国際海上輸送では、長い時間と距離を貨物が移動するため、事故の可能性が高いものです。商品にまで影響を及ぼす事故とその事故原因を考えてみました。 |国際海上輸送にありがちな事故と原因

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国際海上輸送にありがちな事故と原因

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国際海上輸送にありがちな事故と原因を考えてみました。

国際海上輸送では、国内輸送と違って長い時間と距離を貨物が移動するため、事故の可能性が高いものです。

貨物外装の小さな破れやへこみは日常茶飯事といっても過言ではありません。

では、外装のダメージだけならともかく、商品にまで影響を及ぼす事故とその事故原因とはどのようなものがあるのでしょうか。

1.コンテナの劣化などによる損傷
コンテナは本船上で貨物の一番の外箱になるものです。長い航海中に海水や雨水にさらされるため、長期間の使用により劣化してしまいます。劣化部分から海水や雨水がしみ込み、水濡れやカビ・錆が生じます。冷凍・冷蔵コンテナは劣化による故障が商品の凍結・解凍、変質・劣化の原因になります。

コンテナの損傷・故障はバンニング前のコンテナ内の確認で事故を防止できます。通常、デバン後にコンテナ内の清掃や異常がないかの確認を行って返却を行いますが、バンニング前にも再確認することが重要になります。

2. 荷役作業中のラフ・ミスハンドリングによる破損
ラフ・ミスハンドリングとは、荷役時に乱暴に貨物を扱うことです。足で蹴って貨物を移動させたり、水のたまった路面に置いたり、コンテナや貨物を他の物と衝突させたりすることで、破損やへこみ、変形などが起こります。

3.積み付け・積載不良、固縛不十分
貨物の積み付けがコンテナ内で一方だけに偏っている、または、しっかり固定せずにコンテナ内で貨物が動く状態だと、輸送中の揺れや振動で荷崩れしてしまいます。また、カートン内に可動域があることでも商品が破損します。

梱包状態やラッシング(ロープなどでコンテナ内で貨物が動かないように固定すること)が悪くて貨物がダメージを受けても、保険請求できないので、注意しましょう。これは協会貨物約款I.C.C.でも、免責事項として定められています。

4.温度変化
基本的にドライコンテナは通気口などもないため、外気温の影響を受けやすく、コンテナ内が高温になります。高温になったコンテナと外気との温度差で結露が生じ、貨物に水滴がつき、そこからカビや錆が生じてしまいます。

そこで温度変化への対策が必要です。特に金属部品や電子機械など、水気や埃対策が必要な貨物には真空梱包が適しています。これは、商品を透明フィルムで多い、フィルム内の空気を抜いて真空状態にすることで、埃や湿気などの外気から守ることができます。

以上がよくある事故とその原因です。他にも機器の設定ミスや保管不良、船舶や車両などの不良、梱包不良など様々な原因があります。

ダメージを最小限にするために、梱包を頑丈にすればするほど安心ですが、手間とコストがかかります。また、貨物容積が大きくなり、輸送費も多くかかってしまいます。日本人は特に外装にこだわりがちで、カートンの小さな破れだけでもフォワーダーにクレームを入れることが多いそうです。

貨物には海上保険をかけることでリスクをある程度回避することができます。ただし、上述したように、梱包または梱包準備の不完全、コンテナ内への積み付け不良による事故は保険請求の免責事項となっています。事故が免責事項によるものでないことを証明するためにも、バンニング後は写真を撮るようにしましょう。

実際に保険請求となった場合は関係書類を提出し、損害の状態維持もしくは写真などで事故現場の記録を残します。請求額が20万円を超えるときは、保険会社のサーベイヤー(鑑定人・検査人)立ち合いの元、保険請求が妥当かどうか審査します。そして、保険会社は輸入者に保険金を支払ったあと、被保険者に代わり運送人に損害請求をしています。そうでなければ、運送人は貨物を安全確実に運ぶことを怠ってしまうからです。

2017/10/07

海上輸送は天候の影響を受けやすい

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貿易は物流部分で天候に大きく左右されます。

世界各地それぞれ気象条件が違い、様々な影響が考えられますが、日本は台風の影響が大きいところではないでしょうか。

では、夏から秋にかけての台風シーズン、どのようなことに留意すべきでしょう?

海上、航空ともに天候の影響を受けます。特に海上輸送は船の延着だけでなく、台風ではコンテナヤードが閉まってしまうことがあります。ヤードクローズ・・・ともなると、輸入許可が下りても貨物を出庫できないので配送ができません。輸出の場合はコンテナ搬入ができません。配送トラックを手配していた場合は、キャンセル料もかかることがあります。

コンテナヤードの状況や動船(入港スケジュール)は本船の船会社やオペレーターに確認します。早めに情報を入手したいところですが、台風は進路が分かりづらく、ヤードの状況は当日朝にならなければわからない、ということもしばしばです。

さて、クローズしてしまったコンテナヤード内では、どのような台風対策がとられているか、ご存知でしょうか。通常、コンテナは5段に積み重ねて置かれています。しかし、強風による横転を防ぐため、積み上げる段数を減らします。また、コンテナ同士を金具でつないで固定します。

これらの作業は台風が接近してから始めたのでは遅いので、接近前から通常の荷役作業はせずに、台風対策のための作業を行います。そのため、早い段階からヤードクローズとなってしまうことも。また、台風対策解除のための作業も必要ですので、台風が去ってもすぐに荷役再開というわけにはいきません。

そして、無事荷役が再開されると、搬入や引き取りのトラックでヤードは混み合います。もちろん、周辺道路も混みあって大渋滞です。トラックの手配替えやスケジュール変更など、臨機応変な対応が求められます。

台風とはちょっと違いますが、輸出入先国の気候にも注意したいものです。例えば東南アジアや南アジアでは雨季があります。雨季シーズンには貨物の水濡れ対策が欠かせません。ビニールや防水素材を使用した梱包で貨物の水濡れを防ぎます。近年は日本でも集中豪雨のようにとんでもない雨量で貨物がダメージを受けることも考えられます。

台風シーズン以外の近距離海上輸送は比較的スケジュール通りです。しかし、ヨーロッパや米大陸など遠距離海上輸送は、入港スケジュールが1週間など大幅に遅れることもあります。

これは、天候による影響もありますが、本船に日本向け貨物だけを積んでいるわけではなく、いくつかの国に寄港して積み下ろしを行うため、寄港先で遅れが生じれば、積もり積もって大幅な遅れになるのです。

2017/09/22

日欧EPA大枠合意、今後のスケジュールは?

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今年に入っての通商ニュースといえば、アメリカのTPP離脱と日欧EPA大枠合意ではないでしょうか。

バラバラになったものと、まとまったもの、両極端なニュースですが、保護か開放、どちらが自国の発展に優位になるのか、今後注目していきたいニュースだなぁと感じます。

アメリカの保護貿易とその他の国とは全然意味合いが違うのでしょうが。。。

ここ数年、世界ではEPA・FTA締結が盛んです。2000年代に入って急激に増え、世界には300近くのFTA・EPAが存在します。日本は発効済みEPAが15件あり、初めての多国間協定は日ASEAN包括的経済連携(AJSEP)です。

日欧EPAは2つ目の多国間協定となるわけですが、大枠合意を得て今後のスケジュールはどうなるのでしょうか?

