有害物質は人の健康や自然環境を損ねる恐れがあります。1980年代には有害廃棄物による事件が多発しました。そこで、有害廃棄物の越境移動の国際的なルールとして、1992年にバーゼル条約(正式名称:「有害廃棄物の国境を越える移動およびその処分の規制関するバーゼル条約」)が制定されました。日本は1993年に加入しています。|有害な廃棄物の輸出入を規制するバーゼル条約って?

  • Twitter
  • facebook
  • LINE
検索

有害な廃棄物の輸出入を規制するバーゼル条約って?

pic_tsuukan20180605

前回のコラムでは中国が廃プラスチックや古紙など、資源ゴミの輸入を禁止したことをお話ししましたが、中国に限らず、資源ゴミの輸出入は比較的多く行われています。

また、中古電化製品を輸出販売したり、廃基板などから金属などを取り出し資源として販売したりするビジネスもあります。

しかし、資源ごみや中古の電化製品には有害物質が含まれていたり、それらが付着したまま途上国に廃棄する悪質な事業者もいました。

有害物質は人の健康や自然環境を損ねる恐れがあります。1980年代には有害廃棄物による事件が多発しました。そこで、有害廃棄物の越境移動の国際的なルールとして、1992年にバーゼル条約(正式名称:「有害廃棄物の国境を越える移動およびその処分の規制関するバーゼル条約」)が制定されました。日本は1993年に加入しています。

条約では、規制の対象となる有害廃棄物とその他の廃棄物を特定し、これらの廃棄物を輸出するには輸入国の同意が必要、としています。また、締約国は廃棄物を可能な限り自国で処分すること、不法取引の犯罪性を認め罰則を設けること、非締約国との廃棄物の輸出入を原則禁止とすること、廃棄物移動は移動書類を添付すること、などが規定されています。

*バーゼル条約締約国とは別にOECD加盟国間や2国間協定のある場合、これに基づく規制が適用されます。

条約で規制対象となるものは、最終処分又はリサイクルを行うために輸出入されるものであって、医療廃棄物や鉛蓄電池、廃油、めっき汚泥、廃石綿、シュレッダーダストなどです。原則規制対象外なのは、鉄くず、貴金属のくず、固形プラスチックくず、紙くず、繊維くず、ゴムくずなどです。

また、バーゼル条約の国内対応法として、バーゼル法と廃棄物処理法が施行されました。両法律でも規制対象物が示されています。バーゼル法はバーゼル条約を踏まえて規制対象物を決めており、有害性によって判断されます。廃棄物処理法では価値(無価物が規制対象)で規制対象かどうかを判断します。

国内法で規制対象のものを輸出入する際は経済産業省の承認・移動書類交付、環境大臣の輸出確認・輸入の許可が必要です。バーゼル法と廃棄物処理法は規制対象物が違うため、貨物によっては両方が適用となる場合もあります。また、条約に従い、輸出国への事前通告、輸入国・通過国の同意が必要です。

規制対象かどうかの該否判定は簡単ではありません。対象外リストに掲げられている貨物であっても、鉛やヒ素、ダイオキシン類など一定以上を含んでいれば有害廃棄物として規制対象になります。モーター、配電盤、基板など有害物質を含む可能性があるものは、分析を行い、バーゼル法の基準により判断します。そのほか、経済産業省・環境省では該否判断についての事前相談を行っています。

パソコンやテレビなど使用済み電化・電気機器をリユース目的で輸出する場合、輸出承認を得る必要はありませんが、梱包の仕方や破損・劣化等貨物の状態により、無価物とみなされます(無価物は廃棄物処理法で規制対象)。また、輸出先国で条約上の有害廃棄物と判断されたり、その国の規制で輸入禁止されていたりする場合は、不適正な輸出としてシップバックされる恐れがあります。

汚れや異物混入のないもの、破損しないような保護のされたもの、輸出先国の規制を理解すること、正常作動性を確認したものであることも輸出のポイントとなります。

経済産業省HP:バーゼル条約・バーゼル法の概要、仕組み、手続き等
http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/10/bsimple_judgmentsys/outline.html

2018/06/05

中国が日本のゴミ輸入を禁止に

pic_tsuukan20180507

昨年7月、日本の、いや世界の廃棄物事業者にとって衝撃的な発表がされました。

それが、中国の「海外ごみの輸入禁止と固形廃棄物輸入管理制度改革の実施計画」です。

「計画」では外国ゴミの国内持ち込みを禁止し、国内で出される固形廃棄物の無害化、資源化再利用を促す、としています。

業種・種類ごとに輸入禁止のタイムテーブルを策定。

2017年末前に、環境への危険リスクが高く、人への健康被害が大きい固形廃棄物の輸入を全面禁止、2019年末までには国内の資源ごみで代替え可能な固形廃棄物の輸入を縮小していく予定です。

全面禁止となった固形廃棄物は、生活ごみとしてだされる廃プラスチック、未処理の古紙、皮革製品・繊維系の廃棄物、汚泥、医療廃棄物、バナジウムスラグなど。

中国は長年にわたり、世界各国から廃プラスチックや古紙など再生利用できる廃棄物を輸入してきました。その理由の一つは、中国国内の原料不足を補うためです。廃プラスチックは処理してペレットなど原料にし、中綿やプラスチック製品を作ります。石油原料からプラスチック製品を作るより、廃プラスチックを輸入してリサイクルした方が簡単。また輸出側も中国でリサイクルした方が安上り。双方の思惑が一致したこともあって、中国の廃プラスチック輸入量が膨大な量になりました。ピーク時(2012年)で888万トン、2016年では735万トンです。

国別にみると1位:香港24%、2位:日本12%、3位:米国9%です。日本は廃プラの50%を中国、32%を香港に輸出しています。日本から香港に輸出されたものが中国に輸出されるので、最終的にはほとんど中国行きです。

ではなぜ、長年の方針を転換して、廃棄物輸入禁止にかじを切ったのか?それは、関係各部門が環境リスクに配慮し、輸入管理してきましたが、汚染物質やその他のごみの混じった粗悪・悪質な貨物が大量に輸入されていること、その影響で環境汚染が深刻化していることなどがあげられます。公害対策が十分でない加工業者も多く、汚染物質が河川に垂れ流されているといいます。

さらに、中国国内のゴミ事情も関係しています。中国は経済発展とともに、ゴミの量も増え続けています。埋立地も満杯状態で、都市部郊外ではゴミの山が築かれています。ゴミ処理の技術や分別回収も進んでいない状況で、特に都市部の生活ごみ処理が深刻な問題となっています。

海外からリサイクルしやすい状態にした廃棄物を受け入れていたのでは、国内の分別リサイクルが進みません。また、国内廃棄物だけでも環境汚染がひどいのに、さらに海外の汚染物質付き廃棄物の買い取るなんてお断りだ、というのも本音ではないでしょうか。

さて、人体や環境に有害な廃棄物の輸出入を規制する国際的枠組みに、バーゼル条約(正式名称:有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約)があります。有害な廃棄物などの国を越える移動を規制、廃棄物によるリスクから人の健康と環境を守る条約です。

バーゼル条約を実施するための日本の国内法はバーゼル法(特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律)、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の二つです。

バーゼル条約、バーゼル法、廃棄物処理法と輸出入の関係はまた、次回以降のコラムでお話ししたいとおもいます。

2018/05/18

原産地証明書識別コードが4桁になったために!

pic_tsuukan20180508

税関への輸入申告などの通関業務や外国貨物の移動といった港湾関連業務は、NACCSというオンライン電子システムが利用されています。

NACCSについては以前、
「港湾業務の強~い味方!NACCS(ナックス)」
で詳しくお話ししました。

そちらでも触れているのですが、NACCSは昨年10月に更改され、現在は第6次NACCSが稼働しています。

さて、新NACCSになって約半年、通関業者を悩ませているのが原産地証明書識別コードの4桁化、です。

通関業務に従事していない方にとっては全く聞きなれない言葉ですよね。原産地証明識別コードとは、特恵税率の適用可否や原産地証明書の有無を示す記号です。原産国を示すコードとは別に存在します。

旧NACCSでは1桁で表し、28種類ありました。しかし近年、経済連携協定(EPA)が増え、どのEPAを適用しての申告なのか、また、原産地証明書(CO)だけでなく、認定輸出者による自己申告制度など、原産地を証明する方法も多種多様になってきました。

さらに、交渉中の経済連携協定があることや、環太平洋パートナーシップ(TPP)施行も控えています。近い将来、1桁ではコードが足りなくなることが予想されました。また、TPPでは、どの締約国から輸入されるかによって適用税率が異なるため、それぞれの国に対応するコードを割り当てたい。その方がわかりやすい、ということで、コード体系の見直しがされました。

4桁になった原産地証明書識別コードは以下3つの項目を組み合わせたものです。
原産地(申告)種別(2桁)+ 原産地証明書等区分(1桁)+ 貨物の種類(1桁)

「輸入申告事項登録(IDA)時における原産地コードの入力について」
https://bbs.naccscenter.com/naccs/dfw/web/qanda/docs/2017100700059/

例えば、中国から輸入するTシャツで、貨物やインボイスにMade in Chinaの記載がある場合、中国はWTO協定国なので「WK」、中国産Tシャツは特恵が適用できない品目なので原産地証明書(CO)は提出不要で「O」、貨物やインボイスに原産地表示があるので「R」。これを組み合わせて「WKOR」となります。

ベトナムから輸入するTシャツで、輸出国発給のCOがあり、日ベトナムEPA税率適用要件を満たす場合、「VNT4」となります。ベトナムはアセアン加盟国でもありますから、日アセアン包括EPAを利用した輸入なら「AST4」です。

より分かりやすいんだよ、と言われても、1桁から4桁へ増えることは実務に当たる人にとって、大きな負担になります。入力ミスは更改前から予想され、税関に柔軟な対応を求めてきたようですが、現実はなかなか厳しい。原産地証明書を提出しても入力を間違えていればEPA協定税率不可、という判断がされています。

通関業者の入力ミスであれば、輸入者には責任はありません。本来無税または低税率で輸入できるものが高関税を払うことになったら、すべて通関業者が負担しなければなりません。

通関業者にとってなんと緊張感のある更改。。。
輸出申告に比べ、輸入申告業務は本当に気を遣うお仕事だと、改めて感じる事案です。

参考記事:

「港湾業務の強~い味方!NACCS(ナックス)」
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/moto_tsuukanshi/2017-10-28

2018/05/08

輸入豚肉に課される差額関税制度って何?

pic_tsuukan20180412

「差額関税」という言葉、初めて聞く、という方も多いのではないでしょうか?

貿易実務に従事する方でも一部の方しか知らない言葉かもしれません。

なぜなら、今現在では豚肉の輸入にしか適用されていない関税制度だからです。

食品輸入に関わる人なら知っている、でもちょっとグレーな匂いのする制度です。

そもそも、差額関税とは、外国からの輸入製品の急な価格高騰から消費者を守るため、そして低廉な輸入品増加から国内生産者を守るため、この2つの目的で設けられた制度です。一般に税率というのは1つの商品分類で1つの税率ですが、差額関税は基準輸入価格と課税価格の差額が関税になります。

具体的にみていきましょう。

現在、豚肉には課税価格によって3種類の税率が適用されています。

1.従量税適用限度価格(64.53円/㎏)を下回るもの・・・関税率482円/㎏
2.従量税適用限度価格以上、分岐点価格(524円/㎏)以下・・・1㎏あたり基準輸入価格(546.53円)と課税価格との差額
3.分岐点価格以上・・・4.3%

2が差額関税になります。例えば510円/㎏の冷蔵の部分肉なら、2なので、546.53円-510円=36.53円/㎏の従量税が課さるというわけです。100円/㎏であれば446.53円/㎏というように、輸入価格が安いと関税が高く、輸入価格が高いと関税が低くなります。

差額関税の最小関税額は、基準輸入価格546.53円と分岐点価格524円の差ですので、22.53円/㎏です。もしも分岐点価格に近い価格に調整すれば関税額は最小で済みます。そこで、価格の安い部位と高い部位を組み合わせて通関価格が分岐点価格付近になるよう調整して輸入することがほとんどなのだそうです。これをコンビネーション輸入といいます。事実、近年の平均課税価格は23円/㎏で推移しています。

コンビネーション輸入で節税、なら正当な方法と言えなくないですが、実際の価格は安いのに、あえて高い価格で通関する脱税行為も後を絶ちません。従量税が適用されると価格の高低は直接影響しなくなります。消費税は高くなりますが、それよりもうま味が大きいのでしょう。税関の事後調査で肉類の納付不足税額は常に上位です。

過去に大きな輸入豚肉関税脱税事件も起きています。かつて私の知り合いは、勤務先が関与していたそうで、頭を抱えていました。どうやら通関業者も高価申告であることを知っていたようで、悪質とされて業務停止命令を受けたそうです。

ちなみに、TPP、日欧EPAでは発行後10年目に従量税50円/㎏、従価税無税に削減、ただし差額関税は維持されコンビネーション輸入すればほぼ無税で輸入できることになります。11年目まではセーフガードの発効を確保しています。

関税額最小になるように調整されるのに、差額関税制度をなぜ維持し続けるか。これはコンビネーション輸入するためには高い部位も輸入しなければならず、安い部位だけが大量に輸入されることを抑制する効果を見込んでいるからです。

高い部位、安い部位がバランスよく輸入されることで、市場価格の混乱を避け、国内の畜産農家を守ることになる、と農水省は説明しています。

2018/04/12

UPOV(ユポフ条約)で農産物の優良品種を守ろう!

pic_tsuukan20180331

まだ記憶に新しい平昌オリンピック、女子カーリングで競技の盛り上がりとともに話題になったのはハーフタイム、通称「もぐもぐタイム」でしたね。

その時に選手たちがよく食べていたのが、イチゴでした。彼女たちは「韓国のイチゴは甘くておいしい、お気に入りだ」と言っていました。

しかし、その後テレビやインターネット上で、この「韓国イチゴ」がやや訳ありだ、ということが報じられたことはご存知でしょうか?

