輸出入をされている方なら一度は言われたことがあるのが「こちらの貨物申告しましたところ税関検査となってしまいました」というフォワーダーからのお知らせかと思います。通関士も実際に輸出(輸入)の申告を税関にかけてみて初めて結果が分かるのです。 |税関検査となることは事前に分かる?

  • Twitter
  • facebook
  • LINE
検索

税関検査となることは事前に分かる?

税関検査となりました

輸出入をされている方なら一度は言われたことがあるのが「こちらの貨物、申告しましたところ税関検査となってしまいました」というフォワーダーからのお知らせかと思います。

税関検査となったため、
・「納入がさらに1日遅れる」
・「船が一本後ろになってしまう」
・「検査料と立会い料で〇万円が追加で発生します」
など言われ、悲鳴を上げられたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

フォワーダーの立場として上記のようなことを輸出入者に伝えた際に時々言われるのが「税関検査になるかどうかって事前にわからないのですか?わかれば前もって日程に余裕を見ておけますし、料金の心構えもできるのですけど」ということです。結論から言えば事前に100%の確率でわかることはまずありません。その申告をした通関士も、実際に輸出(輸入)の申告を税関にかけてみて初めて、その結果が分かるのです。

どのように分かるのかというと、現在はほとんど全ての申告がNACCSにて行われていますので、NACCSから税関へ申告をかけると自動的に申告結果がフォワーダーのNACCSへ即時で返ってくるようになっています。そちらの結果が「区分1」となっており輸出(輸入)許可書が同時に届いていれば、書類審査も検査もなく許可が下りたということです。「区分2」となっていれば、税関職員による書類審査を受けなければならないので、NACCSを通して税関へ、申告に関連する書類(BLやインボイスなど)を提出することとなります。そして「区分3」となっていますと、税関検査になる可能性があるということです。

なぜ「検査になる可能性」なのかというと、この段階ではまだ100%で税関が検査をするということが決定していないのです。実はこの後に、取りやめになる可能性も十分にあります。ですので区分3となったらまずは区分2の書類審査と同様に、税関へ申告関連書類を提出します。そこから税関職員が書類内容をチェックし、必要であれば通関士や輸出入者へ聞き取り調査をし、やはり実物を見て検査をしなければならないと判断されると、そこで初めて税関検査となることが決定するのです。

逆に言えば、区分3となったとしても、書類をチェックした結果、税関検査の必要がないと認められれば検査は省略され、許可がおります。検査取り止め通知書と許可書がNACCSへと届けられます。これは通関業者にとっても喜ばしい瞬間です。

さらに逆を言えば、区分2となり書類審査のみで終わるはずだったのに、税関検査になってしまったということも往々にしてあります。書類審査の結果として税関検査が必要だと判断されれば区分2から区分3へと切り替わり、検査通知書が送付されてしまうのです。なので通関業者は区分2や区分3となった申告がある場合には、ずっと気がかりでモヤモヤとして、何度も何度もNACCSを確かめるという羽目に陥ることがしばしばあります。

税関検査とはこんな流れで税関より通知されるものですので、どの申告がどのタイミングで検査となるかは、通関業者には決して事前にわかることのないものだということがお分かりいただけたかと思います。

2021/09/26
satomi

通関士の独立開業は現実的か?

通関士とは

通関士は「貿易に関する唯一の国家資格」と言われており、国際貿易の活発化と昨今の資格ブームの中で、老若男女問わず取得の人気が高まっている資格と言えます。しかしながら、そういった貿易や通関などに興味を持って調べた方でもない限り、「通関士」という資格は士業(「士(し)」と付く職業、つまり弁護士や公認会計士など)の中でも一般的な認知度は低いのではないかと思います。

それはなぜかと考えてみますと、理由の一つに、独立開業して仕事をする種類の資格ではないことがあげられます。例えば「山田太郎弁護士事務所」や「高橋税理士事務所」なんて事務所の名前は日本中どの地域に暮らしていても多少は見聞きするものですが、「鈴木花子通関士事務所」などは今まで生きてきた中で一度も聞いたことがないでしょう。通関士は、士業のなかでも、独立開業が非現実的な資格なのです。弁護士や税理士など知名度の高い資格に比べて、日常生活の中で見聞きする機会が圧倒的に少ないのです。

さらになぜ、独立開業が非現実的と考えてみますと、通関士という資格は保有しているだけで効力があるものではないことが理由と考えられます。通関業の許可を受けた企業に所属し、そこで「登録通関士」として税関に届出をして初めて通関士と名乗ることができ、通関士としての業務もできるようになるのです。

例えば私は確かに通関士試験に合格し資格を保有しておりますが、現在は企業に属しておらず通関士として税関に登録もされておりませんので、自分のことを「通関士です」と名乗ることはできません。もちろん通関士としての業務をすることもできません。もっと細かいことを言えば名刺に「通関士」と肩書をつけることも許されません。

どうしても通関士の資格を保有していることを名刺に記載したいのであれば、「通関士有資格者」や「元通関士」などとするしかないのです。(個人的意見ですが、「元通関士」というのは、何か悪いことをして通関士資格をはく奪されてしまった雰囲気がありますので、むしろ記載しない方が良いのではと思っています)。

それでももちろん、自分で通関業の会社を立ち上げ、そこで通関業の許可を通り、自らが通関士となって通関業務を行うことは禁止されてなどいません。実際、直接の知人ではないですが、そのように個人で許可を得て独立した通関士として営業されている方も存じ上げています。ただ、通関業の許可を得るためには厳しい条件をクリアしなければなりません。特に「経営の基盤が確実であること」という条件は個人事業主としてはかなり難しいものであるでしょう。

以前にもコラムで書かせていただきました通り、輸入通関では高額な関税消費税の立替が避けられません。そのような立替が発生したときに支払うことができず輸入が遅れるなどして輸入者が損害を被ることのないよう、十分な資金を保有していないことにはまず許可は下りないと考えられます。

こうして書いてみると、通関士とはせっかく頑張って取得しても独立開業もできず何だか夢のない国家資格のように思えてしまいますが決してそんなことを言いたいのではありません。通関業の許可を得るためには然るべき人数の通関士を有していることが必須ですし、それぞれの営業所にも必ず通関士を配置しなければならないことになっています。

これからの国際社会には必要不可欠な資格です。ぜひたくさんの方に通関士を目指していただき、日本の貿易を支えていただきたいと考えています。

2021/09/01
satomi

同じ「SENDAI」でも大きな違い!

正しいSendaiはこちら

先日のネットニュースでとても興味深い記事を読みました。

米東部メーン州のポートランドでギョーザ販売店を営む夫婦が、中国からギョーザ製造機を取り寄せたところ、注文後のメールで届け先が約4,000キロも離れた西部オレゴン州のポートランドとなっていることに気付いたとのことです。

ご夫婦は通関代理店に連絡し、製造機を後日無事に受け取ることができたそうです。港の名前が同じ「ポートランド(Portland)」であったことから起きてしまった間違いなのですが、実は私も日本国内で同じような事態に遭遇したことがあるのです。

もう10年ほど前になるある日、某家具メーカーの輸入者より、「ヨーロッパから家具を輸入しますが納入先が仙台のお客様なので仙台港に着けます」とご依頼がありました。なるほど仙台か、東北の代理店に手配をお願いしなくてはと考え、東北へ連絡を取り納入日など確認して準備万端に到着を待っておりました。

間もなく日本へ到着という頃、輸入者よりアライバルノーティス(以下A/N)を入手したと連絡があり転送いただいたのですが、そのA/Nが東北ではなく九州の船舶代理店から発行されたものでした。あれ、東北に到着するはずなのにおかしいなと違和感を抱き、とりあえずA/Nに記載されている電話番号に電話をかけて問合せをしてみました。するとオペレーターさんから驚くようなことを言われたのです。

「はい、こちらのコンテナ、確かにセンダイ港に到着ですが、お客様が仰っている宮城県の『仙台(せんだい)』港ではなく、鹿児島県の『川内(せんだい)』港に到着となっております」。なんと、同じ「せんだい(SENDAI)」読みだったために、輸出者が間違って鹿児島の川内港行きの船に乗せてしまっていたのです!