*FTA:自由貿易協定 関税など貿易障壁を削減・撤廃することを目的とした協定
*EPA:経済連携協定 FTAにさらに知的財産や投資面でのルール整備など幅広い分野での経済連携を目的とした協定

多国間協定というのは、合意後それぞれの国で通告が行われれば効力が発生します。AJSEPの場合、協定大筋合意は2007年8月です。日本は2008年12月、ASEAN4か国と同時に発効、その後徐々にそれぞれの国で発効され、現在はインドネシアを除くすべての国で発効済みです。

日欧EPAはEUのユンケル欧州委員長が2019年の発効を目指すとしており、日本も足並みをそろえる予定です。ASEAN(10か国)に比べ加盟国数が圧倒的に多いEU(28か国)。発効は各国が自国の議会で承認を得なければなりませんから、すべての加盟国の承認を得るまでにはもう少し時間がかかるのではと予想されています。

とはいえ、長年協議してきた経緯を考えると、今更覆ったり、発効に数年かかることもないように思います。また、EUは韓国とEPA発効済みです。何となく韓国と日本、貿易の内容も似ているので、韓国OKで日本NGとはならないのではないでしょうか(素人的考えですが)。

無事に発効すれば、関税の撤廃や引下げが始まります。即時撤廃のものと、ある程度期間をかけて撤廃・引下げされるものとがあり、そのスケジュールは譲許表で確認できます。

毎年4月1日からその年の関税率が適用されるので、年度末の輸入申告は、4月1日をまたいだ方が関税率が低い可能性があります。また、農畜産物については関税割当やセーフガード措置の発動を確保しています。消費者が期待するチーズについては輸入量を「国産品の生産拡大と両立できる範囲」とあるので、価格低下に期待できるか疑問です。

*関税割当:一次関税(低税率)での一定枠を設け、輸入量が増えて枠を超えた分から二次関税(高税率)を適用すること
*セーフガード:緊急輸入制限のことで、輸入量が増え、「国内産業に甚大な被害があるとき」、国が関税率を引き上げることで輸入量を制限しようとするもの。

そして、EU向けでは工業製品の無税割合が約38%→約82%になります。自動車部品については貿易額ベースで約92%の即時撤廃で合意しています。これが韓国EUFTAを上回るため、韓国寄りの政党の反対を受けると言われています。

2017/08/21

通関士試験にも出る?申告官署の自由化

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どこの税関官署に輸出入申告をするかは、貨物の蔵置場所により決まります。

輸出申告又は輸入申告は、原則としてその貨物を入れる保税地域等の所在地を所轄する税関長に対して行う、とされているからです。(関税法第67条の2)

しかし、この原則を維持しつつ、AEO事業者のうち、輸出入者及び通関業者等は、どの税関官署に対しても輸出入申告できるようになります。

この「申告官署の自由化」は2016年3月29日、「関税定率法等の一部を改正する法律」の成立により決定しており、2017年10月8日のNACCS更改に合わせて施行されます。

また、これに伴い、通関業法も改正され、営業区域制限がなくなります。

以下、官署自由化に関する関税法と通関業法の改正前と改正後の比較です。

<関税法>
改正前
・輸出申告の特例として、AEO事業者は貨物がおかれている場所の所在地を所轄する税関長に対して輸出申告をすることができる。
・輸入申告に関して特例なし

改正後
・輸出申告・輸入申告の特例として、AEO事業者はいずれかの税関長に対して輸出申告・輸入申告をすることができる。
・税関長は、上記の申告の貨物検査に係る権限を、貨物が置かれている場所の税関長に委任することができる。

*ここでいうAEO事業者とは、特定輸出者、特定委託輸出者、認定製造者の製造した貨物を輸出しようとする特定製造貨物輸出者、特例輸入者、特例委託輸入者のこと。
特定委託輸出者・特定委託輸入者とは認定通関業者に通関手続きを委託したもの。

外国貿易船に積んだまま申告することが必要とされる貨物については、引き続き、外国貿易船の係留場所を所轄する税関長に輸出・輸入申告することとなっています。

貨物検査の立ち合いは現地の通関業者や配送業者などに委託することができます。委託先や検査する税関とのやり取りについて、具体的な方法などは現在意見交換中だそうです。

また、自由化の対象外となる貨物が指定されています。
・MDA協定(日米相互防衛援助協定)該当貨物
・輸出貿易管理令に定める武器関連物資等

ワシントン条約該当貨物については指定官署に蔵置されている場合、いずれかの指定官署に輸出入申告できる、という少し条件付きの自由化です。

<通関業法>
改正前
・通関業を営むにはその業に従事しようとする地を管轄する税関長の許可。
・通関業者はその許可をした税関の管轄区域内においてのみ通関業を営むことができる。(営業区域の制限)

改正後
・通関業を営むには財務大臣の許可
・認定通関業者は営業所の新設を財務大臣に届け出る
・営業区域制限の廃止

営業区域制限の廃止により、貨物の蔵置場所に関わらず、全ての通関業者が貨物蔵置場所を所轄する税関に対し輸出入申告を行うことができます。さらにAEO事業者は申告先税関を選択することができます。

例えば、A通関業者は神戸で営業許可、B通関業者は大阪で営業許可、とします。現行では、輸入者は神戸に貨物が蔵置されていたらA通関業者に通関依頼、大阪に蔵置ならB通関業者に、と通関業者を変えています。しかし、法改正施行日以降は、神戸蔵置でも大阪蔵置でも、ABどちらの通関業者に依頼してもOKということになります。

2017/07/28

危険な外来生物の上陸を防ぐ水際対策とは?

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外国を行き来する海上コンテナや船舶には、様々な動植物が付着してしまいます。

今、陸揚げされた海上コンテナ内で火蟻(ヒアリ)が見つかるという問題が起こっています。

火蟻は猛毒性があり、「世界の侵略的外来種ワースト100」にも入っています。

このように危険な外来生物がコンテナや船舶にくっついて国内に持ち込まれるケースは少なくありません。

生態系や漁業などにも影響を与えるため、国際条約や法律による規制が進められています。

一つは「船舶バラスト水規制管理条約」です。バラスト水とは、船体を安定させるためにバラスト(船底に積む重し)として用いられる水のことで、貨物船が空荷で出港するとき、港の海水が積み込まれ、貨物を積載する港で船外に排出されます。積み込む港と排出する港が異なるため、海水に含まれる多種多様な水生生物が多国間で行き来してしまいます。水生生物は移動先で環境被害や健康被害、漁業へ影響を及ぼしています。

そこで、バラスト水とその沈殿物の管理のための国際条約を締結しよう、ということになりました。バラスト水管理のためのガイドラインが策定され、締約国は指定された港・ターミナル内に沈殿物の受け入れ施設を持つことや、船舶に対する定期検査、国際証書の発給などが義務付けられています。

有害動植物に寄生されている恐れがあるものに、木材こん包材があります。付着した動植物から輸入国に病害をもたらすことを予防するため、木材こん包材について植物検疫措置に関する国際基準「国際貿易における木材こん包材の規則」(ISPM No.15)に沿った消毒や表示等が輸出国に求められます。

対象のこん包材は、厚さ6ミリ以上の貨物の積載、梱包、下敷き、支持又は固定に使われるパレット、木箱、木枠などの非加工木材です。パーティクルボードやベニヤ、接着剤や熱処理などにより加工された木材は対象外です。燻蒸や消毒など適切な処理がされた木材こん包材には認定されたマークが付けられます。

もし、輸入地点で要求されたマークがなかったり、有害動植物の発見が処理が有効でなかったことによる場合、国家植物防疫機関がそれに応じた対策をとります。日本であれば植物防疫所となります。必要であれば、留め置き、不適合材の除去、処理、破壊、又は返送もあります。また、生きた有害動植物が発見された場合は、輸出国又はこん包材の製造国に通知されます。

火蟻の件でも見られたように、海上コンテナ内で危険生物が見つかることもあります。海上コンテナは通常、積み荷をデバン(荷下ろし)した後、きれいに洗浄しなければなりません。もし、内部に生物がいたり、その卵や死骸を見つけたりした場合は、外来生物法に基づき、環境省に連絡します。

ちなみに、外来生物法では、輸入品に付着・混入するなど非意図的であっても、特定外来生物の「輸入」と考えます。特定外来生物を許可なく輸入することはできませんので、その付着・混入が確認された場合は、環境省から消毒、廃棄が命令されます。