何が問題なのか、というと、

韓国で栽培されるイチゴの多くは日本で開発された種苗が元となっており、その種苗は日本から無断で持ち出されたり、開発者の許可なく韓国国内で増殖されたりしたものだ、ということです。

一時期は「韓国産」のイチゴが日本に輸入されていましたが、さすがにこの事実を確認した日本政府が、韓国側に輸出禁止とロイヤリティの支払いを要求しました。しかし、このロイヤリティの支払いが高いことなどから、日本産イチゴから開発した新品種を韓国産イチゴとして品種登録しました。現在、韓国産イチゴは香港や東南アジアに輸出されており、高級フルーツとして人気だそうです。もし韓国に日本産イチゴの種苗が渡っておらず、日本から各国にイチゴを輸出していたら、として政府が出した試算では、5年間で最大220億円といいますから、相当の輸出機会が奪われてしまった、と感じてしまいます。

韓国のイチゴだけでなく、「紅ほっぺ」(イチゴ)や「シャインマスカット」(ぶどう)などの品種が中国や韓国で栽培され、輸出されていることが確認されています。過去には、北海道が権利者であるインゲン豆の一品種が無断で持ち出され、その収穫物が日本に輸入されようとしました。この時北海道は輸入差し止め手続きを取りました。その後、白あんなどの加工品にして輸入されても区別できるよう、DNA識別技術を開発しています。

農産物の優良品種の持ち出しや海外での無断増殖は、輸出マーケットの喪失やブランド力低下など、日本産農産物の輸出への影響が懸念されます。そこで政府は対策として、海外で品種登録(育成者権の取得)を呼び掛けています。

品種の育成者は、種苗法に従い品種登録を行うと、育成者権を取得できます。知的財産の一つである育成者権があれば、栽培や販売の差し止め、生産物回収や損害賠償請求などの対抗措置が可能です。

また、品種保護に関する国際的枠組みとして、「植物新品種の保護に関する国際条約(UPOV条約)」(ユポフ条約)があります。締約国は品種登録を行ったものに育成者権を与えること、またこれを保護する義務があります。

育成者権は国ごとに取得しなければならず、A国で育成者権を主張するには、A国で品種登録しなければなりません。また、その国での販売開始後4年(果樹など6年)以内に出願申請しなければなりません。国内での出願後、速やかに海外出願することが望ましいです。

ただ、申請料や手続きの負担感からか、品種登録してないものが多いそうです。そこで農林水産省では出願費用の一部補助や相談窓口を設置するなど、海外での品種登録出願を支援しています。

ぶどうやりんご、いちごなど日本から海外への輸出額はここ数年伸びています。特に香港や台湾、シンガポールへの輸出が多く、これらの国はフルーツを贈る文化があり、贈答用に「日本産」フルーツが人気だそうです。

フルーツだけでなく野菜や穀物の優良品種が多い日本。海外の生産者からすれば、自国で開発するより、すでにある優良品種を栽培したいと考えるのではないでしょうか?育成者権を使ってライセンス生産、ロイヤリティ収入を得ることや、日本と世界各地で栽培することで通年供給することも可能です。工業製品だけでなく、農作物にも知的財産対策・戦略を考えていかなければなりません。

2018/3/31

保税地域ってどんなところ?何ができるの?

pic_tsuukan20180327

保税地域という言葉をご存知でしょうか?

保税地域とは、簡単に言うと、外国貨物を外国貨物のまま置くことができる場所です。

外国貨物とは、これから輸出しようという貨物であれば輸出許可後の貨物、輸入してきた貨物であれば輸入許可を受ける前の貨物のことです。

「保税」という言葉が示すように、関税・消費税など輸入の際に発生する税金を留保できる場所、という意味もあります。そして、原則として保税地域から貨物を引き取る時に関税などを払います。

保税地域には5つの種類があります。
1.指定保税地域
2.保税蔵置場
3.保税工場
4.保税展示場
5.総合保税地域

1と2は外国貨物の積みおろし、運搬、蔵置ができる場所です。特に指定保税地域は税関手続きのための蔵置場所で、税関所在地の近くにあります。国や都道府県など地方公共団体が管理・所有する土地で、財務大臣指定により設置されます。だれでも自由に安く利用してもらうため、長期間の蔵置が認められていません。一方、保税蔵置場は原則2年の蔵置が認められており、税関所在地近くに限らず、内陸地にもあります。

3は外国貨物の製造・加工ができる場所です。認められた期間(原則2年)内に製造・加工し、製品を外国に送ります(積戻し)。保税工場と保税蔵置場が併設されている場合もあります。食品や石油製品、機械など、日本でも様々な製品が製造・加工されています。飛行機内で提供される機内食は保税工場で加工されていたりします。原材料は外国貨物だけでなく、日本国産の原材料を使用することも認められています。これを内外貨混合使用と呼びますが、その場合も全量外国貨物とみなされます。

4は外国貨物を展示する場所です。国際展示会や博覧会などではこの制度を利用して行われることがあります。

5は2から4の機能をすべて併せ持つものとして指定された場所です。通常なら保税地域間の移動は保税運送という手続きが必要ですが、総合保税地域内では手続きなしでも外国貨物の移動ができます。もともと保税蔵置場や保税工場が集まった地域に対応する制度として創設されましたが、あまり多くはありません。

保税地域が設けられた目的は、「輸出入貨物を法の規制下に置くことにより、秩序ある貿易を維持し、関税などの徴収の確保を図るとともに、貿易の振興及び文化の交流などに役立てること」です。

「貿易の振興及び文化の交流」とあるように、文化交流のためにも保税地域は利用されています。例えば美術館や国際展示会などでは保税展示場の承認を得て美術品などが展示されています。保税展示場への搬入には展示等申告書を税関に提出して承認を受けます。私も旅行先の博物館で「保税展示場」と書かれた立て札の先にある清や唐の時代の陶器を鑑賞したことがあります。その時、これらの展示品は外国貨物でこのロープの先は保税地域なんだなぁと一人感慨にふけっていました。(何を興奮しているんだ?と家族には理解されずです。。。)

ちなみに、展示会に外国貨物のまま展示する方法はATAカルネを取得する方法や再輸出減免税で申告する方法もあります。この場合、展示会場が保税展示場の承認を受けていなくてもかまいません。

機内食の加工や美術品の展示など、「保税地域」を身近に感じられる場所もあります。港湾地区を走るトラックを見かけて外国貨物の保税運送中なのかな、などと考えてみるのもおもしろいかもしれませんね。

2018/03/27

カーリングのストーンって関税かかるの?

pic_tsuukan20180308

平昌オリンピック、始まる前は政治的な問題もあり成功が不安視されていました。でも、はじまると日本選手の大活躍ぶりになんとも盛り上がりました。

私はやはり女子チームが気になり、スピードスケートとカーリングに釘付けになりました。

カーリングは見た目には淡々と進む頭脳系競技なのですが、エンドが近づくと1投1投にハラハラドキドキ。

そして笑顔でお互いをたたえあう彼女たちの姿にたくさんの感動をもらいました。

そこで気になったのがカーリングのストーン。テレビのワイドショーなんかでもストーンについて解説されていましたが、1個20㎏、10万円くらいするそうです。これを1チーム8個×2チームなので、1試合に16個用意しなくてはなりません。

ストーンは花こう岩でできており、特に強度と滑りやすさに優れた、スコットランドのアルサクレイグ島産のものが国際大会で使用されています。試合では会場にあるものを使うそうで、選手が揃える必要はありません。ストーンは耐久性が高く高額なため流通量が少なく、店頭で売られていることはないようです。

ただ、もし輸入するなら・・・、ということでカーリングのストーンの税番を調べてみました。

実行関税率表の見方も解説していきますので、ここから先は税関のHPから実行関税率表も開いて読んでいくとわかりやすいでしょう。

実行関税率表
http://www.customs.go.jp/tariff/2018_1/index.htm

まずは材質分類になるのか用途分類になるのかをチェックします。ストーンは石を加工してプラスチックの持ち手を付けたものです。石でできた製品は第68類「石、プラスター、セメント、石綿、雲母その他これらに類する材料の製品」に当てはまります。用途で考えると、第96類「がん具、遊戯用具及び運動用具並びにこれらの部分品及び附属品」が当てはまります。

では、どちらのほうに分類されるかを詳しく見ていくために、「類注」をチェックします。すると、68類注の除外物品に「第95類の物品(例えば、がん具、遊戯用具及び運動用具並びにこれらの部分品及び附属品)」とあります。ということは、カーリングのストーンは石でできていますが、運動用具なので、68類から除外され、95類に分類される、ということになります。

次に95類を見ると、9506-「身体トレーニング、体操、競技その他の運動(卓球を含む。)又は戸外遊戯に使用する物品(この類の他の項に該当するものを除く。)及び水泳用又は水遊び用のプール 」に当てはまります。9506-を下にスクロールしてぴったり当てはまるものを探していくと、9506.91-000「その他のもの-身体トレーニング用具、体操用具及び競技用具」が一番ふさわしい税番です。

さて、タイトルの答えですが、関税は無税です。

ちなみに、選手たちがはめているグローブ。手袋は95類注に「手袋、ミトン及びミットは構成する材料により該当する項に属する」、とあるため、表面の構成材料の面積が一番大きいものが何であるかで決まります。主要材料が革なら42類、合成皮革なら39類(プラスチック製品)か61類(ニット製品)、合成皮革以外の繊維製でも61類が当てはまるでしょう。

2018/03/08

並行輸入品の商標権侵害は3要件で決まる?

pic_tsuukan20180212

先日、小学3年の息子が「これ買う」と言って指定してきたものは、ネットショップで売られている並行輸入品のおもちゃ(フィギュア)でした。

日本未発売品らしく、価格も妥当。でも、職業柄か、並行輸入って書いてあるけど大丈夫なの?

と思ったので、今回は「並行輸入」について、書きたいと思います。

「並行輸入」とは、日本の正規代理店を通さずに、別のルートで真正品を輸入することを指します。

一般的に有名ブランドの販売ルートは、商標権を持つ海外のメーカーまたは輸出者から日本の総代理店契約を結んだ輸入者が輸入し、一般消費者に販売しています。しかし、商標権者と正式の契約を結んでいない第三者により輸入販売されることがあります。これを「並行輸入」と呼びますが、権利者の許諾なしに輸入販売することは権利侵害行為ですので、本来なら輸入は差し止められます。しかし、過去の判例から真正品(ホンモノ)の並行輸入は一定の要件を満たせば商標権の侵害に当たらないとされています。

では、その要件とは?

1.適法性の要件
当該商品に付された商標が、外国の商標権者等により適法に付されていること。商標権者でないものが商標を付した商品は偽造品、ニセモノです。当然、輸入販売することはできません。

2.同一人性の要件
外国の商標権者と日本の商標権者が同一人、又は法律的・経済的に同一視できる関係であること(持ち株会社など)。ただし、同一視できる関係の範囲は個々の判例を見るしかありません。

3.品質管理性の要件
当該商品と日本の商標権者が扱う商品とが、品質において同等であること。しかし、実際の品質に差がなくても、日本の代理店が独自の宣伝広告などでグッドウィル(顧客牽引力)を築いている場合、並行輸入品とは品質に差異があるとして、違法とされました(1996年クロコダイル事件)。逆に、商標権者が厳格に品質管理を行っていることを前提に、海外ライセンシーと日本ライセンシーの商品に差異があったとしても、品質が保証されているとして違法ではないとされた場合もあります(1984年ラコステ事件)。

以上の要件を確認するためには、

1.当該商品の物品本体をホンモノと見比べること
2.権利者から輸出者の手に渡るまでの流れを書類で確認すること

が必要です。
この2点をクリアにしなければ、いざ商標権侵害を疑われたときに合法性を立証することが難しいでしょう。

また、商標権者が製造を委託したメーカーが横流しした品物を購入することも違法です。真正品ではありますが、知的財産権を侵害するコピー商品とみなされます。

税関が「水際取り締まり」を行っている知的財産は商標権のほか、特許権、実用新案権、意匠権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成権を侵害する物品、それと不正競争防止法違反物品です。権利の種類により、並行輸入として認められる要件も違うため、それぞれの法律と判例を確認して輸入しましょう。

さて、息子が買った「並行輸入品」。無事に我が家に届き、遊んでいます。日本語の説明書がなく、組み立てに苦労したそうですが、日本未発売品が買えた、というメリットは享受しているようです。

2018/02/12

日本酒、焼酎などの酒類を輸出するには?

pic_tsuukan20180119

海外では日本食ブームと言われています。日本食レストランが世界各地で急増中。それに伴い酒類の輸出も増えています。

2016年の酒類の輸出金額は約430億円。これは、10年前に比べて3倍以上の伸びです。

輸出先国はアメリカ、韓国、台湾が多く、中国やタイ、ヨーロッパでも人気です。

日本の酒類といえば日本酒で、輸出額も1位です。次いで、ウイスキー、ビールが輸出額2位3位となっています。

世界で注目される日本のお酒、輸出するにはまず日本の「輸出酒類卸売業免許」を取得します。この免許は、申請時点ですでに輸出相手候補との取引見込みがあることが条件です。ですので、国内外で開催される見本市や商談会で取引相手を探したり、貿易商社を介すなどして輸出相手を見つけます。