私たちにとっては幸い(?)なことに、そのコンテナはCIF契約であり日本到着までの責任は輸出者側にありましたので手配ミスを責められることこそなかったものの、鹿児島県に到着してしまった貨物を宮城県へ運ぶという大仕事の対応が必要となりました。

海上輸送は叶わなかったので陸揚げし、数日かけてドレージ車両にて運送したのですが、高額なドレージ費用が余計にかかることになったのは言うまでもありません(もちろん、輸出者の負担となりましたが)。何とか無事に納入できたものの、輸入者にも輸出者にもフォワーダーにも、かなりの手間と負担がかかってしまいました。

アメリカのポートランド間ほどの距離ではないものの、この「せんだい」間の距離も1,700キロほどあり、軽微なミスはとても言えないものです。どうすれば防ぐことができたかと言えば、やはり輸出者側で、不慣れな場所への到着や納入をリクエストされたら、一度地図上で住所や港の位置を確認するべきだったかと思います。自分がブッキングをした川内港の位置と、輸入者が指示する仙台市内の住所をネットの地図で調べれば、それらがあまりにかけ離れていることは一目瞭然に判明したでしょう。

長年貿易業務に携わっておりますが、ほんのちょっとした気の緩みや見落としで、大きなミスにつながってしまうことが往々にしてあります。冒頭のポートランド誤りのニュースを読んでこの川内(仙台)誤りのことを思い出し、どこで落とし穴が待ち受けているかわからないので今後も気を引き締めて業務を遂行しようと、改めて思いました。

参考記事:
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/210706/for2107060006-n1.html

2021/08/05
satomi

女性通関士支援事業って何?

PCを使って在宅勤務

日本通関業連合会では現在、「女性通関士支援事業」という取り組みが行われていることを前回のコラムでお話させていただきました。それでは、具体的にどのような支援が行われているのでしょうか。

最近ではコロナ禍のために開催が見送られていることもあると思いますが、連合会では定期的に「全国女性通関士会議」という場が設けられています。全国から女性通関士が数十名参加し、通関業連合会の会長などと意見交換や討議が行われているそうです。私も現役通関士だったらぜひ参加してみたいものです。

その会議の中では例えば通関士の「働き方改革」について話合われています。人材不足や荷主ファースト主義、このコラムでも以前にお話しました慢性的なドレージ不足により長時間労働が通関業界でも発生してしまっており、これが女性通関士の活躍を妨げる要因の一つとなっています。

その是正に向けて、データをシステム化する、休みやすい状況を整える、フレックスタイム制や在宅勤務制度を整えるといった対策の意見交換を女性通関士同士でされています。

会議の終了後には、懇親会も開催されています。関税局の方も参加され、リラックスモードで関税局、通関業連合会、女性通関士の方々が懇親を深めているようです。同じ通関士と言っても他社の通関士とはなかなか交流を持つ機会もありません。

管理職になれば税関などを交えた保税地域での会議などに出席することもありますが前回述べましたように管理職をしている女性通関士はまだまだ少ないので、そういった会議に出席されている女性通関士も少ないことでしょう。ですのでこのような懇親の場が女性通関士の為に用意されているのはとても喜ばしいことだと思います。

そのような場での交流が刺激となり、最近では女性通関士のネットワークの構築や女性の会の設置が行われたり、連合会ではSNSが立ち上げられたりと、成果も出ているとのことです。男性目線だけでは浮かばなかったアイデアが女性通関士の活発な交流のおかげで生み出されたということでしょう。

会議の中で取り上げられたテーマとして、私が注目したいのは在宅勤務の導入についてです。在宅勤務が通関業界でもっと広まれば、家庭との両立も今以上に容易となり、女性通関士の活躍の場も増えることでしょう。申告まで在宅で行うとセキュリティの問題が出てくるといった課題や障害は山積みですが、まずは、申告までの業務を在宅でもできるように環境を整えることから始め、最終的には在宅勤務用に切り分けられた仕事をするのではなく会社でしているいつもの通関業務を在宅でできるようになれば理想的です。

実際、在宅によるリモートワーク専任の通関士を契約社員として採用を始めた会社もあると聞きます。このような動きが活発になれば、育児や介護などで一線を退いてしまった元女性通関士の人たちも、また以前のように登録通関士として輝けることができると思います。

いつの日か、名実ともに女性通関士が男性と同等に活躍している通関業界が実現される日を心から楽しみにしています。そのためにはこれからも、通関業連合会が主体となっての「女性通関士支援事業」をぜひとも継続していただきたいです。

参考記事:
http://www.tsukangyo.or.jp/files/NO154.pdf

関連記事:女性通関士、どれくらい活躍している?
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/boueki_jitsumu_jirei/2021-06-29

2021/07/25
satomi

女性通関士、どれくらい活躍している?

マウスを操作する女性通関

日本通関業連合会では現在、「女性通関士支援事業」という取り組みが行われています。女性通関士の活躍と登用を促進するとともに、優秀な人材を毎年採用し、キャリアアップをあきらめることなく活躍できる業界にしていくということを目標としています。

通関業界では、従業員に占める女性の割合が増えて来ていると言われています。確かに、私が就職活動をしていた20年近く前は、まだまだ通関(物流)業界は男社会というイメージが強く、「物流会社に就職することにしたよ」と報告した友人に「え!あんな男社会の会社に飛び込んで働くの!?」驚かれたことを覚えています。今では信じられないことですが女性は一般職でしか採用しないと明言していた物流会社も数多くありました。

それから20年近くが過ぎた現在、物流会社や通関業界に対する男社会のイメージはかなり薄れて来ていると感じます。もちろん日本全体においてそういった男女差別的な職場をなくそうとしている動きがある事の影響も大きいですが、昨今の資格ブームの中で、「通関士」というどこかインテリジェンスを感じさせる名前の国家資格に惹かれて取得を目指す女性も多いのでしょう。

では現場では実際にどれくらいの女性が活躍しているのでしょうか。私の経験を元にしますと、通関部署の中で、女性の占める割合は50%くらいでした。その女性のうち半数位が派遣社員であり、その中で通関士の資格を取得している方はさらに半数位といった割合です。

社員は基本的に社内で通関士を取得している人が配属されることが多いですし、取得していない社員は仕事の合間に勉強をして1年~2年の内に合格することがほとんどでしたので、ほぼ全員の社員が通関士資格を取得しているという状況でした。

と、人数の割合だけで見ますと女性通関士が男性通関士と同等に仕事をしているように思えますが、実際はそれほど同等とは見えませんでした。なぜならいわゆる「管理職」という立場の通関士は全員が男性だったからです。

なぜ女性通関士かつ管理職という立場の人がいなかったか、それはやはり職場環境にあったと思います。通関部署は水商売とよく言われますが理由は自分たちで仕事の量をコントロールできないことにあります。その日に通関しなければならない書類は何時になろうと仕上げなければなりません。

今日が暇だからと言って明日は忙しくなるとは限らず、逆に今日は目が回る忙しさなのに翌日は余裕たっぷり、なんてこともざらにあります。その、仕事量の読めなさゆえに、管理職という立場になると家庭との両立が難しいという現実があるのでしょう。