特定外来生物とは、外来生物のうち、特に生態系等への被害が認められるものとして外来生物法によって規定された生物です。

規制や対策はとられているものの、日本は多くの国・地域から多種多様なものを輸入しています。全ての輸入品や多国間を行き来するコンテナなどを検査するのは不可能です。また、アリやクモのような小さな生物の侵入を防ぐのは容易ではありません。結局、どれだけ関係者が気づけるか、気づいた時の素早い対応が重要ということでしょう。

船舶バラスト水規制管理条約
http://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/trt/page22_000988.html

植物防疫所 木材こん包材の輸出入
http://www.maff.go.jp/pps/j/konpozai/index.html

特定外来生物等一覧
https://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/list/

2017/07/11

金の密輸とならないために

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金塊を密輸しようとした疑いで、愛知県の韓国籍の女性たちが逮捕される事件がありました。

この女性たちは主婦仲間で、別の人物が香港で買い付けた金塊を韓国で受取り、日本に密輸していたといいます。

また、唐津市では漁船で金塊200㎏を密輸しようとした男らが逮捕されました。

このように香港から韓国を経由し、複数の運び役を介した金塊密輸が増えています。

全国の税関が摘発した金塊密輸は平成25年度には全国で8件でした。しかし、26年度177件、27年度は294件と急増しています。増加した理由の一つに消費税率の引き上げが考えられます。

日本では消費税込み価格で金が売買されます。買う時も売るときも消費税込みの価格で取引されます。いっぽう、香港では金を購入しても消費税はかかりません。持ち出しにも税金はかかりません。主犯格は香港で買い付けた金塊を手に韓国経由便で日本に渡ります。韓国でトランジットするとき、集めておいた「運び役」に金塊を小分けにして渡します。

日本入国時に本来ならば支払うべき消費税を無申告で通過すれば、日本で売却するとき上乗せされる消費税8%分が儲かるという仕組みです。金の価格は近年上昇し続けており、2017年6月現在1㎏税込み490万円前後です。為替変動なども踏まえても、仕入価格より30万円以上高く売れることになります。

「うーん、オイシイ」とは思ってはいけません。これは関税法と消費税法違反であり、立派な犯罪です。5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科せられることがあります。未遂も同罪です。

では、「運び役」でなくとも、金を密輸してしまわないために、知っておくべきこととは?

金地金(純度90%以上)の持ち込みは、1㎏を超える場合、「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」を提出しなければなりません。じゃあ、1㎏超えなければ申告しなくていいのかというと、そうではありません。

金地金は現金やT/Cなど「支払い手段」と並列されていますが、モノであり、携帯品・別送品にあたります。携帯品・別送品の免税範囲は総額で20万円です。たとえ1㎏以内でも20万円を超える場合は課税されるので、別途「携帯品・別送品申告書」に記入します。金は関税無税ですが、消費税及び地方消費税を納付しなければなりません。

では、日本に出入りする際、税関に申告する必要がある「支払手段等」とは、
・現金(本邦通貨、外国通貨)
・小切手
・トラベラーズチェック、旅行小切手
・約束手形
・有価証券(株券、国債等)
これらの合計額が100万円を超える場合。

又は、金地金(純度90%以上)が1㎏を超える場合、です。出国時も入国時も必要です。申告=課税ではありません。

支払手段等の申告は、資金洗浄及びテロ資金供与対策の一環として、FATFの特別勧告にも盛り込まれています。日本以外の多くの国でも、出入国の際に申告が義務付けられています。

また、自国通貨の持ち出しについて厳しく制限している国もあります。申告せずに出入国しようとした場合、罰金や没収といったこともあります。多額の現金等を携帯する場合、渡航先国の大使館や総領事館に事前に確認することが必要です。

2017/06/23

中国爆買いが終えん、トレンドは越境ECへ?

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訪日中国人による「爆買い」が流行語にもなったのは2015年のこと。あれから2年、爆買い失速で日本のドラッグストアは店頭収益爆減・・・。

しかし、訪日中国人は帰国後、日本の商品をインターネットで買うリピーターになっていました。

個人消費者がインターネットを介して国境を超える買い物をすることを越境ECといいます。そして、日本の最大の越境EC相手国は中国なんです。

2016年、中国が日本から越境ECで購入した額は1兆366億円。これは30.3%増で、まだまだ伸びると予想されています。

中国の越境ECは配送方法によって、それぞれ徴収される税や手続きなどが違います。

一つは「直送」モデルです。
これは、EMSや国際宅配便を利用して消費者に日本から直送する方法です。個人の郵送品として扱われ、貨物の内容は自己申告に基づき簡易的に通関されます。「行郵税」が適用。税率は品目により3段階。免税措置もあります。

もう一つは「保税区」モデルです。これは、商品を船便などで中国国内の自由貿易特区の保税区にいったん納入します。注文が入れば管理業者が商品を保税区から消費者に配送。保税区から出るときに納税します。保税区に一括搬入することで運賃が節約でき、注文から配送までの時間が短縮できます。

保税区は越境EC輸入モデル都市及び総合試験区として、杭州、天津、上海、重慶、合肥、鄭州、広州、成都、大連、寧波、青島、深セン、蘇州、福州、平潭の15都市。

直送モデルも保税区モデルも一回の購入額2,000元まで、年間20,000元の上限あります。超える場合は一般貿易として扱われます。

中国では越境ECによる輸入を個人の物品ととらえ、「行郵税」を適用してきました。しかし、一般貿易との不公平感から、2016年4月に新制度が導入されました。

新制度では保税区の行郵税廃止、ポジティブリスト方式による輸入商品の限定、保税区入庫時の通関単の提出、初回輸入時の輸入許可証や登録手続きが必要になります。また、保税区は行郵税に代わり、関税・増値税・消費税が適用されます。関税は暫定0%、増値税・消費税は軽減税率で徴収されます。品目により税率が異なります。

ところが、公告から施行まで短期間だったこともあり、施行直後は大混乱。税関で貨物の半数以上が通関できないという事態が起こりました。

そこで、新制度の導入に1年間の猶予が与えられ、税率が先行して施行されることになりました。後に、さらに延長され、2018年1月1日より新制度で完全運用すると発表されています。

制度自体も発表当初は規制が厳しく、特に新商品の購入が実質難しい状況でしたが、申請手続が簡略化されるなど、たびたび変更が発表されています。

「上海・浦東新区における非特殊用途化粧品の記録管理の試験運用に関する公告」によれば、スキンケア、メイクアップ、など一般化粧品の初回輸入を「許可制」から「届け出制」へ変更し試験運用するとのこと。

現状では越境ECに対する政府態度は規制緩和傾向にありますが、まだまだ不安定なのも事実です。一般貿易で適用されている法規制や手続きにも素早く対応できるように、準備しておくのが賢明と思われます。

2017/06/07

国際郵便or国際宅配便それとも・・?