国税庁の行った酒類輸出企業へのヒアリング調査によると、取引相手との信頼関係を築くことが輸出継続のポイントでもあるようです。実際に現地に何度も足を運び、一緒にマーケティングや販促を行うという企業もあります。

続いて、輸出先国の規制や法律への準備に関して。

各国で違いますが、ほぼ共通してクリアしなければならないのがラベル表示規則です。例えばアメリカですと、TTB(酒類・たばこ税貿易管理局)からラベルの表示内容について承認を受けなければなりません。酒の種類によってそれぞれ規定があり、日本酒であれば、ワインと同じ規定が用いられます。

そのほか、
・容器・容量に関する規制
・農薬・抗生物質・食品添加物に関する規制
・食品の衛生上の安全を確保するための法律による規制
・福島原発事故に関連した輸入規制
・輸入ライセンス
などがあります。

東日本大震災以降、日本からの食品輸出に規制がかけられており、輸出したい商品が規制対象でないかの確認が必要となりました。規制対象である場合、輸出できる産地や安全を証明する書類の提出が必要です。しかし、徐々に規制解除になってきているので、最新情報を確認することをおすすめします。

食品の衛生上の安全を確保する法律とは、日本でいうところの「食品衛生法」にあたります。輸入時に検疫機関で検査を受けるほか、アメリカや中国など生産過程で関わる施設や企業の登録が必要な国もあります。台湾では日本国内での検査証明があれば、書類審査のみとなります。

また、通常、日本国内での酒類の流通には酒税が徴収されますが、輸出する場合、酒税の輸出免税が適用されます。
適用要件は
・製造者自らが輸出する場合(通関業者に通関手続きを委託する場合を含む)
・製造者が、許可を受けた輸出業者の蔵置場に移出して輸出される場合(国内の輸出商社は1社のみ経由)
上記の場合であって、法定の期限までに外国に輸出されたことの明細を記載した書類を税務署に提出して免税されます。

酒類の日本国内での需要は、健康志向などを背景に縮小し続けています。一方で、海外では健康志向からの日本食ブームで日本からの酒類輸出が増加傾向といわれます。同じ文脈で結果が全然違うのは興味深いですが、世界中で日本食や日本のお酒が受け入れられているのはうれしいことです。

国税庁HP酒類輸出支援の取り組み
https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/yushutsu/01.htm#a03

日本酒輸出ハンドブック
https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/yushutsu/handbook/index.htm

2018/01/19

お酒の輸入、手続きや税金は?

pic_tsuukan20180105
年末年始、ワインにビール、ウイスキーなどなど、いろいろな種類と生産国のお酒をたしなんだ方も多かったのではないでしょうか。

そこで、今回は、お酒の輸入に関する手続きや税金を紹介します。

お酒の輸入には用途によって必要な届出や免許が違います。

1.個人使用の場合(総量10㎏以下)
お土産で携帯や別送で持ち込む場合、760ml程度を3本までであれば関税、消費税、酒税の免税。

2.飲食店などの経営者が自身の店でお客さんに提供する場合
食品等輸入届出が必要。

3.販売目的の場合
食品等輸入届出に加え、酒類の販売業免許が必要です。
a. 輸入者が直接一般消費者に販売する場合、「一般酒類小売業免許」や「通信販売酒類小売業免許」
b. 輸入者が他の酒類小売免許を持った業者に卸す場合、「輸入酒類卸売業免許」
c. a、b両方する場合は両方の免許

輸入したお酒を保税地域から引き取ろうとする際には、容器の見やすいところに、輸入者名と住所、引取り先所在地、容器の容量と酒類の品目、そしてその品目に応じて法令で定められている事項をわかりやすく表示しなければなりません。表示方法は税関長への届け出が必要です。食品等輸入届出には原材料や製造工程表なども必要です。製造元に必要書類をそろえてもらいます。

さて、気になる酒類の酒税と関税は?

お酒は酒税法上、発泡性酒類(ビール、麦芽発泡酒、その他の発泡性酒類)、醸造酒類(清酒、ワイン等果実酒)、蒸留酒類(ウイスキー・ブランデー・スピリッツ)、混成酒類(リキュール・甘味果実酒、みりんなど)に分けられます。

それぞれ、kl(キロリットル=1kℓは1,000ℓ)当たりの税率、例えばビールだと220,000円/kl、ワインは80,000円/klの税率が課されます。さらに蒸留酒類などはアルコール度数が上がるごとに10,000円/klが加算されます。350mlの缶ビールで一本当たり77円です。これは一般小売価格の35%前後だそうです。アメリカの約12倍、ドイツの約20倍です。他の酒税の高い国でも25%といいますから、かなりの高税率です。

関税率はお酒の種類やアルコール度数に応じて定められた実行関税率表に従います。例えばビール(2203.00-000)はWTO税率無税、ワイン(2204.21-020)はWTO税率15%又は125円/1のうちいずれか低い税率ただしその税率が67円/1を下回る場合67円/1、です。チリやオーストラリアなど、FTA協定税率を適用すれば、もっと低い税率になります。

これらの税金は原則として消費税も含めて保税地域から引取るとき(輸入通関時)に納税します。納期限延長制度を利用することができますが、関税・消費税の手続きとは別に手続きが必要です。

財務省HP:酒税の税率
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/123.htm

関連コラム:食品輸入では忘れられない食品衛生法
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/moto_tsuukanshi/2017-11-06

2018/1/5

畜産物の輸入に求められる動物検疫

pic_tsuukan20171209

前回前々回に続き、今回も食品輸入の手続きについてです。今回は食肉やその加工品など畜産物について。

畜産物は家畜伝染病予防法の規制を受けます。この法律は家畜の伝染病の侵入とまん延防止のために定められています。

これにより畜産物は輸入の際に動物検疫が必要とされています。

検疫対象となる指定検疫物は偶蹄類の動物(牛、豚、山羊、羊、鹿など)、馬、家きん(*)、犬、兎、みつばち由来もので、
1.肉・臓器(生、冷凍、加工調理済みなど形態問わず)
2.卵(卵殻含む)
3.骨、脂肪、血液、革、毛、羽、角、蹄、腱
4.生乳、精液、受精卵、未受精卵、ふん、尿
5. 乳製品(おみやげなど携帯品や容器充填後に加熱滅菌されたものなど除外品あり)
6.穀物のわら、飼料用の乾草
*家きん:鶏、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥及び七面鳥並びにあひる、がちょう、その他のかも目の鳥類

口蹄疫(BSE)や鳥インフルエンザなどの発生状況により輸入禁止地域が指定されています。しかし、輸入可能地域であっても伝染病の発生状況によって禁止地域になります。

指定検疫物を輸入しようとする者は、検疫物の日本到着後すぐ、船便の場合は検査希望日までに、「輸入検査申請書」を動物検疫所に提出します。NACCSでの申請も可能です。

申請書を受け取った防疫官はまず書類審査を行います。申請書には輸出国政府機関発行の「検査証明書」、必要に応じてインボイス、パッキングリスト、船荷証券、原材料表、加工工程表などを添付します。

審査の結果、
・検査省略となったもの
・または違反が見つかったもの
・先に消毒等処置が必要なもの
以外は現物検査が行われます。

無作為に抽出したもの、または全量を検査します。精密検査になることもあります。検査の結果、問題がなければ「輸入検疫証明書」が交付されます。処置が必要なものには消毒処置や、消毒を行っても輸入が認められないものは焼却か埋没か積戻しが命じられます。

無事に輸入検疫証明書が取得できれば、食品等輸入届出済証も取得し、通関手続きを進めます。

さて、農産物と同じく、畜産物は量の多少や個人・商業の使用目的にかかわらず、家畜伝染病予防法の規制対象です。つまり、個人消費のお土産も動物検疫を受けなければなりません。

海外旅行のお土産にビーフジャーキーや缶詰などの加工食品を買って帰る人がいますが、入国時に動物検疫が必要です。その際、生産国の動物検疫機関が発行する検査証明書が必要です。しかし、個人消費やおみやげ用のもので検査証明書を取得するのは難しいため、日本へ持ち込むことができません。勝手に持ち込むことは罰則の対象です。

ただし、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでは、日本向けに検査証明書を添付して販売しているものもあります。検査証明書の添付された食肉製品なら日本に持ち込めます。入国時に動物検疫所で検査を受けますが、検査前に開封してしまうと持ち込めなくなるので注意しましょう。

2017/12/09

農産物(果物・野菜など)の輸入は植物防疫法

pic_tsuukan20171127

前回のコラムでは、食品等の輸入は通関手続き前に検疫所に食品等輸入届出が必要なことを書きました。

今回は、食品のうち、果物や野菜などの農産物の輸入制度や手続きについてです。

農産物は植物防疫法の規制を受けます。

植物防疫法とは、植物に有害な動植物の駆除、有害動植物の蔓延防止、農業生産の安全及び助長を図ることを目的とする法律です。

有害動植物の駆除、蔓延防止策として実施されているのが、輸出時と輸入時に行われる植物検疫です。植物検疫は輸入量や商用・個人消費など用途に関わらず行わなければなりません。

農産物を輸入したい場合、まずは輸出国の植物検疫機関で植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)を発行してもらいます。そして、入港(着陸)後、検査申請書を植物検疫所(農林水産省)に提出して保税区内の検疫所にて検査が行われます。NACCSでオンライン申請できます。

このように、輸出国と輸入国でのダブルチェックが世界各国で採用されています。つまり、日本から輸出したい場合も植物検疫が行われ、相手国に検査証明書を提出することになります。

植物検疫の検査対象品目のうち食品は、果物、野菜、穀類、豆類、未焙煎のコーヒー豆、スパイス、ハーブ、菜種、ごま、植物性の漢方薬原料などが該当します。加工品で製茶などの高度に処理された植物や、ビン詰めされた香辛料、ドライフルーツなどは検査不要品にあたります。

しかし、検査の要不要は製造・加工工程で異なるので事前に検疫所で確認してください。また、輸入できるものと輸入できないもの(輸入禁止品)があります。

輸入禁止品は、植物防疫法で定められた植物、検疫対象となる生きた病害虫、土の付着したもの、これらの容器包装ですが、同じ種類の植物でも国や地域によって扱いが違います。どの産地の植物が輸入禁止品に該当するか、植物防疫所HPにある「輸入条件に関するデータベース」で確認することができます。

輸出入条件詳細情報
http://www.maff.go.jp/pps/j/search/detail.html

輸入条件に関するデータベース日本語版
http://www.pps.go.jp/eximlist/Pages/exp/condition.xhtml

輸入後、検査が行われ、病害虫の付着がなければ検査合格となります。合格証明書が発給され、通関手続きに入ることができます。食品等輸入届出も忘れずに。不合格であれば廃棄するか、消毒して合格証明書を発給してもらいます。

さて、どのように検査が行われているか気になりますよね。検査は全量検査もしくは抽出検査で行われます。植物の種類や荷口ごとに検査数量が定められています。検査は通常目視で行われます。必要とあれば顕微鏡でより詳しく検査を行います。

意外とアナログな検査方法ですが、このような検査が採用できる背景には、輸出国での検疫を経ていることや、どこの国でどのような病害虫が発生しているかの情報共有、リスク回避の方法を確立できているものだけが輸入できる、といったことがあります。適切な管理や措置ができないものについては輸入禁止となっています。

ただし、輸出国から輸入禁止解除の要請があれば、相手国と病害虫侵入リスク回避措置の科学的根拠が十分かどうか検討し、基準を満たせば輸入が解禁されます。輸入解禁に向けた進捗状況は農林水産省のホームページ上でも確認することができます。

2017/11/27

食品輸入では忘れられない食品衛生法

pic_tsuukan20171106

「モノ」を輸入するためには、輸入申告などの通関手続き以外に、届出や申請など国内法に沿った手続きが必要です。

そのうちの一つ、食品等の輸入に必要な手続きについて紹介いたします。

販売、又は営業目的で使用する食品等を輸入する場合、食品衛生法の規制対象となり、厚生労働省に輸入届出義務が課されています。

具体的には、貨物を輸入する場所を管轄する厚生労働省検疫所食品監視課(以下、検疫所)に「食品等輸入届出書」正副2部を提出します。

食品監視支援システム(FAINS)にリンクしているNACCSを利用してオンラインで届け出ることも可能です。通常は輸入者に代わって通関業者等が行います。検疫所では届出をもとに、食品衛生法に適しているかどうかの審査をおこない、検査の必要性を判断します。

「食品等」とは、食品のほか、食品添加物、器具(調理器具や食品製造用機械、運搬用具など)、容器・包装、乳幼児用おもちゃです。直接もしくは間接的に口に入るものが対象と考えればわかりやすいでしょう。

輸入前に書類の準備をします。食品等輸入届出書、原材料及び製造工程に関する説明書、必要に応じて衛生証明書と試験成績書です。

以下、届出書提出からの基本的な流れです。

1.食品等輸入届出書の提出(NACCS届出可)

2.検疫所で審査
検査の必要がないとされれば、速やかに3.食品等輸入届出済証が発行されます。
要検査となれば、モニタリング検査もしくは命令検査・指導検査・行政検査が行われます。

