スエズ運河で大型コンテナ船「エバーギブン」が座礁し航行不能となってしまっていた。こういった事故が起きたときにフォワーダーでは何が起こっているかをお話します。事故の一報が入ると先ずは社内全体に通知が入り、メールなどで全社員に周知させます。|大型コンテナ船が座礁!その時フォワーダーでは?

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大型コンテナ船が座礁!その時フォワーダーでは?

スエズ運河を航海する大型コンテナ船

スエズ運河で大型コンテナ船「エバーギブン」が座礁し、スエズ運河が航行不能となってしまっていた事故は連日ニュースでも報道されていましたね。世界最大級とも言われる超大型船が運河を遮るようにして座礁している映像はあまりにも衝撃的でした。

この座礁事故により起こり得る損失や賠償といった話題は新聞やネットで盛んに取り上げられているようです。では、このような事故が起きたときにフォワーダーでは何が起こっているのでしょうか? 一般的な流れとしてお話したいと思います。

まずは事故の一報が入ると、社内全体に通知が入ります。メールなどで全社員に周知させ、事故の詳細が判明する度に情報が更新されていきます。それと並行して、事故の起きた船舶に自社の手配したコンテナが積載されていないかを確認します。マニフェストや自社のブッキングシステムなどを調べて、早急に対応します。ここで運悪く自社手配のコンテナが積載されていたとなると、一刻も早く顧客へ連絡をするとともにさらに詳細な事故の状況の入手をすることになります。

幸運にも該当の船には自社手配のコンテナが積載されていないと判明すれば、次は、同じスエズ運河を今後通行する船舶には積載されていないかを調べます。事故の影響で運航スケジュールに大幅な変更が発生する事が必至だからです。

欧州方面で現在動いている船を調べ、自社手配コンテナの有無を確認し、該当があれば関係部署に連絡を入れ顧客に情報を提供します。この辺りの作業はスケジュールを確認する側も顧客に連絡を入れる側も非常に骨の折れるものとなり、「何でこんな事故が起こったんだ。。。」と恨み節を唱えることになります。スエズ運河で事故が起きたからといってアジアや北米方面の物流が止まるわけではないので、通常業務と並行しながら対処しなければなりません。

そういった情報収集と伝達をしている間にも、顧客からの問い合わせが入ります。事故の起きた欧州方面での輸出入がある顧客からは、自分たちの貨物にどれくらいの影響があるのかという相談への対応に追われます。また、あまり直接的な関係がなさそうな他方面への輸出入をされている顧客からも、影響がないか確認してほしいという依頼が入ったりもします。

大手企業などですと、「影響の有無を上長に報告しなければいけないので書面でまとめて提出してほしい」などとお願いされることもあります。もちろんお断りをするわけにもいきませんので、緊急業務の合間を縫って必死に報告書を仕上げることになります。

ざっと書いただけでこれくらいの作業が発生しますので、コンテナ船の事故というのはフォワーダーにとっても本当に起こってほしくないものです。今回はさらに、日本において一年で最も業務が集中する年度末に起きてしまいましたので、輪をかけた忙しさであったことは想像に難くありません。

事故が起きて大変なのはもちろんフォワーダーと顧客だけではなく、船会社や運河の管理会社などたくさんの方に影響があります。今後はこのような事故が起きないよう、安全で安心な運航がされることを願うばかりです。

2021/04/04
satomi

個人事業主でもフォワーダーと取引できる?

個人事業主とフォワーダー

輸出入のアドバイスをさせていただいて良く聞かれるのが、「個人事業主ですがフォワーダーを使っての輸送はできるのでしょうか?」ということです。

近年はチャットやスカイプなどのツールが発達し海外と気軽にやり取りできるようになったことや、アマゾンやメルカリなど販売のプラットフォームも多く存在していることで、個人事業として輸出入による物販をされている方も非常に増えたようです。

個人事業として輸出入物販を始める最初の理由は「ファッションが好き」「得意の英語を活かしたい」「会社員としてではなく自分で商売をしてお金を稼ぎたい」など色々あると想像できますが、「輸出入の仕組みに詳しかったので」という方は少ないのでしょうか、皆さんお話してみると意外に国際輸送に関する知識はさほど持ち合わせていらっしゃらないことも多いです。

