸入者にその気がありません。銀行がこの方法を勧めるのは、極めて奇妙な気がします。ではどうすれば良いのでしょう。正解は勿論ありません。ただ考えていくうちに一つの方法が浮かんできました。

この件はB/L再発行に輸入者がサポートしたい。これが発端です。とすれば銀行としては、こうすればサポートになりますよと、輸入者に提示できれば、単なる謝絶よりはるかに良い対応です。採用するかどうかは、輸入者の判断です。

その方法とは、輸出者が金策に苦労している保証金を、輸入者が実質肩代わりできるように、その資金を輸入者に融資するというものです。

輸入者に貸し出すのですから、あくまでも与信対象は輸入者です。銀行によってはこのような転貸(「てんたい」、またがしのことです)を、きつめの運用で対応するところもあります。それゆえ、これで万事解決とまでは言えませんが、L/G発行より検討の余地は大きいと思います。

ただ自分が銀行担当者の立場であれば、そのような提案は上席の事前了解が必要であり、それはそれでハードルが高いのではと考えてしまいました。

2017/10/14

取引相手がB/L(船荷証券)を無くした!対策編

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過去二回にわたってB/L紛失騒動の背景と、それに対する初動をご説明しました。

今回はその続編として対策編をお送りします。(なお次回でこの一連のお話はお終いです)

私の所属する貿易アドバイザー協会での論調は、大きく二つに分かれました。

すなわち一つ目の考え方は、輸入者(日本側)は何もせず「静観」すれば良い。この立場をとるべきだと言うものです。

この意見からすると今回のB/L紛失は、日本側の責任はゼロなので、輸入者は何もしなくて良い。というか何もすべきではない。こういった見解になります。

この立場では解決に向けての手続きを含めて、すべての処理は英国の業者が行うべきである。こうなります。この考えの根っこには、B/L紛失は本当か?もしかしたら第三者に譲渡していたり、譲渡しないまでも別途銀行に買取に持ち込んだのではないか? 詰まる所、日本側は騙されているのではないか? こういった疑いが消せないと考えているわけです。海外取引は国内取引とは違う。性悪説を取るべきである。このような主張です。

もう一つの考え方は、それでは何も解決しないので、問題解決に向けて日本側も何らかの役割発揮をすべき。
と言うものです。たしかに船会社は主体的には動いてくれませんので、貨物を引取りたいのであれば、輸入者が何かをせざるを得ないのも事実です。(もちろん費用負担は別問題です)

具体的な実務対応としては、船会社と折衝して日本でL/G(荷物引取保証)を差し入れる。これが必要になると思われます。但しこの場合Single L/G(輸入者の署名だけ)は、まず船会社が受けませんので、銀行連署のL/Gが必要になります。

実はこの手のL/G発行は本当に大変です。詳しくは機会を改めますがL/Cが介在しない取引で、銀行がL/Gに連署するのは相当ハードルが高いです。これは覚えておいてください。

また法的な対応として、「除権決定」の手続きを取る。これが必要となってきます。(除権決定がおりればB/Lの効力がなくなります)

また別の方法として英国の業者に対して保証を出してやり、B/L再発行のサポートを行う。これが有効な場合もあります。

また積戻しするのであれば、日本側での手続きが必要です。これに関する船賃は、日本側で一旦支払う必要があります。

このようにいろいろな議論がなされました。

で結論ですが、最終的には輸入者の総合判断である。こうなりました。しかしこのような、検討すべき点がてんこ盛りの話を、いろんな人からアドバイスされて判断できるのだろうかと、正直心配になってきました。そんな老婆心も込めて、次回は私の考えをお話ししたいと思います。

2017/10/02

取引相手がB/L(船荷証券)を無くした!初動編

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前回はこの事態の背景を説明しましたので、今回はその続編として初動編をお送りします。

実際の協会の論壇では、いろいろな人が自らの信条に従って、様々な意見を述べており百家争鳴の状況でした。

そこでこれらの意見を、私なりに整理をしてお話ししたいと思います。

皆さんが異口同音におっしゃっていたのが、次の各点です。
1.貨物の確認(今どこにあるのか。中身は合っているのか。)
2.契約の確認(契約書そのものと契約内容の両方です。)
3.輸出者(在英国)の対応状況
順番に説明していきます。

まず1.貨物の確認です。
どの港のどこに保管されているのか、確認する必要があります。また書類上ではありますが、積荷の中身を確認する必要もあります。

次に2.契約の確認です。
この二つ目は言われてみればその通りです。こんな状況では貨物の所在や滞船料にばかり目が行きますが、そもそもの契約の確認も忘れてはなりません。確認すべきは、契約書類の不備欠缺(ふびけんけつ)です。

立派な契約書なのに相手の署名が無かった!なんてこともあります。さらに変な条項が含まれていないかも確認します。契約書には「紛争処理条項(紛争解決条項)」が通常あります。トラブル発生時の対応についての条項です。ここに変なこと(自分に不利益なこと)が書かれていないか確認します。

過去、ここに「トラブル時には当事者全員が誠実に解決にあたる。」という一見当たり前の条項に、「当事者は責任の有無に係わらず」と、さらっと言葉が追加されており、日本側は全く責任が無いにも関わらず、事態解決の責任の一端を負わされるという、極めて理不尽な事態がありました。

ここまでは相手の反応を待つ必要はなく、即実行できるものです。

そして3番目は、相手に強く言い込むことです。
言い込む内容は、「まったく当方に責任は無い。こちらは大変迷惑している。」「もう一度徹底的に捜して、その結果を報告してほしい。」「本件への当方の対応は、すべてそちらの責任と費用負担である。」
以上のようなものでした。

これも手分けして行えば、そんなに時間のかかる話ではありません。銀行員では思いつかない点もあり、
さすがにその道のプロは違うわい。と思わせるものがありました。

次回はこれを受けて論壇で飛び交った、具体的な解決方法についてお話しします。

2017/09/16

取引相手がB/L(船荷証券)を無くした!状況編

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私の所属する(一般社団法人)貿易アドバイザー協会で、最近「ある議論」が巻き起こりました。

この議論、私にとっても大変に参考になるものでした。折角の機会ですので皆さんにもぜひお伝えしたく、今回から回を分けてお話してみたいと思います。

そこでの議論の中身は多岐に亘りましたが、随所に飛び出す専門家の知見が、私には大いに参考になりました。

常日頃、貿易に携わる皆さんにとっても役に立つのではと思い、このコラムでもご紹介する次第です。

ところで本題に入る前に、「貿易アドバイザー協会」ってなに?と疑問を持つ人のために説明を少々。

貿易アドバイザー協会はジェトロ(日本貿易振興機構)で実施していた、貿易アドバイザー試験に合格した「貿易アドバイザー」の有志が、1996年に立ち上げたものです。

メーカー、商社、銀行、保険、通関業者等の現役・OBが所属し、日本唯一の貿易エキスパートの集団として、関係各位から好評価を頂いています。

今回のように会員自らが専門外の案件に関して、他の会員に相談を持ちかけると全員が一丸となって対応する。という極めて優れた特性があります。若干手前味噌になりました。さて本題に戻ります。

議論の発端はある銀行の担当者が、顧客から受けた相談です。

この顧客は、英国の業者から輸入をしようとしました。(ものが何かは明らかにされてはいません)決済条件は後払い送金で、その点ではノーリスクの取引でした。こんなスキームの輸入案件だったのですが、なんと輸出者が、B/L(船荷証券)を全通紛失してしまったのです。(もちろん日本に送る前の話です)

銀行担当者が相談を受けたときには、貨物はすでに日本に到着していて、滞船料も発生している状態だったのです。輸入者は当然、輸出者に対して善処を求め、輸入者もB/L再発行を船会社と折衝したのですが、INVOICE価格の2倍の保証金を要求され、金策が付かず難航しているとの事でした。

輸入者としては是非荷物は引き取りたいのだが、輸出者に非のあるこの話に、変にコミットしたくない。どうすれば上手く解決するだろうか。これが相談内容でした。

貿易をしていれば皆さんも一度や二度はこの類の話を、見聞きされているのではないでしょうか。この事態を受けた銀行担当者は、教科書的対応は兎も角として、たまたま自分が貿易アドバイザー協会のメンバーでしたので、勇躍(?)各メンバーに意見を求め、ここに全員参加の討論が始まりました。

以下は次回に譲りたいと思います。

2017/09/08

T/T決済を断られたらどうする?輸出業者の場合

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前回に引き続いてのお話となります。

取引相手からT.T.決済を断られた時、他の手段には何があるか?今回はこのテーマの輸出版です。

T/T決済を変えられてこちらが困るというのは、前受金で取引している場合だと思います。すなわち船積を代金回収後にしているということです。

前金からの条件変更はどんな結果となっても、輸出側には改悪とならざるを得ません。

ただ先方の申し出を聞く余地があるのなら、思案の余地はあります。

まず手始めは一覧払L/Cの利用です。一般にL/C取引は輸入者にとって銀行与信や手数料の点で、負担が大きいため輸入者は敬遠しがちです。しかし輸出者として全額前金を引っ込めるのであれば、第一に主張すべき手段と考えます。

輸出側の銀行手数料もT/T決済に比べて高くなりますが、別途輸入者に負担を求めるのも考えられます。(単純に輸出価格への上乗せでは競争力が落ちかねません)

この方法の利点は、資金回収が確実な点です。輸入側の銀行(L/C発行銀行)は、一定の条件、すなわちL/C条件通りの船積書類を呈示されると、輸出側に支払を必ずしなければなりません。この条件には輸入者の業況やマーケットクレームは、一切考慮されません。端的に言えば必ず払ってもらえるということです。これをまず第一の手段とします。

次に考える方法は、D/P・A/Sの取引です。D/PというのはDocuments against Payment の略で、日本語では「支払渡し」と呼びます。L/C(信用状)を用いない取引の代表格です。輸入者の負担はL/C取引よりはよほど軽くなります。その点で輸入者は受け入れやすいかもしれません。

ただこの取引は、輸入側銀行の支払約束はありませんので、代金回収には不安が残ることになります。そこで代金回収をより確実にするため、「輸出手形保険」を掛けることが良く行われます。この保険の仕組みの説明は別の機会に譲りますが、保険を付ける狙いは明確でこの保険があれば、万一の時は為替手形金額の95%が、保険金として支払われます。

しかもこの保険は輸入者の不払いだけでなく、相手国の戦争や内覧、輸入制限や禁止といった場合でも、保険金支払いの対象となります。この点に着目して輸入者の信用に問題が無くても、輸出手形保険を掛ける場合があります。なお保険料は輸入者や輸入国によってまちまちですが、大体、為替手形金額の1%前後です。これを第二の手段とします。

さて前回お話しした「国際ファクタリング」ですが、間に入るファクタリング会社は一般的に立替払いをしないため、代金回収はL/C取引やD/P・A/Sに比べて遅くなってしまいます。また手数料はすべて輸出者が負担するため、その点でもお勧めとは言いかねます。

いずれにしても、どの方法をとるにせよ貨物の所有権を、いつの時点まで輸出側が確保できるのか、代金回収と所有権の輸入者への移転のズレはどの程度なのか、この辺を検討したうえで先方と交渉する必要があると思います。

2017/08/31

T/T決済を断られたらどうする?輸入業者の場合

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先日、貿易担当者とのミーティングで、取引相手からT/T決済を断られた時、他の手段には何があるか。

という質問を受けました。

相手の言い分を聞いてしまうと、取引条件が悪化する可能性が大です。

よってこちらの利益も確保しつつ、先方も納得できる方法をアドバイスしてみました。

便宜上輸出と輸入に分けて考えてみます。(輸出は次回に回します)

質問のあった会社は輸入業者でした。事情を聞いてみますと、その会社は好調な販売を背景に、海外の輸出先に対しても強気の対応をしており、これまでは全額後払い送金で決済しているとの事です。ところが輸入量が増えたため、先方の資金繰りが窮屈になり、一部でもよいので前金にしてほしいという申し出があったそうです。

この会社としては一部前払いも可能だが、どの程度前払いするか、いつの段階で前払いするのか、判断するのは面倒だし、なにより相手の言い分をそのまま認めるような形は避けたい。