モニタリング検査の場合、結果が出る前に輸入できますが、不合格であった場合は回収等何らかの措置が必要になります。

その他の検査は、合格なら届出済証が発行、不合格なら廃棄・積戻しとなります。
 
3.食品等輸入届出済証発行 

4.輸入通関手続き
輸入申告書に届出番号を記載します。

届出書には生産国、製造者・製造所、品目、原材料、添加物の使用の有無、製造方法等の記載が必要です。これらの内容をもとに、食品衛生法に違反していないか、添加物の使用基準や有害有毒物質の有無、製造者・所の過去実績などを審査します。

審査の結果、検査が必要とされるものについて、検査が行われます。検査は検疫所が行う場合と、輸入者が依頼して登録検査機関が行う場合とがあります。

特に、検査の優先度の高いものは、
・輸送中に衛生上問題が発生した食品等
・衛生上の理由によるクレームにより積み戻されたもの
・過去に同種の違反があったもの
・海外で問題があると認められたもの
・初めて輸入されるもの
・検査命令対象品目
・モニタリング検査の実施について通知される対象品目
・厚生労働省から検査指示のあったもの

本輸入の前に、サンプル品の輸入をすることもあるでしょう。サンプル品輸入は販売目的ではないため、食品等輸入届出は求められません。(ただし、販売目的ではなくても一般消費者に配布するためのサンプルについては要届出。)

そして、このサンプルで実施した検査の試験成績証明書は本輸入の輸入審査時に有効です。試験成績証明書をもとに品目登録番号を取得して届出書に記載する、もしくは試験成績書を届出書に添えて提出します。

また、認められた外国検査機関の検査結果の反映、同一食品等の継続的輸入は都度の検査省略、計画輸入に関し都度の届出不要など、手続きの簡素化・迅速化のための制度があります。

食品等は、食品衛生法以外の規制も受けます。農産物は植物防疫法の規制を受けるため、植物検疫証明書。肉類は家畜伝染病予防法の規制を受けるため、衛生証明書。いずれも輸出国政府機関が発行するものです。

これらについてはまた、次回以降にお話ししたいと思います。

2017/11/06

港湾業務の強~い味方!NACCS(ナックス)

pic_zeikan20171028

現在の港湾関連業務は、そのほとんどがNACCS(ナックス)というオンライン電子システムを利用して行われています。

NACCSは正式名称を輸出入・港湾関連情報処理システム(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)といいます。

船舶、航空機、輸出入貨物は税関や関係行政機関に対し、様々な手続きが必要です。また、一つの貨物に対して複数の業者がそれぞれの業務を行います。

たくさんの手続きや民間業者での関連業務をオンラインで処理できるのがNACCSです。

NACCSではどのようなことができるのでしょうか。

1.輸出関連業務・輸入関連業務
輸出入申告や、修正申告、出港前報告や保税運送申告などの貨物の搬出入に関する税関手続き。それらに対し、税関は申請の受理、許可・承認の通知を行う。

2.関税の納付手続きとそれに伴う業務
輸入申告の際、あらかじめ指定した口座番号から納税額が口座振替される。納期限延長する場合は担保を提供、まとめて関税等納付を行う。

3.食品等輸入届出、検疫手続き、輸出証明書の発給申請など、関係省庁への手続き

4.航空機・船舶の入出港関連業務

5.登録・申請・照会など
インボイス、パッキングリスト情報の登録、貨物情報照会など。

1978年にAir-NACCS、1991年にSea-NACCSが稼働開始、数度の更改を経て2010年にAir-NACCSとSea-NACCSは統合し稼働しています。更改ごとに港湾EDIシステムやJETRASなど関連省庁システムとも統合しており、2017年10月8日より稼働の「第6次NACCS」では対応業務数が約1,400業務になります。

NACCSがあることで、輸出入関連業者や港湾関係業者は大いに助かっています。まず、オンラインで申請や届け出、申告ができるため、書類を持ち込む時間が短縮できます。申請に必要な書類のPDF添付が認められている場合もあります。

また、情報が共有でき、各関係者に連絡しなくても照会が可能です。例えば、貨物管理番号(B/L番号)をNACCSに入力することで、貨物の場所や状況を確認することができます。民から官への申請・申告業務だけでなく、民と民の情報共有にも役立っているのです。

輸入申告ですと、関税や内国消費税などはHS番号等を入力すれば自動計算されます。これらの計算式は通関士試験の時以来使わなくなるので、忘れている人も多いとか。もし間違った番号や記号を入力すればエラー表示がされますし、金額に対して重量が釣り合わないなど、違和感のあるときはアラートコードが表示されます。

貿易量が多い国では、スムーズな通関システムが必要不可欠です。世界でも多くの国が、輸出入手続きを円滑に行うために、その国独自の電子情報システムを採用しています。日本では、NACCSが港湾関連業務・通関業務がスムーズに行われる一助となっているのです。

2017/10/28

国際海上輸送にありがちな事故と原因

pic_tsuukan20171007

国際海上輸送にありがちな事故と原因を考えてみました。

国際海上輸送では、国内輸送と違って長い時間と距離を貨物が移動するため、事故の可能性が高いものです。

貨物外装の小さな破れやへこみは日常茶飯事といっても過言ではありません。

では、外装のダメージだけならともかく、商品にまで影響を及ぼす事故とその事故原因とはどのようなものがあるのでしょうか。

1.コンテナの劣化などによる損傷
コンテナは本船上で貨物の一番の外箱になるものです。長い航海中に海水や雨水にさらされるため、長期間の使用により劣化してしまいます。劣化部分から海水や雨水がしみ込み、水濡れやカビ・錆が生じます。冷凍・冷蔵コンテナは劣化による故障が商品の凍結・解凍、変質・劣化の原因になります。

コンテナの損傷・故障はバンニング前のコンテナ内の確認で事故を防止できます。通常、デバン後にコンテナ内の清掃や異常がないかの確認を行って返却を行いますが、バンニング前にも再確認することが重要になります。

2. 荷役作業中のラフ・ミスハンドリングによる破損
ラフ・ミスハンドリングとは、荷役時に乱暴に貨物を扱うことです。足で蹴って貨物を移動させたり、水のたまった路面に置いたり、コンテナや貨物を他の物と衝突させたりすることで、破損やへこみ、変形などが起こります。

3.積み付け・積載不良、固縛不十分
貨物の積み付けがコンテナ内で一方だけに偏っている、または、しっかり固定せずにコンテナ内で貨物が動く状態だと、輸送中の揺れや振動で荷崩れしてしまいます。また、カートン内に可動域があることでも商品が破損します。

梱包状態やラッシング(ロープなどでコンテナ内で貨物が動かないように固定すること)が悪くて貨物がダメージを受けても、保険請求できないので、注意しましょう。これは協会貨物約款I.C.C.でも、免責事項として定められています。

4.温度変化
基本的にドライコンテナは通気口などもないため、外気温の影響を受けやすく、コンテナ内が高温になります。高温になったコンテナと外気との温度差で結露が生じ、貨物に水滴がつき、そこからカビや錆が生じてしまいます。

そこで温度変化への対策が必要です。特に金属部品や電子機械など、水気や埃対策が必要な貨物には真空梱包が適しています。これは、商品を透明フィルムで多い、フィルム内の空気を抜いて真空状態にすることで、埃や湿気などの外気から守ることができます。

以上がよくある事故とその原因です。他にも機器の設定ミスや保管不良、船舶や車両などの不良、梱包不良など様々な原因があります。

ダメージを最小限にするために、梱包を頑丈にすればするほど安心ですが、手間とコストがかかります。また、貨物容積が大きくなり、輸送費も多くかかってしまいます。日本人は特に外装にこだわりがちで、カートンの小さな破れだけでもフォワーダーにクレームを入れることが多いそうです。

貨物には海上保険をかけることでリスクをある程度回避することができます。ただし、上述したように、梱包または梱包準備の不完全、コンテナ内への積み付け不良による事故は保険請求の免責事項となっています。事故が免責事項によるものでないことを証明するためにも、バンニング後は写真を撮るようにしましょう。

実際に保険請求となった場合は関係書類を提出し、損害の状態維持もしくは写真などで事故現場の記録を残します。請求額が20万円を超えるときは、保険会社のサーベイヤー(鑑定人・検査人)立ち合いの元、保険請求が妥当かどうか審査します。そして、保険会社は輸入者に保険金を支払ったあと、被保険者に代わり運送人に損害請求をしています。そうでなければ、運送人は貨物を安全確実に運ぶことを怠ってしまうからです。

2017/10/07

海上輸送は天候の影響を受けやすい

pic_tsuukan20170922

貿易は物流部分で天候に大きく左右されます。

世界各地それぞれ気象条件が違い、様々な影響が考えられますが、日本は台風の影響が大きいところではないでしょうか。

では、夏から秋にかけての台風シーズン、どのようなことに留意すべきでしょう?

海上、航空ともに天候の影響を受けます。特に海上輸送は船の延着だけでなく、台風ではコンテナヤードが閉まってしまうことがあります。ヤードクローズ・・・ともなると、輸入許可が下りても貨物を出庫できないので配送ができません。輸出の場合はコンテナ搬入ができません。配送トラックを手配していた場合は、キャンセル料もかかることがあります。

コンテナヤードの状況や動船(入港スケジュール)は本船の船会社やオペレーターに確認します。早めに情報を入手したいところですが、台風は進路が分かりづらく、ヤードの状況は当日朝にならなければわからない、ということもしばしばです。

さて、クローズしてしまったコンテナヤード内では、どのような台風対策がとられているか、ご存知でしょうか。通常、コンテナは5段に積み重ねて置かれています。しかし、強風による横転を防ぐため、積み上げる段数を減らします。また、コンテナ同士を金具でつないで固定します。

これらの作業は台風が接近してから始めたのでは遅いので、接近前から通常の荷役作業はせずに、台風対策のための作業を行います。そのため、早い段階からヤードクローズとなってしまうことも。また、台風対策解除のための作業も必要ですので、台風が去ってもすぐに荷役再開というわけにはいきません。

そして、無事荷役が再開されると、搬入や引き取りのトラックでヤードは混み合います。もちろん、周辺道路も混みあって大渋滞です。トラックの手配替えやスケジュール変更など、臨機応変な対応が求められます。

台風とはちょっと違いますが、輸出入先国の気候にも注意したいものです。例えば東南アジアや南アジアでは雨季があります。雨季シーズンには貨物の水濡れ対策が欠かせません。ビニールや防水素材を使用した梱包で貨物の水濡れを防ぎます。近年は日本でも集中豪雨のようにとんでもない雨量で貨物がダメージを受けることも考えられます。

台風シーズン以外の近距離海上輸送は比較的スケジュール通りです。しかし、ヨーロッパや米大陸など遠距離海上輸送は、入港スケジュールが1週間など大幅に遅れることもあります。

これは、天候による影響もありますが、本船に日本向け貨物だけを積んでいるわけではなく、いくつかの国に寄港して積み下ろしを行うため、寄港先で遅れが生じれば、積もり積もって大幅な遅れになるのです。

2017/09/22

日欧EPA大枠合意、今後のスケジュールは?

pic_tsuukan20170821

今年に入っての通商ニュースといえば、アメリカのTPP離脱と日欧EPA大枠合意ではないでしょうか。

バラバラになったものと、まとまったもの、両極端なニュースですが、保護か開放、どちらが自国の発展に優位になるのか、今後注目していきたいニュースだなぁと感じます。

アメリカの保護貿易とその他の国とは全然意味合いが違うのでしょうが。。。

ここ数年、世界ではEPA・FTA締結が盛んです。2000年代に入って急激に増え、世界には300近くのFTA・EPAが存在します。日本は発効済みEPAが15件あり、初めての多国間協定は日ASEAN包括的経済連携(AJSEP)です。

日欧EPAは2つ目の多国間協定となるわけですが、大枠合意を得て今後のスケジュールはどうなるのでしょうか?

