物流業界にもブロックチェーン技術を活用したシステム化がはじまりました。海運会社最大手のMaersk(マークス)とIBMは合弁会社「TradeLens」(トレードレンズ)を設立し、参加するすべての企業や公的機関が、海上コンテナ輸送で発生するすべての物流と関係書類をリアルタイムに共有していこうとしています。|

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物流xブロックチェーン技術は相性抜群!?

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仮想通貨ビットコインが世間を賑わせた頃、「ブロックチェーン」という言葉を初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか?

物流業界にもブロックチェーン技術を活用すると様々なメリットがあり、実用化が期待されています。

海運会社最大手のMaersk(マースク)とIBMは合弁会社「TradeLens」(トレードレンズ)を設立しました。

トレードレンズが提供するのは、参加するすべての企業や公的機関が、海上コンテナ輸送で発生するすべての荷動きと関係書類をリアルタイムに共有できるシステムです。

欧米を中心に世界に広いネットワークを持つMaerskはアメリカ、EU圏だけでなく、シンガポール、ペルー、オーストラリア、サウジアラビアなどの国や地域と連携しています。

2019年に入ってからは、サウジアラビア政府の協力を得て実証実験を行っています。サウジ政府と民間を結ぶ貿易シプラットフォーム「FASAH」にトレードレンズがインテグレーション(統合)し試験運用されています。

また、韓国のSamsung SDSは韓国税関サービス(KCS)及び48社の海運会社や保険会社、政府機関が参加するコンソーシアムと連携してブロックチェーンを利用した自動輸出通関システムの開発を進めています。

日本では、NTTデータが中心となり船会社、銀行、保険、物流、輸出入者など貿易業界に関係する代表13社でコンソーシアムを発足。貿易情報連携基盤の実用化に向け、各セクションで実証実験を行っています。

では、ブロックチェーン技術の活用は物流分野にどのようなメリットがあるのでしょう?

■複雑で非効率的な貿易のプロセスを自動化することでスピードアップ。
契約書やインボイスなど大量の紙に依存するやり取りを即座に共有できるようになり、事務作業は大幅に効率化します。
情報改ざんリスクも低いことから、正確にデータ管理できます。

■参加者全員が安全に情報の共有・監視ができる。

■商品の現在地情報を記録することで、過去も含めどこにあるかが追跡できる。
在庫管理も容易になります。サプライチェーンに乗せれば余剰在庫削減につながります。商品紛失のリスクも減ります。万が一商品が紛失した際にはどこでなくなったかが分かるため、誰の責任かはっきりします。

また、従来の中央集権型のシステムでは一つの企業のサーバーに管理されるため、規模が大きくなればなるほど大きなサーバーが必要になり、費用も膨大になります。そして管理を一企業に頼れば、貴重なデータがブラックボックス化するリスクが指摘されていました。

ブロックチェーンの特徴は一つのサーバーで管理しなくていいことです。取引履歴等の情報を「ブロック」にまとめて、鎖のように繋げ、データを分散管理するのがブロックチェーンです。
ネットワークでつながった参加者全員に情報が分散され、しかも各ブロックは改ざんすれば異常値が検出され、不正がとても困難です。透明性が高まり、信用も確保されます。

なんだかいいことづくしですが、果たしてスムーズに進むのでしょうか?海貨業界は長年にわたってIT化が今一つ進んでいません。そこをどう切り開いていくのか、今後も注目していきたいと思います。

2019/07/11

予備申告で輸入通関の時間を短縮!

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外国から貨物を輸入する場合、輸入者は税関に対し輸入申告をしますが、輸入申告のタイミングは貨物が保税地域に搬入されてから、と決まっています。

搬入の確認が取れると、輸入申告→税関審査・検査→輸入許可→搬出、が通常の流れです。

税関審査中は貨物を動かせないので保税地域で待機することになります。

しかし、輸入申告前に税関審査を終わらせて輸入許可までの時間を短縮する方法があります。

それは、予備申告です。

今回は貨物搬入から搬出までのリードタイムを短縮できる「予備申告」についてのお話です。

予備申告は、輸入申告(本申告)の予定日の外国為替相場(課税価格換算レート)が公示され、かつ予備申告貨物の船荷証券(航空貨物はAir Way Bill)が発行された日以降にできます。

換算レートは、申告日の属する週の前々週の実勢外国為替相場の週間平均値です。こう書くと難しそうですが、自分で計算する必要はありません。毎週税関長により公示されています。税関HPで見ることができ、過去分も掲載されているので、修正申告などするときもレートを確認します。

通常の輸入申告同様に申告しますが、その際予備申告コードを入力します。申告すると、審査区分がわかります。
区分1=簡易申告扱い。書類審査・検査なし。
区分2=書類審査扱い。まれに審査後に検査扱いに変更になることがある。
区分3=貨物検査扱い。書類審査+貨物検査。

区分2は税関で書類審査を受けなければなりません。ですが、貨物到着前に申告書類を税関に提出でき、審査を済ませることができます。審査終了すれば、貨物到着後即輸入許可となりますので、搬出までスムーズです。

区分3になると、貨物検査ですので、到着後すぐに輸入許可、搬出というわけにはいきませんが、検査の手配など事前の準備ができます。検査が混みあう日など、X線の順番待ちになることもあります。予備申告で検査予定の場合は検査場やX線装置の予約ができるので、早く検査を済ませて搬出できます。

他法令手続きが必要な貨物は税関手続きと並行して進めることができます。NACCSでは他法令の許可番号や承認番号とも連動しています。予備申告時に本申告するタイミングを貨物の搬入や到着確認後に自動起動するように指定することができます。手動も可。他法令の許可等必要な場合はNACCSで証明されている場合に限り自動申告が使用できます。

予備申告はすべての輸入貨物でできます。通関業者は一般的に、納期の余裕など見て必要と思えば予備申告を利用しています。輸入者が予備申告の指定をしなくても、通関業者の判断で予備申告していることも多いのですが、事前に書類審査や検査の要否を知りたい場合、予備申告を指示し、申告結果を聞くのもいいでしょう。

そして、さらに早く貨物を引き取りたい、という場合はホットデリバリーを依頼しておくといいです。ホットデリバリーとは個別搬入のことです。

本船が港に到着後、貨物(コンテナ)は船から下ろされます。船からコンテナをすべて下ろし終えた後に、搬入情報を入力します。これを一括搬入といいます。一方、ホットデリバリーは、コンテナ毎に搬入情報を入力します。

一括搬入に比べて、個別搬入のほうがより早く申告を行うことができます。予備申告とホットデリバリーの組み合わせで輸入許可までの時間の大幅な短縮が可能になるのです。コンテナ貨物なら入港日当日に搬出までも済ますことができます。

外国為替相場(財務省HP)
http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/kawase/index.htm

2019/06/24

輸入ベビー用品の安全基準とは?

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ベビー用品、今は様々な種類、用途、便利な機能がついたものがありますよね。

子育てを経験された方なら実感があると思いますが、子供、特に赤ちゃん時代は本当に大変です。

赤ちゃんは寝る、泣く、ミルク、排せつを一日に短いサイクルで昼夜関係なく何周もします。

その間、世話する人は家事や自分のこともしますので、とにかく忙しい!

最近のベビー用品はそんな忙しい母親が楽になって、さらに赤ちゃんも快適な製品が多くあります。

先日、問題になったフィッシャープライス社のベビーバウンサーも便利なベビー用品の一つです。

こちらの製品、四角い、いわゆる「ベッド」型のものではなく、ハンモックやバウンサーのように丸みのあるもので、自動で揺れる機能もついています。抱っこされているようなホールド感とスイング機能が支持されていました。

しかし、死亡事故が相次いでいるとしてリコールを発表。同社は日本で販売していないとしていますが、インターネットなどを通して並行輸入品が販売されていたようです。現在、日本での同商品の事故報告はないそうです。

現在インターネットで検索しても検索結果がエラー表示され、見ることができません。また、以前に同製品を販売していたサイトでは製品の回収を呼び掛けています。

ここで気になるのが、ベビー用品など乳幼児が使用する製品の安全基準です。

日本では「消費生活用製品安全法」により特定製品の製造・輸入が規制されています。「特定製品」とは、生活用製品で一般消費者の生命または身体に危害を及ぼす恐れのある製品です。また、特定製品のうち安全性確保が不十分な事業者がいると認められる製品を「特別特定製品」といいます。

特定製品、特別特定製品を製造・輸入する事業者は経済産業省に届け出が必要です。輸入事業者は「特定製品輸入事業届出書」を管轄の経済産業局長(事業所が複数地域にわたる場合は経済産業大臣)に提出し、指定検査機関(日本文化用品安全試験所)による適合検査が義務付けられています。

また、販売者は製品にPSCマークを表示して販売しなければなりません。例えば二次的に販売するリサイクル業者であってもPSCマークのあるものしか販売できません。

輸入通関時にはPSCマーク表示を確認しませんが、販売時には必ず必要です。ベビー用品のうち特定製品に当たるのはベビーベッドで、「特別特定製品」です。ベビーベッドのうち、揺動型は除く、とありますので、件のベビー用品は「特定特別製品」ではなかったことがわかります。

では、所謂柵の付いたベビーベッド以外の安全基準はどうなっているのでしょう?日本では製品安全協会が発行するSGマークがあります。ベビーカー、ベビーチェアなどベビー用品が対象品目です。しかし、SGマークの表示は任意であり、表示するかは事業者に任されています。

SGマークは協会が定めた必要基準に適合した製品に付されます。SGマーク製品は欠陥により事故が起きた場合に一定金額範囲内の対人補償保険がついています。

また、アメリカのASTM、欧州のCEも安全基準規格ですので、製品にこれらの表示があることが製品選びの目安になります。

ちなみに、せっかくなので乳児用ベッドのHSコードを調べてみました。
ベッドは家具ですので第94類です。
PSCマーク表示が必要な、揺動型でないベビーベッドは、
木枠のものなら9403.50-000
金属枠のものなら9403.20-000となります。

また、ハイローチェアやバウンサーは使用目的としては赤ちゃんを寝かせる場所でもありますが、関税分類上は椅子になります。リクライニングやスイング装置、音楽装置が付いたりします。
「その他の腰掛け(金属製フレーム)-アップホルスターのもの」で、9401.71-090です。(アップホルスターとは何らかの詰め物をしたものやスプリングの入ったものことです)

94類の家具は革張りのもの以外は税率無税です。

経済産業省「消費生活用製品安全法のご紹介」
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/contents/psc-leaflet.pdf

貿易統計/分類例規
http://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/data2/94r.pdf

2019/05/25

海外旅行で持ち帰れない食べ物系お土産は?

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旅行に行ったらお土産を必ず買いますよね。現地の名産品やお菓子など、食べ物は特に人気です。

私は海外旅行に行ったら現地のスーパーマーケットやコンビニに立ち寄るのですが、その理由は2つあります。

一つ目の理由は、日本とは違った雰囲気の食品売り場です。

日本のスーパーでは野菜や果物の多くは袋売りされています。

しかし、海外では量り売りがメジャーです。また、日本ではあまり見かけない果物や野菜の数々・・・。ビッグサイズの飲み物やその土地の人が大好きな加工食品など、ただ見ているだけでワクワクします。

もう一つの理由は手ごろな価格でお土産をゲットできる、ということです。免税店や観光地の土産物売り場もいいのですが、ちょっと高額すぎたり、そもそも国によってはお土産文化がないこともあります。

しかし、スーパーでは当然普通に売っていても、日本に持ち帰れないものがたくさんあるので、お土産選びには注意をしなくてはいけません。何も知らずに美味しそうだからとか名物だからといって買うと、日本の空港で没収されてしまう恐れがあります。

そこで日本に持ち込みNGな食べ物を紹介したいと思います。

【肉、肉製品】
生肉だけでなく、ソーセージ、ハム、ベーコン、ジャーキーなども持ち込みNGです。豚や羊など、鶏やアヒルなど家きん類、卵もダメです。チーズはOK。

缶詰・ビン詰で常温保存可能で未開封、賞味期限が長いもの、常温保存可能なレトルトパウチなども同じ扱いです。持ち込みNGです。ただし、輸出国政府機関発行の検査証明書があり、指定の国・地域のものであればOK。動物検疫に立ち寄り証明書を提出してください。以前は大丈夫だったようですが、最近になって厳しくなったようです。

これらは動物の感染症を未然に防ぐための防止策です。動物感染症とは、豚コレラ、口蹄疫、鳥インフルエンザなどがあります。昨年から日本でも豚コレラの発生が確認されています。鳥インフルエンザも近年度々確認されています。鳥インフルエンザは低病原性と高病原性のものがありますが、特に高病原性のもので人へ感染するウイルスもあります。

人へ感染するリスクは特定の鳥インフルエンザ以外、今のところはありません。しかし、豚コレラや口蹄疫、鳥インフルなど指定の感染症は動物間で強い感染力があり、致死率も高いものです。口蹄疫以外は有効なワクチンや治療法がないため、いったん日本にウイルスが上陸、まん延すれば、感染した家畜を飼う畜産農家のみならず、その畜産業界全体へ影響します。

テレビで殺処分されたとの報道を聞きますが、まん延防止にはすばやく感染源をなくすこと、消毒することが大切だからです。ちなみに、殺処分した畜産農家にはちゃんと補償制度があります。そうでなければ、迅速に適切な処置をしない可能性があるからです。

なお、輸出検査証明が添付された肉製品は持ち帰れます。ただし、ハワイやオーストラリアなど一部地域でのみ対応しています。ややこしいのは免税店で売られているものです。免税店で売っていても検査証明がなければ、街で売っているものと変わりありません。

【生の果物、野菜、香辛料など】
植物防疫法施行規則第九条及び別表一、二には輸入禁止地域及び輸入禁止植物、有害動物が指定されています。輸入禁止植物以外は持ち込めますが、禁止植物が多いのと、一般的に判別が難しいので、とにかく持って帰らない方が無難です。(こういうことを言うと身も蓋もないのですが・・・。)

どうしてもお土産として持ち帰りたい、という方はきちんと法律を調べて持って帰れるかを確認してから買ってください。
「アーモンド、カシューナッツ、ココやし、こしよう、ピスタシオノキ、ぺるしやぐるみ及びマカダミアナッツの乾燥した種子」は大丈夫です。また、冷凍果物、ドライフルーツは輸入禁止植物ではありませんが、空港カウンターで検査を受ける必要があります。病害虫が付着していなければOKです。

先日、台湾に旅行にいったのですが、空港の到着ロビーには靴を消毒するためのマットがありました。また、旅行中に動物に触れた人、農場や市場に行った人は自己申告で検疫カウンターに行くように何度もアナウンスされていました。検疫カウンターで携帯品の消毒を行ってもらうそうです。

肉製品や生の果物などの輸入禁止品は、日本に持ち込むことができないだけで、現地や飛行機の中で消費してしまうのであれば問題ありません。関空を利用した際に見かけたのですが、免税店で高級イチゴを買ったアジア人家族が出発ロビーで飛行機を待つ間にそのイチゴを食べていました。もしかしたら輸出証明付きイチゴだったのかもしれませんが、食べてしまえば帰国時に届け出る必要はなくなります。

2019/05/07

EUの関税率を調べるならTARICを使おう!

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日本とEUのEPAが発効しましたね。発効に伴い、多くの品目で関税が即時撤廃になりました。

今回はEUから日本への輸入ではなく、逆パターン、輸出について考えてみようと思います。

EUに輸入される際、関税がかかる品目があります。しかし、そもそも一般の輸入関税が無税の品目もあるわけです。

事前にEPA特恵税率と一般税率を比べてEPA特恵税率の方が優位であれば、EPAを適用するための書類作成を行います。

EPA税率適用には原産地規則を満たす必要があり、証明書類など事前の用意が必要で、手間もかかります。EPAを適用してもしなくても変わらないなら、手間は省きたいですよね。

EUの関税率を調べるにはTARICのサイトを使います。

「Goods code」に品目コードを、「County of origin/destination」にJapanを選択します。ここで、品目コードがわからない、という方は、日本の実行関税率表を見てください。

品目コードは6桁までは世界共通です。日本の関税分類を参考に6桁まで品目コードを調べることができたら、TARICに入力。あとは細則部分を確認しながらクリックし、8桁まで表示されたところで検索ボタンを押します。結果では、関税率だけでなく、規制なども確認できます。

「ERGA OMNES」とはすべての当事者という意味で、WTO加盟国からの輸入に一般的に適用される税率、「実行最恵国(MFN)税率」が確認できます。指定した国及び地域はその下に表示されますので、Japanのところを確認します。

国及び地域を指定していなくても、検索結果にはMFN税率と、国ごとのEPA特恵税率が表示されます。

当然ですが、英語です。Google翻訳などを使えば、それほど英語が得意でなくてもなんとかたどり着けます。ただし、不確実な場合は現地輸入者や通関業者に再確認しましょう。

また、ジェトロとFedexが日本居住者向けに提供しているデータベース(ワールドタリフ)でも、品目コード及び関税率を確認することができます。登録が必要ですが、日本の居住者ならだれでも無料で利用でき、世界各国の関税率を見ることができます。

EUだけでなく、世界約175か国のHSコードと税率が検索できるので、何となく見ているだけでも面白いです。

EUでは日本で言うところの事前教示制度もあります。商品がどの税番なのか、あらかじめお伺いを立てて当局から保証してもらう仕組みです。拘束的関税分類情報(BTI:Binding Tariff Information)といい、BTIデータベースに登録されると、EU諸国全てに適用が可能になります。有効期間は原則3年間です。

現時点では有税品目でも、将来的に減税または免税になる場合があります。それらについては、スケジュール(譲許表)で確認することができます。

EU統合関税率TARIC(Integrated Tariff of the European Communities)
https://ec.europa.eu/taxation_customs/dds2/taric/taric_consultation.jsp?Lang=en

WorldTariffオンライン登録
https://ftn.fedex.com/wtonline/Registration/RegFrame.jsp?nageName=Jetro/JetroReg.jsp

BTIデータベース
https://ec.europa.eu/taxation_customs/dds2/ebti/ebti_home.jsp?Lang=en

EU側譲許表
http://trade.ec.europa.eu/doclib/docs/2018/august/tradoc_157229.pdf#page=5

2019/04/12

拒否できない税関検査、内容や費用はどうなる?

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最近、空港での税関職員による貨物検査の模様を放送するテレビ番組が増えましたね。

密輸防止キャンペーンでもしているのかな?とか、旅行者が増えて一般の人の関心が高まっているのかな?とか感じます。

テレビではよく、税関の検査に素直に従わない人の姿も放送されていますが、実際拒むことはできるのでしょうか?

答えは「NO」です!

関税法では「税関職員の質問に対して答弁せず、もしくは偽りの陳述をし、又はその職務の執行を拒み、妨げ、もしくは忌避した者に対しては一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」とあります。抵抗すると罰せられる、ということです。

では、旅行者にとってだけでなく、輸入者にとっても気になる税関検査、内容や費用はどうなっている?ということでまとめてみました。

【検査の意義】
・麻薬や覚せい剤、コピー商品など輸入禁止品が入っていないか
・輸入(納税)申告が正しくされているか、申告外貨物が入っていないか
・正しく原産地表示されているか
・食品衛生法や動植物検疫法、輸出管理令などの規制貨物が正しい手続きがとられているか

上記の確認を行うため検査を行います。

輸入が初めて、または輸入実績の少ない輸入者は高確率で検査になります。また、過去の輸入検査で不備があった場合も、しばらくの期間は検査になる確率が高いです。それ以外は一定割合でランダムに検査対象を抽出します。

優秀な輸入者は大抵の場合申告後即許可になりますが、たまには検査になります。ここでもし申告外貨物などが出てきたら、せっかく積み上げてきた税関との信頼関係がくずれ、再び検査が続くことになります。

【検査方法】
・X線検査
コンテナ輸入の場合、多くは税関の検査場にある大型X線装置を使って検査します。コンテナまるごと入る大きな装置で、小屋のようです。小型X線装置はカートンを調べます。X線を通して不審な影が写っていたり、申告内容に異議があったりする場合には、さらにコンテナまたはカートンを開けて(開披)、検査します。

・見本検査、抜き取り検査
税関に指定された貨物を検査します。カートンNo.を指定される場合や「どれでも1カートン」と言われることもあります。
一般的には税関の検査場にて検査します(検査場検査)。数量が多い場合など、蔵置している場所から動かすことが難しい場合は、税関職員が出向いて検査します(現場検査)

・全量検査
言葉通り貨物の全部を検査します。

検査場所はその他、小麦や木材などの輸入に対し、艀や本船上で行うこともあります。

これらの検査は食品検査や動物検疫とは別です。混同しないようご注意ください。

【検査料金】
税関に支払う検査料というのはありません。ですが、通関業者から検査費用を請求されます。これは検査によって生じる様々な作業費用です。

税関職員は貨物の内容確認のために検査をしますが、指定貨物を探し出したりコンテナを検査場まで移動させたりといった諸々の作業をするのは、トラックの運転手や税関での開梱を許された上屋の作業員です。税関職員は貨物が目の前に差し出されるまで何もしませんし、検査後の片付けもしません。

これらのトラックの手配やコンテナの移動費(横持費、ドレー費用などという)、開梱に掛かる作業費用、検査立ち合い料などが、手配を行う通関業者からまとめて請求されています。

いかがでしたでしょうか。輸入実績の少ない輸入者は特に検査確率が高くなりますので、検査に掛かる費用を考慮しなくてはなりません。ですが、毎回どういった検査になるかはわからず、費用も上下することだけはご理解ください。

2019/3/25

TPP11、日EU・EPAに必要な原産品申告書は?