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小口の貨物を海外に送る際には国際郵便や国際宅配便がよく利用されます。

この2つ、Door to Doorで海外に荷物を送れる、という点で同じですが、位置づけや仕組みがちょっと違います。

国際郵便は公的配送会社です。
・日本では日本郵便
・アメリカならUSPS(米国郵便公社)
・中国は中国郵政
万国郵便連合(UPU)という国際機関の取り決めのもとに運営されています。

UPUでは文化、社会、経済各分野の国際協力に寄与することを目的とし、どの国や地域からも固定料金に近い料金で郵便物を送れることなどが合意形成されています。

発送方法には届く速さ順に、
・EMS(国際スピード便)
・航空便
・SAL(エコノミー航空便)
・船便
の4種類があります。

一方、国際宅配便は民間配送会社です。
・DHL
・FedEx
・OCS
・ヤマト運輸
・佐川急便
などがあります。

国際郵便と国際宅配便の大きな違いは通関の仕組みです。

【国際郵便】
(価格が20万円以下貨物の場合)
・「税関告知書」又は「税関票符」に必要事項を記入して郵便物に添えて郵便局に貨物を引き渡す
・その後、貨物は税関外郵出張所に集められ、必要な検査を受けて外国に発送
・輸出の許可、承認が必要な品物については、荷物が止められ必要な手続きの連絡が来る

(20万円以上貨物の場合)
・税関への輸出申告が必要
・郵便局、通関業者に委託するか、自分で輸出申告しなければなりません
   
【国際宅配便】
・通関手続きを民間配送会社が代行
・書類以外の荷物にはインボイスが必要
・会社によって対応が違いますが、他法令の届け出や承認、許可を代行してくれることもあります
   
発送できない貨物が国際郵便、国際宅配便にはあります。大きな違いは信書で、国際郵便では基本的にEMSでしか信書は送れないことになっています。国際宅配便のDHLやFedExでは信書は送れます。

信書とは手紙やはがき、請求書類、許可書類、証明書類など「特定の受取人に対して、差出人の意思を表示したり、事実を通知する紙など」です。貨物に関係する送り状などを同梱する場合はこの限りではないようです。

火薬など危険物、動物、麻薬類、航空危険物などは国際郵便と国際宅配便ともに取り扱いできません。ただし、DHLでは一部の危険物を送ることができます。また、国や地域による規制や条約によっても送れないものがあります。

料金は国際郵便の方が安いです。国際宅配便には燃料割増料金も加算されます。安さだけでいえば国際郵便の勝利ですが、地域によっては到着予定日より大幅に遅れるといったこともあるようです。また、各社で貨物を送れる地域や重量制限が違います。

海外に荷物を送るときには、料金だけでなく、保険が付帯できるか、配送状況の追跡など、いろいろなサービスを比べて、配送会社を選びましょう。

国際郵便で送れないもの
http://www.post.japanpost.jp/int/use/restriction/index.html

DHLで取り扱いできない品目
http://www.dhl.co.jp/ja/country_profile/import_guidelines_express.html#containerpar_expandablelist

信書のガイドライン
http://www.soumu.go.jp/yusei/shinsho_guide.html

2017/05/08

原産地にEPA税率を適用するには

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物流や貿易が盛んになり、一つの品物が出来上がるまでに様々な国が関与するようになりました。

複数の国の材料を使用し加工されて出来上がった物品の国籍(原産地)はどのように決まるのでしょうか?

日本の関税法には原産地を認定する基準が2つあります。

1.完全生産品
その名の通り、一つの国または地域で生産されたもの。一つの国または地域で採れた鉱物や動植物、水産物、これらを原材料として生産された物品です。

2.実質的な変更を加える加工又は製造したもの
関税定率法別表の「項」(HS番号の4桁)の変更を伴う加工または製造をした国が原産地と認定されます。ただし、輸送や保存のための乾燥・冷凍や包装容器に詰めること、部分品の組み立てなど、認められない加工もあります。その場合は前の状態まで行った国が原産地となります。

また、「税関長の指定する加工又は製造」として繊維製品など一部のもので、上記とは異なる加工・製造も認められています。

以上が基本的な原産地認定基準になります。

EPA(経済連携協定)税率を適用したい場合、原産地認定がより厳密に定められています。EPA締約国を原産地とするためには3つの条件を満たさなければならず、これらの条件を原産地規則と呼びます。

1. 原産地基準
・完全生産品
・実質的な変更を加える加工又は製造したもの
・関税分類変更、特定の加工工程、付加価値が特定の条件を満たしたもの
・関税分類変更にかかる特例規定の適用を受ける産品
・原産材料のみから生産された産品
原産地基準には「累積」や「僅少の非原産材料」といった補足的規定も多くあります。

2.原産地手続
EPA特定原産地証明書や通し船荷証券などの書類の提出

原産地基準を満たすかどうかを証明する方法は3種類あり、
・第三者証明制度:輸出国発給当局が特定原産地証明書を発給
・認定輸出者による自己証明制度:輸出国発給当局が認定した輸出者自身が原産地申告文を作成
・自己申告制度:貨物の輸入者、輸出者又は生産者自らが原産地申告書を作成
第三者証明制度はすべてのEPAで認められていますが、それ以外は各EPAで対応が異なります。

3. 運送基準
原則として直送していること

EPAは締約国ごとの交渉によるため、内容は各EPAで違います。同じ品目であってもEPA毎に異なる基準が存在します。また、関税分類が変更していても品目によって条件付きになり、原産国と認められない場合もあります。

EPA特恵税率を適用させるには各条件を詳しく調べて照らし合わせる必要があります。

下記サイトなどを参考にされると良いでしょう。

原産地規則ポータル
http://www.customs.go.jp/roo/

各協定の本文と品目別規則(経済産業省HPより)
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/process/e-step4.html

2017/04/14

お土産にもワシントン条約が!?

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ワシントン条約、聞いたことあるという方、多いのではないでしょうか?

ワシントン条約は貿易をする人だけでなく、外国旅行者にもかかわる条約です。知らなければ、せっかく買ってきたお土産も没収されてしまうこともあるので気を付けましょう。

ワシントン条約とは絶滅のおそれのある野生動植物が過度に国際取引されないよう種の保護を目的として生まれた条約です。

英語の条約名(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)の頭文字をとってCITES(サイテス)とも呼ばれます。

対象種は附属書に掲載されており、ⅠからⅢまで3つの区分があります。

以下、規制内容と対象種一例です。
【附属書Ⅰ】
・学術研究を目的とした取引可能
・輸出国・輸入国双方の許可書、契約書等が必要
・オランウータン、スローロリス、ゴリラ、ウミガメ、オニソテツ、木香etc.

【附属書Ⅱ】
・商業目的の取引可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要
・タカ、オウム、ライオン、ピラルク、ラン、サボテン、アロエetc.

【附属書Ⅲ】
・商業目的の取引可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書又は原産地証明書等が必要
・セイウチ(カナダ)、ワニガメ(米国)、アカギツネ(インド)etc.

ここでいう輸出許可書とは、税関の輸出許可書ではなく、ワシントン条約にかかる管理当局の発行するCITES輸出許可書のことです。

附属書は対象種が一般名では記載されていません。学名で書かれており、分かりづらいのが難点です。

ワシントン条約は野生の動植物の保護を目的としたものであり、飼育されたものや人工繁殖したものは規制の対象外になる場合があります。生きている動植物だけでなく、加工品も対象となります。

例えば、はく製や原皮、ハンドバックなど革製品・毛皮・アクセサリ・彫刻品・化粧品・食品・医薬品などです。原材料の一部であっても規制対象です。

近年増えているのが、海外のインターネットオークションやショッピングサイトで購入した商品に対する手続き不備です。海外の販売者に対し、条約の理解と対象貨物が含まれていないかどうか、規制対象貨物であればしっかり手続きをしてくれるかどうかの確認が必要です。

外国からの郵便物にワシントン条約に該当する貨物が含まれる可能性がある場合、税関から手続きを求める書類が届きます。必要書類を事前に揃えていれば、税関に書類を提出して貨物を受け取れます。揃えられなければ、貨物を返送して取引をキャンセル又は再度輸入する。もしくは郵便物を放棄しなければなりません。

また、旅行者のお土産品に関しては条件を満たせば日本への輸出入手続きが不要です。

参考サイト:
経済産業省HP 
附属書(動物界)
附属書(植物界)附属書(植物界)

税関に直接質問できる!事前教示制度とは

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煩雑な貿易実務の仕事。少しでもスムーズに進めたいと思うのは皆一緒ですね。

そこで今回は税関が無料で提供してくれているサービス「事前教示制度」をクローズアップしてみようと思います。

事前教示制度は、輸入しようとする貨物の
・関税率表上の品目分類や他法令などの取り扱い
・関税評価上の取り扱い
・原産地の取り扱い
・減免税の適用の可否
について、あらかじめ税関に照会を行い、その回答を受け取ることができる制度です。

