業務に大切な正確性を担保するためには「精査」が欠かせません。精査は担当者以外の第三者が行うことが一番良いのですが、自分自身で行う「自己精査」もあります。性悪説にたち「本当にそうか?」「大丈夫か?」「おかしく無いか?と自己に問いかけます。|自己精査の勧め

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公開日:2022.02.04  / 最終更新日:2022.10.20

自己精査の勧め

自分自身で精査する

以前の本欄で事務の基本は「正・速・美」とお話ししました。中でも大事なのが一番目に挙げている「正確性」です。しかしこれをお題目として唱えても何も正確には出来ません。

正確な業務にはその正確性を担保するものが必要なのです。それが「検証」と「精査」です。銀行業界と他ではこれらの言葉の意味するところが違うようですが、銀行内部では担当者の行った業務を権限者が内容確認して、それを承認し正当化することを「検証」或いは「検印」と呼んでいます。

一方「精査」とは処理をした担当者以外の第三者が、内容を確認してその確認事実を記すものです。「検証」は「精査」を兼ねますので「精査」が表に出ないこともあります。

今回はこのうち精査について、皆さんの日常に役立てられるように、少し変わった視線からお話しします。

この「精査」は担当者のミスを軽減させる働きがあります。そのため銀行業務では当たり前のように行われています。事故やミスは「うっかり」に起因することが本当に多いからです。銀行業務で起こる事故やミスを第三者が点検することにより、トラブルや損害に繋がらないようにしようというわけです。これを日常生活にも応用する。これが今回のお話しのポイントです。

とは言っても何かする度に第三者を探して回って右往左往し、「精査」をお願いするわけにも行きません。そこで私が実行しているのが「自己精査」です。これは文字通り自己(自分)が自分のやった事を精査します。自分で自分をチェックしますので誰にも迷惑は掛けません。自分で精査するから「自己精査」というわけです。

しかしこんな単語は辞書にはありません。全くの造語です。さてこの「自己精査」ですがやり方は至極簡単です。何かをしたときに普通はそのままで終わりです。第三者に見て貰うなんて事はしないと思います。そのままで終わらせるはずです。しかし「自己精査」ではもう一度自分でチェックをします。なので「自己精査」なのです。

但しやり方に少々コツがあります。単純に自分の跡をなぞってもう一度見直しても、間違いは先ず見つけ出せません。当然だと思います。ではどうするのか、自分で自分を疑います。性悪説にたつのです。つまり「本当にそうか?」「大丈夫か?」「おかしく無いか?」こう頭で無理無理仕切ってしまうのです。言うほど簡単ではありませんが、やればやっただけの効果は出てきます。私はこのやり方で何度も自分のミスを救いました。

そこが皆さんにお勧めする所以です。但し一つだけ注意することがあります。慌てている時、忙しい時、面倒と感じる時。こんな時があります。ここで「自己精査」をサボると天罰てきめんとなります。かなりの確率でミスを引き起こします。つまり「自己精査」の効果を実感させられる事になるのです。こうなっては大変です。

自分は絶対大丈夫と言う人は別ですが、そう言えばミスが多いなあ。こう思われる人はだまされたと思って、「自己精査」をやってみて下さい。意外に効果があることを実感されると思います。

2022/02/04

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