信用状を開設したいのだが、銀行からアレコレ聞かれ困っている。信用状の開設はそんな大変なことなのでしょうか。ある輸入業者からの素朴な疑問です。|信用状を開設したいが銀行からアレコレ聞かれる

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公開日:2015.12.28

信用状を開設したいが銀行からアレコレ聞かれる

『信用状を開設したいのだが、銀行からアレコレ聞かれ困っている。
信用状の開設は、そんな大変なことなのか。(ある輸入業者より)』

商品輸入のために、取引銀行に信用状(L/C)開設を依頼すると、
詳しく商売内容を聞かれたり、場合によっては担保を要求されたりと、
まるでお金を借りるみたいな対応をされる場合があります。

今回は輸入をお考えの皆さんが、一度は直面する
信用状開設の壁(?)について、お話ししたいと思います。

前回にもお話ししましたが、信用状取引は大変に優れた仕組みです。
一度も会ったことのない業者間でも、安心して貿易取引ができます。
この仕組みの一番の売りは、信用状発行銀行の輸出者に対する
確実な支払約束の存在です。

これは輸出者の取引銀行(買取銀行といいます)から
送られてきた船積書類が、発行した信用状の条件に
一致する事が大前提となります。

しかし、それさえ満たせば支払いは確実になされます。
この条件があるので輸出者は安心して船積できます。

出来上がった船積書類は、銀行に持込み買取りしてもらえば
よいことになります。
事実上この時点で、輸出代金は回収。というわけです。

ここで銀行の役割ついて考えてみます。

輸出者と輸入者の取引銀行は、それぞれ銀行には違いはない
のですが、その置かれた状況はかなり違います。

輸出サイドの銀行は、顧客から船積書類の買取を依頼
されるのですが、この買取は与信行為であり決して
ノーリスクではありません。

しかし、買い取る船積書類は輸出貨物そのものであり、
いわば商品の売買を書類でしているようなものです。
結局、皆さんのご商売と実態はあまり変わりません。

しかも代金は書類がOKであれば、
輸入サイドの銀行が必ず支払ってくれます。

如何でしょう。
輸出側の銀行はかなりしっかりした商売ですね。

実際、輸出信用状取引は代金回収の確実性が高いので、
銀行によっては輸出業者の経営状況にあまり影響されずに、
買取金額の上限は「なし」で応じる場合もあります。
(つまり青天井で買い取るというわけです)

一方、輸入サイドの銀行は、
信用状条件に一致した書類が送られて来たら、
決済をしなければなりません。

しかもこの決済義務は、
輸入者の支払い義務とは別個のものでして、
輸入者の動向とは無関係に履行する必要があります。
(たとえ輸入者の資金繰りがタイトで決済できなくても、
銀行は決済しなければなりません。
輸入業者が倒産していても決済する必要があります。)

となると、輸入サイドの銀行にとって、
信用状の開設はある意味、融資よりもハードルが
高いかもしれません。

ですので、信用状の開設依頼に銀行を訪れても、
外為が分かる担当者が応対すればするほど、
相談した方は壁のようなものを感じることになるわけです。

ではどうやってこの壁を乗り越えるか。
今からいくつかコツをお教えしたいと思います。

コツ その1
輸入決済資金を事前に銀行預金で用意する。

信用状を発行=輸出買取銀行への支払義務発生、
ですので銀行担当者の最大の関心事は、返済資金の確保です。

ここがクリアーされると、後の話はゆっくり詰めれば良いという、
大らかな気持ち(?)で輸入業者に対応できるというものです。
(余り面白い話ではありませんが、実態はそんなところです。)
なお細かく言えば、正式担保に入れる場合と
(預金担保、通常「預担」よたんと言います)、
そうでない場合がありますが、正式担保の方がスムーズにいきます。

コツ その2
信用状の有効期限を出来る限り短くする。

信用状の有効期限は、開設から3カ月までを一区切りとします。
そこまでの間は、1日でも3カ月でも同じ金額・料率で計算します。
(この3ヶ月を1TERM(ワンターム)と呼びます)。

手数料や保証料が一緒ですから、
有効期限の長い方が海外の業者も都合が良いのですが、
あえてこれを短めに、たとえば1カ月にしますと、
銀行担当者に申し入れます。これ意外に効きます。

銀行にとって与信は良い収益チャンスですが、
反面与信期間の固定長期化は体質的に嫌います。
その意味で1カ月は相当程度以上に短い印象があります。

いわゆる行内決裁文書(稟議書といいます)で、
「本件は短期収束見込み」と、コメントが出来るため、
支店や本部の受けが良くなります。

コツ その3
信用状金額は必要最低限にする。

せっかく開設するのだからと、
あれもこれもと盛り込みたくなりますが、
迅速に開設してもらうには、必要最小限の金額だけにすべきです。

これは前の二つと違って、そうすればよい印象になるかと言えば、
疑問があるのですが、逆にこの点を欲張ると、
依頼全体がピンボケな印象になってしまいます。

コツ その4
輸入商品の販売先と販売数量、代金回収条件を具体的に説明する。

信用状取引はあくまでも海外とのやり取りですが、
銀行の関心事は輸出者や商品ではなく船積書類です。
それと商品輸入後の代金回収状況も関心事です。

船積書類は輸入サイドではどうしようもありませんので、
銀行の担当者が皆さんに聞くことはありません。

しかし代金回収については大いにヒアリングされます。
このヒアリング。結構、皆さんの違和感が強いのではと
私は思っています。

端的に言えば信用状に直接関係ないのに、何をこと細かく聞くのか。
と感じられるのではと推察するわけです。

一定以上の企業では、資金繰りは会社全体で見ています。
仕入れや販売の資金を、商談ごとに結び付けていないというわけです。

ところが銀行は企業規模とは無関係に内容を聞いてきます。
これに対しては、割り切りの世界で対応すればよいと思います。
見込みでも、予定でも、とにかく説明できれば良しとしましょう。

銀行ではこの結び付けを「ひも付き管理」と呼んでいます。

つまり資金の流れを、入口から出口まで見張るということです。
この「ひも付き管理」を徹底するという姿勢(ひいては言葉も)は、
銀行の稟議では良く使われます。
これは決済に向けての青信号の一つとなります。

以上コツを4つお話ししましたが、
銀行の担当者が外為に明るければ良いのですが、
不得手だとこちらの話が握り込まれる恐れがあります。

信用状開設に限りませんが、
銀行に依頼する場合は「〇月〇日までに回答してほしい」と、
期限を切るのが上策です。

もしいままで遠慮して言ってないのであれば、
ぜひ一度お試しください。意外に効果があります。

2015/12/28 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

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