伝統的な銀行と言えば、「金看板を背負った商売」をしているイメージでしょうか。しかし街中にデカデカと出ている銀行名の入った突き出し看板が妙に少ないのです。。一体なぜ消えて無くなったのでしょうか?恐らくいくつかの理由がありそうです。 |消えゆく「銀行の突き出し看板」

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公開日:2021.08.19  / 最終更新日:2022.10.20

消えゆく「銀行の突き出し看板」

銀行の看板

皆さんが考える伝統的な銀行と言えば、「金看板を背負った商売」をしているイメージでしょうか。今回のお話しはこの「金看板」と結びつきやすかった、街中にデカデカと出ている銀行名の入った看板についてです。(これを「突き出し看板」と言います)

実は街中を歩いていると、この突き出し看板が妙に少ないのです。確かに都心のターミナルで辺りを見回しても、突き出し看板は影を潜めてしまっています。一体なぜ消えて無くなったのでしょうか?恐らく理由は以下の各点に有ると思われます。

1.そもそも銀行の営業店が少なくなってきている
諸々の理由が相まって銀行そのものの数が減ってきています。銀行が合併すると真っ先に実行されるのが、店舗統合による効率化です。「人・物・金」全てを減らせるのですから、これをやらない手は有りません。結果としてお店が無くなったところからは看板が消えてしまいます。

2.路面店(地上に接して道路に面した店)が減っている
銀行の店舗はその設置状況から、路面店舗と空中店舗に大別されます。圧倒的多数は路面店舗です。(ビルの一階などで大通りに面している)通常銀行員を含め、銀行の店舗と言えばこちらを考えます。つまり空中店舗は地方銀行の東京支店のように、近隣に営業店を置かずに単独で出店する場合のように、店頭業務を考えていない時に用いられる店舗形態です。他にはATMコーナーを一階に残して、店自体は二階以上になっている。こんな営業店も増えています。こんな時店舗改装に併せて、突き出し看板を撤去しているようです。

3.営業体制が変化して、フルブランチが無くなってきている
銀行が突き出し看板を派手に掲げる理由は、銀行に用事がある人は、すべてこの看板を目印にして欲しい。こんなメッセージを看板に込めているからです。ところが銀行の営業体制が変化してきているのです。法人の営業拠点と個人の営業拠点を全然別の場所にしたり、個人でも預金や為替を利用する顧客と、資産運用やローンの顧客を、別の場所や時間で対応する等、同一店舗内ではやらなくなっています。この結果、従前のフルブランチ(営業店に全ての銀行業務がある)は、どんどんその姿を消していっています。フルブランチでも無いのに今までの大きな看板を出していたら、違った用の顧客まで呼び込みかねません。よって看板は無しになります。

4.収益構造の変化で、預金を集める必要性が薄れてきている
これが一番の原因かもしれません。つまりこうです。嘗て銀行収益は、「貸金―預金=利鞘」に大きく依存していました。つまり沢山の預金を集めた銀行が大きく貸金を打てて、その結果として大きな収益を獲得できていたのです。この原資となる預金を預けてくれるのは主に個人の顧客でした。(法人は預けも多いのですが、貸出も当然多いのです。)個人客を呼び込むには、目立つ看板があれば便利です。そんなこんなで、駅前に看板が林立したのです。ところが低金利が続いてもう25年以上が経ちます。利鞘商売はとうの昔に成り立たなくなっています。銀行はもう預金集めはやってません。

必然的に突き出し看板も不要となってしまいました。以上、銀行の突き出し看板にまつわるお話しでした。

2021/08/19

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