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昨年末の12月30日よりTPP11(CPTPP)が発効されました。

2019年2月1日より日EU・EPAも発効され、いよいよ多国間経済協定時代の到来です。

EPAでは協定国を原産地とする産品を低税率、又は無税で輸入することができます。

EPA税率を適用して輸入するには、通常の輸入申告書類に加えて、貨物が協定国の原産品であることを証明するための書類が必要です。

従来のEPAでは輸出国の発給当局による第三者証明制度が採用されています。日本からの輸出であれば、商工会議所に申請して「特定原産地証明書」を発行してもらい、輸入国税関に提出します。

日豪EPAでは上記の第三者証明に加え、輸入者、輸出者又は生産者による自己申告制度が採用されています。しかし、TPP11、日EU・EPAではこの、自己申告制度のみ採用されています。(第三者証明制度は採用されません。)自己申告制度では輸入者、輸出者又は生産者自らが原産品であることを証明する「原産品申告書」を作成しなければなりません。

そこで今回は、TPP11と日EU・EPAの「原産品申告書」について紹介したいと思います。

「原産品申告書」とは、貨物がEPA上の原産品であることを証明する書類です。

【作成者】
輸入者、輸出者または生産者。輸入者から依頼を受けた通関業者。ただし、輸出者または生産者は締約国に所在する者でなければなりません。第三国の輸出者は原産品申告書を作成できません。また、訂正は作成者のみが行えます。

◆必要的記載事項
1. 証明者 2. 輸出者 3. 生産者 4. 輸入者の氏名又は名称、住所、電話番号及び電子メールアドレス
5. 産品の品名及び統一システムの関税分類(HSコード)
6. 原産性の基準
7. 証明者の署名及び日付等
8. 誓約文(既定の文言あり)

【様式】
◆TPP11
協定上規定の様式はないが、必要的記載事項を記載した任意の様式。日本への輸入の場合は税関様式C第5292号-3を使用。英語又は輸入国の言語で作成。

◆日EU・EPA
輸入者が作成する場合、協定上既定の様式はなく、必要的記載事項を記載した任意の様式。日本への輸入の場合は税関様式C第5292号-3を使用。輸出者又は生産者が作成する場合、協定で規定の記載様式に沿った原産地に関する申告文をインボイス等に記載します。

◆提出期限・有効期限
原則として輸入申告の際。有効期限は作成日から1年。

「原産地申告書」とともに、「原産品申告明細書」、契約書や価格表、総部品表、製造工程表など明細書に記載された事項を確認する書類も必要です。原産品申告明細書は商品ごとに作成します。

ただし、
1.文書による税関の事前教示を取得し、輸入申告書にその事前教示登録番号を記載している場合。(迅速な輸入通関確保の観点から事前教示を勧めています。)
2.締約国内で完全生産される一次産品であって、インボイス等通関関係書類によりそのことが確認できる場合。
3.課税価格の総額が20万円以下。(原産品申告書の提出も省略可)
上記の場合は、原産品申告明細書の作成不要です。

提出した書類は許可の翌日からTPP11で5年間、日EU・EPAで4年間保存することが求められています。

自己申告制度では、輸入国税関が輸入者に対する検証や、輸出国税関を通じて輸出者・生産者に対する検証を行うことができます。輸入者、輸出者又は生産者が原産品であることの十分な情報提供と説明ができない場合、EPA税率の適用が認められませんので、事前の準備は万全にしましょう。

なお、現在発効されているEPAの原産品申告書、原産品明細書は税関のHPでダウンロードできますので、ぜひご利用ください。

原産地証明手続き(税関HP)
http://www.customs.go.jp/roo/procedure/index.htm

「自己申告制度」利用の手引き
http://www.customs.go.jp/roo/procedure/riyou.pdf

2019/03/01

福島原発事故の影響が続く食品輸出

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昨年末、中国は新潟県産コメの輸入を許可することを発表しました。

これは、2011年の福島原発事故以来続けてきた輸入規制を一部緩和する行動で、今後も規制緩和の動きが活発になるのでは、と期待されています。

原発事故後に、日本産食品に関して安全を確認するため輸入規制措置をとった国は、54か国・地域にのぼります。

日本政府はそれらの国々や地域との交渉を続け、徐々に規制措置が緩和・撤廃されてきています。

しかし、中国、韓国、台湾、シンガポール、米国、マカオなど29の国と地域では原発事故による輸入規制措置を継続しています。

主な措置は
1. 特定の都県につき、すべての又は一部の食品につき輸入停止。特定の都県以外は産地証明書、放射性物質検査証明等が必要
例:韓国、中国、シンガポールなど

2. すべての又は特定の食品に対し産地証明書や放射性物質検査証明書を要求
例:インドネシア、ブルネイ、オマーンなど

3. 輸出先国での検査強化
イスラエル

規制品目や求められる証明書などは国・地域ごとに異なりますが、主に要求されるのは日付証明、産地証明、放射性物質検査証明です。水産物は水産庁及び一部の都道府県に、酒類は国税庁(地方国税局)に、それ以外の食品・飼料は農政局に輸出証明書発行を申請します。産地証明など必要な証明区分を選択します。

輸出証明書発給システムを利用するほか、NACCSからの証明書申請手続きが可能です。酒類はNACCSのほか、製造場等の所在地を所管する国税局酒税課に申請します。申請者は輸出者または輸出者の委任を受けた者です。申請後、証明書を郵送又は受領拠点で受け取ります。

【産地証明】
都道府県の「産地」を証明するものです。申請には商品ラベルのコピーや写真等、生産・加工施設の名称・所在地が確認できる書類が必要です。

ここで注意したいのが、産地証明書と原産地証明書の違いです。「産地証明書」は「産地」を証明するものです。一方、商工会議所が発行する「原産地証明書」は貨物の「国籍」を証明するもので、どこの都道府県で生産されたかの証明にはなりません。

【放射性物質検査証明】
検査機関が発行する放射性物質検査結果報告書を提出。国・地域によって認められた検査機関が異なるので、注意しましょう。製造ロット番号がわかる書類と検体の採取状況も添付します。

【日付証明】
生産加工年月日を確認するものです。商品ラベルのコピーや写真、生産製造記録にかかる書類などにより確認します。

各種証明には共通してB/L・AWB・インボイス番号、出発地名など貨物情報も必要ですので、インボイスやパッキングリストなどを提出します。

各国・地域で対応が全く異なりますし、随時更新されているので、輸出前には相手国の規制をよく確認することが大切です。原発事故から8年近くたった今でも、放射能物質による汚染の恐れを理由に輸出が制限されています。改めて、悲惨で各方面に影響の大きな事故であったことを感じます。

農林水産省HP:食品等に係る諸外国への輸出に関する証明書発行について
http://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/index.html#qanda

諸外国・地域の規制措置(平成30年11月30日現在)
http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/kisei_all_1811.pdf

2019/02/07

関税割当制度で得しちゃう!

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輸入者にとって関税は悩みの種ではないでしょうか?

関税が少しでも安くなる制度があるなら利用したいですよね。

そこで今回は関税が無税又は低税率で輸入できる、「関税割当制度」についてお話しします。

関税割当制度は、輸入数量にある一定の枠を設け、その枠内は無税又は低税率(一次税率)、枠を超えた輸入に対しては高税率(二次税率)をかけるという制度です。

これは、一次税率で消費者など需要者を保護し、二次税率で生産者を保護する目的を満たすものです。

一定数量以内の輸入しか認めない「輸入割当制度」とは異なり、「関税割当制度」では一定数量以上は高い税率が適用されるものの、量的制限は受けません。

しかし、すべての品目で適用されるわけではありません。

対象品目は、

農林水産省所轄品目:
とうもろこし、ナチュラルチーズ、麦芽、糖みつ、無糖ココア調製品、トマトピューレー及びトマトペースト、パイナップル缶詰、その他の乳製品、脱脂粉乳、無糖練乳、ホエイ等、バター及びバターオイル、雑豆、でん粉、イヌリン及びでん粉調製品、落花生、こんにゃく芋、調整食用脂、繭及び生糸(17品目24枠)

経済産業省所轄品目:
皮革、革靴(2品目4枠)

一次税率適用枠は政令で定められています。農林水産省所轄品目の数量枠は、年に一回定められるものと、半期ごとに定めるものとがあります。経済産業省所轄品目は割当枠の総量を年度枠、保留枠、再割当に分けて設定しています。

それぞれ、関税割当を受けるためには品目を所轄する省に申請します。申請すると関税割当証明書が交付され、割当を受ける輸入の際に税関に証明書を提出し、裏落としで輸入数量を管理します。

割当の数量枠や申請要件などは、所轄省の公表を見れば知ることができます。それぞれ要件が異なるため、輸入を予定している事業者は事前に公表で確認しなければなりません。

例えば、経済産業省では例年3月上旬から中旬ごろに次年度分の割当を公表しています。年度枠、保留枠いずれか一回のみ申請でき、再割当分は条件を満たす場合のみ割当が解放されます。また、皮革、革靴の割当要件には、前年度の輸入実績などが反映されるため、これから輸入を始める事業者は割当を受けることができません。

以上が一般の関税割当制度ですが、これとは別にTPPなど経済連携協定(EPA)による関税割当があります。それぞれのEPAごと、品目ごとに違うので、こちらも公表を確認する必要があります。

割当の管理方法も各EPAにより違います。輸出国管理方式の場合、輸入者が割当申請し、輸出国の発給する証明書に基づき先着で割り当て、所轄省が証明書を発給します。輸入者の事前審査が比較的緩やかです。輸入国管理方式の場合、通常の関税割当と同様に、事前に割当を行います。こちらは輸入者の事前審査があります。

いかがでしたでしょうか。関税割当制度を利用して輸入すると、大幅に関税が安くなります。事前の確認や揃える書類が必要など手間はかかりますが、とても便利な制度ではあります。また、無事に割当を受けることができたら、通関業者に証明書を取得していることを必ず伝えましょう。輸入者の自己申告がなければ、通関業者が割当があることに気づかないからです。

農林水産省HP(関税割当関係情報)
http://www.maff.go.jp/j/kokusai/boueki/triff/t_kanwari/index.html

経済産業省HP(関税割当 皮革・革靴)
http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/03_import/01_kanwari/kanwari.html

2019/01/19

アパレル業界は「新素材」ブーム!税番は?

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ここ数年、ヨーロッパを中心に脱石油原料ブームです。

マイクロプラスチックが海に蓄積され、クジラの体内から大量に発見されるなど、石油を原料としたプラスチックが環境に悪影響であることが取り沙汰されています。

そんな流れを受けて、各アパレルメーカーは脱石油原料、脱プラスチック素材の開発が進んでいます。

東レでは植物由来の原料を使った人工皮革を開発したと発表しました。またH&Mでは、2030年までに持続可能な資源由来の材料やリサイクルされた材料の比率を100%にすると打ち出しています。

アパレル業界では、デザイン性+着心地・機能性ブームがあり、さらに環境への配慮という要素が加わった流れが来ているようです。

そこで今回は新素材の一つ、植物由来の再生繊維に着目して税番解説をしてみたいと思います。

植物由来の再生繊維は木材パルプや天然繊維に含ませるセルロース(炭水化物の一種)を取り出して化学薬品で溶かした後、細長い繊維にしたものです。代表的なものにレーヨンやキュプラがあります。

原料が木材パルプや綿など植物性なので、
「第14類・植物性の組み物材料および他の類に該当しない植物性生産品」
「第47類・木材パルプ、繊維素繊維を原料とするその他のパルプ及び古紙」
「第52類・綿及び綿織物」
「第53類・その他の植物性紡織用繊維及びその織物並びに紙糸及びその織物」
などが分類の候補に挙げられるでしょう。

14類、47類の解説を見ると、紡織用の物は第11部に属する、とあるため、植物性の繊維は52類もしくは53類があたります。

ここで注目しなければならないのが、繊維の製造工程です。天然繊維をそのまま撚って紡織用にしたものと、繊維から化学的に抽出して製造したものとでは分類が分かれます。

レーヨンやキュプラなどの植物系再生繊維は繊維から抽出したセルロースやでんぷんなどの天然有機重合体を化学的に処理して製造したものです。

これは、「人造繊維」であり、人造繊維の長繊維及び短繊維に分類されます(54類、55類)。人造繊維はポリアミドやポリエルテル、ポリウレタンなど石油系が「合成繊維」、植物系が「再生繊維又は半合成繊維」に分けられます。(石油系、植物系、と乱暴な言い方をしているのはご容赦ください。)

ペットボトルなどをリサイクルした石油系リサイクル繊維は「合成繊維」に分類されます。

「再生繊維」というと、何かの原料を再生させたものかな、と思うでしょう。しかし、貿易世界の品目分類上は、天然原料を化学処理して抽出された有機重合体を原料とするものが再生繊維や半合成繊維です。

そして、衣類など最終製品になった場合の品目分類は、上記の分類をもとに細分化されています。

植物性の新素材は、商品の廃棄時においても燃焼時の燃焼熱が低いことや、生分解性などの特長あります。意外な原料から生まれる新素材、今後も注目したいと思います。

2018/12/27

CLM三国のラオス・ミャンマーがLDCを卒業!

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ASEAN諸国内でも後発組に属するカンボジア、ラオス、ミャンマーはCLM諸国と呼ばれています。

これらの国々は、チャイナ・プラス・ワン、タイ・プラス・ワンの受け皿として、近年関心を集めてきました。

CLM三国はASEAN内でも経済発展の遅れた低所得国に属し、2018年現在は特別特恵受益国として認められた「後発開発途上国(LDC)」です。

LDCであることは、国としてのステータスが低いというデメリットはありますが、関税の優遇措置があることやODAが受けやすいことなど、メリットも多くあります。企業の進出や外国からの支援に対し、敷居を低くし、経済発展を促しています。

ラオス、ミャンマーはこれらの恩恵も受けつつ、目覚ましい経済発展を遂げ、LDCからの卒業要件を満たすことになりました。

LDCは世界に47か国(2018年現在)あります。LDCに認定されると関税の優遇措置やODAを受けやすくなります。

LDC認定基準は以下の3つで、一定値に満たない国がLDCに認定されます。

1.1人当たり国民総所得(GNI、3年平均)
2.人的資源開発の程度を表すための指標(HAI)
3.外的ショックからの経済的脆弱(ぜいじゃく)性を表すための指標(EVI)

そして、その一定値を2項目以上上回れば、LDCを卒業となります。

ただし、一度卒業要件を満たしたからといって、すぐに変わるわけではありません。3年後の2021年に再度要件を満たせば、2024年にLDC卒業となります。

では、LDC卒業後、2国が関わる貿易にどのような影響があるかを考えましょう。

LDC国には関税の優遇措置が与えられており、特別特恵関税(GSP-LDC)が適用されるため、ほとんどの製品を無税で輸入できます。しかし、LDC卒業後は一般の特恵関税制度が適用されるため、関税無税の品目が大幅に減ります。

特にミャンマーは縫製品の委託加工が多く、対日輸出が伸びている国です。GSP-LDCが使えなくなれば、縫製品はTシャツで7.4%など、7~10%以上の関税がかかります。

日本との自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を締結していれば、FTA・EPA特恵税率が適用できますが、現在のところ締結していません。ただし、2国はASEAN加盟国ですので、AJCEP(日ASEAN包括的経済連携協定)を利用することができます。原産地規則を満たし、原産地証明書を取得、直送条件を満たせばEPA特恵税率を適用できます。

なお、ASEAN加盟国ではありませんが、バングラデシュもLDC卒業要件を満たしています。ミャンマー、ラオスとともに2024年LDC終了となる見込みです。また、カンボジアも近年GDP成長率が7%台と好況ですので、数年内のLDC卒業が予想されています。

関連コラム:知っておきたい特恵関税制度と特恵卒業
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/moto_tsuukanshi/2017-02-22

外務省HP:後発開発途上国
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/ohrlls/ldc_teigi.html

2018/12/08

ベトナムってどんな国?関税制度は?

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なかなか終わらない、というよりいよいよ本格化・長期化してきた米中貿易戦争を受け、大手メーカーは一部部品の生産拠点を中国からタイやベトナム、マレーシアなど東南アジアやメキシコに移し始めました。

自動車、ロボット、半導体、プラスチック、家電や衣料品に至るまで、あらゆるものの中国から米国への輸出に、制裁として高関税が課されるからです。

これは、中国は人件費が高くなってきたので、もっと安い人件費を求める企業にとっては、生産国移転の計画を前倒しや加速させる形となりました。

そこで、そんな移転先の一つで、中国に替わる「世界の工場」になりつつあるベトナムに注目してみたいと思います。

【ベトナムの基本情報】
国名:ベトナム社会主義共和国
人口:約9,270万人
面積:約329,241?(日本より少し小さい)
首都:ハノイ
主な都市:ハノイ、ホーチミン
言語:ベトナム語
特徴:北は中国、西はラオス、カンボジアと国境を接する。南北に細長く、南部は熱帯性気候で雨季と乾季があるが、北部は四季がはっきりしており、気候が全く違う。人の気質も違い、北部は「忍耐強い、勤勉」。南部は「おおらか、その日暮らし」とも。フランス領時代の趣を残す建物も多く、観光地としても人気。また、華僑が多かったことから、漢字が併記された看板が見られたり、中国語から派生した言葉も多い。

ベトナムは社会主義国ですが、1986年にドイモイ政策を採用し、中国同様に市場経済を取り入れています。中国などから一次産品を輸入し、工業品に加工し米国に輸出する、三角貿易で発展してきました。

一次産品や衣類、履物といった付加価値率の低い製品の輸出が多く、機械などの耐久消費財は中国などからの輸入に頼っていたため、2000年代までは貿易赤字国でした。しかし、近年はスマホなど機械品の輸出が増え、また、日本や中国のメーカーが工場移転を進めていることもあり、2018年上半期は過去最高の貿易黒字となっています。

実は天然資源が豊富な国で、国土の40%以上を占める森林資源は家具や、紙・パルプ、燃料として利用されています。また、鉱物資源の埋蔵量が豊富で、中部地域では油田開発が重点的に行われています。

【関税制度】
FOB価格を課税標準とする輸出関税あり。
輸入関税は、標準関税率、優遇関税率、特別優遇関税率の3種類。課税標準はCIF価格。

標準関税率:優遇関税率、特別優遇関税率を適用できない物品に適用。
優遇関税率:ベトナムと最恵国待遇関係にある国からの輸入に適用。協定税率(MFN)がこれにあたる。
特別優遇関税率:FTA税率やEPA税率

日本とは最恵国待遇関係にあり、EPAも発効しているため、優遇関税率(MFN)またはEPAスケジュールに基づいた関税率が適用されます。日ASEAN包括的経済連携もあります。プラスチック、機械設備、電子製品や関連部品など3234品目で関税撤廃されていますが、免税適用には日本からの直接輸出であることや特定原産地証明書があることなど条件を満たす必要があります。

また、ASEAN加盟国であり、HSコードの商品の名称および分類をASEANとそれ以外の国とで使い分けています。

日本との関係性は、良好といえるでしょう。安定した友好関係を築いており、親日感情も強い国です。また、日本はベトナムODAの最大の供与国でもあり、経済的パートナーとして大きな存在です。

GDP成長率が7%と経済成長率が高く、平均年齢が28歳ととても若いことから、マーケットとしても注目されています。共働き世帯を中心に購買意欲も旺盛です。魅力的な要素が多い一方で不安要素も。

法整備は進んでいるものの、依然として不透明で、手続きが煩雑です。役所での対応も人によって異なるとか。また、役人への金銭の提供といった不正リスクや在庫の盗難など治安面のリスクもあります。

いかがでしたでしょうか?個人的には、食べ物もおいしいですし、活気のある都市部と、まだまだ悠久の時間が流れているような農村部の対比がベトナムの魅力だと思います。ただし、ベトナム語をマスターするのは至難の業です。声調が6つもあり、舌や息の使い方が難しい。ご愛敬の片言ベトナム語でお茶を濁すくらいにしましょう。

2018/12/1

TAGって何?FTAとどう違う?

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最近、新聞やネットニュースで見かけるTAGという言葉、初めて聞いた、という方も多いのではないでしょうか?

実は私もその一人。そこで、今回はTAGについてWTOやFTAなどと絡めて書きたいと思います。

TAGとは、日米間で交渉を開始することで合意した「日米物品貿易協定」のことで、「Trade Agreement on goods」の略称です。

日本政府は交渉の範囲を物品の輸出入に限る点で、サービスや投資の自由化に範囲が及ぶFTA(自由貿易協定)との違いを強調しています。

そもそも、世界の貿易ルールはWTOが先導していました。WTOでは全会一致が原則で、「すべての加盟国に対して等しく適応」しなければなりません。ある国とある国の有利な関税条件は他の国にも適応してくださいね、というものです。これを最恵国待遇の原則、といいます。

しかし、とある2国間交渉で成立した条件をすべての国に適応させるのは難しいことです。それぞれの国の事情があるので、困る国もあります。より自由な2国間交渉の場を設け、世界全体の自由貿易を活性化させるためには例外も必要です。

それが、WTOで最恵国待遇原則の例外として認められている、FTAです。近年はよりスピーディーな貿易交渉としてFTAが好まれる傾向にあります。ですので、交渉を物品に限るTAGも、WTOルールでいうところのFTAでなければ最恵国待遇の例外としては認められないことになります。

日本政府が国内向けにTAGはFTAとは違うと言っていても、WTOからすればやりたいことはFTAなんでしょ?という話です。

今のところ投資やサービス分野は協議の範囲外ですが、結局サービス分野も含めたFTAに持っていかれるであろうということは、多くのメディアでも言われています。

実際アメリカ側は、まずは物品交渉から始めて、合意を得られれば、次はサービスや投資分野などの「重要分野」に進める、といっています。

いずれ物品以外の分野の交渉に移るとアメリカ側が言っているにもかかわらず、日本政府がTAGという言葉を使い、「包括的なFTAとは違う」と主張していることに対し、FTAを警戒する農家への目くらましだの、ねつ造だのという批判もあるようです。

交渉が本格化するのは年明け以降になるとみられています。共同声明では「過去の経済連携協定で約束した譲許内容が最大限」と明記していますが、それではトランプ大統領がTPPを離脱して日米交渉をする意味がなくなってしまいます。

日本はどこまで踏みとどまれるのか、不利な条件を突きつけられても押し返すことができるのか、今後の動きが気になるばかりです。

2018/11/12

輸入貨物が被災した!減税額の計算方法は?

