みずほ銀行に財務省と金融庁から外為法違反に係わる命令が発出されています。これは9月30日に発生したシステム障害のため外国送金約400件が遅延し、同行はこれらの送金処理を急ぐ余りマネーロンダリングのチェックを後回しにしてしまったのです |「システム障害」みずほはどうすべきだったか

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公開日:2021.11.29  / 最終更新日:2021.12.02

「システム障害」みずほはどうすべきだったか

みずほ銀行のシステム障害

2021年11月26日にみずほ銀行に対し、財務省と金融庁から、外為法違反に係わる命令が発出されています。これは9月30日に発生したシステム障害に関してのものです。実はこの日、同行は本年8度目のシステム障害のただ中にありました。この障害により外国送金約400件が遅延状態に陥ってしまったのです。

同行はこれらの送金処理を急ぐ余り、決定的なミスを犯します。マネーロンダリングのチェックを、後回しにしてしまったのです。これは外為法では認められていない処理方法です。幸いこれらの送金に問題はなかったようですが、結果オーライが違法性を阻却するわけがありません。結果として今回の厳しい措置につながってしまいました。

そこで今回は自分が当事者だったらどう対応しただろうか。これを考えてみたいと思います。先ず公表されている事実関係から、当日の現場をフォーカスします。当日は9月30日。これは月末。しかも半期毎の期末日です。猛烈に忙しかった事に間違いありません。オンラインが正常稼働していても、送金依頼の山は中々減りません。

そんな日のシステムダウン。これは絶望的としか言いようがありません。関係者全員の暗澹たる気持ちは、察して余りあるものがあります。それでも現場は頑張って殆どの送金処理を終えたのだと思います。そして問題の400件弱が残りました。ここで誰がゴーサインを出したのか分りませんが、「マネロンチェックを後回しにして対外発信する。」こう判断したのです。

これは絶対に止めるべき判断でした。「それは不味い!」「金融庁から一発ですよ!」「財務省に怒られる!」何でも良いと思いますが、誰かがそう言って止めるべきでした。振り返って我が身に置き換えると、こんな判断が降りてきたら、本気で本部に確認を取ります。それほど異常な話なのです。しかし実際はどこの段階でも歯止めは効きませんでした。その無制御振りを金融庁も財務省も問題としたのです。もっともこのお話し真逆の可能性もあり得ます。殆どの送金を止めて、400件弱だけ取り組んだのかもしれません。しかしこれでは別の意味で大問題となってしまいます。このパターンでは無さそうです。

ここまで述べてきて、「代行送信」の可能性に気づきました。「代行送信」とは文字通り他行に代行で発信してもらうものです。過去私も頼んだり頼まれたりしたこともあったのですが、その際送金内容は全て依頼銀行側が責任を持ちます。とすれば今回マネロンチェックがされてませんので、みずほ銀行は送金内容については大丈夫。間違いない。こう言えません。無理筋のお願いとなります。(更に言えば400件も頼めません)

やはりここは400件弱の送金は未発信分として、お客様にお詫びして、翌日以降の発信でご諒解を得るしか有りません。もし発信遅延で実損が出た場合は、当然賠償の問題となります。誠意を持ってお客様に対するしかありません。以上、私なりの考えをお話ししました。

最後に金融庁の業務改善命令に注目したいと思います。この命令の第九項に述べられている、
(3)顧客影響に対する感度の欠如、営業現場の実態軽視
(4)言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢
この二点は非常に重たく、顔から火が出るくらい恥ずかしいものです。

みずほ銀行の外為担当者にとって信頼回復への道のりは、相当に困難を極めると思います。信用は一瞬で消え去りますが、回復には年単位が掛ります。が、この二点を忘れずに、基本に忠実に対応して貰えればと思います。

参考サイト:
財務省 みずほ銀⾏に対する⾏政処分について(令和3年11月26日)
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/gaitame_kawase/press_release/20211126.html

金融庁 みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について
https://www.fsa.go.jp/news/r3/ginkou/20211126/20211126.html

2021/11/29
おすがっぱ

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