また、検査の立会いなど力仕事的な業務も多いですし、管理職ともなれば何かあった際に税関への謝罪なども対応しなければならないといったことが、家庭との両立を目指す妨げになっていたと思います。

ですので、通関業連合会という大きな組織が主体となって女性通関士の支援に積極的に動いていただけることは、元女性通関士の一人としてとても喜ばしいことです。具体的にどのような支援があるのか、また別の機会にお話できたらと思います。

参考記事:
https://www.fujibuturyu.co.jp/headlines/210301/03.html

2021/06/29
satomi

関税消費税の立替はフォワーダーには負担大

フォワーダーにとっては資金繰りの悪化

前回のコラムで、輸入者自身で関税消費税を直接支払う方法は多少の手間がかかるためか、フォワーダーに立替を依頼することが現在でも主流です。しかしながら、多くの顧客の関税消費税を立て替えることはフォワーダーにとっては大きな負担とリスクになることをお話いたしました。

それでは実際、フォワーダーにとってどれほどの負担になっているのか、具体的に考えてみましょう。程度の差はありますが輸入通関というのは週明けの月曜日が最も件数が多くなる傾向にあります。週末の土日に到着した貨物はメーカーや工場が休みで納入できないため、週の明けた月曜日に通関して納入することが多いからです。

ここからは私の経験を元にしたお話となります。以前、某国際物流会社のとある空港支店にて航空輸入通関を通関士として担当しておりました。当時は通常の土日明けは300件近く、3連休となり稼働が火曜日となると400件以上の輸入通関をするのが通常でした。

航空輸送されるものは物量では海上輸送と比べてかなり少なくなりますが、迅速な輸送ができるという利点から高価な貨物を運ばれることも多く(PC関連機器、精密機械、航空機部品など)必然的にインボイス価格も高くなり、税関に収める関税や消費税も高額となります。

1日での立替金額が1000万円を超えることも全く珍しくありませんでした。一箇所の支店だけでそれだけの金額を立て替えているのですから、全社で考えると1日で1億円近くの金額を輸入者の代理として支払っていたと言っても過言ではないでしょう。たった1日でこの金額ですので、1週間、1ヶ月と期間を延ばして考えるとその額は途方もないものとなります。

これだけの金額を立て替えるというのはどんなに大きい会社であってもキャッシュフロー的には悪くなります。そしてもちろんリスクもあります。輸入通関して貨物を引き渡した後に輸入者の資金繰りが悪化して倒産となり、輸入通関料などはもちろん高額の立替金も回収不能となった、などという事態が起こり得るからです。実際、私が勤めていた頃にも、年に一度くらいはこういった回収不能問題が発生していました。

当然、通関業者側も対策はしています。
・取引実績がなく支払いに不安のある輸入者には先にざっと見積もった立替金額の請求書を発行して入金の確認が取れてから通関をかけたり
・取引先の信用状況をこまめにチェックして立て替えられる金額の上限を定めたり
・できる限り輸入者自身でのリアルタイム口座の開設や納期限延長制度の使用を検討していただいたり

など、色々な方法で関税消費税の立替金未収リスクを減らすよう努力しています。

しかしながら通関業者も一企業ですので、顧客から「面倒だからそちらで立て替えて下さい。他の通関業者さんは何も言わずに立て替えてくれていますよ」なんて言われたら断りにくいものです。通関業者の努力だけではままならない部分も多々あります。

ですので前回のコラムでもチラッと出ましたが、クレジットカードなどで簡単に支払えたり、面倒な手続きなく顧客の口座から引き落としたりできるような輸入通関システムが開発されたらいいのにな、と元輸入通関士の立場からは思っています。もちろん、安全安心に使え悪用されないシステムであることが前提ではありますが。

2021/06/16
satomi

関税消費税をどのように支払うか?

関税消費税の支払い方法

輸出入のアドバイザーのようなお仕事をしている関係上、フォワーダーを通しての本格的な輸入をするのが初めてだという方とお話をさせていただく機会も度々あります。

輸入者さんのニーズに合わせてフォワーダーを選定し、場合によってはその後の実務的な作業も代行しています。実際に輸入実務が始まった際に必ず決めなければならないことの一つが「関税消費税はどのように支払うか」です。

こちらをストレートに輸入者さんにお聞きすると「じゃあクレジットカードで払いますね!」と答えられることがあります。クレジットカードで支払いできたら確かに便利ですよね、と思いつつ

「申し訳ございません、関税消費税はカード払いができず、銀行からの引き落としがメインでして。。。」と説明を始めると「だったらこちらの銀行口座を教えますのでそちらから引き落として下さい!」なんて回答をいただくこともしばしばあります。

そうですよね、簡単に自分の口座から引き落としてもらえればとても楽ですよね、と激しく同意をしつつも「いえ、引き落としができるのは税関にあらかじめ申請をしてある口座のみであり、申請完了までは2~3週間かかりまして。。。」

とお話しますと「それではどうしたらいいんですか!?」と困惑の面持ちで尋ねられますので「一般的にはフォワーダーの口座から一旦引き落としてもらって立替してもらい、後日、通関料などと一緒にお支払いする流れとなります。」とご説明し、納得していただけることが多々あります。

確かに、税関への関税消費税の支払い方法は、普段輸入者をされていない方にとってはピンと来ない事柄かと思います。基本的には先ほども申し上げましたように、予め税関へ申請してある銀行口座、いわゆる『リアルタイム口座』からの引き落としとなります。この申請には手間はもちろん、2~3週間と時間もかかるためか、リアルタイム口座を保有されている輸入者さんは個人も企業も含めてそれほど多くなく、ほとんどがフォワーダーのリアルタイム口座から引き落としとなっている印象です。

他の納税方法として納期限の延長、いわゆる『延納』もあります。個別や包括など色々な種類がありますが基本的には輸入者があらかじめ税関に対して税額に相当する担保を提供したときにその納期限の延長が認められる制度です。

これはリアルタイム口座の解説よりもさらに手間がかかりますし包括の納期限延長になりますとかなりの額の担保を提供しなければならないので、利用されている輸入者さんは限られています。担保の提供に耐えうる資本をもつ、大企業さんが多いイメージです。

このように輸入者自身で関税消費税を直接支払う方法は多少の手間がかかるためか、フォワーダーに立替を依頼することが現在でも主流の流れとなっています。しかしながら、多くの顧客の関税消費税を立て替えることはフォワーダーにとっては大きな負担とリスクになります。

冒頭の話に戻りますが、関税消費税をクレジットカードなどでサッと払え、且つ安心して利用できるシステムがあれば、輸入者にとってもフォワーダーにとってもメリットがあるのかもしれません。

参考サイト:リアルタイム口座
https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/mpn/mpn_direct.htm

2021/06/06
satomi

深刻な海上コンテナ不足。解決の手立ては?

