B/L(船荷証券)には、Shipped B/Lと呼ばれる船積船荷証券とReceived B/Lと呼ばれる受取船荷証券の二種類があります。何れも輸出貨物を船会社に引き渡した証明書です。では、銀行はShipped B/L(船積船荷証券)とReceived B/L(受取船荷証券)とをどのように考えているのでしょうか。|銀行はなぜ船積B/Lを欲しがるのか

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公開日:2020.01.20

銀行はなぜ船積B/Lを欲しがるのか

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B/L(船荷証券)には、Shipped B/Lと呼ばれる船積船荷証券と、Received B/Lと呼ばれる受取船荷証券の二種類があります。

何れも輸出貨物を船会社に引き渡した証明書の位置づけです。輸出者としてはこれを貰って、ヤレヤレと一安心だと思います。

そしてこのB/Lを他の輸出書類と共に、銀行に買取に持ち込みます。ところが受取船荷証券だと、銀行の買取拒否を受ける場合があります。

今回はその辺の事情をお話ししたと思います。

予めお断りしておきたいのですが、今からお話する流れは銀行都合の流れであり、貿易実務上の合致するものではありません。よって皆さんの目から見れば奇異の感があるやもしれません。その点お含み置き下さい。

船積船荷証券と受取船荷証券の大きな違いは、文字通り船荷を船積みしたか(単に)受け取ったかです。銀行がL/C付きであれ、D/P・D/Aであれ買取に応じるのは、輸出貨物を買取債権の担保にできるからです。外為実務上は更に買取依頼者には、DRFT(為替手形)を振り出して貰い、手形債権も確保します。

さてこの買取債権ですが一番大切な書類は、有価証券である船荷証券です。だとすれば船積・受取どちらでも船荷証券には変わらない。買い取りして貰うのもどちらでも構わない。こうなると思います。

ところが銀行は少し考えが違います。船積船荷証券は文字通り船積が証明されており、輸出貨物は相手国に向けて出発している。それに対して受取船荷証券は、単に船会社は受け取っただけで、船積が証明されているわけでは無い。だから船積船荷証券は輸出書類として受理できるが、受取船荷証券は輸出書類としては不完全である。

もし受取船荷証券で買取を希望するのであれば、「On Board Notation」 (積込証明)を付記する必要がある。このようなロジックから、受取船荷証券の買取を拒否するのです。しかしよく考えてみると、両者を峻別する必要性は??です。

受取船荷証券でも後続事象として、船積を当然に予定しています。倉荷証券が寄託物の譲渡や質入れなどの処分行為を予定しているのと、
流れは同じだと思います。更に船荷証券では、貨物の到着確認迄は出来ません。と言うか相手国に到着前に買取に持ち込むので、形式面からも実体面からも、到着確認は無理な相談になります。

だとしたら貨物を担保に出来る点では、船積船荷証券でも、受取船荷証券でも同じだと思いますので、両者峻別の考えはペーパーレスの流れから言っても、残らなくなるのではと考えます。

ま、実務上はそれ以上に船積証券自身が変化しているようです。

以上、船荷証券のお話しでした。

2020/01/20

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