ワシントン条約は貿易をする人だけでなく、外国旅行者にもかかわる条約です。知らなければ、せっかく買ってきたお土産も没収されてしまうこともあります。|お土産にもワシントン条約が!?

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公開日:2017.04.01  / 最終更新日:2017.04.04

お土産にもワシントン条約が!?

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ワシントン条約、聞いたことあるという方、多いのではないでしょうか?

ワシントン条約は貿易をする人だけでなく、外国旅行者にもかかわる条約です。知らなければ、せっかく買ってきたお土産も没収されてしまうこともあるので気を付けましょう。

ワシントン条約とは絶滅のおそれのある野生動植物が過度に国際取引されないよう種の保護を目的として生まれた条約です。

英語の条約名(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)の頭文字をとってCITES(サイテス)とも呼ばれます。

対象種は附属書に掲載されており、ⅠからⅢまで3つの区分があります。

以下、規制内容と対象種一例です。
【附属書Ⅰ】
・学術研究を目的とした取引可能
・輸出国・輸入国双方の許可書、契約書等が必要
・オランウータン、スローロリス、ゴリラ、ウミガメ、オニソテツ、木香etc.

【附属書Ⅱ】
・商業目的の取引可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要
・タカ、オウム、ライオン、ピラルク、ラン、サボテン、アロエetc.

【附属書Ⅲ】
・商業目的の取引可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書又は原産地証明書等が必要
・セイウチ(カナダ)、ワニガメ(米国)、アカギツネ(インド)etc.

ここでいう輸出許可書とは、税関の輸出許可書ではなく、ワシントン条約にかかる管理当局の発行するCITES輸出許可書のことです。

附属書は対象種が一般名では記載されていません。学名で書かれており、分かりづらいのが難点です。

ワシントン条約は野生の動植物の保護を目的としたものであり、飼育されたものや人工繁殖したものは規制の対象外になる場合があります。生きている動植物だけでなく、加工品も対象となります。

例えば、はく製や原皮、ハンドバックなど革製品・毛皮・アクセサリ・彫刻品・化粧品・食品・医薬品などです。原材料の一部であっても規制対象です。

近年増えているのが、海外のインターネットオークションやショッピングサイトで購入した商品に対する手続き不備です。海外の販売者に対し、条約の理解と対象貨物が含まれていないかどうか、規制対象貨物であればしっかり手続きをしてくれるかどうかの確認が必要です。

外国からの郵便物にワシントン条約に該当する貨物が含まれる可能性がある場合、税関から手続きを求める書類が届きます。必要書類を事前に揃えていれば、税関に書類を提出して貨物を受け取れます。揃えられなければ、貨物を返送して取引をキャンセル又は再度輸入する。もしくは郵便物を放棄しなければなりません。

また、旅行者のお土産品に関しては条件を満たせば日本への輸出入手続きが不要です。

参考サイト:
経済産業省HP 
附属書(動物界)
附属書(植物界)附属書(植物界)

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