輸出申告又は輸入申告は原則としてその貨物を入れる保税地域等の所在地で行います。AEO事業者のうち、輸出入者及び通関業者等は「申告官署の自由化」により、どの税関官署に対しても輸出入申告できるようになります。 |通関士試験にも出る?申告官署の自由化

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通関士試験にも出る?申告官署の自由化

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どこの税関官署に輸出入申告をするかは、貨物の蔵置場所により決まります。

輸出申告又は輸入申告は、原則としてその貨物を入れる保税地域等の所在地を所轄する税関長に対して行う、とされているからです。(関税法第67条の2)

しかし、この原則を維持しつつ、AEO事業者のうち、輸出入者及び通関業者等は、どの税関官署に対しても輸出入申告できるようになります。

この「申告官署の自由化」は2016年3月29日、「関税定率法等の一部を改正する法律」の成立により決定しており、2017年10月8日のNACCS更改に合わせて施行されます。

また、これに伴い、通関業法も改正され、営業区域制限がなくなります。

以下、官署自由化に関する関税法と通関業法の改正前と改正後の比較です。

<関税法>
改正前
・輸出申告の特例として、AEO事業者は貨物がおかれている場所の所在地を所轄する税関長に対して輸出申告をすることができる。
・輸入申告に関して特例なし

改正後
・輸出申告・輸入申告の特例として、AEO事業者はいずれかの税関長に対して輸出申告・輸入申告をすることができる。
・税関長は、上記の申告の貨物検査に係る権限を、貨物が置かれている場所の税関長に委任することができる。

*ここでいうAEO事業者とは、特定輸出者、特定委託輸出者、認定製造者の製造した貨物を輸出しようとする特定製造貨物輸出者、特例輸入者、特例委託輸入者のこと。
特定委託輸出者・特定委託輸入者とは認定通関業者に通関手続きを委託したもの。

外国貿易船に積んだまま申告することが必要とされる貨物については、引き続き、外国貿易船の係留場所を所轄する税関長に輸出・輸入申告することとなっています。

貨物検査の立ち合いは現地の通関業者や配送業者などに委託することができます。委託先や検査する税関とのやり取りについて、具体的な方法などは現在意見交換中だそうです。

また、自由化の対象外となる貨物が指定されています。
・MDA協定(日米相互防衛援助協定)該当貨物
・輸出貿易管理令に定める武器関連物資等

ワシントン条約該当貨物については指定官署に蔵置されている場合、いずれかの指定官署に輸出入申告できる、という少し条件付きの自由化です。

<通関業法>
改正前
・通関業を営むにはその業に従事しようとする地を管轄する税関長の許可。
・通関業者はその許可をした税関の管轄区域内においてのみ通関業を営むことができる。(営業区域の制限)

改正後
・通関業を営むには財務大臣の許可
・認定通関業者は営業所の新設を財務大臣に届け出る
・営業区域制限の廃止

営業区域制限の廃止により、貨物の蔵置場所に関わらず、全ての通関業者が貨物蔵置場所を所轄する税関に対し輸出入申告を行うことができます。さらにAEO事業者は申告先税関を選択することができます。

例えば、A通関業者は神戸で営業許可、B通関業者は大阪で営業許可、とします。現行では、輸入者は神戸に貨物が蔵置されていたらA通関業者に通関依頼、大阪に蔵置ならB通関業者に、と通関業者を変えています。しかし、法改正施行日以降は、神戸蔵置でも大阪蔵置でも、ABどちらの通関業者に依頼してもOKということになります。

2017/07/28

危険な外来生物の上陸を防ぐ水際対策とは?

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外国を行き来する海上コンテナや船舶には、様々な動植物が付着してしまいます。

今、陸揚げされた海上コンテナ内で火蟻(ヒアリ)が見つかるという問題が起こっています。

火蟻は猛毒性があり、「世界の侵略的外来種ワースト100」にも入っています。

このように危険な外来生物がコンテナや船舶にくっついて国内に持ち込まれるケースは少なくありません。

生態系や漁業などにも影響を与えるため、国際条約や法律による規制が進められています。

一つは「船舶バラスト水規制管理条約」です。バラスト水とは、船体を安定させるためにバラスト(船底に積む重し)として用いられる水のことで、貨物船が空荷で出港するとき、港の海水が積み込まれ、貨物を積載する港で船外に排出されます。積み込む港と排出する港が異なるため、海水に含まれる多種多様な水生生物が多国間で行き来してしまいます。水生生物は移動先で環境被害や健康被害、漁業へ影響を及ぼしています。

そこで、バラスト水とその沈殿物の管理のための国際条約を締結しよう、ということになりました。バラスト水管理のためのガイドラインが策定され、締約国は指定された港・ターミナル内に沈殿物の受け入れ施設を持つことや、船舶に対する定期検査、国際証書の発給などが義務付けられています。

有害動植物に寄生されている恐れがあるものに、木材こん包材があります。付着した動植物から輸入国に病害をもたらすことを予防するため、木材こん包材について植物検疫措置に関する国際基準「国際貿易における木材こん包材の規則」(ISPM No.15)に沿った消毒や表示等が輸出国に求められます。

対象のこん包材は、厚さ6ミリ以上の貨物の積載、梱包、下敷き、支持又は固定に使われるパレット、木箱、木枠などの非加工木材です。パーティクルボードやベニヤ、接着剤や熱処理などにより加工された木材は対象外です。燻蒸や消毒など適切な処理がされた木材こん包材には認定されたマークが付けられます。

もし、輸入地点で要求されたマークがなかったり、有害動植物の発見が処理が有効でなかったことによる場合、国家植物防疫機関がそれに応じた対策をとります。日本であれば植物防疫所となります。必要であれば、留め置き、不適合材の除去、処理、破壊、又は返送もあります。また、生きた有害動植物が発見された場合は、輸出国又はこん包材の製造国に通知されます。

火蟻の件でも見られたように、海上コンテナ内で危険生物が見つかることもあります。海上コンテナは通常、積み荷をデバン(荷下ろし)した後、きれいに洗浄しなければなりません。もし、内部に生物がいたり、その卵や死骸を見つけたりした場合は、外来生物法に基づき、環境省に連絡します。

ちなみに、外来生物法では、輸入品に付着・混入するなど非意図的であっても、特定外来生物の「輸入」と考えます。特定外来生物を許可なく輸入することはできませんので、その付着・混入が確認された場合は、環境省から消毒、廃棄が命令されます。

特定外来生物とは、外来生物のうち、特に生態系等への被害が認められるものとして外来生物法によって規定された生物です。

規制や対策はとられているものの、日本は多くの国・地域から多種多様なものを輸入しています。全ての輸入品や多国間を行き来するコンテナなどを検査するのは不可能です。また、アリやクモのような小さな生物の侵入を防ぐのは容易ではありません。結局、どれだけ関係者が気づけるか、気づいた時の素早い対応が重要ということでしょう。

船舶バラスト水規制管理条約
http://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/trt/page22_000988.html

植物防疫所 木材こん包材の輸出入
http://www.maff.go.jp/pps/j/konpozai/index.html

特定外来生物等一覧
https://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/list/

2017/07/11

金の密輸とならないために

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金塊を密輸しようとした疑いで、愛知県の韓国籍の女性たちが逮捕される事件がありました。

この女性たちは主婦仲間で、別の人物が香港で買い付けた金塊を韓国で受取り、日本に密輸していたといいます。

また、唐津市では漁船で金塊200㎏を密輸しようとした男らが逮捕されました。

このように香港から韓国を経由し、複数の運び役を介した金塊密輸が増えています。

全国の税関が摘発した金塊密輸は平成25年度には全国で8件でした。しかし、26年度177件、27年度は294件と急増しています。増加した理由の一つに消費税率の引き上げが考えられます。

日本では消費税込み価格で金が売買されます。買う時も売るときも消費税込みの価格で取引されます。いっぽう、香港では金を購入しても消費税はかかりません。持ち出しにも税金はかかりません。主犯格は香港で買い付けた金塊を手に韓国経由便で日本に渡ります。韓国でトランジットするとき、集めておいた「運び役」に金塊を小分けにして渡します。

日本入国時に本来ならば支払うべき消費税を無申告で通過すれば、日本で売却するとき上乗せされる消費税8%分が儲かるという仕組みです。金の価格は近年上昇し続けており、2017年6月現在1㎏税込み490万円前後です。為替変動なども踏まえても、仕入価格より30万円以上高く売れることになります。

「うーん、オイシイ」とは思ってはいけません。これは関税法と消費税法違反であり、立派な犯罪です。5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科せられることがあります。未遂も同罪です。

では、「運び役」でなくとも、金を密輸してしまわないために、知っておくべきこととは?

金地金(純度90%以上)の持ち込みは、1㎏を超える場合、「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」を提出しなければなりません。じゃあ、1㎏超えなければ申告しなくていいのかというと、そうではありません。

金地金は現金やT/Cなど「支払い手段」と並列されていますが、モノであり、携帯品・別送品にあたります。携帯品・別送品の免税範囲は総額で20万円です。たとえ1㎏以内でも20万円を超える場合は課税されるので、別途「携帯品・別送品申告書」に記入します。金は関税無税ですが、消費税及び地方消費税を納付しなければなりません。

では、日本に出入りする際、税関に申告する必要がある「支払手段等」とは、
・現金(本邦通貨、外国通貨)
・小切手
・トラベラーズチェック、旅行小切手
・約束手形
・有価証券(株券、国債等)
これらの合計額が100万円を超える場合。

又は、金地金(純度90%以上)が1㎏を超える場合、です。出国時も入国時も必要です。申告=課税ではありません。

支払手段等の申告は、資金洗浄及びテロ資金供与対策の一環として、FATFの特別勧告にも盛り込まれています。日本以外の多くの国でも、出入国の際に申告が義務付けられています。

また、自国通貨の持ち出しについて厳しく制限している国もあります。申告せずに出入国しようとした場合、罰金や没収といったこともあります。多額の現金等を携帯する場合、渡航先国の大使館や総領事館に事前に確認することが必要です。

2017/06/23

中国爆買いが終えん、トレンドは越境ECへ?

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訪日中国人による「爆買い」が流行語にもなったのは2015年のこと。あれから2年、爆買い失速で日本のドラッグストアは店頭収益爆減・・・。

しかし、訪日中国人は帰国後、日本の商品をインターネットで買うリピーターになっていました。

個人消費者がインターネットを介して国境を超える買い物をすることを越境ECといいます。そして、日本の最大の越境EC相手国は中国なんです。

2016年、中国が日本から越境ECで購入した額は1兆366億円。これは30.3%増で、まだまだ伸びると予想されています。

中国の越境ECは配送方法によって、それぞれ徴収される税や手続きなどが違います。

一つは「直送」モデルです。
これは、EMSや国際宅配便を利用して消費者に日本から直送する方法です。個人の郵送品として扱われ、貨物の内容は自己申告に基づき簡易的に通関されます。「行郵税」が適用。税率は品目により3段階。免税措置もあります。

もう一つは「保税区」モデルです。これは、商品を船便などで中国国内の自由貿易特区の保税区にいったん納入します。注文が入れば管理業者が商品を保税区から消費者に配送。保税区から出るときに納税します。保税区に一括搬入することで運賃が節約でき、注文から配送までの時間が短縮できます。

保税区は越境EC輸入モデル都市及び総合試験区として、杭州、天津、上海、重慶、合肥、鄭州、広州、成都、大連、寧波、青島、深セン、蘇州、福州、平潭の15都市。

直送モデルも保税区モデルも一回の購入額2,000元まで、年間20,000元の上限あります。超える場合は一般貿易として扱われます。

中国では越境ECによる輸入を個人の物品ととらえ、「行郵税」を適用してきました。しかし、一般貿易との不公平感から、2016年4月に新制度が導入されました。

新制度では保税区の行郵税廃止、ポジティブリスト方式による輸入商品の限定、保税区入庫時の通関単の提出、初回輸入時の輸入許可証や登録手続きが必要になります。また、保税区は行郵税に代わり、関税・増値税・消費税が適用されます。関税は暫定0%、増値税・消費税は軽減税率で徴収されます。品目により税率が異なります。

ところが、公告から施行まで短期間だったこともあり、施行直後は大混乱。税関で貨物の半数以上が通関できないという事態が起こりました。

そこで、新制度の導入に1年間の猶予が与えられ、税率が先行して施行されることになりました。後に、さらに延長され、2018年1月1日より新制度で完全運用すると発表されています。

制度自体も発表当初は規制が厳しく、特に新商品の購入が実質難しい状況でしたが、申請手続が簡略化されるなど、たびたび変更が発表されています。

「上海・浦東新区における非特殊用途化粧品の記録管理の試験運用に関する公告」によれば、スキンケア、メイクアップ、など一般化粧品の初回輸入を「許可制」から「届け出制」へ変更し試験運用するとのこと。

現状では越境ECに対する政府態度は規制緩和傾向にありますが、まだまだ不安定なのも事実です。一般貿易で適用されている法規制や手続きにも素早く対応できるように、準備しておくのが賢明と思われます。

2017/06/07

国際郵便or国際宅配便それとも・・?

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小口の貨物を海外に送る際には国際郵便や国際宅配便がよく利用されます。

この2つ、Door to Doorで海外に荷物を送れる、という点で同じですが、位置づけや仕組みがちょっと違います。

国際郵便は公的配送会社です。
・日本では日本郵便
・アメリカならUSPS(米国郵便公社)
・中国は中国郵政
万国郵便連合(UPU)という国際機関の取り決めのもとに運営されています。

UPUでは文化、社会、経済各分野の国際協力に寄与することを目的とし、どの国や地域からも固定料金に近い料金で郵便物を送れることなどが合意形成されています。

発送方法には届く速さ順に、
・EMS(国際スピード便)
・航空便
・SAL(エコノミー航空便)
・船便
の4種類があります。

一方、国際宅配便は民間配送会社です。
・DHL
・FedEx
・OCS
・ヤマト運輸
・佐川急便
などがあります。

国際郵便と国際宅配便の大きな違いは通関の仕組みです。

【国際郵便】
(価格が20万円以下貨物の場合)
・「税関告知書」又は「税関票符」に必要事項を記入して郵便物に添えて郵便局に貨物を引き渡す
・その後、貨物は税関外郵出張所に集められ、必要な検査を受けて外国に発送
・輸出の許可、承認が必要な品物については、荷物が止められ必要な手続きの連絡が来る

(20万円以上貨物の場合)
・税関への輸出申告が必要
・郵便局、通関業者に委託するか、自分で輸出申告しなければなりません
   
【国際宅配便】
・通関手続きを民間配送会社が代行
・書類以外の荷物にはインボイスが必要
・会社によって対応が違いますが、他法令の届け出や承認、許可を代行してくれることもあります
   
発送できない貨物が国際郵便、国際宅配便にはあります。大きな違いは信書で、国際郵便では基本的にEMSでしか信書は送れないことになっています。国際宅配便のDHLやFedExでは信書は送れます。

信書とは手紙やはがき、請求書類、許可書類、証明書類など「特定の受取人に対して、差出人の意思を表示したり、事実を通知する紙など」です。貨物に関係する送り状などを同梱する場合はこの限りではないようです。

火薬など危険物、動物、麻薬類、航空危険物などは国際郵便と国際宅配便ともに取り扱いできません。ただし、DHLでは一部の危険物を送ることができます。また、国や地域による規制や条約によっても送れないものがあります。

料金は国際郵便の方が安いです。国際宅配便には燃料割増料金も加算されます。安さだけでいえば国際郵便の勝利ですが、地域によっては到着予定日より大幅に遅れるといったこともあるようです。また、各社で貨物を送れる地域や重量制限が違います。

海外に荷物を送るときには、料金だけでなく、保険が付帯できるか、配送状況の追跡など、いろいろなサービスを比べて、配送会社を選びましょう。

国際郵便で送れないもの
http://www.post.japanpost.jp/int/use/restriction/index.html

DHLで取り扱いできない品目
http://www.dhl.co.jp/ja/country_profile/import_guidelines_express.html#containerpar_expandablelist

信書のガイドライン
http://www.soumu.go.jp/yusei/shinsho_guide.html

2017/05/08

原産地にEPA税率を適用するには

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物流や貿易が盛んになり、一つの品物が出来上がるまでに様々な国が関与するようになりました。

複数の国の材料を使用し加工されて出来上がった物品の国籍(原産地)はどのように決まるのでしょうか?