原則として貨物の主要輸入予定地を管轄する税関に対して行います。それぞれ所定のフォームがあり、必要事項を記載し、参考となる資料なども必要です。

口頭やEメールで事前教示の照会を行うこともできますが、文書による事前教示のように尊重されないので注意が必要です。Eメールは事前教示のためのアドレスがあります。Eメールによる照会は一定の条件を満たすことで、「文書による照会に準じた取り扱い」に切り替えることができます。

一方で、正式に文書による事前教示を行わなかったことでトラブルになったケースもあります。

とある輸入者の話です。
その輸入者はこれまで依頼していた通関業者(A社)から別の通関業者(B社)に輸入通関をお願いすることにしました。輸入許可がおり、許可書を見ると、A社の時には無税で申告していたものをB社は有税で申告していました。輸入者は、同じ商品なのになぜ?ということになり、B社に問いただしました。

するとB社はA社のした過去の申告に関しては聞いていなかったこともあり、商品の仕様書などから判断して品目分類をしました。結果、有税の税番で申告した、ということでした。

B社の担当者は正しい税番決定をしたと思っていますし、輸入者は同じ商品なのに無税から有税にされたと両者納得できません。そこで、税関に事前教示で照会することにしました。その結果、やはりB社がいう税番が正しく、商品は有税でした。

ところが、輸入者は以前A社で通関する前に税関に書類を提出して税番を聞いている、といいだしました。そこでその当時の書類を見せてもらいました。

一応、材質や用途は記載されていたものの、事前教示として有効な書類ではありませんでした。効力のない書類を持ち出しても事前教示とは言えません。それでもまだ納得できない輸入者は、事前教示の結果に対する異議申し立てを行いました。しかしやはり、結果は変わらず、あとは裁判で争うしかない、というところでやっと引き下がりました。

このように、事前に問い合わせしていても文書による照会を行っていなければ尊重されません。また、実際に輸入された貨物の事実関係が事前教示の内容と異なれば、効力はありません。法令の改正や有効期限(最長3年間)切れにより照会内容とは違う取り扱いになることもあります。

とはいえ、輸入する商品が確定していない計画段階では文書による照会は難しいでしょう。そういった場合は税関相談官制度というものもあり、輸入計画の一助となります。

参考サイト:関税、輸出入通関手続きの便利な制度
http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/

2017/03/11

知っておきたい特恵関税制度と特恵卒業

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特恵関税とは、開発途上国、または地域を原産地とする特定の輸入品に対し、一般の関税率よりも低い税率を適用して途上国の経済支援をするために設けられています。

「特定の輸入品」とあるように、対象品目と税率が法令により定められています。これを定めた法令が関税暫定措置法及び関税暫定措置法施行令です。

農産品の一部と鉱工業品のほぼすべての品目に対して、特恵税率が適用されます。

さらに、後発開発途上国からの輸入に関しては、ほぼすべての品目が無税で、これを特別特恵(LDC)関税といいます。

特恵国及び特別特恵国一覧は以下の通りです。
http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1504_jr.htm

ただし、特恵関税又は特別特恵関税を適用した輸入の増加が原因で国内産業が損害を被る場合は、政令によりその品目の特恵及び特別特恵関税の適用が停止されます。特恵停止品目は税関HPに公表されます。

年度途中で適用停止になることもあり、現場の通関士も常にチェックしています。現在特恵適用で輸入されている場合は随時確認しておきましょう。

開発途上国の経済支援のための制度であるため、経済発展を遂げた国については適用対象外となります。これを特恵卒業といいますが、特恵卒業には3段階あります。

1.高所得国にかかる特恵適用除外措置(部分卒業)
2.高所得国にかかる特恵適用除外措置(全面卒業)
3.国別・品目別特恵適用除外措置

平成29年度の部分卒業は中国が原産国の特恵適用品目に多く該当します。
中国はGDPが公表で世界2位の国です。
急成長を遂げ、とっくに高所得国に分類されておかしくない国と思うのですが、まだ特恵が適用される国、つまり開発途上国と認められていました。

しかし、平成31年に全面卒業予定です。
また、中国以外にも、ブラジル、メキシコ、マレーシア、タイが特恵全面卒業予定となっています。

メキシコ、マレーシア、タイはすでに日本と2国間協定国であり、特恵卒業となっても経済連携協定(EPA)税率が適用されるため、それほど影響はないでしょう。

例えば、プラスチック製の食卓用品、台所用品(HSコード3024.10-000)は特恵税率無税ですが、EPA税率も無税です。

ここで、関税率の種類と優先順位についてお話ししますと、関税率は品目によっても定められていますが、原産国によっても異なります。大きく分けて、国の法律に基づいて定められた国定税率と国際条約に基づいて定められた協定税率があります。

●国定税率
  基本税率
  暫定税率
  特恵税率(EPA税率と区別するため一般特恵税率とも言います。)
  入国者の輸入貨物に対する簡易税率
  合計20万円以下の少額貨物に対する簡易税率
●協定税率
  WTO協定税率
  経済連携協定(EPA)税率

これらの税率は原則として、EPA税率、一般特恵税率、WTO協定税率、暫定税率、基本税率の順に優先して適用されます。
ただし、
・一般特恵税率とEPA税率の適用には原産地規則を満たした上で原産地証明書が必要であること
・EPA税率と一般特恵税率が設定されている場合は一般特恵税率が超えない限りEPA税率が優先
・協定税率の適用は暫定税率又は基本税率より低い場合に限る(協定税率、暫定税率、基本税率のうち低い税率が優先される)

ざっくり言うと、同じ条件下では一番低い税率が適用される、ということです。

例えばカンボジアはアセアン協定締結国ですが、現在は特別特恵国(LDC)です。カンボジア産の革製スリッパ(HSコード6403.59-011)の場合、アセアンEPA税率が30%、LDC特恵税率が無税ですので、LDC特恵税率が優先適用されます。

2017-02-22

通関士の一日は盛りだくさん

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通関士の一日の始まりは扱う貨物が航空貨物か海上貨物かによって違います。航空の場合、夜勤もあり、完全シフト制のようです。海上は日中の業務が中心となります。私の場合、海上貨物を取り扱う部署での経験があります。

まず、出社時間は当日朝の申告件数によって前後します。海上の場合、税関の開庁時間は一般に8時30分です。朝一から申告をするために8時半までに出社、8時半までに時間外申告の予定や、その日の業務量に応じてさらに早い時間に出社することもあります。

申告で審査区分1は許可、区分2は税関審査、区分3は税関検査です。審査と検査になったものは税関に書類を持ち込む必要があります。一般的に、事務所から税関に書類を持ち込む担当の人がいるので、その人に書類を揃えて渡します。

その後、午前中は審査又は検査貨物の税関対応や急ぎの書類に取りかかります。書類作成の優先順位は、輸入は貨物の配送予定日、輸出は船積み予定日によって決まります。

通関依頼があると、インボイス、パッキングリスト、B/Lなどの書類が営業部門から通関部門に回ってきます。アライバルノーティスなどは後から発行されるため、多くの場合は後から渡されます。全ての書類がそろい次第すぐに申告するために、随時書類をチェックします。優先順位の高いもの、つまり配送予定日または船積み予定日の迫っているものを優先的に、書類を揃え税番決定や計算をします。

書類だけでは統計品目や税番が決定できない場合や、書類に不備があれば、輸出者や輸入者に確認します。営業担当者が中継ぎをしている場合は社内の営業担当者に確認してもらいます。

税関の開庁時間に昼休みという設定はないのですが、12時から13時まではやはり税関も昼休み時間をとるので、基本的には12時から13時に税関対応をすることもなく、現場でも昼休みをとります。ただ、午後の申告予定など、区切りがつくまでは休憩を取らない人もいるので、ランチタイム・休憩時間はバラバラです。

午後も引き続き、書類作成の業務と申告が中心となります。朝と同じように、午前に審査又は検査扱いになった書類を税関持ち込みの人に渡します。また、当日午前中申告分の貨物検査が午後から行われることが多いので、必要に応じて検査の立ち合いに行きます。

