銀行が担保とするのは、主に国債・地方債や上場会社の社債・株式です。不動産に比べて担保の取得・解放が容易で、金銭的負担もありません。この有価証券担保は一時的な担保として利用されていました。|銀行との担保交渉はどうすべきか(中編)

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公開日:2021.12.19  / 最終更新日:2022.01.29

銀行との担保交渉はどうすべきか(中編)

有価証券
(前編)からの続きです。

2.他行円定期預金
他銀行の円定期預金も担保となり得ます。(かなり面倒ですが)担保価額も取引銀行の円定期預金(自行定期と言います)と同じです。ただ違うのは質権設定契約(確定日付も付ける)を締結するのと、当該他行から質権設定の承諾を引き出す必要がある点です。

この他行承認を引き出すことは、実は大変な事なのです。ちょっと考えて見て下さい。その銀行にしてみれば自行定期預金へ、いきなり他行が質権設定を要求してきたらどうでしょうか。その銀行の考えることはこうです。「質権設定を要求してきた銀行は、自らの保全確保に汲々としている。あろうことか他行定期まで確保に走っている。」こう思われてしまったら大変です。もしその銀行がその会社に融資をしていたら、真剣に引き上げを検討するでしょう。(少なくとも私はそうします)

なのでこんな時、無理は通さずに他行の定期は解約してもらいます。そしてその資金は自己資金として使ってもらいます。これが現実的な対応だと思います。

3.外貨定期預金(自行に限る)
外為をよく知ったお客様の中には、自社の外貨決済の多さに着目し、USDやEURで外貨定期を組み、それを預金担保にしたいと申し出てこられる場合があります。為替リスクの回避を念頭に置いたお申し出だと思います。

しかし外貨預金を担保とする場合は、掛け目と呼ばれる厄介なものが発生してしまうのです。掛け目とは担保価額の計算で、一定割合(掛け目)を減額するものです。例えば百万米ドルの外貨定期を担保として用意した場合、担保としての評価方法は、まず当該外貨定期を円に換算してしまいます。(換算レートはその月の適用レートを銀行が決めています。)その換算額に9割とか8割を掛けて一定額を出します。

これが担保価額になるわけです。結果として担保金額は減ります。加えて円に換算するレートは毎月変わっていくので、不足した時には追加担保が必要になります。これではお客様の納得は得られません。殆ど実例が無かった所以です。

4.有価証券(主に公社債、上場株式)
銀行が担保とするのは、主に国債・地方債や上場会社の社債・株式です。不動産に比べて担保の取得・解放が容易で、金銭的負担もありません。但し確定日付まで取ると、若干ですが費用が発生してしまいます。この有価証券担保は一時的な担保として利用されていました。(もちろん恒久的な担保にも使えます)

しかし有価証券も担保価額では掛け目が存在しており、国債といえども額面通りの評価とはいきませんでした。この辺り難しいところで、不動産担保が良いと考える向きも有りました。加えて手持ちの有価証券を銀行に差し出す形になるため、いわゆる財布の中に手を突っ込まれる。こう考えるお客様も多かったです。結局実際の利用は今一つでした。

しかし銀行に取っては預金担保ほどではありませんが、取扱は豊富で有り、企業としても検討に値すると考えます。なお注意すべきは非上場株式です。ごく稀に提供の話がありましたが、銀行の規定では担保不適格となっており、丁重にお断りしていました。

5.ゴルフ会員権
項目立てをして見ましたが、実際どうなんでしょうか。今では担保として歓迎している銀行は無さそうな感じです。理由は有る意味簡単で、ゴルフ会員権は有価証券では無いからです。最も例の多い預託金方式で考えてみましょう。

この方式での担保対象は、ゴルフ場に預ける一定金額(預託金)に対する返還請求権です。これを銀行が担保化するのであれば、債権譲渡の形式をとります。譲渡担保契約を結んで担保とするわけです。バブルの頃は、銀行もゴルフ会員権価格は年々上昇している。いざとなれば転売も簡単にできる。こんなコンセンサスで有価証券並みの扱いをしていました。(世間一般の風潮もそんな感じでした)

現状ではその面影はありません。ゴルフ会員権担保は無理筋のようです。

以下(後編)に続きます。

2021/12/19
貿易と銀行実務いろは
おすがっぱ

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