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前回は台風や地震など、災害で貨物が被災し、変質・損傷した場合の減税の適用時期についてお話ししました。

今回は、具体的な減税額の計算方法と手続きについてお話ししたいと思います。

まず、減税額の計算方法について。

算出方法は2パターンあります。

(1)価格の低下率を基準とする方法
変質・損傷により低下した価格分に対応する関税額を減税額とします。

例えば、課税価格が100万円、関税率5%の貨物が、変質・損傷で価値が下がり、課税価格が60万円になったとします。

100万円×5%=5万円(関税額)
100万円-60万円=40万円(価格の低下率40%)
低下した価格分だけ関税が減額されるので、5万円の40%が減税額となります。
5万円×40%=2万円(減税額)

(2)変質・損傷後の性質及び数量を基準とする方法
変質・損傷したことで貨物の性質が変わり、適用税率が変わる場合があります。この場合、税率変更後の関税額を控除した額が減税額となります。

例えば、課税価格が100万円、税率5%の貨物が、変質・損傷で課税価格60万円、適用税率が3%に変わったとします。

100万円×5%=5万円(当初関税額)
60万円×3%=1.8万円(変更後関税額)
差額の3.2万円が減税額となります
5万円-1.8万円=3.2万円(減税額)

以上の2つの計算方法から導き出された金額を比較し、多い方が減税額になります。上記の場合ですと、2万円<3.2万円なので、3.2万円が減税額になります。

変質・損傷で関税が無税になった場合は全額減税されます。また、税率の変更を伴わない場合は(1)の方法により計算します。

従量税品についても同様に計算しますが、変質・損傷が課税物件確定前に生じた場合、低下分を算出するための基礎となる価格は、関税定率法第4条から第4条4までに定める課税価格決定方法に基づいて算出した価格とします。ややこしい書き方ですが、普通に考えて入港時の当初CIF価格だと思ってください。

輸入許可後で、「引き続き輸入許可を受けた時の蔵置場に置かれている場合」に災害等により変質・損傷した場合、戻し税が適用されます。減税額の算出方法に準じます。滅失した場合は全額払い戻されます。

では、減税や戻し税の手続きは?
輸入申告書に、「変質・損傷減税明細書(様式T-1010)」を添付して税関に提出します。この明細書には、変質・損傷の原因や程度、減税計算の根拠を示します。

輸入申告後で許可前に変質・損傷した場合は「更正の請求」の手続きをとります。

輸入許可後、引き続き輸入許可を受けた時の蔵置場に置かれている場合に、災害等で変質・損傷した場合、災害等のやんだ後速やかに、滅失又は変質・損傷した貨物の記号、番号、品名や輸入許可番号などを記載した届出書を、輸入を許可した税関長に提出します。税関長は確認書を交付します。
関税の払い戻しを受けようとする者は、災害等のやんだ日から3か月以内に、払い戻しの申請書、上記の確認書、輸入許可所または税関の証明書を添付し、輸入を許可した税関長に提出します。

災害時には少しでも救済措置があるとありがたいですよね。このような制度があることを事前に知っておくことで対応も違ってくると思います。

また、通関士試験では減税適用のタイミングなどは出題が常連のようです。試験を受ける方はしっかり理解しておきましょう。

関連コラム:輸入貨物が被災した!関税は減税されるの?
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/moto_tsuukanshi/2018-09-28

2018/10/31

輸入貨物が被災した!関税は減税されるの?

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今年の夏は本当に多くの災害が起こりました。特に台風21号は近畿地方に大きな爪痕を残しました。

関西空港の滑走路、駐機場はほぼ全域の冠水。

港湾地区では
・コンテナの流出や転倒
・火災の発生
・ガントリークレーンの倒壊
・上屋の屋根の損壊
など、関西地区の空港・港湾の被害はとても大きなものになりました。

通常、台風前後にはヤードを閉鎖し、コンテナの固定など台風対策を行います。
もちろん、台風21号に対しても対策を行っていたのですが、高潮による影響が大きく、ヤードの冠水やコンテナ流出が相次いでしまったのです。

当然、貨物も大きな被害を受けています。水濡れや横転により変質したり、電化製品は壊れたり、流出で貨物そのものが無くなる場合もあります。このような被害を受けた貨物に対しては、その関税が減税又は払い戻しされます。

変質、損傷の場合の減税は、その貨物が従価税品なのか、従量税品なのか、または従価従量税品なのかによって減税の適用時期が異なります。

1.従価税品
・輸入申告から輸入許可(輸入許可前引取り貨物についてはその承認時)までの間に、貨物が変質、損傷した場合
・保税蔵置中の変質、損傷により適用税率が変更した場合
以上の場合に減税が適用されます。

輸入申告前の貨物については、価値の減少に基づいて課税価格(申告価格)を下げることで対応します。

2.従量税品
輸出港を出てから輸入許可の時までの変質・損傷に減税が適用。

3.従価従量税品
従価従量税品の税率は、従価税と従量税を複合したものと選択するものとがありますが、それぞれの要件に対応した方法を適用します。

また、保税地域にある貨物(輸入許可前)が「亡失」した場合、保税地域の許可を受けた者から徴収することになっています。しかし、災害などやむを得ない事情による場合、関税は徴収されないこととなっています。

*亡失とは、貨物が物理的に存在しなくなること。本来の性質、形状、商品価値等を失い、新たに製造する必要があると認められる状況にある場合のこと。

以上は輸入許可を受ける前の話です。輸入許可後の貨物は同時に納税もされていますので、減税ではなく、戻し税が適用されます。納期限を延長された貨物については、払い戻すべき額を減額します。

しかし、すべての被災貨物に戻し税が適用されるわけではありません。変質、損傷による戻し税が適用される要件は、「輸入許可後引き続き輸入許可を受けた時の蔵置場に置かれている場合」です。輸入許可時の蔵置場所から別の場所に搬出された貨物については、適用されません。

納付した関税の全部または一部の払い戻しを受けることができます。戻し税の要件はもう一つ、「災害その他やむを得ない理由による」ことです。輸入許可前の変質・損傷による減税が適用されるのはこの、「災害その他やむを得ない理由による」を要件としないのに対し、許可後の戻し税に対しては上記2つの要件を満たさなければなりません。

具体的な減税の計算方法と手続きについては、また次回以降にお話ししたいと思います。

関連コラム:海上輸送は天候の影響を受けやすい
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/moto_tsuukanshi/2017-09-22

2018/09/29

貨物船見学するなら夏がチャンス!

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先日、子供と一緒に、船舶の見学イベントに参加してきました。

多目的コンテナ船が港に寄港している間に見学するもので、夏休みの宿題のヒントにもぴったりなイベントです。

客船やフェリーなどのような旅客船に乗る機会はありますが、コンテナ船などの貨物船は港で外から見るくらいです。

実際に運航し現役で働いている貨物船に乗れる貴重な機会です。

他にも、タグボートや商船学校の実習船に体験乗船できるなど、夏は子供向けのイベントも充実しています。もちろん、大人の方もたくさん参加されています。

これらは、船員確保のための広報活動の一環です。一般社団法人日本船主協会が実施しています。

「船ってサイコ~2018」
https://www.jsanet.or.jp/event/event2018_summer.html

今年のイベント予定は募集終了してしまいましたが、毎年開催されています。

航海士の話を聞きながら、操舵室(ブリッジ)や機関室(エンジンルーム)、船長室などの見学をします。一方的に説明を聞くだけでなく、割と自由に質問できる時間がありました。興味のある人しか参加していない、ということもあり、活発に質問が飛び交っていました。

帰りには本や資料などたくさんのお土産をもらいました。息子はその資料などをもとに、自由研究の宿題を完成させました。

さて、「船員確保のための広報活動の一環」と書きましたが、実は日本人の船員はどんどん減っています。日本の外航海運企業が運航する船舶(日本商船隊)で働く船員のうち、日本人は約2,200人(2016年)です。1980年には38,000人を超えていたのですから、10分の1以下です。

なぜこんなに減ってしまったのか?

理由の一つに人件費削減があります。少ない人数で操船する船の開発が進んだことや、人件費の安い外国人(フィリピンやインドなどアジア地域出身者)を雇い入れることにシフトチェンジすることで、人件費を抑えたのです。

船会社が国際競争力を維持するためには、運賃の価格競争を勝ち抜かなければならず、日本の他の製造業と同じことが行われたのです。平成24年のデータでは日本商船隊で働く船員のうち98%がフィリピンなど東南アジア出身者となっています。

私たちが見学した船でも船長他、船員はすべてフィリピン人でした。船は日本籍船でしたので、日本で操船する資格をみなさん持っておられるそうです。

日本の船会社は質の高い船員を育てるため、アジア地域に教員派遣や支援、海運学校の運営などを行っています。しかし、同時に日本人の船員が減り続けることは安全保障上も問題があります。特に日本はエネルギーなど資源のない国であり、衣・食・住のほとんどを貿易、それも99%は船の物流に頼っている国です。この状況下で外国人に依存しすぎるのは有事において危険です。

そこで政府は日本籍船と日本人船員を増やすことにしました。これが上に述べた船主協会などの広報活動や、日本人船員を増やす取り組みをしている海運会社への税金優遇政策などです。同時に質の高い外国人船員の確保・育成のための活動も支援しています。

政府は日本人船員を10年で1.5倍程度に増やす目標を掲げていますが、いろいろ資料を見比べても増えていない状況です。特に、外航船では横這いか減少しています。

船員になることは、
・給料がいい
・しかも船上では衣食住のお金がかからないので貯金できる
・長期休暇がある
などのメリットがあります。

一方で
・長期間家に帰れない
・体質によって程度の差はあるが船酔いする
・船上ではネット環境がほぼなく娯楽が限られる
・航海中はずっと同じメンバー
などのデメリットもあります。

ネット環境を整えることも可能なそうですが、費用対効果を考えるとネット環境の整った船はまだまだ少ないそうです。船上生活ではコミュニケーションや同僚の様子をお互いに把握していることが重要ですが、ネットがあるとどうしても自室に籠りがちになり、仕事にも支障が出るのだそうです。

英語を使う職業に就きたい、という方にも船員はぴったりです。日本人メンバーだけが乗船することはないので、船上の公用語は英語です。

余談ですが、私の大叔父は船員でした。船長にまでなった人で、晩年は貨物船オーナーをしていて親族一のお金持ち。たまに会えば破格のお小遣いをくれたことが懐かしいです。いい時代に船員をしていた、ということもありますが、やはり給料はいい、という印象です。

今年の夏は終わろうとしていますが、今年逃した方は是非来年の夏こそは!

2018/09/05

シッピングマーク(荷印)?何を記載するの?

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輸出入される貨物の外装にはマークが記載されているのはご存知でしょうか?

貨物外装に書かれたマークのことをShipping Mark(シッピングマーク)やCase Mark(ケースマーク)、荷印と呼びます。

貨物の外装にシッピングマークを付する目的は、というと

・梱包された貨物の中身の判別
・貨物の仕分けを簡単にする
・中身に関する取扱い上の注意事項の明記
・容積・重量の判別
・複数の時に連番を付けることで個数と梱包の特定

これらのことがわかればよく、特に決まった様式があるわけではありません。

一般的には、

・主マーク(社名など)
・仕向け地
・注文番号(PO No.)
・ケースナンバー
・貨物の原産地表示(例:Made in Japan)
・取り扱い注意事項(例:DANGEROUS、This Side Upなど)
・総重量(Gross Weight)/純重量(Net Weight)/容積(Measurement)

などを記載します。

輸入者の指示を受け、輸出者が記載します。Shipping Instruction(船積指図書)の「Marks&Numbers」という欄がシッピングマークに当たります。輸出者はこの指示をもとに、プロの梱包会社や貨物の出荷元に依頼して貨物にマークを記載します。

シッピングマークは貨物本体の外装だけでなく、送り状(Invoice)、梱包明細書(Packing List)、船荷証券(B/L)または航空貨物運送状(AWB)、保険証券、原産地証明書、税関申告書類などに記載されます。

実際の貨物の判別材料となるので、記載マークは書類と合致しなければなりません。ミスタイプなどで貨物現物のマークが書類と異なる場合は、どちらかに合わせて一方を訂正します。余計な手間と費用が掛かってしまうので、事前にしっかり確認することが重要です。

貨物が複数あって連番になっているときは、インボイス等にC/No.1-UPやC/No.1-30などと記載します。欠番があるときは、例えば、No.1-5、No.8-10のようにすると、6と7はないことがわかります。また、貨物には1/10、2/10・・・というように記載されていると、全部で10カートンあることが、一目瞭然です。

例:
RAKURAKU
SHANGHAI
C/NO.1-UP
Made In Japan

また、実務においては書類に「Shipping Marks as per attached sheet」と記載し、船積書類では添付書類を共通使用する、という場合もあります。

特に小口貨物(混載便、LCL貨物)の場合、他の貨物とまぎれないよう、明確なマークが必要です。パレットに乗せてまとめてラッピングしている場合は、ラッピングの上からマークを貼付します。

一方、コンテナを丸々一本借り入れるFCL貨物の場合はカートンごとにシッピングマークを付する必要はありません。この場合、インボイス等書類にはN/M(No Mark)と記載します。

ただし、タイなど、国によってはシッピングマークの記載が義務となっているので、搬入先の国の規定に従います。

2018/08/29

カワウソなど人気の動物が密輸の対象に?

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最近、カワウソが人気ですね。

愛嬌のある表情や仕草、家で飼うことも可能、とのことから、テレビやSNSでブームを引き起こしています。

水族館や動物園ではカワウソの人気投票が行われたり、個人の方でカワウソを飼っている方のTwitterは大人気で多くの方にフォローされています。

しかし、人気のカワウソ、ブームの陰には悲しいニュースもあるのです。

実は、カワウソはワシントン条約で附属書Ⅱにも掲載されている絶滅危惧種でもあるのです。絶滅の危機に瀕しているのに、人気であることから、高額で取引されています。そして、その市場価値がゆえに、生息地である東南アジアで野生の状態で幼獣が捕獲され、その親カワウソは殺されたりしているのだそうです。

ではなぜ絶滅危惧種の動物がペットショップで売られているのか?それは、国内で人工的に繁殖されたものであれば「野生生物」にあたらず、商取引してもいいからです。

しかし、カワウソは人工繁殖がまだまだ難しく、流通量が少なく希少で価格も60万円以上します。一部のエキゾチックアニマルを扱う業者では販売されていますが、入荷は相当待たなければないそうです。ただし、実はその動物がどういった経路で入手されたものであるかはわからないといいます。密輸されてきた動物である可能性も否めないのです。

需要があるのに入手が困難なため、密輸の対象にもなっています。2015年から2017年に東南アジアで密輸されそうになった59頭の生きたカワウソのうち、少なくとも32頭は日本向けであったそうです。

密輸された動物は動物を保護する観点から良くないことだというだけでなく、感染症の危険性があることを理解しなければなりません。

通常、動物の輸入には煩雑な手続きが必要です。輸出国政府発行の衛生証明書を入手し、輸入申告、輸入検疫または届出、CITESの入手などをしなければなりません。動物の種類のよって手続きは異なります。

◆犬、猫、うさぎ、鳥類、水産動物、その他の動物(牛、やぎ、羊、豚、いのしし等、馬、ミツバチ)

農林水産省・動物検疫所での輸入検疫が必要です。種類により輸入手続きが異なります。犬、猫の場合、個体識別用のマイクロチップの埋め込みや狂犬病の予防接種(2回)、抗体検査、輸出前待機(抗体検査の採決日から180日以上)、事前届出(日本到着日の40日前まで)、輸出前検査、輸出証明書の取得が輸出国で必要です。これらに不備があれば、日本到着後に一定期間係留しなければならず、犬については証明書との照合ができないと返送になります。また最悪の場合殺処分になってしまいます。

◆動物検疫対象以外の陸生哺乳類、げっ歯類(フェレット、ハリネズミ、ハムスター、モルモット等)、鳥類(オウム、インコ、鳩、文鳥等)

厚生労働省・検疫所に輸入届出が必要です。輸出国政府発行の衛生証明書も必要ですが、げっ歯類の場合、保管施設が輸出国の指定を受けていることなど条件が厳しく、自宅やペットショップで飼育されていたものでも基本的に持ち帰ることが難しい状況です。

以上の輸入手続きは個人で飼っているペットであっても、商業目的の輸入でも同じ手続きが必要です。

また、プレーリードッグやサル、タヌキ、コウモリ、イタチアナグマ、ハクビシン、ヤワゲヌズミは輸入禁止動物です。これらの動物は感染症を人に感染される恐れの高い動物として輸入が禁止されています。

例えば狂犬病は病名に「犬」とあるため、犬のみが媒介する病気のように勘違いされる方もいますが、すべてのほ乳類が感染源となる可能性があります。密輸される動物は輸出国と輸入国での検疫を通っておらず、致死率の高い感染症を持っているかもしれません。しかも、これらの動物が無責任な飼い主によって飼育放棄されたら、と思うと恐ろしいですよね。

私自身は動物が好きで、動物を扱ったテレビやSNSの投稿も見るのですが、ブームの陰の部分を思うと複雑な心境です。

2018/08/11

WTOで定められた報復関税とは?

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今年3月、アメリカのトランプ大統領が、アメリカに輸入される鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税を課す方針を示しました。

その理由は、現状の鉄鋼・アルミニウムの輸入量と世界的な過剰生産が、米国内の鉄鋼・アルミニウム生産施設の閉鎖を招いている。

そのために米国経済の弱体化や国家の非常事態時に必要な防衛上の需要を満たせない可能性があり、これは「米国の安全保障を損なう恐れ」であると言っています。

鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置は3月23日よる発動。これに対し各国が米国を非難。カナダ、EU、ロシア、メキシコ、中国などが、米国の輸入制限措置はWTO違反としWTOに提訴、報復関税を課す手続きをしています。(日本は今のところ対抗措置を留保しています。)

ということで、今日は何かと話題の「報復関税」についてお話しします。

「報復関税」とは、WTO(世界貿易機関)で定められている特殊関税の一つです。課税額は「報復」とあるように、報復する対象となる品目の価格以下を限度とします。例えば100億円分の輸入に対するなら、100億円以下の輸入に対して報復関税がかけられる、ということです。

日本においては関税定率法(第6条)に定められています。

1. WTO協定に基づいてわが国の利益を守り、その目的を達成するため必要があると認められる場合
2. ある国が、わが国の船舶、航空機、輸出貨物又は通過貨物に対して差別的に不利益な取扱いをしている場合などに、指定された物品の課税価格以下で課されます。原則として、WTOに提訴し、その承認を受けて、関税を課します。

過去には、米国の「バード修正条項」に関する報復措置として、2005年9月から2014年8月までベアリング(玉軸受)等の輸入に対し、報復関税を課しました。

「報復関税」のように、不公正な貿易取引や輸入急増などに対抗する措置として割増関税を課すことが認められています。これを、「特殊関税制度」と呼び、報復関税のほか、「相殺関税」「不当廉売関税(アンチ・ダンピング)」「緊急関税(セーフガード)」があります。

報復関税以外はその産業を代表する人が政府に対して課税を求めることができます。2018年7月現在、課税中のものは、中国産高重合度ポリエチレンテレフタレートに対する不当廉売関税など5件。調査中の貨物は中国産電解二酸化マンガンの不当廉売関税となっています。

関係法令・ガイドラインについては税関HPに詳しく掲載されています。
http://www.customs.go.jp/tokusyu/houreiguideline.htm

ただし、WTOでは特殊関税措置を認めながらも、その濫用を制限しています。

さて、話を現在の世界情勢に戻しますと、米国は中国に対して、知的財産権の侵害により膨大な不利益を被っている、として、中国からの輸入品に高関税をかけることを公表。第一弾として818品目340億ドルの自動車、情報通信機器などの輸入に対し、関税25%の上乗せを7月6日より発動しています。

この制裁を受けて、中国も報復措置をとりました。同規模の345品目340億ドルの農産品と自動車の輸入に対し、高関税をかける措置を同日発動しました。

応酬がここで止まるのであれば、世界経済に対する影響は限定的、との見方もあります。しかし、米国は中国が報復措置をとったことを受け、追加の輸入制限措置(2000億ドル分!)を発表しています。

米国から中国への輸入額は1,300億ドルなので、仮に中国が報復措置をとったとしても、金額は満たせません。そこで、お得意の米国製品の不買運動や旅行の制限、為替操作をすることが考えられます。中国内の米国企業が大打撃を受けることも考えられます。また、米国内の消費財は中国からの輸入品が多くを占めており、追加関税が課されれば、消費者の生活に直接影響が出てしまいます。

米中貿易戦争、どこに落としどころを持っていくのでしょう?いろいろな意見があるようですが、金正恩総書記と急に和解したように、来週あたり、トランプ大統領が習近平国家主席と何事もなかったように握手しているというオチなのではないでしょうか。

2018/07/17

VAT還付制度を賢くつかう海外での買い物

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夏本番となりました。
夏休みに海外旅行の計画を立てている、という方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、海外旅行で役に立つVAT(付加価値税)の還付についてお話ししたいと思います。

VATとは、Value Added Tax=付加価値税を指します。日本では消費税にあたります。

物品サービス税ともいい、物やサービスを購入した際に課せられる間接税のことです。

欧州やアジアの国々で導入されています。

VATは国内消費される物品にかかる税金です。輸出非課税の原則から、旅行者の購入品は輸出品とみなされ、免税または還付の措置が取られています。ヨーロッパではおおむね15~20%と高税率ですから、免税または還付されるなら、買い物がもっと楽しめますよね。しかし、それには条件と手続きが必要です。

◆すべてのお店、商品が対象ではない!
VATの免税や還付は国や機関が認めた店舗での買い物に限られます。日本でも「Tax Free」マークを見かけることが多くなりましたが、このマークのあるお店では免税書類(リファンドチェックやショッピングチェックと呼ぶ)を発行してもらえます。ただし、マークがなくても高級ブランド店などでは書類を発行できる場合がありますので、店員さんに確認しましょう。

また、食品や飲料などの消耗品は対象にならない場合があります。日本は消耗品も免税対象ですが、日本国内で開封してはいけないなど、一定のルールがあります。さらに、一般的に購入金額の下限と上限も設けられています。

◆すべての外国人が対象ではない!
入国後の滞在期間が一定期間以上(日本であれば6か月)を超える場合、適用されません。また、非居住者が対象者ですが、EU加盟国間の移動では還付されないので、EU圏の最終出国空港で手続きを行います。

日本人でも、海外在住者で6か月以内に出国する人は、免税対象者となります。ただし、消耗品は購入日から30日以内の輸出するものに限られるので、購入時期をよく考えましょう。

◆手続き方法は3パターンあり?
【1. 出国時に還付を受ける方法】
出国時に税関で購入品、レシート、パスポート、航空券または搭乗券を提示。お店で発行してもらった免税書類に輸出承認スタンプを押してもらいます。そして、リファンドオフィスや払い戻しカウンターでこれらを再度提示し、リファンド申請します。

【2. 出国時前に還付を受ける方法】
町中や大型店、アウトレットなどに設置されているリファンドオフィスで手続きすることで、還付を受けられます。

出国時には税関手続きが必要です。出国空港の税関で免税書類に輸出承認スタンプをもらい、期限内に書類を所定の住所に返送します。書類が期限以内に届かなければ、還付額と手数料の合計金額がクレジットカードに請求されてしまいます。

【3. 免税額で購入できる方法】
予めリファンド額を差し引いた金額で購入し、免税書類を発行してもらいます。出国前にリファンドオフィスで還付を受ける場合と同様に、出国時に税関手続き、書類の送付が必要です。

万が一税関が輸出承認スタンプを押し忘れると、免税が受けられません。また、購入品の確認を求められる場合があるので、機内持ち込みにするか、チェックインの際に手荷物引換証を発行してもらい、税関手続き後に荷物を税関職員に預けます。

払い戻しは現金かクレジットカード、小切手の自宅郵送の方法があります。リファンド率は手数料等を引かれるため、100%ではありません。

リファンド手続きを請け負っている会社はグローバルブルー、グローバルタックスフリーなど。払い戻しを受けられる主な国は、EU(イギリス、イタリア、オーストリア、オランダ、スペイン、ドイツなど)、シンガポール、韓国、オーストラリア、カナダなどです。

ところで、どちらも免税店と訳されるTax Free ShopとDFS(Duty Free Shop)。違いはご存知でしょうか?

