差額関税という言葉、初めて聞くという方も多いのではないでしょうか?貿易実務に従事する方でも一部の方しか知らない言葉かもしれません。差額関税は豚肉の輸入にしか適用されていない関税制度だからです。差額関税とは、外国からの輸入製品の急な価格高騰から消費者を守るため、そして低廉な輸入品増加から国内生産者を守るため、の2つの目的があります。|輸入豚肉に課される差額関税制度って何?

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輸入豚肉に課される差額関税制度って何?

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「差額関税」という言葉、初めて聞く、という方も多いのではないでしょうか?

貿易実務に従事する方でも一部の方しか知らない言葉かもしれません。

なぜなら、今現在では豚肉の輸入にしか適用されていない関税制度だからです。

食品輸入に関わる人なら知っている、でもちょっとグレーな匂いのする制度です。

そもそも、差額関税とは、外国からの輸入製品の急な価格高騰から消費者を守るため、そして低廉な輸入品増加から国内生産者を守るため、この2つの目的で設けられた制度です。一般に税率というのは1つの商品分類で1つの税率ですが、差額関税は基準輸入価格と課税価格の差額が関税になります。

具体的にみていきましょう。

現在、豚肉には課税価格によって3種類の税率が適用されています。

1.従量税適用限度価格(64.53円/㎏)を下回るもの・・・関税率482円/㎏
2.従量税適用限度価格以上、分岐点価格(524円/㎏)以下・・・1㎏あたり基準輸入価格(546.53円)と課税価格との差額
3.分岐点価格以上・・・4.3%

2が差額関税になります。例えば510円/㎏の冷蔵の部分肉なら、2なので、546.53円-510円=36.53円/㎏の従量税が課さるというわけです。100円/㎏であれば446.53円/㎏というように、輸入価格が安いと関税が高く、輸入価格が高いと関税が低くなります。

差額関税の最小関税額は、基準輸入価格546.53円と分岐点価格524円の差ですので、22.53円/㎏です。もしも分岐点価格に近い価格に調整すれば関税額は最小で済みます。そこで、価格の安い部位と高い部位を組み合わせて通関価格が分岐点価格付近になるよう調整して輸入することがほとんどなのだそうです。これをコンビネーション輸入といいます。事実、近年の平均課税価格は23円/㎏で推移しています。

コンビネーション輸入で節税、なら正当な方法と言えなくないですが、実際の価格は安いのに、あえて高い価格で通関する脱税行為も後を絶ちません。従量税が適用されると価格の高低は直接影響しなくなります。消費税は高くなりますが、それよりもうま味が大きいのでしょう。税関の事後調査で肉類の納付不足税額は常に上位です。

過去に大きな輸入豚肉関税脱税事件も起きています。かつて私の知り合いは、勤務先が関与していたそうで、頭を抱えていました。どうやら通関業者も高価申告であることを知っていたようで、悪質とされて業務停止命令を受けたそうです。

ちなみに、TPP、日欧EPAでは発行後10年目に従量税50円/㎏、従価税無税に削減、ただし差額関税は維持されコンビネーション輸入すればほぼ無税で輸入できることになります。11年目まではセーフガードの発効を確保しています。

関税額最小になるように調整されるのに、差額関税制度をなぜ維持し続けるか。これはコンビネーション輸入するためには高い部位も輸入しなければならず、安い部位だけが大量に輸入されることを抑制する効果を見込んでいるからです。

高い部位、安い部位がバランスよく輸入されることで、市場価格の混乱を避け、国内の畜産農家を守ることになる、と農水省は説明しています。

2018/04/12

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