実際に輸入実務が始まった際に決めなければならないことの一つが関税消費税の支払い方法です。この事を輸入者さんにお聞きすると「じゃあクレジットカードで払います」と答えられることがあります。クレジットカードで支払いできたら確かに便利なのですが。 |関税消費税をどのように支払うか?

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公開日:2021.06.06  / 最終更新日:2022.01.27

関税消費税をどのように支払うか?

関税消費税の支払い方法

輸出入のアドバイザーのようなお仕事をしている関係上、フォワーダーを通しての本格的な輸入をするのが初めてだという方とお話をさせていただく機会も度々あります。

輸入者さんのニーズに合わせてフォワーダーを選定し、場合によってはその後の実務的な作業も代行しています。実際に輸入実務が始まった際に必ず決めなければならないことの一つが「関税消費税はどのように支払うか」です。

こちらをストレートに輸入者さんにお聞きすると「じゃあクレジットカードで払いますね!」と答えられることがあります。クレジットカードで支払いできたら確かに便利ですよね、と思いつつ

「申し訳ございません、関税消費税はカード払いができず、銀行からの引き落としがメインでして。。。」と説明を始めると「だったらこちらの銀行口座を教えますのでそちらから引き落として下さい!」なんて回答をいただくこともしばしばあります。

そうですよね、簡単に自分の口座から引き落としてもらえればとても楽ですよね、と激しく同意をしつつも「いえ、引き落としができるのは税関にあらかじめ申請をしてある口座のみであり、申請完了までは2~3週間かかりまして。。。」

とお話しますと「それではどうしたらいいんですか!?」と困惑の面持ちで尋ねられますので「一般的にはフォワーダーの口座から一旦引き落としてもらって立替してもらい、後日、通関料などと一緒にお支払いする流れとなります。」とご説明し、納得していただけることが多々あります。

確かに、税関への関税消費税の支払い方法は、普段輸入者をされていない方にとってはピンと来ない事柄かと思います。基本的には先ほども申し上げましたように、予め税関へ申請してある銀行口座、いわゆる『リアルタイム口座』からの引き落としとなります。この申請には手間はもちろん、2~3週間と時間もかかるためか、リアルタイム口座を保有されている輸入者さんは個人も企業も含めてそれほど多くなく、ほとんどがフォワーダーのリアルタイム口座から引き落としとなっている印象です。

他の納税方法として納期限の延長、いわゆる『延納』もあります。個別や包括など色々な種類がありますが基本的には輸入者があらかじめ税関に対して税額に相当する担保を提供したときにその納期限の延長が認められる制度です。

これはリアルタイム口座の解説よりもさらに手間がかかりますし包括の納期限延長になりますとかなりの額の担保を提供しなければならないので、利用されている輸入者さんは限られています。担保の提供に耐えうる資本をもつ、大企業さんが多いイメージです。

このように輸入者自身で関税消費税を直接支払う方法は多少の手間がかかるためか、フォワーダーに立替を依頼することが現在でも主流の流れとなっています。しかしながら、多くの顧客の関税消費税を立て替えることはフォワーダーにとっては大きな負担とリスクになります。

冒頭の話に戻りますが、関税消費税をクレジットカードなどでサッと払え、且つ安心して利用できるシステムがあれば、輸入者にとってもフォワーダーにとってもメリットがあるのかもしれません。

参考サイト:リアルタイム口座
https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/mpn/mpn_direct.htm

2021/06/06
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