こんな気持ちで悩んでいたそうです。そこで私からお話ししたのは次の二種類の方法です。

其の一番目はD/P・A/Sの取引です。D/PというのはDocuments against Payment の略で、日本語では「支払渡し」と呼びます。L/C(信用状)を用いない取引の代表格です。輸入者はL/C取引と違って事前準備は不要で、輸出者からの船積書類が取引銀行に到着したときに、代金を支払うだけで良いシステムです。

代金支払いと引き換えに船積書類が手に入りますので、この段階で輸入商品は確保出来る事になります。銀行手数料も外国送金ほどではありませんが、L/C取引に比べればはるかに安くて済みます。さらに輸入者の取引銀行は、決済手続き代行者のようなものなので、与信が発生するわけではないので、手続きは至極スムーズです。

ひるがえって輸出者側から見ると、輸出者の取引銀行が買取りに応じれば、割引利息は発生しますが、その段階で資金は回収できます。買取が無理でも輸入側の銀行が、船積書類と引き換えに確実に代金を回収してくれるので、後受の送金に比べ早く確実に資金が回収できることになります。

二番目にお話ししたのが「国際ファクタリング」です。国内取引でもファクタリング会社を使って、代金回収することはよくあると思いますが、それの国際版という認識でいいと思います。

このシステムでは、輸入者は船積書類を輸出者から直接受け取ります。一方支払は間に入ってくれたファクタリング会社に支払います。通常は船積から180日までの間に決済日を定めますので、輸入者はその日に決済すれば良いことになります。

またこのスキームでの手数料はすべて輸出者が負担するため、輸入者には何も負担は発生しません。D/Pに比べると良い事が多いように思えますが、輸出者が輸入国で発生する手数料も負担するため、どうしても輸出者の負担が多くならざるを得ません。

またファクタリング会社は資金の立替を原則しませんので、輸出者にとって今より早く資金回収ができるとは限りません。

以上、二つお話ししましたがいずれも一長一短があり、私の話した担当者は、会社に持ち帰って検討するとの事でした。何れの場合でも輸出者との折衝が重要となるので、良く連絡を取り合うようにアドバイスしました。

2017/08/25

何で銀行の手数料って高いの?

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「お宅の銀行の手数料は高い!」

銀行員なら一度や二度、必ず聞かされるフレーズです。そんなことは無い。他行と比べて割安。

こう思っていても、別の人から同じことを言われていました。

世間一般の認識でも「銀行手数料は高い」が相場のようです。なぜこんなことが起こっているのでしょうか。

今回はこの辺のところを考えてみます。

銀行の手数料はもちろん銀行が提供するサービスへの対価です。サービス内容が同じであっても、各銀行の事情は異なるので、様々な水準の手数料が有っていいはずです。ところが銀行をいくら見回しても、驚くほどその水準は近似しています。

どうやら高い。安い。を議論する前に、なぜ同じような水準なのかを、見ていく必要がありそうです。

まず銀行に対する法的規制から見ていくと、銀行は銀行法という法律によって、その内容が細かく規定されています。国から免許を取得しない限り、「〇〇銀行」と名乗ることすらできません。新参者は簡単には参入できないようになっています。相手が限られれば、競争が起きにくいのは道理です。

また今でこそ影を潜めましたが、国の銀行に対する方針は「護送船団方式」と呼ばれるものでした。最も経営体力の乏しい銀行が生き残れるように手数料や貸出金利が運営されるのを容認していました。(預金金利に至っては「規制金利」と呼ばれ、各銀行一律でした。)

そんな状況ですから、銀行としては競争する必要が無いので、銀行全体が右にならえとなっていました。さすがに今ではそんなことは無いのですが、この「右にならえ」精神は生き残っており、手数料の下方硬直性と相まって、高止まりしている印象があります。

また手数料の算出根拠として良く使われるのが、「コスト積上げ方式」とよばれるものです。この方式は提供するサービスに掛かる費用を計算して、それに適正利潤を上乗せして算出します。銀行にとっては都合が良く、それなりに説得性もあるのですが、これだけ社会全体に自由競争が浸透すると、銀行優先の論理が受け入れられるか正直疑問です。

加えて銀行というところはお世辞にも情報開示に積極的ではないので、このコスト積上げに関する情報開示も徹底されておらず、手数料自体がブラックボックス化している嫌いがあります。

しかし金融庁の強力な指導もあり、全体の流れも変わりつつあります。今後は徹底した情報開示がされていくでしょうし、(保険商品の窓口販売手数料のように)それに加え他業態からの参入により、競争もより活発化すると思います。

早ければ来年にも予定されている、フィンテック採用による海外送金の内容一新が、銀行手数料改革の先駆けになるかもしれない。(現行手数料の1/10もあり得ます!)そんな気がしているのは、私だけではないはずです。

2017/08/18

税関の事後調査、銀行の役割は?

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外為をやっていると「税関が調査に来た!」という話をよく聞きます。先日もあるメーカーの海外営業担当と話をする機会があり、「税関の事後調査」の話になりました。

その人はベテランなので無難に切り抜けたとの事で、こちらとしても「そうですか。大変でしたね。」で終わりでした。

しかし貿易実務に詳しくない人や、貿易を始めて間もない人だと、このベテランさんのように上手くいきません。税関への対応がぎくしゃくして、お金と貨物の辻褄が合わなくなってしまいます。

こんな時、税務調査だと税理士さんが応援してくれます。税関の事後調査では通関士さんの出番なのですが、気軽に立ち会ってくれる人はなかなかいないようです。

そこで銀行担当者にもお鉢が回ってきます。しかし銀行は矢面に立てません。対応には限界があります。そんな時にどうしたらいいのか。今回はこの辺をお話しします。

銀行にサポートを求めるときにはポイントがあります。
一つ目は銀行の立ち位置です。これを理解すると銀行にものが頼みやすくなります。税務調査では側面調査であっても、銀行は調査の当事者です。ですから調査は銀行に直接入ってきますし、直接銀行にあれこれお尋ねもします。

対して税関の事後調査では、銀行は調査当事者ではありません。その結果として調査が銀行に入ることもありません。
銀行はあくまでも黒子です。何か頼むにもお願いベースとなります。これが第一点目です。

次に二点目ですが、それは調査目的についてです。税関の事後調査の目的は、輸入と輸出で異なるのですが、銀行と接点が生じるのは主として輸入の場合です。輸入調査では、関税や消費税の過少申告や申告漏れが調査対象です。この時実際の資金の動きは、銀行口座で判断する事が多いです。

皆さんの手許資料で納得してくれた場合はいいのですが、納得しないと追加資料を求められます。この要求に対して、「出来ません」では済ませられませんので、銀行に取引内容の確認資料の調査依頼をすることになります。この資料すぐには揃いません。この点注意が必要です。これが二点目です。

三点目は調査担当者の心証です。税務調査の場合、多くは事前調査済みであり、かなりの確率で不備指摘がなされます。
調査対象への心証は、黒が前提と考えられます。それに対して税関の事後調査はあくまでも調査です。結果として黒となっても事前の心証は、特にかたよっていないようです。銀行に資料を依頼するときでも、事情を正確に説明して、関連資料をすべて依頼して頂ければと思います。

最後になりますが輸出関連での事後調査では、税関の目の付け所は不正輸出です。ごくまれに銀行への提出書類の控えを求められますが、控えが無いからと言って銀行に照会しても、銀行は輸出の場合は提出された書類は海外に発送するか、企業に返戻して何も残っていないのが普通です。この点注意が必要です。

2017/08/12

銀行窓口での海外送金の留意点はこれだ!

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銀行の窓口ではお客様から取引の依頼があった時、大原則として本人確認が必要となります。

ややもすればこの点ばかり強調されるようですが、実はもう一つ大事な点があります。

今回は先月講師を務めたセミナーの中から、銀行窓口での海外送金の留意点をお話しします。

外為取引において本人確認と並んで大事な点は、取引そのものの正当性です。(銀行取引すべてにも言えますが)疑わしいと判断された取引を、銀行は受付できません。

この点をお話しすると、よく「本人確認出来ればOKではないか」と、いわれる方がおられます。本人確認はもちろん必要ですが、肝心の取引も違法では困ります。そこで銀行は本人確認と同時に、取引内容をお聞きするわけです。

お客様から見れば、不審人物扱いされたと思われるのは、この一連の流れが詰問調であったり、事務的であったりするからです。現場にいたころの私もこの間合いがつかめず、お客様を怒らせてしまったことがあります。そこで自分なりの解決方法を編み出しました。

それは最初にこちらの事情を全部お話ししてしまうことでした。具体的にどうするかと言えば取引するうえで必要なことを、予めお客様に一通り筋道を立ててお話してしまうのです。

海外送金でいえば、海外送金受付には本人確認が必要で、確認資料の呈示をお願いしたい。代表的な資料としては○○、△△、□□がある。今お持ちか。さらに取引内容についてもお伺いしたい。具体的にはどこ向けの送金で金額はいくらで、送金目的は何かを教えてほしい。これらを送金受付時に、先にお話ししてしまいます。

ごく一部の気短な方を除けば、このやり方は大変うまくいきました。気短な方でも、ポイントを思いっきり絞ってお話すれば、むしろ他の方よりもテンポよくお話しをいただけました。考えてみれば当たり前の話で、何を聞かれるのか事前に分からない状態で、いきなりアレコレ聞かれ始めたら、どんな人でも不愉快になったり不安になってしまいます。

だとすれば、あらかじめその状態を取り除けば、あとは事実の確認をしていくだけになります。「疑わしい取引」の報告は、確かに金融庁に出さなければなりません。しかし、それはあくまでも取引の正当性が、確認できなかった場合です。

それを防ぐには事前に銀行に何が必要か、照会するのも良い方法と思います。一度「疑わしい取引」と判断されると、銀行はその取引の受付有無にかかわらず、全件金融庁へ報告しなければなりませんので、中途半端な状態で銀行へ行くのは避けた方が無難です。

2017/08/02

元本保証の投資信託が出た!?

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ご承知の通り預貯金と異なり、投資信託(以下投信)には元本保証などありません。

日経紙上で三井住友銀行が、「元本防衛型投信」を7月から発売!との記事が出ていました。

元本保証ではないようですがそれに近いようです。今回は予定を変えてこのお話をします。

この記事一番の肝は、条件付きながら投信を購入した資金が、保証される仕組みを導入した点にあります。

100%保証ではないので「元本保証」とは言えないのですが、それに近いものとは言えるでしょう。

記事によると、確保の対象は基準価額の90%部分のようです。新規発売時に購入すれば10,000円(基準価格)の90%、9,000円がその確保対象です。もし基準価額が9,000円になればそこで繰り上げ償還となり、それ以上の損はしなくて済む。こういう理屈です。

この防衛ラインのことをプロテクトラインと呼ぶそうです。逆に基準価格が上昇して11,111円になると、プロテクトラインは10,000円となり、ここで元本が実質保証されます。さらに基準価格が上昇すると、それにつれてプロテクトラインも上昇し、常にそれまでの最高値の90%が、プロテクトラインになるのです。

気になる費用ですが、購入時の手数料は「0円」、信託報酬は年率1.44%程度(あのグロソブが1.35%です)と、魅力的な商品に仕上げているように思えます。

さてこの投信、お勧めなのでしょうか。以下の3点が納得できればお勧めと思います。

一点目はプロテクトラインと自分の持値の関係です。新規発売の時点で購入しない限り、プロテクトラインは自分の購入したときの基準価額の90%以上になります。つまり何気に基準価額が動くだけで、プロテクトラインにタッチして、繰り上げ償還になってしまいます。購入時には、プロテクトラインの確認が必須です。

二点目は信託報酬の存在です。信託報酬はどの投信にもありますので、それ自体は当たり前の話ですし、レートも割高とはいえません。問題なのはこの信託報酬が、基準価額の引下げになる点です。つまり一年間の運用成績が全くの横ばいであっても、信託報酬が発生すれば基準価額はその分下がります。プロテクトラインとの差が最大で10%しかありませんから、10%÷1.44%≒6.94年の計算となり、計算上では7年弱で繰り上げ償還の可能性もあります。一度上がって下がった時は要注意です。

三点目は、投信全体に言えるのですが、銀行に購入申し込みをしても、実際の約定は翌営業日となる。こんな投信が圧倒的に多いのです。(おそらく本件もそうでしょう)

そもそも投信基準価額が分かるのは当日夕刻です。それまでは前営業日の価額しか分かりません。株式相場や外為相場に比べて遅すぎます。そういう仕組みですので我慢するしかありませんが。

ところで実際に売買となると適用価額は、更に一日遅れの翌営業日終了後の価額となります。これでは変動リスクが大きすぎます。投信は長期保有が原則ですが、リーマンショックの時などは、至急換金したいかもしれません。そんな緊急時に翌日にならなければ、売却価額が決まらない。これでは困ります。

この投信を購入するのであれば、これらの点を納得したうえで購入する必要があります。以上るる述べましたが、元本を守ってくれる投信は、本邦初といえます。

もし預貯金以外の運用を考えているのであれば、検討してみることをお勧めします。なお商品名は、SMBC・アムンディ プロテクト&スイッチファンドです。

2017/07/19

これは注意!海外送金のポイント

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先月、とある財団法人で、小口輸入事業者向けセミナーがありました。偶々そこで講師をする機会があり、海外送金のお話しをしました。

銀行の実情にも触れた内容にしましたので、皆さんのお役に立つのではと思い、二回に分けてご紹介いたします。

先ず一回目の今回は、海外送金と国内送金の違いです。

両者の違いは「ものの本」には詳しく書かれており、皆さん、いまさらと思われるかもしれません。

しかし銀行の窓口で海外送金を受けると、ここは本当にポイントだなあ。と思う点があります。皆さんは、何だとお思いになりますか?