不足している海上輸送用コンテナ

前回のコラムでは、新型コロナウィルスの影響もあり、昨今では世界中で海上輸送コンテナ不足が叫ばれていることを述べさせていただきました。

コンテナが不足すると、輸送に遅れが生じてしまうだけではなく、コンテナ運賃の上昇につながりかねません。結果、上昇した海上運賃が商品の価格に転嫁される可能性も十分にあり、私たちの生活にも密接に関係している問題です。そんな、世界経済にも影響を与え得るコンテナ不足ですが、解決する手立てはないのでしょうか。

コンテナ不足の解消方法として、まず思いついたのが「コンテナが足りないのであれば作ればよいのでは?」ということです。足りない分を増やせば当然ですが需要は満たされます。しかし調べてみると簡単なことではないようです。

海上輸送コンテナは、現状では9割が中国で製造されています。その中国では、現在のように新型コロナウィルスによる国際輸送量の増加が起こる前は、米中貿易摩擦の影響で輸送量は逆に減少していたそうなのです。それにより中国のコンテナメーカーはコンテナ生産を大幅に減らしていたようで、結果として新しいコンテナが思うように増えていないのです。かといって今、増産体制が取られているということもなく、こういった突発的な需要によるコンテナ不足がいつまで続くかわからないという中、生産を大きく増やす計画はない見通しのようです。

一方で、明るい兆しはあります。ベトナムの大手鉄鋼会社が、コンテナの需給ひっ迫に対応するため、2022年夏にコンテナの生産を始める計画と立てているとのことです。計画が実現すれば、コンテナ不足解消の大きな一歩となるでしょう。

それでもコンテナ増産までにはまだまだ年月がかかります。それまでにできることを考えてみますと、海上輸送がダメなら航空輸送に切り替えればよいのでは?ということも思いつきます。しかし、航空輸送も、新型コロナウィルスにより海外旅行客が激減している影響で便数を大きく減らしており、航空運賃は高止まりしスペースも確保しにくい状況が続いています。海上輸送から航空輸送に切り替えてもあまりメリットはないと言えるでしょう。
 
視点を変えて船社では、コンテナ不足解消に対してどういった対策をされているのでしょうか。大手海運会社では、空コンテナ在庫の適正化のため、大手IT企業とタッグを組み、ビッグデータとアナリティクスを活用して、「どの拠点にどの程度の在庫を持つか」「コンテナ在庫をいかに効率的に管理するか」といった情報収集・分析の迅速化に努めているそうです。また、別の船社では、6週より先のブッキングを受け付けない予約制限措置を取ることで、コンテナ在庫の適正化と最適化を図っているとのことです。

こういった事柄から、輸出者側で出来ることが見えてきます。輸出をする際によくあるのが、コンテナが足りないといけないので多めにブッキングを入れておいて、直前で本数が決まったらキャンセルすればよい、という考えです。こういった動きにより、空コンテナの無駄な輸送が生じ、コンテナ不足に繋がってしまうこともあるでしょう。できる限り、実際に近い本数で初めから予約を入れることが、小さなことですがコンテナ不足解消の一因となります。

ここまで深刻なコンテナ不足は、一朝一夕に解決するものではありません。船社、輸出者、コンテナメーカー、それぞれの努力によって少しずつでも改善されていくよう、努力が求められていると思います。

参照記事:
NHKサクサク経済Q&A
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20210205.html

日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0252Z0S1A300C2000000/

関連サイト:
海上輸送コンテナ不足が深刻に。その原因は?
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/boueki_jitsumu_jirei/2021-05-05

2021/05/16
satomi

海上輸送コンテナ不足が深刻に。その原因は?

海上輸送のコンテナ

この半年から1年くらいは、フォワーダーや海貨業者の方とお話をすると、世界中でコンテナ不足が起きているということを実感させられます。

フォワーダーから輸出入輸送の見積もりをいただいても、コンテナ不足により海上運賃が急激に変化しやすく先の見通しが立たないということで、見積もりの有効期限が短く設定されていることがほとんどです。

どうやら海上コンテナだけではなく航空機の貨物スペースもひっ迫しているようですが、こちらの理由は何となく想像できます。新型コロナウィルスの影響で世界的に旅行客、特に海外旅行客が大きく減少しており必然的に航空便のスケジュールも減便しているため、貨物の積載スペースも少なくなってしまうのでしょう。

それではなぜ、海上輸送のコンテナ不足が昨今で叫ばれているのでしょうか。

調べてみましたところ、海上コンテナの不足も新型コロナウィルスが大きく影響を与えていることがわかりました。感染拡大により在宅勤務や自宅時間が増えたことにより、いわゆる「巣ごもり需要」が増えたことが要因であると言われています。在宅勤務での仕事環境を整えるために、昨年はPC関連機器の販売数が伸びたことはニュースなどでも度々報道されていました。それらのPC関連機器の輸送のために通常より多くのコンテナが予約され、船に積載されました。

もちろんそれ以外にも、自宅時間を快適に過ごすための家具や、子どもたちを楽しませるための玩具などが、今まで以上に色々な国へ運ばれたことでしょう。特に北米へ向かう航路ではコンテナ船の物量が昨年度と比較して25%も増えた月もあったそうです。

それだけ多くの船が北米へ向かえば、今まで以上のパフォーマンスでコンテナの積み降ろしなどをしないとどんどん港に滞留されてしまいます。ところが、北米の港では、外出自粛やロックダウンなどの影響もあり、港湾労働者や長距離ドライバーの数が不足しているため、むしろコンテナの取扱い作業量は減ってしまっている状況のようです。

そのため、コンテナを船から降ろしてもらうために(そして新たに輸出されるコンテナを積んでもらうために)北米の港でたくさんの貨物船が行列を作って待っている状況が発生してしまっていたのです。

海上コンテナは一つの航路だけで使われているわけではなく、世界中の港で共通して使われています。北米の港を出た後にアジアを回る航路を組んでいる船も多いでしょう。ですので北米でコンテナが滞留してしまえば、それが他の国でのコンテナ不足にも繋がってしまいます。こうして、今の深刻な世界規模でのコンテナ不足の事態へと陥っていました。

コンテナ不足が続いてしまうと、輸送の遅れはもちろんですが、海上運賃の値上げも避けられません。私自身、ここ最近のフォワーダーからの見積もりを見ていますと、数年前と比べて本当に高くなったと感じることばかりです。海上運賃の値上げは商品価格の値上げに直結しますので、私たちの生活に与える影響は少なくありません。

コンテナ不足は輸出入に関わる方々だけの問題ではないのです。一朝一夕には解決できない難しい問題ではありますが、何とか解消する手立てはないのでしょうか。また別の機会に、考えてみたいと思います。

参照記事: NHKサクサク経済Q&A
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20210205.html

関連サイト:
海上輸送コンテナ不足が深刻に。その原因は?
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/boueki_jitsumu_jirei/2021-05-16

2021/05/05
satomi

意外と身近にある輸入許可前引取制度

輸入マグロの水揚げ

「輸入許可前引取り」という単語を聞いたことがある方も多いかと思います。私は初めてその言葉を聞いたときには何だか違和感を抱いてしまいました。

貨物は輸入許可を受けなければ引き取ることができないはずなのにどういうこと?と、とても不思議な言葉のように感じたのです。しかしながら制度をしっかり理解すれば何ら不思議ではありませんでした。今回はそんな、輸入許可前引取についてお話したいと思います。

「輸入許可前引取り承認制度」は通称「BP申告」と呼ばれています。「Before Permit」の頭文字を取ってBPです。ある条件下にある貨物について、輸入の許可前に貨物を直ちに引き取ることができる制度のことです。

先ほども申し上げましたように、原則、輸入貨物は輸入の許可を受けなければ国内に引き取ることはできません。しかし、貨物を保税地域に長期留置させることにより、輸入者の商取引上の商機を逃すことにつながってしまい、適当でない場合などが世の中には存在します。このため、こういった制度が導入されているのです。

