貴社のお名前は何ですか。外為担当者はこんな質問をお客様にすることがあります。銀行担当者は質問の前ふりに英文字ではと付けているつもりなのです。銀行によってはこを英文社名と呼びます。海外では漢字やかなは使えません。会社名も必然的にローマ字表示する必要があります。そこでこのような質問が飛び出すのです。|貴社(あなた)のお名前は何ですか?

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公開日:2020.02.27  / 最終更新日:2020.03.02

貴社(あなた)のお名前は何ですか?

pic_bank_20200227突然ですが、もしも銀行の窓口で、窓口担当者から、「貴方がお勤めの会社。お名前は何ですか。」こう聞かれたらどう答えますか。

答える前に質問内容の唐突さに、あっけにとられるのではありませんか。

実は外為担当者は、こんな質問をお客様にすることがあります。もちろん冗談や暇つぶしではなく、大まじめの話なのです。

と言ってもこのお話しは、このままでは正確性に欠けています。

銀行担当者は、質問の前ふりに英文字ではと付けているつもりなのです。銀行によっては、ここを英文社名と呼ぶところもあります。

でもなぜこんな質問をするのかと言えば、海外では漢字やかなは使えません。基本はアルファベットです。となると会社名も必然的にローマ字表示する必要があります。そこで先述のような質問が飛び出してくるわけです。こんな質問を受けた社長さんの中には、エイヤとばかりに日本語社名を、そのままローマ字表現する。こんな思い切った方もおられました。

それでも、普通はそれらしい英文社名を出していただけます。たとえば「らくらく貿易株式会社」であれば、「Raku Raku Trading Co.,Ltd.」こんな感じです。

日本の会社は多くの場合、地名や人名を冠している場合が多いので、英文社名も多くの場合は似たようなものになります。 一つの営業店では外為先はせいぜい100社ぐらいですので、重複は余り考えなくても良いのですが、外為センターになるとその数が数千の単位になりますので、同じ社名、似た社名がどうしても出てきます。

勿論、対策は取っていました。「同名社名リスト」、「類似社名リスト」と呼んでいましたが、間違えそうな社名のリストを用意するのです。加えてオンライン上にも注意喚起の旗を立てる。これもやってました。しかしこれでも社名を間違えてしまう事はありました。つまり口座相違のリスクはゼロにならなかったのです。

会社の定款で英文社名を定めている会社は、途中で変化するとことは先ず無いのですが、そうでない会社はいつのまにか英文社名が変わっていた。こんな嘘のような本当な話もありました。

そんな中でも一番困ったのが、和文社名も同じなら、英文社名も同じというパターンです。銀行の内部処理としては、お客様毎に識別番号をつけるので、お客様からの依頼であれば、混同する恐れは先ずありません。しかし海外からの送金や書類であれば、こちらの識別番号を、先方銀行が知るわけもありません。

どうしても判別が付かないときは、これはと目星を付けた会社に、送金や書類到着の予定の有無を聞いていました。これが大変に気を遣う仕事でして、余り細かく内容を話すと、もし違っていたときに情報漏えいと言われかねません。しかしクイズではあるまいし、ヒントを一つ一つなんてことも出来ません。

結局お客様とは阿吽の呼吸でやっていた。というのが本当のところです。

今回は英文社名にまつわるお話しでした。

参考サイト:法務省ホームページ「商号にローマ字等を用いることについて」
http:///www.moj.go.jp/MINJI/minji44.html

2020/02/27

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