『興味を持って輸出入を個人で始めてみたが輸送に関する知識はあまりないのでメーカーなど取引先に任せっぱなし->落ち着いてきたころ合いで利益率を見てみると意外に輸送費がかさんでいる?!->輸送費削減をしたいけれど何をしたらよいかさっぱりわからない、フォワーダーという業者があるようだけれど個人でも取引してもらえるのかもわからない->輸出入に詳しい人に聞いてみよう!』というような流れで私のところにたどり着いていただき、ご相談をいただく機会が最近チラホラとございました。

結論から申し上げますと、個人事業主でもフォワーダーと取引することは十分可能です。法人ではないからと言ってお断りをしてくるフォワーダーばかりではありません。ただし、大手のフォワーダー、つまり日本のフォワーダーランキングでベスト5くらいに入ってくるようなフォワーダーは反応が芳しくありません。丁重なお断りメールを返してくれる会社もありますが、お問合せメールを送信しても無視をされることもあるのが現実です。

その代わりと言ってはなんですが、中小のフォワーダーは割と反応が良いです。もちろん、タイミングや諸事情でお断りをされるところもありますが、多くの会社は誠意を持って対応して下さいますし、良い値段のお見積りもきちんと出していただけます。個人事業主だからと言ってないがしろにされるようなこともありませんので、もし個人でフォワーダーをお探しの方であれば、臆せずに見積もり依頼をかけてみて欲しいと思います。

問い合わせの仕方ですが基本的にはホームページにあるお問合せフォームからで問題ありません。メールアドレスか電話番号を正しく入力しておけば、お返事をいただける会社がほとんどです。ここで何一つ返信をしてくれないような会社は、こちらから願い下げだというくらいの気持ちでいればよいでしょう。

時々質問されるのが、「個人事業主だからと言って、料金を吹っ掛けられたりしないでしょうか?」ということなのですが、私は今までにそのようなフォワーダーは聞いたことがありません。まず心配いらないとは思いますが、対策として10社程度から見積もりを取ることをおススメします。そうすればあまりに高い値段のフォワーダーは一目瞭然でわかりますので、その会社とは取引しないようにすればよいのです。

自分で選んだフォワーダーを使うことによって、輸送費の削減が叶ったり、手配がスムーズに進んだりとメリットもたくさん考えられます。個人事業主で輸出入をされている方はぜひ、積極的にフォワーダーを利用してみて欲しいと思います。

2021/03/18
satomi

船の低温輸送ならリーファーコンテナ

リーファーキャリアの冷凍船とコンテナ

新型コロナウィルスのワクチンが続々と海外から到着しましたね。厳重に梱包されたワクチンが飛行機から荷卸される映像は、何だか救世主がやってきたかのように見えて思わず見入ってしまいました。

今まで輸入されているワクチンは全てが航空輸送されていました。これは緊急性が高いことはもちろんですが、新型コロナウィルスワクチンが超低温を保たなければいけない構造である事も一つの理由と考えられます。航空輸送の際には大量の保冷剤とともに梱包されていたようですね。

それでは海上輸送では低温輸送はできないのかというとそんなことはありません。今回の新型コロナウィルスワクチンのような緊急性の高いものはそもそも輸送日数の面から考えて、低温輸送可否に関わらず海上輸送が選ばれることは当分ないでしょうが、そうではなく日数が多少かかってもよいものは海上でも低温で運ぶことができます。それが「リーファーコンテナ」と呼ばれるコンテナです。

リーファーコンテナは冷凍や冷蔵の貨物の輸送に使われる特殊コンテナです。それに対して温度管理のできない普通のコンテナは「ドライコンテナ」と呼ばれるのが一般的です。リーファーコンテナは冷却装置を内蔵し壁の内部に断熱材が入っており、温度を一定に保つことができるため冷凍や冷蔵の貨物を輸送することが可能になっています。

低温で輸送しなければならないものというとまず食品が思い浮かびますが、リーファーコンテナは食品以外にも様々な用途に使用されています。例えば生花なども温度管理が必要になりますのでリーファーコンテナが選ばれます。