・Tax FreeはVATのみの免税
・DFSは消費税のみならず関税や酒税、たばこ税等の複数の税金が免税されます。

その国の非居住者が利用できますが、日本では例外的に「Tギャレリア沖縄」で沖縄県外から来た人であれば利用できます。つまり、日本人でもOK。免税額でお買い物できます。

税率や適用金額、リファンドの方法は国によってそれぞれ違うので、旅行前には事前に調べておくといいでしょう。

2018/07/13

意外と知らない台湾の基本情報

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皆さんは台湾に行ったことがありますか?

私は学生時代にバックパックを背負って、旅行したことがあります。

いわゆる貧乏旅行でしたが、屋台での小吃や、夜市でのマンゴージュースがとても美味しかったことを覚えています。

台湾は関空から直行便で3時間弱、LCCなら往復2万円以下で行くことができ、人気の旅行先です。

面積は九州よりやや小さいくらいなので、3泊4日で主要観光地を周遊することもできます。

日本から人気の旅行先である台湾ですが、それ以上に台湾から人気の旅行先が日本です。台湾は世界一の親日国と言われています。だからというか、単に距離が近いからか、訪日台湾人は2017年456万人です。台湾の人口が約2,357万人ですから、単純に計算して5人に1人は訪日経験があることになります。ちなみに、日本からの訪台者数が約190万人です。

日本が人気の旅行先に選ばれている理由の一つに、距離が近い、ということがあげられます。台湾は大型連休が少なく、あまり長期の旅行がしにくいという事情があります。そこで、2・3泊で行ける近隣国が人気です。

日本は四季がはっきりしていて、四季折々の景色や食べ物を楽しむことができます。台湾にも四季はありますが、基本的に沖縄のように年中温暖で、特に夏は非常に蒸し暑いです。ですから、冬はスキー、夏は涼しい北海道が年間通して人気です。

さて、「台湾」は国名だと思っている方はいませんか?
台湾とは、「中華民国」が実効支配している島の名前です。では、「中華民国」が台湾の国名?それもちょっと、違うのです。

少し台湾の歴史を紹介しますと、もともと先住民が住んでいた台湾に福建省や広東省など中国大陸沿岸部の人々が最初に移住してきたのが17世紀頃のことです。その後、清朝の支配下に置かれる時代や、日本統治時代を経て、第二次世界大戦後はそのころ中国大陸を統治していた中華民国政府が領有していました。(日本は台湾統治を放棄した、というだけで、どこに帰属するかは明確にしておらず、国際法上の領有権は未確定という見方もある。)

戦後、中国では中華民国政府VS人民解放軍(中国共産党)の内戦が激化します。中華民国政府は大陸での支配地域をどんどん奪われていき、最終的には台湾に政府機構を移転します。政府機構だけでなく、財産や文化財なども移転させており、台湾に故宮博物院があるのはこのためです。一方、人民解放軍は中華人民共和国の建国を宣言します。

その後、冷戦の文脈の中で国連が「中国代表権」を中華人民共和国に移し、アメリカをはじめ、各国が中華人民共和国を承認します。「中華人民共和国(中国)」と「中華民国」はどちらも自分が正統な政府機関である、と主張していましたから、片方を認める、ということは片方を認めない、ということです。中華民国は中華人民共和国と国交を結ぶ国々とは国交を結んでいないか、断交しています。

中国は「一つの中国」という原則を掲げており、台湾を取り戻すことが中国共産党の最終的勝利だ、としています。しかし、軍事力も経済力も大きな中国が、台湾に強力に手を出さないのは、アメリカが関係しています。過去に中国は台湾の基隆沖海域にミサイルを撃ち込むなどの威嚇行為を行いました。その際、アメリカ軍は台湾海峡に空母を派遣。「アメリカは必要な場合には、台湾を助けるために台湾に近づく」と中国に警告しています。

各国は台湾と正式な国交がなくても、非政府組織の窓口機関を通じて外交関係を続けています。WTO(世界貿易機関)は、領域を代表するもの、として台湾の加盟を認めています。中華民国という呼称を使いませんが。

日本は台湾との関係を「非政府間の実務関係」という立場をとっています。非政府とはいえ、事実上の大使館の役割を果たす「日本台湾交流協会」を設置していますし、当協会を通じて二国間協定も存在します。正常な国交を持つ国と何ら変わりありません。

中国と台湾の関係も変化しています。お互いに正式な政府とは認め合っていませんが、経済的・人的交流や貿易も盛んです。

外交や政治の世界は、白黒つけずに棚上げすることで各方面の均衡を保つという複雑なものです。日本との歴史的関係性や台湾のナショナリズムや政治の話など、あれこれ調べると奥が深いものです。皆さんも台湾を訪れる際は、予備知識をたくさん仕入れていくと、また違った旅行の楽しみ方ができるかもしれません。

2018/06/29

有害な廃棄物の輸出入を規制するバーゼル条約って?

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前回のコラムでは中国が廃プラスチックや古紙など、資源ゴミの輸入を禁止したことをお話ししましたが、中国に限らず、資源ゴミの輸出入は比較的多く行われています。

また、中古電化製品を輸出販売したり、廃基板などから金属などを取り出し資源として販売したりするビジネスもあります。

しかし、資源ごみや中古の電化製品には有害物質が含まれていたり、それらが付着したまま途上国に廃棄する悪質な事業者もいました。

有害物質は人の健康や自然環境を損ねる恐れがあります。1980年代には有害廃棄物による事件が多発しました。そこで、有害廃棄物の越境移動の国際的なルールとして、1992年にバーゼル条約(正式名称:「有害廃棄物の国境を越える移動およびその処分の規制関するバーゼル条約」)が制定されました。日本は1993年に加入しています。

条約では、規制の対象となる有害廃棄物とその他の廃棄物を特定し、これらの廃棄物を輸出するには輸入国の同意が必要、としています。また、締約国は廃棄物を可能な限り自国で処分すること、不法取引の犯罪性を認め罰則を設けること、非締約国との廃棄物の輸出入を原則禁止とすること、廃棄物移動は移動書類を添付すること、などが規定されています。

*バーゼル条約締約国とは別にOECD加盟国間や2国間協定のある場合、これに基づく規制が適用されます。

条約で規制対象となるものは、最終処分又はリサイクルを行うために輸出入されるものであって、医療廃棄物や鉛蓄電池、廃油、めっき汚泥、廃石綿、シュレッダーダストなどです。原則規制対象外なのは、鉄くず、貴金属のくず、固形プラスチックくず、紙くず、繊維くず、ゴムくずなどです。

また、バーゼル条約の国内対応法として、バーゼル法と廃棄物処理法が施行されました。両法律でも規制対象物が示されています。バーゼル法はバーゼル条約を踏まえて規制対象物を決めており、有害性によって判断されます。廃棄物処理法では価値(無価物が規制対象)で規制対象かどうかを判断します。

国内法で規制対象のものを輸出入する際は経済産業省の承認・移動書類交付、環境大臣の輸出確認・輸入の許可が必要です。バーゼル法と廃棄物処理法は規制対象物が違うため、貨物によっては両方が適用となる場合もあります。また、条約に従い、輸出国への事前通告、輸入国・通過国の同意が必要です。

規制対象かどうかの該否判定は簡単ではありません。対象外リストに掲げられている貨物であっても、鉛やヒ素、ダイオキシン類など一定以上を含んでいれば有害廃棄物として規制対象になります。モーター、配電盤、基板など有害物質を含む可能性があるものは、分析を行い、バーゼル法の基準により判断します。そのほか、経済産業省・環境省では該否判断についての事前相談を行っています。

パソコンやテレビなど使用済み電化・電気機器をリユース目的で輸出する場合、輸出承認を得る必要はありませんが、梱包の仕方や破損・劣化等貨物の状態により、無価物とみなされます(無価物は廃棄物処理法で規制対象)。また、輸出先国で条約上の有害廃棄物と判断されたり、その国の規制で輸入禁止されていたりする場合は、不適正な輸出としてシップバックされる恐れがあります。

汚れや異物混入のないもの、破損しないような保護のされたもの、輸出先国の規制を理解すること、正常作動性を確認したものであることも輸出のポイントとなります。

経済産業省HP:バーゼル条約・バーゼル法の概要、仕組み、手続き等
http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/10/bsimple_judgmentsys/outline.html

2018/06/05

中国が日本のゴミ輸入を禁止に

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昨年7月、日本の、いや世界の廃棄物事業者にとって衝撃的な発表がされました。

それが、中国の「海外ごみの輸入禁止と固形廃棄物輸入管理制度改革の実施計画」です。

「計画」では外国ゴミの国内持ち込みを禁止し、国内で出される固形廃棄物の無害化、資源化再利用を促す、としています。

業種・種類ごとに輸入禁止のタイムテーブルを策定。

2017年末前に、環境への危険リスクが高く、人への健康被害が大きい固形廃棄物の輸入を全面禁止、2019年末までには国内の資源ごみで代替え可能な固形廃棄物の輸入を縮小していく予定です。

全面禁止となった固形廃棄物は、生活ごみとしてだされる廃プラスチック、未処理の古紙、皮革製品・繊維系の廃棄物、汚泥、医療廃棄物、バナジウムスラグなど。

中国は長年にわたり、世界各国から廃プラスチックや古紙など再生利用できる廃棄物を輸入してきました。その理由の一つは、中国国内の原料不足を補うためです。廃プラスチックは処理してペレットなど原料にし、中綿やプラスチック製品を作ります。石油原料からプラスチック製品を作るより、廃プラスチックを輸入してリサイクルした方が簡単。また輸出側も中国でリサイクルした方が安上り。双方の思惑が一致したこともあって、中国の廃プラスチック輸入量が膨大な量になりました。ピーク時(2012年)で888万トン、2016年では735万トンです。

国別にみると1位:香港24%、2位:日本12%、3位:米国9%です。日本は廃プラの50%を中国、32%を香港に輸出しています。日本から香港に輸出されたものが中国に輸出されるので、最終的にはほとんど中国行きです。

ではなぜ、長年の方針を転換して、廃棄物輸入禁止にかじを切ったのか?それは、関係各部門が環境リスクに配慮し、輸入管理してきましたが、汚染物質やその他のごみの混じった粗悪・悪質な貨物が大量に輸入されていること、その影響で環境汚染が深刻化していることなどがあげられます。公害対策が十分でない加工業者も多く、汚染物質が河川に垂れ流されているといいます。

さらに、中国国内のゴミ事情も関係しています。中国は経済発展とともに、ゴミの量も増え続けています。埋立地も満杯状態で、都市部郊外ではゴミの山が築かれています。ゴミ処理の技術や分別回収も進んでいない状況で、特に都市部の生活ごみ処理が深刻な問題となっています。

海外からリサイクルしやすい状態にした廃棄物を受け入れていたのでは、国内の分別リサイクルが進みません。また、国内廃棄物だけでも環境汚染がひどいのに、さらに海外の汚染物質付き廃棄物の買い取るなんてお断りだ、というのも本音ではないでしょうか。

さて、人体や環境に有害な廃棄物の輸出入を規制する国際的枠組みに、バーゼル条約(正式名称:有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約)があります。有害な廃棄物などの国を越える移動を規制、廃棄物によるリスクから人の健康と環境を守る条約です。

バーゼル条約を実施するための日本の国内法はバーゼル法(特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律)、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の二つです。

バーゼル条約、バーゼル法、廃棄物処理法と輸出入の関係はまた、次回以降のコラムでお話ししたいとおもいます。

2018/05/18

原産地証明書識別コードが4桁になったために!

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税関への輸入申告などの通関業務や外国貨物の移動といった港湾関連業務は、NACCSというオンライン電子システムが利用されています。

NACCSについては以前、
「港湾業務の強~い味方!NACCS(ナックス)」
で詳しくお話ししました。

そちらでも触れているのですが、NACCSは昨年10月に更改され、現在は第6次NACCSが稼働しています。

さて、新NACCSになって約半年、通関業者を悩ませているのが原産地証明書識別コードの4桁化、です。

通関業務に従事していない方にとっては全く聞きなれない言葉ですよね。原産地証明識別コードとは、特恵税率の適用可否や原産地証明書の有無を示す記号です。原産国を示すコードとは別に存在します。

旧NACCSでは1桁で表し、28種類ありました。しかし近年、経済連携協定(EPA)が増え、どのEPAを適用しての申告なのか、また、原産地証明書(CO)だけでなく、認定輸出者による自己申告制度など、原産地を証明する方法も多種多様になってきました。

さらに、交渉中の経済連携協定があることや、環太平洋パートナーシップ(TPP)施行も控えています。近い将来、1桁ではコードが足りなくなることが予想されました。また、TPPでは、どの締約国から輸入されるかによって適用税率が異なるため、それぞれの国に対応するコードを割り当てたい。その方がわかりやすい、ということで、コード体系の見直しがされました。

4桁になった原産地証明書識別コードは以下3つの項目を組み合わせたものです。
原産地(申告)種別(2桁)+ 原産地証明書等区分(1桁)+ 貨物の種類(1桁)

「輸入申告事項登録(IDA)時における原産地コードの入力について」
https://bbs.naccscenter.com/naccs/dfw/web/qanda/docs/2017100700059/

例えば、中国から輸入するTシャツで、貨物やインボイスにMade in Chinaの記載がある場合、中国はWTO協定国なので「WK」、中国産Tシャツは特恵が適用できない品目なので原産地証明書(CO)は提出不要で「O」、貨物やインボイスに原産地表示があるので「R」。これを組み合わせて「WKOR」となります。

ベトナムから輸入するTシャツで、輸出国発給のCOがあり、日ベトナムEPA税率適用要件を満たす場合、「VNT4」となります。ベトナムはアセアン加盟国でもありますから、日アセアン包括EPAを利用した輸入なら「AST4」です。

より分かりやすいんだよ、と言われても、1桁から4桁へ増えることは実務に当たる人にとって、大きな負担になります。入力ミスは更改前から予想され、税関に柔軟な対応を求めてきたようですが、現実はなかなか厳しい。原産地証明書を提出しても入力を間違えていればEPA協定税率不可、という判断がされています。

通関業者の入力ミスであれば、輸入者には責任はありません。本来無税または低税率で輸入できるものが高関税を払うことになったら、すべて通関業者が負担しなければなりません。

通関業者にとってなんと緊張感のある更改。。。
輸出申告に比べ、輸入申告業務は本当に気を遣うお仕事だと、改めて感じる事案です。

参考記事:

「港湾業務の強~い味方!NACCS(ナックス)」
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/moto_tsuukanshi/2017-10-28

2018/05/08

輸入豚肉に課される差額関税制度って何?

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「差額関税」という言葉、初めて聞く、という方も多いのではないでしょうか?

貿易実務に従事する方でも一部の方しか知らない言葉かもしれません。

なぜなら、今現在では豚肉の輸入にしか適用されていない関税制度だからです。

食品輸入に関わる人なら知っている、でもちょっとグレーな匂いのする制度です。

そもそも、差額関税とは、外国からの輸入製品の急な価格高騰から消費者を守るため、そして低廉な輸入品増加から国内生産者を守るため、この2つの目的で設けられた制度です。一般に税率というのは1つの商品分類で1つの税率ですが、差額関税は基準輸入価格と課税価格の差額が関税になります。

具体的にみていきましょう。

現在、豚肉には課税価格によって3種類の税率が適用されています。

1.従量税適用限度価格(64.53円/㎏)を下回るもの・・・関税率482円/㎏
2.従量税適用限度価格以上、分岐点価格(524円/㎏)以下・・・1㎏あたり基準輸入価格(546.53円)と課税価格との差額
3.分岐点価格以上・・・4.3%

2が差額関税になります。例えば510円/㎏の冷蔵の部分肉なら、2なので、546.53円-510円=36.53円/㎏の従量税が課さるというわけです。100円/㎏であれば446.53円/㎏というように、輸入価格が安いと関税が高く、輸入価格が高いと関税が低くなります。

差額関税の最小関税額は、基準輸入価格546.53円と分岐点価格524円の差ですので、22.53円/㎏です。もしも分岐点価格に近い価格に調整すれば関税額は最小で済みます。そこで、価格の安い部位と高い部位を組み合わせて通関価格が分岐点価格付近になるよう調整して輸入することがほとんどなのだそうです。これをコンビネーション輸入といいます。事実、近年の平均課税価格は23円/㎏で推移しています。

コンビネーション輸入で節税、なら正当な方法と言えなくないですが、実際の価格は安いのに、あえて高い価格で通関する脱税行為も後を絶ちません。従量税が適用されると価格の高低は直接影響しなくなります。消費税は高くなりますが、それよりもうま味が大きいのでしょう。税関の事後調査で肉類の納付不足税額は常に上位です。

過去に大きな輸入豚肉関税脱税事件も起きています。かつて私の知り合いは、勤務先が関与していたそうで、頭を抱えていました。どうやら通関業者も高価申告であることを知っていたようで、悪質とされて業務停止命令を受けたそうです。

ちなみに、TPP、日欧EPAでは発行後10年目に従量税50円/㎏、従価税無税に削減、ただし差額関税は維持されコンビネーション輸入すればほぼ無税で輸入できることになります。11年目まではセーフガードの発効を確保しています。

関税額最小になるように調整されるのに、差額関税制度をなぜ維持し続けるか。これはコンビネーション輸入するためには高い部位も輸入しなければならず、安い部位だけが大量に輸入されることを抑制する効果を見込んでいるからです。

高い部位、安い部位がバランスよく輸入されることで、市場価格の混乱を避け、国内の畜産農家を守ることになる、と農水省は説明しています。

2018/04/12

UPOV(ユポフ条約)で農産物の優良品種を守ろう!

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まだ記憶に新しい平昌オリンピック、女子カーリングで競技の盛り上がりとともに話題になったのはハーフタイム、通称「もぐもぐタイム」でしたね。

その時に選手たちがよく食べていたのが、イチゴでした。彼女たちは「韓国のイチゴは甘くておいしい、お気に入りだ」と言っていました。

しかし、その後テレビやインターネット上で、この「韓国イチゴ」がやや訳ありだ、ということが報じられたことはご存知でしょうか?

何が問題なのか、というと、

韓国で栽培されるイチゴの多くは日本で開発された種苗が元となっており、その種苗は日本から無断で持ち出されたり、開発者の許可なく韓国国内で増殖されたりしたものだ、ということです。

一時期は「韓国産」のイチゴが日本に輸入されていましたが、さすがにこの事実を確認した日本政府が、韓国側に輸出禁止とロイヤリティの支払いを要求しました。しかし、このロイヤリティの支払いが高いことなどから、日本産イチゴから開発した新品種を韓国産イチゴとして品種登録しました。現在、韓国産イチゴは香港や東南アジアに輸出されており、高級フルーツとして人気だそうです。もし韓国に日本産イチゴの種苗が渡っておらず、日本から各国にイチゴを輸出していたら、として政府が出した試算では、5年間で最大220億円といいますから、相当の輸出機会が奪われてしまった、と感じてしまいます。

韓国のイチゴだけでなく、「紅ほっぺ」(イチゴ)や「シャインマスカット」(ぶどう)などの品種が中国や韓国で栽培され、輸出されていることが確認されています。過去には、北海道が権利者であるインゲン豆の一品種が無断で持ち出され、その収穫物が日本に輸入されようとしました。この時北海道は輸入差し止め手続きを取りました。その後、白あんなどの加工品にして輸入されても区別できるよう、DNA識別技術を開発しています。

農産物の優良品種の持ち出しや海外での無断増殖は、輸出マーケットの喪失やブランド力低下など、日本産農産物の輸出への影響が懸念されます。そこで政府は対策として、海外で品種登録(育成者権の取得)を呼び掛けています。

品種の育成者は、種苗法に従い品種登録を行うと、育成者権を取得できます。知的財産の一つである育成者権があれば、栽培や販売の差し止め、生産物回収や損害賠償請求などの対抗措置が可能です。

また、品種保護に関する国際的枠組みとして、「植物新品種の保護に関する国際条約(UPOV条約)」(ユポフ条約)があります。締約国は品種登録を行ったものに育成者権を与えること、またこれを保護する義務があります。

育成者権は国ごとに取得しなければならず、A国で育成者権を主張するには、A国で品種登録しなければなりません。また、その国での販売開始後4年(果樹など6年)以内に出願申請しなければなりません。国内での出願後、速やかに海外出願することが望ましいです。

ただ、申請料や手続きの負担感からか、品種登録してないものが多いそうです。そこで農林水産省では出願費用の一部補助や相談窓口を設置するなど、海外での品種登録出願を支援しています。

ぶどうやりんご、いちごなど日本から海外への輸出額はここ数年伸びています。特に香港や台湾、シンガポールへの輸出が多く、これらの国はフルーツを贈る文化があり、贈答用に「日本産」フルーツが人気だそうです。

フルーツだけでなく野菜や穀物の優良品種が多い日本。海外の生産者からすれば、自国で開発するより、すでにある優良品種を栽培したいと考えるのではないでしょうか?育成者権を使ってライセンス生産、ロイヤリティ収入を得ることや、日本と世界各地で栽培することで通年供給することも可能です。工業製品だけでなく、農作物にも知的財産対策・戦略を考えていかなければなりません。

2018/3/31

保税地域ってどんなところ?何ができるの?