日本の関税法には原産地を認定する基準が2つあります。

1.完全生産品
その名の通り、一つの国または地域で生産されたもの。一つの国または地域で採れた鉱物や動植物、水産物、これらを原材料として生産された物品です。

2.実質的な変更を加える加工又は製造したもの
関税定率法別表の「項」(HS番号の4桁)の変更を伴う加工または製造をした国が原産地と認定されます。ただし、輸送や保存のための乾燥・冷凍や包装容器に詰めること、部分品の組み立てなど、認められない加工もあります。その場合は前の状態まで行った国が原産地となります。

また、「税関長の指定する加工又は製造」として繊維製品など一部のもので、上記とは異なる加工・製造も認められています。

以上が基本的な原産地認定基準になります。

EPA(経済連携協定)税率を適用したい場合、原産地認定がより厳密に定められています。EPA締約国を原産地とするためには3つの条件を満たさなければならず、これらの条件を原産地規則と呼びます。

1. 原産地基準
・完全生産品
・実質的な変更を加える加工又は製造したもの
・関税分類変更、特定の加工工程、付加価値が特定の条件を満たしたもの
・関税分類変更にかかる特例規定の適用を受ける産品
・原産材料のみから生産された産品
原産地基準には「累積」や「僅少の非原産材料」といった補足的規定も多くあります。

2.原産地手続
EPA特定原産地証明書や通し船荷証券などの書類の提出

原産地基準を満たすかどうかを証明する方法は3種類あり、
・第三者証明制度:輸出国発給当局が特定原産地証明書を発給
・認定輸出者による自己証明制度:輸出国発給当局が認定した輸出者自身が原産地申告文を作成
・自己申告制度:貨物の輸入者、輸出者又は生産者自らが原産地申告書を作成
第三者証明制度はすべてのEPAで認められていますが、それ以外は各EPAで対応が異なります。

3. 運送基準
原則として直送していること

EPAは締約国ごとの交渉によるため、内容は各EPAで違います。同じ品目であってもEPA毎に異なる基準が存在します。また、関税分類が変更していても品目によって条件付きになり、原産国と認められない場合もあります。

EPA特恵税率を適用させるには各条件を詳しく調べて照らし合わせる必要があります。

下記サイトなどを参考にされると良いでしょう。

原産地規則ポータル
http://www.customs.go.jp/roo/

各協定の本文と品目別規則(経済産業省HPより)
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/process/e-step4.html

2017/04/14

お土産にもワシントン条約が!?

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ワシントン条約、聞いたことあるという方、多いのではないでしょうか?

ワシントン条約は貿易をする人だけでなく、外国旅行者にもかかわる条約です。知らなければ、せっかく買ってきたお土産も没収されてしまうこともあるので気を付けましょう。

ワシントン条約とは絶滅のおそれのある野生動植物が過度に国際取引されないよう種の保護を目的として生まれた条約です。

英語の条約名(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)の頭文字をとってCITES(サイテス)とも呼ばれます。

対象種は附属書に掲載されており、ⅠからⅢまで3つの区分があります。

以下、規制内容と対象種一例です。
【附属書Ⅰ】
・学術研究を目的とした取引可能
・輸出国・輸入国双方の許可書、契約書等が必要
・オランウータン、スローロリス、ゴリラ、ウミガメ、オニソテツ、木香etc.

【附属書Ⅱ】
・商業目的の取引可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要
・タカ、オウム、ライオン、ピラルク、ラン、サボテン、アロエetc.

【附属書Ⅲ】
・商業目的の取引可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書又は原産地証明書等が必要
・セイウチ(カナダ)、ワニガメ(米国)、アカギツネ(インド)etc.

ここでいう輸出許可書とは、税関の輸出許可書ではなく、ワシントン条約にかかる管理当局の発行するCITES輸出許可書のことです。

附属書は対象種が一般名では記載されていません。学名で書かれており、分かりづらいのが難点です。

ワシントン条約は野生の動植物の保護を目的としたものであり、飼育されたものや人工繁殖したものは規制の対象外になる場合があります。生きている動植物だけでなく、加工品も対象となります。

例えば、はく製や原皮、ハンドバックなど革製品・毛皮・アクセサリ・彫刻品・化粧品・食品・医薬品などです。原材料の一部であっても規制対象です。

近年増えているのが、海外のインターネットオークションやショッピングサイトで購入した商品に対する手続き不備です。海外の販売者に対し、条約の理解と対象貨物が含まれていないかどうか、規制対象貨物であればしっかり手続きをしてくれるかどうかの確認が必要です。

外国からの郵便物にワシントン条約に該当する貨物が含まれる可能性がある場合、税関から手続きを求める書類が届きます。必要書類を事前に揃えていれば、税関に書類を提出して貨物を受け取れます。揃えられなければ、貨物を返送して取引をキャンセル又は再度輸入する。もしくは郵便物を放棄しなければなりません。

また、旅行者のお土産品に関しては条件を満たせば日本への輸出入手続きが不要です。

参考サイト:
経済産業省HP 
附属書(動物界)
附属書(植物界)附属書(植物界)

税関に直接質問できる!事前教示制度とは

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煩雑な貿易実務の仕事。少しでもスムーズに進めたいと思うのは皆一緒ですね。

そこで今回は税関が無料で提供してくれているサービス「事前教示制度」をクローズアップしてみようと思います。

事前教示制度は、輸入しようとする貨物の
・関税率表上の品目分類や他法令などの取り扱い
・関税評価上の取り扱い
・原産地の取り扱い
・減免税の適用の可否
について、あらかじめ税関に照会を行い、その回答を受け取ることができる制度です。

原則として貨物の主要輸入予定地を管轄する税関に対して行います。それぞれ所定のフォームがあり、必要事項を記載し、参考となる資料なども必要です。

口頭やEメールで事前教示の照会を行うこともできますが、文書による事前教示のように尊重されないので注意が必要です。Eメールは事前教示のためのアドレスがあります。Eメールによる照会は一定の条件を満たすことで、「文書による照会に準じた取り扱い」に切り替えることができます。

一方で、正式に文書による事前教示を行わなかったことでトラブルになったケースもあります。

とある輸入者の話です。
その輸入者はこれまで依頼していた通関業者(A社)から別の通関業者(B社)に輸入通関をお願いすることにしました。輸入許可がおり、許可書を見ると、A社の時には無税で申告していたものをB社は有税で申告していました。輸入者は、同じ商品なのになぜ?ということになり、B社に問いただしました。

するとB社はA社のした過去の申告に関しては聞いていなかったこともあり、商品の仕様書などから判断して品目分類をしました。結果、有税の税番で申告した、ということでした。

B社の担当者は正しい税番決定をしたと思っていますし、輸入者は同じ商品なのに無税から有税にされたと両者納得できません。そこで、税関に事前教示で照会することにしました。その結果、やはりB社がいう税番が正しく、商品は有税でした。

ところが、輸入者は以前A社で通関する前に税関に書類を提出して税番を聞いている、といいだしました。そこでその当時の書類を見せてもらいました。

一応、材質や用途は記載されていたものの、事前教示として有効な書類ではありませんでした。効力のない書類を持ち出しても事前教示とは言えません。それでもまだ納得できない輸入者は、事前教示の結果に対する異議申し立てを行いました。しかしやはり、結果は変わらず、あとは裁判で争うしかない、というところでやっと引き下がりました。

このように、事前に問い合わせしていても文書による照会を行っていなければ尊重されません。また、実際に輸入された貨物の事実関係が事前教示の内容と異なれば、効力はありません。法令の改正や有効期限(最長3年間)切れにより照会内容とは違う取り扱いになることもあります。

とはいえ、輸入する商品が確定していない計画段階では文書による照会は難しいでしょう。そういった場合は税関相談官制度というものもあり、輸入計画の一助となります。

参考サイト:関税、輸出入通関手続きの便利な制度
http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/

2017/03/11

知っておきたい特恵関税制度と特恵卒業

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特恵関税とは、開発途上国、または地域を原産地とする特定の輸入品に対し、一般の関税率よりも低い税率を適用して途上国の経済支援をするために設けられています。

「特定の輸入品」とあるように、対象品目と税率が法令により定められています。これを定めた法令が関税暫定措置法及び関税暫定措置法施行令です。

農産品の一部と鉱工業品のほぼすべての品目に対して、特恵税率が適用されます。

さらに、後発開発途上国からの輸入に関しては、ほぼすべての品目が無税で、これを特別特恵(LDC)関税といいます。

特恵国及び特別特恵国一覧は以下の通りです。
http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1504_jr.htm

ただし、特恵関税又は特別特恵関税を適用した輸入の増加が原因で国内産業が損害を被る場合は、政令によりその品目の特恵及び特別特恵関税の適用が停止されます。特恵停止品目は税関HPに公表されます。

年度途中で適用停止になることもあり、現場の通関士も常にチェックしています。現在特恵適用で輸入されている場合は随時確認しておきましょう。

開発途上国の経済支援のための制度であるため、経済発展を遂げた国については適用対象外となります。これを特恵卒業といいますが、特恵卒業には3段階あります。

1.高所得国にかかる特恵適用除外措置(部分卒業)
2.高所得国にかかる特恵適用除外措置(全面卒業)
3.国別・品目別特恵適用除外措置

平成29年度の部分卒業は中国が原産国の特恵適用品目に多く該当します。
中国はGDPが公表で世界2位の国です。
急成長を遂げ、とっくに高所得国に分類されておかしくない国と思うのですが、まだ特恵が適用される国、つまり開発途上国と認められていました。

しかし、平成31年に全面卒業予定です。
また、中国以外にも、ブラジル、メキシコ、マレーシア、タイが特恵全面卒業予定となっています。

メキシコ、マレーシア、タイはすでに日本と2国間協定国であり、特恵卒業となっても経済連携協定(EPA)税率が適用されるため、それほど影響はないでしょう。

例えば、プラスチック製の食卓用品、台所用品(HSコード3024.10-000)は特恵税率無税ですが、EPA税率も無税です。

ここで、関税率の種類と優先順位についてお話ししますと、関税率は品目によっても定められていますが、原産国によっても異なります。大きく分けて、国の法律に基づいて定められた国定税率と国際条約に基づいて定められた協定税率があります。

●国定税率
  基本税率
  暫定税率
  特恵税率(EPA税率と区別するため一般特恵税率とも言います。)
  入国者の輸入貨物に対する簡易税率
  合計20万円以下の少額貨物に対する簡易税率
●協定税率
  WTO協定税率
  経済連携協定(EPA)税率

これらの税率は原則として、EPA税率、一般特恵税率、WTO協定税率、暫定税率、基本税率の順に優先して適用されます。
ただし、
・一般特恵税率とEPA税率の適用には原産地規則を満たした上で原産地証明書が必要であること
・EPA税率と一般特恵税率が設定されている場合は一般特恵税率が超えない限りEPA税率が優先
・協定税率の適用は暫定税率又は基本税率より低い場合に限る(協定税率、暫定税率、基本税率のうち低い税率が優先される)

ざっくり言うと、同じ条件下では一番低い税率が適用される、ということです。

例えばカンボジアはアセアン協定締結国ですが、現在は特別特恵国(LDC)です。カンボジア産の革製スリッパ(HSコード6403.59-011)の場合、アセアンEPA税率が30%、LDC特恵税率が無税ですので、LDC特恵税率が優先適用されます。

2017-02-22

通関士の一日は盛りだくさん

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通関士の一日の始まりは扱う貨物が航空貨物か海上貨物かによって違います。航空の場合、夜勤もあり、完全シフト制のようです。海上は日中の業務が中心となります。私の場合、海上貨物を取り扱う部署での経験があります。

まず、出社時間は当日朝の申告件数によって前後します。海上の場合、税関の開庁時間は一般に8時30分です。朝一から申告をするために8時半までに出社、8時半までに時間外申告の予定や、その日の業務量に応じてさらに早い時間に出社することもあります。

申告で審査区分1は許可、区分2は税関審査、区分3は税関検査です。審査と検査になったものは税関に書類を持ち込む必要があります。一般的に、事務所から税関に書類を持ち込む担当の人がいるので、その人に書類を揃えて渡します。

その後、午前中は審査又は検査貨物の税関対応や急ぎの書類に取りかかります。書類作成の優先順位は、輸入は貨物の配送予定日、輸出は船積み予定日によって決まります。

通関依頼があると、インボイス、パッキングリスト、B/Lなどの書類が営業部門から通関部門に回ってきます。アライバルノーティスなどは後から発行されるため、多くの場合は後から渡されます。全ての書類がそろい次第すぐに申告するために、随時書類をチェックします。優先順位の高いもの、つまり配送予定日または船積み予定日の迫っているものを優先的に、書類を揃え税番決定や計算をします。

書類だけでは統計品目や税番が決定できない場合や、書類に不備があれば、輸出者や輸入者に確認します。営業担当者が中継ぎをしている場合は社内の営業担当者に確認してもらいます。

税関の開庁時間に昼休みという設定はないのですが、12時から13時まではやはり税関も昼休み時間をとるので、基本的には12時から13時に税関対応をすることもなく、現場でも昼休みをとります。ただ、午後の申告予定など、区切りがつくまでは休憩を取らない人もいるので、ランチタイム・休憩時間はバラバラです。

午後も引き続き、書類作成の業務と申告が中心となります。朝と同じように、午前に審査又は検査扱いになった書類を税関持ち込みの人に渡します。また、当日午前中申告分の貨物検査が午後から行われることが多いので、必要に応じて検査の立ち合いに行きます。

多くの通関業者が18時退社となっています。翌日以降の業務に支障がなければ退社できます。しかし、私の経験上、定時退社できる日の方が少なかった気がします。残業が常態となっており、時期によっては22時23時、最終電車ぎりぎりで帰ることもありました。

男女で仕事の差はありません。その点はとてもフェアーな職業です。しかし、仕事量を自分たちで調節することが難しく、帰宅時間がバラバラになってしまい、子育てや家事の負担を多く担う人には大変な職業です。既婚の女性でも小さな子供がいる、という人はあまりいませんでした。逆に、子供に手がかからなくなった世代の女性が多く活躍されていました。

どの職業にも言えることですが、やはり思い切り働くには家族や会社の協力が不可欠です。ただし、経験が重視されるので、いったん子育てなどで離職しても社会復帰しやすい仕事であると言えるでしょう。

2017/02/13

税制改定に伴い加算税が変わる

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平成29年1月1日以降に法廷納期限を迎える関税及び内国消費税等に課される加算税が変わります。

現行では税関の事後調査の通知があった後でも、更正予知前に修正申告がされた場合、過少申告加算税は課されませんでした。

しかし、平成29年1月1日以降に法廷納期限(輸入許可日)を迎えるものについては、調査通知があった日から更正予知前の自主的な修正申告に対しても、過少申告加算税5%が課されます。

更正予知後は過少申告加算税10%で変わりません。
*納付すべき関税等の額が、当初申告税額と50万円のいずれか多い金額を超えるときは、その超過額に5%の加算が発生します。

これは、事後調査の連絡があってから慌てて修正申告をして加算税を免れるというケースが多かったためと考えられます。また、事業者のコンプライアンス意識をさらに高め自主的な修正申告を促すことを目的としています。

申告すべき貨物に対し申告していなかった場合は無申告加算税が課されます。申告すべき日から無申告加算税5%が発生し、事後調査通知後に10%、更正予知後で15%と加算税率が上がっていきます。
*こちらも納付すべき税額が50万円を超える場合は、その超過額に5%加算します。

さらに同一の税目について過去5年以内に無申告加算税又は重加算税を課されたことがある輸入者については、現行よりさらに10%の加算税が課されます。無申告に対する重加算税がもともとの40%からさらに10%加算され、50%になります。

悪質な行為を防止するためで、意図的にアンダーバリューインボイスで通関を繰り返している、原産地証明書を偽造して特恵を利用するなど、悪質な関税脱税に対してより重いペナルティーが課されるのです。

過少申告や無申告に対して、加算税だけでなく、延滞税も生じます。延滞税は法廷納期限日(輸入許可日)の翌日から起算されますので、修正申告が遅れれば遅れるほど膨らみます。

さて、税関の事後調査に関してですが、事後調査は輸出入を行っていれば事業者の規模に関係なくやってきます。個人で輸入ビジネスをしている主婦のもとにも税関から連絡がきてとても焦った、という話も聞きます。個人輸入を行っている方に対しては連絡が入ったからといって、必ずしも調査官が来るわけではないようですが、準備はしておかなければなりません。

通常2,3年に一度ですが、結果が悪ければ要指導事業者ということで、毎年事後調査が入る、ということもあるようです。調査員にもノルマがあるとかないとか。取りやすいところから取ろうという思惑もあるのかもしれません。

必要なものは契約書、仕入書、会計帳簿書類等です。税関はNACCSというシステムで輸出入取引の有無を握っていますので、金型を送っているのに、その後の輸入に評価加算された形跡がない、といったこともわかります。契約書や帳簿上はロイヤリティを支払っているのに対象の貨物に加算されていない、などといったことを調べます。
輸出の場合は適正な輸出が行われているかを指導します。

また、輸出者または輸入者は輸出入した貨物の帳簿書類の一定期間の保存が義務付けられています。帳簿書類がしっかり保管されているかも調査の対象となります。大きな貨物に関してはそれなりに管理されていても、国際郵便や突発的な小口の貨物に関して整理されていない場合は、対策が必要です。

2017/01/21

AEO事業者の認定を受けるには?

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認定事業者とは、前回コラムに書きました通り、貨物のセキュリティ管理と法制遵守(コンプライアンス)体制の整った事業者が、税関の承認・認定を受ける制度です。

では、認定事業者になるにはどのような要件を満たさなければならないのでしょうか?

