輸出入貨物を輸出者(輸入者)と港(空港)の間をトラックで輸送することをコンテナドレージと呼びます。コンテナドレージは慢性的に不足に陥っています。ただでさえ普段から不足気味ですので、特に年末年始は危機的状況になると言っても過言ではありません。|コンテナドレージの稼働はどうなる?

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公開日:2020.12.25  / 最終更新日:2022.01.27

コンテナドレージの稼働はどうなる?

コンテナドレージ

年末も差し迫ってきましたね。師走とはよく言ったもので、この時期は公私ともにバタバタとされている方も多いかと思います。 世間では「年末進行」なんて言葉をよく耳にしますが、年末にかけての業務が慌ただしいものになるのは貿易業務も例外ではありません。

貿易関係はその業務の特性上、ゴールデンウイーク・お盆休暇・年末年始休暇の前後がとにかく多忙になりがちです。「休暇期間中に発行されたBLをどう処理するのか」「顧客の休み明けまで貨物を保管してもらうと保管料はいくらかかるのか」「船(飛行機)が運休となったが違うスケジュールで輸送可能か」など考えなければならないことが次から次へと発生します。

その中でもかなり頭を悩ませるのが「輸送車両の確保」です。ここでの輸送車両とは、日本国内で輸出入貨物を、輸出者(輸入者)と港(空港)の間で輸送する車両、つまり「大型トラック」や「コンテナドレージ」のことを指します。連続休暇の前後は輸送車両の確保がとても難しくなります。トラックはまだ確保に余裕が感じられることもありますが、コンテナドレージは昨今まさにひっ迫という単語が違和感ない状況となっており、慢性的に不足に陥っています。ただでさえ普段から不足気味ですので、特に年末年始は危機的状況になると言っても過言ではありません。

ドレージ車両がそのように常に不足した状況となってしまっているのには
・輸出入量の増加
・慢性的なドライバー不足
・コンテナターミナルの混雑による稼働率悪化
と主に3つの要因が考えられます。

今年こそ新型コロナウィルスの影響で輸出入量は減少気味でしたが、それまでは世界経済の活発化により輸出入量は年々増加していました。それにより必然的にコンテナターミナルの混雑も激しくなり、ドレージ業者が効率よく車両を回せなくなっていました。

そこに追い打ちをかけているのが、ドライバー不足です。少子化、長時間労働や肉体労働を避ける若者の傾向、またここ数年ではオリンピック開催に向けての建設ラッシュで労働力が建設業に回っていたこともあり、日本国内は深刻なドライバー不足が続いています。コンテナドレージ業者は、車両はあるのに人手がないのです。

これらにより、コンテナドレージの予約は普段から早め早めに行うことが必須とされています。毎週のように輸出入貨物のある大手メーカーさんなどは、確保できなくなって慌てることがないよう月単位でまとまった本数を抑えています。それゆえスポット貨物は予約が取りにくくなりますので、輸出入の予定が決まったら仮でもいいのでとにかく予約を入れておくことが貿易業務の常識となりつつあります。

普段からそんな状況ですので、貨物が集中する上に稼働日の限られる年末年始前後は文字通りコンテナドレージの取り合いとなります。1か月前で既に予約がいっぱいなんてことはざらで、キャンセルが出るのを祈るような気持ちで待つこともあります。同じ会社の中で確保台数やキャンセルの情報を共有して、ドレージ会社にキャンセルの連絡をする前に社内で融通しあうのも見慣れた光景です。

どうしてもコンテナドレージの予約が取れないが納期を遅らせるわけにもいかず、最終手段として年末が差し迫った日の午前6時からコンテナ詰め作業を開始したり、ヤードが休暇に入った29日に無理を言ってコンテナを搬入させてもらう手配をしたりと、あの手この手で毎年何とか乗り切ってきたものでした。

今年はさらに、新型コロナウィルスの影響で、コンテナドレージの予約状況が一層悪化しているという情報も耳にします。今後少しずつでも良いので状況が改善していくことを願うばかりです。

2020/12/25
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