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保税地域という言葉をご存知でしょうか?

保税地域とは、簡単に言うと、外国貨物を外国貨物のまま置くことができる場所です。

外国貨物とは、これから輸出しようという貨物であれば輸出許可後の貨物、輸入してきた貨物であれば輸入許可を受ける前の貨物のことです。

「保税」という言葉が示すように、関税・消費税など輸入の際に発生する税金を留保できる場所、という意味もあります。そして、原則として保税地域から貨物を引き取る時に関税などを払います。

保税地域には5つの種類があります。
1.指定保税地域
2.保税蔵置場
3.保税工場
4.保税展示場
5.総合保税地域

1と2は外国貨物の積みおろし、運搬、蔵置ができる場所です。特に指定保税地域は税関手続きのための蔵置場所で、税関所在地の近くにあります。国や都道府県など地方公共団体が管理・所有する土地で、財務大臣指定により設置されます。だれでも自由に安く利用してもらうため、長期間の蔵置が認められていません。一方、保税蔵置場は原則2年の蔵置が認められており、税関所在地近くに限らず、内陸地にもあります。

3は外国貨物の製造・加工ができる場所です。認められた期間(原則2年)内に製造・加工し、製品を外国に送ります(積戻し)。保税工場と保税蔵置場が併設されている場合もあります。食品や石油製品、機械など、日本でも様々な製品が製造・加工されています。飛行機内で提供される機内食は保税工場で加工されていたりします。原材料は外国貨物だけでなく、日本国産の原材料を使用することも認められています。これを内外貨混合使用と呼びますが、その場合も全量外国貨物とみなされます。

4は外国貨物を展示する場所です。国際展示会や博覧会などではこの制度を利用して行われることがあります。

5は2から4の機能をすべて併せ持つものとして指定された場所です。通常なら保税地域間の移動は保税運送という手続きが必要ですが、総合保税地域内では手続きなしでも外国貨物の移動ができます。もともと保税蔵置場や保税工場が集まった地域に対応する制度として創設されましたが、あまり多くはありません。

保税地域が設けられた目的は、「輸出入貨物を法の規制下に置くことにより、秩序ある貿易を維持し、関税などの徴収の確保を図るとともに、貿易の振興及び文化の交流などに役立てること」です。

「貿易の振興及び文化の交流」とあるように、文化交流のためにも保税地域は利用されています。例えば美術館や国際展示会などでは保税展示場の承認を得て美術品などが展示されています。保税展示場への搬入には展示等申告書を税関に提出して承認を受けます。私も旅行先の博物館で「保税展示場」と書かれた立て札の先にある清や唐の時代の陶器を鑑賞したことがあります。その時、これらの展示品は外国貨物でこのロープの先は保税地域なんだなぁと一人感慨にふけっていました。(何を興奮しているんだ?と家族には理解されずです。。。)

ちなみに、展示会に外国貨物のまま展示する方法はATAカルネを取得する方法や再輸出減免税で申告する方法もあります。この場合、展示会場が保税展示場の承認を受けていなくてもかまいません。

機内食の加工や美術品の展示など、「保税地域」を身近に感じられる場所もあります。港湾地区を走るトラックを見かけて外国貨物の保税運送中なのかな、などと考えてみるのもおもしろいかもしれませんね。

2018/03/27

カーリングのストーンって関税かかるの?

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平昌オリンピック、始まる前は政治的な問題もあり成功が不安視されていました。でも、はじまると日本選手の大活躍ぶりになんとも盛り上がりました。

私はやはり女子チームが気になり、スピードスケートとカーリングに釘付けになりました。

カーリングは見た目には淡々と進む頭脳系競技なのですが、エンドが近づくと1投1投にハラハラドキドキ。

そして笑顔でお互いをたたえあう彼女たちの姿にたくさんの感動をもらいました。

そこで気になったのがカーリングのストーン。テレビのワイドショーなんかでもストーンについて解説されていましたが、1個20㎏、10万円くらいするそうです。これを1チーム8個×2チームなので、1試合に16個用意しなくてはなりません。

ストーンは花こう岩でできており、特に強度と滑りやすさに優れた、スコットランドのアルサクレイグ島産のものが国際大会で使用されています。試合では会場にあるものを使うそうで、選手が揃える必要はありません。ストーンは耐久性が高く高額なため流通量が少なく、店頭で売られていることはないようです。

ただ、もし輸入するなら・・・、ということでカーリングのストーンの税番を調べてみました。

実行関税率表の見方も解説していきますので、ここから先は税関のHPから実行関税率表も開いて読んでいくとわかりやすいでしょう。

実行関税率表
http://www.customs.go.jp/tariff/2018_1/index.htm

まずは材質分類になるのか用途分類になるのかをチェックします。ストーンは石を加工してプラスチックの持ち手を付けたものです。石でできた製品は第68類「石、プラスター、セメント、石綿、雲母その他これらに類する材料の製品」に当てはまります。用途で考えると、第96類「がん具、遊戯用具及び運動用具並びにこれらの部分品及び附属品」が当てはまります。

では、どちらのほうに分類されるかを詳しく見ていくために、「類注」をチェックします。すると、68類注の除外物品に「第95類の物品(例えば、がん具、遊戯用具及び運動用具並びにこれらの部分品及び附属品)」とあります。ということは、カーリングのストーンは石でできていますが、運動用具なので、68類から除外され、95類に分類される、ということになります。

次に95類を見ると、9506-「身体トレーニング、体操、競技その他の運動(卓球を含む。)又は戸外遊戯に使用する物品(この類の他の項に該当するものを除く。)及び水泳用又は水遊び用のプール 」に当てはまります。9506-を下にスクロールしてぴったり当てはまるものを探していくと、9506.91-000「その他のもの-身体トレーニング用具、体操用具及び競技用具」が一番ふさわしい税番です。

さて、タイトルの答えですが、関税は無税です。

ちなみに、選手たちがはめているグローブ。手袋は95類注に「手袋、ミトン及びミットは構成する材料により該当する項に属する」、とあるため、表面の構成材料の面積が一番大きいものが何であるかで決まります。主要材料が革なら42類、合成皮革なら39類(プラスチック製品)か61類(ニット製品)、合成皮革以外の繊維製でも61類が当てはまるでしょう。

2018/03/08

並行輸入品の商標権侵害は3要件で決まる?

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先日、小学3年の息子が「これ買う」と言って指定してきたものは、ネットショップで売られている並行輸入品のおもちゃ(フィギュア)でした。

日本未発売品らしく、価格も妥当。でも、職業柄か、並行輸入って書いてあるけど大丈夫なの?

と思ったので、今回は「並行輸入」について、書きたいと思います。

「並行輸入」とは、日本の正規代理店を通さずに、別のルートで真正品を輸入することを指します。

一般的に有名ブランドの販売ルートは、商標権を持つ海外のメーカーまたは輸出者から日本の総代理店契約を結んだ輸入者が輸入し、一般消費者に販売しています。しかし、商標権者と正式の契約を結んでいない第三者により輸入販売されることがあります。これを「並行輸入」と呼びますが、権利者の許諾なしに輸入販売することは権利侵害行為ですので、本来なら輸入は差し止められます。しかし、過去の判例から真正品(ホンモノ)の並行輸入は一定の要件を満たせば商標権の侵害に当たらないとされています。

では、その要件とは?

1.適法性の要件
当該商品に付された商標が、外国の商標権者等により適法に付されていること。商標権者でないものが商標を付した商品は偽造品、ニセモノです。当然、輸入販売することはできません。

2.同一人性の要件
外国の商標権者と日本の商標権者が同一人、又は法律的・経済的に同一視できる関係であること(持ち株会社など)。ただし、同一視できる関係の範囲は個々の判例を見るしかありません。

3.品質管理性の要件
当該商品と日本の商標権者が扱う商品とが、品質において同等であること。しかし、実際の品質に差がなくても、日本の代理店が独自の宣伝広告などでグッドウィル(顧客牽引力)を築いている場合、並行輸入品とは品質に差異があるとして、違法とされました(1996年クロコダイル事件)。逆に、商標権者が厳格に品質管理を行っていることを前提に、海外ライセンシーと日本ライセンシーの商品に差異があったとしても、品質が保証されているとして違法ではないとされた場合もあります(1984年ラコステ事件)。

以上の要件を確認するためには、

1.当該商品の物品本体をホンモノと見比べること
2.権利者から輸出者の手に渡るまでの流れを書類で確認すること

が必要です。
この2点をクリアにしなければ、いざ商標権侵害を疑われたときに合法性を立証することが難しいでしょう。

また、商標権者が製造を委託したメーカーが横流しした品物を購入することも違法です。真正品ではありますが、知的財産権を侵害するコピー商品とみなされます。

税関が「水際取り締まり」を行っている知的財産は商標権のほか、特許権、実用新案権、意匠権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成権を侵害する物品、それと不正競争防止法違反物品です。権利の種類により、並行輸入として認められる要件も違うため、それぞれの法律と判例を確認して輸入しましょう。

さて、息子が買った「並行輸入品」。無事に我が家に届き、遊んでいます。日本語の説明書がなく、組み立てに苦労したそうですが、日本未発売品が買えた、というメリットは享受しているようです。

2018/02/12

日本酒、焼酎などの酒類を輸出するには?

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海外では日本食ブームと言われています。日本食レストランが世界各地で急増中。それに伴い酒類の輸出も増えています。

2016年の酒類の輸出金額は約430億円。これは、10年前に比べて3倍以上の伸びです。

輸出先国はアメリカ、韓国、台湾が多く、中国やタイ、ヨーロッパでも人気です。

日本の酒類といえば日本酒で、輸出額も1位です。次いで、ウイスキー、ビールが輸出額2位3位となっています。

世界で注目される日本のお酒、輸出するにはまず日本の「輸出酒類卸売業免許」を取得します。この免許は、申請時点ですでに輸出相手候補との取引見込みがあることが条件です。ですので、国内外で開催される見本市や商談会で取引相手を探したり、貿易商社を介すなどして輸出相手を見つけます。

国税庁の行った酒類輸出企業へのヒアリング調査によると、取引相手との信頼関係を築くことが輸出継続のポイントでもあるようです。実際に現地に何度も足を運び、一緒にマーケティングや販促を行うという企業もあります。

続いて、輸出先国の規制や法律への準備に関して。

各国で違いますが、ほぼ共通してクリアしなければならないのがラベル表示規則です。例えばアメリカですと、TTB(酒類・たばこ税貿易管理局)からラベルの表示内容について承認を受けなければなりません。酒の種類によってそれぞれ規定があり、日本酒であれば、ワインと同じ規定が用いられます。

そのほか、
・容器・容量に関する規制
・農薬・抗生物質・食品添加物に関する規制
・食品の衛生上の安全を確保するための法律による規制
・福島原発事故に関連した輸入規制
・輸入ライセンス
などがあります。

東日本大震災以降、日本からの食品輸出に規制がかけられており、輸出したい商品が規制対象でないかの確認が必要となりました。規制対象である場合、輸出できる産地や安全を証明する書類の提出が必要です。しかし、徐々に規制解除になってきているので、最新情報を確認することをおすすめします。

食品の衛生上の安全を確保する法律とは、日本でいうところの「食品衛生法」にあたります。輸入時に検疫機関で検査を受けるほか、アメリカや中国など生産過程で関わる施設や企業の登録が必要な国もあります。台湾では日本国内での検査証明があれば、書類審査のみとなります。

また、通常、日本国内での酒類の流通には酒税が徴収されますが、輸出する場合、酒税の輸出免税が適用されます。
適用要件は
・製造者自らが輸出する場合(通関業者に通関手続きを委託する場合を含む)
・製造者が、許可を受けた輸出業者の蔵置場に移出して輸出される場合(国内の輸出商社は1社のみ経由)
上記の場合であって、法定の期限までに外国に輸出されたことの明細を記載した書類を税務署に提出して免税されます。

酒類の日本国内での需要は、健康志向などを背景に縮小し続けています。一方で、海外では健康志向からの日本食ブームで日本からの酒類輸出が増加傾向といわれます。同じ文脈で結果が全然違うのは興味深いですが、世界中で日本食や日本のお酒が受け入れられているのはうれしいことです。

国税庁HP酒類輸出支援の取り組み
https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/yushutsu/01.htm#a03

日本酒輸出ハンドブック
https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/yushutsu/handbook/index.htm

2018/01/19

お酒の輸入、手続きや税金は?

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年末年始、ワインにビール、ウイスキーなどなど、いろいろな種類と生産国のお酒をたしなんだ方も多かったのではないでしょうか。

そこで、今回は、お酒の輸入に関する手続きや税金を紹介します。

お酒の輸入には用途によって必要な届出や免許が違います。

1.個人使用の場合(総量10㎏以下)
お土産で携帯や別送で持ち込む場合、760ml程度を3本までであれば関税、消費税、酒税の免税。

2.飲食店などの経営者が自身の店でお客さんに提供する場合
食品等輸入届出が必要。

3.販売目的の場合
食品等輸入届出に加え、酒類の販売業免許が必要です。
a. 輸入者が直接一般消費者に販売する場合、「一般酒類小売業免許」や「通信販売酒類小売業免許」
b. 輸入者が他の酒類小売免許を持った業者に卸す場合、「輸入酒類卸売業免許」
c. a、b両方する場合は両方の免許

輸入したお酒を保税地域から引き取ろうとする際には、容器の見やすいところに、輸入者名と住所、引取り先所在地、容器の容量と酒類の品目、そしてその品目に応じて法令で定められている事項をわかりやすく表示しなければなりません。表示方法は税関長への届け出が必要です。食品等輸入届出には原材料や製造工程表なども必要です。製造元に必要書類をそろえてもらいます。

さて、気になる酒類の酒税と関税は?

お酒は酒税法上、発泡性酒類(ビール、麦芽発泡酒、その他の発泡性酒類)、醸造酒類(清酒、ワイン等果実酒)、蒸留酒類(ウイスキー・ブランデー・スピリッツ)、混成酒類(リキュール・甘味果実酒、みりんなど)に分けられます。

それぞれ、kl(キロリットル=1kℓは1,000ℓ)当たりの税率、例えばビールだと220,000円/kl、ワインは80,000円/klの税率が課されます。さらに蒸留酒類などはアルコール度数が上がるごとに10,000円/klが加算されます。350mlの缶ビールで一本当たり77円です。これは一般小売価格の35%前後だそうです。アメリカの約12倍、ドイツの約20倍です。他の酒税の高い国でも25%といいますから、かなりの高税率です。

関税率はお酒の種類やアルコール度数に応じて定められた実行関税率表に従います。例えばビール(2203.00-000)はWTO税率無税、ワイン(2204.21-020)はWTO税率15%又は125円/1のうちいずれか低い税率ただしその税率が67円/1を下回る場合67円/1、です。チリやオーストラリアなど、FTA協定税率を適用すれば、もっと低い税率になります。

これらの税金は原則として消費税も含めて保税地域から引取るとき(輸入通関時)に納税します。納期限延長制度を利用することができますが、関税・消費税の手続きとは別に手続きが必要です。

財務省HP:酒税の税率
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/123.htm

関連コラム:食品輸入では忘れられない食品衛生法
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/moto_tsuukanshi/2017-11-06

2018/1/5

畜産物の輸入に求められる動物検疫

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前回前々回に続き、今回も食品輸入の手続きについてです。今回は食肉やその加工品など畜産物について。

畜産物は家畜伝染病予防法の規制を受けます。この法律は家畜の伝染病の侵入とまん延防止のために定められています。

これにより畜産物は輸入の際に動物検疫が必要とされています。

検疫対象となる指定検疫物は偶蹄類の動物(牛、豚、山羊、羊、鹿など)、馬、家きん(*)、犬、兎、みつばち由来もので、
1.肉・臓器(生、冷凍、加工調理済みなど形態問わず)
2.卵(卵殻含む)
3.骨、脂肪、血液、革、毛、羽、角、蹄、腱
4.生乳、精液、受精卵、未受精卵、ふん、尿
5. 乳製品(おみやげなど携帯品や容器充填後に加熱滅菌されたものなど除外品あり)
6.穀物のわら、飼料用の乾草
*家きん:鶏、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥及び七面鳥並びにあひる、がちょう、その他のかも目の鳥類

口蹄疫(BSE)や鳥インフルエンザなどの発生状況により輸入禁止地域が指定されています。しかし、輸入可能地域であっても伝染病の発生状況によって禁止地域になります。

指定検疫物を輸入しようとする者は、検疫物の日本到着後すぐ、船便の場合は検査希望日までに、「輸入検査申請書」を動物検疫所に提出します。NACCSでの申請も可能です。

申請書を受け取った防疫官はまず書類審査を行います。申請書には輸出国政府機関発行の「検査証明書」、必要に応じてインボイス、パッキングリスト、船荷証券、原材料表、加工工程表などを添付します。

審査の結果、
・検査省略となったもの
・または違反が見つかったもの
・先に消毒等処置が必要なもの
以外は現物検査が行われます。

無作為に抽出したもの、または全量を検査します。精密検査になることもあります。検査の結果、問題がなければ「輸入検疫証明書」が交付されます。処置が必要なものには消毒処置や、消毒を行っても輸入が認められないものは焼却か埋没か積戻しが命じられます。

無事に輸入検疫証明書が取得できれば、食品等輸入届出済証も取得し、通関手続きを進めます。

さて、農産物と同じく、畜産物は量の多少や個人・商業の使用目的にかかわらず、家畜伝染病予防法の規制対象です。つまり、個人消費のお土産も動物検疫を受けなければなりません。

海外旅行のお土産にビーフジャーキーや缶詰などの加工食品を買って帰る人がいますが、入国時に動物検疫が必要です。その際、生産国の動物検疫機関が発行する検査証明書が必要です。しかし、個人消費やおみやげ用のもので検査証明書を取得するのは難しいため、日本へ持ち込むことができません。勝手に持ち込むことは罰則の対象です。

ただし、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでは、日本向けに検査証明書を添付して販売しているものもあります。検査証明書の添付された食肉製品なら日本に持ち込めます。入国時に動物検疫所で検査を受けますが、検査前に開封してしまうと持ち込めなくなるので注意しましょう。

2017/12/09

農産物(果物・野菜など)の輸入は植物防疫法

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前回のコラムでは、食品等の輸入は通関手続き前に検疫所に食品等輸入届出が必要なことを書きました。

今回は、食品のうち、果物や野菜などの農産物の輸入制度や手続きについてです。

農産物は植物防疫法の規制を受けます。

植物防疫法とは、植物に有害な動植物の駆除、有害動植物の蔓延防止、農業生産の安全及び助長を図ることを目的とする法律です。

有害動植物の駆除、蔓延防止策として実施されているのが、輸出時と輸入時に行われる植物検疫です。植物検疫は輸入量や商用・個人消費など用途に関わらず行わなければなりません。

農産物を輸入したい場合、まずは輸出国の植物検疫機関で植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)を発行してもらいます。そして、入港(着陸)後、検査申請書を植物検疫所(農林水産省)に提出して保税区内の検疫所にて検査が行われます。NACCSでオンライン申請できます。

このように、輸出国と輸入国でのダブルチェックが世界各国で採用されています。つまり、日本から輸出したい場合も植物検疫が行われ、相手国に検査証明書を提出することになります。

植物検疫の検査対象品目のうち食品は、果物、野菜、穀類、豆類、未焙煎のコーヒー豆、スパイス、ハーブ、菜種、ごま、植物性の漢方薬原料などが該当します。加工品で製茶などの高度に処理された植物や、ビン詰めされた香辛料、ドライフルーツなどは検査不要品にあたります。

しかし、検査の要不要は製造・加工工程で異なるので事前に検疫所で確認してください。また、輸入できるものと輸入できないもの(輸入禁止品)があります。

輸入禁止品は、植物防疫法で定められた植物、検疫対象となる生きた病害虫、土の付着したもの、これらの容器包装ですが、同じ種類の植物でも国や地域によって扱いが違います。どの産地の植物が輸入禁止品に該当するか、植物防疫所HPにある「輸入条件に関するデータベース」で確認することができます。

輸出入条件詳細情報
http://www.maff.go.jp/pps/j/search/detail.html

輸入条件に関するデータベース日本語版
http://www.pps.go.jp/eximlist/Pages/exp/condition.xhtml

輸入後、検査が行われ、病害虫の付着がなければ検査合格となります。合格証明書が発給され、通関手続きに入ることができます。食品等輸入届出も忘れずに。不合格であれば廃棄するか、消毒して合格証明書を発給してもらいます。

さて、どのように検査が行われているか気になりますよね。検査は全量検査もしくは抽出検査で行われます。植物の種類や荷口ごとに検査数量が定められています。検査は通常目視で行われます。必要とあれば顕微鏡でより詳しく検査を行います。

意外とアナログな検査方法ですが、このような検査が採用できる背景には、輸出国での検疫を経ていることや、どこの国でどのような病害虫が発生しているかの情報共有、リスク回避の方法を確立できているものだけが輸入できる、といったことがあります。適切な管理や措置ができないものについては輸入禁止となっています。

ただし、輸出国から輸入禁止解除の要請があれば、相手国と病害虫侵入リスク回避措置の科学的根拠が十分かどうか検討し、基準を満たせば輸入が解禁されます。輸入解禁に向けた進捗状況は農林水産省のホームページ上でも確認することができます。

2017/11/27

食品輸入では忘れられない食品衛生法

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「モノ」を輸入するためには、輸入申告などの通関手続き以外に、届出や申請など国内法に沿った手続きが必要です。

そのうちの一つ、食品等の輸入に必要な手続きについて紹介いたします。

販売、又は営業目的で使用する食品等を輸入する場合、食品衛生法の規制対象となり、厚生労働省に輸入届出義務が課されています。

具体的には、貨物を輸入する場所を管轄する厚生労働省検疫所食品監視課(以下、検疫所)に「食品等輸入届出書」正副2部を提出します。

食品監視支援システム(FAINS)にリンクしているNACCSを利用してオンラインで届け出ることも可能です。通常は輸入者に代わって通関業者等が行います。検疫所では届出をもとに、食品衛生法に適しているかどうかの審査をおこない、検査の必要性を判断します。

「食品等」とは、食品のほか、食品添加物、器具(調理器具や食品製造用機械、運搬用具など)、容器・包装、乳幼児用おもちゃです。直接もしくは間接的に口に入るものが対象と考えればわかりやすいでしょう。