また夏場はオンデッキのドライコンテナ内部はかなり高温になりますので、高温下での品質劣化が懸念される精密機器なども、季節限定でリーファーコンテナにより運ばれることもあります。医薬品ももちろん含まれていて、新型コロナウィルスのような緊急性が高いわけではないワクチンは途上国向けにリーファーコンテナで輸送されていたりもします。

リーファーコンテナ手配の際の注意点としてはまず料金面の問題があります。コンテナ自体が特殊に製造されたものですし、港に搬入された後も低温を保つために電源に繋がれる必要があり、電気代もかかります。そのためリーファーコンテナの料金はドライコンテナの倍以上、航路によっては数倍かかることもあります。

また、コンテナの運搬の際にも、電源付きのMGシャーシという特殊車両を手配しなければなりません。こちらももちろん料金が高くなりますがそれより問題となるのが予約の取りにくさです。どのドレー会社でもたくさん保有しているわけではなく台数に限りがありますので、夏場のMGシャーシは取り合いといった様相となることもあります。

そんな、通常より手間とお金のかかるリーファーコンテナではありますが、大量に輸送するときにはやはり航空輸送よりも料金面でのメリットは大きいでしょう。

いつの日か、新型コロナウィルスワクチンがリーファーコンテナで輸送されているのが見られれば、その時は本当にこのコロナ禍が落ち着いて世の中が元通りになったと言えるのかもしれませんね。急いで運ぶ必要がなくなったということですから。

2021/03/05
satomi

時には輸入貨物の中に・・・。

ナイフ・スプーンなどの洋食器

輸入申告は輸出申告に比べて貨物検査となる割合がとても多いです。やはり、日本から出ていくものよりも日本に入ってくるものの方が取り締まりの必要性が高いということなのでしょう。

貨物が検査されるのなんて怪しそうな会社だけですよね、と思わてれる方もいるかもしれません。でも輸入では、時に輸入者の意図しない貨物が入っていることもあるのです。そのため頻度や確率の違いこそあれ、検査は全ての輸入者を対象に実施されます。今回は私が以前直面した、思いがけない貨物が入っていた事例を2件ご紹介します。

その1. 社長へのプレゼント?!
とあるメーカーの貨物が検査になったときのことです。東南アジアからの輸入パレットにはインボイスの品目通り、工具類、ボルトやナットなどの部品類が積みつけられていました。が、1箱、明らかに見た目が工具類や部品類の箱とは違う、ポップでオシャレな箱があったのです!もちろん税関職員がそちらに目をつけないわけはありません。その箱を取り出し、開梱するようにと指示を出されました。

果たして箱の中から出てきましたのは、素敵なデザインの洋食器セットでした。インボイスには記載されておらず、税関職員からの指示で顧客へ確認するも「そんな商品は注文もしていない、わけがわからない」との回答です。そんな説明で納得してもらえるはずもなく急いで現地輸出者へ確認してもらいました。そして得られました回答が「それは社長へのプレゼントだよ!いつもお世話になっているからね」。

プレゼントで売買取引の対象ではないとしても、輸入許可を受けるためにはきちんと輸入申告をする必要があり、そのためには当然ですがインボイスに商品名や価格などを記載する必要があります。輸入者は「今後はそのようなものを勝手に一緒に入れないよう、輸出者へしっかりと伝達するように」という注意を税関職員から受けた後に、インボイスを差し替え、輸入申告を訂正して無事に許可を得られました。

その2. 日本人はブランド物が好きだから?!
こちらも同じく東南アジアから、雑貨などを輸入されていたとあるショップさんのお話です。この時は財布などの革製品を輸入されていました。元々雑貨などは税関の検査対象になりやすいこともあり、貨物のうち数箱を税関の検査場へ持ってくるようにという検査指示が出ました。

開梱してみますと申告通り財布などが出てきましたが、チェックを進めていくうちになんと、一部の革製品に某ブランドの名前がいくつか刻印がされているではありませんか!

