日本からアメリカへ船で輸出する際には西海岸の港は割と近く感じます。しかし東海岸の港となると地図で見るよりはるかに遠くなります。パナマ運河を通らなければ行けないからです。全て海上なのでAll Water(オールウォーター)」と呼ばれます。 |広いアメリカへの海上輸出はどうする?

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公開日:2020.12.08

広いアメリカへの海上輸出はどうする?

パナマ運河を通るコンテナ船

アメリカ大統領選挙では得票状況を示すアメリカ全土の地図を、テレビやネットの画面を通じて何度も見かけました。その都度、「移動や物流も大変だろうな~」と国土の広さをあらためて感じていました。なんせ西海岸と東海岸では4,000キロほどの距離があり、加えて3時間の時差まであります。ちなみに札幌と那覇が直線距離で2,300キロほどです。

今回はそんな広いアメリカへの物流を、日本からの海上輸出という見方を通してお話しします。

日本から船で輸出する際には同じアメリカでも西海岸の港は割と近く感じます。しかし、東海岸の港となると地図で見るよりはるかに遠くなります。と言いますのも、東海岸まで全て船で向かおうとするとパナマ運河を通らなければ行けないからです。パナマ運河は南北のアメリカ大陸をつなげるかのように横たわるパナマ共和国の中央部にあります。パナマ地峡を開削して造られた大西洋と太平洋を結ぶ全長80kmの運河です。

このパナマ運河を通るルートは貿易用語で「All Water(オールウォーター)」と呼ばれます。全て水の上(海の上)で運ばれるという意味です。言うまでもまく時間はかかります。

All Waterに対するように存在するのが、西海岸のロサンゼルスやロングビーチ、タコマなどの港で一旦陸揚げし、後はコンテナを鉄道へ積み替えて大陸を横断して陸上輸送をするという方法です。こちらはミニ・ランド・ブリッジ(MLB)や、内陸都市止まりの場合はインテリア・ポイント・インターモーダル(IPI)と呼ばれます。

MLBサービスはAll Waterに比べて4日~9日ほど輸送日数が短くなりますのでスピード面で優位です。また、西海岸への航路を持つ船社も多く、高頻度で運航されていますので、スペース予約が取りやすい面でも荷主利便性が高いです。しかしながら、鉄道に積み替えて輸送することになりますので海上運賃はAll Waterよりも高くなります。また、積み替えの際や鉄道の揺れによるダメージリスクもありますので、精密機器の輸送などでは選択を避ける傾向もあります。

フォワーダーはアメリカへの輸出依頼を受けますと、荷主の意向を聞き取り最適なルートを考えます。多少コストがかかってもリードタイムを短くしたいのであればMLB、とにかく安くすませたいのであれば予約の取りにくいことを承知でAll Water、などと各荷主に合わせてプランを立てます。

私の個人的な経験から言いますとAll Waterの船は本当に予約が取りにくく、繁忙期には1ヶ月以上先の船まで待つこともありました。思うようなタイミングで船の予約が取れないことは円滑な物流業務に支障をきたしますので、MLBを選択される荷主が多かった印象です。

アメリカにはまだまだ、日本ではありえないようなダイナミックな物流事情が数多く存在します。自分が実際にアメリカへ輸出するという気持ちで、「シカゴに輸出したいけれどどういうルートがあるんだろう?」なんて仮定をして、アメリカの地図を眺めながら調べてみるのも面白いかもしれませんね。

2020/12/08
satomi

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