「不寄港証明」をご存じでしょうか。実は今でも使われているようです。イスラエル向けの輸出でL/C条件で不寄港証明を要求された。そこで船会社に相談したが知らないみたい。そもそも不寄港証明って何のこと。このような時銀行はどう対処するのでしょう。 |不寄港証明と銀行の対応

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公開日:2022.04.19

不寄港証明と銀行の対応

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「不寄港証明」をご存じでしょうか。私はこのごろ聞かなくなったなあ。そんな意識でいましたが、実は今でも使われているようです。と言うのも最近こんな話を耳にしたからです。

イスラエル向けの輸出で、L/C条件で不寄港証明を要求された。そこで船会社に相談したが船会社も知らないみたい。どうしよう。そもそも不寄港証明って何のことだろう。よく分らない???こんなお話しでした。さてこんな時銀行としてはどう対応すべきか。この点を今回はお話ししたいと思います。

今回は結論から言うと「L/C条件に不寄港証明は載せない」、これを第一にアドバイスしたいと思います。過去エジプトやヨルダンを除き多くのアラブ諸国が、イスラエルと断交していました。しかし2020年9月にUAE(アラブ首長国連邦)とバーレーンが、イスラエルと国交を正常化させました。その後スーダンやモロッコとも国交正常化に合意しています。輸出者としてイスラエル、アラブ諸国双方と取引可能性があるのなら、一方に与する対応は出来れば避けたいのが本音です。なのでL/c条件に載せない。これを第一にすべきと思います。

次善の策としてはイスラエル系の船会社を利用する手があります。Zim Line(本社:イスラエル・ハイファ)などが候補になります。これらの会社であればイスラエルの輸入者もクレームしないと思います。いずれにしても銀行としてはL/C条件に不寄港証明があれば、それがないと条件不一致とせざるを得ませんし、L/C条件にないのなら条件不一致の問題は起きません。なんとも要領を得ない話ですが、実際はそんなところです。

さてここまでお話しした不寄港証明ですが、実はアラブ側からも同様に要求される可能性があります。今回のお話しはイスラエル側からの要求でしたので、次善の策としてイスラエルに本社のある船会社をご紹介しましたが、アラブ側からの要求であれば当然使うことは出来ません。その点ご注意ください。

また不寄港証明が銀行で問題となるのは日本からの輸出です。(日本サイドの輸入であれば早く正確に到着すればそれでよしです)さらにその資金決済方法がL/Cベース(一部D/P D/Aもあり)の時です。送金ベースでは銀行はノータッチとなります。

最後になりましたが不寄港証明のひな形とその訳文をつけておきます。
ひな形
IN VIEW OF DANGER OF CONFISCATION, WARRANTED VESSEL NOT TO CALL AT PORTS AND NOT TO ENTER THE TERRITORIAL WATERS OF ANY ARAB COUNTRIES BELLIGERENT TO THE STATE OF ISRAEL AND/OR ACTIVELY SUPPORTING THE ARAB BOYCOTT, PRIOR TO UNLOADING AT PORT OF DESTINATION UNLESS IN DISTRESS OR SUBJECT TO FORCE MAJEURE

訳文(試訳)
没収の危険性を鑑みて、認められた船(本船)は目的地の港で(積み荷を)降ろす前は、海難又は不可抗力の対象にならない限り、イスラエル国に対し交戦中の或いはアラブボイコットを積極的に支援するアラブ諸国への寄港もしないし領海にも立ち入らない。

参考サイト:JETRO(本文とは異なりアラブ側からの要求によるものです)
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010811.html

2022/04/19
貿易と銀行実務いろは
おすがっぱ

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