具体的には
・コンプライアンス体制を整えるための
 -統括部門が設けられている
 -責任者や知識・経験のある人員が十分に配置されている
 -コンプライアンス規則がある
・貨物や書類の管理がしっかりなされており、そのための措置を設けている
・税関との連絡体制、社内での連絡体制が整っている
・業務委託先がある場合、指導が行き届いている
・監査体制を整えている、他法令遵守規則がある
・物理的・人的・情報セキュリティが整っている
等です。

加えて、税関とオンラインでつながるNACCSシステムを導入していることや過去の一定期間において法令違反をしていないこと、また違反があった場合は一定の期間を経過していることなども満たしていなければなりません。

詳しくは関税のホームページでもチェックリストが掲載されているので参照することができます。

関税のホームページはこちらから。

チェックリストを確認したうえ、AEO取得希望事業者は税関のAEO担当部門に連絡します。

認定事業者になると物流のリードタイム短縮など、メリットがあることは前回コラムにも書いた通りですが、さらに重要なのが貨物のセキュリティ管理と法制遵守を取引先にアピールできることではないでしょうか。

AEO導入の大きなきっかけとなったのがアメリカでの9・11テロにあります。
欧米ではテロをきっかけに、セキュリティに対する関心が高まり、多くの事業者がビジネス戦略としてAEOを取得しています。また、世界各国においてAEO制度もしくはそれと同等の制度が導入されており、世界では40組以上の相互承認が成立しています。

日本は現在、ニュージーランド、米国、カナダ、EU、韓国、シンガポール、マレーシア、香港が相互承認を実施しています。相互承認国に輸出した場合、相手国での通関の際も審査・検査が軽減されるなどの効果により、リードタイムが確保されます。

しかし、上述した通り、AEO取得の壁は小さくありません。
監査体制も整えてなければならず、当初より変更があった場合は届ける必要があります。NACCS導入も小さな事業者には大きな負担となるでしょう。

結局、AEOを取得した通関業者や倉庫業者を利用するのがリードタイム確保の近道でしょう。AEO通関業者に特例委託輸入申告または特定委託輸出申告を依頼して行います。

また、輸入の場合、申告価格が20万円以下の少額貨物以外の申告には保全担保が必要となります。保全担保を税関に提供しなければ特例委託輸入申告は利用できません。さらに、過去の一定期間に関税関係法令に違反がないことも要件です。

特定委託輸出申告については認定通関業者が特定保税運送者と連携する必要がありますが、特定保税運送者は現在7者のみで、連携しようにも難しい、というのが現状です。

AEO制度が導入されて8年、まだまだ全面的にスムーズに運用されるには至っていないようです。

2017/01/09

AEO事業者の制度って何でしょう?

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AEO(Authorized Economic Operator)事業者とは、2008年より導入された制度です。
貨物のセキュリティ管理と法制遵守(コンプライアンス)体制の整った事業者を、税関長がAEO事業者として承認・認定します。

AEO事業者は税関手続きの緩和・簡素化が提供されます。

例えば輸入申告時の審査・検査が基本的に省略され、貨物の引き取り後に納税申告を行うこと等ができます。

従来AEO制度導入時の対象は輸出者だけでしたが、現在は輸出者、輸入者、倉庫業者、通関業者・運送者、製造者が認定を受けることができます。

AEO事業者に認定されることで受けられるメリットは以下の通りです。
1.特例輸入申告制度(特例輸入者)
輸入申告時の審査・検査が基本的に省略。貨物の引き取り後に納税申告を行える等。

2.特定輸出申告制度(特定輸出者)
貨物を保税地域に搬入することなく、自社の倉庫などで輸出申告から許可まで行える。

3.特定保税承認制度(特定保税承認者)
税関長への届出で保税蔵置場を設置すること等が可能。当該届出蔵置場にかかる許可手数料の免除。

4.認定通関業者制度(認定通関業者)
輸入者の委託を受けた輸入貨物について貨物引き取り後の納税申告(特例委託輸入申告)が可能。輸出者の委託を受けて保税地域以外にある貨物について、特定保税運送者による運送を前提に輸出許可を受けること(特定委託輸出申告)が可能。

5.特定保税運送制度(認定通関業者、特定保税運送者、その他国際運送貨物取扱業者)
個々の保税運送の承認が不要。特定委託輸出申告にかかる貨物について、輸出者の委託を受けて保税地域以外から直接積込み港への運送が可能。

6.認定製造者制度(認定製造者)
製造者以外の輸出者が行う輸出通関で、保税地域に貨物を搬入せずに輸出の許可を受けることが可能。

輸出に関わる企業にとっては、保税地域に搬入することなく輸出許可を受けることができ、積込み港の保税地域で輸出許可を待つ必要がなくなります。これにより、輸送時間と保税のためのコストが削減されることになります。

輸入に関わる企業にとっては、納税が猶予されるため、資金繰りに余裕ができます。
しかしながら、この点については通関業者の立替払いを利用するなど、納期限延長制度もあることから、輸入者がメリットとして感じにくい点ではあるようです。

2016年10月現在の認定事業者数は
特例輸入者92者
特定輸出者240者
特定保税承認者126者
認定通関業者132者
特定保税運送者7者
となっています。
認定製造者はまだありません。

これは輸出入に関わる企業数全体からすれば決して多い数ではありません。その理由はやはり、認定基準を満たすのが難しいことがあげられます。

また、輸入者や輸出者にとっては、認定通関業者に通関手続きを委託することで、特例輸入者や特定輸出者にならなくてもそのメリットを受けることができることが理由として考えられます。

では、具体的に認定基準とはどういったものであるか、それについてはまた次回、お話ししたいと思います。

2016/12/24

輸入申告はインボイス価格ではなく評価申告で

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輸入申告において課税価格を計算する際、インボイスに輸入申告に必要な金額すべてが記載されているとは限りません。

むしろ、インボイス価格がそのまま課税価格になることの方が少ないくらいです。商品が輸入港につくまでにかかった費用すべてを加算しなければならないからです。

FOB建ての場合、輸入港までの運賃(Freight)と保険(Insurance)が加算の基本となります。

それ以外にも買い手により負担される貨物の容器代や包装費用、仲介料等手数料、ロイヤリティーやライセンス料、そして買い手により無償又は値引きをして提供された部品や金型代などを課税価格に加算しなければなりません。

これらの加算要素を評価申告と呼びます。
評価申告は、申告の都度加算要素を計算して行う個別評価と、まとめて行う包括評価とがあります。

個別評価は輸入申告の都度、無償提供された材料費などを計算して加算します。同一契約の商品が数回に分けて輸入される場合は按分します。生産ロスを含んでいるときはロス分も含めて按分します。また、基本的に製品No.ごとに算出しなければなりません。

包括評価は継続的に同一商品を同条件で輸入する場合に最長2年で適用されます。鋳型や工具、同一部品、設備や機械、またライセンス料などを包括評価にすることが多いでしょう。本契約の輸入が始まる前に税関へ計算方法を記載した包括申告書を提出します。原則は按分により輸入の度に加算しますが、要件を満たせば一回目の輸入の際に一括加算することもできます。

評価は基本的な考え方として、インボイス価格に含まれていないもので、買い手により負担される価格です。しかし、評価するかしないか判断の難しいものもあります。例えば、輸入取引業務で生じる仲介料や手数料のうち、買付手数料は評価しません。

輸入貨物に取りつけられるラベル費用のうち、食品衛生法や家庭用品品質表示法など日本の法律で表示義務のある事項のみ記載されたラベルについては評価に含みません。

意匠なども日本以外で開発され買い手により負担されるものについては評価しなければなりませんが、日本国内で開発されたものは評価しません。

もし、評価申告の判断が難しい場合は税関の事前教示制度を利用しましょう。

財務省の発表によると、税関により平成26年度の事後調査を受けた3,545者の輸入者うち、申告漏れ等のあった輸入者は2,363者で、主な理由は

1. インボイスに記載された決済金額以外の貨物代金の申告漏れ
2. 豚肉に係る高価申告
3. 海外生産のために輸入者が輸出者に無償提供した材料費用などの申告漏れ

だそうです。

評価申告は輸入者自身で通関業者に資料を渡さなければ知りうることができません。
ぜひ、知識をもって正しい申告を行いましょう。

2016/12/06

日本の税関の歴史を振り返る

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先日、いつものように大阪税関のHPをチェックしたところ、「大阪税関150周年のロゴマークが決定!」とありました。

そこで今日は税関の歴史について、少し触れたいと思います。

日本の税関の歴史は幕末にはじまります。

いわゆる「黒船来航」(1853年)からです。江戸時代の日本は鎖国政策をとっていため、長崎の出島が日本と外国を結ぶ唯一の港でした。それが、ペリーの黒船来航により開港への道を一気に進みます。

当時の日本の造船技術の25倍もの大きさの船、しかも黒塗りの軍艦が浦賀に4隻も迫って来たのですから、力に屈するよりほかありません。翌年1854年に日米和親条約が結ばれ、下田は即時、箱舘(函館)が一年後に開港しました。

そして、1859年(安政6年)に長崎、神奈川、函館の3港に各「運上所」が設けられます。運上所では現在の税関業務と同じように輸出入貨物の監督や税金の徴収といった運上業務や、外交事務を取り扱っていました。

次いで1868年大阪運上所、兵庫運上所が誕生します。「運上所」は1872年11月28日に「税関」と呼称変更されます。
そのため、毎年11月28日が「税関記念日」とし、各税関では毎年広報イベントなどを開催しています。

現在、日本のすべての都道府県は函館、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司、沖縄の9税関の管轄区域下におかれています。

各税関の本庁を「本関」と呼び、他に出張所、支署、監視署がおかれます。実際の取扱件数は本関よりも出張所や支署の方が多いようです。物量が増えると、港や空港が新たに整備され、出張所や支署がおかれるためです。本関はどちらかというと広報活動や相談に行くところ、というのが実感です。

東京税関は現在輸出入総額国内第一位の成田国際空港を抱える税関ですが、もともとは横浜税関の管轄区域の一部でした。東京、埼玉、群馬、山梨、新潟、山形、千葉県のうち市川市の一部、成田市、香取郡多古町及び山武郡芝山町が1953年に東京税関として新設されました。成田支署は、千葉県にあるけど「東京」ディズニーランド、という感じでしょうか。成田市もやはり千葉県ですが、東京税関の管轄です。

名古屋税関は大阪税関の名古屋税関支署であったのが、1937年に名古屋税関として独立しています。現在の名古屋港は金額ベースでの輸出総額及び総貨物取扱量が国内第一位です。サイズもビッグ、金額もビッグな自動車産業が盛んなためだと思われます。

各税関の本関は広報展示室を持ち、平日に見学することができます。

ゆるキャラブームよりずっと以前から存在する、まんまちゃんによく似たカスタム君が出迎えてくれます。展示物にも特徴がありますので、訪れてみてはいかがでしょう。

2016/11/14

輸入許可前の廃棄について

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前回のコラムにも触れましたが、税関検査では思いもよらぬ貨物が混入していることがあります。

麻薬や武器など輸入禁制品はもっての他、これは追加で申告しようにもちょっと時間がかかりそう・・・と現場の通関業者を悩ますものもあります。

インドネシアから家具を輸入しようと輸入申告を行った際の話です。

税関検査の結果、現地での加工に使用したと思われるラッカースプレーや塗料など、インボイスに記載されていない貨物が、カートンに混入していました。

塗料は化学物質ですので、成分が麻薬向精神薬原料に抵触しないかなど、各種法律の輸入禁止物質が含まれていないことの確認が必要です。ラッカースプレーは高圧ガス保安法の適用除外であることの試験成績書が必要です。

明らかに販売に供しないものであるので、試験成績書まで必要ありませんでしたが、すぐには成分などわかりません。シップバックの方法もありますが、どちらにしても要らないものですし、許可前に処分、廃棄しようということになりました。

しかし、これは輸入許可前貨物、つまり外国貨物です。

外国貨物は税関の管理下にあり、輸入者自身が自身のゴミとして簡単に捨てることができません。税関の承認なく廃棄した場合、保税地域が処分の対象となります。

まず、税関に対して廃棄したい旨を理由とともに文書で提示しなくてはなりません。そして、「滅却(廃棄)承認申請書」に必要事項を記載・提出して滅却の承認を受けます。

ここでいう「滅却」とは「焼却等により貨物の形態をとどめなくすること」であり、屑などリサイクルできる状態であってはなりません。リサイクルできる処理は、経済的価値を残すので、滅却とは認められません。

廃棄後の現況により輸入通関手続きが必要となります。屑でも商品として販売するなら通常の通関手続きをして納税しなければならないのです。

承認を受けると税関長に認められた場所で、税関職員立会いのもとに滅却されます。立会いは省略されることもあります。
焼却できるごみであれば地方公共団体のゴミ処理施設、産業廃棄物であれば地方公共団体の許可を得た産廃業者と委託契約を結び適切な処分をしてもらいます。

そして、滅却の確認ができる書類や証拠の写真を税関に提出し、滅却に伴う一連の手続きが完了します。

滅却の承認を受けたものに関しては課税対象とはなりません。しかし、焼却費用や蔵置費用などもろもろの費用が発生します。上記の申告外貨物の場合は保税蔵置場に搬入、滅却予定のラッカー等と本来申告していた貨物とを仕分けし、手続きを進めました。

必要ないからと言って簡単には捨てられないことがお分かりいただけましたか?

安易に「そっちで処分して」とは言わせないように、輸入者輸出者ともに理解しておくことが必要と思います。

2016/10/24

無償貨物でも金額表記が必要

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輸入であっても、輸出であっても、全ての貨物はパッキングリストとインボイスに記載されなければなりません。例えばカタログやサンプル、加工貿易での原材料など、無償で貨物が行き来することも少なくないでしょう。

この場合、インボイスには無償(No Commercial Value)と記載します。

そして、無償品でも必ず金額表記をしなければなりません。
輸入であれば、無償品で輸出者と輸入者間に価格の決定(取引価格)がない場合は、
関税定率法に、
・「同種又は類似の貨物にかかる取引価格による方法}
・「国内販売価格に基づく方法」
・「製造原価に基づく方法」
・「その他の方法」
とあり、これらの方法により課税価格を計算します。

無償であっても、外国貨物の輸入には原則として関税がかかるからです。

しかし、特定の条件を満たす無償品には関税を課しません。例えば、展示会で一時的に用いる場合や個人の贈与品で一万円以下の場合などですが、いずれも正しい金額(本来の売値)を表示しなければなりません。

これは実際によくある話なのですが、(あってはならないことですが・・・)税関検査で貨物をコンテナごとX線にかけた時のことです。パッキングリストとインボイスに記載のない箱がいくつか見つかり、輸入者に確認したところ、輸出者よりサンプル品として無償で提供されたものであるとの回答がありました。

サンプル品で無償だから申告しなくてもいいと思ったそうですが、全ての外国貨物を輸入申告しなければなりません。この場合は、箱の中身をすべて調べて数量と価格を決定し、修正申告します。税関には経緯報告という名の反省文を提出し、ペナルティーとしてその後の許可が下りにくくなるとかならないとか。

スムーズに通関できなくなる上に、検品して輸入許可が下りるまでの間の倉庫代やトラックのキャンセル料など、ほかにも料金が発生する可能性もあります。何気ない行為があとあとのトラブルを生みます。余計なもの(!)を勝手に混入しないよう、輸出者にも周知しておきたい事項です。入れる場合は必ずインボイスに記載してもらいましょう。

関税とは関係ありませんが、輸出貨物であっても、やはり同じように正しい金額表記が必要です。仕向地での通関も上記と同じ原理だからです。

また、加工又は組み立てのため輸出された貨物を原材料とした製品、いわゆる加工委託契約については減税措置が講じられています。輸出時のインボイスが減税計算の根拠となります。

ただし、「加工又は組立のため輸出された貨物を原材料とした製品の減税」(暫定8条)には、輸出時にその旨を税関に確認しなければならないこと、対象となる再輸入貨物が決まっていること、輸入時にも各種書類が必要となるなど、条件が限られます。減税を受けない場合は、製品輸入時に無償提供した原材料の輸出インボイスを提出します。

そのほか、再輸入減税や加工又は修繕のため輸出された貨物の輸入(原則1年以内)についても減税が認められています。輸出インボイスが必要となりますので、必ず保管しておきましょう。

2016/10/1

税番決定に必要なこと

輸入通関のために通関業者に提出する書類は

1.仕入書(Commercial Invoice)
2.包装明細書(Packing List)
3.船荷証券(B/L)、航空貨物の場合は航空貨物運送上(AWB)
4.保険料明細書(CIF契約など保険を含む場合は必要なし)
5.運賃明細書、海上貨物の場合はArrival Notice(書類到着通知書)

以上が基本となります。

そのほか、貨物の種類によっては
 ・他法令の許可・承認証(例えば植物検疫法や食品衛生法などの法令の許可・承認が必要な貨物)
 ・特恵原産地証明書(特恵関税の適用を受けようとする場合)
 ・減免税明細書(加工再輸入減税制度や再輸入減税を受けようとする場合)

などが必要となります。

さて、書類が手元に届いたら現場の通関士が何をするかというと、輸入される品物を実行関税率表(タリフ)に基づいた税番(HSコード)に当てはめていきます。

輸入品の関税率は税番に対応しており、税番が違えば関税率も違ってきます。
例えば、同じ綿100%のT-シャツでも単色のものとプリントのものとでは税番が違います。この場合、WTO協定税率なら単色Tシャツが7.4%、プリントTシャツが10.9%です。プリントTシャツはさらに、「刺繍したものレースを使用したもの及び模様編みのも組織を有するもの」とそうでないもので分かれます。

間違った申告が、後日税関の事後調査により発覚し、修正申告となった場合、新たに収める税金のほか、過少申告加算税がかかります。ただし、調査前に自分から修正申告した場合は過少申告加算税はかかりません。

このように、税番決定はとてもデリケートなことです。そして、税番決定のためには輸入品の細かな情報が必要となります。

多くの場合、仕入書だけでは貨物の詳しい情報が不足しています。仕入書に貨物の品名や品番が書かれてあっても、それがどのような形状、材質等かわからなければ、税番を決めることができず、書類がそろっていても輸入申告を進めることができないのです。

そのため、通関業者には上記の必要書類のほか、輸入品の仕様書やカタログなどを渡すといいでしょう。ない場合は、口頭でもいいのですが、申告後、税関審査になった場合に、これらを求められることもあります。特にその品物の第一回目の輸入の際は、製品情報が必要とされます。