輸入前に書類の準備をします。食品等輸入届出書、原材料及び製造工程に関する説明書、必要に応じて衛生証明書と試験成績書です。

以下、届出書提出からの基本的な流れです。

1.食品等輸入届出書の提出(NACCS届出可)

2.検疫所で審査
検査の必要がないとされれば、速やかに3.食品等輸入届出済証が発行されます。
要検査となれば、モニタリング検査もしくは命令検査・指導検査・行政検査が行われます。

モニタリング検査の場合、結果が出る前に輸入できますが、不合格であった場合は回収等何らかの措置が必要になります。

その他の検査は、合格なら届出済証が発行、不合格なら廃棄・積戻しとなります。
 
3.食品等輸入届出済証発行 

4.輸入通関手続き
輸入申告書に届出番号を記載します。

届出書には生産国、製造者・製造所、品目、原材料、添加物の使用の有無、製造方法等の記載が必要です。これらの内容をもとに、食品衛生法に違反していないか、添加物の使用基準や有害有毒物質の有無、製造者・所の過去実績などを審査します。

審査の結果、検査が必要とされるものについて、検査が行われます。検査は検疫所が行う場合と、輸入者が依頼して登録検査機関が行う場合とがあります。

特に、検査の優先度の高いものは、
・輸送中に衛生上問題が発生した食品等
・衛生上の理由によるクレームにより積み戻されたもの
・過去に同種の違反があったもの
・海外で問題があると認められたもの
・初めて輸入されるもの
・検査命令対象品目
・モニタリング検査の実施について通知される対象品目
・厚生労働省から検査指示のあったもの

本輸入の前に、サンプル品の輸入をすることもあるでしょう。サンプル品輸入は販売目的ではないため、食品等輸入届出は求められません。(ただし、販売目的ではなくても一般消費者に配布するためのサンプルについては要届出。)

そして、このサンプルで実施した検査の試験成績証明書は本輸入の輸入審査時に有効です。試験成績証明書をもとに品目登録番号を取得して届出書に記載する、もしくは試験成績書を届出書に添えて提出します。

また、認められた外国検査機関の検査結果の反映、同一食品等の継続的輸入は都度の検査省略、計画輸入に関し都度の届出不要など、手続きの簡素化・迅速化のための制度があります。

食品等は、食品衛生法以外の規制も受けます。農産物は植物防疫法の規制を受けるため、植物検疫証明書。肉類は家畜伝染病予防法の規制を受けるため、衛生証明書。いずれも輸出国政府機関が発行するものです。

これらについてはまた、次回以降にお話ししたいと思います。

2017/11/06

港湾業務の強~い味方!NACCS(ナックス)

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現在の港湾関連業務は、そのほとんどがNACCS(ナックス)というオンライン電子システムを利用して行われています。

NACCSは正式名称を輸出入・港湾関連情報処理システム(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)といいます。

船舶、航空機、輸出入貨物は税関や関係行政機関に対し、様々な手続きが必要です。また、一つの貨物に対して複数の業者がそれぞれの業務を行います。

たくさんの手続きや民間業者での関連業務をオンラインで処理できるのがNACCSです。

NACCSではどのようなことができるのでしょうか。

1.輸出関連業務・輸入関連業務
輸出入申告や、修正申告、出港前報告や保税運送申告などの貨物の搬出入に関する税関手続き。それらに対し、税関は申請の受理、許可・承認の通知を行う。

2.関税の納付手続きとそれに伴う業務
輸入申告の際、あらかじめ指定した口座番号から納税額が口座振替される。納期限延長する場合は担保を提供、まとめて関税等納付を行う。

3.食品等輸入届出、検疫手続き、輸出証明書の発給申請など、関係省庁への手続き

4.航空機・船舶の入出港関連業務

5.登録・申請・照会など
インボイス、パッキングリスト情報の登録、貨物情報照会など。

1978年にAir-NACCS、1991年にSea-NACCSが稼働開始、数度の更改を経て2010年にAir-NACCSとSea-NACCSは統合し稼働しています。更改ごとに港湾EDIシステムやJETRASなど関連省庁システムとも統合しており、2017年10月8日より稼働の「第6次NACCS」では対応業務数が約1,400業務になります。

NACCSがあることで、輸出入関連業者や港湾関係業者は大いに助かっています。まず、オンラインで申請や届け出、申告ができるため、書類を持ち込む時間が短縮できます。申請に必要な書類のPDF添付が認められている場合もあります。

また、情報が共有でき、各関係者に連絡しなくても照会が可能です。例えば、貨物管理番号(B/L番号)をNACCSに入力することで、貨物の場所や状況を確認することができます。民から官への申請・申告業務だけでなく、民と民の情報共有にも役立っているのです。

輸入申告ですと、関税や内国消費税などはHS番号等を入力すれば自動計算されます。これらの計算式は通関士試験の時以来使わなくなるので、忘れている人も多いとか。もし間違った番号や記号を入力すればエラー表示がされますし、金額に対して重量が釣り合わないなど、違和感のあるときはアラートコードが表示されます。

貿易量が多い国では、スムーズな通関システムが必要不可欠です。世界でも多くの国が、輸出入手続きを円滑に行うために、その国独自の電子情報システムを採用しています。日本では、NACCSが港湾関連業務・通関業務がスムーズに行われる一助となっているのです。

2017/10/28

国際海上輸送にありがちな事故と原因

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国際海上輸送にありがちな事故と原因を考えてみました。

国際海上輸送では、国内輸送と違って長い時間と距離を貨物が移動するため、事故の可能性が高いものです。

貨物外装の小さな破れやへこみは日常茶飯事といっても過言ではありません。

では、外装のダメージだけならともかく、商品にまで影響を及ぼす事故とその事故原因とはどのようなものがあるのでしょうか。

1.コンテナの劣化などによる損傷
コンテナは本船上で貨物の一番の外箱になるものです。長い航海中に海水や雨水にさらされるため、長期間の使用により劣化してしまいます。劣化部分から海水や雨水がしみ込み、水濡れやカビ・錆が生じます。冷凍・冷蔵コンテナは劣化による故障が商品の凍結・解凍、変質・劣化の原因になります。

コンテナの損傷・故障はバンニング前のコンテナ内の確認で事故を防止できます。通常、デバン後にコンテナ内の清掃や異常がないかの確認を行って返却を行いますが、バンニング前にも再確認することが重要になります。

2. 荷役作業中のラフ・ミスハンドリングによる破損
ラフ・ミスハンドリングとは、荷役時に乱暴に貨物を扱うことです。足で蹴って貨物を移動させたり、水のたまった路面に置いたり、コンテナや貨物を他の物と衝突させたりすることで、破損やへこみ、変形などが起こります。

3.積み付け・積載不良、固縛不十分
貨物の積み付けがコンテナ内で一方だけに偏っている、または、しっかり固定せずにコンテナ内で貨物が動く状態だと、輸送中の揺れや振動で荷崩れしてしまいます。また、カートン内に可動域があることでも商品が破損します。

梱包状態やラッシング(ロープなどでコンテナ内で貨物が動かないように固定すること)が悪くて貨物がダメージを受けても、保険請求できないので、注意しましょう。これは協会貨物約款I.C.C.でも、免責事項として定められています。

4.温度変化
基本的にドライコンテナは通気口などもないため、外気温の影響を受けやすく、コンテナ内が高温になります。高温になったコンテナと外気との温度差で結露が生じ、貨物に水滴がつき、そこからカビや錆が生じてしまいます。

そこで温度変化への対策が必要です。特に金属部品や電子機械など、水気や埃対策が必要な貨物には真空梱包が適しています。これは、商品を透明フィルムで多い、フィルム内の空気を抜いて真空状態にすることで、埃や湿気などの外気から守ることができます。

以上がよくある事故とその原因です。他にも機器の設定ミスや保管不良、船舶や車両などの不良、梱包不良など様々な原因があります。

ダメージを最小限にするために、梱包を頑丈にすればするほど安心ですが、手間とコストがかかります。また、貨物容積が大きくなり、輸送費も多くかかってしまいます。日本人は特に外装にこだわりがちで、カートンの小さな破れだけでもフォワーダーにクレームを入れることが多いそうです。

貨物には海上保険をかけることでリスクをある程度回避することができます。ただし、上述したように、梱包または梱包準備の不完全、コンテナ内への積み付け不良による事故は保険請求の免責事項となっています。事故が免責事項によるものでないことを証明するためにも、バンニング後は写真を撮るようにしましょう。

実際に保険請求となった場合は関係書類を提出し、損害の状態維持もしくは写真などで事故現場の記録を残します。請求額が20万円を超えるときは、保険会社のサーベイヤー(鑑定人・検査人)立ち合いの元、保険請求が妥当かどうか審査します。そして、保険会社は輸入者に保険金を支払ったあと、被保険者に代わり運送人に損害請求をしています。そうでなければ、運送人は貨物を安全確実に運ぶことを怠ってしまうからです。

2017/10/07

海上輸送は天候の影響を受けやすい

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貿易は物流部分で天候に大きく左右されます。

世界各地それぞれ気象条件が違い、様々な影響が考えられますが、日本は台風の影響が大きいところではないでしょうか。

では、夏から秋にかけての台風シーズン、どのようなことに留意すべきでしょう?

海上、航空ともに天候の影響を受けます。特に海上輸送は船の延着だけでなく、台風ではコンテナヤードが閉まってしまうことがあります。ヤードクローズ・・・ともなると、輸入許可が下りても貨物を出庫できないので配送ができません。輸出の場合はコンテナ搬入ができません。配送トラックを手配していた場合は、キャンセル料もかかることがあります。

コンテナヤードの状況や動船(入港スケジュール)は本船の船会社やオペレーターに確認します。早めに情報を入手したいところですが、台風は進路が分かりづらく、ヤードの状況は当日朝にならなければわからない、ということもしばしばです。

さて、クローズしてしまったコンテナヤード内では、どのような台風対策がとられているか、ご存知でしょうか。通常、コンテナは5段に積み重ねて置かれています。しかし、強風による横転を防ぐため、積み上げる段数を減らします。また、コンテナ同士を金具でつないで固定します。

これらの作業は台風が接近してから始めたのでは遅いので、接近前から通常の荷役作業はせずに、台風対策のための作業を行います。そのため、早い段階からヤードクローズとなってしまうことも。また、台風対策解除のための作業も必要ですので、台風が去ってもすぐに荷役再開というわけにはいきません。

そして、無事荷役が再開されると、搬入や引き取りのトラックでヤードは混み合います。もちろん、周辺道路も混みあって大渋滞です。トラックの手配替えやスケジュール変更など、臨機応変な対応が求められます。

台風とはちょっと違いますが、輸出入先国の気候にも注意したいものです。例えば東南アジアや南アジアでは雨季があります。雨季シーズンには貨物の水濡れ対策が欠かせません。ビニールや防水素材を使用した梱包で貨物の水濡れを防ぎます。近年は日本でも集中豪雨のようにとんでもない雨量で貨物がダメージを受けることも考えられます。

台風シーズン以外の近距離海上輸送は比較的スケジュール通りです。しかし、ヨーロッパや米大陸など遠距離海上輸送は、入港スケジュールが1週間など大幅に遅れることもあります。

これは、天候による影響もありますが、本船に日本向け貨物だけを積んでいるわけではなく、いくつかの国に寄港して積み下ろしを行うため、寄港先で遅れが生じれば、積もり積もって大幅な遅れになるのです。

2017/09/22

日欧EPA大枠合意、今後のスケジュールは?

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今年に入っての通商ニュースといえば、アメリカのTPP離脱と日欧EPA大枠合意ではないでしょうか。

バラバラになったものと、まとまったもの、両極端なニュースですが、保護か開放、どちらが自国の発展に優位になるのか、今後注目していきたいニュースだなぁと感じます。

アメリカの保護貿易とその他の国とは全然意味合いが違うのでしょうが。。。

ここ数年、世界ではEPA・FTA締結が盛んです。2000年代に入って急激に増え、世界には300近くのFTA・EPAが存在します。日本は発効済みEPAが15件あり、初めての多国間協定は日ASEAN包括的経済連携(AJSEP)です。

日欧EPAは2つ目の多国間協定となるわけですが、大枠合意を得て今後のスケジュールはどうなるのでしょうか?

*FTA:自由貿易協定 関税など貿易障壁を削減・撤廃することを目的とした協定
*EPA:経済連携協定 FTAにさらに知的財産や投資面でのルール整備など幅広い分野での経済連携を目的とした協定

多国間協定というのは、合意後それぞれの国で通告が行われれば効力が発生します。AJSEPの場合、協定大筋合意は2007年8月です。日本は2008年12月、ASEAN4か国と同時に発効、その後徐々にそれぞれの国で発効され、現在はインドネシアを除くすべての国で発効済みです。

日欧EPAはEUのユンケル欧州委員長が2019年の発効を目指すとしており、日本も足並みをそろえる予定です。ASEAN(10か国)に比べ加盟国数が圧倒的に多いEU(28か国)。発効は各国が自国の議会で承認を得なければなりませんから、すべての加盟国の承認を得るまでにはもう少し時間がかかるのではと予想されています。

とはいえ、長年協議してきた経緯を考えると、今更覆ったり、発効に数年かかることもないように思います。また、EUは韓国とEPA発効済みです。何となく韓国と日本、貿易の内容も似ているので、韓国OKで日本NGとはならないのではないでしょうか(素人的考えですが)。

無事に発効すれば、関税の撤廃や引下げが始まります。即時撤廃のものと、ある程度期間をかけて撤廃・引下げされるものとがあり、そのスケジュールは譲許表で確認できます。

毎年4月1日からその年の関税率が適用されるので、年度末の輸入申告は、4月1日をまたいだ方が関税率が低い可能性があります。また、農畜産物については関税割当やセーフガード措置の発動を確保しています。消費者が期待するチーズについては輸入量を「国産品の生産拡大と両立できる範囲」とあるので、価格低下に期待できるか疑問です。

*関税割当:一次関税(低税率)での一定枠を設け、輸入量が増えて枠を超えた分から二次関税(高税率)を適用すること
*セーフガード:緊急輸入制限のことで、輸入量が増え、「国内産業に甚大な被害があるとき」、国が関税率を引き上げることで輸入量を制限しようとするもの。

そして、EU向けでは工業製品の無税割合が約38%→約82%になります。自動車部品については貿易額ベースで約92%の即時撤廃で合意しています。これが韓国EUFTAを上回るため、韓国寄りの政党の反対を受けると言われています。

2017/08/21

通関士試験にも出る?申告官署の自由化

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どこの税関官署に輸出入申告をするかは、貨物の蔵置場所により決まります。

輸出申告又は輸入申告は、原則としてその貨物を入れる保税地域等の所在地を所轄する税関長に対して行う、とされているからです。(関税法第67条の2)

しかし、この原則を維持しつつ、AEO事業者のうち、輸出入者及び通関業者等は、どの税関官署に対しても輸出入申告できるようになります。

この「申告官署の自由化」は2016年3月29日、「関税定率法等の一部を改正する法律」の成立により決定しており、2017年10月8日のNACCS更改に合わせて施行されます。

また、これに伴い、通関業法も改正され、営業区域制限がなくなります。

以下、官署自由化に関する関税法と通関業法の改正前と改正後の比較です。

<関税法>
改正前
・輸出申告の特例として、AEO事業者は貨物がおかれている場所の所在地を所轄する税関長に対して輸出申告をすることができる。
・輸入申告に関して特例なし

改正後
・輸出申告・輸入申告の特例として、AEO事業者はいずれかの税関長に対して輸出申告・輸入申告をすることができる。
・税関長は、上記の申告の貨物検査に係る権限を、貨物が置かれている場所の税関長に委任することができる。

*ここでいうAEO事業者とは、特定輸出者、特定委託輸出者、認定製造者の製造した貨物を輸出しようとする特定製造貨物輸出者、特例輸入者、特例委託輸入者のこと。
特定委託輸出者・特定委託輸入者とは認定通関業者に通関手続きを委託したもの。

外国貿易船に積んだまま申告することが必要とされる貨物については、引き続き、外国貿易船の係留場所を所轄する税関長に輸出・輸入申告することとなっています。

貨物検査の立ち合いは現地の通関業者や配送業者などに委託することができます。委託先や検査する税関とのやり取りについて、具体的な方法などは現在意見交換中だそうです。

また、自由化の対象外となる貨物が指定されています。
・MDA協定(日米相互防衛援助協定)該当貨物
・輸出貿易管理令に定める武器関連物資等

ワシントン条約該当貨物については指定官署に蔵置されている場合、いずれかの指定官署に輸出入申告できる、という少し条件付きの自由化です。

<通関業法>
改正前
・通関業を営むにはその業に従事しようとする地を管轄する税関長の許可。
・通関業者はその許可をした税関の管轄区域内においてのみ通関業を営むことができる。(営業区域の制限)

改正後
・通関業を営むには財務大臣の許可
・認定通関業者は営業所の新設を財務大臣に届け出る
・営業区域制限の廃止

営業区域制限の廃止により、貨物の蔵置場所に関わらず、全ての通関業者が貨物蔵置場所を所轄する税関に対し輸出入申告を行うことができます。さらにAEO事業者は申告先税関を選択することができます。

例えば、A通関業者は神戸で営業許可、B通関業者は大阪で営業許可、とします。現行では、輸入者は神戸に貨物が蔵置されていたらA通関業者に通関依頼、大阪に蔵置ならB通関業者に、と通関業者を変えています。しかし、法改正施行日以降は、神戸蔵置でも大阪蔵置でも、ABどちらの通関業者に依頼してもOKということになります。

2017/07/28

危険な外来生物の上陸を防ぐ水際対策とは?

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外国を行き来する海上コンテナや船舶には、様々な動植物が付着してしまいます。

今、陸揚げされた海上コンテナ内で火蟻(ヒアリ)が見つかるという問題が起こっています。

火蟻は猛毒性があり、「世界の侵略的外来種ワースト100」にも入っています。

このように危険な外来生物がコンテナや船舶にくっついて国内に持ち込まれるケースは少なくありません。

生態系や漁業などにも影響を与えるため、国際条約や法律による規制が進められています。

一つは「船舶バラスト水規制管理条約」です。バラスト水とは、船体を安定させるためにバラスト(船底に積む重し)として用いられる水のことで、貨物船が空荷で出港するとき、港の海水が積み込まれ、貨物を積載する港で船外に排出されます。積み込む港と排出する港が異なるため、海水に含まれる多種多様な水生生物が多国間で行き来してしまいます。水生生物は移動先で環境被害や健康被害、漁業へ影響を及ぼしています。

そこで、バラスト水とその沈殿物の管理のための国際条約を締結しよう、ということになりました。バラスト水管理のためのガイドラインが策定され、締約国は指定された港・ターミナル内に沈殿物の受け入れ施設を持つことや、船舶に対する定期検査、国際証書の発給などが義務付けられています。

有害動植物に寄生されている恐れがあるものに、木材こん包材があります。付着した動植物から輸入国に病害をもたらすことを予防するため、木材こん包材について植物検疫措置に関する国際基準「国際貿易における木材こん包材の規則」(ISPM No.15)に沿った消毒や表示等が輸出国に求められます。

対象のこん包材は、厚さ6ミリ以上の貨物の積載、梱包、下敷き、支持又は固定に使われるパレット、木箱、木枠などの非加工木材です。パーティクルボードやベニヤ、接着剤や熱処理などにより加工された木材は対象外です。燻蒸や消毒など適切な処理がされた木材こん包材には認定されたマークが付けられます。

もし、輸入地点で要求されたマークがなかったり、有害動植物の発見が処理が有効でなかったことによる場合、国家植物防疫機関がそれに応じた対策をとります。日本であれば植物防疫所となります。必要であれば、留め置き、不適合材の除去、処理、破壊、又は返送もあります。また、生きた有害動植物が発見された場合は、輸出国又はこん包材の製造国に通知されます。

火蟻の件でも見られたように、海上コンテナ内で危険生物が見つかることもあります。海上コンテナは通常、積み荷をデバン(荷下ろし)した後、きれいに洗浄しなければなりません。もし、内部に生物がいたり、その卵や死骸を見つけたりした場合は、外来生物法に基づき、環境省に連絡します。

ちなみに、外来生物法では、輸入品に付着・混入するなど非意図的であっても、特定外来生物の「輸入」と考えます。特定外来生物を許可なく輸入することはできませんので、その付着・混入が確認された場合は、環境省から消毒、廃棄が命令されます。

特定外来生物とは、外来生物のうち、特に生態系等への被害が認められるものとして外来生物法によって規定された生物です。

規制や対策はとられているものの、日本は多くの国・地域から多種多様なものを輸入しています。全ての輸入品や多国間を行き来するコンテナなどを検査するのは不可能です。また、アリやクモのような小さな生物の侵入を防ぐのは容易ではありません。結局、どれだけ関係者が気づけるか、気づいた時の素早い対応が重要ということでしょう。

船舶バラスト水規制管理条約
http://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/trt/page22_000988.html

植物防疫所 木材こん包材の輸出入
http://www.maff.go.jp/pps/j/konpozai/index.html

特定外来生物等一覧
https://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/list/

2017/07/11

金の密輸とならないために

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金塊を密輸しようとした疑いで、愛知県の韓国籍の女性たちが逮捕される事件がありました。

この女性たちは主婦仲間で、別の人物が香港で買い付けた金塊を韓国で受取り、日本に密輸していたといいます。

また、唐津市では漁船で金塊200㎏を密輸しようとした男らが逮捕されました。

このように香港から韓国を経由し、複数の運び役を介した金塊密輸が増えています。

全国の税関が摘発した金塊密輸は平成25年度には全国で8件でした。しかし、26年度177件、27年度は294件と急増しています。増加した理由の一つに消費税率の引き上げが考えられます。

日本では消費税込み価格で金が売買されます。買う時も売るときも消費税込みの価格で取引されます。いっぽう、香港では金を購入しても消費税はかかりません。持ち出しにも税金はかかりません。主犯格は香港で買い付けた金塊を手に韓国経由便で日本に渡ります。韓国でトランジットするとき、集めておいた「運び役」に金塊を小分けにして渡します。

日本入国時に本来ならば支払うべき消費税を無申告で通過すれば、日本で売却するとき上乗せされる消費税8%分が儲かるという仕組みです。金の価格は近年上昇し続けており、2017年6月現在1㎏税込み490万円前後です。為替変動なども踏まえても、仕入価格より30万円以上高く売れることになります。

「うーん、オイシイ」とは思ってはいけません。これは関税法と消費税法違反であり、立派な犯罪です。5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科せられることがあります。未遂も同罪です。

では、「運び役」でなくとも、金を密輸してしまわないために、知っておくべきこととは?