市販本やテキストには、いろいろなことが載っていますが、この点はあまり触れられていません。では一体何でしょうか。

もったいぶらずに言うと、それは「時差」の問題です。「なぁーんだ。」と思われるかもしれませんが、この点を意識されているお客様は本当に少ないです。しかし時差の問題はなかなかに厄介なのです。どう厄介なのか具体的に見てみましょう。

皆さんは時差と聞くと、イメージするのは欧米諸国ではありませんか。つまり時差とは、日本時間の後、それらの国が同じ時間を迎える。こんなところだと思います。この考え、東南アジア以東であれば正しいと思います。ところが世界には、このイメージと真逆の国があります。

すなわち日本の時間よりも、先に時間が進行している国です。これらの国に送金しようとすると、厄介な問題が出てきます。実際に考えてみましょう。

「シドニー(豪州)へ豪州ドル建ての送金を行う。」この場合はどうでしょうか。シドニーとの時差は1時間です。日本時間の午前9時は、現地の午前10時です。しかも日本の銀行で豪州ドル当日相場が決まるのは、早くても午前11時過ぎです。つまり朝一番に銀行の窓口に行っても、11時までは実際の手続きができません。ようやく手続き開始した時には、すでに現地は正午と言うわけです。

10月になれば先方はサマータイムでさら1時間早くなります。こうなると、当日中の着金はほぼ不可能になります。さらに付け加えれば、オークランドと言う都市があります。この都市があるニュージーランドは、日本との時差が何と3時間。日本の午前9時が、現地では正午です。ニュージーランドドルでの当日着金は、最初から無理筋と言えます。

ここまでお話すれば、たいていの人は当日着金にはこだわらない。翌日に着けば良いではないか。と言われそうです。それも一つの見識で、常識的な線だと思います。が、翌日が銀行休業日だったらどうでしょうか。さらにイースターやクリスマスのように連休になる場合は、送金到着は最も速くて5日後(土日含む)になります。

こんな状況でも、鷹揚に構えていられるでしょうか。私だったら受取人に一言連絡せざるを得ません。

このように一口に時差と言っても、問題の所在は様々です。海外送金を依頼する場合はトラブル回避も兼ねて、時差にも気配りすることをお勧めします。

2017/07/07

貿易取引での銀行選び3つのコツ

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今回は貿易取引での銀行の選び方です。

ずいぶんと昔の話ですが「顧客満足度調査」で、外為取引先に「当行を選んだ理由」を聞いたことがあります。

前向きな答えを期待したのですが、
「元から口座があった」
「近所だったので」
「ただ何となく」
これらがベストスリーでした。

回答を励みにしようと意気込んでいただけに、なにやら拍子抜けしてしまった記憶があります。

みなさんは如何でしょうか?

もちろんそのまま同じ銀行でも良いのですが、今の取引銀行の対応に不満があるとか、銀行取引が無く、取引銀行を新しく捜しているのなら、その銀行選びのお手伝いができればと思います。

日本にはいろんな金融機関があります。特徴は様々ですが、貿易取引を考えるのであれば、外為業務が得意な銀行が望ましいのは言うまでもありません。ただどうやって判断をするのかが、難しいところです。実際に取引をすれば、何となく分かるようになるのですが、取引が無ければ分かりようがありません。

そこで私がお奨めしているのは、インターネットの活用です。と言っても、口コミで銀行を選べというのではありません。取引を考える銀行が見つかったら、是非その銀行のホームページにアクセスしてみて下さい。トップページには、その銀行が力を入れている項目が出ています。

その中に外為はありませんか?
トップに無ければ次の法人向けのページに、外為の掲載はありますか。もしどちらかに外為があれば、候補としてOKです。無ければ候補から外すことをお勧めします。

次に候補が複数出てきた時の順位のつけ方です。一番は自分が口座を持っている銀行です。同じ銀行なら他支店の口座でも構いません。要はその銀行の口座が有れば、本人確認は口座開設時に済んでいますから、一から手続する必要は無く、銀行での折衝が楽になります。

二番は訪問しやすい場所にある銀行です。インターネット取引も増えましたが、今でも外為取引の基本は、営業店での対面取引です。書類の受け渡しや案件相談などは、直接担当者と会うことによって、スムーズに行きます。自分が行き易い銀行を候補にすべきでしょう。物理的な近さだけでなく、心理的な近さも考慮して下さい。

三番はちょっと切り口が変わりますが、取引相手の国・地域に本店を置いている外国の銀行に、在日の支店がある場合は、その支店と取引をするのも手です。一例を挙げると、中国相手ならBank of China(中國銀行)が候補です。同行の在日支店は大都市が中心ですが、口座開設後はインターネットでの海外送金にも対応しており、人民元送金ができるのは強みだと思います。(HP情報ですので必ず確認願います)

外銀在日支店からの送金は、本支店間送金となる場合が多く、トラブル発生時には現地と直接やり取りしてもらえる点や、現地の細かい情報が得られる点も邦銀にはない特徴です。

以上の三点を念頭に銀行を選べば、かなり間違えのない銀行選びになるのではと、一人で得心しております。

2017/06/27

外貨の換算相場、銀行ではどうしてる?

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外貨を円、逆に円を外貨にする時、交換相場が必要となります。

みなさん。銀行はどんな交換相場を使っているか、ご存知ですか?

銀行の外為取引に慣れていないお客さまは、外為取引に使う換算相場がよく分からず、銀行が勝手に作って使っているのではないかと、考える方が結構いらっしゃいます。

本当はもちろん違います!

ただ銀行の方でも積極的に説明していないので、換算相場がいくつもあるように思えてしまうのです。ではこの換算相場。どんなものがあるのでしょうか。代表的な三種類を挙げていきます。

まず一番は「対顧客相場」と呼ばれるものです。これは文字通り「対顧(たいこ)」すなわちお客様取引に使う相場です。営業日ごとに相場が立てられることと、取引内容によって適用される換算相場が異なるのが特徴です。よく貿易実務の本に書かれているT.T.S.やT.T.B.は、この相場体系に含まれるレートになります。

二番目は「仮換算相場」とか「換算定率相場」と呼ばれるものです。法律上も商習慣上も決まった名称がないので、銀行ごとに呼び方は異なっているようです。皆さんの周りで「社内レート」と呼んでいるものが、これに近い存在だと思います。実際の通貨交換は発生しませんが、何らかの事情で外貨を円に換算する必要が、あるため定められています。

通常、前月末の公示仲値を翌月に適用することになります。ここの運用も銀行によっては若干異なります。この相場はいわば月替わり相場ともいえます。皆さんの会社の「社内レート」は、一年間そのままが普通だと思います。しかし銀行の「仮換算相場」毎月変わっていきます。

ここでよく問題が発生します。銀行から「極度」と呼ばれる与信枠をもらって反復継続的に外為取引を行っていると、外貨残高が動いてないのに、枠がいっぱいになっている。こんな状況が良く発生します。これは外貨から円貨への換算相場が、月またがりとなって変更になったことに由来します。

円高に動いた場合は問題ないのですが(この場合円価は減ります)、円安に動いた場合が要注意です。(この場合円価は増えます)この円安の場合に、枠がいっぱいになる可能性が出てきます。

三番目は、「対当局報告換算相場」です。これも正式な名称ではないのですが、要は政府や日銀に報告書を提出する際の、外貨を円に換算するレートです。基準外国為替相場・裁定外国為替相場、報告省令レートがそうです。皆さんが目にすることはほとんどないと思いますが、外為に関して当局への報告が必要な時、必ずこの相場で報告必要の有無を判断する必要があります。
こちらの存在は頭の片隅に置いておいてください。

以上お話ししてきましたが、銀行の使う換算相場は複数あるように見えますが、それぞれの使い道は異なります。銀行では使い道によってシステムサポートもされており、異なる相場を適用することはありません。どうぞ安心してお取引下さい。

2017/06/17

銀行の情報管理はここが違う!

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情報の管理は大変に重要です。皆さんの会社は如何ですか?

今回は銀行の情報管理の状況を見てみましょう。

情報の管理には、大きく二つの側面があると思います。ハード面とソフト面です。ハード面での情報管理は企業が苦心するところであり、世上をにぎわすときは、ここに問題がある場合が多いようです。

この点では銀行もみなさんの会社と同じだと思います。

もし違うとすれば、それはソフト面だと思います。銀行員の扱う情報はお金が絡むだけに、管理が甘くなるととんでもない問題が発生します。多くの場合それは問題をおこした、銀行員のせいにされますが、いくらその銀行員に責任を負わせても、発生した損害や失った信用が直接回復されるわけではないので、銀行は問題が起きないように、ハード面同様にソフト面での情報管理も徹底しています。

例をあげてみましょう。皆さんは仕事を終え家路につくとき、机の上はどんな状況ですか?資料とか文房具は置いてありませんか。退行した後の銀行員の机は、きれいさっぱりしたものです。本当に何ものっていません。営業時間中は資料や稟議が山積みで、みんなウンウンうなってますが、全員帰った後は、日中の山積みが嘘のようです。

さすがに、PCと内線電話はありますがそれだけです。筆記具や辞書の類までみんな机の中です。何も出すな。そう教育されます。そして施錠可能な場所はすべて施錠します。この施錠は徹底していて、ダブルロックもよくありました。結局鍵のかからない場所に置いていいのは、総務に置いてある当座使用分の文房具と、各部署備え付けの緊急時マニュアルぐらいでした。

またFAX誤送信は、最もやってはいけない事とされていました。インターネットのこれだけ行き渡った現代社会でまだFAX!
とビックリされるかもしれません。しかし銀行員の持つPCは原則として、外部環境との接続を遮断されたイントラネット環境です。簡単には電子メールの授受が出来ないようになっています。

ですから顧客とのやり取りは、いまでも電話が主体であり、それに補完するものがFAXとなります。このFAX、じつは大変情報の管理が難しく、間違った番号でも相手にFAX機能があれば、そのまま流れてしまいます。電話機能しかない固定電話であればFAXの向こうで、先方が「もし、もし」と言ってるだけで、誤送信にはなりません。携帯電話が普及し始めたころは固定電話が減るので、誤送信は減るとの観測もあったのですが、残った固定電話はFAX機能も備えたものが多く、かえって一発アウト状態になってしまいました。

その対策として取られたのが、ダブルチェック制です。これは二人がかりで、FAX送信しようというわけです。一人が送信相手のFAX番号を入力したら、もう一人がその入力された番号を見て確認して、復唱(ここポイントです)し、送信ボタンを押下するというものです。

ハード面の整備とは究極にある話ですが、一定の効果はありました。この他にも郵便物の発送に関するものとかあったのですが、紙幅の関係で今回はここで失礼いたします。

情報の管理にやり過ぎということは無く、常に個々人の不断の努力を要するというのが、当たり前の話ですが結論のようです。

2017/06/09

銀行員は貿易を知っているか?

