海外送金をしたのだが、受取人からまだ届いていないとのクレームを受けてしまった。間違いなく送金したのだが、いくら送金したと言っても、相手が納得してくれない。このような場合どすれば良いか。 |海外送金で相手に「送金がまだ届かない!」 と言われた

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公開日:2015.11.21  / 最終更新日:2015.12.01

相手から「送金がまだ届かない!」 と言われた。どうしよう?

「海外送金をしたのだが、
受取人から未着のクレームを受けてしまった。
間違いなく送金したのだが、いくら送金したと言っても、
相手が納得してくれない。」

どうすればいいの?

このような場合、「送金した!」と相手に何度返事をしても、
肝心の送金が相手に着かない限り、問題は解決しません。

とにかく真っ先に確認すべきは、お金の所在です。
滞っているお金を、正常な動きに戻す必要があります。

一刻の猶予もできません。
この場合、チョッとだけコツがあります。

相手との間で「送金未着の原因探し」や、
「送金遅延の犯人捜し」をやりあうのではなく、
「自分は送金未着の状況解消に向けて、
貴方と協力していきたい。」
という姿勢で臨むのです。

これ、話として聞くと「なんだ、そんなことか。」と思えますが、
このようなクレーム処理では、どちらかが100%悪いということは、
先ずありません。

というかそう考えると、必ずと言っていいほど、上手くいきません。
裁判ではないのですから、黒白をつけるのではなく、一分一秒でも
早く先方の手許に届くように、双方が協力すべきなのです。

さてそこで具体的なお金捜しですが、
まだ日本にあるのか?(ない場合多いです)、
途中のどこかに引っ掛っているのか?(これはありそうです)、
相手の国に着いたがその先で止まっている(これもありそうです)、
大きく分けてこの三つになります。

よって捜索は実際の送金ルートに従い、銀行経由で行うことになります。

その際に忘れてはいけないことは、先方への返事です。
何はさておき先方には「大至急調べる!」と伝え、
時効の中断を図りましょう。(これ意外に大事です)

クレームが来たのは、待っても送金が来なかった。ことを意味します。
こちらが考えている以上に、相手は怒ったり焦ったりしています。
その気持ちを十二分に汲んであげましょう。

そして、この不幸な事態(送金が着かないこと)に対して、
私も最大限努力するので一刻も早く解決しようと、呼びかけるのです。

そして何はともあれ、送金を依頼した銀行に問い合わせをします。
実際の調査は、銀行にお任せする部分がほとんどですが、
自分で出来る事もあります。

そのためには、まず送金してもらった銀行に頼みごとをします。
実際に発信された内容を示す、
「SWIFT(スイフト)発信モニター」というものをもらうのです。
    
銀行の担当者に
「送金未着クレーム対応に必要なので、SWIFTモニターが欲しい。」
と言えば無料でもらえます。

ただもらったモニターは、送金電文そのものなので、
このままでは内容が全く分かりません。

そこで銀行の担当者に確認してください。
依頼書通りの内容で発信されたか。
相手の銀行名や支店名、口座番号は正しいか。
IBANやBICと呼ばれるコードも、きちんと発電されているのか。
これらを銀行担当者に確認してもらうことが肝心です。

さらにいつ発信されたのかも、重要なポイントになります。
発信モニターを見れば「何時何分何秒」発信かまでわかります。
日本時間ですが確認をしてください。
最後にその送金固有の取組番号(リファーとかリファレンスと呼びます)
を確認して、発信モニターを受領します。

この段階で、本当にレアケースですが、未発信だったり、
間違った所に行ってしまった。
などと、とんでもないことが分かる場合があります。

こうなった時は、先方に謝るしかありません。
もし喧嘩腰で対応していたら、こうなった時どんなマズイ状態か、
お分り頂けると思います。
未発信や間違った所へ発信(これを仕向相違といいます)は、
本当に例外的な話です。

ほとんどの場合、間違いなく送金されていると判断できます。
(これであなたの責任はない。証明してもらったようなものです。)

次にそのモニターを先方にFAXなり、PDFファイルなりで通知します。
先方にこの資料(エビデンスと呼んでます)を、
受取予定の銀行に提示して、送金到着の確認をするように
依頼するのです。

相手の銀行も発信モニターを見せつけられては、
あいまいな対応はできません。

意外なことに、到着しているのに何らかの不都合で、
入金はまだだったということが分かる場合があります。
この場合は、あとは先方サイドでの問題といえます。
クレームとしては一件落着です。

一番ややこしいのが、途中で止まっている場合です。
とりわけ困難さが増すのが、米ドル建ての送金が米国政府の規制
(OFAC規制が有名です)に抵触して、米国の銀行で資産凍結
あった場合です。
詳しいことは別の機会に譲りますが、これはほぼ完全にアウトになります。
取り戻すこともまず無理です。

それ以外にも途中で止まる場合があります。
原因はその場所固有の事情
(送金人にも受取人にも明確に原因が無い場合)が多く、
対応に苦慮する場合が多いのです。

このような場合でも急がば回れではありませんが、
いったん資金を取り戻して別の方法で送金し直すほうが、
良い場合が多々あります。

以上いろいろな状況で、送金を依頼した銀行に主体的に動いてもらって、
解決に向けて対応していくことになります。

最後に結論めいた話になりますが、送金未着クレームへの対応は、
「一に初動」、「二に相手との協力関係」となります。

この二つを念頭に、銀行を動かしてください。若干の手数料はかかりますが、
何とか窮地を脱することが出来ると思います。

2015/11/21 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

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