インボイスにはブランド品であるなどと一言も書かれていません。これは商標権を侵害する物品、いわゆる偽ブランド品なのか・・・?と税関職員の間にも緊張が走りました。しかし、刻印をよく見てみるとブランド名が簡単に刻まれているだけで、そのブランドを模倣しているような様子は一切見られません。何か違和感があるなという気持ちを抱きつつも輸入者に緊急で確認を取りました。

輸入者もいたって普通の革製品を輸入しているつもりでしたので驚き、すぐに輸出者に確認したところ、回答は「あれはサービスで入れたんだよ!日本人はブランド品が好きなんでしょ?」

偽ブランド品を作っている意図がなかったとしても、勝手にブランドの名前を刻むことは当然許されるものではありません。商標権侵害の恐れがあることから、これらの製品は全て滅却処分となりました。

この2件の事例からもわかるように、思いもよらない貨物が入っていることは往々にしてあります。だから輸入貨物の検査はどんなに信用のある大手企業だとしても決して無くなることはないのです。

2021/02/15
satomi

原産地証明書のオンライン申請・発給はじまる

原産地証明書のオンライン申請

貿易業務をしていると何度も見聞きするのが「原産地証明書」という書類です。原産地証明書とはその名の通り、取引の対象となっている物品が特定の国・地域で生産又は加工をされたことを証明する書類のことです。貿易では主に輸入側での関税を軽減するために取得されることが多いです。

貿易で使用する原産地証明書は輸出者が手配します。輸入の場合であれば輸出者から原本を入手するだけで基本的にはOKですので、取得は主に輸出者に関係する作業となります。

原産地証明書は、輸出者又はその代理人が各地にある商工会議所に出向いて申請し発給を受ける必要があります。

申請者が証明書記載事項を、予め購入しておいた商工会議所指定の用紙に印刷をして原産地証明書を作成します。そちらを持参して商工会議所窓口で、作成した原産地証明書とインボイスを提出して申請します。商工会議所は紙ベースで審査をし、認証されれば申請者は現金などで所定の手数料を支払い、書面で証明書が発給されるという流れです。

窓口へ出向くという一連の流れは長らく続いており、基本的に郵送やメールでの申請も受け付けられておらず、原産地証明書はマニュアル申請するというのが常識です。ところが、世の中全般のデジタル化の波に乗るかのように、日本商工会議所が「貿易関係証明発給システム」を構築しました。そして12ヵ所の商工会議所で非特恵原産地証明書のオンライン発給を始めました。(2021年1月8日現在)。

出典元:
商工会議所貿易関係証明広報サイト
https://www.jcci.or.jp/boeki/

オンライン発給はどのような流れかというと、申請者はまず商工会議所の新しいシステムを使ってインボイス情報等をPC画面に入力し送信します。商工会議所はPC画面上で審査し、認証されると申請者はオンラインで手数料を支払います。その後、申請者は証明書発給の連絡を受理すると証明書を白紙にカラー印刷することで原産地証明書として使用できるようになります。

これにより、申請者は自社からの発給申請が可能となり、窓口へ出向く時間と手間の節約できます。新型コロナウイルス感染予防の面からも商工会議所側にも大きなメリットがあると言えるでしょう。用紙の購入が不要になりますので経費の削減も期待できますし、保管場所も不要なので在宅勤務の従業員でも発給手続きができるなどの利点もあります。オンライン支払によりクレジットカードの使用が可能となりますし、申請履歴もシステムに保存されますので、過去の履歴を繰り返し使用することで入力の手間が省けるなど利便性も向上しています。

もちろん、輸出者の代行でオンライン申請を行うことはまだ対応されていないなどの改善点はまだまだあります。これからも改良を重ね、他の商工会議所でも順次対応が始まり、申請側にも発給者側にも使い勝手のよいシステムとなることを期待しています。

2021/01/26
satomi

コンテナドレージの稼働はどうなる?

