他行に競り勝つためや自行他店に出し抜かれないため、正しい情報を得ることは重要なポイントとなります。今回は「銀行員の情報戦略」と題してお話しします。情報はその正確性は勿論ですが、スピード性も非常に大切です。どんなに重要・貴重な情報でも、既に周りのみんなが知っていた、では何の役にも立ちません。そこで頭をひねるわけですが。|銀行マンの情報戦略って!?

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公開日:2019.01.15  / 最終更新日:2019.01.19

銀行マンの情報戦略って!?

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銀行の仕事も詰まるところ、情報の有無や優劣が勝敗を決めます。

他行に競り勝つためや、自行他店に出し抜かれないために、正しい情報を得ることは重要なポイントとなります。

今回は「銀行員の情報戦略」と大きく題してお話しします。

情報はその正確性は勿論ですが、スピード性も非常に大切です。

どんなに重要・貴重な情報でも、既に周りのみんなが知っていた。こんな情報では何の役にも立ちません。

そこで頭をひねるわけですが、以下はその情報源のご紹介です。

【その1 公開資料】
文字通り公開の資料です。ここでの情報は、裏付けが原則不要です。周りや本部を説得するには、非常に力となります。が、如何せん独自性がない上に、スピード性もありません。どちらかと言うと、我が身を守る盾としてよく使いました。

【その2 調査機関資料】
海外で言えばダン・レポートで有名なD&B社や、国内で言えば帝国データバンク・東京商工リサーチから得られる情報です。

これらも裏付けは不要ですが、今ひとつ掘り下げてないのが難点です。自分自身がこれらの会社からヒアリングされた身なので、よく分かるのですが、彼らからの質問にマトモに数字を交えて話すことは絶対にありません。

例えば融資量とか外為取扱高、預金残高などは絶対に話しません。さらに余計なことは一切喋りませんので、詰まるところ「はい」「いいえ」、ぐらいになってしまいます。

これで出来上がった調査報告書の内容はどうでしょうか。ご想像通り、余り使えなかったというのが本音です。

【その3 ネット検索】
何より手軽で、まずはここからが多かったです。ただ裏付けが中々取れず、信頼性が乏しいまま進んでしまい、結局参考程度にしかなら無いことが多発しました。この点は今もそうでしょうが、注意すべき点です。

【その4 同業他社へのヒアリング】
妬みや中傷が混じる恐れがありましたが、聞きたいことが聞ける上に、具体性が一番有りました。

また噂段階から、一番早く情報が得られるのもこのルートでした。正直何度も助けられました。いい話は余り出てこないのですが、我々が最も恐れる資金繰りの悪化や、商売上の不手際などなど、試算表を見るより、当該社にヒアリングするより、よっぽどこのルートは確実でした。

今も昔も人の口には戸は立てられない。これは本当です。

【その5 当該社内の別ルート】
これは何を指すかと言えば、通常とは別部門に当たれと言うことです。銀行員の主な情報源は、企業の財務・経理担当者です。ここからの情報だけで当該社の状況を判断すると、とんだ判断間違いをすることがあります。

そこで我々は、よく貿易担当者とコンタクトを取りました。彼らも銀行との接点は無いらしく、いろいろ話を聞かせてくれました。勿論こちらの商売に直接結びつく美味しい話も有りましたが、会社の現況など率直に語ってくれることが多く重宝したものです。

最後に、今までのお話は法人が対象でしたが、個人の場合はどうするか。

実はあるトレーニーから大変面白い話を聞きました。彼は個人担当でしたが、訪問しても不在が多く困っていたそうです。そんな彼があるときエレベータの中で、宅配便の担当者にあって、思わず愚痴ると、いろいろ有益な情報をくれたそうです。

よく考えたら、宅配便担当者の最大のネックは配達先の不在です。「不在持帰り・再配達」、これをなんとしても防ぐ必要があります。それには各家庭の在宅時間を把握することです。そこで担当地域の家は何時が在宅か。これをノウハウとして蓄積しているのです。それを聞いて彼はこれだと閃いたそうです。

その後彼は宅配便の配達員を見ると声かけをし、一息入れるのに付き合ったり、愚痴も聞いてあげながら、必要な情報を得たそうです。

これを聞いて、私はなんとも彼は「慧眼の士」だと心底驚きました。

如何でしたか、この一文が参考になれば幸いです。

2019/01/15

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