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貿易をやっていると、資金決済絡みで銀行との接点が出てきます。その際、窓口となる銀行担当者が、貿易実務に詳しくないという評判をよく耳にします。実際のところはどうなのでしょうか?

結論から言うと銀行の担当者が外為の経験が無ければ、まず100%貿易のことは分かりません。

簡単な貿易用語すら通じないと思います。

もし担当者が外為経験者であれば、何となくは分かってもらえると思います。(あくまでも何となくのレベルなのですが)

銀行と言えば何でも知ってる人材の宝庫。こういったイメージがありますが、違うような気がしませんか?

このボタンのかけ違いの原因は何かといえば、それは貿易実務と外為実務が、ほとんど重ならないからなのです。

前にお話ししたことがありますが、貿易実務は「モノ、カミ、カネ」の順番だと言えます。それに対して外為実務は「カネ、カミ、モノ」の順番です。もっと言えば「カネ、カネ、カネ」でも過言ではありません。

すべて「カネ」というスクリーン越しにみているともいえます。ですので「カネ」が絡まないと、途端に銀行員の反応は鈍くなります。皆さんも知らない事や分からない事が出てくると、返事に困ってあいまいなフレーズを口にすることはありませんか、まさにその状態になるのです。

銀行の担当者は業務知識を得るために、銀行業務検定という試験を受ける事が良くあります。これは民間の試験ですが、銀行や証券会社、生損保といった、金融機関の職員が受けることが多く、上級クラスの合格者には会社の内部規定で手当てが支給されたり、管理職登用の要件の一つになっていたりします。

この銀行業務検定の中に「外国為替」があります。2級と3級があり2級が上級レベルです。外為担当の管理職としてのふさわしい知識や判断力を問うものです。(ちなみに外為1級はありませんのでこれが最高位です)ところがこの外為2級ですが出題される内容は見事なまでに、外為業務そのものです。

貿易実務に関しては、設問の背景としてふれる程度です。要は銀行員にとって貿易実務は無縁に近い存在なのです。私は銀行員のころ周囲の人から、「貿易に詳しい人」という評価をもらっていました。これはある時、貿易実務と外為実務の違いに気づいたので、それ以降は自分の担当先などから、積極的に貿易関係の事を教えてもらって、ちゃっかりそれを自分のものとしていたのです。(門前の小僧ですね)

自分でいうのも変ですが、私みたいな便利づかいが、皆さんの目の前に上手く現れるとは限りません。結局のところ銀行員は貿易を知らないという認識で、銀行とお付き合いくだされば、失うものは少ないと思います。

関連コラム:

銀行との上手な付き合い方-貿易と外為

2017/05/26

ついに「東銀」の名前が消える?

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日経紙上で扱いは小さいながら、私にとってはショッキングな記事が出ていました。来春にも三菱東京UFJ銀行の行名から、東京が消えるというのです。

東京とは地名ではなく同行の母体行の一つ、「東京銀行(略して東銀)」のことです。来春からはこの名前が消えるというわけです。

外為をやっている人間なら、「横浜正金銀行」の流れを引く東京銀行(Bank of Tokyo)の、凄さを知らない者はいません。

質の高い外為サービスを提供することができる「東銀」は、我々にとって最大の強敵で、どんな好条件を出しても、頑として東銀から外為を移してくれない。そんな鉄板先が何社もありました。

それほど東銀と外為の結びつきは強いのです。実は我々も「東銀」の外為には敬意を払っており、毎日の公示相場では東銀のレートと異なるものを、公表するには勇気がいりました。

銀行によっては東銀レートの発表後、自行レートを公示するという、「後出しじゃんけん」まがいの所もあったぐらいです。
このような話は国内にとどまりません。海外の銀行も日本の銀行と協議したいときは、まず東銀に声をかける。というのが不文律でした。それほど「東銀」は信用されていたわけです。

バブル崩壊後の金融再編時、「東銀」は最強の花嫁候補として、我々の注目の的でした。そんな「東銀」は1996年に旧三菱銀行と合併し、東京三菱銀行となったのはご承知の通りです。

さらに2006年には旧UFJ銀行が加わり、三菱東京UFJ銀行となり現在に至ります。和文名では三菱が先頭に出ていますが、現在でも英文名は「The Bank of Tokyo- Mitsubishi UFJ,LTD.」です。

また外国送金に使われるSWIFTコードは旧東銀のものが、現在でもそのまま使用されています。
こんなことからも「東銀」ブランドの強さが偲ばれます。

そんななかで行名から「東京」を消すというのは、もう「東銀」ブランドに頼らなくても良い。という自信の表れと思えます。ブランド戦略として「東銀」は現在でも有効としても、現実の問題としてすでに合併から20年余が経過し、旧東銀の人材も大部分が第一線を退いている現状では、このような動きは当然ともいえます。

同じメガバンクの新行名でも、「さくら住友銀行」あるいは「住友さくら銀行」とすればよいのに、三井を復活させて(旧住友側の強い要請?)、結果として混乱してしまった三井住友銀行に比べ、三菱の人たちのしたたかさには、感服するしかない。というのが、正直な気持ちです。

2017/05/18

銀行のボンド(Bond)ってなんのこと?

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今回は銀行発行の海外向け保証状のお話です。実はこの保証状ことをボンド(Bond)と呼びます。

ボンドは普段必要になる人は、そんなに多くありません。ところが海外での入札や、長期間にわたる輸出、新規客からの前受金受取などで、海外取引先から銀行のボンドを要求してくることがあります。

日本流でいえば「銀行に一筆書いてもらってほしい」のイメージです。相手としては銀行のボンドを確保しておけば、万一の時に銀行から補償金がもらえるのです。上手い方法だと思います。

さて日本側としては要望に従おうには、銀行にボンド発行を頼まねばなりません。ところが銀行担当者は余り目にしてないので、腰が引ける担当者がほとんどです。そんな担当者に取り組んでもらうには、少々コツが要ります。その辺をお話ししていきたいと思います。

まず海外からボンドの発行依頼が来たときには、先方が自前の様式を持っていて、それを使うのかどうかを確認してください。相手が大手であればあるほど、自前様式で発行を要求してきます。この場合はある意味簡単です。その書式を持って銀行におもむき、担当者に発行を依頼するのです。

ただこの時には、銀行担当者に必ずいつまでに必要かを、言い込んでおいてください。だれしも不慣れなことは後回しにしがちです。そんなことで優先的に後回しにされてはかないませんので。こちらとしては期限を切って、プレッシャーをかけるわけです。

さて問題は決められた書式が無い場合です。この場合は銀行の「ひな型」を使うことになるのですが、ここでのポイントはそのひな型を銀行からもらって、海外の相手のOKを取り付けておくことです。

私も一度失敗してしまったのですが、自行様式でのボンド発行後、お取引先から海外から修正要求があったと言われ、修正部分を見ると、実際は内容の変更だったことがありました。この場合は再稟議となります。本部で再度審査をしてもらったのですが、リーガルチェックのため法務部門にも稟議書が回付され、時間がかかってしまい、お取引先の心証を害してしまいました。

もちろん事前にお取引先には、当方ひな型でOKをいただいていました。ただ海外の取引先はそんなことは知らなかったので、
お気に召さなかった海外からのクレームとなったものです。

いずれにしてもせっかくのボンドです。相手がOKしてくれなければ、何の意味もありません。銀行の担当者任せでなく、海外との連絡を密にして、必要十分なボンドとしたいものです。

ここまで書くと、銀行はボンドに対して消極的?となりそうですが、ボンドの裏付けを必要とする外為取引は高額案件や、長期案件など、銀行にもメリットの大きい案件が多いので外為をやっているものにとって大変おいしい話になります。

銀行の窓口では、その点に触れるのも一法と思います。その点は次回機会があれば、もう少し詳しくお話しします。

関連貿易用語:
Performance bond 

2017/05/16

銀行はなぜサレンダーB/Lを嫌がるか

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最近、海上輸送でサレンダーB/Lの、取り扱いが増えてきました。輸出者、輸入者双方にとってメリットがあるこの制度、銀行に話を持ち込むと、途端にトーンダウンしてしまうようです。

なぜ銀行はサレンダーB/Lを嫌がるのか。今回はそのお話です。

元々サレンダーB/Lは海上輸送の高速化により、「海外から貨物が来た!船荷証券は来ない!通関できない!」こんな話が頻発するようになったため、これを解消するために考え出されたものです。(ちなみにこの書類の来ない困った状態を、「船荷証券の危機」と呼びます。)

この制度は海上輸送の高速化に対応したものとして、一定の効果があるのは、私のような銀行関係者でも理解できます。ただ銀行の都合で考えると、風向きが少々変わってきます。

このB/Lは銀行で取扱出来ない可能性があります。正規に発行されたB/Lなのになぜ? 不思議に思われるかもしれません。しかしここに問題点があります。具体的には次の2点が主要なものです。

一点目はサレンダーB/Lの持つ非有価証券性です。
銀行で初めて外為を担当すると、必ず教わることの一つに、「B/Lは有価証券。Airway Bill (AWB)は証拠証券。」というのがあります。この短文の持つ意味は、B/Lすなわち船荷証券には、貨物そのものの財産的価値がある。それに対してAirway Billは貨物の受取事実を表したものであり、財産的価値は無い。(つまり受取の証拠にしかならない。)ということです。

言い替えると、銀行から見ればB/Lには担保価値がある。しかしAirway Billには担保価値が無い。B/Lであれば万一の時には、貨物を処分して資金を回収できる。よってB/Lを確保すれば安心である。こういうロジックになります。

これは輸出側銀行でも、輸入側銀行でも同じことです。ところがサレンダーB/Lになると、B/Lは輸出地ですべて一旦、船会社に返却されてしまいます。そして再度輸出者に交付されたB/Lには、「Surrendered」と表示されるのが普通です。一見すると何の変化もなさそうですが、この一連の手続きでB/Lの有価証券性は消滅しています。

これは銀行にとっては由々しきことで、担保価値のないものを、買い取るわけにはいかない!こういう判断につながるわけです。

二点目はL/C(信用状)取引の場合によく見られるのですが、銀行によってサレンダーB/Lへの対応がまちまちなのです。まるで認めないという銀行もあれば、普通のB/Lと同じように扱う銀行もあります。これはL/C取引の根拠となる信用状統一規則に、
その定めがない点が大きく、結局対応は都度当事者間での特約でやりましょう。こんな形になります。

こんな問題点のあるサレンダーB/Lですが、Seaway Bill(海上運送状)の普及が今一つの現在、その利便性は高く評価できると思います。これは全くの想像ですが、次の信用状統一規則ではサレンダーB/Lについて、言及する可能性は充分にあると思います。

参考コラム:
サレンダーBLをうまく活用して貿易実務をスムーズに! 

2017/04/27

銀行員のお昼ごはん

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今回は外為や貿易実務を離れて、ちょっと銀行員の日常を覗(のぞ)いてみます。

銀行のお店は、開店から閉店まで休むことがありません。ほとんど窓口を閉めずにフル営業です。お昼休みにいっても窓口はやっているし、工場みたいに交替で勤務しているわけでもなさそうだし。

ヒョットして15時にシャッターが下りてから休むのかな?それともまさか休みなし?んー。どうしているのだろう?そんな疑問が湧いてきませんか。

実は銀行員は目立たないように、交替で休んで食事を取っています。交替回数を多めにして、仕事をしている人間を確保しています。通常は11:30から30分刻みで、昼食休憩とする店が多いようです。12:30までの3交代で、みんなが一時間の昼休みをとります。この体制ですとその間は、2/3の人数を確保できることになります。

私は入行したての頃、これが当たり前と思っていたので、レストランのランチタイムはこれに合わせているのだと思っていました。(大いなる勘違いですね)

このように昼食は交替で取るのですが、意外に知られていないのが厨房設備の存在です。銀行によって違うので断言できないのですが、よほどの小規模店舗でなければ、各営業店には厨房設備があります。つまり行員は、出来立ての食事にありつけるのです。味付けや献立に不満が出る場合もあるのですが、雨の日や忙しいときなどは、外に出なくてもいいので本当に助かりました。

しかも人件費や光熱費は銀行持ちで、自己負担は材料費と光熱費ぐらいなので、一食当たり自己負担は175円ぐらいでした。(20日喫食として)外で食べればこんな金額ではとても無理ですから、お財布にも優しかったと、いまさらながらに納得してます。そんなこんなで銀行の人間は、意外に外で食べないようです。

ただ良いことばかりではなくて、よくあったのが食堂で食べていると内線電話が鳴って、下から「お客様ですよー。」と無情の呼び出し。お客様は神様ですから、何をおいても駆け下りて、「いらいしゃいませ!」と明るく応対です。手続きを済ませて食堂に戻るころには、食べかけのお昼は、文字通り冷や飯になってしまう。というのは半ばお約束でした。(皆さんお越しの節は、どうぞ事前にご連絡を!)