*FTA:自由貿易協定 関税など貿易障壁を削減・撤廃することを目的とした協定
*EPA:経済連携協定 FTAにさらに知的財産や投資面でのルール整備など幅広い分野での経済連携を目的とした協定

多国間協定というのは、合意後それぞれの国で通告が行われれば効力が発生します。AJSEPの場合、協定大筋合意は2007年8月です。日本は2008年12月、ASEAN4か国と同時に発効、その後徐々にそれぞれの国で発効され、現在はインドネシアを除くすべての国で発効済みです。

日欧EPAはEUのユンケル欧州委員長が2019年の発効を目指すとしており、日本も足並みをそろえる予定です。ASEAN(10か国)に比べ加盟国数が圧倒的に多いEU(28か国)。発効は各国が自国の議会で承認を得なければなりませんから、すべての加盟国の承認を得るまでにはもう少し時間がかかるのではと予想されています。

とはいえ、長年協議してきた経緯を考えると、今更覆ったり、発効に数年かかることもないように思います。また、EUは韓国とEPA発効済みです。何となく韓国と日本、貿易の内容も似ているので、韓国OKで日本NGとはならないのではないでしょうか(素人的考えですが)。

無事に発効すれば、関税の撤廃や引下げが始まります。即時撤廃のものと、ある程度期間をかけて撤廃・引下げされるものとがあり、そのスケジュールは譲許表で確認できます。

毎年4月1日からその年の関税率が適用されるので、年度末の輸入申告は、4月1日をまたいだ方が関税率が低い可能性があります。また、農畜産物については関税割当やセーフガード措置の発動を確保しています。消費者が期待するチーズについては輸入量を「国産品の生産拡大と両立できる範囲」とあるので、価格低下に期待できるか疑問です。

*関税割当:一次関税(低税率)での一定枠を設け、輸入量が増えて枠を超えた分から二次関税(高税率)を適用すること
*セーフガード:緊急輸入制限のことで、輸入量が増え、「国内産業に甚大な被害があるとき」、国が関税率を引き上げることで輸入量を制限しようとするもの。

そして、EU向けでは工業製品の無税割合が約38%→約82%になります。自動車部品については貿易額ベースで約92%の即時撤廃で合意しています。これが韓国EUFTAを上回るため、韓国寄りの政党の反対を受けると言われています。

2017/08/21

通関士試験にも出る?申告官署の自由化

pic_tsuukan20170729

どこの税関官署に輸出入申告をするかは、貨物の蔵置場所により決まります。

輸出申告又は輸入申告は、原則としてその貨物を入れる保税地域等の所在地を所轄する税関長に対して行う、とされているからです。(関税法第67条の2)

しかし、この原則を維持しつつ、AEO事業者のうち、輸出入者及び通関業者等は、どの税関官署に対しても輸出入申告できるようになります。

この「申告官署の自由化」は2016年3月29日、「関税定率法等の一部を改正する法律」の成立により決定しており、2017年10月8日のNACCS更改に合わせて施行されます。

また、これに伴い、通関業法も改正され、営業区域制限がなくなります。

以下、官署自由化に関する関税法と通関業法の改正前と改正後の比較です。

<関税法>
改正前
・輸出申告の特例として、AEO事業者は貨物がおかれている場所の所在地を所轄する税関長に対して輸出申告をすることができる。
・輸入申告に関して特例なし

改正後
・輸出申告・輸入申告の特例として、AEO事業者はいずれかの税関長に対して輸出申告・輸入申告をすることができる。
・税関長は、上記の申告の貨物検査に係る権限を、貨物が置かれている場所の税関長に委任することができる。

*ここでいうAEO事業者とは、特定輸出者、特定委託輸出者、認定製造者の製造した貨物を輸出しようとする特定製造貨物輸出者、特例輸入者、特例委託輸入者のこと。
特定委託輸出者・特定委託輸入者とは認定通関業者に通関手続きを委託したもの。

外国貿易船に積んだまま申告することが必要とされる貨物については、引き続き、外国貿易船の係留場所を所轄する税関長に輸出・輸入申告することとなっています。

貨物検査の立ち合いは現地の通関業者や配送業者などに委託することができます。委託先や検査する税関とのやり取りについて、具体的な方法などは現在意見交換中だそうです。

また、自由化の対象外となる貨物が指定されています。
・MDA協定(日米相互防衛援助協定)該当貨物
・輸出貿易管理令に定める武器関連物資等

ワシントン条約該当貨物については指定官署に蔵置されている場合、いずれかの指定官署に輸出入申告できる、という少し条件付きの自由化です。

<通関業法>
改正前
・通関業を営むにはその業に従事しようとする地を管轄する税関長の許可。
・通関業者はその許可をした税関の管轄区域内においてのみ通関業を営むことができる。(営業区域の制限)

改正後
・通関業を営むには財務大臣の許可
・認定通関業者は営業所の新設を財務大臣に届け出る
・営業区域制限の廃止

営業区域制限の廃止により、貨物の蔵置場所に関わらず、全ての通関業者が貨物蔵置場所を所轄する税関に対し輸出入申告を行うことができます。さらにAEO事業者は申告先税関を選択することができます。

例えば、A通関業者は神戸で営業許可、B通関業者は大阪で営業許可、とします。現行では、輸入者は神戸に貨物が蔵置されていたらA通関業者に通関依頼、大阪に蔵置ならB通関業者に、と通関業者を変えています。しかし、法改正施行日以降は、神戸蔵置でも大阪蔵置でも、ABどちらの通関業者に依頼してもOKということになります。

2017/07/28

危険な外来生物の上陸を防ぐ水際対策とは?

pic_zeikan20170711

外国を行き来する海上コンテナや船舶には、様々な動植物が付着してしまいます。

今、陸揚げされた海上コンテナ内で火蟻(ヒアリ)が見つかるという問題が起こっています。

火蟻は猛毒性があり、「世界の侵略的外来種ワースト100」にも入っています。

このように危険な外来生物がコンテナや船舶にくっついて国内に持ち込まれるケースは少なくありません。

生態系や漁業などにも影響を与えるため、国際条約や法律による規制が進められています。

一つは「船舶バラスト水規制管理条約」です。バラスト水とは、船体を安定させるためにバラスト(船底に積む重し)として用いられる水のことで、貨物船が空荷で出港するとき、港の海水が積み込まれ、貨物を積載する港で船外に排出されます。積み込む港と排出する港が異なるため、海水に含まれる多種多様な水生生物が多国間で行き来してしまいます。水生生物は移動先で環境被害や健康被害、漁業へ影響を及ぼしています。

そこで、バラスト水とその沈殿物の管理のための国際条約を締結しよう、ということになりました。バラスト水管理のためのガイドラインが策定され、締約国は指定された港・ターミナル内に沈殿物の受け入れ施設を持つことや、船舶に対する定期検査、国際証書の発給などが義務付けられています。

有害動植物に寄生されている恐れがあるものに、木材こん包材があります。付着した動植物から輸入国に病害をもたらすことを予防するため、木材こん包材について植物検疫措置に関する国際基準「国際貿易における木材こん包材の規則」(ISPM No.15)に沿った消毒や表示等が輸出国に求められます。

対象のこん包材は、厚さ6ミリ以上の貨物の積載、梱包、下敷き、支持又は固定に使われるパレット、木箱、木枠などの非加工木材です。パーティクルボードやベニヤ、接着剤や熱処理などにより加工された木材は対象外です。燻蒸や消毒など適切な処理がされた木材こん包材には認定されたマークが付けられます。

もし、輸入地点で要求されたマークがなかったり、有害動植物の発見が処理が有効でなかったことによる場合、国家植物防疫機関がそれに応じた対策をとります。日本であれば植物防疫所となります。必要であれば、留め置き、不適合材の除去、処理、破壊、又は返送もあります。また、生きた有害動植物が発見された場合は、輸出国又はこん包材の製造国に通知されます。

火蟻の件でも見られたように、海上コンテナ内で危険生物が見つかることもあります。海上コンテナは通常、積み荷をデバン(荷下ろし)した後、きれいに洗浄しなければなりません。もし、内部に生物がいたり、その卵や死骸を見つけたりした場合は、外来生物法に基づき、環境省に連絡します。

ちなみに、外来生物法では、輸入品に付着・混入するなど非意図的であっても、特定外来生物の「輸入」と考えます。特定外来生物を許可なく輸入することはできませんので、その付着・混入が確認された場合は、環境省から消毒、廃棄が命令されます。

特定外来生物とは、外来生物のうち、特に生態系等への被害が認められるものとして外来生物法によって規定された生物です。

規制や対策はとられているものの、日本は多くの国・地域から多種多様なものを輸入しています。全ての輸入品や多国間を行き来するコンテナなどを検査するのは不可能です。また、アリやクモのような小さな生物の侵入を防ぐのは容易ではありません。結局、どれだけ関係者が気づけるか、気づいた時の素早い対応が重要ということでしょう。

船舶バラスト水規制管理条約
http://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/trt/page22_000988.html

植物防疫所 木材こん包材の輸出入
http://www.maff.go.jp/pps/j/konpozai/index.html

特定外来生物等一覧
https://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/list/

2017/07/11

金の密輸とならないために

pic_tsuukan20170623

金塊を密輸しようとした疑いで、愛知県の韓国籍の女性たちが逮捕される事件がありました。

この女性たちは主婦仲間で、別の人物が香港で買い付けた金塊を韓国で受取り、日本に密輸していたといいます。

また、唐津市では漁船で金塊200㎏を密輸しようとした男らが逮捕されました。

このように香港から韓国を経由し、複数の運び役を介した金塊密輸が増えています。

全国の税関が摘発した金塊密輸は平成25年度には全国で8件でした。しかし、26年度177件、27年度は294件と急増しています。増加した理由の一つに消費税率の引き上げが考えられます。

日本では消費税込み価格で金が売買されます。買う時も売るときも消費税込みの価格で取引されます。いっぽう、香港では金を購入しても消費税はかかりません。持ち出しにも税金はかかりません。主犯格は香港で買い付けた金塊を手に韓国経由便で日本に渡ります。韓国でトランジットするとき、集めておいた「運び役」に金塊を小分けにして渡します。

日本入国時に本来ならば支払うべき消費税を無申告で通過すれば、日本で売却するとき上乗せされる消費税8%分が儲かるという仕組みです。金の価格は近年上昇し続けており、2017年6月現在1㎏税込み490万円前後です。為替変動なども踏まえても、仕入価格より30万円以上高く売れることになります。

「うーん、オイシイ」とは思ってはいけません。これは関税法と消費税法違反であり、立派な犯罪です。5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科せられることがあります。未遂も同罪です。

では、「運び役」でなくとも、金を密輸してしまわないために、知っておくべきこととは?

金地金(純度90%以上)の持ち込みは、1㎏を超える場合、「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」を提出しなければなりません。じゃあ、1㎏超えなければ申告しなくていいのかというと、そうではありません。

金地金は現金やT/Cなど「支払い手段」と並列されていますが、モノであり、携帯品・別送品にあたります。携帯品・別送品の免税範囲は総額で20万円です。たとえ1㎏以内でも20万円を超える場合は課税されるので、別途「携帯品・別送品申告書」に記入します。金は関税無税ですが、消費税及び地方消費税を納付しなければなりません。

では、日本に出入りする際、税関に申告する必要がある「支払手段等」とは、
・現金(本邦通貨、外国通貨)
・小切手
・トラベラーズチェック、旅行小切手
・約束手形
・有価証券(株券、国債等)
これらの合計額が100万円を超える場合。

又は、金地金(純度90%以上)が1㎏を超える場合、です。出国時も入国時も必要です。申告=課税ではありません。

支払手段等の申告は、資金洗浄及びテロ資金供与対策の一環として、FATFの特別勧告にも盛り込まれています。日本以外の多くの国でも、出入国の際に申告が義務付けられています。

また、自国通貨の持ち出しについて厳しく制限している国もあります。申告せずに出入国しようとした場合、罰金や没収といったこともあります。多額の現金等を携帯する場合、渡航先国の大使館や総領事館に事前に確認することが必要です。

2017/06/23

中国爆買いが終えん、トレンドは越境ECへ?

pic_zeikan20170607_1

訪日中国人による「爆買い」が流行語にもなったのは2015年のこと。あれから2年、爆買い失速で日本のドラッグストアは店頭収益爆減・・・。

しかし、訪日中国人は帰国後、日本の商品をインターネットで買うリピーターになっていました。

個人消費者がインターネットを介して国境を超える買い物をすることを越境ECといいます。そして、日本の最大の越境EC相手国は中国なんです。

2016年、中国が日本から越境ECで購入した額は1兆366億円。これは30.3%増で、まだまだ伸びると予想されています。

中国の越境ECは配送方法によって、それぞれ徴収される税や手続きなどが違います。

一つは「直送」モデルです。
これは、EMSや国際宅配便を利用して消費者に日本から直送する方法です。個人の郵送品として扱われ、貨物の内容は自己申告に基づき簡易的に通関されます。「行郵税」が適用。税率は品目により3段階。免税措置もあります。

もう一つは「保税区」モデルです。これは、商品を船便などで中国国内の自由貿易特区の保税区にいったん納入します。注文が入れば管理業者が商品を保税区から消費者に配送。保税区から出るときに納税します。保税区に一括搬入することで運賃が節約でき、注文から配送までの時間が短縮できます。

保税区は越境EC輸入モデル都市及び総合試験区として、杭州、天津、上海、重慶、合肥、鄭州、広州、成都、大連、寧波、青島、深セン、蘇州、福州、平潭の15都市。

直送モデルも保税区モデルも一回の購入額2,000元まで、年間20,000元の上限あります。超える場合は一般貿易として扱われます。

中国では越境ECによる輸入を個人の物品ととらえ、「行郵税」を適用してきました。しかし、一般貿易との不公平感から、2016年4月に新制度が導入されました。

新制度では保税区の行郵税廃止、ポジティブリスト方式による輸入商品の限定、保税区入庫時の通関単の提出、初回輸入時の輸入許可証や登録手続きが必要になります。また、保税区は行郵税に代わり、関税・増値税・消費税が適用されます。関税は暫定0%、増値税・消費税は軽減税率で徴収されます。品目により税率が異なります。

ところが、公告から施行まで短期間だったこともあり、施行直後は大混乱。税関で貨物の半数以上が通関できないという事態が起こりました。

そこで、新制度の導入に1年間の猶予が与えられ、税率が先行して施行されることになりました。後に、さらに延長され、2018年1月1日より新制度で完全運用すると発表されています。

制度自体も発表当初は規制が厳しく、特に新商品の購入が実質難しい状況でしたが、申請手続が簡略化されるなど、たびたび変更が発表されています。

「上海・浦東新区における非特殊用途化粧品の記録管理の試験運用に関する公告」によれば、スキンケア、メイクアップ、など一般化粧品の初回輸入を「許可制」から「届け出制」へ変更し試験運用するとのこと。

現状では越境ECに対する政府態度は規制緩和傾向にありますが、まだまだ不安定なのも事実です。一般貿易で適用されている法規制や手続きにも素早く対応できるように、準備しておくのが賢明と思われます。

2017/06/07

追記
2017年9月20日、中国政府は新制度の運用開始時期をさらに1年延長、2018年末まで現行制度を維持することを発表しています。

2017/11/20

国際郵便or国際宅配便それとも・・?