あまりに細かい問い合わせにうんざりさせられることもあるかと思いますが、ご理解ください、としか言いようがありません。ただし、一度輸入実績ができれば、あとは通関業者のほうで管理をしてくれるでしょう。

貨物の輸入前に税関や通関業者に相談するのもいいでしょう。税関相談官制度というものがあり、直接か通関業者を通して相談できます。事前に相談して税番を決定し、提出書類の端に○○税関◆◆相談官に相談済み、と書けば、書類審査になっても、輸入許可まで時間を短縮できます。

リスト規制における役務の判定と公知の技術について



日本の輸出コンプライアンス管理は国際的な安全保障の観点から、リスト規制とキャッチオール規制の2つの側面からダブルチェックする
しくみが前提となっています。

リスト規制においては、貨物そのもののスペック判定と役務(技術)の判定が求められます。

今回はリスト規制の中でも、役務(技術)の判定にフォーカスして考えてみましょう。

■役務(技術)の判定とは
貨物の設計・製造・使用に必要な特定の技術は、輸出コンプライアンスの対象としてリスト規制で規定されています。

では具体的にどのような技術が対象となるのでしょうか。

設計とは製造過程の前段階で必要な技術のことを言います
・総合的な設計・レイアウト
・設計研究・解析・概念
・プロトタイプの試作・試験
・設計データ
・設計データを製品にするための技術
などが相当します。

製造とは製造工程で必要な技術で
・生産エンジニアリング
・製品化技術
・アッセンブリ技術
・検査・試験・品質保証
などとなります。

使用とは貨物を使用するために必要な技術のことで
・装置に組み込まれたプログラム
・据え付け
・操作
・保守点検
・修理
などのこと指します。

これでは対象となる技術の範囲が広すぎて具体的に判定をおこなうことが難しいケースも出てきます。

役務(技術)の判定と表裏一体につきまとうのが「公知の技術」です。

■公知の技術とは
役務(技術)の判定では、「公知の技術」は許可不要と規定されています。

公知の技術とはどのような場合をさすのでしょうか
・技術が商品カタログに記載されている
・技術が書籍・雑誌・新聞で公開されている
・技術がインターネットで公開されている
などが対象といわれています。

「公知」にするか、してよいかどうかは輸出管理の問題ではありません。

技術を「公知化」させることで企業や技術の競争優位性に影響を与えることもありえます。
各企業で検討すべき技術管理ポリシーとなります。

役務(技術)は、貨物輸出だけに関係するのでなく、商談開始の段階から考えるべきでしょう。

秘密保持契約や共同開発契約などは商談開始時から確実に準備をすすめ、
・提供する技術
・提供しない技術
を特定することで輸出コンプライアンスとして考えるべき役務(技術)の絞り込みができるでしょう。
商談ごとにケースバイケースで検討することが必要でしょう。

2015/09/17

2015年の輸出貿易管理令の改正について

国際情勢・経済の変化を鑑みながら、今年も輸出貿易管理令と外国為替令の改正が公布されました。大量破壊兵器の拡散防止及び通常兵器の
過剰な蓄積の防止、条約その他、国際輸出管理会合における合意を履行するためのものです。

■具体的なリスト規制の改定は以下のとおりで2015年10月1日から改正されます。
リスト規制・貨物輸出令別表第一
・【4の項(5)の改正及び(5の2)の新設】推進薬の制御装置に用いられるガスタービン、規制対象に追加
・【5の項(13)の改正】チタンほう化物又はセラミック半製品等について、規制対象内容を変更
・【7の項(12)の改正】信号発生器について、規制対象内容を変更
・【12の項(1)の改正】潜水艇等の船舶について、規制対象内容を変更
・【13の項(2の2)の新設】人工衛星制御のための装置で地上に設置されるものを規制対象に追加

リスト規制・役務(外為令別表)
・【5の項(3)の改正】セラミック等の設計等に係る技術の規制対象内容を変更
・【5の項(6)の削除】芳香族ポリアミド繊維の製造に係る技術

■輸出コンプライアンスの必然性
輸出には企業も個人も輸出コンプライアンスが求められています。
武器・大量破壊兵器等の拡散が引続き懸念される中、輸出者が自らの責任と判断において輸出貿易管理を行うことが輸出コンプライアンスの原則です。

そのために、輸出する際には輸出貿易管理令(輸出令)に則しているかの判定作業をする必要があります。

判定作業をして、該当している場合は事前に経産省で輸出許可承認を得てから税関に輸出申請します。

非該当・対象外の場合は、税関に非該当証明書を提出するだけで、輸出の申請ができます。

非該当証明書を作成する場合は、輸出令に非該当である理由を明確にすることが必要です。
つまり、輸出者としての輸出コンプライアンスに沿った理論武装が求めれているわけです。

海外旅行に行くのにパスポートが必要なように、貨物の場合でも「モノの身分」をルールにそった形で明らかにしておこう、ということです。

■項目別対比表とパラメータシート
非該当証明書を作成するための判定作業を行うには、項目別対比表またはパラメータシートを使用します。

項目別対比表とパラメータシートはどう違うのでしょうか?

項目別対比表は、書かれている文章が輸出令そのもの(法令)で読み解くのに苦労します。

それに対して、パラメータシートは輸出令を分かりやすく解説したものです。
どちらも税関提出資料として有効です。

どちらの書類にも輸出令改定時期が記載されていますが、前年度の資料では効力はありません。

今年の場合10月1日以降の輸出申告には、輸出令改定時期10月1日が記載された書類を準備する必要がありますのでご注意ください。

2015/8/5

サレンダーBLをうまく活用して貿易実務をスムーズに!

貿易では「貨物」と「書類」が別々に動きます。そのために特に海上輸送の場合は細心の注意をはらいながら実務をすすめる必要があります。

最近あった事例をとりあげてみましょう。
・CIFで輸入した貨物の船荷証券BLのオリジナルが見当たらない
・よって、貨物の引き取りができない
・その結果コンテナヤードで保留のまま、保管料が毎日課金されてしまう

■船荷証券は有価証券

航空輸送に使われるAWBは単なる送状であることはよく知られています。航空輸送では短期間での輸送が可能なために、書類を別に郵送している時間がありません。海上輸送と違って、貨物と書類が同時に動いています。

一方、海上輸送においては貨物と書類が別々に流れています。書類の中でも船荷証券は重要な書類で、国内取引で使われている手形と同じく、有価証券として取り扱われています。

銀行が介在し船荷証券を担保にLCでの貿易決済が行われる場合、有価証券として権利者が船荷証券に裏書することで貨物の引き渡しが行われるためです。

最近では、銀行を介在した貿易決済もほとんどが外貨送金で行われます。しかし、LCなどの貿易決済を利用しなくても船会社での書類の取り扱いは変わっていません。船会社から貨物を引き取る時には、依然としてLC決済と同じようにオリジナル書類が必要とされます。銀行決済の場合とまったく同じ条件で貿易実務が行われているのです。

■船荷証券を紛失してしまうとどうなるか

今回の事例ではオリジナル書類が出てきて最悪の事態を免れました。では、最悪の場合はどうなるのでしょうか?

運賃Prepaidの場合、荷主(輸出者)が船会社に運賃を支払い、船荷証券のオリジナル3通を受取ります。輸入者はオリジナル3通全部提示しなくても、1通だけでも貨物の引き取りができます。輸出者は、書類郵送中の紛失を想定して、輸入者にオリジナルを3通発行してもらい、1通ずつ分けて郵送し輸送途上での紛失を防止するのが貿易実務の基本です。

最悪のケースとして、貨物引取人が3人現れたケースが過去にあったそうです。そのようなことから、1通でも紛失すると有価証券の失効手続きが必要となります。手形を紛失した場合と同じく、裁判所への法的手続きをしたうえで、貨物の引取者が現れないことを確認し再発行の手続きとなります。

■サレンダーBLをうまく利用する

煩雑なLCを利用せずに外貨送金で決済しても、貨物を引き取るにはオリジナルの船荷証券が必要となります。船荷証券の紛失事故を防ぐ方法があります。サレンダーBLを利用しましょう。

サレンダーBLとは、オリジナル書類は3通発行されますが、荷主に渡さずに、船会社がその3通の書類を回収してしまう船荷証券のことです。サレンダーBLを使うことで、輸入者はオリジナル書類を提示することなく貨物の引取りができます。

銀行での貿易決済をせずにCIF取引をおこなった場合には、輸出者にサレンダーBLの発行を指示することを忘れないようにしましょう。

当然ですが、サレンダーBLは銀行が担保権を留保できないため、LC決済の場合には利用できません。

関連記事:
貿易実務で忘れてはならないLC信用状のしくみ

2015/07/29

フォワーダーとインテグレーターの役割・責任範囲は?

輸出入を行う際に切っても切れない縁があるフォワーダー。
航空貨物では「フォワーダー」、海上貨物は「乙仲」といった区分けがされていた時代もありました。

とある輸入業者とフォワーダーの打ち合わせに同席したときの会話の一部が印象的でした。

「弊社は、フォワーダーではなくインテグレーターです。」

そもそも的な疑問がふっとわいてきました。
フォワーダーとインテグレーターはどのように違うのだろうか?
フォワーダーは通関業者のことではないのだろうか?

■インテグレーターとは
IT業界でもSI(=システムインテグレーター)という言葉が頻繁に使われています。

ソフトウェアシステムの設計・開発・導入といったソフトウェア領域を専門としたシステム開発業者。PCや端末機、心臓部となるコンピューターといったハードウェアを提供するハードウェア業者。ネットワークサービスの提供を専門としたネットワーク業者。

と、それぞれの専門領域で分業化され、それぞれプレーヤーが個別の領域で仕事を担っていた業界モデルに変化がおきました。

システムインテグレーションというコンセプトのもとに、ワンストップですべてのサービスを提供する事業モデルが台頭してきたのです。

インテグレーターはユーザーからみれば便利な業態といえましょう。

国際物流におけるインテグレーターに目を向けてみましょう。
DHLがはじまりといわれている国際宅配便業者はインテグレーターの代表格です。UPSのようにトラック輸送からスタートし航空機を所有することで国際宅急便事業に参入したケースもあります。

インテグレーターとは航空機を運行するキャリアとして一貫輸送サービスができることに加え、フォワーダーの機能を持った物流事業者ということになります。

インテグレーターとフォワーダーとの違いがここにあります。

■フォワーダーの役割と責任範囲は?
フォワーダーは多くの顔を持っています。
国際物流に必要な各書類を作成し通関実務を行うほか、輸送便の手配、混載化、保税倉庫での保管や梱包などの業務も代行しています。

しかし、多くのフォワーダーは自社で飛行機や船舶などの保有していません。
シッパーとキャリアの間に立って航空会社や海運会社の代理店として機能しながら、輸送経路や手段、キャリアの選択などの業務を担っています。

フォワーダーが非船舶運行業者(NVOCC=Non-Vessel Operating Common Carrier)とも称される意味がそこにあるわけです。

キャリアは貨物をA地点からB地点へ運ぶ責任はありますが、運送約款で事故への補償免責が決められています。フォワーダーはあくまでもキャリアの代理店である、ということからするとフォワーダーはキャリアの運送約款に準じた補償しかできないということになります。

一貫輸送サービスができるインテグレーターもまた運送約款の範囲内しか補償ができない点はフォワーダーの場合と同じです。

荷主として運送約款があることを再認識しておくべきでしょう。

関連記事:輸入貿易実務(航空編)その1 フォワーダー 2012/06/22

2015/06/09

輸出のリスクヘッジについて思うこと

船荷証券(B/L)が有価証券であることはよく知られています。
このB/Lが担保となり代金支払と引き換えに貨物の引き渡しが行われます。

輸出者は代金回収を確実にするために、銀行を介在させて(=LCを使って)、輸出書類を担保に輸出リスク回避を行います。

最近、とある商社からまったく違うケースの相談を受けました。

■輸出リスクを回避するため?
その相談の内容とは

「仕入先メーカーから輸出LCを担保に入れて欲しい」と言われているが、このようなLC開設を輸出者に依頼するにはどうしたよいか?

具体的には、メーカーへの支払金額分(輸出金額の一部分)をメーカー宛に譲渡することができるのか?

といった相談です。

つまり、仕入先メーカーから支払保証を求められているわけです。

譲渡可能信用状(Transferrable L/C)を利用する方法が考えられます。
今回のケースのようにL/C総額の一部分だけを譲渡し、L/Cを輸出者に開いてもらうことは可能かもしれません。

しかし、日本の銀行はこのようなイレギュラー(一部譲渡)なケースについては対応していないのが現実のようです。

結論として、全額を譲渡してメーカーから輸出商社のコミッションをあとで受け取る、という方法しかないようです。

これではメーカーに輸出取引の全貌を開示してしまうことになります。

■メーカーが強くなっている?
かつては、「商社金融」とか「前渡金」といった制度がありました。
商社がメーカーに対して仕入れ代金の一部または全部を、輸出取引の前に資金貸付として行っていたのです。

メーカーは商社を介在した間接輸出で輸出リスクを回避していました。

このような時代はすっかり変わってしまいました。
・メーカーの財務体質が強くなり商社金融に頼らなくてもよい
・商社自体が個別の売買取引から投資案件に軸足を移している

表裏一体の傾向になってきているようです。
そのためにメーカーの「直接輸出」モデルが増えてきているわけです。

商社経験の長い筆者としては、輸出商社からの輸出リスクヘッジについて、時代の変遷と今後の海外展開を考えさせられる相談でした。

輸出者にとって最大の輸出リスクは買主からの代金の回収にあると思います。
このリスクをメーカー自身で負担することをしたくないのでしょうか。

輸出リスクを負担したくないため、商社を介在した間接輸出を選び、さらに支払保証としてL/C担保を求めているように思えました。

2015/05/10

北米西海岸港湾ストの余波とコンテナ船の運航調整



北米西海岸港湾ストの労使交渉が合意に達してから2ヶ月あまり、正常化に向けてはまだ多くの課題が横たわっているようです。

最近の報道をまとめると以下のような点が浮き彫りになってきます。

・まだ沖待ちしているコンテナ船が多く、最大で3週間のスケジュールに遅れが出ている
・港湾機能が正常化するには3カ月以上かかる模様
・コンテナターミナルの混乱の影響は5月ごろまで残る見通し
・航空輸送へのシフトが増加し1-3月期は前年比30%増

港湾荷役オペレーションのスローダウン戦術による影響だけでなく、以前から指摘されていた米国内でのシャーシ不足の問題が、港湾作業の正常化への足かせになっているようです。

そのために海上輸送から航空輸送へのシフトが加速化しています。

コンテナ船会社は臨時船を投入して空コンテナの調整とスケジュール維持などの対応に追われています。

何故このような事態になるとコンテナ船の運航調整に多大な影響がでるのでしょうか。

■コンテナ船運航キャリアー、世界規模での取組み
コンテナの積み下ろし作業は陸上に設置されているコンテナ専用クレーンで行います。
コンテナ船は荷役クレーンを持っていないからです。

今回の北米西海岸港湾ストでは、貨物を積まずに空の20フィートコンテナを20万BOX以上もシフトしているようです。

通常のコンテナ船は20フィートコンテナ換算で10,000BOX強の積載量ですから、20万BOX以上もシフトするためには15-20隻
程度のコンテナ船が必要になるという計算になります。

決して今回の港湾ストで問題がクローズアップされたわけではなく、世界各地のコンテナが偏在してしまっていることへの対応が急務な
ため、世界規模で正常化への課題に取り組んでいます。

■LINERとTRAMPER
コンテナ船は貨物の有無にかかわらずスケジュールどおりに運航されます。
そのため、LINER(定期運航)といわれています。

一方、穀物やバラ積み貨物は需要に応じて用船契約をしたうえで運行されます。5万トン以上の貨物船をフルチャーターするため、RAMPER(不定期運航)と呼ばれています。

一般的に輸出入ビジネスで利用される貨物の物量はフルチャーターベースではありませんので、コンテナ船が利用されます。

現在、コンテナ船各社が臨時船を投入してまで空コンテナの調整とスケジュール維持などの対応をしているのは、定期運航を守るためです。

コンテナ船を利用した安定的なサプライチェインの裏側では、コンテナ船各社のこのようなサービスが根底にあることを痛感させられます。

関連記事:北米西海岸の港湾労使交渉が合意ストライキが解決

2015/04/08

北米西海岸の港湾労使交渉が合意ストライキが解決



新聞やインターネットなどで報道されているように長期化していた北米西海岸の港湾労使交渉が5年間の新労働協約で暫定合意しました。

コンテナ荷役の低下で米国企業の資材調達だけでなく、日本の輸入食品にまで影響がでていただけに朗報です。

港湾荷役のスローダウン戦術で、コンテナ荷役の量が大きく低下。
北米東海岸に迂回する回避策だけでなく、しかたなく航空輸送に変更するなど日米経済界に多大な影響をもたらしてきました。

ターミナル混雑、機材・人材不足による影響がでていた港湾機能は徐々に正常化に向かう見通しとのことです。

北米東海岸の港も混みだしてきただけに「港湾作業がフル稼働を再開」にほっとされている方も多いと思います。

■コンテナ化が招いたスローダウン戦術

港湾ストは、米国だけで発生する問題ではありません。
日本もかつては年中行事のように春闘の時期に港湾ストライキが行われていました。

1970年代にコンテナ化が導入されると港湾荷役が大幅に機械化されました。
それにより、港湾荷役労働者の人員整理、賃金カットが労使交渉の争点となったのです。

労働側は対抗手段としてコンテナヤードを封鎖する戦術をとるようになりました。
コンテナ船には貨物を積み下ろしするクレーンがついていません。
コンテナヤードにあるクレーンを利用して港湾荷役が行われます。

そのため
・コンテナヤード封鎖する
・クレーン作業をスローダウンさせる

その結果
・入港したコンテナ船が岸壁から出航できない
・コンテナ船のスケジュールが大幅に遅延する

など使用者側に圧力をかけてきました。

■貨物海上保険でのストライキ危険特約とは?