コンテナドレージ

年末も差し迫ってきましたね。師走とはよく言ったもので、この時期は公私ともにバタバタとされている方も多いかと思います。 世間では「年末進行」なんて言葉をよく耳にしますが、年末にかけての業務が慌ただしいものになるのは貿易業務も例外ではありません。

貿易関係はその業務の特性上、ゴールデンウイーク・お盆休暇・年末年始休暇の前後がとにかく多忙になりがちです。「休暇期間中に発行されたBLをどう処理するのか」「顧客の休み明けまで貨物を保管してもらうと保管料はいくらかかるのか」「船(飛行機)が運休となったが違うスケジュールで輸送可能か」など考えなければならないことが次から次へと発生します。

その中でもかなり頭を悩ませるのが「輸送車両の確保」です。ここでの輸送車両とは、日本国内で輸出入貨物を、輸出者(輸入者)と港(空港)の間で輸送する車両、つまり「大型トラック」や「コンテナドレージ」のことを指します。連続休暇の前後は輸送車両の確保がとても難しくなります。トラックはまだ確保に余裕が感じられることもありますが、コンテナドレージは昨今まさにひっ迫という単語が違和感ない状況となっており、慢性的に不足に陥っています。ただでさえ普段から不足気味ですので、特に年末年始は危機的状況になると言っても過言ではありません。

ドレージ車両がそのように常に不足した状況となってしまっているのには
・輸出入量の増加
・慢性的なドライバー不足
・コンテナターミナルの混雑による稼働率悪化
と主に3つの要因が考えられます。

今年こそ新型コロナウィルスの影響で輸出入量は減少気味でしたが、それまでは世界経済の活発化により輸出入量は年々増加していました。それにより必然的にコンテナターミナルの混雑も激しくなり、ドレージ業者が効率よく車両を回せなくなっていました。

そこに追い打ちをかけているのが、ドライバー不足です。少子化、長時間労働や肉体労働を避ける若者の傾向、またここ数年ではオリンピック開催に向けての建設ラッシュで労働力が建設業に回っていたこともあり、日本国内は深刻なドライバー不足が続いています。コンテナドレージ業者は、車両はあるのに人手がないのです。

これらにより、コンテナドレージの予約は普段から早め早めに行うことが必須とされています。毎週のように輸出入貨物のある大手メーカーさんなどは、確保できなくなって慌てることがないよう月単位でまとまった本数を抑えています。それゆえスポット貨物は予約が取りにくくなりますので、輸出入の予定が決まったら仮でもいいのでとにかく予約を入れておくことが貿易業務の常識となりつつあります。

普段からそんな状況ですので、貨物が集中する上に稼働日の限られる年末年始前後は文字通りコンテナドレージの取り合いとなります。1か月前で既に予約がいっぱいなんてことはざらで、キャンセルが出るのを祈るような気持ちで待つこともあります。同じ会社の中で確保台数やキャンセルの情報を共有して、ドレージ会社にキャンセルの連絡をする前に社内で融通しあうのも見慣れた光景です。

どうしてもコンテナドレージの予約が取れないが納期を遅らせるわけにもいかず、最終手段として年末が差し迫った日の午前6時からコンテナ詰め作業を開始したり、ヤードが休暇に入った29日に無理を言ってコンテナを搬入させてもらう手配をしたりと、あの手この手で毎年何とか乗り切ってきたものでした。

今年はさらに、新型コロナウィルスの影響で、コンテナドレージの予約状況が一層悪化しているという情報も耳にします。今後少しずつでも良いので状況が改善していくことを願うばかりです。

2020/12/25
satomi

広いアメリカへの海上輸出はどうする?

パナマ運河を通るコンテナ船

アメリカ大統領選挙では得票状況を示すアメリカ全土の地図を、テレビやネットの画面を通じて何度も見かけました。その都度、「移動や物流も大変だろうな~」と国土の広さをあらためて感じていました。なんせ西海岸と東海岸では4,000キロほどの距離があり、加えて3時間の時差まであります。ちなみに札幌と那覇が直線距離で2,300キロほどです。

今回はそんな広いアメリカへの物流を、日本からの海上輸出という見方を通してお話しします。

日本から船で輸出する際には同じアメリカでも西海岸の港は割と近く感じます。しかし、東海岸の港となると地図で見るよりはるかに遠くなります。と言いますのも、東海岸まで全て船で向かおうとするとパナマ運河を通らなければ行けないからです。パナマ運河は南北のアメリカ大陸をつなげるかのように横たわるパナマ共和国の中央部にあります。パナマ地峡を開削して造られた大西洋と太平洋を結ぶ全長80kmの運河です。

このパナマ運河を通るルートは貿易用語で「All Water(オールウォーター)」と呼ばれます。全て水の上(海の上)で運ばれるという意味です。言うまでもまく時間はかかります。