pic_zeikan20170508

小口の貨物を海外に送る際には国際郵便や国際宅配便がよく利用されます。

この2つ、Door to Doorで海外に荷物を送れる、という点で同じですが、位置づけや仕組みがちょっと違います。

国際郵便は公的配送会社です。
・日本では日本郵便
・アメリカならUSPS(米国郵便公社)
・中国は中国郵政
万国郵便連合(UPU)という国際機関の取り決めのもとに運営されています。

UPUでは文化、社会、経済各分野の国際協力に寄与することを目的とし、どの国や地域からも固定料金に近い料金で郵便物を送れることなどが合意形成されています。

発送方法には届く速さ順に、
・EMS(国際スピード便)
・航空便
・SAL(エコノミー航空便)
・船便
の4種類があります。

一方、国際宅配便は民間配送会社です。
・DHL
・FedEx
・OCS
・ヤマト運輸
・佐川急便
などがあります。

国際郵便と国際宅配便の大きな違いは通関の仕組みです。

【国際郵便】
(価格が20万円以下貨物の場合)
・「税関告知書」又は「税関票符」に必要事項を記入して郵便物に添えて郵便局に貨物を引き渡す
・その後、貨物は税関外郵出張所に集められ、必要な検査を受けて外国に発送
・輸出の許可、承認が必要な品物については、荷物が止められ必要な手続きの連絡が来る

(20万円以上貨物の場合)
・税関への輸出申告が必要
・郵便局、通関業者に委託するか、自分で輸出申告しなければなりません
   
【国際宅配便】
・通関手続きを民間配送会社が代行
・書類以外の荷物にはインボイスが必要
・会社によって対応が違いますが、他法令の届け出や承認、許可を代行してくれることもあります
   
発送できない貨物が国際郵便、国際宅配便にはあります。大きな違いは信書で、国際郵便では基本的にEMSでしか信書は送れないことになっています。国際宅配便のDHLやFedExでは信書は送れます。

信書とは手紙やはがき、請求書類、許可書類、証明書類など「特定の受取人に対して、差出人の意思を表示したり、事実を通知する紙など」です。貨物に関係する送り状などを同梱する場合はこの限りではないようです。

火薬など危険物、動物、麻薬類、航空危険物などは国際郵便と国際宅配便ともに取り扱いできません。ただし、DHLでは一部の危険物を送ることができます。また、国や地域による規制や条約によっても送れないものがあります。

料金は国際郵便の方が安いです。国際宅配便には燃料割増料金も加算されます。安さだけでいえば国際郵便の勝利ですが、地域によっては到着予定日より大幅に遅れるといったこともあるようです。また、各社で貨物を送れる地域や重量制限が違います。

海外に荷物を送るときには、料金だけでなく、保険が付帯できるか、配送状況の追跡など、いろいろなサービスを比べて、配送会社を選びましょう。

国際郵便で送れないもの
http://www.post.japanpost.jp/int/use/restriction/index.html

DHLで取り扱いできない品目
http://www.dhl.co.jp/ja/country_profile/import_guidelines_express.html#containerpar_expandablelist

信書のガイドライン
http://www.soumu.go.jp/yusei/shinsho_guide.html

2017/05/08

原産地にEPA税率を適用するには

pic_tsuukan201704141

物流や貿易が盛んになり、一つの品物が出来上がるまでに様々な国が関与するようになりました。

複数の国の材料を使用し加工されて出来上がった物品の国籍(原産地)はどのように決まるのでしょうか?

日本の関税法には原産地を認定する基準が2つあります。

1.完全生産品
その名の通り、一つの国または地域で生産されたもの。一つの国または地域で採れた鉱物や動植物、水産物、これらを原材料として生産された物品です。

2.実質的な変更を加える加工又は製造したもの
関税定率法別表の「項」(HS番号の4桁)の変更を伴う加工または製造をした国が原産地と認定されます。ただし、輸送や保存のための乾燥・冷凍や包装容器に詰めること、部分品の組み立てなど、認められない加工もあります。その場合は前の状態まで行った国が原産地となります。

また、「税関長の指定する加工又は製造」として繊維製品など一部のもので、上記とは異なる加工・製造も認められています。

以上が基本的な原産地認定基準になります。

EPA(経済連携協定)税率を適用したい場合、原産地認定がより厳密に定められています。EPA締約国を原産地とするためには3つの条件を満たさなければならず、これらの条件を原産地規則と呼びます。

1. 原産地基準
・完全生産品
・実質的な変更を加える加工又は製造したもの
・関税分類変更、特定の加工工程、付加価値が特定の条件を満たしたもの
・関税分類変更にかかる特例規定の適用を受ける産品
・原産材料のみから生産された産品
原産地基準には「累積」や「僅少の非原産材料」といった補足的規定も多くあります。

2.原産地手続
EPA特定原産地証明書や通し船荷証券などの書類の提出

原産地基準を満たすかどうかを証明する方法は3種類あり、
・第三者証明制度:輸出国発給当局が特定原産地証明書を発給
・認定輸出者による自己証明制度:輸出国発給当局が認定した輸出者自身が原産地申告文を作成
・自己申告制度:貨物の輸入者、輸出者又は生産者自らが原産地申告書を作成
第三者証明制度はすべてのEPAで認められていますが、それ以外は各EPAで対応が異なります。

3. 運送基準
原則として直送していること

EPAは締約国ごとの交渉によるため、内容は各EPAで違います。同じ品目であってもEPA毎に異なる基準が存在します。また、関税分類が変更していても品目によって条件付きになり、原産国と認められない場合もあります。

EPA特恵税率を適用させるには各条件を詳しく調べて照らし合わせる必要があります。

下記サイトなどを参考にされると良いでしょう。

原産地規則ポータル
http://www.customs.go.jp/roo/

各協定の本文と品目別規則(経済産業省HPより)
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/process/e-step4.html

2017/04/14

お土産にもワシントン条約が!?

pic_zeikan201703271

ワシントン条約、聞いたことあるという方、多いのではないでしょうか?

ワシントン条約は貿易をする人だけでなく、外国旅行者にもかかわる条約です。知らなければ、せっかく買ってきたお土産も没収されてしまうこともあるので気を付けましょう。

ワシントン条約とは絶滅のおそれのある野生動植物が過度に国際取引されないよう種の保護を目的として生まれた条約です。

英語の条約名(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)の頭文字をとってCITES(サイテス)とも呼ばれます。

対象種は附属書に掲載されており、ⅠからⅢまで3つの区分があります。

以下、規制内容と対象種一例です。
【附属書Ⅰ】
・学術研究を目的とした取引可能
・輸出国・輸入国双方の許可書、契約書等が必要
・オランウータン、スローロリス、ゴリラ、ウミガメ、オニソテツ、木香etc.

【附属書Ⅱ】
・商業目的の取引可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要
・タカ、オウム、ライオン、ピラルク、ラン、サボテン、アロエetc.

【附属書Ⅲ】
・商業目的の取引可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書又は原産地証明書等が必要
・セイウチ(カナダ)、ワニガメ(米国)、アカギツネ(インド)etc.

ここでいう輸出許可書とは、税関の輸出許可書ではなく、ワシントン条約にかかる管理当局の発行するCITES輸出許可書のことです。

附属書は対象種が一般名では記載されていません。学名で書かれており、分かりづらいのが難点です。

ワシントン条約は野生の動植物の保護を目的としたものであり、飼育されたものや人工繁殖したものは規制の対象外になる場合があります。生きている動植物だけでなく、加工品も対象となります。

例えば、はく製や原皮、ハンドバックなど革製品・毛皮・アクセサリ・彫刻品・化粧品・食品・医薬品などです。原材料の一部であっても規制対象です。

近年増えているのが、海外のインターネットオークションやショッピングサイトで購入した商品に対する手続き不備です。海外の販売者に対し、条約の理解と対象貨物が含まれていないかどうか、規制対象貨物であればしっかり手続きをしてくれるかどうかの確認が必要です。

外国からの郵便物にワシントン条約に該当する貨物が含まれる可能性がある場合、税関から手続きを求める書類が届きます。必要書類を事前に揃えていれば、税関に書類を提出して貨物を受け取れます。揃えられなければ、貨物を返送して取引をキャンセル又は再度輸入する。もしくは郵便物を放棄しなければなりません。

また、旅行者のお土産品に関しては条件を満たせば日本への輸出入手続きが不要です。

参考サイト:
経済産業省HP 
附属書(動物界)
附属書(植物界)附属書(植物界)

税関に直接質問できる!事前教示制度とは

pic_zeikan20170310

煩雑な貿易実務の仕事。少しでもスムーズに進めたいと思うのは皆一緒ですね。

そこで今回は税関が無料で提供してくれているサービス「事前教示制度」をクローズアップしてみようと思います。

事前教示制度は、輸入しようとする貨物の
・関税率表上の品目分類や他法令などの取り扱い
・関税評価上の取り扱い
・原産地の取り扱い
・減免税の適用の可否
について、あらかじめ税関に照会を行い、その回答を受け取ることができる制度です。

原則として貨物の主要輸入予定地を管轄する税関に対して行います。それぞれ所定のフォームがあり、必要事項を記載し、参考となる資料なども必要です。

口頭やEメールで事前教示の照会を行うこともできますが、文書による事前教示のように尊重されないので注意が必要です。Eメールは事前教示のためのアドレスがあります。Eメールによる照会は一定の条件を満たすことで、「文書による照会に準じた取り扱い」に切り替えることができます。

一方で、正式に文書による事前教示を行わなかったことでトラブルになったケースもあります。

とある輸入者の話です。
その輸入者はこれまで依頼していた通関業者(A社)から別の通関業者(B社)に輸入通関をお願いすることにしました。輸入許可がおり、許可書を見ると、A社の時には無税で申告していたものをB社は有税で申告していました。輸入者は、同じ商品なのになぜ?ということになり、B社に問いただしました。

するとB社はA社のした過去の申告に関しては聞いていなかったこともあり、商品の仕様書などから判断して品目分類をしました。結果、有税の税番で申告した、ということでした。

B社の担当者は正しい税番決定をしたと思っていますし、輸入者は同じ商品なのに無税から有税にされたと両者納得できません。そこで、税関に事前教示で照会することにしました。その結果、やはりB社がいう税番が正しく、商品は有税でした。

ところが、輸入者は以前A社で通関する前に税関に書類を提出して税番を聞いている、といいだしました。そこでその当時の書類を見せてもらいました。

一応、材質や用途は記載されていたものの、事前教示として有効な書類ではありませんでした。効力のない書類を持ち出しても事前教示とは言えません。それでもまだ納得できない輸入者は、事前教示の結果に対する異議申し立てを行いました。しかしやはり、結果は変わらず、あとは裁判で争うしかない、というところでやっと引き下がりました。

このように、事前に問い合わせしていても文書による照会を行っていなければ尊重されません。また、実際に輸入された貨物の事実関係が事前教示の内容と異なれば、効力はありません。法令の改正や有効期限(最長3年間)切れにより照会内容とは違う取り扱いになることもあります。

とはいえ、輸入する商品が確定していない計画段階では文書による照会は難しいでしょう。そういった場合は税関相談官制度というものもあり、輸入計画の一助となります。

参考サイト:関税、輸出入通関手続きの便利な制度
http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/

2017/03/11

知っておきたい特恵関税制度と特恵卒業

pic_zeikan20170222

特恵関税とは、開発途上国、または地域を原産地とする特定の輸入品に対し、一般の関税率よりも低い税率を適用して途上国の経済支援をするために設けられています。

「特定の輸入品」とあるように、対象品目と税率が法令により定められています。これを定めた法令が関税暫定措置法及び関税暫定措置法施行令です。

農産品の一部と鉱工業品のほぼすべての品目に対して、特恵税率が適用されます。

さらに、後発開発途上国からの輸入に関しては、ほぼすべての品目が無税で、これを特別特恵(LDC)関税といいます。

特恵国及び特別特恵国一覧は以下の通りです。
http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1504_jr.htm

ただし、特恵関税又は特別特恵関税を適用した輸入の増加が原因で国内産業が損害を被る場合は、政令によりその品目の特恵及び特別特恵関税の適用が停止されます。特恵停止品目は税関HPに公表されます。

年度途中で適用停止になることもあり、現場の通関士も常にチェックしています。現在特恵適用で輸入されている場合は随時確認しておきましょう。

開発途上国の経済支援のための制度であるため、経済発展を遂げた国については適用対象外となります。これを特恵卒業といいますが、特恵卒業には3段階あります。

1.高所得国にかかる特恵適用除外措置(部分卒業)
2.高所得国にかかる特恵適用除外措置(全面卒業)
3.国別・品目別特恵適用除外措置

平成29年度の部分卒業は中国が原産国の特恵適用品目に多く該当します。
中国はGDPが公表で世界2位の国です。
急成長を遂げ、とっくに高所得国に分類されておかしくない国と思うのですが、まだ特恵が適用される国、つまり開発途上国と認められていました。

しかし、平成31年に全面卒業予定です。
また、中国以外にも、ブラジル、メキシコ、マレーシア、タイが特恵全面卒業予定となっています。

メキシコ、マレーシア、タイはすでに日本と2国間協定国であり、特恵卒業となっても経済連携協定(EPA)税率が適用されるため、それほど影響はないでしょう。

例えば、プラスチック製の食卓用品、台所用品(HSコード3024.10-000)は特恵税率無税ですが、EPA税率も無税です。

ここで、関税率の種類と優先順位についてお話ししますと、関税率は品目によっても定められていますが、原産国によっても異なります。大きく分けて、国の法律に基づいて定められた国定税率と国際条約に基づいて定められた協定税率があります。