金地金(純度90%以上)の持ち込みは、1㎏を超える場合、「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」を提出しなければなりません。じゃあ、1㎏超えなければ申告しなくていいのかというと、そうではありません。

金地金は現金やT/Cなど「支払い手段」と並列されていますが、モノであり、携帯品・別送品にあたります。携帯品・別送品の免税範囲は総額で20万円です。たとえ1㎏以内でも20万円を超える場合は課税されるので、別途「携帯品・別送品申告書」に記入します。金は関税無税ですが、消費税及び地方消費税を納付しなければなりません。

では、日本に出入りする際、税関に申告する必要がある「支払手段等」とは、
・現金(本邦通貨、外国通貨)
・小切手
・トラベラーズチェック、旅行小切手
・約束手形
・有価証券(株券、国債等)
これらの合計額が100万円を超える場合。

又は、金地金(純度90%以上)が1㎏を超える場合、です。出国時も入国時も必要です。申告=課税ではありません。

支払手段等の申告は、資金洗浄及びテロ資金供与対策の一環として、FATFの特別勧告にも盛り込まれています。日本以外の多くの国でも、出入国の際に申告が義務付けられています。

また、自国通貨の持ち出しについて厳しく制限している国もあります。申告せずに出入国しようとした場合、罰金や没収といったこともあります。多額の現金等を携帯する場合、渡航先国の大使館や総領事館に事前に確認することが必要です。

2017/06/23

中国爆買いが終えん、トレンドは越境ECへ?

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訪日中国人による「爆買い」が流行語にもなったのは2015年のこと。あれから2年、爆買い失速で日本のドラッグストアは店頭収益爆減・・・。

しかし、訪日中国人は帰国後、日本の商品をインターネットで買うリピーターになっていました。

個人消費者がインターネットを介して国境を超える買い物をすることを越境ECといいます。そして、日本の最大の越境EC相手国は中国なんです。

2016年、中国が日本から越境ECで購入した額は1兆366億円。これは30.3%増で、まだまだ伸びると予想されています。

中国の越境ECは配送方法によって、それぞれ徴収される税や手続きなどが違います。

一つは「直送」モデルです。
これは、EMSや国際宅配便を利用して消費者に日本から直送する方法です。個人の郵送品として扱われ、貨物の内容は自己申告に基づき簡易的に通関されます。「行郵税」が適用。税率は品目により3段階。免税措置もあります。

もう一つは「保税区」モデルです。これは、商品を船便などで中国国内の自由貿易特区の保税区にいったん納入します。注文が入れば管理業者が商品を保税区から消費者に配送。保税区から出るときに納税します。保税区に一括搬入することで運賃が節約でき、注文から配送までの時間が短縮できます。

保税区は越境EC輸入モデル都市及び総合試験区として、杭州、天津、上海、重慶、合肥、鄭州、広州、成都、大連、寧波、青島、深セン、蘇州、福州、平潭の15都市。

直送モデルも保税区モデルも一回の購入額2,000元まで、年間20,000元の上限あります。超える場合は一般貿易として扱われます。

中国では越境ECによる輸入を個人の物品ととらえ、「行郵税」を適用してきました。しかし、一般貿易との不公平感から、2016年4月に新制度が導入されました。

新制度では保税区の行郵税廃止、ポジティブリスト方式による輸入商品の限定、保税区入庫時の通関単の提出、初回輸入時の輸入許可証や登録手続きが必要になります。また、保税区は行郵税に代わり、関税・増値税・消費税が適用されます。関税は暫定0%、増値税・消費税は軽減税率で徴収されます。品目により税率が異なります。

ところが、公告から施行まで短期間だったこともあり、施行直後は大混乱。税関で貨物の半数以上が通関できないという事態が起こりました。

そこで、新制度の導入に1年間の猶予が与えられ、税率が先行して施行されることになりました。後に、さらに延長され、2018年1月1日より新制度で完全運用すると発表されています。

制度自体も発表当初は規制が厳しく、特に新商品の購入が実質難しい状況でしたが、申請手続が簡略化されるなど、たびたび変更が発表されています。

「上海・浦東新区における非特殊用途化粧品の記録管理の試験運用に関する公告」によれば、スキンケア、メイクアップ、など一般化粧品の初回輸入を「許可制」から「届け出制」へ変更し試験運用するとのこと。

現状では越境ECに対する政府態度は規制緩和傾向にありますが、まだまだ不安定なのも事実です。一般貿易で適用されている法規制や手続きにも素早く対応できるように、準備しておくのが賢明と思われます。

2017/06/07

追記
2017年9月20日、中国政府は新制度の運用開始時期をさらに1年延長、2018年末まで現行制度を維持することを発表しています。

2017/11/20

国際郵便or国際宅配便それとも・・?

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小口の貨物を海外に送る際には国際郵便や国際宅配便がよく利用されます。

この2つ、Door to Doorで海外に荷物を送れる、という点で同じですが、位置づけや仕組みがちょっと違います。

国際郵便は公的配送会社です。
・日本では日本郵便
・アメリカならUSPS(米国郵便公社)
・中国は中国郵政
万国郵便連合(UPU)という国際機関の取り決めのもとに運営されています。

UPUでは文化、社会、経済各分野の国際協力に寄与することを目的とし、どの国や地域からも固定料金に近い料金で郵便物を送れることなどが合意形成されています。

発送方法には届く速さ順に、
・EMS(国際スピード便)
・航空便
・SAL(エコノミー航空便)
・船便
の4種類があります。

一方、国際宅配便は民間配送会社です。
・DHL
・FedEx
・OCS
・ヤマト運輸
・佐川急便
などがあります。

国際郵便と国際宅配便の大きな違いは通関の仕組みです。

【国際郵便】
(価格が20万円以下貨物の場合)
・「税関告知書」又は「税関票符」に必要事項を記入して郵便物に添えて郵便局に貨物を引き渡す
・その後、貨物は税関外郵出張所に集められ、必要な検査を受けて外国に発送
・輸出の許可、承認が必要な品物については、荷物が止められ必要な手続きの連絡が来る

(20万円以上貨物の場合)
・税関への輸出申告が必要
・郵便局、通関業者に委託するか、自分で輸出申告しなければなりません
   
【国際宅配便】
・通関手続きを民間配送会社が代行
・書類以外の荷物にはインボイスが必要
・会社によって対応が違いますが、他法令の届け出や承認、許可を代行してくれることもあります
   
発送できない貨物が国際郵便、国際宅配便にはあります。大きな違いは信書で、国際郵便では基本的にEMSでしか信書は送れないことになっています。国際宅配便のDHLやFedExでは信書は送れます。

信書とは手紙やはがき、請求書類、許可書類、証明書類など「特定の受取人に対して、差出人の意思を表示したり、事実を通知する紙など」です。貨物に関係する送り状などを同梱する場合はこの限りではないようです。

火薬など危険物、動物、麻薬類、航空危険物などは国際郵便と国際宅配便ともに取り扱いできません。ただし、DHLでは一部の危険物を送ることができます。また、国や地域による規制や条約によっても送れないものがあります。

料金は国際郵便の方が安いです。国際宅配便には燃料割増料金も加算されます。安さだけでいえば国際郵便の勝利ですが、地域によっては到着予定日より大幅に遅れるといったこともあるようです。また、各社で貨物を送れる地域や重量制限が違います。

海外に荷物を送るときには、料金だけでなく、保険が付帯できるか、配送状況の追跡など、いろいろなサービスを比べて、配送会社を選びましょう。

国際郵便で送れないもの
http://www.post.japanpost.jp/int/use/restriction/index.html

DHLで取り扱いできない品目
http://www.dhl.co.jp/ja/country_profile/import_guidelines_express.html#containerpar_expandablelist

信書のガイドライン
http://www.soumu.go.jp/yusei/shinsho_guide.html

2017/05/08

原産地にEPA税率を適用するには

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物流や貿易が盛んになり、一つの品物が出来上がるまでに様々な国が関与するようになりました。

複数の国の材料を使用し加工されて出来上がった物品の国籍(原産地)はどのように決まるのでしょうか?

日本の関税法には原産地を認定する基準が2つあります。

1.完全生産品
その名の通り、一つの国または地域で生産されたもの。一つの国または地域で採れた鉱物や動植物、水産物、これらを原材料として生産された物品です。

2.実質的な変更を加える加工又は製造したもの
関税定率法別表の「項」(HS番号の4桁)の変更を伴う加工または製造をした国が原産地と認定されます。ただし、輸送や保存のための乾燥・冷凍や包装容器に詰めること、部分品の組み立てなど、認められない加工もあります。その場合は前の状態まで行った国が原産地となります。

また、「税関長の指定する加工又は製造」として繊維製品など一部のもので、上記とは異なる加工・製造も認められています。

以上が基本的な原産地認定基準になります。

EPA(経済連携協定)税率を適用したい場合、原産地認定がより厳密に定められています。EPA締約国を原産地とするためには3つの条件を満たさなければならず、これらの条件を原産地規則と呼びます。

1. 原産地基準
・完全生産品
・実質的な変更を加える加工又は製造したもの
・関税分類変更、特定の加工工程、付加価値が特定の条件を満たしたもの
・関税分類変更にかかる特例規定の適用を受ける産品
・原産材料のみから生産された産品
原産地基準には「累積」や「僅少の非原産材料」といった補足的規定も多くあります。

2.原産地手続
EPA特定原産地証明書や通し船荷証券などの書類の提出

原産地基準を満たすかどうかを証明する方法は3種類あり、
・第三者証明制度:輸出国発給当局が特定原産地証明書を発給
・認定輸出者による自己証明制度:輸出国発給当局が認定した輸出者自身が原産地申告文を作成
・自己申告制度:貨物の輸入者、輸出者又は生産者自らが原産地申告書を作成
第三者証明制度はすべてのEPAで認められていますが、それ以外は各EPAで対応が異なります。

3. 運送基準
原則として直送していること

EPAは締約国ごとの交渉によるため、内容は各EPAで違います。同じ品目であってもEPA毎に異なる基準が存在します。また、関税分類が変更していても品目によって条件付きになり、原産国と認められない場合もあります。

EPA特恵税率を適用させるには各条件を詳しく調べて照らし合わせる必要があります。

下記サイトなどを参考にされると良いでしょう。

原産地規則ポータル
http://www.customs.go.jp/roo/

各協定の本文と品目別規則(経済産業省HPより)
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/process/e-step4.html

2017/04/14

お土産にもワシントン条約が!?

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ワシントン条約、聞いたことあるという方、多いのではないでしょうか?

ワシントン条約は貿易をする人だけでなく、外国旅行者にもかかわる条約です。知らなければ、せっかく買ってきたお土産も没収されてしまうこともあるので気を付けましょう。

ワシントン条約とは絶滅のおそれのある野生動植物が過度に国際取引されないよう種の保護を目的として生まれた条約です。

英語の条約名(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)の頭文字をとってCITES(サイテス)とも呼ばれます。

対象種は附属書に掲載されており、ⅠからⅢまで3つの区分があります。

以下、規制内容と対象種一例です。
【附属書Ⅰ】
・学術研究を目的とした取引可能
・輸出国・輸入国双方の許可書、契約書等が必要
・オランウータン、スローロリス、ゴリラ、ウミガメ、オニソテツ、木香etc.

【附属書Ⅱ】
・商業目的の取引可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要
・タカ、オウム、ライオン、ピラルク、ラン、サボテン、アロエetc.

【附属書Ⅲ】
・商業目的の取引可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書又は原産地証明書等が必要
・セイウチ(カナダ)、ワニガメ(米国)、アカギツネ(インド)etc.

ここでいう輸出許可書とは、税関の輸出許可書ではなく、ワシントン条約にかかる管理当局の発行するCITES輸出許可書のことです。

附属書は対象種が一般名では記載されていません。学名で書かれており、分かりづらいのが難点です。

ワシントン条約は野生の動植物の保護を目的としたものであり、飼育されたものや人工繁殖したものは規制の対象外になる場合があります。生きている動植物だけでなく、加工品も対象となります。

例えば、はく製や原皮、ハンドバックなど革製品・毛皮・アクセサリ・彫刻品・化粧品・食品・医薬品などです。原材料の一部であっても規制対象です。

近年増えているのが、海外のインターネットオークションやショッピングサイトで購入した商品に対する手続き不備です。海外の販売者に対し、条約の理解と対象貨物が含まれていないかどうか、規制対象貨物であればしっかり手続きをしてくれるかどうかの確認が必要です。

外国からの郵便物にワシントン条約に該当する貨物が含まれる可能性がある場合、税関から手続きを求める書類が届きます。必要書類を事前に揃えていれば、税関に書類を提出して貨物を受け取れます。揃えられなければ、貨物を返送して取引をキャンセル又は再度輸入する。もしくは郵便物を放棄しなければなりません。

また、旅行者のお土産品に関しては条件を満たせば日本への輸出入手続きが不要です。

参考サイト:
経済産業省HP 
附属書(動物界)
附属書(植物界)附属書(植物界)

税関に直接質問できる!事前教示制度とは

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煩雑な貿易実務の仕事。少しでもスムーズに進めたいと思うのは皆一緒ですね。

そこで今回は税関が無料で提供してくれているサービス「事前教示制度」をクローズアップしてみようと思います。

事前教示制度は、輸入しようとする貨物の
・関税率表上の品目分類や他法令などの取り扱い
・関税評価上の取り扱い
・原産地の取り扱い
・減免税の適用の可否
について、あらかじめ税関に照会を行い、その回答を受け取ることができる制度です。

原則として貨物の主要輸入予定地を管轄する税関に対して行います。それぞれ所定のフォームがあり、必要事項を記載し、参考となる資料なども必要です。

口頭やEメールで事前教示の照会を行うこともできますが、文書による事前教示のように尊重されないので注意が必要です。Eメールは事前教示のためのアドレスがあります。Eメールによる照会は一定の条件を満たすことで、「文書による照会に準じた取り扱い」に切り替えることができます。

一方で、正式に文書による事前教示を行わなかったことでトラブルになったケースもあります。

とある輸入者の話です。
その輸入者はこれまで依頼していた通関業者(A社)から別の通関業者(B社)に輸入通関をお願いすることにしました。輸入許可がおり、許可書を見ると、A社の時には無税で申告していたものをB社は有税で申告していました。輸入者は、同じ商品なのになぜ?ということになり、B社に問いただしました。

するとB社はA社のした過去の申告に関しては聞いていなかったこともあり、商品の仕様書などから判断して品目分類をしました。結果、有税の税番で申告した、ということでした。

B社の担当者は正しい税番決定をしたと思っていますし、輸入者は同じ商品なのに無税から有税にされたと両者納得できません。そこで、税関に事前教示で照会することにしました。その結果、やはりB社がいう税番が正しく、商品は有税でした。

ところが、輸入者は以前A社で通関する前に税関に書類を提出して税番を聞いている、といいだしました。そこでその当時の書類を見せてもらいました。

一応、材質や用途は記載されていたものの、事前教示として有効な書類ではありませんでした。効力のない書類を持ち出しても事前教示とは言えません。それでもまだ納得できない輸入者は、事前教示の結果に対する異議申し立てを行いました。しかしやはり、結果は変わらず、あとは裁判で争うしかない、というところでやっと引き下がりました。

このように、事前に問い合わせしていても文書による照会を行っていなければ尊重されません。また、実際に輸入された貨物の事実関係が事前教示の内容と異なれば、効力はありません。法令の改正や有効期限(最長3年間)切れにより照会内容とは違う取り扱いになることもあります。

とはいえ、輸入する商品が確定していない計画段階では文書による照会は難しいでしょう。そういった場合は税関相談官制度というものもあり、輸入計画の一助となります。

参考サイト:関税、輸出入通関手続きの便利な制度
http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/

2017/03/11

知っておきたい特恵関税制度と特恵卒業

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特恵関税とは、開発途上国、または地域を原産地とする特定の輸入品に対し、一般の関税率よりも低い税率を適用して途上国の経済支援をするために設けられています。

「特定の輸入品」とあるように、対象品目と税率が法令により定められています。これを定めた法令が関税暫定措置法及び関税暫定措置法施行令です。

農産品の一部と鉱工業品のほぼすべての品目に対して、特恵税率が適用されます。

さらに、後発開発途上国からの輸入に関しては、ほぼすべての品目が無税で、これを特別特恵(LDC)関税といいます。

特恵国及び特別特恵国一覧は以下の通りです。
http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1504_jr.htm

ただし、特恵関税又は特別特恵関税を適用した輸入の増加が原因で国内産業が損害を被る場合は、政令によりその品目の特恵及び特別特恵関税の適用が停止されます。特恵停止品目は税関HPに公表されます。

年度途中で適用停止になることもあり、現場の通関士も常にチェックしています。現在特恵適用で輸入されている場合は随時確認しておきましょう。

開発途上国の経済支援のための制度であるため、経済発展を遂げた国については適用対象外となります。これを特恵卒業といいますが、特恵卒業には3段階あります。

1.高所得国にかかる特恵適用除外措置(部分卒業)
2.高所得国にかかる特恵適用除外措置(全面卒業)
3.国別・品目別特恵適用除外措置

平成29年度の部分卒業は中国が原産国の特恵適用品目に多く該当します。
中国はGDPが公表で世界2位の国です。
急成長を遂げ、とっくに高所得国に分類されておかしくない国と思うのですが、まだ特恵が適用される国、つまり開発途上国と認められていました。

しかし、平成31年に全面卒業予定です。
また、中国以外にも、ブラジル、メキシコ、マレーシア、タイが特恵全面卒業予定となっています。

メキシコ、マレーシア、タイはすでに日本と2国間協定国であり、特恵卒業となっても経済連携協定(EPA)税率が適用されるため、それほど影響はないでしょう。

例えば、プラスチック製の食卓用品、台所用品(HSコード3024.10-000)は特恵税率無税ですが、EPA税率も無税です。

ここで、関税率の種類と優先順位についてお話ししますと、関税率は品目によっても定められていますが、原産国によっても異なります。大きく分けて、国の法律に基づいて定められた国定税率と国際条約に基づいて定められた協定税率があります。

●国定税率
  基本税率
  暫定税率
  特恵税率(EPA税率と区別するため一般特恵税率とも言います。)
  入国者の輸入貨物に対する簡易税率
  合計20万円以下の少額貨物に対する簡易税率
●協定税率
  WTO協定税率
  経済連携協定(EPA)税率

これらの税率は原則として、EPA税率、一般特恵税率、WTO協定税率、暫定税率、基本税率の順に優先して適用されます。
ただし、
・一般特恵税率とEPA税率の適用には原産地規則を満たした上で原産地証明書が必要であること
・EPA税率と一般特恵税率が設定されている場合は一般特恵税率が超えない限りEPA税率が優先
・協定税率の適用は暫定税率又は基本税率より低い場合に限る(協定税率、暫定税率、基本税率のうち低い税率が優先される)

ざっくり言うと、同じ条件下では一番低い税率が適用される、ということです。

例えばカンボジアはアセアン協定締結国ですが、現在は特別特恵国(LDC)です。カンボジア産の革製スリッパ(HSコード6403.59-011)の場合、アセアンEPA税率が30%、LDC特恵税率が無税ですので、LDC特恵税率が優先適用されます。

2017-02-22

通関士の一日は盛りだくさん

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通関士の一日の始まりは扱う貨物が航空貨物か海上貨物かによって違います。航空の場合、夜勤もあり、完全シフト制のようです。海上は日中の業務が中心となります。私の場合、海上貨物を取り扱う部署での経験があります。

まず、出社時間は当日朝の申告件数によって前後します。海上の場合、税関の開庁時間は一般に8時30分です。朝一から申告をするために8時半までに出社、8時半までに時間外申告の予定や、その日の業務量に応じてさらに早い時間に出社することもあります。

申告で審査区分1は許可、区分2は税関審査、区分3は税関検査です。審査と検査になったものは税関に書類を持ち込む必要があります。一般的に、事務所から税関に書類を持ち込む担当の人がいるので、その人に書類を揃えて渡します。

その後、午前中は審査又は検査貨物の税関対応や急ぎの書類に取りかかります。書類作成の優先順位は、輸入は貨物の配送予定日、輸出は船積み予定日によって決まります。

通関依頼があると、インボイス、パッキングリスト、B/Lなどの書類が営業部門から通関部門に回ってきます。アライバルノーティスなどは後から発行されるため、多くの場合は後から渡されます。全ての書類がそろい次第すぐに申告するために、随時書類をチェックします。優先順位の高いもの、つまり配送予定日または船積み予定日の迫っているものを優先的に、書類を揃え税番決定や計算をします。

書類だけでは統計品目や税番が決定できない場合や、書類に不備があれば、輸出者や輸入者に確認します。営業担当者が中継ぎをしている場合は社内の営業担当者に確認してもらいます。

税関の開庁時間に昼休みという設定はないのですが、12時から13時まではやはり税関も昼休み時間をとるので、基本的には12時から13時に税関対応をすることもなく、現場でも昼休みをとります。ただ、午後の申告予定など、区切りがつくまでは休憩を取らない人もいるので、ランチタイム・休憩時間はバラバラです。

午後も引き続き、書類作成の業務と申告が中心となります。朝と同じように、午前に審査又は検査扱いになった書類を税関持ち込みの人に渡します。また、当日午前中申告分の貨物検査が午後から行われることが多いので、必要に応じて検査の立ち合いに行きます。

多くの通関業者が18時退社となっています。翌日以降の業務に支障がなければ退社できます。しかし、私の経験上、定時退社できる日の方が少なかった気がします。残業が常態となっており、時期によっては22時23時、最終電車ぎりぎりで帰ることもありました。

男女で仕事の差はありません。その点はとてもフェアーな職業です。しかし、仕事量を自分たちで調節することが難しく、帰宅時間がバラバラになってしまい、子育てや家事の負担を多く担う人には大変な職業です。既婚の女性でも小さな子供がいる、という人はあまりいませんでした。逆に、子供に手がかからなくなった世代の女性が多く活躍されていました。

どの職業にも言えることですが、やはり思い切り働くには家族や会社の協力が不可欠です。ただし、経験が重視されるので、いったん子育てなどで離職しても社会復帰しやすい仕事であると言えるでしょう。

2017/02/13

税制改定に伴い加算税が変わる

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平成29年1月1日以降に法廷納期限を迎える関税及び内国消費税等に課される加算税が変わります。

現行では税関の事後調査の通知があった後でも、更正予知前に修正申告がされた場合、過少申告加算税は課されませんでした。

しかし、平成29年1月1日以降に法廷納期限(輸入許可日)を迎えるものについては、調査通知があった日から更正予知前の自主的な修正申告に対しても、過少申告加算税5%が課されます。

更正予知後は過少申告加算税10%で変わりません。
*納付すべき関税等の額が、当初申告税額と50万円のいずれか多い金額を超えるときは、その超過額に5%の加算が発生します。

これは、事後調査の連絡があってから慌てて修正申告をして加算税を免れるというケースが多かったためと考えられます。また、事業者のコンプライアンス意識をさらに高め自主的な修正申告を促すことを目的としています。

申告すべき貨物に対し申告していなかった場合は無申告加算税が課されます。申告すべき日から無申告加算税5%が発生し、事後調査通知後に10%、更正予知後で15%と加算税率が上がっていきます。
*こちらも納付すべき税額が50万円を超える場合は、その超過額に5%加算します。

さらに同一の税目について過去5年以内に無申告加算税又は重加算税を課されたことがある輸入者については、現行よりさらに10%の加算税が課されます。無申告に対する重加算税がもともとの40%からさらに10%加算され、50%になります。

悪質な行為を防止するためで、意図的にアンダーバリューインボイスで通関を繰り返している、原産地証明書を偽造して特恵を利用するなど、悪質な関税脱税に対してより重いペナルティーが課されるのです。

過少申告や無申告に対して、加算税だけでなく、延滞税も生じます。延滞税は法廷納期限日(輸入許可日)の翌日から起算されますので、修正申告が遅れれば遅れるほど膨らみます。

さて、税関の事後調査に関してですが、事後調査は輸出入を行っていれば事業者の規模に関係なくやってきます。個人で輸入ビジネスをしている主婦のもとにも税関から連絡がきてとても焦った、という話も聞きます。個人輸入を行っている方に対しては連絡が入ったからといって、必ずしも調査官が来るわけではないようですが、準備はしておかなければなりません。

通常2,3年に一度ですが、結果が悪ければ要指導事業者ということで、毎年事後調査が入る、ということもあるようです。調査員にもノルマがあるとかないとか。取りやすいところから取ろうという思惑もあるのかもしれません。

必要なものは契約書、仕入書、会計帳簿書類等です。税関はNACCSというシステムで輸出入取引の有無を握っていますので、金型を送っているのに、その後の輸入に評価加算された形跡がない、といったこともわかります。契約書や帳簿上はロイヤリティを支払っているのに対象の貨物に加算されていない、などといったことを調べます。
輸出の場合は適正な輸出が行われているかを指導します。

また、輸出者または輸入者は輸出入した貨物の帳簿書類の一定期間の保存が義務付けられています。帳簿書類がしっかり保管されているかも調査の対象となります。大きな貨物に関してはそれなりに管理されていても、国際郵便や突発的な小口の貨物に関して整理されていない場合は、対策が必要です。

2017/01/21

AEO事業者の認定を受けるには?

