コンテナ輸送や航空機輸送の普及により、貨物の移動は圧倒的な速さを持つようになっています。一方外為の現場では船積書類はその多くを紙に頼っており、その移動の速度は殆ど早くなってはいません。根本的な解決は、船積書類の電子化しかありません。 |船積書類が電子化されるには

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公開日:2021.01.04  / 最終更新日:2022.10.20

船積書類が電子化されるには

船積書類の電子化、ブロックチェイン

コンテナ輸送や航空機輸送の普及により、貨物の移動は圧倒的な速さを持つようになっています。一方外為の現場では船積書類はその多くを紙に頼っており、その移動の速度は殆ど早くなってはいません。

このギャップが「B/L(船荷証券)の危」と称される事態を生んでいます。これへの根本的な解決は、船積書類の電子化しかありません。では電子化の現況はどうなのか。これを簡単にまとめてみました。なお私は貿易書類電子化については、全くの門外漢でして、今回の文章は取得した情報をまとめて、皆様にお示ししています。疑問点等は適宜文末の関連情報をご参照願えれば幸いです。

1. 法制度の整備
一昨年成立の「商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律」により、海上運送上の電子化は「契約当事者間の合意」があれば、取扱が可能になっています。日本の船会社でも既に取扱はしています。

2. e B/Lについて
SWB(Sea Way Bill)は既に電子化されていますが、B/Lは電子化による原本性の確保が大きな問題でした。これについてはブロックチェーン技術の進展により、金銭価値のコピーが出来ない仕組みが普及してきており、e B/L(電子化されたB/L)が既に実用段階に入っています。

3. e B/Lは裏書可能か、指図式e B/Lは可能か?
この2点に関しては何れも可能となっているようです。これらが不可能のままだと、権利の移転やスムーズに行われず、実用にはならない可能性がある事柄です。

4. 銀行の対応状況
対外発表などが余りないので、状況把握に苦心するところですが、3メガバンクはそれぞれ新興企業と組んで独自開発を続けており、まもなく市場に投入されるようです。ただ市場投入を機に大きく状況が、変化するかについては大いに疑問は残ります。また一部外銀では、既に実取引での利用も開始されているようです。

5. 信用状統一規則、インコタームズはどうなるのか
貿易書類が完全電子化されると、信用状統一規則やインコタームズは、大きく変容するのではと言われています。しかし全く人間の手を経ない状況とならない限り、形を変えても残るという意見が多数派のようです。

6. 私の考え
以上から船積書類の電子化は、実現一歩手前と考えます。しかし何でもそうですが新しいことをやるのは、先ず以て必要なのは関係者のやる気と十分な資金です。この点から見ると邦銀は、つい周りや当局の顔色を窺って進める。この習癖から抜けきっていないように思います。

結果としてある程度の外圧を感じながら、3メガバンクあたりが先陣を切る。この線が濃厚なような気がします。その時期は分りません。

参考サイト:
TradeWaltz(株)、NTTデータ他出資による「貿易プラットホーム」の提供・運用会社
https://www.tradewaltz.com/

法務省、商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00219.html/

2021/01/04

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