「居住者・非居住者」についてお話します。ちなみに法人にもこの区別はありますがウッカリしがちなのは個人のほうです。そこで個人のお話しをさせて頂きます。さて「居住者・非居住者」とは「何ぞや?」ですが、一般的には日本国内に住んでいる人が居住者で、住んでいない人が非居住者になります。しかし実際にはそうは上手くは行きません。|「居住者・非居住者」はここに注意!

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公開日:2019.06.01

「居住者・非居住者」はここに注意!

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今回は知識の整理を兼ねて、「居住者・非居住者」について、お話ししたいと思います。(別名、居住性の問題とも言います。)

ちなみに法人にもこの区別はあるのですが、ウッカリしがちなのは個人のほうです。

そこでここでは個人のお話しをさせて頂きます。さて「居住者・非居住者」とは「何ぞや?」ですが、一般的には日本国内に住んでいる人が居住者で、住んでいない人が非居住者になります。

特定の個人を考えたとき、その人はどちらかに分類される。例外は無い。こう整理できるわけです。

しかし実際にはそうは上手くは行きません。

前提として居住者と非居住者の定義づけが必要なのですが、一般に言われるもの(所得税法における居住性)と、外為で使われる物(その根拠は外為法令)は違っているのです。(ここでの外為法令との略称使用を、お許しください。)

元になる法令が違うのだから定義づけも違う。こういった已む無しの側面もあるのですが、銀行員自身が、この違いを認識していない場合が散見されます。結果として皆さんが振り回されてしまう。こんな事も起こりえます。

そこで違いの例をご紹介しますので、何かのご参考にして頂ければと思います。

【外国人は、日本入国後6ヶ月以上経過すると居住者になる。】

但し日本国内の事業体勤務であれば、直ちに居住者です。(外国為替法令の解釈及び運用について 蔵国第2345号 平成12年12月28日)

これに対して所得税法では、

【「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」をいう。】

つまり外国人が日本に入国して住所を持たなければ、一年を経過するまでは非居住者となるわけです。(国税庁タックスアンサーNo.2875 居住者と非居住者の区分)これは長期出張などで日本に滞在する外国人が、住所を持たない場合(普通は持たないと思いますが)は、税務上は一年ですが、外為取引では長くとも半年経てば、居住者扱いとなる。こういうことになります。

やや煩雑になりましたが具体的な例で考えると、来日して半年経った海外からの非居住者が、海外送金をしようとすると、居住者扱いされることになる。この理解で良いと思います。

外為関係で言えば他にも、

1. 日本人の海外駐在員が一時帰国した場合、帰国後半年未満であれば非居住者扱いである。
2. 日本人の在外公館勤務者は、期間を問わず居住者となる。
3. 日本人が海外でどこにも勤務せず、2年以上となった場合は非居住者となる。

などのように知らなければ判断に苦しむような、ケースがいろいろあります。

もし不明点があれば、取引銀行への問い合わせで良いと思いますが、その回答は外為法関連規定の基づいた物である。この点お忘れ無きようお願いします。

2019/06/01 

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