そんな事があっても、お昼はみんな楽しみにしていて、貴重な息抜きの時間でした。いまでも銀行員生活の良い思い出です。

2017/04/11

取引銀行が合併した(その2)気になる4点

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前回に引き続き、取引銀行が合併した時のお話です。

前回銀行の合併では、主導権を握った銀行はどちらか?この見極めが重要と申し上げました。

これは以下の点と密接に関連するからです。ここで注目すべきは以下の4点です。(前回同数ですが偶然です)

1点目:取引店は統合対象ではないか

銀行の店舗は駅前や繁華街の一等地が多く、合併で同じ銀行が二つ並ぶということがよくあります。同じ商圏に二つも要りませんから、真っ先にこのタイプが統合対象となります。しかしこのごろは、店が離れていても安心できません。効率化の名のもとに、離れていても統合する場合があります。自分の取引店が対象かどうか、確かめて下さい。特に「被合併行」が取引銀行なら確認は必須です。

2点目: 口座番号が変更になるかも

前回4点目でお話しした、基幹システムに密接な関係があるのですが、システムが変わると口座番号体系も変わるため、従来の口座番号が変更になる事が頻発します。商売上これは大変に困ります。よくお客様から「合併で何が困ると言って、口座番号が変わる事が一番困る。」とよく聞かされました。

そう言われてもどうしようもないのですが、利用者としては注意すべき点です。なおこの場合は自分の取引店が「合併行」サイドだと言っても安心できません。二つの店が一緒になり口座番号が重複すると、銀行は特段どちらサイドの口座かは意識せずに、機械的に番号を変更してしまうことがあります。(過去の例では、口座開設日の新しい方を変更しました。)

3点目: 融資シェアの見直し

銀行は他行動向に「異常に」敏感です。銀行担当者は自分の担当先が複数銀行と取引している場合は、銀行別の融資残高の割合(これを融資シェアといいます)推移に最大の関心を向けます。合併はこの融資シェアを大きく動かします。いままでよその銀行と思っていた数字が、自分の銀行の数字になるのですから、半端な話ではありません。

この場合、新銀行として合計した融資残高を、そのまま引き継ぐのなら問題はありません。しかし残高調整をして融資シェアを見直すのなら問題です。多くすることはまずないので、残高の縮小を考えることになります。

これはお客様から見れば、融資の一部引き上げです。もし自社の業況が良くなかったり、銀行との関係が今一つであるなら、融資の返済を求められるかもしれません。これは非常に大きな問題になる可能性があります。合併の時は注意してください。

4点目: 銀行持株の放出

今までの3点に比べれば、はるかにその例は少ないのですが、自社株を銀行に保有してもらっている場合があります。(株式は上場、未上場を問いません)合併すると銀行はあなたの会社の株を手放す。こう通告してくるかもしれません。

いきなり「手放す」と言われても、すぐに代わりが見つかるとは限りません。昔なら株式持ち合いも多くありましたが、今では持ち合い解消がトレンドです。

銀行の持ち株放出は融資引き揚げと異なり、持ってもらっている会社側としては抵抗しにくい面があります。株を持ってもらっている場合は、放出の可能性に留意してください。

以上で銀行の合併にまつわるお話は、終了させていただきます。

2017/03/28

取引銀行が合併した(その1)主導権は?

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先日も関西の地銀3行が、実質合併との報道がありました。銀行が合併すると、皆さんにもいろいろ影響があります。

今回は、取引銀行の合併でどんな影響が出るのか。これを二回に分けてお話しします。

先ず考えるのは合併と聞いたら、自分の取引銀行は合併する方なのか、される方なのかの見極めです。ここからは合併する方を「合併行」、される方を「被合併行」と呼びます。

皆さんの取引銀行が「合併行」なら一安心です。今までどおりが前提です。しかし、「被合併行」ならそうはいきません。場合によっては大変な思いをする場合があります。

ではどこでそれを見分けるのか。よく商業登記上の存続会社が「合併行」では?と聞かれるのですが、実際は「被合併行」を存続会社にする例もあり、一概には言えません。(これを逆さ合併といいます)

具定例では、三井住友銀行とわかしお銀行があります。実は登記上の存続会社はわかしお銀行です。合併後に名前を三井住友に替えて、表面的には三井住友銀行が、存続したようになっています。元から有った三井住友銀行は、合併で登記上消滅しました。

これは特別な例かもしれませんが、それはそれとして見分け方を4点ご紹介します。

1.新銀行名に注目

新銀行の名前に注目です。どちらかの名前でスタートならそちらが「合併行」です。まったく新しい名前ならこの点からは判断できません。注意すべきは二つの銀行を合わせた場合です。この場合は力関係がハッキリしていれば、強い方が先になりますが、「対等の精神で合併」をうたうようであれば、後に来た方が合併行の場合が多いようです。

2.新頭取はどちら出身か

合併では新銀行の頭取が重要です。新銀行の頭取を出した方が、主導権を握っています。見返りとして会長は被合併行の頭取がなる場合が多いのですが、このごろはこれに持株会社が絡んできて、さらにたすき掛け人事を行う場合もあります。

3.本店はどこか

力の差があれば「合併行」の本店が、そのまま新本店となります。ただ全く別の場所に変えたり、大きな都市の方が便利だからと、「被合併行」本店を、新本店にする場合もあります。

4.基幹システムはどちらの銀行のものを使うのか

銀行はシステム構築に莫大な費用をかけています。銀行が新しくなったからと言って、新しいシステムを作るのでは、費用と時間が掛かり過ぎます。そこで一方の銀行のシステムに寄せるのですが、このときの基準がシステムそのものの優劣よりも、「合併行」のシステムが、そのまま新銀行のシステムになる場合が、本当に多く目につきます。

つまりシステムが変わった方が「被合併行」であり、そちら側と取引していたのなら、大きな影響を受けることになります。(中にいる行員もここが一番ネックです。)

次回はこれらを踏まえて、留意点をいくつかお話しします。

2017/03/27

海外からの送金「念書扱い」入金はなぜ恐い?

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海外から送金が到着して、銀行から送金内容が一部違うので、念書があれば入金します。と言われることがあります。

実はこれ大変なリスク取引です。今回はこのお話です。

海外から送金を、外為では被仕向送金と言います。海外への送金を仕向送金というのと、反対の概念になります。

この被仕向送金。海外の送金依頼人(多くは自分の商売相手)が、海外の銀行から日本にある自分の取引銀行に、電信送金の形で資金を送ってきています。

通常は自分が相手に依頼して送ってもらうので、内容が違ってくるはずはないのですが、実際はよく間違いがあります。

例えば口座番号の入り繰りや、英文社名の表記相違等々、その内容は様々です。こんな時、銀行は受取人であるあなたに電話をしてきて、念書があれば入金処理します。と言ってきます。ほとんどの人が問題なさそうに思って、そのまま念書にサインすると思います。これでめでたく入金です。

ん!? 別に問題ないじゃない。そう思われるのは無理有りません。じつは被仕向送金の性質を考えると、この念書が危ない事限りない話なのです。

被仕向送金は仕向銀行(海外の銀行)の指示により、被仕向銀行(日本の銀行)が入金して、はじめて取引が完結します。この前提は仕向銀行の指示を、被仕向銀行が100%守ることが前提です。つまり指示された通りの(たとえ合ってなくても)口座番号や口座名義(口座の名前です)に、入金しないといけません。そうしませんと、仕向銀行から「送金が間違っていたので返して欲しい。」と言われた場合、受け取った銀行には返却義務が生じます。

念書入金は、受取人自ら仕向銀行の指示と違った入金で構わない。これを認めることに他なりませんので、仕向銀行からの返却要請(組戻しと言います)には、絶対に従わねばなりません。つまり一旦入金になった送金でも取り消されてしまう。こんな状態になってしまいます。

念書を差し入れるというのは、皆さんが責任を持つことを認めることです。仕向銀行からの組戻し依頼は、考えている以上によく発生します。その多くはマーケットクレームがらみです。一旦問題が発生すると、不正確な送金で入金しているので、入金そのものが受取側に分が悪いことが多く、なくなく返金に応じることになります。

こんな事態は絶対に避けるべきことだと思います。では、どうすれば良いのか。当然の疑問です。

結論から言えば、こんな時は面倒でも被仕向銀行から、仕向銀行に照会をしてもらって、正しい内容の送金指示に訂正してもらって下さい。照会の費用や時間の問題はありますが、その後のトラブルを考えたら、ここは踏ん張るべきと思います。

特に新規の取引先やクレーム先の場合は、「急がば回れ!」です。ぜひ心がけて頂ければと思います。

参考コラム:
『銀行から「送金がキャンセルされた。返金してほしい」と言われた』

2017/03/22

先行き不透明な為替相場にどう対応する?

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よく皆さんから為替変動について聞かれます。

為替リスクへのヘッジ方法はいろいろと出ていますが、為替変動への取り組み方針については、書かれたものは少ないようです。そこで今回は、ここにフォーカスを当ててみたいと思います。

かつては当たらない物の代表に天気予報がありました。厄除けのおまじないになっていた時期もあります。「天気予報、天気予報」とつぶやけば、厄に当たらないということです。(もちろん今はよく適中します!)

今でいえば社会情勢の予想が当たらない筆頭でしょうか。昨年一年を振り返っても、英国のEU離脱と米国大統領選挙の結果を、二つとも的中させた人は皆無のように見受けます。為替相場の動向は、こんな社会情勢に大きく影響を受けます。これから円高に行くのか、円安に行くのか、確信を持って他人に断言できる人は、まずいないと思います。

貿易をやっているみなさんは、こんな状況でも、資金決済にはドルやユーロとの通貨交換が必要になります。せっかく商売本体で利益を確保しても、為替相場で損を出しては元も子もありません。そこで自分よりは少しは詳しいだろうと、銀行の担当者に意見を求めるわけです。

しかしこちらも特別な情報は普通無いので、断言できないのが正直なところなのです。しかしそれではお話になりませんので、以下のポイントをお伝えするようにしています。

先ず一点目は、「資金決済で為替リスクは取らない。」です。あくまでも商売を決めた段階(遅くとも取引を完了段階)で、
為替相場を確定させることです。取引が終わっても、相場が未確定では危険すぎます。為替予約をとるのでも、外貨決済するのでも構いません。とにかく為替リスクをヘッジしておくべきです。

二点目は、「為替リスクのカバー率を決める。」です。通貨交換すべき金額の内、どれくらいの割合で、為替ヘッジをかけるのかを数字で表したものです。0から100%までの決め方があります。

実は一点目のお話は、カバー率を100%にすることです。カバー率100%だとその商売自体の採算は確定しますが、為替相場が大きく動いて、商品市場に大きな影響が出た場合、それをフォローし難くなる面があります。そこで通常はある程度フリーハンドを確保するために、為替をあえて100%押さえないようにするわけです。

実際のところカバー率はまちまちですが、少ないところで30~50&%、多いところでは90~100%のようです。ざっくり言って粗利の範囲内でリスクをとっている。そんな印象です。

三点目は、皆さんご自身で思うところはあっても、長期(一年超)の為替予約は取らないです。長期為替予約はもちろん可能ですが、実際のマーケットでの出会いが限られるため、どうしてもリスクプレミアムが高くなりがちで、それが確定する予約相場に影響してきます。(もちろん悪い方にです)

為替予約の採算確定は一年以内にして下さい。出来れば、3ヵ月ぐらいでつないでいくのが良いと思います。

この3点を墨守すれば、為替で大儲けは無理ですが、大損もしないといえます。今後も不確実な情勢が続くと思いますが、くれぐれも「為替で一山!」とは思わないようにして下さい。

2017/03/06

放っておけない!外為にもマイナンバーの波が

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マイナンバーと言えば、国内取引が対象と考えがちですが、実は外為でも必要になる事があります。今回はその点についてお話しします。

マイナンバーそのものについては、イロイロと発表されているので、ここではあえて触れないようにしますが、皆さんのお手元にも、マイナンバーが記載された、通知カードが届いている事と思います。

正直言ってここにある12桁の数字を見ても、愛着もわきませんしとても覚える気もしません。とりあえず無くさないようにしておこう。こんな気持ちの人がほとんどと思います。

しかしこのマイナンバー、必要な場面が着実に増えています。例えば証券会社の口座を開くときや、税務署に確定申告をしようとするとき必要になります。このような行為の中に、銀行取引もあるのです。しかも一見まったく無関係に見える外為取引に、マイナンバーの申告が必要なのです。

ではどのような場面なのでしょうか?