All Waterに対するように存在するのが、西海岸のロサンゼルスやロングビーチ、タコマなどの港で一旦陸揚げし、後はコンテナを鉄道へ積み替えて大陸を横断して陸上輸送をするという方法です。こちらはミニ・ランド・ブリッジ(MLB)や、内陸都市止まりの場合はインテリア・ポイント・インターモーダル(IPI)と呼ばれます。

MLBサービスはAll Waterに比べて4日~9日ほど輸送日数が短くなりますのでスピード面で優位です。また、西海岸への航路を持つ船社も多く、高頻度で運航されていますので、スペース予約が取りやすい面でも荷主利便性が高いです。しかしながら、鉄道に積み替えて輸送することになりますので海上運賃はAll Waterよりも高くなります。また、積み替えの際や鉄道の揺れによるダメージリスクもありますので、精密機器の輸送などでは選択を避ける傾向もあります。

フォワーダーはアメリカへの輸出依頼を受けますと、荷主の意向を聞き取り最適なルートを考えます。多少コストがかかってもリードタイムを短くしたいのであればMLB、とにかく安くすませたいのであれば予約の取りにくいことを承知でAll Water、などと各荷主に合わせてプランを立てます。

私の個人的な経験から言いますとAll Waterの船は本当に予約が取りにくく、繁忙期には1ヶ月以上先の船まで待つこともありました。思うようなタイミングで船の予約が取れないことは円滑な物流業務に支障をきたしますので、MLBを選択される荷主が多かった印象です。

アメリカにはまだまだ、日本ではありえないようなダイナミックな物流事情が数多く存在します。自分が実際にアメリカへ輸出するという気持ちで、「シカゴに輸出したいけれどどういうルートがあるんだろう?」なんて仮定をして、アメリカの地図を眺めながら調べてみるのも面白いかもしれませんね。

2020/12/08
satomi

通関業務はテレワークで!?

PCによるTELEWORK

前回のコラムではテレワーク拡大によるPC需要の増加により中国の輸出額が増加していることをお伝えしました。ではそのテレワークは貿易業務、特に通関業務ではどれくらい浸透しているのでしょうか。

通関業務のテレワーク自体は、2017年10月8日の通関業法基本通達改正によって新たに可能となっています。しかしながらコロナ以前にはほとんど浸透していませんでした。大阪通関業会の昨年のアンケートでは通関業務の在宅勤務の導入状況は「導入している」が2%、「導入について検討中」が3%とわずかな数字にとどまっています。

それではコロナ以後はどうでしょうか。財務省関税局は3月上旬から、コロナ感染対策としての通関業務の在宅勤務等の開始について、税関への申請に必要な就業規則や社内管理規定を急に準備するのが難しいことから、これらの要件を緩和する決定をしました。自宅のみではなくサテライトオフィスについても申請を認めており、これを機に申請数は増加し10月1日時点で4,045人について申請が行われているそうです。

それでも、あくまで申請に過ぎない数字ですので、どの程度の人数が実際に在宅勤務にて通関業務を行ったのかはわかりません。私が日ごろ付き合いのある通関業者の数社に聞いてみましたところ、恒常的に通関士の在宅勤務を実施しているという会社はありませんでした。あくまで、今後またコロナ感染が拡大して通関士の出勤が不可能になった場合の対策として申請をしているという、保険的な意味合いでの申請が多いようです。

何が通関士の在宅勤務を妨げているのでしょうか。いくつか考えられますがまずは機密保持の難しさです。通関業務はインボイスなどの船積書類を確認しながら通関に必要な申告書を作成し、それを通関士が審査することによって行われます。会社で業務をしていればそれらすべてを印刷して作業することが可能でしょうが、顧客の機密保持対策として自宅での業務関連書類の印刷を認めていない会社が多いのでテレワークでは画面上で書類の確認や作成をすることになります。

申告書を作成したあと画面上でのみチェックし、それをまた通関士が画面上でのみ審査をするのでは、誤った輸出入申告につながりかねません。申告の誤謬は通関業者の信用失墜になりますので、それを避けるためにも通関業務は社内でしかさせない会社が多いと思われます。