貨物保険には、オールリスクに戦争・ストライキ危険特約を付けるのが一般的です。

ここでいうストライキ危険特約とは、港湾ストを対象にしているのではありません。
内乱・紛争の結果、ストライキに参加する者によって生じる貨物の損害が対象です。

オールリスク保険はあらゆる危険をカバーしていますが
・船や飛行機の遅れ
・不完全な梱包
・品質変化による重量や容積の減少
これらは、保険でカバーできません。

今回のように港湾ストライキになった場合、自己リスクで対応することになります。
万一の場合に備えたサプライチェインを考えておくことが重要だと思います。

関連記事:北米西海岸港湾スト泥沼化で船混み割増料が発生

2015/2/23

書類の取り扱いで悩むことが多い貿易実務

インコタームズでは輸出者の義務として

「輸出者は船積が完了したら輸入者あてに 速やかに書類・データの提供をすること」

と規定しています。

何故なのか?
そもそも国際貨物輸送の基本的なしくみから考えてみましょう。

実際に貿易をはじめた方々は書類の準備や取扱にいろいろ苦労されているようです。
「らくらく貿易」には以下の3つのお問合せをよくいただきます。

・書類は貨物に添付しなければいけないのですか?
・英語で書かないといけないのですか?
・梱包パッケージに書類を入れなくてはいけないのですか?

輸出も輸入も書類がないと税関申告も貨物の引き取りもできません。
国際取引では「モノと書類が別々に流れている」ことを再確認しておきましょう。

■ビジネスで使う国際貨物輸送は宅急便とは違う

日本国内は宅急便というきわめて便利なサービスがあります。
・送状だけ書いて荷物に貼り付ければ、多くの地域へ翌日には届きます
・時間指定もできます
・加えて受け取り場所まで指定できます

まさに「ほしいときに、ほしいところで」が体現できる日本独特のサービスです。
世界中の他国でもなかなか実現できません。

しかしこのサービスレベルに当たり前のように慣れてしまうと危険です。
国際貨物輸送も無意識に同じようなものだろうとの錯覚におちいることになります。

国境を超える国際取引には書類がないと貨物を送ることができません。
海上輸送でも航空輸送でも貨物(モノ)と書類は一緒には流れていません。

国際貨物輸送は日本国内の宅急便とはまったく違います。

■国際貨物輸送でモノと書類が別々に流れているのはなぜ?

その理由はシンプルです。

Commercial InvoiceやPacking Listなどの貿易に必要な書類が入った
貨物を紛失してしまうと、貨物を引き取ることができなくなってしまうからです。

そのためにモノと書類が別々に流れているのです。
ITの進んだ現代なのに意外と思われるかもしれませんね。

一般の海上貨物も航空貨物も複数の荷主の貨物が混載され、スペースを共有して輸送されています。
そのためにバーコード管理が難しいといわれています。
混載貨物のため、最終的にモノと書類の付け合わせ作業が必要なのです。

しかし国際宅急便やEMSは例外です。
小口輸送のため、1梱包ごとに送状がつけられバーコード管理ができるからです。
貨物に書類がアタッチされ同時に流すことが可能なのです。

■輸出者の義務とは?

輸入者がスムーズに貨物を引き取るためには多くの書類が必要となります。

・BL船荷証券 (海上貨物の場合)
・AWB 航空送状 (航空貨物の場合)
・Commercial Invoice
・Packing List
・各種貿易書類 (原産地証明書など)

輸出者は貨物を発送したら速やかに輸入者あてに書類を送る必要があります。

インコタームズが規定している輸出者の義務
「輸出者は船積が完了したら輸入者あてに、速やかに書類・データの 提供をすること」

は国際貨物輸送の特性を象徴しているとも言えるでしょう。

関連記事:貿易の基本4:輸入通関に必要な書類とは?2012/06/07

2015/2/11

貿易実務で使われている英語Form Aとは?

貿易実務において英語は、さまざまな表現や意味に使われることが多々あります。

たとえば、海外の取引先から「Form Aが欲しい」とメールを受けて、
・急いで原産地証明書の手続きをした
・せっかく送ったのに、相手先はEPA対応の特定原産地証明書が欲しかった
・など

アクションを取ったにもかかわらず、取引先の意に反してしまい戸惑ってしまうことがあります。

Form Aのもつ言葉の意味を正確に理解するのはなかなか難しいようです。

■なぜForm Aと呼ばれるのか?

Form Aは本来は特恵関税が適用できる「特定原産地証明書」のことを指します。

しかし書式がForm Aと呼ばれているため、多くの国でCertificate of Origin(原産地証明書)の意味として使われることがよくあります。

原産地証明書には2種類あります。

一般的な原産地証明書と特定原産地証明書です。

一般的な原産地証明書は、輸出インボイスを証拠に貨物が日本産であることを証明したものです。
輸入商品を再輸出する場合には、輸入したことの証明書類で外国産であることを証明できます。
日本発のすべての貨物に対して発行されます。

これに対して、特定原産地証明書はすべての貨物が対象ではありません。
EPAやFTAなど特恵協定で取り決められた商品に対してのみ発行される原産地証明書なのです。

輸入国で関税の割引が受けられるのは、一般的には特定原産地証明書です。

誰でも低い関税を期待します。そのために相手方から要請されたForm Aは、特定原産地証明書のことを意味する場合が多いということになります。

■実務的にはどうすればよいのか?

・一般の関税率(WTO協定)を調べる
・特恵関税(EPAやFTAなどの特恵協定)を調べる
・関税率の差があるかどうか判断する

どちらも同じ関税率の場合は、複雑な特定原産地証明書よりも、一般の原産地証明書を申請するほうが実務的には楽といえます。

ただし、相手先に関税率に変わりがないことを十分に説明する必要はあるでしょう。

特恵協定は十分な時間をかけて段階的に関税率の引き下げが行われます。
TPP交渉でもそうですが、5年から10年程度の経過期間がもうけられます。
そのため一般の関税率と特恵関税に違いがあるかどうか調べる必要があるのです。

意外にこの点を理解している輸入者は少ないように思えます。
Form Aであたふたしないように、まずは関税率を調べてから実務対応をしましょう。

蛇足ですが、Form Eという英語表現も貿易実務で使われています。
中国ASEAN自由貿易協定で使われる原産地証明書のことです。
Form Aと間違いやすいので気をつけましょう。

関連記事:輸入関税率は1商品1税率ではありません 2013/03/19

2015/1/26

千葉県館山湾でコンテナ船が座礁、共同海損か?

MOL商船三井が運行するコンテナ船が千葉県館山湾内で座礁しました。

米国西岸から東京港へ航海中、エンジン不具合で停泊中強風のため浅瀬に乗り上げました。

浸水や油の流出はないと報道されています。

■どのように救助するのか?共同海損となるのか?
通常は満潮を待ってタグボートで浅瀬からの引き出しが行われます。
今回もタグボート4隻で引き出しをしようとしていますが難航しているようです。

5万トンものコンテナ船の場合、喫水は約10メートルあまりになります。
そのために座礁した場所によっては貨物が満載状態で引き出しができない場合もあります。

このような場合、船長判断で一部の貨物を海中に投棄し船全体を軽くすることが行われます。

貨物保険の専門用語で
「共同海損(General Average)」を宣言するといいます。
一部の貨物を犠牲にすることで最悪の事態(沈没)を回避する措置です。

沈没の危険性がなくても長期間にわたって救助作業が続く場合にも、貨物投棄が行われる場合があります。
船長判断で全荷主にとって最善と考えられる救助策が決められます。

全荷主が定められた割合で救助費用を負担するため、共同海損という言葉が使われます。「自助・共助・公助の精神」です。

共同海損が宣言されると船会社から荷主全員に「共同海損宣言書」が送られてきます。

共同海損宣言書を受け取ったら、荷主は保険会社へ連絡し書類による手続を行うことになります。

・共同海損に同意する
・積荷の価額を申告する

これらの書類を提出すればあとは船会社と保険会社の間で全体の費用計算が行われます。

今回の場合は座礁で船底ダメージは受けていないようです。
沈没の危険性はないと思いますが、一刻もはやく浅瀬から脱出できることを願っています。

用語:
共同海損 General Average
関連記事:
船舶火災事故

2015/1/13

中国が一部製品の輸入税率を引き下げ



昨年末に中国財政省は一部の輸入税率の引き下げを発表し、今年1月より適用されました。

WTO最恵国税率よりも低い暫定輸入関税率を導入して、国内産業の継続的な発展を目指すものです。

暫定輸入関税率を適用して減税される主な対象商品は
・光通信機器
・先進型製造設備
・電気自動車用部品
・エチレン
・フェロニッケル
・石炭製品
などです。

一方で暫定輸入関税率を取り消したり、暫定税率を上げる製品もあり、輸入構造の改善をはかる狙いがうかがえます。

■暫定輸入税率とは何か?
世界各国の輸入関税のしくみは、1商品1税率ではありません。
輸入相手先国ごとに以下のような基準をもとに関税率が決められています。

・関税法で決められている基本関税
・WTO協定国で取り決めの最恵国待遇を対象とした関税
・期間限定で特定品目を対象とした暫定関税
・開発途上国からの産品にのみ適用される特恵関税
・特定2国(又は地域)間経済協定締結国を対象としたEPA関税

中国の輸入関税制度も同じ考え方、しくみになっています。
今回の暫定輸入関税率の導入は、WTO協定国からの輸入商品を対象に期間限定の暫定税率を適用するとの意味です。

具体的な引き下げ税率は発表されていないので詳細は判明しませんが、少なくとも日中間の輸出取引では現行のWTO関税よりは下がることになります。

■原産国とは?
世界の関税制度は、世界全体の貿易振興をはかるため原産国ごとに関税率の特典を与えています。原料を輸入し第三国で加工を行うケースも
普及し、原産国の判定が難しくなりつつあります。

この機会に原産国についても触れてみたいと思います。

原産国を判定するには以下のいずれかの方法があります。

・HSコードで判定する方法
輸入原料と製造した商品のHSコードが違えば、製造した場所が原産国となります。
たとえば、小麦とバターを輸入してパンを製造した場合などが相当します

・輸入原料費と製造加工費の比率で判定する方法
(FOB価格-非原産材料の価額)/FOB価格×100=40%以上
つまり、輸入原材料と製造加工費のコスト比率の高いほう60%以上を原産国とする考え方です

原産国ごとに関税率は違ってきますので原産国を明確に判定することが重要になるわけです。

2015/01/05

逆石油ショックは貿易取引にプラスかマイナスか?



原油安がすすんでいる。
3か月前1バレル$100台だった原油価格があっという間に半額に近づいている。

原油相場の下落は世界経済にとってプラスのはずだが、
ロシア・ルーブル安
株価の乱高下
に連鎖し「逆石油ショック」の再来すら危惧されはじめている。

■オイルショックと貿易取引の因果関係
最近はほとんど聞かれなくなったOPEC。
1970年代に一気に急騰した原油価格は世界経済が大混乱をきたしました。
その時の主役がOPEC石油機構。現在の中近東の繁栄を築いた石油産油国機構のことです。

1970年代に2度も起きたいわゆる「オイルショック」。
ガソリン代の高騰はトラック運賃や国際輸送運賃を跳ね上げました。
石油化学分野だけに限らず、すべての製造業における製造コストも高騰し、買いダメに走る消費者の姿が見られるなど狂乱物価といわれた時代でした。

このオイルショック当時、貿易取引も原油相場に大きく左右されました。
・航空輸送も海上輸送も一方的な運賃値上げが日常化
・貨物の需要が増えれば運賃の安い貨物は積んでくれない
・輸送効率の悪い路線への配船はなくなる

国際運賃相場はたえず「需給バランス」で変動していますが、儲け優先主義を象徴するかのありさまでした。

■貿易取引に与える影響
リーマンショック後、右肩上がりと高止まりを維持してきた原油価格がここへきて急落。いわゆる「逆石油ショック」の影響を臭わせるような現象が起きはじめているようです。

貿易取引においてはいままでとは違う環境変化がおきるのでしょうか?

貨物を国際輸送する場合、燃料割増料が課金されています。
・航空貨物の場合、燃油割増料=Fuel Adjustment Factor
・海上輸送の場合、燃油割増料=Bunker Adjustment Factor

航空燃料と船舶燃料で英語表記が異なりますが、両方とも、燃油割増料のことです。

国際運賃は原油相場を基に毎月割増料の見直しが行われています。

たとえば国際宅配A社の場合
今年の10月までは原油相場1バレル$100台を反映して、20%程度の割増料が荷主様に請求されていました。11月からの急落で来年1月の
割増料は16.5%に下がります。

海外旅行ですっかり定着した「燃油サーチャージ」
航空運賃以外に必ず徴収される割増料、なかなか複雑で言われるがまま払わざるを得ない現状ですが、パッセンジャー用の「燃油サーチャージ」もほぼ半額になりつつあります。

原油安の影響が着実に現れ、燃油割増料が下がる傾向にあることは歓迎すべきことです。

国際運賃の設定では、航空輸送も海上輸送も共に基本運賃に割増料が加算されます。
割増料には、原油価格や為替の変動など予測不能な要因が含まれています。
基本運賃を極力据え置き、割増料という名目で全体の運賃を調整しているわけです。

逆石油ショックが火種となって基本運賃そのものの値上げにつながらないことを願っています。

用語:FAF (Fuel Adjustment Factor)またはFSC (Fuel Surcharge)
用語:BAF (Bunker Adjustment Factor)

2014/12/24

貿易実務は奥が深い、インコタームズだけではない



「毎日、貿易実務の現場で仕事をしていますがいろいろなケースがあって奥が深いな~、とつくづく思います。」

ワークショップに参加された方からのコメントです。

たしかに貿易のパターンは千差万別でなかなか均一化できません。
誰でも手軽に使えるアプリが登場しないのもこのためなのでしょうか。

メールを使って、
・いくらで販売するか
・支払条件をどうするか
・納期をいつにするか
といったようなことは、売主と買主という意識をあまり強くもたなくても進められます。
もちろん、FOBなどのインコタームズもすり合わせることができます。

そのため
契約書を作らないで貿易取引が行われているケースをよく見かけます。
契約書がないからといって輸出入ができないわけではありません。
メールで取り決めた条件をもとに取引をおこなうことは可能でしょう。

しかし実際は書類の準備などで苦労しているのが現実かと思います。

■インコタームズだけではない、法務的な条件だってある
FOB Japanで輸出する場合、売主は国際物流の手配をしないですみます。
輸出申告をするだけなので貿易実務の負担も少ないでしょう。

一方、CIF Singaporeで輸出する際には複雑になり負担も多くなります。
国際物流も保険もすべて売主側で手配する必要があるからです。

インコタームズは「売主と買主」の「費用とリスクの負担範囲」を決めているだけで、取引をおこなう上で必要な契約のすべてがカバーされているわけではありません。

貿易取引においては法務的な諸条件も含めて正式な契約の取り決めが行われることになります。

たとえば、不可抗力のケースで考えてみましょう。
・船が遅れる
・仕入先からの納期が遅れる
などは日常茶飯事におこるといっても過言ではないでしょう。

取引ですから相手先と取り決めた納期までに間に合にあうようアレンジするのは当然なのですが、船の遅延などは貿易実務の担当者がコントロールできるものではありません。

ところが営業部からはプレッシャーをかけられる。
契約書がない場合などにはとくにこの傾向が強いようです。

最悪の場合は納期に間に合わないから事前の許認可をとらずに輸出申告をせざるをえないなど、実務の現場はてんてこ舞いをすることになります。
無許可輸出となって摘発されたケースもあるくらいです。

どういう場合に不可抗力として免責にできるかを、契約書に明記しておけばこのようなことはないはずです。

貿易実務ではインコタームズだけではなく、このような法務的側面もしっかりグリップしなければなりません。

その上、売主と買主の間には多くのプレーヤーが介在しています。
・通関業者
・国際運送業者
・保険会社
・銀行
などなど。

それらプレーヤーの間を商品・書類・お金がバラバラに流れています。

契約書がなくても書類を担保に貨物の引き渡しが行われることもあるくらいです。

「貿易実務は奥が深い」といわれるゆえんなんでしょうか。

用語:インコタームズ いんこたーむず・インコタームズ
関連記事:貿易実務で忘れてはならないLC信用状のしくみ

2014/12/08

北米西海岸港湾スト泥沼化で船混み割増料が発生



北米西岸の現場から港湾ストの最新情報が入ってきました。
貨物量が依然として好調であることに加えてスローダウン戦術がからみ混乱が続いていると報じられています。

■北米西岸港湾スト、最新情報
先日、北米西岸のうち北部地区のタコマ港・シアトル港での状況をお伝えしましたが、南部地区のロスアンゼルス港・ロングビーチ港にも影響が波及してきています。
北米西岸各港でのスローダウン戦術によるコンテナ荷役の低下は一段と深刻になってきています。

コンテナ船は専用のコンテナふ頭側のクレーンでしか積み下ろし作業ができません。
コンテナを運ぶための道具(コンテナシャーシ)を準備できないとコンテナヤードに搬入することができません。
貨物量が多くなっているため、このコンテナシャーシも不足しているようです。

またコンテナ自体は自力で陸上運送をすることはできません。
シャーシを運搬するためにはトラック部分(ヘッド)が必要ですが、このトラッカーも不足しているようです。

このような状況のため、ついにコンテナ船の運行各社は船混み割増料
Congestion Surchargeを発表する事態になってきています。

■Congestion Surchargeとは?
コンテナ船の運行会社は、船主に対して用船料を支払ってチャーターしています。
1時間でも遅れれば追加の用船料を支払うことになります。

北米西岸各港のコンテナヤード側での受け入れキャパが不足すると、予定の時間でコンテナ船の運行ができなくなります。
輸出入港が混みあい追加の用船料が発生するため、コンテナ船の運行会社は荷主対して費用負担を求め、船混み割増料Congestion Surchargeを請求しだしています。

航海日数の短縮、コストダウンを求めてコンテナ化が導入されました。
しかし、コンテナ物流は受け皿のコンテナヤード側での受け入れキャパが条件となります。
いままでオイルショックや地域紛争などにより海上輸送が大きく影響を受けたこともありました。
都度、荷主各社は費用負担をして国際海上輸送体制を維持してきました。

北米西岸各港のコンテナヤードだけでなく、内陸地点でのヤードも混乱しているとの報道もあります。
少なくとも年内一杯はこの状態が続き、年明け後も中国正月前の輸出需要があり2月頃にならないと収まらないとする予想もあるようです。

ターミナル混雑、機材・人材不足による影響が早くに解消することを願っています。

関連記事:
北米西岸港湾スト、労使交渉が泥沼化か?