●国定税率
  基本税率
  暫定税率
  特恵税率(EPA税率と区別するため一般特恵税率とも言います。)
  入国者の輸入貨物に対する簡易税率
  合計20万円以下の少額貨物に対する簡易税率
●協定税率
  WTO協定税率
  経済連携協定(EPA)税率

これらの税率は原則として、EPA税率、一般特恵税率、WTO協定税率、暫定税率、基本税率の順に優先して適用されます。
ただし、
・一般特恵税率とEPA税率の適用には原産地規則を満たした上で原産地証明書が必要であること
・EPA税率と一般特恵税率が設定されている場合は一般特恵税率が超えない限りEPA税率が優先
・協定税率の適用は暫定税率又は基本税率より低い場合に限る(協定税率、暫定税率、基本税率のうち低い税率が優先される)

ざっくり言うと、同じ条件下では一番低い税率が適用される、ということです。

例えばカンボジアはアセアン協定締結国ですが、現在は特別特恵国(LDC)です。カンボジア産の革製スリッパ(HSコード6403.59-011)の場合、アセアンEPA税率が30%、LDC特恵税率が無税ですので、LDC特恵税率が優先適用されます。

2017-02-22

通関士の一日は盛りだくさん

pic_tsuukan20170213

通関士の一日の始まりは扱う貨物が航空貨物か海上貨物かによって違います。航空の場合、夜勤もあり、完全シフト制のようです。海上は日中の業務が中心となります。私の場合、海上貨物を取り扱う部署での経験があります。

まず、出社時間は当日朝の申告件数によって前後します。海上の場合、税関の開庁時間は一般に8時30分です。朝一から申告をするために8時半までに出社、8時半までに時間外申告の予定や、その日の業務量に応じてさらに早い時間に出社することもあります。

申告で審査区分1は許可、区分2は税関審査、区分3は税関検査です。審査と検査になったものは税関に書類を持ち込む必要があります。一般的に、事務所から税関に書類を持ち込む担当の人がいるので、その人に書類を揃えて渡します。

その後、午前中は審査又は検査貨物の税関対応や急ぎの書類に取りかかります。書類作成の優先順位は、輸入は貨物の配送予定日、輸出は船積み予定日によって決まります。

通関依頼があると、インボイス、パッキングリスト、B/Lなどの書類が営業部門から通関部門に回ってきます。アライバルノーティスなどは後から発行されるため、多くの場合は後から渡されます。全ての書類がそろい次第すぐに申告するために、随時書類をチェックします。優先順位の高いもの、つまり配送予定日または船積み予定日の迫っているものを優先的に、書類を揃え税番決定や計算をします。

書類だけでは統計品目や税番が決定できない場合や、書類に不備があれば、輸出者や輸入者に確認します。営業担当者が中継ぎをしている場合は社内の営業担当者に確認してもらいます。

税関の開庁時間に昼休みという設定はないのですが、12時から13時まではやはり税関も昼休み時間をとるので、基本的には12時から13時に税関対応をすることもなく、現場でも昼休みをとります。ただ、午後の申告予定など、区切りがつくまでは休憩を取らない人もいるので、ランチタイム・休憩時間はバラバラです。

午後も引き続き、書類作成の業務と申告が中心となります。朝と同じように、午前に審査又は検査扱いになった書類を税関持ち込みの人に渡します。また、当日午前中申告分の貨物検査が午後から行われることが多いので、必要に応じて検査の立ち合いに行きます。

多くの通関業者が18時退社となっています。翌日以降の業務に支障がなければ退社できます。しかし、私の経験上、定時退社できる日の方が少なかった気がします。残業が常態となっており、時期によっては22時23時、最終電車ぎりぎりで帰ることもありました。

男女で仕事の差はありません。その点はとてもフェアーな職業です。しかし、仕事量を自分たちで調節することが難しく、帰宅時間がバラバラになってしまい、子育てや家事の負担を多く担う人には大変な職業です。既婚の女性でも小さな子供がいる、という人はあまりいませんでした。逆に、子供に手がかからなくなった世代の女性が多く活躍されていました。

どの職業にも言えることですが、やはり思い切り働くには家族や会社の協力が不可欠です。ただし、経験が重視されるので、いったん子育てなどで離職しても社会復帰しやすい仕事であると言えるでしょう。

2017/02/13

税制改定に伴い加算税が変わる

pic_zeikan20170121

平成29年1月1日以降に法廷納期限を迎える関税及び内国消費税等に課される加算税が変わります。

現行では税関の事後調査の通知があった後でも、更正予知前に修正申告がされた場合、過少申告加算税は課されませんでした。

しかし、平成29年1月1日以降に法廷納期限(輸入許可日)を迎えるものについては、調査通知があった日から更正予知前の自主的な修正申告に対しても、過少申告加算税5%が課されます。

更正予知後は過少申告加算税10%で変わりません。
*納付すべき関税等の額が、当初申告税額と50万円のいずれか多い金額を超えるときは、その超過額に5%の加算が発生します。

これは、事後調査の連絡があってから慌てて修正申告をして加算税を免れるというケースが多かったためと考えられます。また、事業者のコンプライアンス意識をさらに高め自主的な修正申告を促すことを目的としています。

申告すべき貨物に対し申告していなかった場合は無申告加算税が課されます。申告すべき日から無申告加算税5%が発生し、事後調査通知後に10%、更正予知後で15%と加算税率が上がっていきます。
*こちらも納付すべき税額が50万円を超える場合は、その超過額に5%加算します。

さらに同一の税目について過去5年以内に無申告加算税又は重加算税を課されたことがある輸入者については、現行よりさらに10%の加算税が課されます。無申告に対する重加算税がもともとの40%からさらに10%加算され、50%になります。

悪質な行為を防止するためで、意図的にアンダーバリューインボイスで通関を繰り返している、原産地証明書を偽造して特恵を利用するなど、悪質な関税脱税に対してより重いペナルティーが課されるのです。

過少申告や無申告に対して、加算税だけでなく、延滞税も生じます。延滞税は法廷納期限日(輸入許可日)の翌日から起算されますので、修正申告が遅れれば遅れるほど膨らみます。

さて、税関の事後調査に関してですが、事後調査は輸出入を行っていれば事業者の規模に関係なくやってきます。個人で輸入ビジネスをしている主婦のもとにも税関から連絡がきてとても焦った、という話も聞きます。個人輸入を行っている方に対しては連絡が入ったからといって、必ずしも調査官が来るわけではないようですが、準備はしておかなければなりません。

通常2,3年に一度ですが、結果が悪ければ要指導事業者ということで、毎年事後調査が入る、ということもあるようです。調査員にもノルマがあるとかないとか。取りやすいところから取ろうという思惑もあるのかもしれません。

必要なものは契約書、仕入書、会計帳簿書類等です。税関はNACCSというシステムで輸出入取引の有無を握っていますので、金型を送っているのに、その後の輸入に評価加算された形跡がない、といったこともわかります。契約書や帳簿上はロイヤリティを支払っているのに対象の貨物に加算されていない、などといったことを調べます。
輸出の場合は適正な輸出が行われているかを指導します。

また、輸出者または輸入者は輸出入した貨物の帳簿書類の一定期間の保存が義務付けられています。帳簿書類がしっかり保管されているかも調査の対象となります。大きな貨物に関してはそれなりに管理されていても、国際郵便や突発的な小口の貨物に関して整理されていない場合は、対策が必要です。

2017/01/21

AEO事業者の認定を受けるには?

pic_zeikan20170109

認定事業者とは、前回コラムに書きました通り、貨物のセキュリティ管理と法制遵守(コンプライアンス)体制の整った事業者が、税関の承認・認定を受ける制度です。

では、認定事業者になるにはどのような要件を満たさなければならないのでしょうか?

具体的には
・コンプライアンス体制を整えるための
 -統括部門が設けられている
 -責任者や知識・経験のある人員が十分に配置されている
 -コンプライアンス規則がある
・貨物や書類の管理がしっかりなされており、そのための措置を設けている
・税関との連絡体制、社内での連絡体制が整っている
・業務委託先がある場合、指導が行き届いている
・監査体制を整えている、他法令遵守規則がある
・物理的・人的・情報セキュリティが整っている
等です。

加えて、税関とオンラインでつながるNACCSシステムを導入していることや過去の一定期間において法令違反をしていないこと、また違反があった場合は一定の期間を経過していることなども満たしていなければなりません。

詳しくは関税のホームページでもチェックリストが掲載されているので参照することができます。

関税のホームページはこちらから。

チェックリストを確認したうえ、AEO取得希望事業者は税関のAEO担当部門に連絡します。

認定事業者になると物流のリードタイム短縮など、メリットがあることは前回コラムにも書いた通りですが、さらに重要なのが貨物のセキュリティ管理と法制遵守を取引先にアピールできることではないでしょうか。

AEO導入の大きなきっかけとなったのがアメリカでの9・11テロにあります。
欧米ではテロをきっかけに、セキュリティに対する関心が高まり、多くの事業者がビジネス戦略としてAEOを取得しています。また、世界各国においてAEO制度もしくはそれと同等の制度が導入されており、世界では40組以上の相互承認が成立しています。

日本は現在、ニュージーランド、米国、カナダ、EU、韓国、シンガポール、マレーシア、香港が相互承認を実施しています。相互承認国に輸出した場合、相手国での通関の際も審査・検査が軽減されるなどの効果により、リードタイムが確保されます。

しかし、上述した通り、AEO取得の壁は小さくありません。
監査体制も整えてなければならず、当初より変更があった場合は届ける必要があります。NACCS導入も小さな事業者には大きな負担となるでしょう。

結局、AEOを取得した通関業者や倉庫業者を利用するのがリードタイム確保の近道でしょう。AEO通関業者に特例委託輸入申告または特定委託輸出申告を依頼して行います。

また、輸入の場合、申告価格が20万円以下の少額貨物以外の申告には保全担保が必要となります。保全担保を税関に提供しなければ特例委託輸入申告は利用できません。さらに、過去の一定期間に関税関係法令に違反がないことも要件です。

特定委託輸出申告については認定通関業者が特定保税運送者と連携する必要がありますが、特定保税運送者は現在7者のみで、連携しようにも難しい、というのが現状です。

AEO制度が導入されて8年、まだまだ全面的にスムーズに運用されるには至っていないようです。

2017/01/09

AEO事業者の制度って何でしょう?

pic_zeikan20161224

AEO(Authorized Economic Operator)事業者とは、2008年より導入された制度です。
貨物のセキュリティ管理と法制遵守(コンプライアンス)体制の整った事業者を、税関長がAEO事業者として承認・認定します。

AEO事業者は税関手続きの緩和・簡素化が提供されます。

例えば輸入申告時の審査・検査が基本的に省略され、貨物の引き取り後に納税申告を行うこと等ができます。

従来AEO制度導入時の対象は輸出者だけでしたが、現在は輸出者、輸入者、倉庫業者、通関業者・運送者、製造者が認定を受けることができます。

AEO事業者に認定されることで受けられるメリットは以下の通りです。
1.特例輸入申告制度(特例輸入者)
輸入申告時の審査・検査が基本的に省略。貨物の引き取り後に納税申告を行える等。

2.特定輸出申告制度(特定輸出者)
貨物を保税地域に搬入することなく、自社の倉庫などで輸出申告から許可まで行える。

3.特定保税承認制度(特定保税承認者)
税関長への届出で保税蔵置場を設置すること等が可能。当該届出蔵置場にかかる許可手数料の免除。

4.認定通関業者制度(認定通関業者)
輸入者の委託を受けた輸入貨物について貨物引き取り後の納税申告(特例委託輸入申告)が可能。輸出者の委託を受けて保税地域以外にある貨物について、特定保税運送者による運送を前提に輸出許可を受けること(特定委託輸出申告)が可能。

5.特定保税運送制度(認定通関業者、特定保税運送者、その他国際運送貨物取扱業者)
個々の保税運送の承認が不要。特定委託輸出申告にかかる貨物について、輸出者の委託を受けて保税地域以外から直接積込み港への運送が可能。

6.認定製造者制度(認定製造者)
製造者以外の輸出者が行う輸出通関で、保税地域に貨物を搬入せずに輸出の許可を受けることが可能。

輸出に関わる企業にとっては、保税地域に搬入することなく輸出許可を受けることができ、積込み港の保税地域で輸出許可を待つ必要がなくなります。これにより、輸送時間と保税のためのコストが削減されることになります。

輸入に関わる企業にとっては、納税が猶予されるため、資金繰りに余裕ができます。
しかしながら、この点については通関業者の立替払いを利用するなど、納期限延長制度もあることから、輸入者がメリットとして感じにくい点ではあるようです。

2016年10月現在の認定事業者数は
特例輸入者92者
特定輸出者240者
特定保税承認者126者
認定通関業者132者
特定保税運送者7者
となっています。
認定製造者はまだありません。

これは輸出入に関わる企業数全体からすれば決して多い数ではありません。その理由はやはり、認定基準を満たすのが難しいことがあげられます。

また、輸入者や輸出者にとっては、認定通関業者に通関手続きを委託することで、特例輸入者や特定輸出者にならなくてもそのメリットを受けることができることが理由として考えられます。

では、具体的に認定基準とはどういったものであるか、それについてはまた次回、お話ししたいと思います。

2016/12/24

輸入申告はインボイス価格ではなく評価申告で

pic_zeikan20161205

輸入申告において課税価格を計算する際、インボイスに輸入申告に必要な金額すべてが記載されているとは限りません。

むしろ、インボイス価格がそのまま課税価格になることの方が少ないくらいです。商品が輸入港につくまでにかかった費用すべてを加算しなければならないからです。

FOB建ての場合、輸入港までの運賃(Freight)と保険(Insurance)が加算の基本となります。

それ以外にも買い手により負担される貨物の容器代や包装費用、仲介料等手数料、ロイヤリティーやライセンス料、そして買い手により無償又は値引きをして提供された部品や金型代などを課税価格に加算しなければなりません。