あとは申告書作成に必要な資料の存在です。例えば輸入の際の税番を決めるのに必須である実行関税率表は厚さが10センチほどあるノートよりも二回りくらい大きな冊子です。これを在宅勤務のために自宅に持ち帰り、また出社の際に会社へ持って行くのは想像しただけで気が重くなります。自宅用にもう1冊購入するという方法もありますが1冊は3万円弱と高額であり、通関業務従事者全員に購入するとそれなりの負担になってしまいます。

実行関税率表以外にも関税率法解説や分類例規など、申告書を作成するには数多くの参考書籍を頼りとしています。そのような書類は社内に置いてあるものです。もちろんwebでも見られますが、社内で共有している参考書籍は付箋が貼ってあったり重要事項にマーカーが引いてあったりと、それぞれの会社で必要な情報が蓄積されており作成の上で大変助けになります。それらを一切利用せずに自分の知識と経験だけで申告書の作成と審査をするのは現状難しいと言えるでしょう。

とはいえ今後も色々な業種でテレワークは広がりを見せると思います。通関業務でも、従事者の皆様が知恵を絞ってテレワークの充実を実現させ、どんな世の中になっても迅速かつ正確で安心な輸出入通関が行われる社会になることを期待しています。

2020/11/11
satomi

テレワークが中国のPC輸出をけん引

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初めまして。今回よりこちらのコーナーを担当させていただきますsatomiと申します。今後、お付き合いいただけますようよろしくお願いいたします。

新型コロナウィルスの感染拡大は世界各国・地域の経済に連鎖的にショックを与えました。感染から身を守るためや感染による災禍のため、生産や消費が大幅に停滞したのは皆さまご存じの通りです。結果、2020年は全世界的に輸出入の量が落ち込み、減少傾向が続いているのが現状です。この輸出入の落ち込みはしばらく続くと思われていましたが最近になって明るい兆しの見えるニュースが入ってきました。

中国の貿易が力強い回復を見せています。中国税関が10月13に発表した貿易統計データによりますと、2020年9月の中国の輸出額(ドル建て)が前年同月比9.9%増の2,397億6000万ドル(約25兆2800億円)と、伸び率が8月より0.4ポイント上昇して今年の最高値を更新したのとのことです。同様に輸入額も同13.2%増の2,027億6000万ドル(約21兆3800億円)と二桁の伸びを示しました。

この好調の背景には、マスクや医療機器、医薬品などの新型コロナウィルス対策の医療用物資に加えて、テレワークやオンライン授業などWeb関連の世界的な広がりに伴うパソコンやタブレットの需要急増があるといいます。ここ日本でもコロナ以後、在宅勤務やWeb会議、オンラインフィットネスと言った単語を昨年とは比べ物にならない頻度で見聞きするようになりました。

多くの企業でテレワークが推奨されたり、大学や予備校などでオンライン授業化が進んだりしたことで、パソコンやタブレット端末の買い替えや買い増しを検討された方も多いでしょう。また、新型コロナウイルス感染症対策を目的にテレワークへの取組を行う中小企業事業主を支援する助成金などを政府や自治体が発表したことにより、企業が主体となって新しいパソコンなどの機器を導入したことも需要急増の一因となっていると考えます。

パソコンは中国で数多く生産されています。中国の重慶市は2019年、世界のノートパソコンの約40%を生産し、6年連続で世界首位となっています。中国中西部で唯一の直轄市である同市は、通信キャリアやブランド企業、OEM(相手先ブランドによる生産)企業、関連会社などを一体化したスマート端末産業チェーンを形成しているのが強みであり、携帯電話の生産額も1,000億元(約1兆5000億円)を超え、生産台数は世界の約一割を占めています。それだけの生産数を誇る中国ですので、世界中の人々がテレワークやオンライン授業を利用するようになり買い替え需要が増えたことによって、輸出額が飛躍的に伸びたことも何ら不思議ではありません。

これから冬のボーナス商戦に入ることもあり、PC関連機器やスマートフォンなどの買い替えはますます増え、中国の輸出額も右肩上がりに回復していくことが予想されます。中国市場が世界経済を牽引して、近いうちに世界的に経済活動が復活し今までのように活気ある輸出入市場に戻ってくれることを願うばかりです。

2020/10/26
satomi