初めての輸入で正式契約前にサンプルを輸入する。その際に海外の輸出業者が輸入書類一式をこちらに送りつけ書類と引替に何らかの形で資金を回収しようとします。こちらの意向とは無関係に荷受人(Consignee)を銀行としてくる場合です。|貨物が来たのに輸入書類はまだ!解決策は?

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公開日:2021.04.15

貨物が来たのに輸入書類はまだ!解決策は?

輸入貨物のサンプルワイン

初めての輸入商談で、正式契約前に先ずはサンプルを輸入する。これ良くある話だと思います。この場合決裁は送金でしょう。多分。

しかしごく稀に、ドキュメンタリーベースの決裁になる事があります。つまり海外の輸出業者が、船積書類一式をこちらに送りつけて、書類と引替に何らかの形で資金を回収しようとするのです。この場合問題となるのが、相手業者がこちらの意向とは無関係に、荷受人(Consignee)を(勝手に!)銀行としてくる場合です。

L/C(信用状)取引ではL/C条件がそうであれば問題なしですが、L/C無しの取引ではこの状態は大変に困ってしまいます。ではなぜこの取引が大変に困るのか。

この点を解決法にも触れながら、お話ししたいと思います。銀行が困ってしまう理由。

その1 海外の銀行からの指図が不明
例えばD/P(支払渡し)なのかD/A(引受渡し)なのかも分らない。特別な条件があるのかも分らない。指示がなければ動きようがない。この状態は非常に困ってしまいます。

その2 船積書類が本当に到着するのか不明
相手が銀行経由で送ったと言っても、来ないと本当かどうか分りません。もっと言えば、そもそも銀行に持ち込んだかどうかも分りません。銀行を通さずに日本に送ってくる場合だってあり得ます。(ビックリする話ですが、長く外為をやっていると一度は経験します。)

その3 他人の物を引渡す指図なんか本来出来るわけない
L/C(信用状取引)なら銀行は支払の約束をしてますので、到着した貨物の荷受人が銀行なら、銀行の所有権を主張できます。しかしL/C無しでは、銀行はそんな約束を誰にもしてません。しかし到着した貨物をB/Lなしに引き取るためには、船便であればL/G(輸入貨物引取保証)が必要ですし、航空便であればRelease Order(貨物引渡指図書)が必要となります。

何れも荷受人(Consignee)が銀行の場合や、荷受人がTo orderで銀行に送られる予定であれば、銀行発行のものが必要になってきます。そこで銀行に発行してくれと頼むことになるのですが、銀行としては船積書類が手元に無い状態で、はいそうですかと、簡単には引き受けられません。貨物の所有権は未だ海外の銀行か輸出業者にありますので、素直に応じるわけにはいかないのです。早い話。他人の貨物を第三者に引き渡す指図書なぞ作れない。こういうことになります。

そこでこんな四面楚歌の状態から脱出する手立てですが、一にも二にも銀行の協力が必要となります。そのため輸入者は次の二点を早急に打つ必要があります。

一点目
海外銀行から取引銀行に大至急指図を送ってもらう。これは輸出業者に頼んで海外銀行に動いて貰います。貨物は到着してますので、大々至急ぐらいの対応が必須です。

二点目
輸入決済に見合う金額を預金する。銀行としては異例な取扱であってもその必要性に納得し、具体的な手続面での問題が無ければ、後は決済資金の問題だけです。なので決済資金を予め用意しておき、銀行を安心させるのです。ここまで段取りすれば銀行の方で内部決裁を取って、発行に応じてくれると思います。

ただし事前に銀行と外為の取引してない場合は、時間的にこの話は無理です。この点はよく気をつけるようにしてください。

2021/04/15
おすがっぱ

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