2014/11/25

北米西岸港湾スト、労使交渉が泥沼化か?



6月末で期限満了となった北米西岸の港湾労組(ILWU)と使用者(PMA)の労使交渉は、ストライキなどの強硬手段をとらずに表面的にはストなしとし平和的な労使交渉が続いていました。
ところが最近、労使の綱引きで緊張が高まっていると報道されています。
最新情報をお届けいたします。

■北米西岸港湾スト、労使交渉に変化か?
使用者(PMA)側の報道によると、10月末から北米西岸港湾のうち北部地区のタコマ港・シアトル港でスローダウン戦術が始まり両港での
コンテナ荷役が通常の 40~60%まで低下しているとのこと。

ストなしの平和交渉への合意を破ってスローダウンを行っている点について使用者(PMA)側は「約束に違反してスローダウン戦術を仕掛けている」と強く非難しています。

これに対し、北米西岸港湾労組側(ILWU)はメディアを使ったゆさぶりと強く反発して、双方の緊張が高まっているようです。使用者側によるメディア攻撃なのでしょうか?

米国の好景気の影響なのか、クリスマス需要の終わった11月になってもまだスパースが満船状態といわれています。
そのため北米西岸のうち南部地区のロサンゼルス港・ロングビーチ港から北部地区のタコマ港・シアトル港にシフトしている貨物も増えており、労組側としては、機材・人員的にキャパを超えていることが荷役スローダウンの原因と反論しているようです。

■北米西岸港湾スト、今後の見通し
現時点では北米西岸タコマ港・シアトル港での荷役スローダウンの影響がどこまで拡大するか、長期化するか定かでなく混乱収束の目処は
ついていないようです。
今後、タコマ港・シアトル港の事態の推移によっては北米西岸向けのコンテナ船のスケジュールにも遅れの影響が出始めてくると懸念されています。

コンテナ船には荷役のためのクレーンがついていません。
岸壁にあるコンテナ専用クレーンで荷役作業が行われます。
そのため岸壁側の作業が遅れればコンテナ船は海上で待っていなければならないのです。
このことによってコンテナ船がスケジュールどおりに運行できなくなります。
健保・年金などの待遇改善も含めた労使交渉のため着地点の探り合いが続いているようですが、コンテナ船の遅れにつながらないように望みたいものです。

関連記事:
北米西岸港湾スト、労使交渉継続するも先行き懸念

2014/11/14

輸出コンプライアンス、リスト・キャッチオール規制が9月に改正



外為法輸出貿易管理令が改正されました。
毎年、輸出コンプライアンスの見直しが行われています。
貨物と技術の見直しが行われており、追加・削除・改正が行われます。
今年は9月15日から改正されています。

■リスト規制での改正
輸出コンプライアンスの必須項目であるリスト規制も多くの項番で改正が行われています。
別表1~15項の中からおもな改正をピックアップしてみました。
・2の項(原子力関連)- 追加
 ・雷管の部分品
 ・レ二ウム
 ・防爆構造容器
・3の2項(化学・生物兵器関連)– 追加、発酵槽の部分品
・7の項(エレクトロニクス関連)– 削除、デジタル方式のビデオ磁気テープ記録装置等
・7の項(エレクトロニクス関連)– 追加、サンプリングオシロスコープ
・9の項(通信関連)- 追加、インターネットを利用した通信監視装置
・11の項(航法関連)- 削除、慣性航法装置の部分品

その他、各項番で規定の改正が行われています。
2014年9月15日版パラメータシート(項目別対比表)での確認が必要です。

■キャッチオール規制での改正
ダブルチェックを求められている輸出コンプライアンス・キャッチオール規制で追加があります。
中央アフリカが国連武器禁輸国に追加されました。(別表3の2)
・アフガニスタン
・コンゴ民主共和国
・コートジボワール
・エリトリア
・イラク
・レバノン
・リベリア
・リビア
・北朝鮮
・ソマリア
・スーダン
中央アフリカが追加され、国連武器禁輸国は12か国となります。

■リスト規制・キャッチオール規制とは?
輸出取引は原則自由ですが、一部商品は外為法で事前の許可・承認が求められる輸出コンプライアンス管理が行われています。
輸出貿易管理令別表第一の1-15項(リスト規制)で貨物と技術のスペック管理が行われています。
16項(キャッチオール規制)で誰がどこでなんのために使うのかの需要者・用途の輸出コンプライアンス管理が行われています。

輸出申告の際に税関に該非判定書とパラメータシート(項目別対比表)の提出が必要です。
2014年9月15日版の書式にて提出する必要があります。
昨年度版での申告はできませんので最新版に差し替えることが大事です。

関連記事:
輸出コンプライアンスが小説に登場!

2014/10/14 

貿易実務に大いに影響、WCOが2017年からHSコード見直し



世界税関機構WCOは2017年1月からHSコード分類を変更すると発表しています。
定期的にHSコード(関税率品目分類)の見直しが行われており約5年ぶりの見直しになります。
今回のWCOの見直しは、
1.魚類・同製品
2.林産品
3.危険化学品
4.薬品
5.化成品
6.科学技術製品
を対象に234分類におよぶと報道されています。

■HSコードとは?
HSコードの英語原文はHarmonized Commodity Description and Coding Systemですが長いためHS(エイチエス)と短く省略しています。
また、この言葉はかなり専門的なため英語ではTariff Codeと表現されるのが一般的です。

貨物を輸出入する場合、税関長に輸出入申告(通関手続き)が必要となります。
その申告に使われるのが世界税関機構WCOが決めたHSコードなのです。

このHSコードは世界共通に使われており、すべての商品を成分・材質ごと・用途ごとに細かく分類されており、輸入関税率が設定されています。

■原産地証明書もHSコードが基準
原産地証明書もHSコードに関連があります。
原産地証明書には一般の原産地証明書と特定原産地証明書の2種類があります。

一般の原産地証明書は輸出Invoiceなどの典拠資料が証拠となり発行されます。
どのような商品でも一般の原産地証明書を申請することができます。

一方、EPAやFTAなどの場合に限り発行されるのが特定原産地証明書です。
HSコードで特定した商品に対してのみ発行されるから「特定」という言葉がついています。

■なぜHSコードで特定した商品に対してのみなのか?
EPAやFTAでは自国の産業を保護するため一部の商品を例外とする場合があります。
TPPでも日米交渉で米などの農産品を例外にするなどの交渉が行われています。
例外があるから取り決めた商品をHSコードで特定しているのです。

輸出InvoiceにHSコードの記載が求められる場合も増えてきています。
輸入での貿易実務だけでなく、輸出の貿易実務でも専門の通関士に任せることなく、ご自身で自社製品のHSコードを把握しておくことが大事になってきています。

世界税関機構WCOのHSコード見直しがこの先注目されます。

関連記事:
もう一つの通商交渉、関税分類の取り決めも重要 2013/4/30

2014/09/22

TiSAも登場、WTOと貿易自由化への3つの動き

最近気になる貿易自由化に関して3つの動きを整理してみました。
最近の新聞報道からすっかり姿を消しているWTO。
その代り、貿易自由化というとEPA、FTA、TPPなどの言葉が主役となっています。

■新サービス貿易協定TiSA(=Trade in Services Agreement)とは?
久々にWTOが活字になっています。でも少々意味合いが異なります。

WTOに加盟する有志の国がサービス貿易自由化に向けて動いています。
WTOのドーハ・ラウンド交渉は決裂寸前ですが、こっちには22か国以上も参加。
日本も負けずに参加しています。

サービス貿易自由化とは何のことでしょうか?
もともとWTOがスタートする以前はモノの貿易に関する関税協定しかありませんでした。
モノの貿易に関する関税協定GATTを発展的に解消してできたのがWTOです。

WTOではモノの貿易だけでなく、サービス貿易や知的財産権など新分野も取り込みました。
金融・海運・保険などのサービス貿易自由化も含まれたのです。

でも対象範囲が広く、WTOの取決めだけでは満足しない国が参加しているようです。
つまり先進国間での政府間調達が議論されているとか。
WTOドーハ・ラウンドの行方も気になりますが、新サービス貿易協定の動きも注目です。

■日中韓FTA交渉の動き
3か国でも意見の隔たりが大きい、「難航か」の見出しが躍っています。
中国が自由化率を40%と主張しているとか。

TPPでも自由化率は90%以上が議論されているのに、これでは難航どころか不可能と思えます。
貿易取引はGive & Takeが基本なのに、中国のTake & Takeの主張に驚きました。
これではTPPに対抗しての日中韓FTAもまだまだ先が見えませんね。

■WTOが停滞している
WTOのドーハ・ラウンド交渉は15年近くも交渉して妥結できない状態です。
そのため大勢での交渉をあきらめて各自が勝手にEPA、FTA、TPPなどに動き出しています。

「この指とまれ」では経済ブロック化が警戒されるとの新聞記事を読みました。
TPP, EPA, FTAなどは参加国だけが恩恵を受けるため保護主義の要素があると懸念する声も。

特に最近のウクライナをめぐる欧米とロシアの経済制裁も拍車をかけているとの見方もあるようです。
この記事はこう結んでいます。
「第二次大戦の背景にもなった保護主義、経済のブロック化の芽を摘み取るため日本はもちろん、各国政府は160ヶ国・地域が加盟するWTOの機能を再確認する必要があるのではないか。」

関連記事:
世界の貿易自由化交渉、どこへ向う?
歴史から学ぶ貿易自由化の流れ

2014/09/15

貿易実務で忘れてはならないLC信用状のしくみ

LC信用状を使わずに海外取引ができる時代になっています。
たしかにB2CだけでなくB2BでもPayPalなどのネット決済や銀行送金で取引が行われています。

簡単に決済ができる便利な時代ですが、それだけで海外取引リスクが解決したわけではありません。
貿易実務の基本であったLC信用状のしくみを理解することで海外取引リスクについて考えてみましょう。

■海外取引リスクとは?
外国との取引にはさまざまな海外取引リスクがあるとよくいわれています。
輸送に時間が掛かる、商習慣が違うなど国内取引と比べれば確かにリスクがあるかもしれません。

このようなリスクを少なくするため貿易実務でリスクヘッジが行われています。

輸送に時間が掛かる、つまり輸送中に貨物が損害を受たり紛失することがあります。
このような保険事故に対して貨物保険をかけることで損害を補てんすることができます。

ドルやユーロなどの外国通貨での取引の場合は為替差損が問題となります。
自国通貨で取引できればいいですがなかなかそうはいかない場合があると思います。
銀行で為替予約をすることで為替差損を防ぐことができます。

売買当事者が直接会って商談をすることがなかなかできない海外取引。
輸出者にとって最大の海外取引リスクはやはり信用リスク、つまり代金回収にあると言えます。
そのため銀行を介在させて取引を行うことで代金回収リスクを補てんすることができます。
つまり買主側の銀行が万一の場合の支払保証をしているのがLC信用状なのです。

LC信用状は貿易実務の基本
外国との取引は、モノの流れ・書類の流れ・カネの流れに時間差があります。
輸出地から輸入地までに介在するプレーヤーの間をモノ・書類・カネがバラバラに流れているのです。

貿易実務には、フォワーダー・通関業者だけでなく、梱包業者、倉庫業者、国際運送業者など多くのプレーヤーの間で書類を担保にモノを引き渡す、書類提示を条件に代金支払が行われています。

買主に対して銀行が支払保証をしているLC信用状にはモノの流れ・書類の流れ・カネの流れの必要条件が細かく決められています。
LC信用状を使わなくても貿易実務でフォワーダーから提示を求められる書類はLC信用状で規定されている書類と同じものが要求されます。
たとえば、船荷証券BLのオリジナル書類の提示がないと船会社から貨物の引取ができないなど。

LC信用状の場合とまったく同じ条件で貿易実務が行われているのです。
簡易決済を利用したからといって貿易実務まで簡素化されるわけではないことをよく理解しておきましょう。

関連記事:
LC以外の国際決済方法

2014/09/01

ますます厳しくなる航空貨物のセキュリティ検査

7月1日からEUに到着する航空貨物のセキュリティ検査が強化されています。

■発地国の保安レベルで検査基準が決められている
発地国の保安レベルによってセキュリティ検査の基準が決められているとのことです。

・グリーン:セキュリティ検査の適用除外となる国
・ホワイト:EU認定の監査人による監査が必要となる国
・レッド :EUが認めた3種類のセキュリティ検査のうち2種類のセキュリティ検査が必要となる国

幸いにも日本は「グリーン」(セキュリティ検査の適用除外)に指定されています。
日本発EU向けの貨物はこのセキュリティ検査が行われないということです。

いままでのセキュリティ検査とは?
いままでは国際物流に携わるメーカー、輸出入者、通関業者、運送業者、倉庫業者の安全度のランク付けがされていました。
一定要件を満たせばあらかじめセキュリティ検査の簡素化を認定する制度です。

発地国の保安レベルはどのようにランク付けされているのでしょうか。
判断基準がいま一つ理解しがたいところです。

日本発EU向けの貨物は対象外ですが、日本発でも経由便を利用した場合は違うようです。
経由地の保安レベルによりランクが変わることもあるとのこと。
コストの高いダイレクト便を利用するかどうか思案のしどころですね。

2014/08/07

輸出コンプライアンスが小説に登場!

「齢八一にしてこの今も太陽の季節を生きている」、書評につられて読んでみました。
石原慎太郎が最近上梓した短編ばかりをまとめた新刊「やや暴力的に」(文藝春秋刊)

表題作「やや暴力的に」の中に興味を引くくだりがあります。
2000年頃に米政府が日本政府に対して輸出コンプライアンスを求めてきたことが書かれています。

海の見える屋敷で男たちが何やら政治談議をしているところを抜粋引用してみましょう。

「日本ではごく当たり前,日常の用途のために使われている技術に、実は軍事目的に転用すれば極めて有効なものがある」

「2000年の初め頃にSONYが発売した子供用のゲーム機器に搭載されているマイクロチップの機能が当時としては世界最高の128ビットあった」

「当時のアメリカの宇宙船の搭載機器に使われていたチップの容量は大方が32ビットないし64ビットでしたから連中は腰を抜かしましたな。」

「能天気な日本人にそれをそのまま北朝鮮や中国に輸出されたらかなわないということで、(中略)当時の政府に要望というか、秘密裏に禁止の命令を携えて押しつけてきました」
(文學界2013年10月号初出「やや暴力的に」)

自分が輸出している商品は軍事用途とは関係ないと思いがちです。
意外と輸出コンプライアンスの対象であるケースが多く、法令改正も不定期的に行われています。
輸出する際には必ずコンプライアンスチェックをするようにしましょう。

文中で作家・石原慎太郎が政治家・石原慎太郎に語らせているような文章に思えます。
日本の高度技術の輸出コンプライアンスがこのようにして水面下で政府間交渉されているのでしょうか。
輸出コンプライアンスとは?を考えるうえでここに登場してくる会話が何かの参考になればと思います。

関連記事:
三国間貿易、輸出コンプライアンスの見落としに要注意!

2014/07/22

三国間貿易がなぜこれから主流になるのか?

