銀行では取引毎の証明のために計算書が作られます。その発行負担は半端ではありません。今回は外為の計算書に着目して話しを進めます。銀行の計算書フォームはまちまちです。外為システムが銀行によって異なるためです。通常は伝票、取引明細や証認印刷と同時に作成されます。出来た外為の計算書ですが難問はお客様への交付です。|外為の計算書。銀行の思いとは?

  • Twitter
  • facebook
  • LINE
検索
公開日:2020.02.18

外為の計算書。銀行の思いとは?

pic_bank_20200218外為に限らず銀行取引をすれば、お客様の口座が動くので、その取引証明のために計算書が出来上がります。

この計算書は取引毎に必要になります。銀行に取って、その発行負担は半端ではありません。

今回は外為の計算書に着目して、お話しを進めたいと思います。

実は銀行の計算書フォームはまちまちです。これは外為システムが銀行によって異なっているためです。

しかし計算書自体は、概ね一つの取引に一枚出来上がります。銀行端末で勘定処理をすると印字されてきます。

通常は伝票や取引明細や証認印刷と同時に作成されるます。出来た計算書ですが、次はお客様に交付しなければなりません。この交付方法が昔から難問なのです。

一番簡単なのは、店頭でお客様に直接お渡しする方法です。昔は国内取引も外為取引もこの方法でした。しかし事務集中によりセンター処理が増えてきたのです。こうなるとお客様に、センターにまで取りに来いとは言えません。そこで郵送となります。ところがこの郵送処理。大変な手間なのです。

相当程度処理件数があれば、機械処理も可能なのですが、外為の場合は国内ほど取引件数がありません。機械化をしても費用対効果が悪い。こうなってしまうのです。そこで考え出されたのが、紙での交付は止めてしまうのことです。その代わりは何かと言えば電子交付と呼ばれる、オンライン上での計算書閲覧可能なシステムです。これは銀行に限らず、他の企業でも紙媒体の廃止となって現れています。

さて電子交付の売り文句は、
・郵送に比べて早く結果が分る
・郵便事故、紛失事故が無い
・事後保管が容易
こんな所です。

近頃この手のサービス利用勧奨が、増えている気がしませんか?

これは勿論受け取り側のメリットだけでは無く、銀行側の事情や思惑があるのです。外為の計算書も例外ではありません。郵送費がかさむのも本当ですし、計算書発送要員も必要です。加えて機械化されず腕力頼み(人海戦術とも言いますが)ですと、どうしてもヒューマンエラーが避けられません。

実は此処で発生する情報漏洩が、一番頭が痛いのです。何のことかと言えば、
・早い話が他社計算書の混入(別の会社の計算書が紛れ込む)
・宛先相違による誤発送(開けてみたら別の会社の計算書だった)
・発送漏れ(いつまで経っても計算書が来ない)
等々です。

これらのリスクを一発で帳消しにしてくれる、「計算書の電子交付」これは大きな魅力です。銀行があれこれとインセンティブを付けて、勧めてくるのはそんな背景があるからなのです。

銀行の思いを感じていただければ幸いです。

2020/02/18

貿易と銀行実務の関連記事