テレワークでの通関業務はどれくらい浸透しているのか。コロナ以降財務省関税局は通関業務の要件を緩和する決定をしました。自宅のみではなくサテライトオフィスについても申請を認めており申請数は増加していますが、実際にどの程度がテレワークしたのかは不明です。 |通関業務はテレワークで!?

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公開日:2020.11.11

通関業務はテレワークで!?

PCによるTELEWORK

前回のコラムではテレワーク拡大によるPC需要の増加により中国の輸出額が増加していることをお伝えしました。ではそのテレワークは貿易業務、特に通関業務ではどれくらい浸透しているのでしょうか。

通関業務のテレワーク自体は、2017年10月8日の通関業法基本通達改正によって新たに可能となっています。しかしながらコロナ以前にはほとんど浸透していませんでした。大阪通関業会の昨年のアンケートでは通関業務の在宅勤務の導入状況は「導入している」が2%、「導入について検討中」が3%とわずかな数字にとどまっています。

それではコロナ以後はどうでしょうか。財務省関税局は3月上旬から、コロナ感染対策としての通関業務の在宅勤務等の開始について、税関への申請に必要な就業規則や社内管理規定を急に準備するのが難しいことから、これらの要件を緩和する決定をしました。自宅のみではなくサテライトオフィスについても申請を認めており、これを機に申請数は増加し10月1日時点で4,045人について申請が行われているそうです。

それでも、あくまで申請に過ぎない数字ですので、どの程度の人数が実際に在宅勤務にて通関業務を行ったのかはわかりません。私が日ごろ付き合いのある通関業者の数社に聞いてみましたところ、恒常的に通関士の在宅勤務を実施しているという会社はありませんでした。あくまで、今後またコロナ感染が拡大して通関士の出勤が不可能になった場合の対策として申請をしているという、保険的な意味合いでの申請が多いようです。

何が通関士の在宅勤務を妨げているのでしょうか。いくつか考えられますがまずは機密保持の難しさです。通関業務はインボイスなどの船積書類を確認しながら通関に必要な申告書を作成し、それを通関士が審査することによって行われます。会社で業務をしていればそれらすべてを印刷して作業することが可能でしょうが、顧客の機密保持対策として自宅での業務関連書類の印刷を認めていない会社が多いのでテレワークでは画面上で書類の確認や作成をすることになります。

申告書を作成したあと画面上でのみチェックし、それをまた通関士が画面上でのみ審査をするのでは、誤った輸出入申告につながりかねません。申告の誤謬は通関業者の信用失墜になりますので、それを避けるためにも通関業務は社内でしかさせない会社が多いと思われます。

あとは申告書作成に必要な資料の存在です。例えば輸入の際の税番を決めるのに必須である実行関税率表は厚さが10センチほどあるノートよりも二回りくらい大きな冊子です。これを在宅勤務のために自宅に持ち帰り、また出社の際に会社へ持って行くのは想像しただけで気が重くなります。自宅用にもう1冊購入するという方法もありますが1冊は3万円弱と高額であり、通関業務従事者全員に購入するとそれなりの負担になってしまいます。

実行関税率表以外にも関税率法解説や分類例規など、申告書を作成するには数多くの参考書籍を頼りとしています。そのような書類は社内に置いてあるものです。もちろんwebでも見られますが、社内で共有している参考書籍は付箋が貼ってあったり重要事項にマーカーが引いてあったりと、それぞれの会社で必要な情報が蓄積されており作成の上で大変助けになります。それらを一切利用せずに自分の知識と経験だけで申告書の作成と審査をするのは現状難しいと言えるでしょう。

とはいえ今後も色々な業種でテレワークは広がりを見せると思います。通関業務でも、従事者の皆様が知恵を絞ってテレワークの充実を実現させ、どんな世の中になっても迅速かつ正確で安心な輸出入通関が行われる社会になることを期待しています。

2020/11/11
satomi

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