日本の貿易スタイルが変わってきていると言われています。
これまでは原料を外国から輸入、加工した製品を輸出する「加工貿易」が主流でした。
最近は生産拠点の最適化を求め、海外でのモノの流れが始まっています。

■三国間貿易の取引スタイルが増える?
この傾向は「ASEAN経済共同体」結成が2015年に控えているためとも言われています。
アセアンの国々との貿易拡大が期待されているためでしょう。

中国とインドの巨大市場に挟まれたASEAN10か国は、6億人を超える人口を抱える消費市場として注目を集めるだけでなく、生産拠点としても注目を集めています。

「ASEAN経済共同体」で貿易が自由化されれば、カネの流れには日本が介在するが、モノの流れは海外間で行われる三国間貿易が増えると期待されています。

「ASEAN経済共同体の成立でひとつの巨大市場が出来上がるわけではない」
第一生命経済研究所・西濱徹主任エコノミスト著の「ASEANは日本経済をどう変えるのか」(NHK出版)より

ASEAN各国はそれぞれに特異性をもっており、チャンスとリスクを見極める必要があると提言しており、一読に値するものと思います。

8月6日(水)のらくらく貿易主催第9回ワークショップ「三国間貿易の実務を深める」ではこれから増える三国間貿易を正しく理解し実務に利用することを考えてみたいと思います。

2014/07/14

北米西岸港湾スト、労使交渉継続するも先行き懸念

北米西岸港湾労組(ILWU)と使用者(PMA)の労使協約が6月末で期限満了となりました。
労使交渉の先行きに懸念を示している港湾関係者の声も多く、最新情報をお届けいたします。

■労使交渉、継続中
北米西岸港湾の労使双方は「7月1日以降も労使交渉継続中」と声明を発表しています。
さらに北米西岸29港すべてで通常通りの港湾作業が継続されていると報じられています。

幸いにも即スト突入とならずになによりですが、今後2-3週間の交渉に注目でしょう。
フルーツ輸出組合はこの数週間で労使交渉が妥結できないとスト突入ではないかと懸念しています。
July 4th独立記念日休暇明けからの本格的な労使交渉が注目されます。

■労使交渉の争点とは?
北米西岸港湾労組(ILWU)に加盟している組合員は20,000名ほどが働いています。
米国発着の50%以上の貨物が北米西岸の港湾を利用していると言われています。

しかし、コンテナ物流にも変化がみられ、北米西岸の競争力が問題になってきています。
アジア発Gulf、米東岸向け貨物の多くはパナマ運河経由で運べる時代だからです。

そのため北米西岸経由のモノの流れが減少してきているのは事実でしょう。
そのため使用者(PMA)としては経営合理化に努める必要に迫られてきていました。
以外にも北米西岸の港湾作業は人海戦術の作業が多く残っていたとも言えるでしょう。

今回だけに限らず毎回の労使交渉でコスト競争力(=人員合理化)が議論されてきました。

2002年にはブッシュ大統領がタフトハートレー法を出動、強制的に港湾封鎖ストを封じ込めました。
2008年の改定時にはコンテナヤード作業へのバーコード導入など自動化に踏み切りました。

一方の労組(ILWU)としては労賃だけでなく健保・年金など待遇改善を求め続けています。
労使双方が妥協できる余地が少ない状況と言えますが話し合いでの解決を望みたいものです。

関連記事:
北米港湾ストか?北米西岸の港湾労使交渉
北米港湾ストと中国版24時間ルールで海上輸送に影響

2014/07/07

三国間貿易、輸出コンプライアンスの見落としに要注意!

三国間ビジネス展開が活発になってきています。
カネの流れには日本が介在するがモノの流れが外国間で行われる三国間貿易。
TPPなどのFTAが世界のサプライチェーンに変化をもたらしています。

このような場合の日本企業としての輸出コンプライアンスについて考えてみましょう。

■輸出コンプライアンスとは?
輸出に携わる企業・団体・個人は、外為令に則った輸出コンプライアンスが求められています。
輸出されるすべての貨物と技術は事前に判定のうえ必要に応じて許可申請が必要です。

テロ対策や軍事用途に転用されないように貿易管理が世界規模で行われているためです。
日本発の輸出はもちろんですが、三国間貿易も輸出コンプライアンスの対象となります。

■なぜ輸出コンプライアンスが求められるのか?
多くの産業資材が武器にも転用できます。
そのためすべての輸出者は輸出貨物や技術の判定と事前許可が求められています。

パスポートがないと海外旅行に行けないのと同じです。
モノの流れが外国間だから関係ない、ではありません。

関連記事:
貿易コンプライアンスとは? 2006/12/29

2014/06/16

危険品貨物のリチウム金属電池が航空輸送できなくなる!

危険品貨物のリチウム金属電池(Lithium Metal Batteries)の旅客機への搭載禁止が正式に決議されたと報道されています。

2015 年 1 月 1 日からの実施予定:
・Class9のUN3090(リチウム金属電池)単体の場合、旅客機への搭載禁止
・機器に同梱されたリチウム金属電池(UN3091)は対象外

■危険品貨物とは?
引火性貨物、可燃性貨物、放射性貨物などは、危険品貨物となります。
国連および国際原子力機関が定めた航空輸送細則に準じた航空法(国土交通省令)の条件を満たした場合に限り航空貨物として輸送することができます。

■危険品貨物を輸送するには・・・
輸送中の安全を確保するため、危険品申告書の提出を求められます。
輸送する商品の危険度に準じて梱包容器やラベルなどの輸送手段が取り決められており、運送会社の事前認可を得ることが必須となります。

2014/05/19

TPPの輸入関税率から輸出入ビジネスを考える

TPP交渉もいよいよ大詰めです。
特にオバマ大統領訪日の際のマスコミの反応はさまざまでした。
最初は「大筋合意ならず」、徐々に「前進・実質合意」でしょうか。

世界主要国の輸入関税率データに注目です。
輸入関税を「農産品」と「非農産品」にわけたデータでいろいろと考えさせられます。
(日本経済新聞 2014-04-28 グローバルデータマップ)

■「非農産品」の輸入関税率
工業製品などの「非農産品」の数値をみてみましょう。
・TPPに参加の欧米の主流は、2%台前半
・中国、韓国などのアジア各国は3%台後半
・これに対して、日本の輸入関税率は1.2%と約半分以下

つまり、日本の「非農産品」の輸入関税率が世界で一番低い、ということになります。
日本の工業製品の多くはすでにゼロ関税となっており、高くても2.5%~5%程度だからでしょう。

■TPP参加のメリットとは?
日本にとってTPP参加のメリットとは?を考えさせられる数値ですね。
この数字だけを見るとTPPでメリットあるのは輸出ビジネスのように思えます。

でも、まだ10%以上の輸入関税率の商品も残っています。
商品ごとに洗い出してみると輸出入ビジネスでターゲットとする商品が見えてくるでしょう。

関連記事:
EPA経済協定と原産国の考え方

2014/05/12

輸出コンプライアンス、営業部のモヤモヤをどう解消

輸出企業は、外為令に則った輸出コンプライアンスを求められています。
輸出されるすべての貨物と技術は事前に判定のうえ、必要に応じて許可申請が必要となります。
海外に行くときにパスポートが必要なのと同じですね。

テロ対策や軍事用途に転用されないように貿易管理が世界規模で行われています。
特に、迂回輸出なども多発しており、キャッチオール規制への管理も厳しくなってきています。

■キャッチオール規制とは?
輸出した貨物を「どこで誰がどのような用途に使うのか」の管理がキャッチオール規制です。

営業部のモヤモヤをいくつか。
・商社経由の販売や三国間貿易などの場合、最終需要者を特定できない
・使用用途など技術情報の開示を要求して取引自体に影響しないか などなど

営業部としては相手先に聞きづらく当然の反応なのかもしれません。
輸出コンプライアンスの大事なことはわかっているが、管理部門との板挟みで悩みが多いとか。

■輸出コンプライアンスの運用事例
こんな方法でモヤモヤを解決している運用事例をご紹介しましょう。

「どこで誰がどのような用途に使うのか」を明確に文章にした覚書を用意されています。
・輸入した貨物を特定の輸出禁輸国に再輸出しない
・民生用途以外に使用しない

契約締結時に提示して署名を取り付ける方法がとられています。
「契約時にこの覚書にも署名願います」と依頼するだけで、すんなりと輸出契約ができるようです。

管理部門との板挟みもなく輸出コンプライアンスも守れる一案かも知れません。

関連コラム:
輸出コンプライアンスのルール見直しに注目

2014/04/28

輸入関税だけでなく輸入消費税も即現金払い?

「輸入が許可になりました!
でも貨物の配達は、輸入関税の支払い後となります。」

輸入手続きで委託のフォワーダーから言われて慌てたことないでしょうか。
輸入者に代わってフォワーダーが輸入関税を立替えてくれているからです。

貨物を迅速に引き取れて輸入者にとって便利な制度もあります。

■輸入関税の延納制度
輸入関税の支払いを一定期間猶予できるのが延納制度です。
正式には「納期限延長制度」と言います。

事前に担保を提供することで最大3か月後の支払いとすることができます。
預託金担保以外に、土地や建物なども担保対象にできます。
3か月間の猶予期間があれば、資金繰りも大いに楽になりますね。

■輸入関税のリアルタイム口座支払制度
自分の指定した銀行口座から輸入関税の引き落としができる制度もあります。
専用の引き落とし口座を用意する必要なく、経理管理も便利だと好評のようです。

NACCS処理で通関と支払が一元処理されますので迅速な貨物引取ができます。
フォワーダーにとっても立替えをする必要もなく、みなハッピーなようです。

いずれの制度も輸入関税だけでなく、輸入消費税の支払いにも利用できます。
TPPをはじめEPAなどで輸入関税は撤廃の方向ですが、消費税は増税の方向です。
特に4月から8%になった輸入消費税、検討する価値大いにありだと思います。

5月14日(水)のらくらく貿易主催8回ワークショップ「TPP締結にむけ輸入関税を総ざらいする」では、輸入関税をいろいろの角度から考えてみたいと思います。

関連記事:
消費税率アップで輸入消費税はどうかわる?

2014/04/21

北米港湾ストか?北米西岸の港湾労使交渉

北米西岸の港湾労使交渉の行方が注目されています。
労組(ILWU)と使用者(PMA)の労使協約が6月末で期限切れとなります。

5月から始まる改定交渉、早くも緊張が高まっています。

米国発着の50%以上の貨物が西岸の港湾を利用していると言われています。
港湾ストになった場合、貿易実務への影響が懸念されます。

■いままでもたくさんあった北米港湾スト
1980年代には、港湾ストが毎年必ずありました。
西岸だけなく、東岸もストになったことも。さらに日本の春闘と重なったことも(最悪!)

2000年代に入ってからは複数年契約になりましたので一歩前進でしょうか。
今回は、6年ぶりの契約更改となります。

■港湾ストは、不可抗力の対象
契約書の「不可抗力条項」、この条項には港湾ストが対象となっています。

つまり、港湾ストになった場合、納期遅延を起こしても売主の責任はないのです。
逆に、買主(輸入者)にとっては最大のリスク要因となります。
湾ストで物流網が寸断されてしまい、調達ができなくなっても自己責任なのです。

■早めの港湾スト対策が必要
航空輸送に切り替えられる貨物はいいですが、海上輸送貨物は大変。

・早めに在庫の積み増しをする
・カナダ経由などの迂回輸送を利用する
選択肢が限定されるだけに皆が殺到することが予想されます。

労使交渉は突然妥結する場合もあれば、突然交渉亀裂といったことも。
貿易実務に支障がないように早めの港湾スト対策をする動きも出ている模様です。

2014/04/17

インドネシアからFOBで輸入できなくなる?

「輸出申告方法をCIFに変更、1年以内には必須」
インドネシアからの報道です。
(The Daily Jakarta Shimbun 2014-03-04)

FOB契約が圧倒的(80%)なインドネシアです。
契約条件をCIFにすることで貿易収支改善をめざしているとか。

国際競争力に劣っている現地物流業界へのテコ入れでしょうか。
でも輸出業者からは「輸出競争力がなくなる」との声もあるようです。

FOBCIFどちらがメリットあるのか?
よくあるご質問です。
FOBのほうがメリットあるとかCIFはデメリットということではありません。

FOBの場合は、買主が輸入地で国際運賃と保険料を支払い
CIFの場合は、逆に買主が輸出地で支払い、売値にオンして輸出

FOBCIFFを決める判断基準とは?
取引条件は売主と買主の交渉で決められるものです。
FOBCIFのコスト比較をしていずれかで契約が取り決められます。

「いかに安く、いかに早く」貿易実務の永遠の課題ですが、両立はしませんね。
コスト比較だけでなく時間軸・サービスレベルといった判断基準も大事です。

国際運賃は需給バランスに左右します。
荷動きが活発な上海発より南アジア発のほうが安いということもあります。
決して距離に連動していないことを考慮に入れて判断すべきでしょう。

いずれにしても
官が民に貿易実務のあり方まで介入するのはいかがなものでしょうか。

関連記事:
効率的な国際物流の3つのポイント(輸入編) 2012/2/27

2014/04/14

世界の貿易自由化交渉、どこへ向う?

「日豪EPA交渉、大筋合意」

これで難航するTPPの日米交渉も加速、いよいよTPP交渉も大詰めでしょうか。

最近の貿易自由化交渉の報道はEPAが主役となっています。
WTO(ドーハ・ラウンド)についてはすっかり忘れ去られたかのようです。

12年もの長丁場の交渉だけにあまりニュースバリューがないのでしょう。
残念ながら貿易自由化の画期的な成果が得られていないためです。

■貿易自由化交渉の質が変わってきている?
立場が違う約160カ国の最大公約数を協議するWTO方式の限界なのでしょうか。

・交渉しやすい相手を選ぶ
・戦略的にEPA貿易自由化圏づくりを競い合う
むしろ、世界各国はWTO交渉に見切りをつけているかの如くの状況です。

■乱立するEPA
TPP交渉だけではありません。
TPPの欧米版もあります。(TTIP 環大西洋貿易投資協定)

アジア地区もASEAN+3とかASEAN+6(RCEP)の動きもあります。
さらに広域なFTTAP構想もあります。

WTOもEPAも貿易自由化をめざしていることには違いありません。
しかし、「この指とまれ」に向かっているように思えてなりません。

これでは途上国は仲間に入れず、貿易自由化の恩恵にあずかれないことになります。
世界中が参加できるWTO交渉の枠組みを前進させることも必要だと思います。

関連記事:
世界の通商交渉、決められないWTOが原因か 2013/04/25
米欧FTA交渉開始で合意、巨大市場が誕生する! 2013/02/20

2014/04/08

インコタームズのFCAとFOBどちらが実務的?

Facebookにインコタームズからの質問が出ていました。
「FCAの言葉の意味と、どのような輸送方法に適している条件なのか?」

この質問に対してさまざまな答えが投稿されています。
言葉の意味はFCA=Free Carrier=運送人渡しと正解ですが、輸送方法についてはいろいろ。

・どのような輸送方法でも使える
・コンテナ貨物でのみ使える
・指定場所で貨物を引き渡し運賃は到着地払い などなど

答えは、買主が指定した運送人に売主の所在地または運送人の指定場所で貨物を引き渡す。

FCAFOBはどう違うの?
FCAは、コンテナ輸送のためにFOBと区分けして設定されたインコタームズでした。
コンテナヤード(CY・CFS)での保険リスク負担を明確にするためでした。

FOBでの保険開始は本船への積み込み完了からです。
つまり、FOBの場合コンテナヤード内の貨物は保険対象外ということになります。

まだ積み込み前の貨物が保管されているコンテナヤードは、「運送人」の管理下にあります。
「運送人」を明確にする目的からもFOBと異なる解釈のFCAが設定されたと思われます。

■FCAのCarrier (運送人)とは誰のこと?
「運送人」とは、船会社・エアラインなど実際の運行者または輸送を請け負うフォワーダーも含まれます。
フォワーダーは、輸出通関代理だけでなく、B/Lを発行する「運送人」でもあるからです。

コンテナ貨物をコンテナヤードに持ち込むだけでなく、工場でバンニングする場合もFCAが適用できます。
空港内の貨物ターミナルも同じ、フォワーダーに貨物を引き渡した時点がFCAということになります。

しかし、商習慣でまだFOBが使われているケースが多いのではないでしょうか。
FCAの使用比率が極度に低いのは「あえて変更する理由がないから」といったご意見も多いようです。

貿易実務でインコタームズのFCAをもっと使いこなすようにしましょう。

関連コラム:
インコタームズ2010(その2) 2010/12/8

2014/03/31

24時間ルールをインコタームズから考える

テロなどの保安対策として積荷情報を報告する制度「24時間ルール」が各国で導入されています。
日本も3月からスタートしています。

・輸出地を出港する24時間前までに貨物の保安情報を報告する
・輸出地の船会社またはフォワーダー(NVOCC)が報告する

間接的に海外の物流業者に任せておいて大丈夫でしょうか。
的確に情報提供が行われているかどうか心配になることもあるでしょう。

直接売主に事前確認しておけば安心ではないでしょうか。
インコタームズは売主と買主の権利義務も規定しているからです。

INCOTERMS2010規則では、保安情報の提供も売主の義務として明確化されています。
「売主は買主が必要とするあらゆる情報を提供、助力を与えなければならない」

買主から依頼があった場合、このような情報提供は売主の義務となっています。

関連コラム:
日本版「24時間ルール」、3月スタート

2014/03/27

世界160ヶ国の物流ランキング、日本は何位?

