2020年は全世界的に輸出入の量が落ち込み、減少傾向が続いています。ところが最近になって明るい兆しも見え始めています。テレワークなどWeb関連の世界的な広がりに伴うパソコンやタブレットの需要急増があり、特に中国の貿易が力強い回復を見せています。 |テレワークが中国のPC輸出をけん引

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公開日:2020.10.26  / 最終更新日:2022.01.28

テレワークが中国のPC輸出をけん引

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新型コロナウィルスの感染拡大は世界各国・地域の経済に連鎖的にショックを与えました。感染から身を守るためや感染による災禍のため、生産や消費が大幅に停滞したのは皆さまご存じの通りです。

結果、2020年は全世界的に輸出入の量が落ち込み、減少傾向が続いているのが現状です。この輸出入の落ち込みはしばらく続くと思われていましたが最近になって明るい兆しの見えるニュースが入ってきました。

中国の貿易が力強い回復を見せています。中国税関が10月13に発表した貿易統計データによりますと、2020年9月の中国の輸出額(ドル建て)が前年同月比9.9%増の2,397億6000万ドル(約25兆2800億円)と、伸び率が8月より0.4ポイント上昇して今年の最高値を更新したのとのことです。同様に輸入額も同13.2%増の2,027億6000万ドル(約21兆3800億円)と二桁の伸びを示しました。

この好調の背景には、マスクや医療機器、医薬品などの新型コロナウィルス対策の医療用物資に加えて、テレワークやオンライン授業などWeb関連の世界的な広がりに伴うパソコンやタブレットの需要急増があるといいます。ここ日本でもコロナ以後、在宅勤務やWeb会議、オンラインフィットネスと言った単語を昨年とは比べ物にならない頻度で見聞きするようになりました。

多くの企業でテレワークが推奨されたり、大学や予備校などでオンライン授業化が進んだりしたことで、パソコンやタブレット端末の買い替えや買い増しを検討された方も多いでしょう。また、新型コロナウイルス感染症対策を目的にテレワークへの取組を行う中小企業事業主を支援する助成金などを政府や自治体が発表したことにより、企業が主体となって新しいパソコンなどの機器を導入したことも需要急増の一因となっていると考えます。

パソコンは中国で数多く生産されています。中国の重慶市は2019年、世界のノートパソコンの約40%を生産し、6年連続で世界首位となっています。中国中西部で唯一の直轄市である同市は、通信キャリアやブランド企業、OEM(相手先ブランドによる生産)企業、関連会社などを一体化したスマート端末産業チェーンを形成しているのが強みであり、携帯電話の生産額も1,000億元(約1兆5000億円)を超え、生産台数は世界の約一割を占めています。それだけの生産数を誇る中国ですので、世界中の人々がテレワークやオンライン授業を利用するようになり買い替え需要が増えたことによって、輸出額が飛躍的に伸びたことも何ら不思議ではありません。

これから冬のボーナス商戦に入ることもあり、PC関連機器やスマートフォンなどの買い替えはますます増え、中国の輸出額も右肩上がりに回復していくことが予想されます。中国市場が世界経済を牽引して、近いうちに世界的に経済活動が復活し今までのように活気ある輸出入市場に戻ってくれることを願うばかりです。

2020/10/26
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