想像なんかする方が、無理でしょうね。私も最初に聞いたとき、一瞬グッと詰まりましたから。答えをお話しすると、マイナンバーが必要になるのは、海外送金や、海外からの送金受取の場面なのです。但し正確には、銀行との取引に必要なのではなく、銀行が当局に報告するために必要なのです。

そうなると別の疑問が湧いてきます。

銀行は何をどこに報告しているのだろう。こんな疑問です。答えは「銀行は取り扱った海外との資金のやり取りをすべて、税務署に報告している。」です。正確には「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」(いわゆる「国外送金等調書法」)という法律に基づいて、一件当たり100万円相当額超の送金取引を報告しているのです。銀行が報告義務者なのですが、この国外送金等調書の右下の部分に、マイナンバーを記入されるように様式が改まっています。
(2016年1月1日からです)

この結果として銀行は、皆さんにマイナンバーの申告を求めてくるわけです。ただ現時点では銀行の対応は一律ではありません。これは3年間の猶予期間があり、その間にマインナンバーの申告を受ければいいと考えるか、やがて必ず必要なのだから早めに申告を受けようと考えるかの違いのようです。

とは言え法律で定められたことですので、いずれマイナンバーを届出はしなければなりません。ただ個人番号カード(通知カードではなく写真付きのもの)の認知度が今一つのため、このような手続きの本人確認に、別の本人確認資料が必要となるといった、奇妙な現象が起きているようなので注意が必要です。

もちろん個人番号カードが、マイナンバー制度では一番の確認資料であることは論を待ちません。この点をもっと周知徹底すべきと思いますが、3年間の猶予期間もあり、お役所の対応が今一つピリッとしないため、銀行の対応もまちまちと考えられます。

2017/02/27

サインは印鑑の代わりにあらず!

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外為では当たり前のことが、普通の銀行業務ではレアケース。こんなことがよくあります。今回はそんなことの一つです。

銀行員は印鑑をとても大切にします。皆さんが窓口で何かを依頼しようとすると、「今日は印鑑をお持ちでしょうか?」と担当者から聞かれます。まるで合言葉のようです。

昔の人はここの部分をつかまえて、「銀行に行くときは、傘は忘れても印鑑は忘れるな!」とよく言ってました。さすがに今はそうではありませんが、それでも何か手続きするときは、印鑑を求められます。

これは皆さんとのやり取りで何か問題が発生したときには、銀行としては、皆さんからの依頼だという証拠が必要なのです。印鑑をついてもらうのはその重要な証拠となるのです。依頼書などに届け出印(ここ肝心です)が押してあれば、銀行は事前に皆さんの意思確認を行ったとの証拠となり、銀行に責任なしと判断されることになります。(これを免責といいます)

皆さんの側から言えば、銀行というところは何かと言えば、すぐに「印鑑!印鑑!」と本当にうるさい!となりますが、そんな事情が隠されているわけです。

さてそんな印鑑ですが、法律上は個人取引の場合、印鑑は必須ではありません。署名(いわゆるサインです)でOKなのです。銀行によって、個人は署名だけで口座開設OK。というところも出てきましたが、まだまだ印鑑は必要とされるようです。

たとえサインでOKであっても、印鑑はお持ちですか?といったやり取りをしたうえで、やおらペンで印鑑代わりに所定欄に書き込むとなります。人によっては書いた部分をグルッと丸で囲む。このようにされる人もいます。(印鑑を押したイメージでしょうか)こんなに大事にしている印鑑ですが、外為取引では基本的には一切使いません。

考えてみれば印鑑を使用している国・地域は、東アジアのごく一部の国です。(台湾、韓国、中国などです)それ以外の国や地域はサイン取引ですので、外為がそれらの国や地域を相手にする以上、印鑑に固執(こしゅう)するわけにはいきません。

サイン取引が大原則となるわけです。もちろん皆さんが銀行に提出する書類は、印鑑であっても構わないはずですが、
他はみんなサインなのにそれだけ印鑑というのも、何だか変ですし、皆さんも銀行も余計な手間です。さらに外為の書類は英文のものが多く、サインで統一したほうがスマートです。

そんなこんなで、サインをお客様にお願いするわけです。ただいくつか留意点があるので、ここではそれをお示しして、今回は終わりにしたいと思います。

2017/02/18

銀行員は高給鳥!?

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高給取りの代名詞のように言われる銀行員ですが、本当にそうなのでしょうか。今回はその辺のお話です。

今も昔もそうですが、給料が高いか安いかは、サラリーマンやその家族にとって、最大の関心事です。

自分の会社内での位置付けもさることながら、他の業態はどうなのかも非常に気になる事ではあります。それではよく「隣の芝生は青く見える」の代表例として挙げられる、銀行業界ですが行員の給料は実際どうなのでしょうか?

ネットを見るといろいろと出てきます。概ねそこにあげられた数字は多業態に比べて高額であり、一般に「銀行員は高給取り」と言われるのは、ある程度社会的コンセンサスなのだと思います。自分の経験に照らしても数字はそれなりです。むしろもう少し多かったかもしれません。

しかし、ここで声を大にして言いたいのですが、これらの数字は所定労働時間のものと推察しますが、正直言って、いわゆる就業時間が半端ではありませんでした。朝から夕方までずっと仕事をしていた印象があります。

例えば朝は開店準備や訪問準備があるので、みんなそれなりに早く出社していました。5分や10分では準備はできません。もっと前です。日中は店頭での接客や、外を回ったりしますので、他のことをする余裕は全くありません。夕方以降にようやく自分の時間が出来ます。報告書を書いたり稟議を書いたり、打ち合わせや会議をします。なんだかんだとあっという間に時間はすぎてしまいます。

当時はコンビニが普及し始めたころでしたので、その営業時間とわが身の就業時間を重ねて、よく「〇ブン、〇〇ブン」だと自虐ネタにしていました。こんな状況ですから、当時銀行は高給だといわれても、まったくピンと来ませんでした。

給料を就業時間で割ると、学生のアルバイト並みになってしまい、心底メゲテしまった経験があります。所定の労働時間はもちろん決まっていたし、残業すればそれに見合う手当ても出ていました。ただ高給取りの実感なぞ全くありませんでした。

こうなると何を持って高給取りと判断するのか、大いに疑問を感じてしまいます。もちろん今はそんなことはあり得ないでしょうが、それでも某大手広告会社の話を聞くと、いまでも深い闇みたいなものが、ひょっとしてまだ有るのか?と思ってしまいました。

隣の芝が人工芝だったり、本物であっても大変な時間と労力の賜物ということは、多々あります。
何事も上面で判断するのは危険!と、遅ればせながら考えるようになりました。

2017/02/08

外為取引にも消費税が付くのはなぜか?

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銀行の外為計算書を見て、不思議に思う人はいませんか。消費税が付いていたり、付いて無かったり。いったいなんでこうなるのか。一度整理してみる必要がありそうです。今回はそんな外為と消費税のお話です。

消費税が初めて導入されたのは、1989年4月のことでした。1989年といえば昭和64年であり平成元年でもあります。もうずいぶん昔の話になってしまいました。消費税の歩みは平成と大いに重なると思いませんか。私とすれば28年もたったのか、というのが正直なところです。

さてこの消費税ですが、広くいろいろな場面で出くわします。でも外為取引ではめったに目にすることはありません。なぜでしょうか?

じつは外為取引が消費税の課税対象としていない取引すなわち非課税取引に該当しているからなのです。法律上は非課税とする項目の一つとして、「外国為替業務に係る役務の提供」を挙げており、これが税金のかからない根拠となっています。

つまり本来課税対象としてもいいのだが、対象としてなじまないと政府が判断して、非課税の取扱をしているわけです。ちょっとややこしい話になりますが、これに対して元々対象外となる取引を「不課税取引」といいます。一見すると外為取引はこれに該当しそうですが、税務当局の考え方は、外為取引はあくまでも非課税取引です。

時々、外為取引に消費税は関係ない。と言い切る人がいます。外為取引の特殊性を踏まえての発言と言えますが、これを強調しすぎると外為取引=「不課税取引」と、誤認するようになりかねません。個人の主張は兎も角として、税務当局はあくまで、外為は「非課税取引」であるとしている点に注意が必要です。

さて外為取引が非課税取引であるのは理解できたとして、では外為と名が付けばすべて非課税か、というとそうではありません。ここが話をややこしくしています。

これはある意味きめの問題なのですが、税務当局として外為取引そのものは非課税取引としても、その周辺業務は非課税取引とは認めていません。たとえば海外送金手数料は非課税でも、外為WEB取引の手数料は課税取引とする。このような感じです。

このような背景で外為の計算書には、消費税があるものと無いものが出てくるのです。

銀行計算書の内容を疑う人は少ないと思いますが、外為取引に関しては、消費税がかかっているかどうかを、一度確認してみることをお勧めします。

2017/01/28

回転する信用状!(Revolving L/C)の話

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輸入を生業(なりわい)にする人にとって、商品の安定確保は、絶対に譲れない生命線です。ここで活躍するのが信用状(L/C)です。

ところが信用状は、都度銀行に開設を依頼する必要があり、煩雑さは馬鹿になりません。こんな悩み解消の一助にと思い、今回は回転する信用状の話をとりあげました。

まず冒頭お断りしなければならないのは、回転する信用状といっても、別に発行された信用状が、相手の手許でくるくる回るわけではありません。

回転するのは信用状の残高です。実は一定の条件のもとに復元するのです。ですから「残高復元信用状」とでも表現すれば良いのですが、英語で「Revolving L/C」(リボルビングL/C)と呼んでおり、日本では訳して「回転信用状」と称しています。

ちなみにクレジットカード取引で使われる、リボ払い(リボルビング払い)はクレジットガード利用者が、毎月一定の金額を払うという点では、この信用状の輸入者とよく似た立場になります。

さて回転信用状の取扱はといいますと、輸出者の手許に到着した時点では、普通の信用状と特に変わりはありません。
信用状金額と期間が記載されており、それに従って船積すればよいわけです。

ただ普通の信用状はそれで用済みで、次の船積には新しい信用状が必要となるのですが、この回転信用状では一定の期間(通常は一月)が経過すると、残高が自動的に当初の金額にもどり、期間も延長となります。この動きが回転の所以といえば、お分かりいただけますでしょうか。

この部分、輸入者は特に手続きは要りません。当初の信用状に回転条件が記載されているからです。こんな便利な信用状ですが、信用状取引をしていても、今まで一回もお目にかかったことは無い。と言われる方が圧倒的だと思います。私もその点では同感です。私のいたメガバンクでも、回転信用状を発行していたのは、全国で10社もありませんでした。ほとんどの営業店では取り扱いが無いので、担当者も知らない人がほとんどでした。

ではなぜこのようなことが起きていたのでしょうか。
じつはその原因は、回転信用状に対する銀行の与信判断が、ある意味特殊だからです。

例えば金額USD100千、期間一ヶ月の信用状を開設するときは、金額で与信を判断します。ところが回転信用状の場合は、それだけでは足りません。判断要素に残高復元の回数が加わります。一年間であれば12回が掛け算されます。見ようによっては残高が回転しているようです。つまり通常の信用状に比べてこの例でいうと、12倍の与信金額になるのです。

輸出入の当事者にはUSD100千の信用状であっても、信用状を発行する銀行にとってはUSD1,200千!になるのです。これでは簡単にOKは出来ません。こんな事情もあって、少なくとも銀行からは回転信用状を、売り込むことはまずしません。そのためほとんど利用されることもなく、銀行担当者にも知られることが無い。というわけです。

しかし、輸出者にとって使い勝手の良さは抜群ですので、商品をどうしても確保したいが、前金を払うほどの資金的な余裕はない。

こんな時には銀行担当者にこの信用状の話をぶつけてみて、検討させるのも一案と思います。

関連貿易用語:Revolving LC

2017/01/24

銀行が「取引枠」を作ってくれた!