この輸入許可前引取制度を利用できる例として次のようなものがあります。
1. 引き取りを急ぐもの(貴重品や危険物、変質・損傷の恐れがある場合など)
2. 時間的制約がある場合(展示会等へ出品するものなど)
3. 特恵税率又は経済連携協定に基づく税率の適用のため必要とされる原産地証明書の提出が遅れる場合
4. 税関側の事情により輸入許可が遅延する場合
5. 申告者側の事情により、課税標準の決定に時間を要するため輸入許可が遅延する場合
といった例が挙げられますが、文字で読んでもなかなかわかりづらいものなので、5番目の例を元に身近なもので具体的にお話したいと思います。

5番目の例に該当する、皆さんにもお馴染みのものとして、海外から輸入する「マグロ」があります。

とある水産会社が、定期的にオーストラリアからマグロを輸入していました。もちろん切り身などではなく、丸々一匹です。そのマグロの価格は、日本国内において市場で競りにかけられることによって確定します。

インボイスはあくまで仮の金額であり、日本に到着したばかりの段階ではまだこのマグロが一体いくらになるのか全く未知数なのです。これでは、正しい輸入申告及び納税をすることができません。
そこで用いられるのがこの輸入許可前引取制度です。

輸入者は一旦、仮の金額で輸入許可前引取承認申請をします。あらかじめ担保を設定して仮の納税を行い、マグロを引き取ります。そして市場での競りが終わりマグロの値段が確定しましたら、改めて正しい金額にて輸入申告を行い、正しい金額の納税を行うという流れで輸入をされていました。

もちろん、この制度の適用を受けられるのは、特定の条件に合ったものに限られますので何でもかんでも輸入許可前に引き取ることができるというわけではありません。

でも私たちが普段何気なく食べているマグロにもこういった制度が活用されていることを知ると、私のように今まで何となくしっくりこなかった方でも、意外と身近な制度であることがお分かりいただけたかと思います。

2021/04/20
satomi

大型コンテナ船が座礁!その時フォワーダーでは?

スエズ運河を航海する大型コンテナ船

スエズ運河で大型コンテナ船「エバーギブン」が座礁し、スエズ運河が航行不能となってしまっていた事故は連日ニュースでも報道されていましたね。世界最大級とも言われる超大型船が運河を遮るようにして座礁している映像はあまりにも衝撃的でした。

この座礁事故により起こり得る損失や賠償といった話題は新聞やネットで盛んに取り上げられているようです。では、このような事故が起きたときにフォワーダーでは何が起こっているのでしょうか? 一般的な流れとしてお話したいと思います。

まずは事故の一報が入ると、社内全体に通知が入ります。メールなどで全社員に周知させ、事故の詳細が判明する度に情報が更新されていきます。それと並行して、事故の起きた船舶に自社の手配したコンテナが積載されていないかを確認します。マニフェストや自社のブッキングシステムなどを調べて、早急に対応します。ここで運悪く自社手配のコンテナが積載されていたとなると、一刻も早く顧客へ連絡をするとともにさらに詳細な事故の状況の入手をすることになります。

幸運にも該当の船には自社手配のコンテナが積載されていないと判明すれば、次は、同じスエズ運河を今後通行する船舶には積載されていないかを調べます。事故の影響で運航スケジュールに大幅な変更が発生する事が必至だからです。

欧州方面で現在動いている船を調べ、自社手配コンテナの有無を確認し、該当があれば関係部署に連絡を入れ顧客に情報を提供します。この辺りの作業はスケジュールを確認する側も顧客に連絡を入れる側も非常に骨の折れるものとなり、「何でこんな事故が起こったんだ。。。」と恨み節を唱えることになります。スエズ運河で事故が起きたからといってアジアや北米方面の物流が止まるわけではないので、通常業務と並行しながら対処しなければなりません。

そういった情報収集と伝達をしている間にも、顧客からの問い合わせが入ります。事故の起きた欧州方面での輸出入がある顧客からは、自分たちの貨物にどれくらいの影響があるのかという相談への対応に追われます。また、あまり直接的な関係がなさそうな他方面への輸出入をされている顧客からも、影響がないか確認してほしいという依頼が入ったりもします。

大手企業などですと、「影響の有無を上長に報告しなければいけないので書面でまとめて提出してほしい」などとお願いされることもあります。もちろんお断りをするわけにもいきませんので、緊急業務の合間を縫って必死に報告書を仕上げることになります。

ざっと書いただけでこれくらいの作業が発生しますので、コンテナ船の事故というのはフォワーダーにとっても本当に起こってほしくないものです。今回はさらに、日本において一年で最も業務が集中する年度末に起きてしまいましたので、輪をかけた忙しさであったことは想像に難くありません。

事故が起きて大変なのはもちろんフォワーダーと顧客だけではなく、船会社や運河の管理会社などたくさんの方に影響があります。今後はこのような事故が起きないよう、安全で安心な運航がされることを願うばかりです。

2021/04/04
satomi

個人事業主でもフォワーダーと取引できる?

個人事業主とフォワーダー

輸出入のアドバイスをさせていただいて良く聞かれるのが、「個人事業主ですがフォワーダーを使っての輸送はできるのでしょうか?」ということです。

近年はチャットやスカイプなどのツールが発達し海外と気軽にやり取りできるようになったことや、アマゾンやメルカリなど販売のプラットフォームも多く存在していることで、個人事業として輸出入による物販をされている方も非常に増えたようです。

個人事業として輸出入物販を始める最初の理由は「ファッションが好き」「得意の英語を活かしたい」「会社員としてではなく自分で商売をしてお金を稼ぎたい」など色々あると想像できますが、「輸出入の仕組みに詳しかったので」という方は少ないのでしょうか、皆さんお話してみると意外に国際輸送に関する知識はさほど持ち合わせていらっしゃらないことも多いです。

『興味を持って輸出入を個人で始めてみたが輸送に関する知識はあまりないのでメーカーなど取引先に任せっぱなし->落ち着いてきたころ合いで利益率を見てみると意外に輸送費がかさんでいる?!->輸送費削減をしたいけれど何をしたらよいかさっぱりわからない、フォワーダーという業者があるようだけれど個人でも取引してもらえるのかもわからない->輸出入に詳しい人に聞いてみよう!』というような流れで私のところにたどり着いていただき、ご相談をいただく機会が最近チラホラとございました。

結論から申し上げますと、個人事業主でもフォワーダーと取引することは十分可能です。法人ではないからと言ってお断りをしてくるフォワーダーばかりではありません。ただし、大手のフォワーダー、つまり日本のフォワーダーランキングでベスト5くらいに入ってくるようなフォワーダーは反応が芳しくありません。丁重なお断りメールを返してくれる会社もありますが、お問合せメールを送信しても無視をされることもあるのが現実です。

その代わりと言ってはなんですが、中小のフォワーダーは割と反応が良いです。もちろん、タイミングや諸事情でお断りをされるところもありますが、多くの会社は誠意を持って対応して下さいますし、良い値段のお見積りもきちんと出していただけます。個人事業主だからと言ってないがしろにされるようなこともありませんので、もし個人でフォワーダーをお探しの方であれば、臆せずに見積もり依頼をかけてみて欲しいと思います。

問い合わせの仕方ですが基本的にはホームページにあるお問合せフォームからで問題ありません。メールアドレスか電話番号を正しく入力しておけば、お返事をいただける会社がほとんどです。ここで何一つ返信をしてくれないような会社は、こちらから願い下げだというくらいの気持ちでいればよいでしょう。

時々質問されるのが、「個人事業主だからと言って、料金を吹っ掛けられたりしないでしょうか?」ということなのですが、私は今までにそのようなフォワーダーは聞いたことがありません。まず心配いらないとは思いますが、対策として10社程度から見積もりを取ることをおススメします。そうすればあまりに高い値段のフォワーダーは一目瞭然でわかりますので、その会社とは取引しないようにすればよいのです。