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認定事業者とは、前回コラムに書きました通り、貨物のセキュリティ管理と法制遵守(コンプライアンス)体制の整った事業者が、税関の承認・認定を受ける制度です。

では、認定事業者になるにはどのような要件を満たさなければならないのでしょうか?

具体的には
・コンプライアンス体制を整えるための
 -統括部門が設けられている
 -責任者や知識・経験のある人員が十分に配置されている
 -コンプライアンス規則がある
・貨物や書類の管理がしっかりなされており、そのための措置を設けている
・税関との連絡体制、社内での連絡体制が整っている
・業務委託先がある場合、指導が行き届いている
・監査体制を整えている、他法令遵守規則がある
・物理的・人的・情報セキュリティが整っている
等です。

加えて、税関とオンラインでつながるNACCSシステムを導入していることや過去の一定期間において法令違反をしていないこと、また違反があった場合は一定の期間を経過していることなども満たしていなければなりません。

詳しくは関税のホームページでもチェックリストが掲載されているので参照することができます。

関税のホームページはこちらから。

チェックリストを確認したうえ、AEO取得希望事業者は税関のAEO担当部門に連絡します。

認定事業者になると物流のリードタイム短縮など、メリットがあることは前回コラムにも書いた通りですが、さらに重要なのが貨物のセキュリティ管理と法制遵守を取引先にアピールできることではないでしょうか。

AEO導入の大きなきっかけとなったのがアメリカでの9・11テロにあります。
欧米ではテロをきっかけに、セキュリティに対する関心が高まり、多くの事業者がビジネス戦略としてAEOを取得しています。また、世界各国においてAEO制度もしくはそれと同等の制度が導入されており、世界では40組以上の相互承認が成立しています。

日本は現在、ニュージーランド、米国、カナダ、EU、韓国、シンガポール、マレーシア、香港が相互承認を実施しています。相互承認国に輸出した場合、相手国での通関の際も審査・検査が軽減されるなどの効果により、リードタイムが確保されます。

しかし、上述した通り、AEO取得の壁は小さくありません。
監査体制も整えてなければならず、当初より変更があった場合は届ける必要があります。NACCS導入も小さな事業者には大きな負担となるでしょう。

結局、AEOを取得した通関業者や倉庫業者を利用するのがリードタイム確保の近道でしょう。AEO通関業者に特例委託輸入申告または特定委託輸出申告を依頼して行います。

また、輸入の場合、申告価格が20万円以下の少額貨物以外の申告には保全担保が必要となります。保全担保を税関に提供しなければ特例委託輸入申告は利用できません。さらに、過去の一定期間に関税関係法令に違反がないことも要件です。

特定委託輸出申告については認定通関業者が特定保税運送者と連携する必要がありますが、特定保税運送者は現在7者のみで、連携しようにも難しい、というのが現状です。

AEO制度が導入されて8年、まだまだ全面的にスムーズに運用されるには至っていないようです。

2017/01/09

AEO事業者の制度って何でしょう?

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AEO(Authorized Economic Operator)事業者とは、2008年より導入された制度です。
貨物のセキュリティ管理と法制遵守(コンプライアンス)体制の整った事業者を、税関長がAEO事業者として承認・認定します。

AEO事業者は税関手続きの緩和・簡素化が提供されます。

例えば輸入申告時の審査・検査が基本的に省略され、貨物の引き取り後に納税申告を行うこと等ができます。

従来AEO制度導入時の対象は輸出者だけでしたが、現在は輸出者、輸入者、倉庫業者、通関業者・運送者、製造者が認定を受けることができます。

AEO事業者に認定されることで受けられるメリットは以下の通りです。
1.特例輸入申告制度(特例輸入者)
輸入申告時の審査・検査が基本的に省略。貨物の引き取り後に納税申告を行える等。

2.特定輸出申告制度(特定輸出者)
貨物を保税地域に搬入することなく、自社の倉庫などで輸出申告から許可まで行える。

3.特定保税承認制度(特定保税承認者)
税関長への届出で保税蔵置場を設置すること等が可能。当該届出蔵置場にかかる許可手数料の免除。

4.認定通関業者制度(認定通関業者)
輸入者の委託を受けた輸入貨物について貨物引き取り後の納税申告(特例委託輸入申告)が可能。輸出者の委託を受けて保税地域以外にある貨物について、特定保税運送者による運送を前提に輸出許可を受けること(特定委託輸出申告)が可能。

5.特定保税運送制度(認定通関業者、特定保税運送者、その他国際運送貨物取扱業者)
個々の保税運送の承認が不要。特定委託輸出申告にかかる貨物について、輸出者の委託を受けて保税地域以外から直接積込み港への運送が可能。

6.認定製造者制度(認定製造者)
製造者以外の輸出者が行う輸出通関で、保税地域に貨物を搬入せずに輸出の許可を受けることが可能。

輸出に関わる企業にとっては、保税地域に搬入することなく輸出許可を受けることができ、積込み港の保税地域で輸出許可を待つ必要がなくなります。これにより、輸送時間と保税のためのコストが削減されることになります。

輸入に関わる企業にとっては、納税が猶予されるため、資金繰りに余裕ができます。
しかしながら、この点については通関業者の立替払いを利用するなど、納期限延長制度もあることから、輸入者がメリットとして感じにくい点ではあるようです。

2016年10月現在の認定事業者数は
特例輸入者92者
特定輸出者240者
特定保税承認者126者
認定通関業者132者
特定保税運送者7者
となっています。
認定製造者はまだありません。

これは輸出入に関わる企業数全体からすれば決して多い数ではありません。その理由はやはり、認定基準を満たすのが難しいことがあげられます。

また、輸入者や輸出者にとっては、認定通関業者に通関手続きを委託することで、特例輸入者や特定輸出者にならなくてもそのメリットを受けることができることが理由として考えられます。

では、具体的に認定基準とはどういったものであるか、それについてはまた次回、お話ししたいと思います。

2016/12/24

輸入申告はインボイス価格ではなく評価申告で

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輸入申告において課税価格を計算する際、インボイスに輸入申告に必要な金額すべてが記載されているとは限りません。

むしろ、インボイス価格がそのまま課税価格になることの方が少ないくらいです。商品が輸入港につくまでにかかった費用すべてを加算しなければならないからです。

FOB建ての場合、輸入港までの運賃(Freight)と保険(Insurance)が加算の基本となります。

それ以外にも買い手により負担される貨物の容器代や包装費用、仲介料等手数料、ロイヤリティーやライセンス料、そして買い手により無償又は値引きをして提供された部品や金型代などを課税価格に加算しなければなりません。

これらの加算要素を評価申告と呼びます。
評価申告は、申告の都度加算要素を計算して行う個別評価と、まとめて行う包括評価とがあります。

個別評価は輸入申告の都度、無償提供された材料費などを計算して加算します。同一契約の商品が数回に分けて輸入される場合は按分します。生産ロスを含んでいるときはロス分も含めて按分します。また、基本的に製品No.ごとに算出しなければなりません。

包括評価は継続的に同一商品を同条件で輸入する場合に最長2年で適用されます。鋳型や工具、同一部品、設備や機械、またライセンス料などを包括評価にすることが多いでしょう。本契約の輸入が始まる前に税関へ計算方法を記載した包括申告書を提出します。原則は按分により輸入の度に加算しますが、要件を満たせば一回目の輸入の際に一括加算することもできます。

評価は基本的な考え方として、インボイス価格に含まれていないもので、買い手により負担される価格です。しかし、評価するかしないか判断の難しいものもあります。例えば、輸入取引業務で生じる仲介料や手数料のうち、買付手数料は評価しません。

輸入貨物に取りつけられるラベル費用のうち、食品衛生法や家庭用品品質表示法など日本の法律で表示義務のある事項のみ記載されたラベルについては評価に含みません。

意匠なども日本以外で開発され買い手により負担されるものについては評価しなければなりませんが、日本国内で開発されたものは評価しません。

もし、評価申告の判断が難しい場合は税関の事前教示制度を利用しましょう。

財務省の発表によると、税関により平成26年度の事後調査を受けた3,545者の輸入者うち、申告漏れ等のあった輸入者は2,363者で、主な理由は

1. インボイスに記載された決済金額以外の貨物代金の申告漏れ
2. 豚肉に係る高価申告
3. 海外生産のために輸入者が輸出者に無償提供した材料費用などの申告漏れ

だそうです。

評価申告は輸入者自身で通関業者に資料を渡さなければ知りうることができません。
ぜひ、知識をもって正しい申告を行いましょう。

2016/12/06

日本の税関の歴史を振り返る

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先日、いつものように大阪税関のHPをチェックしたところ、「大阪税関150周年のロゴマークが決定!」とありました。

そこで今日は税関の歴史について、少し触れたいと思います。

日本の税関の歴史は幕末にはじまります。

いわゆる「黒船来航」(1853年)からです。江戸時代の日本は鎖国政策をとっていため、長崎の出島が日本と外国を結ぶ唯一の港でした。それが、ペリーの黒船来航により開港への道を一気に進みます。

当時の日本の造船技術の25倍もの大きさの船、しかも黒塗りの軍艦が浦賀に4隻も迫って来たのですから、力に屈するよりほかありません。翌年1854年に日米和親条約が結ばれ、下田は即時、箱舘(函館)が一年後に開港しました。

そして、1859年(安政6年)に長崎、神奈川、函館の3港に各「運上所」が設けられます。運上所では現在の税関業務と同じように輸出入貨物の監督や税金の徴収といった運上業務や、外交事務を取り扱っていました。

次いで1868年大阪運上所、兵庫運上所が誕生します。「運上所」は1872年11月28日に「税関」と呼称変更されます。
そのため、毎年11月28日が「税関記念日」とし、各税関では毎年広報イベントなどを開催しています。

現在、日本のすべての都道府県は函館、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司、沖縄の9税関の管轄区域下におかれています。

各税関の本庁を「本関」と呼び、他に出張所、支署、監視署がおかれます。実際の取扱件数は本関よりも出張所や支署の方が多いようです。物量が増えると、港や空港が新たに整備され、出張所や支署がおかれるためです。本関はどちらかというと広報活動や相談に行くところ、というのが実感です。

東京税関は現在輸出入総額国内第一位の成田国際空港を抱える税関ですが、もともとは横浜税関の管轄区域の一部でした。東京、埼玉、群馬、山梨、新潟、山形、千葉県のうち市川市の一部、成田市、香取郡多古町及び山武郡芝山町が1953年に東京税関として新設されました。成田支署は、千葉県にあるけど「東京」ディズニーランド、という感じでしょうか。成田市もやはり千葉県ですが、東京税関の管轄です。

名古屋税関は大阪税関の名古屋税関支署であったのが、1937年に名古屋税関として独立しています。現在の名古屋港は金額ベースでの輸出総額及び総貨物取扱量が国内第一位です。サイズもビッグ、金額もビッグな自動車産業が盛んなためだと思われます。

各税関の本関は広報展示室を持ち、平日に見学することができます。

ゆるキャラブームよりずっと以前から存在する、まんまちゃんによく似たカスタム君が出迎えてくれます。展示物にも特徴がありますので、訪れてみてはいかがでしょう。

2016/11/14

輸入許可前の廃棄について

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前回のコラムにも触れましたが、税関検査では思いもよらぬ貨物が混入していることがあります。

麻薬や武器など輸入禁制品はもっての他、これは追加で申告しようにもちょっと時間がかかりそう・・・と現場の通関業者を悩ますものもあります。

インドネシアから家具を輸入しようと輸入申告を行った際の話です。

税関検査の結果、現地での加工に使用したと思われるラッカースプレーや塗料など、インボイスに記載されていない貨物が、カートンに混入していました。

塗料は化学物質ですので、成分が麻薬向精神薬原料に抵触しないかなど、各種法律の輸入禁止物質が含まれていないことの確認が必要です。ラッカースプレーは高圧ガス保安法の適用除外であることの試験成績書が必要です。

明らかに販売に供しないものであるので、試験成績書まで必要ありませんでしたが、すぐには成分などわかりません。シップバックの方法もありますが、どちらにしても要らないものですし、許可前に処分、廃棄しようということになりました。

しかし、これは輸入許可前貨物、つまり外国貨物です。

外国貨物は税関の管理下にあり、輸入者自身が自身のゴミとして簡単に捨てることができません。税関の承認なく廃棄した場合、保税地域が処分の対象となります。

まず、税関に対して廃棄したい旨を理由とともに文書で提示しなくてはなりません。そして、「滅却(廃棄)承認申請書」に必要事項を記載・提出して滅却の承認を受けます。

ここでいう「滅却」とは「焼却等により貨物の形態をとどめなくすること」であり、屑などリサイクルできる状態であってはなりません。リサイクルできる処理は、経済的価値を残すので、滅却とは認められません。

廃棄後の現況により輸入通関手続きが必要となります。屑でも商品として販売するなら通常の通関手続きをして納税しなければならないのです。

承認を受けると税関長に認められた場所で、税関職員立会いのもとに滅却されます。立会いは省略されることもあります。
焼却できるごみであれば地方公共団体のゴミ処理施設、産業廃棄物であれば地方公共団体の許可を得た産廃業者と委託契約を結び適切な処分をしてもらいます。

そして、滅却の確認ができる書類や証拠の写真を税関に提出し、滅却に伴う一連の手続きが完了します。

滅却の承認を受けたものに関しては課税対象とはなりません。しかし、焼却費用や蔵置費用などもろもろの費用が発生します。上記の申告外貨物の場合は保税蔵置場に搬入、滅却予定のラッカー等と本来申告していた貨物とを仕分けし、手続きを進めました。

必要ないからと言って簡単には捨てられないことがお分かりいただけましたか?

安易に「そっちで処分して」とは言わせないように、輸入者輸出者ともに理解しておくことが必要と思います。

2016/10/24

無償貨物でも金額表記が必要

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輸入であっても、輸出であっても、全ての貨物はパッキングリストとインボイスに記載されなければなりません。例えばカタログやサンプル、加工貿易での原材料など、無償で貨物が行き来することも少なくないでしょう。

この場合、インボイスには無償(No Commercial Value)と記載します。

そして、無償品でも必ず金額表記をしなければなりません。
輸入であれば、無償品で輸出者と輸入者間に価格の決定(取引価格)がない場合は、
関税定率法に、
・「同種又は類似の貨物にかかる取引価格による方法}
・「国内販売価格に基づく方法」
・「製造原価に基づく方法」
・「その他の方法」
とあり、これらの方法により課税価格を計算します。

無償であっても、外国貨物の輸入には原則として関税がかかるからです。

しかし、特定の条件を満たす無償品には関税を課しません。例えば、展示会で一時的に用いる場合や個人の贈与品で一万円以下の場合などですが、いずれも正しい金額(本来の売値)を表示しなければなりません。

これは実際によくある話なのですが、(あってはならないことですが・・・)税関検査で貨物をコンテナごとX線にかけた時のことです。パッキングリストとインボイスに記載のない箱がいくつか見つかり、輸入者に確認したところ、輸出者よりサンプル品として無償で提供されたものであるとの回答がありました。

サンプル品で無償だから申告しなくてもいいと思ったそうですが、全ての外国貨物を輸入申告しなければなりません。この場合は、箱の中身をすべて調べて数量と価格を決定し、修正申告します。税関には経緯報告という名の反省文を提出し、ペナルティーとしてその後の許可が下りにくくなるとかならないとか。

スムーズに通関できなくなる上に、検品して輸入許可が下りるまでの間の倉庫代やトラックのキャンセル料など、ほかにも料金が発生する可能性もあります。何気ない行為があとあとのトラブルを生みます。余計なもの(!)を勝手に混入しないよう、輸出者にも周知しておきたい事項です。入れる場合は必ずインボイスに記載してもらいましょう。

関税とは関係ありませんが、輸出貨物であっても、やはり同じように正しい金額表記が必要です。仕向地での通関も上記と同じ原理だからです。

また、加工又は組み立てのため輸出された貨物を原材料とした製品、いわゆる加工委託契約については減税措置が講じられています。輸出時のインボイスが減税計算の根拠となります。

ただし、「加工又は組立のため輸出された貨物を原材料とした製品の減税」(暫定8条)には、輸出時にその旨を税関に確認しなければならないこと、対象となる再輸入貨物が決まっていること、輸入時にも各種書類が必要となるなど、条件が限られます。減税を受けない場合は、製品輸入時に無償提供した原材料の輸出インボイスを提出します。

そのほか、再輸入減税や加工又は修繕のため輸出された貨物の輸入(原則1年以内)についても減税が認められています。輸出インボイスが必要となりますので、必ず保管しておきましょう。

2016/10/1

税番決定に必要なこと

輸入通関のために通関業者に提出する書類は

1.仕入書(Commercial Invoice)
2.包装明細書(Packing List)
3.船荷証券(B/L)、航空貨物の場合は航空貨物運送上(AWB)
4.保険料明細書(CIF契約など保険を含む場合は必要なし)
5.運賃明細書、海上貨物の場合はArrival Notice(書類到着通知書)

以上が基本となります。

そのほか、貨物の種類によっては
 ・他法令の許可・承認証(例えば植物検疫法や食品衛生法などの法令の許可・承認が必要な貨物)
 ・特恵原産地証明書(特恵関税の適用を受けようとする場合)
 ・減免税明細書(加工再輸入減税制度や再輸入減税を受けようとする場合)

などが必要となります。

さて、書類が手元に届いたら現場の通関士が何をするかというと、輸入される品物を実行関税率表(タリフ)に基づいた税番(HSコード)に当てはめていきます。

輸入品の関税率は税番に対応しており、税番が違えば関税率も違ってきます。
例えば、同じ綿100%のT-シャツでも単色のものとプリントのものとでは税番が違います。この場合、WTO協定税率なら単色Tシャツが7.4%、プリントTシャツが10.9%です。プリントTシャツはさらに、「刺繍したものレースを使用したもの及び模様編みのも組織を有するもの」とそうでないもので分かれます。

間違った申告が、後日税関の事後調査により発覚し、修正申告となった場合、新たに収める税金のほか、過少申告加算税がかかります。ただし、調査前に自分から修正申告した場合は過少申告加算税はかかりません。

このように、税番決定はとてもデリケートなことです。そして、税番決定のためには輸入品の細かな情報が必要となります。

多くの場合、仕入書だけでは貨物の詳しい情報が不足しています。仕入書に貨物の品名や品番が書かれてあっても、それがどのような形状、材質等かわからなければ、税番を決めることができず、書類がそろっていても輸入申告を進めることができないのです。

そのため、通関業者には上記の必要書類のほか、輸入品の仕様書やカタログなどを渡すといいでしょう。ない場合は、口頭でもいいのですが、申告後、税関審査になった場合に、これらを求められることもあります。特にその品物の第一回目の輸入の際は、製品情報が必要とされます。

あまりに細かい問い合わせにうんざりさせられることもあるかと思いますが、ご理解ください、としか言いようがありません。ただし、一度輸入実績ができれば、あとは通関業者のほうで管理をしてくれるでしょう。

貨物の輸入前に税関や通関業者に相談するのもいいでしょう。税関相談官制度というものがあり、直接か通関業者を通して相談できます。事前に相談して税番を決定し、提出書類の端に○○税関◆◆相談官に相談済み、と書けば、書類審査になっても、輸入許可まで時間を短縮できます。

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