多くの通関業者が18時退社となっています。翌日以降の業務に支障がなければ退社できます。しかし、私の経験上、定時退社できる日の方が少なかった気がします。残業が常態となっており、時期によっては22時23時、最終電車ぎりぎりで帰ることもありました。

男女で仕事の差はありません。その点はとてもフェアーな職業です。しかし、仕事量を自分たちで調節することが難しく、帰宅時間がバラバラになってしまい、子育てや家事の負担を多く担う人には大変な職業です。既婚の女性でも小さな子供がいる、という人はあまりいませんでした。逆に、子供に手がかからなくなった世代の女性が多く活躍されていました。

どの職業にも言えることですが、やはり思い切り働くには家族や会社の協力が不可欠です。ただし、経験が重視されるので、いったん子育てなどで離職しても社会復帰しやすい仕事であると言えるでしょう。

2017/02/13

税制改定に伴い加算税が変わる

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平成29年1月1日以降に法廷納期限を迎える関税及び内国消費税等に課される加算税が変わります。

現行では税関の事後調査の通知があった後でも、更正予知前に修正申告がされた場合、過少申告加算税は課されませんでした。

しかし、平成29年1月1日以降に法廷納期限(輸入許可日)を迎えるものについては、調査通知があった日から更正予知前の自主的な修正申告に対しても、過少申告加算税5%が課されます。

更正予知後は過少申告加算税10%で変わりません。
*納付すべき関税等の額が、当初申告税額と50万円のいずれか多い金額を超えるときは、その超過額に5%の加算が発生します。

これは、事後調査の連絡があってから慌てて修正申告をして加算税を免れるというケースが多かったためと考えられます。また、事業者のコンプライアンス意識をさらに高め自主的な修正申告を促すことを目的としています。

申告すべき貨物に対し申告していなかった場合は無申告加算税が課されます。申告すべき日から無申告加算税5%が発生し、事後調査通知後に10%、更正予知後で15%と加算税率が上がっていきます。
*こちらも納付すべき税額が50万円を超える場合は、その超過額に5%加算します。

さらに同一の税目について過去5年以内に無申告加算税又は重加算税を課されたことがある輸入者については、現行よりさらに10%の加算税が課されます。無申告に対する重加算税がもともとの40%からさらに10%加算され、50%になります。

悪質な行為を防止するためで、意図的にアンダーバリューインボイスで通関を繰り返している、原産地証明書を偽造して特恵を利用するなど、悪質な関税脱税に対してより重いペナルティーが課されるのです。

過少申告や無申告に対して、加算税だけでなく、延滞税も生じます。延滞税は法廷納期限日(輸入許可日)の翌日から起算されますので、修正申告が遅れれば遅れるほど膨らみます。

さて、税関の事後調査に関してですが、事後調査は輸出入を行っていれば事業者の規模に関係なくやってきます。個人で輸入ビジネスをしている主婦のもとにも税関から連絡がきてとても焦った、という話も聞きます。個人輸入を行っている方に対しては連絡が入ったからといって、必ずしも調査官が来るわけではないようですが、準備はしておかなければなりません。

通常2,3年に一度ですが、結果が悪ければ要指導事業者ということで、毎年事後調査が入る、ということもあるようです。調査員にもノルマがあるとかないとか。取りやすいところから取ろうという思惑もあるのかもしれません。

必要なものは契約書、仕入書、会計帳簿書類等です。税関はNACCSというシステムで輸出入取引の有無を握っていますので、金型を送っているのに、その後の輸入に評価加算された形跡がない、といったこともわかります。契約書や帳簿上はロイヤリティを支払っているのに対象の貨物に加算されていない、などといったことを調べます。
輸出の場合は適正な輸出が行われているかを指導します。

また、輸出者または輸入者は輸出入した貨物の帳簿書類の一定期間の保存が義務付けられています。帳簿書類がしっかり保管されているかも調査の対象となります。大きな貨物に関してはそれなりに管理されていても、国際郵便や突発的な小口の貨物に関して整理されていない場合は、対策が必要です。

2017/01/21

AEO事業者の認定を受けるには?

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認定事業者とは、前回コラムに書きました通り、貨物のセキュリティ管理と法制遵守(コンプライアンス)体制の整った事業者が、税関の承認・認定を受ける制度です。

では、認定事業者になるにはどのような要件を満たさなければならないのでしょうか?

具体的には
・コンプライアンス体制を整えるための
 -統括部門が設けられている
 -責任者や知識・経験のある人員が十分に配置されている
 -コンプライアンス規則がある
・貨物や書類の管理がしっかりなされており、そのための措置を設けている
・税関との連絡体制、社内での連絡体制が整っている
・業務委託先がある場合、指導が行き届いている
・監査体制を整えている、他法令遵守規則がある
・物理的・人的・情報セキュリティが整っている
等です。

加えて、税関とオンラインでつながるNACCSシステムを導入していることや過去の一定期間において法令違反をしていないこと、また違反があった場合は一定の期間を経過していることなども満たしていなければなりません。

詳しくは関税のホームページでもチェックリストが掲載されているので参照することができます。

関税のホームページはこちらから。

チェックリストを確認したうえ、AEO取得希望事業者は税関のAEO担当部門に連絡します。

認定事業者になると物流のリードタイム短縮など、メリットがあることは前回コラムにも書いた通りですが、さらに重要なのが貨物のセキュリティ管理と法制遵守を取引先にアピールできることではないでしょうか。

AEO導入の大きなきっかけとなったのがアメリカでの9・11テロにあります。
欧米ではテロをきっかけに、セキュリティに対する関心が高まり、多くの事業者がビジネス戦略としてAEOを取得しています。また、世界各国においてAEO制度もしくはそれと同等の制度が導入されており、世界では40組以上の相互承認が成立しています。

日本は現在、ニュージーランド、米国、カナダ、EU、韓国、シンガポール、マレーシア、香港が相互承認を実施しています。相互承認国に輸出した場合、相手国での通関の際も審査・検査が軽減されるなどの効果により、リードタイムが確保されます。

しかし、上述した通り、AEO取得の壁は小さくありません。
監査体制も整えてなければならず、当初より変更があった場合は届ける必要があります。NACCS導入も小さな事業者には大きな負担となるでしょう。

結局、AEOを取得した通関業者や倉庫業者を利用するのがリードタイム確保の近道でしょう。AEO通関業者に特例委託輸入申告または特定委託輸出申告を依頼して行います。

また、輸入の場合、申告価格が20万円以下の少額貨物以外の申告には保全担保が必要となります。保全担保を税関に提供しなければ特例委託輸入申告は利用できません。さらに、過去の一定期間に関税関係法令に違反がないことも要件です。

特定委託輸出申告については認定通関業者が特定保税運送者と連携する必要がありますが、特定保税運送者は現在7者のみで、連携しようにも難しい、というのが現状です。

AEO制度が導入されて8年、まだまだ全面的にスムーズに運用されるには至っていないようです。

2017/01/09

AEO事業者の制度って何でしょう?