自分で選んだフォワーダーを使うことによって、輸送費の削減が叶ったり、手配がスムーズに進んだりとメリットもたくさん考えられます。個人事業主で輸出入をされている方はぜひ、積極的にフォワーダーを利用してみて欲しいと思います。

2021/03/18
satomi

船の低温輸送ならリーファーコンテナ

リーファーキャリアの冷凍船とコンテナ

新型コロナウィルスのワクチンが続々と海外から到着しましたね。厳重に梱包されたワクチンが飛行機から荷卸される映像は、何だか救世主がやってきたかのように見えて思わず見入ってしまいました。

今まで輸入されているワクチンは全てが航空輸送されていました。これは緊急性が高いことはもちろんですが、新型コロナウィルスワクチンが超低温を保たなければいけない構造である事も一つの理由と考えられます。航空輸送の際には大量の保冷剤とともに梱包されていたようですね。

それでは海上輸送では低温輸送はできないのかというとそんなことはありません。今回の新型コロナウィルスワクチンのような緊急性の高いものはそもそも輸送日数の面から考えて、低温輸送可否に関わらず海上輸送が選ばれることは当分ないでしょうが、そうではなく日数が多少かかってもよいものは海上でも低温で運ぶことができます。それが「リーファーコンテナ」と呼ばれるコンテナです。

リーファーコンテナは冷凍や冷蔵の貨物の輸送に使われる特殊コンテナです。それに対して温度管理のできない普通のコンテナは「ドライコンテナ」と呼ばれるのが一般的です。リーファーコンテナは冷却装置を内蔵し壁の内部に断熱材が入っており、温度を一定に保つことができるため冷凍や冷蔵の貨物を輸送することが可能になっています。

低温で輸送しなければならないものというとまず食品が思い浮かびますが、リーファーコンテナは食品以外にも様々な用途に使用されています。例えば生花なども温度管理が必要になりますのでリーファーコンテナが選ばれます。

また夏場はオンデッキのドライコンテナ内部はかなり高温になりますので、高温下での品質劣化が懸念される精密機器なども、季節限定でリーファーコンテナにより運ばれることもあります。医薬品ももちろん含まれていて、新型コロナウィルスのような緊急性が高いわけではないワクチンは途上国向けにリーファーコンテナで輸送されていたりもします。

リーファーコンテナ手配の際の注意点としてはまず料金面の問題があります。コンテナ自体が特殊に製造されたものですし、港に搬入された後も低温を保つために電源に繋がれる必要があり、電気代もかかります。そのためリーファーコンテナの料金はドライコンテナの倍以上、航路によっては数倍かかることもあります。

また、コンテナの運搬の際にも、電源付きのMGシャーシという特殊車両を手配しなければなりません。こちらももちろん料金が高くなりますがそれより問題となるのが予約の取りにくさです。どのドレー会社でもたくさん保有しているわけではなく台数に限りがありますので、夏場のMGシャーシは取り合いといった様相となることもあります。

そんな、通常より手間とお金のかかるリーファーコンテナではありますが、大量に輸送するときにはやはり航空輸送よりも料金面でのメリットは大きいでしょう。

いつの日か、新型コロナウィルスワクチンがリーファーコンテナで輸送されているのが見られれば、その時は本当にこのコロナ禍が落ち着いて世の中が元通りになったと言えるのかもしれませんね。急いで運ぶ必要がなくなったということですから。

2021/03/05
satomi

時には輸入貨物の中に・・・。

ナイフ・スプーンなどの洋食器

輸入申告は輸出申告に比べて貨物検査となる割合がとても多いです。やはり、日本から出ていくものよりも日本に入ってくるものの方が取り締まりの必要性が高いということなのでしょう。

貨物が検査されるのなんて怪しそうな会社だけですよね、と思わてれる方もいるかもしれません。でも輸入では、時に輸入者の意図しない貨物が入っていることもあるのです。そのため頻度や確率の違いこそあれ、検査は全ての輸入者を対象に実施されます。今回は私が以前直面した、思いがけない貨物が入っていた事例を2件ご紹介します。

その1. 社長へのプレゼント?!
とあるメーカーの貨物が検査になったときのことです。東南アジアからの輸入パレットにはインボイスの品目通り、工具類、ボルトやナットなどの部品類が積みつけられていました。が、1箱、明らかに見た目が工具類や部品類の箱とは違う、ポップでオシャレな箱があったのです!もちろん税関職員がそちらに目をつけないわけはありません。その箱を取り出し、開梱するようにと指示を出されました。

果たして箱の中から出てきましたのは、素敵なデザインの洋食器セットでした。インボイスには記載されておらず、税関職員からの指示で顧客へ確認するも「そんな商品は注文もしていない、わけがわからない」との回答です。そんな説明で納得してもらえるはずもなく急いで現地輸出者へ確認してもらいました。そして得られました回答が「それは社長へのプレゼントだよ!いつもお世話になっているからね」。

プレゼントで売買取引の対象ではないとしても、輸入許可を受けるためにはきちんと輸入申告をする必要があり、そのためには当然ですがインボイスに商品名や価格などを記載する必要があります。輸入者は「今後はそのようなものを勝手に一緒に入れないよう、輸出者へしっかりと伝達するように」という注意を税関職員から受けた後に、インボイスを差し替え、輸入申告を訂正して無事に許可を得られました。

その2. 日本人はブランド物が好きだから?!
こちらも同じく東南アジアから、雑貨などを輸入されていたとあるショップさんのお話です。この時は財布などの革製品を輸入されていました。元々雑貨などは税関の検査対象になりやすいこともあり、貨物のうち数箱を税関の検査場へ持ってくるようにという検査指示が出ました。

開梱してみますと申告通り財布などが出てきましたが、チェックを進めていくうちになんと、一部の革製品に某ブランドの名前がいくつか刻印がされているではありませんか!

インボイスにはブランド品であるなどと一言も書かれていません。これは商標権を侵害する物品、いわゆる偽ブランド品なのか・・・?と税関職員の間にも緊張が走りました。しかし、刻印をよく見てみるとブランド名が簡単に刻まれているだけで、そのブランドを模倣しているような様子は一切見られません。何か違和感があるなという気持ちを抱きつつも輸入者に緊急で確認を取りました。

輸入者もいたって普通の革製品を輸入しているつもりでしたので驚き、すぐに輸出者に確認したところ、回答は「あれはサービスで入れたんだよ!日本人はブランド品が好きなんでしょ?」

偽ブランド品を作っている意図がなかったとしても、勝手にブランドの名前を刻むことは当然許されるものではありません。商標権侵害の恐れがあることから、これらの製品は全て滅却処分となりました。

この2件の事例からもわかるように、思いもよらない貨物が入っていることは往々にしてあります。だから輸入貨物の検査はどんなに信用のある大手企業だとしても決して無くなることはないのです。

2021/02/15
satomi

原産地証明書のオンライン申請・発給はじまる

原産地証明書のオンライン申請

貿易業務をしていると何度も見聞きするのが「原産地証明書」という書類です。原産地証明書とはその名の通り、取引の対象となっている物品が特定の国・地域で生産又は加工をされたことを証明する書類のことです。貿易では主に輸入側での関税を軽減するために取得されることが多いです。

貿易で使用する原産地証明書は輸出者が手配します。輸入の場合であれば輸出者から原本を入手するだけで基本的にはOKですので、取得は主に輸出者に関係する作業となります。