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銀行取引が進むと、銀行が枠(与信枠)を作ってくれることがあります。銀行とお客様双方にメリットのある仕組みなのですが、余り「ものの本」には書かれていません。

理由はよく分からないのですが、銀行の方で積極的にセールスしていないのも、原因の一つと考えられます。

今回はこの枠(以下「極度」(きょくど)と言います)について、どういう性格なのか簡単にお話しするとともに、外為ならではの注意点も触れてみたいと思います。

銀行取引の中で大きな位置を占める融資取引は、「与信」と呼ばれる銀行の信用供与が必要となります。外為も例外ではありません。外為でも「与信」が発生するものが多々あります。代表的なものに、輸出の買取や輸入信用状の開設があります。これらの「与信」を総称して「外為与信」と呼んでいます。「外為与信」はお客様から依頼のあった都度、一件ごとにその適否を審査します。

しかし現実にはお客様の信用状況やご商売の中身が、都度、銀行が審査をしなければならないほど、変動しているわけではありません。お客様にもよりますが、顧客満足の観点からも、迅速な取扱いが出来れば、それに越したことは無いわけです。

ここで登場するのが「極度」です。「極度」はあらかじめ銀行が独自の判断で(ここ大事です)、与信取引に金額枠を設定するものです。お客様から見ればこの範囲内であれば、迅速な取扱いが期待できることになります。これは上場企業などに適用されるコミットメントラインとは異なり、あくまでも顧客サービスと銀行業務の効率化のためであり、銀行はお客様の依頼に応じる義務はありません。

多くのお客様は「極度」に対して肯定的であり、銀行もそれに応え「極度」を設定しています。このことは銀行からの通知で知ることになりますが、「極度」を設定してもらったということは、取引を銀行も望んでいる。と考えていいと思います。

また「極度」の期間は一年間が最も多く、その期限はその企業の決算申告後が多いようです。自分の会社との取引を銀行がどう考えているか、「極度」の有無である程度分かりますので、機会を見て取引銀行に「極度」の有無を、聞いてみることをお勧めします。

もし「極度」が無いようであれば、設定を依頼すれば銀行の取組方針が分かります。「極度」設定に難色を示したり、拒絶するようであれば、銀行はこれ以上の取引を望んでないことになります。

さてこの「極度」ですが、外為に限っては注意が必要です。従来から「極度」取引をしているのに、いきなり取り扱いを拒絶されることがあります。『「極度」がオーバーした』と、言われることが多いようです。これはほぼ100%皆さんのせいではありません。

銀行は「極度」を設定する際に、まず円建で金額を決めます。しかし外為取引は円建に限りません。このような円以外の通貨の場合は、一件ごとに円に換算する必要があるのです。

この換算相場は毎月変更になります。この変更時点で円安になっていると、今までの「極度」利用残高が増加してしまい、枠に余裕がなくなります。その結果新たな取扱いが断られるということになります。この換算相場の変更は、月初に行う銀行が多いので、月初の持込みには注意が必要です。

「極度」取引は大変便利な仕組みと思います。重ねての話になりますが、もし利用されていないのであれば、一度銀行の担当者にコンタクトすることをお勧めします。

2017/01/19

NEXIの輸出手形保険が勧められるワケ

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輸出業者にとって、100%代金回収は永遠のテーマです。全額前金ならともかく船積先行であれば、回収リスクを感じながらの、船積が実態と思います。

今回はこの点でご参考になればと思い、「貿易保険」をご紹介することにしました。

外為を取り扱っている銀行に輸出書類を持ち込むと、特にL/C(信用状)なしの場合、「輸出手形保険」を勧められることがあります。

この保険、実は貿易保険の一種で、外為担当者には馴染みの深いものです。保険者は独立法人日本貿易保険(以下NEXIと呼びます)。被保険者は輸出書類を買い取った銀行。保険料の実質負担者は輸出者という構図ですが、保険を掛けた効果は輸出者に及びます。

つまり何かあった時、保険金は輸出者が最終受取人となります。この保険が持つ特徴を見て頂ければ、輸出債権回収の有力な手段となることが、お分かり頂けると思います。

さてその特徴ですが、何をおいても強調したいのは、保険者である独立行政法人日本貿易保険が、極めて公共性の高い法人である点です。この公共性の高さゆえ、取り扱う保険には日本国政府により再保険がかけられており、保険を掛ける側から見れば(つまり皆さんのことです)、実質は国の保険に入ったようなものになるのです。

次のポイントは保険の及ぶ範囲が広い点です。通常の信用危険(例えば輸入者の倒産)のみならず、非常危険もカバーします。ここでいう非常危険とは、輸入国のデフォルトや外貨管理規制の強化による、支払不履行などのことです。

さらに特筆すべきは、不幸にして保険事故が発生したとき、輸出者は信用危険による保険金を受け取った後には、その輸出債権の回収義務がついてまわるのですが、現在ではサービサー(債権回収業者)に、その回収業務を任せることになっており、輸出者はこの義務から解放されています。

こんな特徴をもつ「輸出手形保険」ですが注意点もあります。

一つ目は保険のカバー率の問題です。「輸出手形保険」のカバー率は輸出手形の95%であり、100%ではありません。5%部分はカバーされないのです。これは輸出代金には輸出者の儲け部分が含まれているはずで、公的な保険ではそこまではカバーしませんよ。ということです。

二つ目は保険料と保険の掛け方の問題です。「輸出手形保険」の保険料は輸出手形一本ごとに付保手続きが必要であり、保険料もその都度計算します。実際には手続きも保険料計算も輸出手形を買い取った銀行がするので、輸出者の手間とはならないのですが、面倒は面倒です。

しかしこんな点を考えても、「輸出手形保険」かなりお勧めと言えます。実はNEXIの取り扱う貿易保険にはこれ以外に、輸出契約締結時から有効となる保険や、輸入業者がかけることができる保険など、目を引くものがいくつもあります。

NEXIは大変商売熱心で、個別案件の相談も気軽に受けてくれます。企業に出向いての案件組成にも応じてくれます。その前向きな姿勢には圧倒されそうなことがあります。

所詮はお役所みたいなもの。と食わず嫌いの方がもしおられたら、是非一度NEXIのホームページをご覧になる事をお勧めします。

関連貿易用語:輸出手形保険

参考サイト:NEXI 独立法人日本貿易保険

2017/01/07

海外送金、同じ銀行間でなぜ到着がバラつく?

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海外送金を銀行に頼むと、予想外に早く着いたり、ひどく遅かったりすることがあります。原因を銀行に聞いても、明確な答えはありません。なぜバラつくのでしょうか。今回はこの点を考えてみます。

海外に送金を頼むと同じ銀行の同じ相手に送っても、早く着いたり遅く着いたりします。早い分はいいのですが、遅いとクレームになりかねません。銀行に照会しても通信事情とか、先方事情といわれ、判然としない場合が多いようです。

実は原因はいくつか考えられます。
其の一番目は、海外送金では日本銀行のような便利な決済機関がない事です。日本銀行は「銀行の銀行」として、国内銀行間の資金決済を、一手に引き受けています。

海外送金ではそういう便利な決済金融機関がないので、送金を受けた銀行は、受取人の口座がある銀行との資金受渡しを、どこの金融機関で行うか一件ごとに決めなければなりません。
いわば送金のルート決めを行うわけです。ただほとんどの場合、事前に通貨ごとのルートが決められていますので、そのルートを使えばよい仕組みになっています。

このルート。送金を依頼された銀行によって異なっています。その結果、相手銀行との資金の受け渡しに遅早が生じます。これは主として、送金を依頼した銀行の違いによるバラつきです。この点はその銀行独自の話ですから、いくら聞いてもよその銀行との比較は出てきません。これが第一点目です。

二番目は、送金を依頼された銀行の資金繰りの都合です。どこの銀行でも海外送金に充当する資金は、特定の銀行に集中して置いています。これは別に銀行に限ったことではないのですが、手持ち資金の分散は、資金運用を非効率なものにするからです。

資金は出来る限り集中させて、よそには必要に応じて、資金を振り分けるというわけです。これを海外送金に当てはめてみると、相手の銀行が資金を受け取りたい銀行と、こちらの資金集中して置いている銀行が異なる場合、予め定められた銀行ではなく、あえて資金集中銀行経由にするとか、資金集中銀行から決済銀行へ資金を振り代えるとかするわけです。

いずれにしても何もしなくてよい場合よりも、時間がかかることになります。このような事情に、日本側、相手国側の銀行休日が絡んだりすると、相手口座への入金が遅れるわけです。

送金を受け取る側にとって、いつ送金が到着するかは最大の関心事ですが、いままでお話ししたように、皆さんではどうしようもない事も多々ありますので、バラつきを見込んで余裕を持って、銀行へ取り扱いを依頼されるようにお勧めします。

ルートによっては、相手国銀行の支店が日本にあれば、その支店に送金を依頼したり、送金依頼する銀行と同じ銀行の海外支店に、受取人に別途口座を開いてもらう。といった方法も考えられます。

2016/12/20

AI(人工知能)で外為業務が変わる!?

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いまはやりの人工知能を使っての業務改善の話が、日経に出ていましたので、ご紹介してみたいと思います。

先日、日経の朝刊に「外為業務 AIでカイゼン」と題して、人工知能による外為業務改善について記事が出ていました。扱いがきわめて地味でしたので、掲載されたスペースの割には、気づいた人は少ないのではと思います。

旬な話題でもありますので、僭越ながら私がこの場をお借りして一言。

記事によれば千葉銀行ほか全6行の地銀の雄が参加して、日本IBMの「ワトソン」を使って、共同開発するとの事です。

参加する銀行が地域的に重ならないので、お互いが競合せずにすむ。こう考えた節も見受けられます。また開発する内容としては、主に営業店からの照会への迅速な回答が、期待されているようです。

ここまで読んでいて私は正直言って、うまいことを考え付いたなと思いました。このたぐいの話は、費用対効果(いわゆるコスパ)がネックなのですが、地域的に競合しない6行が費用分担すれば、一行当たり1,000万円はいかないようです。

これは行員一人の人件費とあまり変わりません。加えて人工知能は使うほどにどんどん賢くなりそうですが、生身の人間は同じように使い込んでも賢くなるとは限りません。ということは今後の進展に大いに期待が持てるなあ。こんなことにまで思いを巡らすと、この話、期待以上の効果が出そうと思ってしまいました。

私はメガバンク在職時に、研修セクション所属だったせいか、直接間接に外為への疑問や質問が押し寄せてきました。圧倒的に多かったのは、事務手続きそのものや、定型的な業務に対するものでした。これらの質問は、ほんの少し事務手続きを読み込んだり、一回でも実際にその業務を行えば、容易に解決するものです。

しかし営業店窓口では希少事務と言える「外為」に対して、担当者にそこまで要求するのは酷なのも事実でした。ま、そこに私の存在意義があったのですが。今後これらは人工知能で容易に代替されるでしょうし、人工知能であれば迅速に回答内容もぶれることなく、正解が出てくるはずです。となると、真っ先に私がお払い箱になりそうです。

今後が記事になるかどうか分かりませんが、外為部門が上手く機能すれば、他の業務に展開されるのは、容易に想像できます。となるとますますそこで捻出された時間やマンパワーの活かし方によっては、銀行のあり方そのものが全く変わってくるかもしれません。

そんなことまで考えさせられた記事でした。外為に限らず銀行業務へのAI導入が進み、最終的には人間のやる事が、AIのスイッチのON OFFだけ、といったことにならないように、考えていく必要があると思います。

2016/12/13

銀行との交渉は誰とすべきか?