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AEO(Authorized Economic Operator)事業者とは、2008年より導入された制度です。
貨物のセキュリティ管理と法制遵守(コンプライアンス)体制の整った事業者を、税関長がAEO事業者として承認・認定します。

AEO事業者は税関手続きの緩和・簡素化が提供されます。

例えば輸入申告時の審査・検査が基本的に省略され、貨物の引き取り後に納税申告を行うこと等ができます。

従来AEO制度導入時の対象は輸出者だけでしたが、現在は輸出者、輸入者、倉庫業者、通関業者・運送者、製造者が認定を受けることができます。

AEO事業者に認定されることで受けられるメリットは以下の通りです。
1.特例輸入申告制度(特例輸入者)
輸入申告時の審査・検査が基本的に省略。貨物の引き取り後に納税申告を行える等。

2.特定輸出申告制度(特定輸出者)
貨物を保税地域に搬入することなく、自社の倉庫などで輸出申告から許可まで行える。

3.特定保税承認制度(特定保税承認者)
税関長への届出で保税蔵置場を設置すること等が可能。当該届出蔵置場にかかる許可手数料の免除。

4.認定通関業者制度(認定通関業者)
輸入者の委託を受けた輸入貨物について貨物引き取り後の納税申告(特例委託輸入申告)が可能。輸出者の委託を受けて保税地域以外にある貨物について、特定保税運送者による運送を前提に輸出許可を受けること(特定委託輸出申告)が可能。

5.特定保税運送制度(認定通関業者、特定保税運送者、その他国際運送貨物取扱業者)
個々の保税運送の承認が不要。特定委託輸出申告にかかる貨物について、輸出者の委託を受けて保税地域以外から直接積込み港への運送が可能。

6.認定製造者制度(認定製造者)
製造者以外の輸出者が行う輸出通関で、保税地域に貨物を搬入せずに輸出の許可を受けることが可能。

輸出に関わる企業にとっては、保税地域に搬入することなく輸出許可を受けることができ、積込み港の保税地域で輸出許可を待つ必要がなくなります。これにより、輸送時間と保税のためのコストが削減されることになります。

輸入に関わる企業にとっては、納税が猶予されるため、資金繰りに余裕ができます。
しかしながら、この点については通関業者の立替払いを利用するなど、納期限延長制度もあることから、輸入者がメリットとして感じにくい点ではあるようです。

2016年10月現在の認定事業者数は
特例輸入者92者
特定輸出者240者
特定保税承認者126者
認定通関業者132者
特定保税運送者7者
となっています。
認定製造者はまだありません。

これは輸出入に関わる企業数全体からすれば決して多い数ではありません。その理由はやはり、認定基準を満たすのが難しいことがあげられます。

また、輸入者や輸出者にとっては、認定通関業者に通関手続きを委託することで、特例輸入者や特定輸出者にならなくてもそのメリットを受けることができることが理由として考えられます。

では、具体的に認定基準とはどういったものであるか、それについてはまた次回、お話ししたいと思います。

2016/12/24

輸入申告はインボイス価格ではなく評価申告で

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輸入申告において課税価格を計算する際、インボイスに輸入申告に必要な金額すべてが記載されているとは限りません。

むしろ、インボイス価格がそのまま課税価格になることの方が少ないくらいです。商品が輸入港につくまでにかかった費用すべてを加算しなければならないからです。

FOB建ての場合、輸入港までの運賃(Freight)と保険(Insurance)が加算の基本となります。

それ以外にも買い手により負担される貨物の容器代や包装費用、仲介料等手数料、ロイヤリティーやライセンス料、そして買い手により無償又は値引きをして提供された部品や金型代などを課税価格に加算しなければなりません。

これらの加算要素を評価申告と呼びます。
評価申告は、申告の都度加算要素を計算して行う個別評価と、まとめて行う包括評価とがあります。

個別評価は輸入申告の都度、無償提供された材料費などを計算して加算します。同一契約の商品が数回に分けて輸入される場合は按分します。生産ロスを含んでいるときはロス分も含めて按分します。また、基本的に製品No.ごとに算出しなければなりません。

包括評価は継続的に同一商品を同条件で輸入する場合に最長2年で適用されます。鋳型や工具、同一部品、設備や機械、またライセンス料などを包括評価にすることが多いでしょう。本契約の輸入が始まる前に税関へ計算方法を記載した包括申告書を提出します。原則は按分により輸入の度に加算しますが、要件を満たせば一回目の輸入の際に一括加算することもできます。

評価は基本的な考え方として、インボイス価格に含まれていないもので、買い手により負担される価格です。しかし、評価するかしないか判断の難しいものもあります。例えば、輸入取引業務で生じる仲介料や手数料のうち、買付手数料は評価しません。

輸入貨物に取りつけられるラベル費用のうち、食品衛生法や家庭用品品質表示法など日本の法律で表示義務のある事項のみ記載されたラベルについては評価に含みません。

意匠なども日本以外で開発され買い手により負担されるものについては評価しなければなりませんが、日本国内で開発されたものは評価しません。

もし、評価申告の判断が難しい場合は税関の事前教示制度を利用しましょう。

財務省の発表によると、税関により平成26年度の事後調査を受けた3,545者の輸入者うち、申告漏れ等のあった輸入者は2,363者で、主な理由は

1. インボイスに記載された決済金額以外の貨物代金の申告漏れ
2. 豚肉に係る高価申告
3. 海外生産のために輸入者が輸出者に無償提供した材料費用などの申告漏れ

だそうです。

評価申告は輸入者自身で通関業者に資料を渡さなければ知りうることができません。
ぜひ、知識をもって正しい申告を行いましょう。

2016/12/06

日本の税関の歴史を振り返る

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先日、いつものように大阪税関のHPをチェックしたところ、「大阪税関150周年のロゴマークが決定!」とありました。

そこで今日は税関の歴史について、少し触れたいと思います。

日本の税関の歴史は幕末にはじまります。

いわゆる「黒船来航」(1853年)からです。江戸時代の日本は鎖国政策をとっていため、長崎の出島が日本と外国を結ぶ唯一の港でした。それが、ペリーの黒船来航により開港への道を一気に進みます。

当時の日本の造船技術の25倍もの大きさの船、しかも黒塗りの軍艦が浦賀に4隻も迫って来たのですから、力に屈するよりほかありません。翌年1854年に日米和親条約が結ばれ、下田は即時、箱舘(函館)が一年後に開港しました。

そして、1859年(安政6年)に長崎、神奈川、函館の3港に各「運上所」が設けられます。運上所では現在の税関業務と同じように輸出入貨物の監督や税金の徴収といった運上業務や、外交事務を取り扱っていました。

次いで1868年大阪運上所、兵庫運上所が誕生します。「運上所」は1872年11月28日に「税関」と呼称変更されます。
そのため、毎年11月28日が「税関記念日」とし、各税関では毎年広報イベントなどを開催しています。

現在、日本のすべての都道府県は函館、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司、沖縄の9税関の管轄区域下におかれています。

各税関の本庁を「本関」と呼び、他に出張所、支署、監視署がおかれます。実際の取扱件数は本関よりも出張所や支署の方が多いようです。物量が増えると、港や空港が新たに整備され、出張所や支署がおかれるためです。本関はどちらかというと広報活動や相談に行くところ、というのが実感です。

東京税関は現在輸出入総額国内第一位の成田国際空港を抱える税関ですが、もともとは横浜税関の管轄区域の一部でした。東京、埼玉、群馬、山梨、新潟、山形、千葉県のうち市川市の一部、成田市、香取郡多古町及び山武郡芝山町が1953年に東京税関として新設されました。成田支署は、千葉県にあるけど「東京」ディズニーランド、という感じでしょうか。成田市もやはり千葉県ですが、東京税関の管轄です。

名古屋税関は大阪税関の名古屋税関支署であったのが、1937年に名古屋税関として独立しています。現在の名古屋港は金額ベースでの輸出総額及び総貨物取扱量が国内第一位です。サイズもビッグ、金額もビッグな自動車産業が盛んなためだと思われます。

各税関の本関は広報展示室を持ち、平日に見学することができます。

ゆるキャラブームよりずっと以前から存在する、まんまちゃんによく似たカスタム君が出迎えてくれます。展示物にも特徴がありますので、訪れてみてはいかがでしょう。

2016/11/14

輸入許可前の廃棄について

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前回のコラムにも触れましたが、税関検査では思いもよらぬ貨物が混入していることがあります。