原産地証明書は、輸出者又はその代理人が各地にある商工会議所に出向いて申請し発給を受ける必要があります。

申請者が証明書記載事項を、予め購入しておいた商工会議所指定の用紙に印刷をして原産地証明書を作成します。そちらを持参して商工会議所窓口で、作成した原産地証明書とインボイスを提出して申請します。商工会議所は紙ベースで審査をし、認証されれば申請者は現金などで所定の手数料を支払い、書面で証明書が発給されるという流れです。

窓口へ出向くという一連の流れは長らく続いており、基本的に郵送やメールでの申請も受け付けられておらず、原産地証明書はマニュアル申請するというのが常識です。ところが、世の中全般のデジタル化の波に乗るかのように、日本商工会議所が「貿易関係証明発給システム」を構築しました。そして12ヵ所の商工会議所で非特恵原産地証明書のオンライン発給を始めました。(2021年1月8日現在)。

出典元:
商工会議所貿易関係証明広報サイト
https://www.jcci.or.jp/boeki/

オンライン発給はどのような流れかというと、申請者はまず商工会議所の新しいシステムを使ってインボイス情報等をPC画面に入力し送信します。商工会議所はPC画面上で審査し、認証されると申請者はオンラインで手数料を支払います。その後、申請者は証明書発給の連絡を受理すると証明書を白紙にカラー印刷することで原産地証明書として使用できるようになります。

これにより、申請者は自社からの発給申請が可能となり、窓口へ出向く時間と手間の節約できます。新型コロナウイルス感染予防の面からも商工会議所側にも大きなメリットがあると言えるでしょう。用紙の購入が不要になりますので経費の削減も期待できますし、保管場所も不要なので在宅勤務の従業員でも発給手続きができるなどの利点もあります。オンライン支払によりクレジットカードの使用が可能となりますし、申請履歴もシステムに保存されますので、過去の履歴を繰り返し使用することで入力の手間が省けるなど利便性も向上しています。

もちろん、輸出者の代行でオンライン申請を行うことはまだ対応されていないなどの改善点はまだまだあります。これからも改良を重ね、他の商工会議所でも順次対応が始まり、申請側にも発給者側にも使い勝手のよいシステムとなることを期待しています。

2021/01/26
satomi

コンテナドレージの稼働はどうなる?

コンテナドレージ

年末も差し迫ってきましたね。師走とはよく言ったもので、この時期は公私ともにバタバタとされている方も多いかと思います。 世間では「年末進行」なんて言葉をよく耳にしますが、年末にかけての業務が慌ただしいものになるのは貿易業務も例外ではありません。

貿易関係はその業務の特性上、ゴールデンウイーク・お盆休暇・年末年始休暇の前後がとにかく多忙になりがちです。「休暇期間中に発行されたBLをどう処理するのか」「顧客の休み明けまで貨物を保管してもらうと保管料はいくらかかるのか」「船(飛行機)が運休となったが違うスケジュールで輸送可能か」など考えなければならないことが次から次へと発生します。

その中でもかなり頭を悩ませるのが「輸送車両の確保」です。ここでの輸送車両とは、日本国内で輸出入貨物を、輸出者(輸入者)と港(空港)の間で輸送する車両、つまり「大型トラック」や「コンテナドレージ」のことを指します。連続休暇の前後は輸送車両の確保がとても難しくなります。トラックはまだ確保に余裕が感じられることもありますが、コンテナドレージは昨今まさにひっ迫という単語が違和感ない状況となっており、慢性的に不足に陥っています。ただでさえ普段から不足気味ですので、特に年末年始は危機的状況になると言っても過言ではありません。

ドレージ車両がそのように常に不足した状況となってしまっているのには
・輸出入量の増加
・慢性的なドライバー不足
・コンテナターミナルの混雑による稼働率悪化
と主に3つの要因が考えられます。

今年こそ新型コロナウィルスの影響で輸出入量は減少気味でしたが、それまでは世界経済の活発化により輸出入量は年々増加していました。それにより必然的にコンテナターミナルの混雑も激しくなり、ドレージ業者が効率よく車両を回せなくなっていました。

そこに追い打ちをかけているのが、ドライバー不足です。少子化、長時間労働や肉体労働を避ける若者の傾向、またここ数年ではオリンピック開催に向けての建設ラッシュで労働力が建設業に回っていたこともあり、日本国内は深刻なドライバー不足が続いています。コンテナドレージ業者は、車両はあるのに人手がないのです。

これらにより、コンテナドレージの予約は普段から早め早めに行うことが必須とされています。毎週のように輸出入貨物のある大手メーカーさんなどは、確保できなくなって慌てることがないよう月単位でまとまった本数を抑えています。それゆえスポット貨物は予約が取りにくくなりますので、輸出入の予定が決まったら仮でもいいのでとにかく予約を入れておくことが貿易業務の常識となりつつあります。

普段からそんな状況ですので、貨物が集中する上に稼働日の限られる年末年始前後は文字通りコンテナドレージの取り合いとなります。1か月前で既に予約がいっぱいなんてことはざらで、キャンセルが出るのを祈るような気持ちで待つこともあります。同じ会社の中で確保台数やキャンセルの情報を共有して、ドレージ会社にキャンセルの連絡をする前に社内で融通しあうのも見慣れた光景です。

どうしてもコンテナドレージの予約が取れないが納期を遅らせるわけにもいかず、最終手段として年末が差し迫った日の午前6時からコンテナ詰め作業を開始したり、ヤードが休暇に入った29日に無理を言ってコンテナを搬入させてもらう手配をしたりと、あの手この手で毎年何とか乗り切ってきたものでした。

今年はさらに、新型コロナウィルスの影響で、コンテナドレージの予約状況が一層悪化しているという情報も耳にします。今後少しずつでも良いので状況が改善していくことを願うばかりです。

2020/12/25
satomi

広いアメリカへの海上輸出はどうする?

パナマ運河を通るコンテナ船

アメリカ大統領選挙では得票状況を示すアメリカ全土の地図を、テレビやネットの画面を通じて何度も見かけました。その都度、「移動や物流も大変だろうな~」と国土の広さをあらためて感じていました。なんせ西海岸と東海岸では4,000キロほどの距離があり、加えて3時間の時差まであります。ちなみに札幌と那覇が直線距離で2,300キロほどです。

今回はそんな広いアメリカへの物流を、日本からの海上輸出という見方を通してお話しします。

日本から船で輸出する際には同じアメリカでも西海岸の港は割と近く感じます。しかし、東海岸の港となると地図で見るよりはるかに遠くなります。と言いますのも、東海岸まで全て船で向かおうとするとパナマ運河を通らなければ行けないからです。パナマ運河は南北のアメリカ大陸をつなげるかのように横たわるパナマ共和国の中央部にあります。パナマ地峡を開削して造られた大西洋と太平洋を結ぶ全長80kmの運河です。

このパナマ運河を通るルートは貿易用語で「All Water(オールウォーター)」と呼ばれます。全て水の上(海の上)で運ばれるという意味です。言うまでもまく時間はかかります。

All Waterに対するように存在するのが、西海岸のロサンゼルスやロングビーチ、タコマなどの港で一旦陸揚げし、後はコンテナを鉄道へ積み替えて大陸を横断して陸上輸送をするという方法です。こちらはミニ・ランド・ブリッジ(MLB)や、内陸都市止まりの場合はインテリア・ポイント・インターモーダル(IPI)と呼ばれます。

MLBサービスはAll Waterに比べて4日~9日ほど輸送日数が短くなりますのでスピード面で優位です。また、西海岸への航路を持つ船社も多く、高頻度で運航されていますので、スペース予約が取りやすい面でも荷主利便性が高いです。しかしながら、鉄道に積み替えて輸送することになりますので海上運賃はAll Waterよりも高くなります。また、積み替えの際や鉄道の揺れによるダメージリスクもありますので、精密機器の輸送などでは選択を避ける傾向もあります。

フォワーダーはアメリカへの輸出依頼を受けますと、荷主の意向を聞き取り最適なルートを考えます。多少コストがかかってもリードタイムを短くしたいのであればMLB、とにかく安くすませたいのであれば予約の取りにくいことを承知でAll Water、などと各荷主に合わせてプランを立てます。

私の個人的な経験から言いますとAll Waterの船は本当に予約が取りにくく、繁忙期には1ヶ月以上先の船まで待つこともありました。思うようなタイミングで船の予約が取れないことは円滑な物流業務に支障をきたしますので、MLBを選択される荷主が多かった印象です。

アメリカにはまだまだ、日本ではありえないようなダイナミックな物流事情が数多く存在します。自分が実際にアメリカへ輸出するという気持ちで、「シカゴに輸出したいけれどどういうルートがあるんだろう?」なんて仮定をして、アメリカの地図を眺めながら調べてみるのも面白いかもしれませんね。

2020/12/08
satomi

通関業務はテレワークで!?

