関税消費税を直接支払う方法は多少の手間がかかるためか、フォワーダーに立替を依頼することが現在でも主流です。しかし多くの顧客の関税消費税を立て替えることはフォワーダーにとっては大きな負担とリスクになります。|関税消費税の立替はフォワーダーには負担大

  • Twitter
  • facebook
  • LINE
検索
公開日:2021.06.16

関税消費税の立替はフォワーダーには負担大

フォワーダーにとっては資金繰りの悪化

前回のコラムで、輸入者自身で関税消費税を直接支払う方法は多少の手間がかかるためか、フォワーダーに立替を依頼することが現在でも主流です。しかしながら、多くの顧客の関税消費税を立て替えることはフォワーダーにとっては大きな負担とリスクになることをお話いたしました。

それでは実際、フォワーダーにとってどれほどの負担になっているのか、具体的に考えてみましょう。程度の差はありますが輸入通関というのは週明けの月曜日が最も件数が多くなる傾向にあります。週末の土日に到着した貨物はメーカーや工場が休みで納入できないため、週の明けた月曜日に通関して納入することが多いからです。

ここからは私の経験を元にしたお話となります。以前、某国際物流会社のとある空港支店にて航空輸入通関を通関士として担当しておりました。当時は通常の土日明けは300件近く、3連休となり稼働が火曜日となると400件以上の輸入通関をするのが通常でした。

航空輸送されるものは物量では海上輸送と比べてかなり少なくなりますが、迅速な輸送ができるという利点から高価な貨物を運ばれることも多く(PC関連機器、精密機械、航空機部品など)必然的にインボイス価格も高くなり、税関に収める関税や消費税も高額となります。

1日での立替金額が1000万円を超えることも全く珍しくありませんでした。一箇所の支店だけでそれだけの金額を立て替えているのですから、全社で考えると1日で1億円近くの金額を輸入者の代理として支払っていたと言っても過言ではないでしょう。たった1日でこの金額ですので、1週間、1ヶ月と期間を延ばして考えるとその額は途方もないものとなります。

これだけの金額を立て替えるというのはどんなに大きい会社であってもキャッシュフロー的には悪くなります。そしてもちろんリスクもあります。輸入通関して貨物を引き渡した後に輸入者の資金繰りが悪化して倒産となり、輸入通関料などはもちろん高額の立替金も回収不能となった、などという事態が起こり得るからです。実際、私が勤めていた頃にも、年に一度くらいはこういった回収不能問題が発生していました。

当然、通関業者側も対策はしています。
・取引実績がなく支払いに不安のある輸入者には先にざっと見積もった立替金額の請求書を発行して入金の確認が取れてから通関をかけたり
・取引先の信用状況をこまめにチェックして立て替えられる金額の上限を定めたり
・できる限り輸入者自身でのリアルタイム口座の開設や納期限延長制度の使用を検討していただいたり

など、色々な方法で関税消費税の立替金未収リスクを減らすよう努力しています。

しかしながら通関業者も一企業ですので、顧客から「面倒だからそちらで立て替えて下さい。他の通関業者さんは何も言わずに立て替えてくれていますよ」なんて言われたら断りにくいものです。通関業者の努力だけではままならない部分も多々あります。

ですので前回のコラムでもチラッと出ましたが、クレジットカードなどで簡単に支払えたり、面倒な手続きなく顧客の口座から引き落としたりできるような輸入通関システムが開発されたらいいのにな、と元輸入通関士の立場からは思っています。もちろん、安全安心に使え悪用されないシステムであることが前提ではありますが。

2021/06/16
satomi

輸出入よもやま話の関連記事

お知らせ

貿易・海外展開を学ぼう

国際物流ナビ

効率的な物流を行うには?

銀行と上手くつき合う

キャリア35年の元銀行マンが本音で語る



アフターコロナ社会の新しい課題を解決しようとするユニコーン起業家へ!