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今回は銀行内部の組織を少しのぞいてみます。

銀行との取引では「お金」が間に入るだけに、しかるべき相手と話すことが重要です。キーパーソン以外に話しても、さんざん説明や資料を要求されて、挙句の果てにはその場ではOKにならず、後日「総合的に判断した。」と丁寧にお断りされる。こんなことになりかねません。

私は逆の立場でしたが、明らかに話す相手を間違えている、とおぼしきお客様がおられました。

懸命に銀行員に説明をしているのを横目で見て、せっかくの案件なのに上手くいかず「没」になるのかなあ。と思っていました。

では誰に話をするのが良いのでしょうか。

ここで銀行の内側を見てみましょう。銀行の組織は比較的単純です。皆さんが利用する営業店のトップは営業店長です。その下に各セクションのリーダー(課長とかグループ長と呼びます)が続き、担当者がその下で実務を行います。
他にも色々な人がいますが(副〇〇、〇〇役、コンサルタントとか)、これらの人たちはスタッフ・マネージャーが多く、キーパーソンとなる場合はほとんどありません。

このような営業店の中でキーパーソンは、セクション・リーダーの人たちです。彼ら彼女らは担当部門のエキスパート達です。プレーイング・マネージャーですから、案件の起案能力を当然持っています。それと同時に、営業店長に対し強い影響力を行使できます。

「この案件は是非やりたい!」と起案すれば、担当者が取り上げてきた案件より、はるかに実現性が高まります。このことから銀行との折衝では、このクラスの人間を引っ張り出せれば、かなりの確率でOKが出てくると思います。

そう言うと担当者はどうなの。という声も聞こえてきそうですが、担当者は受付窓口としては最適かもしれませんが、
案件のOKを出すためには、上司であるセクション・リーダーの、OKをまず取り付ける必要があります。こちらがセクション・リーダーに直接話せば、その手間が省けます。

さてこのセクション・リーダーとの話ですが、こちらの要望を申し入れるときは、銀行サイドの条件を聞くようにして下さい。たいていの人は言いたいことを言うと満足してしまって、「それではよろしくお願いします。」で終わるようです。これでは案件として取り上げてもらえないときは、例の「総合的に判断して」のフレーズとともに、何も詳細が分からずに、それまでの労力がパーになってしまいます。

銀行の条件を聞き出せば、こちらの申し入れに対するスタンスも見えてきますし、なにより一方的な「謝絶」に会わなくて済みます。さらに回答期限も切っておきましょう。「〇月〇日までにお願いします!」このフレーズも、銀行のペースに巻き込まれないためです。意外にこの期限設定、銀行相手には説得力があります。

どうでしょうか。お役に立ったでしょうか。ぜひこれらを参考に、銀行とネゴ(交渉)してみて下さい。

2016/11/27

小口取引の決済に「送金小切手」は良い悪いか?

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金額の小さい取引の場合、送金小切手を決済手段とする場合があります。
ところで送金小切手は、良い決済方法なのでしょうか。

送金小切手はDemand Draft(ディマンド ドラフト)ともいいます。今もそうですが、特に昔は大変良く使われた決済手段です。別名、Bank Check(バンク チェック)とも呼ばれます。ただ送金小切手はそもそもすべて銀行が振出人であり、銀行サイドではこの言葉になじみが無いので、銀行担当者と話をする場合は、Bank Checkと言っても通じない可能性があります。

この送金小切手、相手が銀行に口座を持っていなくても、資金のやり取りが可能なので、不特定多数を相手にする取引では、大変重宝されてきました。今でも書籍購入、会費や受験料の払い込みに使われているようです。

しかしこの「送金小切手」はいくつかの問題点があり、決済手段として用いる場合は気を付けなければなりません。

たとえば相手から送金小切手を要求された場合には、銀行に出向いて送金小切手を発行してもらったうえで、その小切手を相手に送る必要があります。さらに厄介なのは、盗難や抜き取りにあう可能性があるのです。このような場合に備えて盗難保険をかけたとしても、結局はもう一度銀行に再発行してもらう必要があり、電信送金のように銀行に持ち込んでそれでおしまい。とはなかなかいきません。

逆に、海外から送金小切手をもらうときは、相手が小切手を送ってくれるまで待つ必要があり、電信送金のように即入金とはいきません。現物をようやく入手しても銀行で現金化する際に、手数料が発生する場合が多いので、この点も注意する必要があります。

さらにこれが一番の問題点と思うのですが、米国から来る送金小切手は無事に決済が終わって、手許に資金が入ってきても、その小切手は偽造や変造だった場合は、資金を返却しなければならないというリスクがあります。

この期間は最長4年にも及ぶため、特に米国や英国からの、送金小切手を受領する場合は注意が必要です。(日本はジュネーブ統一小切手条約を1932年に批准しており、このようなリスクは発生しません。)

見かけの簡便さとは裏腹に、このようなデメリットがある送金小切手は、出来れば避けるのが好ましいというのが結論です。

ただ銀行口座を持たない相手に対しても、資金を渡せるというのは確かに大きなメリットといえます。

したがってこれからも一定の需要は引き続きあると言えます。

2016/11/19

相場優遇でドル円の交換レートをまけてもらおう

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今回は通貨交換を銀行にしてもらうときに、あらかじめ銀行の定めたレートではなく、まけてもらおうという話です。(このレートをサービスレートともいいます)

海外との取引がすべて日本円で出来れば、通貨を交換する必要はありません。(当たり前の話ですが)

しかし多くの場合そうもいかず、先方との資金のやりとりで、日本円を相手通貨に、相手通貨を日本円にする作業が必要となります。この作業は銀行に頼むのが一般的ですが、その際使われるのが、日々銀行が発表する公示相場です。

この相場は一定金額までの取引であれば、東京外為市場が大きく動かない限り、終日適用される便利なものです。しかしここには銀行の利ザヤがしっかりと入っているために、実勢相場に比べて利用客に有利とは言えません。普通この相場は誰に対しても適用されると考えがちですが、実は法人や営業性個人(商売をしている個人の人)には、多くの例外があります。

これらレートをサービスしている顧客を総称して、「相場優遇先」といいます。
優遇先になればその銀行での外為取引では、公示相場より必ず良いレートが適用となります。

ではこの優遇先に加わるのは、どうしたら良いでしょうか。

皆さんが銀行の窓口に出かけて、自分も優遇してほしいと言っても、まずその場で断られておしまいだと思います。デパートでいきなり値引きを交渉するようなものです。突拍子もない事を言う人だなと思われておしまいです。

でもこんな時は相手の立場で考えてみると、本音が意外によく見えてきます。銀行が優遇をしてもやむを得ないかな。と思う相手は、平たく言えばたくさん儲けさせてくれる顧客です。たくさん儲けさせてくれるのであれば、その中の一部を還元しても、充分ペイすると考えます。

この儲けの額はいくらと決められてものはありませんので、どれくらい銀行に儲けさせてれば、優遇先になるかというルールは、まずどの銀行にありません。ただ一月に10万米ドルはコンスタントに持って行って、すべて公示相場で取引しているのであれば、交渉の余地は十分にあると思います。これが第一の方法です。

次にこれよりは確度は落ちますが、よその銀行が優遇してくれるという話を、ぶつける手もあります。銀行の担当者はそういわれても、ことの真偽はなかなか確かめられないのですが、貴方との取引を防衛したい場合は、申し出に応じてくれる場合もあります。(このごろは住宅ローンでその例がよく見られます)

ただこの作戦の欠点は、優遇の話に目が行き過ぎて、交渉が決裂して他の銀行に取引を移した場合、受けるサービス内容が劣化してしまった。こんな本末転倒な話になることが考えられます。

もし他の銀行の話をするのであれば、優遇の有無だけでなく、その他の点も考慮に入れて、交渉を進めるほうが良いと思います。

いずれにしてもダメもとで、一度銀行に球を投げてみることをお勧めします。

2016/11/08

輸出で買取と取立どちらが良いの?

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輸出をしていると、初めての相手や大口の相手から、送金決済を断られることがあります。その時、代替手段として出てくる話が買取・取立です。

買取・取立と聞くと、何となく船積書類を銀行に持っていけばいいような気がします。実際はどうでしょうか。今回はそんな買取・取立のお話です。

ここでは話を簡単にするため、信用状(L/C)は考えません。

さて買取や取立の基本は、輸入者に直接船積書類を送る代わりに、銀行経由で書類を送って相手の決済を求めることです。実は買取・取立問わず、銀行に持ち込む船積書類は一緒です。さらに輸入者側(輸入地の銀行や輸入者)の対応も、特に区別はありません。

となると買取と取立の違いは何でしょうか。

ズバリ、一言でいえば輸出者とその取引銀行の関係が違うのです。輸出者は買取では「債務者」で、取立では「委任者」となります。言い替えると、買取は銀行から借り入れしたことになり、取立は銀行に船積書類の輸入者側への送付を依頼したことになります。

つまり買取では受け取ったお金は、不渡になれば銀行に返還する義務がありますが、取立ではそんな義務はありません。ここだけ見ると取立に分がありそうです。本当でしょうか?

手元資金が潤沢で資金回収を待てるなら、取立はいい方法と言えます。しかし通常、資金回収は早い方が良く、資金効率面からも、金利負担はあるものの、買取も充分メリットはあります。

さてその買取りですが、銀行によって若干違いがありますが、概ね無担保与信(いわゆる信用貸)とは違う扱いです。
これは輸出貨物(具体的にはその権利を表す船積書類)が、担保として銀行は確保できる事。買取資金を返済してくれる相手が、輸出者ではなくて輸入者であり、輸出者単体に貸すより、リスクの小さい与信であることが大きなポイントです。

この効果で輸出者は銀行から資金を受けやすくなり、資金繰りが楽になる事となります。我慢して取立を依頼して、
不足する資金は別途借り入れと考えるのなら、買取を検討しては如何でしょうか。

銀行は単に預金をしたり、お金を借りたりするだけでなく、多面的に活用することをお勧めします。

(注)今回はL/Cなしの取引でしたが、D/P(支払渡)とD/A(受取渡)の区別をしていません。

2016/11/1

外為も運転免許証は最強の本人確認資料か?

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外為に限りませんが銀行の窓口に行くと、しばしば本人確認資料の呈示を求められます。

本人確認資料はいろいろとあるのですが、運転免許証は最強と言えるのでしょうか?そうであれば運転免許証が一番となります。
今回はこの点を考えてみました。

結論から言うと、最強と言っていいと思います。

運転免許証を常時携帯していれば、あらゆる場面で本人確認資料として使えます。もちろん銀行の窓口も、です。

ではなぜ最強なのでしょうか。本人確認資料とは、第三者が本人を本人だと確認する資料です。となれば資料には本人を特定する事項が、記載されている必要があります。

すなわち住所、氏名、生年月日が必要です。しかも発行元が信用できないと、意味がありません。言い替えると官公庁が発行しているものが必要です。運転免許証はこれらの条件をクリアーしているわけです。

ただこれだけなら最強とは言えません。
わたしが最強と判断する理由は以下の3点です。
1.圧倒的な知名度!
みんなの認知度が高く、「これなに?」と言われずに済む。
2.写真が付いている。
免許更新センターで撮られた写真が、余り映りが良くないとの話はよく聞きますが。本人確認には十分すぎるくらいハッキリ写ります。
3.本来は運転の免許証ですが、そのまま完璧な本人確認資料になる。
一人二役が重宝されるのは、いずこも同じです。

加えて高齢等で免許証を返納しても、代わりに「運転経歴証明書」を発行してもらうことができ、これもそのまま本人確認資料になり、生涯のお墨付きとなります。

ところで、運転免許証なんて持ってない。と言う人も沢山おられると思います。
そんな時には、「個人番号カード」の取得をお勧めします。すでに皆さんのお手元には、「マイナンバー通知カード」が、送られてきたと思います。これは住民票を有するすべての人に対して、発行されているものですが、このままでは本人確認資料にはなりません。

これに写真を付けた「個人番号カード」となると、今度はこれ単体で、本人確認資料になります。しかも当面の間、発行手数料は無料です。

現時点で「個人番号カード」は、本人確認資料+個人番号確認資料の位置付けですが、将来的にはこれ一枚で、個人に関する手続きが、かなり出来るようになるようです。

となるとこちらの方が、「最強」かもしれません。ただ「個人番号カード」は、カード裏面には、個人番号が記載されているため、情報漏えいリスクがあります。

そこまで考えれば、運転免許証に軍配が上がると思います。

(注)「個人番号カード」のことを総務省のHPではマイナンバーカードと呼んでいます。

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