麻薬や武器など輸入禁制品はもっての他、これは追加で申告しようにもちょっと時間がかかりそう・・・と現場の通関業者を悩ますものもあります。

インドネシアから家具を輸入しようと輸入申告を行った際の話です。

税関検査の結果、現地での加工に使用したと思われるラッカースプレーや塗料など、インボイスに記載されていない貨物が、カートンに混入していました。

塗料は化学物質ですので、成分が麻薬向精神薬原料に抵触しないかなど、各種法律の輸入禁止物質が含まれていないことの確認が必要です。ラッカースプレーは高圧ガス保安法の適用除外であることの試験成績書が必要です。

明らかに販売に供しないものであるので、試験成績書まで必要ありませんでしたが、すぐには成分などわかりません。シップバックの方法もありますが、どちらにしても要らないものですし、許可前に処分、廃棄しようということになりました。

しかし、これは輸入許可前貨物、つまり外国貨物です。

外国貨物は税関の管理下にあり、輸入者自身が自身のゴミとして簡単に捨てることができません。税関の承認なく廃棄した場合、保税地域が処分の対象となります。

まず、税関に対して廃棄したい旨を理由とともに文書で提示しなくてはなりません。そして、「滅却(廃棄)承認申請書」に必要事項を記載・提出して滅却の承認を受けます。

ここでいう「滅却」とは「焼却等により貨物の形態をとどめなくすること」であり、屑などリサイクルできる状態であってはなりません。リサイクルできる処理は、経済的価値を残すので、滅却とは認められません。

廃棄後の現況により輸入通関手続きが必要となります。屑でも商品として販売するなら通常の通関手続きをして納税しなければならないのです。

承認を受けると税関長に認められた場所で、税関職員立会いのもとに滅却されます。立会いは省略されることもあります。
焼却できるごみであれば地方公共団体のゴミ処理施設、産業廃棄物であれば地方公共団体の許可を得た産廃業者と委託契約を結び適切な処分をしてもらいます。

そして、滅却の確認ができる書類や証拠の写真を税関に提出し、滅却に伴う一連の手続きが完了します。

滅却の承認を受けたものに関しては課税対象とはなりません。しかし、焼却費用や蔵置費用などもろもろの費用が発生します。上記の申告外貨物の場合は保税蔵置場に搬入、滅却予定のラッカー等と本来申告していた貨物とを仕分けし、手続きを進めました。

必要ないからと言って簡単には捨てられないことがお分かりいただけましたか?

安易に「そっちで処分して」とは言わせないように、輸入者輸出者ともに理解しておくことが必要と思います。

2016/10/24

無償貨物でも金額表記が必要

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輸入であっても、輸出であっても、全ての貨物はパッキングリストとインボイスに記載されなければなりません。例えばカタログやサンプル、加工貿易での原材料など、無償で貨物が行き来することも少なくないでしょう。

この場合、インボイスには無償(No Commercial Value)と記載します。

そして、無償品でも必ず金額表記をしなければなりません。
輸入であれば、無償品で輸出者と輸入者間に価格の決定(取引価格)がない場合は、
関税定率法に、
・「同種又は類似の貨物にかかる取引価格による方法}
・「国内販売価格に基づく方法」
・「製造原価に基づく方法」
・「その他の方法」
とあり、これらの方法により課税価格を計算します。

無償であっても、外国貨物の輸入には原則として関税がかかるからです。

しかし、特定の条件を満たす無償品には関税を課しません。例えば、展示会で一時的に用いる場合や個人の贈与品で一万円以下の場合などですが、いずれも正しい金額(本来の売値)を表示しなければなりません。

これは実際によくある話なのですが、(あってはならないことですが・・・)税関検査で貨物をコンテナごとX線にかけた時のことです。パッキングリストとインボイスに記載のない箱がいくつか見つかり、輸入者に確認したところ、輸出者よりサンプル品として無償で提供されたものであるとの回答がありました。

サンプル品で無償だから申告しなくてもいいと思ったそうですが、全ての外国貨物を輸入申告しなければなりません。この場合は、箱の中身をすべて調べて数量と価格を決定し、修正申告します。税関には経緯報告という名の反省文を提出し、ペナルティーとしてその後の許可が下りにくくなるとかならないとか。

スムーズに通関できなくなる上に、検品して輸入許可が下りるまでの間の倉庫代やトラックのキャンセル料など、ほかにも料金が発生する可能性もあります。何気ない行為があとあとのトラブルを生みます。余計なもの(!)を勝手に混入しないよう、輸出者にも周知しておきたい事項です。入れる場合は必ずインボイスに記載してもらいましょう。

関税とは関係ありませんが、輸出貨物であっても、やはり同じように正しい金額表記が必要です。仕向地での通関も上記と同じ原理だからです。

また、加工又は組み立てのため輸出された貨物を原材料とした製品、いわゆる加工委託契約については減税措置が講じられています。輸出時のインボイスが減税計算の根拠となります。

ただし、「加工又は組立のため輸出された貨物を原材料とした製品の減税」(暫定8条)には、輸出時にその旨を税関に確認しなければならないこと、対象となる再輸入貨物が決まっていること、輸入時にも各種書類が必要となるなど、条件が限られます。減税を受けない場合は、製品輸入時に無償提供した原材料の輸出インボイスを提出します。

そのほか、再輸入減税や加工又は修繕のため輸出された貨物の輸入(原則1年以内)についても減税が認められています。輸出インボイスが必要となりますので、必ず保管しておきましょう。

2016/10/1

税番決定に必要なこと

輸入通関のために通関業者に提出する書類は

1.仕入書(Commercial Invoice)
2.包装明細書(Packing List)
3.船荷証券(B/L)、航空貨物の場合は航空貨物運送上(AWB)
4.保険料明細書(CIF契約など保険を含む場合は必要なし)
5.運賃明細書、海上貨物の場合はArrival Notice(書類到着通知書)

以上が基本となります。

そのほか、貨物の種類によっては
 ・他法令の許可・承認証(例えば植物検疫法や食品衛生法などの法令の許可・承認が必要な貨物)
 ・特恵原産地証明書(特恵関税の適用を受けようとする場合)
 ・減免税明細書(加工再輸入減税制度や再輸入減税を受けようとする場合)

などが必要となります。

さて、書類が手元に届いたら現場の通関士が何をするかというと、輸入される品物を実行関税率表(タリフ)に基づいた税番(HSコード)に当てはめていきます。

輸入品の関税率は税番に対応しており、税番が違えば関税率も違ってきます。
例えば、同じ綿100%のT-シャツでも単色のものとプリントのものとでは税番が違います。この場合、WTO協定税率なら単色Tシャツが7.4%、プリントTシャツが10.9%です。プリントTシャツはさらに、「刺繍したものレースを使用したもの及び模様編みのも組織を有するもの」とそうでないもので分かれます。

間違った申告が、後日税関の事後調査により発覚し、修正申告となった場合、新たに収める税金のほか、過少申告加算税がかかります。ただし、調査前に自分から修正申告した場合は過少申告加算税はかかりません。

このように、税番決定はとてもデリケートなことです。そして、税番決定のためには輸入品の細かな情報が必要となります。

多くの場合、仕入書だけでは貨物の詳しい情報が不足しています。仕入書に貨物の品名や品番が書かれてあっても、それがどのような形状、材質等かわからなければ、税番を決めることができず、書類がそろっていても輸入申告を進めることができないのです。

そのため、通関業者には上記の必要書類のほか、輸入品の仕様書やカタログなどを渡すといいでしょう。ない場合は、口頭でもいいのですが、申告後、税関審査になった場合に、これらを求められることもあります。特にその品物の第一回目の輸入の際は、製品情報が必要とされます。

あまりに細かい問い合わせにうんざりさせられることもあるかと思いますが、ご理解ください、としか言いようがありません。ただし、一度輸入実績ができれば、あとは通関業者のほうで管理をしてくれるでしょう。

貨物の輸入前に税関や通関業者に相談するのもいいでしょう。税関相談官制度というものがあり、直接か通関業者を通して相談できます。事前に相談して税番を決定し、提出書類の端に○○税関◆◆相談官に相談済み、と書けば、書類審査になっても、輸入許可まで時間を短縮できます。

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