これらの加算要素を評価申告と呼びます。
評価申告は、申告の都度加算要素を計算して行う個別評価と、まとめて行う包括評価とがあります。

個別評価は輸入申告の都度、無償提供された材料費などを計算して加算します。同一契約の商品が数回に分けて輸入される場合は按分します。生産ロスを含んでいるときはロス分も含めて按分します。また、基本的に製品No.ごとに算出しなければなりません。

包括評価は継続的に同一商品を同条件で輸入する場合に最長2年で適用されます。鋳型や工具、同一部品、設備や機械、またライセンス料などを包括評価にすることが多いでしょう。本契約の輸入が始まる前に税関へ計算方法を記載した包括申告書を提出します。原則は按分により輸入の度に加算しますが、要件を満たせば一回目の輸入の際に一括加算することもできます。

評価は基本的な考え方として、インボイス価格に含まれていないもので、買い手により負担される価格です。しかし、評価するかしないか判断の難しいものもあります。例えば、輸入取引業務で生じる仲介料や手数料のうち、買付手数料は評価しません。

輸入貨物に取りつけられるラベル費用のうち、食品衛生法や家庭用品品質表示法など日本の法律で表示義務のある事項のみ記載されたラベルについては評価に含みません。

意匠なども日本以外で開発され買い手により負担されるものについては評価しなければなりませんが、日本国内で開発されたものは評価しません。

もし、評価申告の判断が難しい場合は税関の事前教示制度を利用しましょう。

財務省の発表によると、税関により平成26年度の事後調査を受けた3,545者の輸入者うち、申告漏れ等のあった輸入者は2,363者で、主な理由は

1. インボイスに記載された決済金額以外の貨物代金の申告漏れ
2. 豚肉に係る高価申告
3. 海外生産のために輸入者が輸出者に無償提供した材料費用などの申告漏れ

だそうです。

評価申告は輸入者自身で通関業者に資料を渡さなければ知りうることができません。
ぜひ、知識をもって正しい申告を行いましょう。

2016/12/06

日本の税関の歴史を振り返る

pic_yokohama_zeikan

先日、いつものように大阪税関のHPをチェックしたところ、「大阪税関150周年のロゴマークが決定!」とありました。

そこで今日は税関の歴史について、少し触れたいと思います。

日本の税関の歴史は幕末にはじまります。

いわゆる「黒船来航」(1853年)からです。江戸時代の日本は鎖国政策をとっていため、長崎の出島が日本と外国を結ぶ唯一の港でした。それが、ペリーの黒船来航により開港への道を一気に進みます。

当時の日本の造船技術の25倍もの大きさの船、しかも黒塗りの軍艦が浦賀に4隻も迫って来たのですから、力に屈するよりほかありません。翌年1854年に日米和親条約が結ばれ、下田は即時、箱舘(函館)が一年後に開港しました。

そして、1859年(安政6年)に長崎、神奈川、函館の3港に各「運上所」が設けられます。運上所では現在の税関業務と同じように輸出入貨物の監督や税金の徴収といった運上業務や、外交事務を取り扱っていました。

次いで1868年大阪運上所、兵庫運上所が誕生します。「運上所」は1872年11月28日に「税関」と呼称変更されます。
そのため、毎年11月28日が「税関記念日」とし、各税関では毎年広報イベントなどを開催しています。

現在、日本のすべての都道府県は函館、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司、沖縄の9税関の管轄区域下におかれています。

各税関の本庁を「本関」と呼び、他に出張所、支署、監視署がおかれます。実際の取扱件数は本関よりも出張所や支署の方が多いようです。物量が増えると、港や空港が新たに整備され、出張所や支署がおかれるためです。本関はどちらかというと広報活動や相談に行くところ、というのが実感です。

東京税関は現在輸出入総額国内第一位の成田国際空港を抱える税関ですが、もともとは横浜税関の管轄区域の一部でした。東京、埼玉、群馬、山梨、新潟、山形、千葉県のうち市川市の一部、成田市、香取郡多古町及び山武郡芝山町が1953年に東京税関として新設されました。成田支署は、千葉県にあるけど「東京」ディズニーランド、という感じでしょうか。成田市もやはり千葉県ですが、東京税関の管轄です。

名古屋税関は大阪税関の名古屋税関支署であったのが、1937年に名古屋税関として独立しています。現在の名古屋港は金額ベースでの輸出総額及び総貨物取扱量が国内第一位です。サイズもビッグ、金額もビッグな自動車産業が盛んなためだと思われます。

各税関の本関は広報展示室を持ち、平日に見学することができます。

ゆるキャラブームよりずっと以前から存在する、まんまちゃんによく似たカスタム君が出迎えてくれます。展示物にも特徴がありますので、訪れてみてはいかがでしょう。

2016/11/14

輸入許可前の廃棄について

pic_20161024_3

前回のコラムにも触れましたが、税関検査では思いもよらぬ貨物が混入していることがあります。

麻薬や武器など輸入禁制品はもっての他、これは追加で申告しようにもちょっと時間がかかりそう・・・と現場の通関業者を悩ますものもあります。

インドネシアから家具を輸入しようと輸入申告を行った際の話です。

税関検査の結果、現地での加工に使用したと思われるラッカースプレーや塗料など、インボイスに記載されていない貨物が、カートンに混入していました。

塗料は化学物質ですので、成分が麻薬向精神薬原料に抵触しないかなど、各種法律の輸入禁止物質が含まれていないことの確認が必要です。ラッカースプレーは高圧ガス保安法の適用除外であることの試験成績書が必要です。

明らかに販売に供しないものであるので、試験成績書まで必要ありませんでしたが、すぐには成分などわかりません。シップバックの方法もありますが、どちらにしても要らないものですし、許可前に処分、廃棄しようということになりました。

しかし、これは輸入許可前貨物、つまり外国貨物です。

外国貨物は税関の管理下にあり、輸入者自身が自身のゴミとして簡単に捨てることができません。税関の承認なく廃棄した場合、保税地域が処分の対象となります。

まず、税関に対して廃棄したい旨を理由とともに文書で提示しなくてはなりません。そして、「滅却(廃棄)承認申請書」に必要事項を記載・提出して滅却の承認を受けます。

ここでいう「滅却」とは「焼却等により貨物の形態をとどめなくすること」であり、屑などリサイクルできる状態であってはなりません。リサイクルできる処理は、経済的価値を残すので、滅却とは認められません。

廃棄後の現況により輸入通関手続きが必要となります。屑でも商品として販売するなら通常の通関手続きをして納税しなければならないのです。

承認を受けると税関長に認められた場所で、税関職員立会いのもとに滅却されます。立会いは省略されることもあります。
焼却できるごみであれば地方公共団体のゴミ処理施設、産業廃棄物であれば地方公共団体の許可を得た産廃業者と委託契約を結び適切な処分をしてもらいます。

そして、滅却の確認ができる書類や証拠の写真を税関に提出し、滅却に伴う一連の手続きが完了します。

滅却の承認を受けたものに関しては課税対象とはなりません。しかし、焼却費用や蔵置費用などもろもろの費用が発生します。上記の申告外貨物の場合は保税蔵置場に搬入、滅却予定のラッカー等と本来申告していた貨物とを仕分けし、手続きを進めました。

必要ないからと言って簡単には捨てられないことがお分かりいただけましたか?

安易に「そっちで処分して」とは言わせないように、輸入者輸出者ともに理解しておくことが必要と思います。

2016/10/24

無償貨物でも金額表記が必要

pic_20161001_2

輸入であっても、輸出であっても、全ての貨物はパッキングリストとインボイスに記載されなければなりません。例えばカタログやサンプル、加工貿易での原材料など、無償で貨物が行き来することも少なくないでしょう。

この場合、インボイスには無償(No Commercial Value)と記載します。

そして、無償品でも必ず金額表記をしなければなりません。
輸入であれば、無償品で輸出者と輸入者間に価格の決定(取引価格)がない場合は、
関税定率法に、
・「同種又は類似の貨物にかかる取引価格による方法}
・「国内販売価格に基づく方法」
・「製造原価に基づく方法」
・「その他の方法」
とあり、これらの方法により課税価格を計算します。

無償であっても、外国貨物の輸入には原則として関税がかかるからです。

しかし、特定の条件を満たす無償品には関税を課しません。例えば、展示会で一時的に用いる場合や個人の贈与品で一万円以下の場合などですが、いずれも正しい金額(本来の売値)を表示しなければなりません。

これは実際によくある話なのですが、(あってはならないことですが・・・)税関検査で貨物をコンテナごとX線にかけた時のことです。パッキングリストとインボイスに記載のない箱がいくつか見つかり、輸入者に確認したところ、輸出者よりサンプル品として無償で提供されたものであるとの回答がありました。

サンプル品で無償だから申告しなくてもいいと思ったそうですが、全ての外国貨物を輸入申告しなければなりません。この場合は、箱の中身をすべて調べて数量と価格を決定し、修正申告します。税関には経緯報告という名の反省文を提出し、ペナルティーとしてその後の許可が下りにくくなるとかならないとか。

スムーズに通関できなくなる上に、検品して輸入許可が下りるまでの間の倉庫代やトラックのキャンセル料など、ほかにも料金が発生する可能性もあります。何気ない行為があとあとのトラブルを生みます。余計なもの(!)を勝手に混入しないよう、輸出者にも周知しておきたい事項です。入れる場合は必ずインボイスに記載してもらいましょう。

関税とは関係ありませんが、輸出貨物であっても、やはり同じように正しい金額表記が必要です。仕向地での通関も上記と同じ原理だからです。

また、加工又は組み立てのため輸出された貨物を原材料とした製品、いわゆる加工委託契約については減税措置が講じられています。輸出時のインボイスが減税計算の根拠となります。

ただし、「加工又は組立のため輸出された貨物を原材料とした製品の減税」(暫定8条)には、輸出時にその旨を税関に確認しなければならないこと、対象となる再輸入貨物が決まっていること、輸入時にも各種書類が必要となるなど、条件が限られます。減税を受けない場合は、製品輸入時に無償提供した原材料の輸出インボイスを提出します。

そのほか、再輸入減税や加工又は修繕のため輸出された貨物の輸入(原則1年以内)についても減税が認められています。輸出インボイスが必要となりますので、必ず保管しておきましょう。

2016/10/1

税番決定に必要なこと

輸入通関のために通関業者に提出する書類は

1.仕入書(Commercial Invoice)
2.包装明細書(Packing List)
3.船荷証券(B/L)、航空貨物の場合は航空貨物運送上(AWB)
4.保険料明細書(CIF契約など保険を含む場合は必要なし)
5.運賃明細書、海上貨物の場合はArrival Notice(書類到着通知書)

以上が基本となります。

そのほか、貨物の種類によっては
 ・他法令の許可・承認証(例えば植物検疫法や食品衛生法などの法令の許可・承認が必要な貨物)
 ・特恵原産地証明書(特恵関税の適用を受けようとする場合)
 ・減免税明細書(加工再輸入減税制度や再輸入減税を受けようとする場合)

などが必要となります。

さて、書類が手元に届いたら現場の通関士が何をするかというと、輸入される品物を実行関税率表(タリフ)に基づいた税番(HSコード)に当てはめていきます。

輸入品の関税率は税番に対応しており、税番が違えば関税率も違ってきます。
例えば、同じ綿100%のT-シャツでも単色のものとプリントのものとでは税番が違います。この場合、WTO協定税率なら単色Tシャツが7.4%、プリントTシャツが10.9%です。プリントTシャツはさらに、「刺繍したものレースを使用したもの及び模様編みのも組織を有するもの」とそうでないもので分かれます。

間違った申告が、後日税関の事後調査により発覚し、修正申告となった場合、新たに収める税金のほか、過少申告加算税がかかります。ただし、調査前に自分から修正申告した場合は過少申告加算税はかかりません。

このように、税番決定はとてもデリケートなことです。そして、税番決定のためには輸入品の細かな情報が必要となります。

多くの場合、仕入書だけでは貨物の詳しい情報が不足しています。仕入書に貨物の品名や品番が書かれてあっても、それがどのような形状、材質等かわからなければ、税番を決めることができず、書類がそろっていても輸入申告を進めることができないのです。

そのため、通関業者には上記の必要書類のほか、輸入品の仕様書やカタログなどを渡すといいでしょう。ない場合は、口頭でもいいのですが、申告後、税関審査になった場合に、これらを求められることもあります。特にその品物の第一回目の輸入の際は、製品情報が必要とされます。

あまりに細かい問い合わせにうんざりさせられることもあるかと思いますが、ご理解ください、としか言いようがありません。ただし、一度輸入実績ができれば、あとは通関業者のほうで管理をしてくれるでしょう。

貨物の輸入前に税関や通関業者に相談するのもいいでしょう。税関相談官制度というものがあり、直接か通関業者を通して相談できます。事前に相談して税番を決定し、提出書類の端に○○税関◆◆相談官に相談済み、と書けば、書類審査になっても、輸入許可まで時間を短縮できます。

お知らせ

貿易・海外展開を学ぼう

国際物流ナビ

効率的な物流を行うには?

銀行と上手くつき合う

キャリア35年の元銀行マンが本音で語る

ノンジャンルコラム

日本と世界の今を感じるハッピー通信

広告掲載はこちら