PCによるTELEWORK

前回のコラムではテレワーク拡大によるPC需要の増加により中国の輸出額が増加していることをお伝えしました。ではそのテレワークは貿易業務、特に通関業務ではどれくらい浸透しているのでしょうか。

通関業務のテレワーク自体は、2017年10月8日の通関業法基本通達改正によって新たに可能となっています。しかしながらコロナ以前にはほとんど浸透していませんでした。大阪通関業会の昨年のアンケートでは通関業務の在宅勤務の導入状況は「導入している」が2%、「導入について検討中」が3%とわずかな数字にとどまっています。

それではコロナ以後はどうでしょうか。財務省関税局は3月上旬から、コロナ感染対策としての通関業務の在宅勤務等の開始について、税関への申請に必要な就業規則や社内管理規定を急に準備するのが難しいことから、これらの要件を緩和する決定をしました。自宅のみではなくサテライトオフィスについても申請を認めており、これを機に申請数は増加し10月1日時点で4,045人について申請が行われているそうです。

それでも、あくまで申請に過ぎない数字ですので、どの程度の人数が実際に在宅勤務にて通関業務を行ったのかはわかりません。私が日ごろ付き合いのある通関業者の数社に聞いてみましたところ、恒常的に通関士の在宅勤務を実施しているという会社はありませんでした。あくまで、今後またコロナ感染が拡大して通関士の出勤が不可能になった場合の対策として申請をしているという、保険的な意味合いでの申請が多いようです。

何が通関士の在宅勤務を妨げているのでしょうか。いくつか考えられますがまずは機密保持の難しさです。通関業務はインボイスなどの船積書類を確認しながら通関に必要な申告書を作成し、それを通関士が審査することによって行われます。会社で業務をしていればそれらすべてを印刷して作業することが可能でしょうが、顧客の機密保持対策として自宅での業務関連書類の印刷を認めていない会社が多いのでテレワークでは画面上で書類の確認や作成をすることになります。

申告書を作成したあと画面上でのみチェックし、それをまた通関士が画面上でのみ審査をするのでは、誤った輸出入申告につながりかねません。申告の誤謬は通関業者の信用失墜になりますので、それを避けるためにも通関業務は社内でしかさせない会社が多いと思われます。

あとは申告書作成に必要な資料の存在です。例えば輸入の際の税番を決めるのに必須である実行関税率表は厚さが10センチほどあるノートよりも二回りくらい大きな冊子です。これを在宅勤務のために自宅に持ち帰り、また出社の際に会社へ持って行くのは想像しただけで気が重くなります。自宅用にもう1冊購入するという方法もありますが1冊は3万円弱と高額であり、通関業務従事者全員に購入するとそれなりの負担になってしまいます。

実行関税率表以外にも関税率法解説や分類例規など、申告書を作成するには数多くの参考書籍を頼りとしています。そのような書類は社内に置いてあるものです。もちろんwebでも見られますが、社内で共有している参考書籍は付箋が貼ってあったり重要事項にマーカーが引いてあったりと、それぞれの会社で必要な情報が蓄積されており作成の上で大変助けになります。それらを一切利用せずに自分の知識と経験だけで申告書の作成と審査をするのは現状難しいと言えるでしょう。

とはいえ今後も色々な業種でテレワークは広がりを見せると思います。通関業務でも、従事者の皆様が知恵を絞ってテレワークの充実を実現させ、どんな世の中になっても迅速かつ正確で安心な輸出入通関が行われる社会になることを期待しています。

2020/11/11
satomi

テレワークが中国のPC輸出をけん引

pic_jitsumu_jirei_20201026

初めまして。今回よりこちらのコーナーを担当させていただきますsatomiと申します。今後、お付き合いいただけますようよろしくお願いいたします。

新型コロナウィルスの感染拡大は世界各国・地域の経済に連鎖的にショックを与えました。感染から身を守るためや感染による災禍のため、生産や消費が大幅に停滞したのは皆さまご存じの通りです。結果、2020年は全世界的に輸出入の量が落ち込み、減少傾向が続いているのが現状です。この輸出入の落ち込みはしばらく続くと思われていましたが最近になって明るい兆しの見えるニュースが入ってきました。

中国の貿易が力強い回復を見せています。中国税関が10月13に発表した貿易統計データによりますと、2020年9月の中国の輸出額(ドル建て)が前年同月比9.9%増の2,397億6000万ドル(約25兆2800億円)と、伸び率が8月より0.4ポイント上昇して今年の最高値を更新したのとのことです。同様に輸入額も同13.2%増の2,027億6000万ドル(約21兆3800億円)と二桁の伸びを示しました。

この好調の背景には、マスクや医療機器、医薬品などの新型コロナウィルス対策の医療用物資に加えて、テレワークやオンライン授業などWeb関連の世界的な広がりに伴うパソコンやタブレットの需要急増があるといいます。ここ日本でもコロナ以後、在宅勤務やWeb会議、オンラインフィットネスと言った単語を昨年とは比べ物にならない頻度で見聞きするようになりました。

多くの企業でテレワークが推奨されたり、大学や予備校などでオンライン授業化が進んだりしたことで、パソコンやタブレット端末の買い替えや買い増しを検討された方も多いでしょう。また、新型コロナウイルス感染症対策を目的にテレワークへの取組を行う中小企業事業主を支援する助成金などを政府や自治体が発表したことにより、企業が主体となって新しいパソコンなどの機器を導入したことも需要急増の一因となっていると考えます。

パソコンは中国で数多く生産されています。中国の重慶市は2019年、世界のノートパソコンの約40%を生産し、6年連続で世界首位となっています。中国中西部で唯一の直轄市である同市は、通信キャリアやブランド企業、OEM(相手先ブランドによる生産)企業、関連会社などを一体化したスマート端末産業チェーンを形成しているのが強みであり、携帯電話の生産額も1,000億元(約1兆5000億円)を超え、生産台数は世界の約一割を占めています。それだけの生産数を誇る中国ですので、世界中の人々がテレワークやオンライン授業を利用するようになり買い替え需要が増えたことによって、輸出額が飛躍的に伸びたことも何ら不思議ではありません。

これから冬のボーナス商戦に入ることもあり、PC関連機器やスマートフォンなどの買い替えはますます増え、中国の輸出額も右肩上がりに回復していくことが予想されます。中国市場が世界経済を牽引して、近いうちに世界的に経済活動が復活し今までのように活気ある輸出入市場に戻ってくれることを願うばかりです。

2020/10/26
satomi