世界銀行から160ヶ国の物流ランキングが発表されています。

物流インフラの総合的な評価が参考になることでしょう。

■物流ランキング指数とは?
国際物流環境を5つの視点から分析・指数化しています。
サプライチェーン全体の効率性を数値評価している点が特色です。

・国際輸送網の充実度
・輸送サービスの質
・貨物トレース能力
・輸送日数の正確さ
・通関手続きの効率性

首位はドイツ、2位オランダ、3位ベルギーとトップ10には欧州各国が登場しています。
アジアからベスト10に入ったのは、5位Singaporeと10位日本だけです。

Singaporeと日本以外の主要アジア国のランキング:
15位 香港、19位 台湾、21位 韓国、25位 マレーシア、28位 中国

■物流ハブの韓国・中国がなぜ20位以下なのか?
アジアだけでなく世界各国では異なる輸出入手続きが行われています。
そのためにWTOが昨年末に「通関手続きの電子化」を取り決めたところでした。

今回の分析で欧州各国と大きく差がでたのは「通関手続きの効率性」の項目です。
税関での書類手続きが煩雑・時間が掛かるからでしょう。

スムーズなモノの流れと書類の流れ、いずれが欠けてもだめ。
これが効率的な物流の決め手なのだと思います。

2014年版報告書:国際物流の効率性指数 
http://lpi.worldbank.org/international/global/2014

関連コラム:
ドーハラウンド交渉合意 「WTOは生き返った!」

2014/03/24

輸出管理の最新報道から輸出貿易管理令を考える

輸出管理に関する最新報道から3記事を選んでみました。

■新たな輸出管理の協議が始まっているという報道記事
「武器というよりは、防衛装備品という言葉の方がしっくりくると思う」
「呼び名も実態に合う形で示した方が、国民に正確に伝わるのではないか」
つい最近の小野寺防衛大臣の発言です。

「武器輸出3原則」から「防衛装備移転3原則」への見直しが行われています。
軍事品(武器)は原則輸出禁止、一部例外と複雑になっています。
わかりやすい輸出管理の原則にしようという動きです。

たとえば、災害時に防衛装備品を輸出できるようにする。
偵察ロボットを利用して、倒壊した家屋の内部を映像で確認できるようにする。
探知透過装置を利用して、壁の内側にいる人の動きを探知できるようにする。

「武器」と「防衛装備品」の解釈、どうちがうのか判断が難しいですね。
それだけに安全保障の観点から日本版NSCが輸出の可否の最終判断をするとの報道もあります。
経産省との調整など輸出者にとってわかりやすい輸出管理行政を望みたいものです。

■外為法(輸出貿易管理令)の違反原因についての発表記事
経産省では2007年から2011年の外為法違反の原因分析を発表しています。

・該非判定の未実施 62.1%
 つまり、「輸出するのに事前の許可が必要とは知らなかった」
・該非判定における該当項番の適用の誤り 16.7%
 つまり、「輸出貿易管理令の法律を解釈するのが難しい」

輸出する前に、外為法に該当するかどうかの判定(該非判定)を行い、該当する場合は事前の許可を受ける必要があります。

違反原因の2番目「法律を解釈するのが難しい」に注目です。
法律を読みこなすのに16.7%の方が苦労しているということですね。
悪意がなくても法令適用の誤りで違反に問われることもあるということです。

■半導体製造データを無断で持ち出し海外転職した事件
先端技術データを持ち出し海外ライバル企業に転職、提供したかどで逮捕された事件のことです。
新聞報道では不正競争防止法違反とありますが、輸出貿易管理令にも関連があると思えます。

今回の新たな輸出管理の協議には、技術移転を管理する仕組みの見直しも含まれています。
技術の輸出・提供の場合も輸出貿易管理令が適用されています。

関連コラム:
輸出貿易管理令改定で思うこと、日本語はむずかしい

2014/03/17

消費税率アップで輸入消費税はどうかわる?

4月から消費税がアップ、8%になります。
輸入貨物に課税されている輸入消費税も4月1日申告分からアップとなります。

輸入消費税は、厳密には国税部分と地方消費税に分かれており、今までは4+1=5%でした。
4月以降は、端数の数字(6.3+1.7 = 8%)になります。

・国税部分の消費税は、4%から6.3%へ
・地方消費税部分は、消費税*25/100 = 1% から消費税*17/63 = 1.7%へ

具体的に計算してみましょう。

【輸入金額 Euro1,500*レート¥145.00=申告価格(CIF)¥217,500、関税ゼロのケース】

3月まで(消費税5%)
■輸入消費税(1):申告価格(CIF)¥217,500=¥217,000*4%=¥8,680=¥8,600
■地方消費税(2):輸入消費税(1)¥8,600*25/100=¥2,150=¥2,100
■(1)+(2)=¥10,700

4月(消費税8%)になると・・・¥6,500もアップになります!(¥10,700→¥17,200)
■輸入消費税(1):申告価格(CIF)¥217,500=¥217,000*6.3%=¥13,671=¥13,600
■地方消費税(2):輸入消費税(1)¥13,600*17/63=¥3,672=¥3,600
■(1)+(2)=¥17,200

輸入消費税は商業輸入だけでなく、個人輸入やサンプル輸入にも課税されます。

よくある質問です。
「関税がかからない商品でも消費税を払わなければいけないのですか? 」
関税が無税だから連動して消費税が掛からないということはありません。

関連コラム:
輸入関税率 2011/10/25

2014/03/10

輸入ビジネスで考えるべき仕入先の供給能力は?

輸入ビジネスをする場合、できるだけ代理店契約を結びたいと考えるのが一般的ですね。
それも独占的な販売権がある包括代理店契約のほうが営業的にベターであることは間違いありません。

しかし、包括代理店契約以外にも考えておくもうひとつの経営判断ポイントがあります。
「買いの与信」ということを考えてみてはいかがでしょうか。
つまり、海外の仕入先にはどれだけの供給能力があるのか契約前に調査・確認しておくことです。

海外から仕入れて国内の需要者に安定的に供給するのが輸入商社の役割だからです。
また自分で使うために輸入する場合も供給の安定は最大課題となるでしょう。

輸入購買契約には必ず「不可抗力条項」が含まれています。
一般的には天変地異での納期遅れなどの契約不履行は売主責任でないことを規定しますが、一部の不可抗力条項には売主の下請けからの納期遅延も含まれている場合があります。

売主としてのリスク回避からだと思われますが、輸入する側にとっては安定供給の面で不安要因を抱えることになります。

このようなことがないように仕入先の供給能力の実態を知っておくこと。
もうひとつの経営判断ポイントになろうかと思います。

2014/03/03

英語版ニュース週刊誌で勉強している高校生

グローバル化の真髄を言い当てている17才の高校生からの読売新聞の投書に注目です。

彼は英語の勉強をするため英語版ニュース週刊誌の定期購読を始めたそうです。
購読を始めて英語の勉強になるだけでないことに気付いたとのこと。

日本のマスコミ報道とは違いニュースの取り上げ方や切り口が新鮮で世界にはさまざまなもの見方があることを知ったという。
もっと勉強して外国人の様々な視点を知り新たな発見をしたい、と結んでいる。

「外国人の様々な視点を知り新たな発見をしたい」と言っていることがまさにグローバル人材として目指すべきゴールだと思います。
グローバル化とは、立場の違う人の意見を理解することに尽きるのだと思います。

彼の将来に期待ですね。

関連コラム:
日本人の英語力は低い、グローバル化と英語力

2014/02/27

物流用語「ノーティファイ:Notify」を考えてみる

物流用語「ノーティファイ」って誰のことでしょうか?
BLやAWBに記載されているNotify Party(貨物到着案内の連絡を受ける人)のことです。

輸入者(コンサイニー)=貨物受取人の通常輸出のケース。
この場合はNotify Party=輸入者ということになります。

輸入者と貨物受取人が異なる場合はどうでしょうか。
輸入者はSingapore、貨物はJakarta、Indonesiaに運ぶというようなケース。
この場合、Notify Party =Jakartaの貨物受取人となります。

輸入者と貨物受取人が同じでも三国間取引の場合を考えてみましょう。
輸出者は日本、貨物はSingaporeからJakartaに輸出されるケース。
この場合、Notify Party=Jakartaの貨物受取人ですが、日本の輸出者にも知らせてもらえば貨物が確かに到着したことを知ることができますので日本の輸出者にしておくこともあります。

輸入貨物を迅速に通関したい場合にも使えます。
この場合、Notify Party =通関委託先フォワーダーとしておけば貨物到着後すぐに手続きをすることができます。

ノーティファイ Notify Party = 誰にでも指定できる、ということですね。

2014/02/24

日本酒が海外展開で勝つには?

「酒サムライ・コーディネーター」、何だろうと思って記事を読んでみました。
(2月9日読売新聞ワールドビュー「英が日本酒を育てる日」)

ワインの教育機関WSETが「日本酒の伝道師」を育てるとの記事でした。
世界62ヶ国で年間5万人ほどのソムリエ人材を育成しているWSETがロンドン本校で「日本酒コース」を今年の夏から始めるそうです。

日本酒のソムリエが世界で活躍する日も近いことでしょう。期待しています!

この記事に関連して、日本酒を海外で展開するのが結構難しいことをご紹介したいと思います。

特に、醸造酒は「味を保つ」のが非常に難しい商品なのです。
輸送ルートにもよりますが、一般のコンテナは内部が50-60℃になるからです。
夏場を避けて輸出するのも一案ですね。 でも、営業的にはちょっと、ですね。

冷凍コンテナを利用して、定温輸送する方法があります。
品質管理面では最適な方法ですが、コストが高い。
小口ロットへの対応ができていないからです。
一部路線で小口混載サービスがありますが、まだ多くの路線で冷凍コンテナはフルコンテナ単位です。

航空貨物であれば小ロットでも定温管理はできますが、これも運賃がさらに高いですね。

比較的コストを安くする方法として、遮蔽シートで梱包を包んでしまう。
それでも、35-40℃程度でしょうか。

日本酒の海外展開を考えるうえで、「味を保つ」を事前に考えておくことが勝負の分かれ目のように思えます。

2014/02/13

日本版「24時間ルール」、3月スタート

日本版「24時間ルール」がいよいよ3月からスタートです。
日本に到着する海上コンテナ貨物の積み荷情報を事前に税関に申告することになります。

すでに実施されている「出港前報告制度」米国版AMS準じたセキュリティー対策です。
そのため、日本版「24時間ルール」と言われています。

・報告すべき積み荷情報とはなにか?
荷受人・荷送人の住所、電話だけでなく、品目分類番号(HS番号)や貨物の経由国などです。

・誰が報告をしなければならないのか?
Master B/Lを発行する運送契約の当事者(船会社)またはHouse B/Lを発行する利用運送事業者(NVOCC)と規定されています。つまり、「海外の事業者」です。

・いつまでに報告しなければならないのか?
海外の輸出地を出港する24時間前までに積荷情報を報告することが求められます。
韓国や中国等日本に近い国の場合、出港の24時間前でなく、「出港時」の報告となります。

海外の事業者の処理遅れや理解不足によるトラブルを心配している向きもあります。
輸入貨物が到着遅れとならないように、輸出者に早めに確認相談しておくことをお勧めします。

2014/02/03

「物流用語」は輸出入実務の基本です

最近のお問い合わせです・・・「Vanning」という物流用語は世界で通じますか?
あるネット辞書に「Vanningは和製英語」と記載されているからの問い合わせとか。

日本にはたくさんのカタカナ日本語が氾濫していますね。
輸出入関連の物流業界もそうです。

コンテナに荷物を積み込むことを「バン詰め」といいます。
Van=貨物をコンテナに積み込むというちゃんとした英語です。

でも、日常会話ではほとんど使われない特殊用語ですね。
LoadingとかStuffingのほうが一般的かもしれません。

逆に積み下ろすことはDevanningといいます。
このDevanningは、日本の物流業界では「デバン」と省略されています。
「デバン」はカタカナ日本語だから、Vanningも和製英語と思ったのでしょうか。

このお問い合わせを頂いて、正直言って物流で使われている用語の難しさを感じました。

2月19日(水)のらくらく貿易主催第7回ワークショップ「物流用語を極める!」では物流用語を正しく理解し使うことを考えてみたいと思います。

2014/01/29

日本人の英語力は低い、グローバル化と英語力

「日本の英語教育はおかしい(2014年2月号文藝春秋)」という対談記事に注目です。

ミスター円こと榊原英資氏と通訳翻訳の第一人者鳥飼玖美子氏との対談です。
「グローバル化と英語」が主題です。

国際経験豊かなお二人からかなり厳しい指摘がされています。
・日本人の英語力は、中国や韓国、ASEAN諸国と比べても低い
・日本のグローバル化の足かせになっていることをもっと自覚すべき

鳥飼氏は早期英語教育がグローバル化ではないと指摘しています。
・小学校での英語教育について疑問を思っている
・しょせん子供の英語がビジネスで使えるわけではない

榊原氏の視点もなるほどと思えます。
・日本は「以心伝心」の国、外国人相手にもそれが通じると思っている節がある
・また、なんでも翻訳文で読むことができる日本の翻訳文化も一因と指摘しています

グローバル人材教育・日本人にとって「英語力」とは何かを考えさせられました。
・立場の違う人の意見をいかに理解するか
・自分の考えていることをどんどん言葉にして相手を納得させるか
・英語をつかえれば世界に通用するのではない

「文化の異なる人たちと関係を構築することになる」という考え方が大事なのでしょう。

関連コラム:
新たなキーワード「日本のグローバル化」

2014/01/27

新たなキーワード「日本のグローバル化」

「NO.1からよりよい国へ」というインタビュー記事を興味深く読みました。
(2014年1月3日読売新聞)

「ジャパン・アズ・ナンバーワン」エズラ・ボーゲル著
一世を風靡したこの書籍が出版されたのは、1979年。
70万部を超えるベストセラーでした。

戦後の日本経済を見てきた著者エズラ・ボーゲル氏のコメント。
・日本の発展は独特の意思決定システム「根回し」がキーワードであった。
・しかし成長を極めた現代、「日本のグローバル化」が新たなキーワードになるでしょう。

さらにエズラ・ボーゲル氏は「日本はもっと世界に出ていくべき」と提言されています。
「やはり英語力が必要」ともアドバイスされています。

2014/01/06

輸出コンプライアンスのルール見直しに注目

新聞各紙で賛否両論が展開されています。
「武器輸出三原則、緩和へ」

輸出コンプライアンスの点から注目したいと思います。

多くの産業資材が武器にも民生用にも使われています。
高機能樹脂や工作機械などは軍事用途にも転用することができます。

逆に、軍事・民生の共同開発も増えてきています。
自動車の追突防止装置やETCなどは軍事レーダー技術から生まれました。

武器そのものの輸出は、外為法(貿易管理令)で禁止されています。
民生品も軍事用途に転用できないようにコンプライアンス管理が行われています。

日本が優位に立つ技術で軍事・民生の共同開発がますます進むことでしょう。
しかし、違う目的への流用、第三国への迂回輸出などの違反事件も絶えません。

そのため国際環境に適した貿易管理のルールを明確化しようということのようです。
輸出コンプライアンスのルール見直しに注目です。

関連コラム:
輸出コンプライアンスもっと弾力的な運用を 2013/03/25

2013/12/24

波紋が大きい韓国経由の迂回輸出違反事件

また北朝鮮がらみの輸出貿易管理令違反事件が報道されています。
名古屋市の貿易商社が韓国を経由して北朝鮮へ迂回輸出したとのこと。

韓国向けは「ホワイト国」として特例対応がされています。
相応の管理体制ができているとの判断からキャッチオール規制の対象外となっています。

「ホワイト国」を悪用して直接輸出が禁止されている北朝鮮に迂回輸出をしたということです。

今後韓国向けについて顧客審査が厳しくなるなど波紋が大きくならないことを願っています。
輸出時の法令順守はもちろんですが、販売後の管理も求められてくると思われます。
「売りっぱなしにしないこと」が大事なのでしょう。

関連コラム:
ワッセナーアレンジメントで見直し 2013/01/23

2013/12/20

一字一句違ってはだめ?LC決済での書類の書き方

銀行に提出した輸出書類のスペルが違っていたため、すぐに現金化できない。
銀行を介在してのLC決済取引でよくあることです。

銀行に提出する書類は、LCに書いてあるのと「まったく同じ」でないとだめ。
一字一句同じでないとだめ。
LCの書き方が間違っていたから、正しいスペルに直してもだめなのです。

このような経験をされた方がたくさんおられると思います。
LCに原産地証明書の提出が求められているケースは少々厄介です。

受け取ったLCの商品名称に余計なことが書いてある場合があります。
例えば、「ABC Products as per Proforma Invoice #12345」
ABC Products だけならよいのですが、as per以下が余計なのです。

LCに書いてあるのと「まったく同じ」表記で原産地証明書を準備することができないのです。
原産地証明書を発行する商工会議所では、as per 以下は商品名称でないと考えているためです。

・商品名称は、「ABC Products」のみを記載する
・「as per Proforma Invoice #12345」については商品名称と違う
・「Proforma Invoice #12345」のみであればRemark欄に記載できる

「LC記載と違う」書類だと銀行でリジェクトされてしまうと心配になりますよね。
でも、異なる表記の原産地証明書でも、銀行手続きはできます。
原産地証明書LCと矛盾しない名称」であればよいことになっているからです。

ご参考までに、Invoiceは一字一句違っては、だめです!

2013/12/15

ドーハラウンド交渉合意 「WTOは生き返った!」

「ドーハラウンド交渉合意、貿易促進に大きな効果」と報じられています。
世界貿易機関(WTO)設立(1999年)以来初めての合意となります。

159ヶ国・地域によるWTOの総意とりまとめに大変に長い時間がかかりました。
ドーハラウンドは10年以上もの時間が費やされています。
関税率だけでなく自由貿易をめざした交渉が延々と続けられてきています。

この間、世界各国は並行的にTPPなどWTOと異なる方向も模索しています。
それだけに、今回合意に達したのは大いに歓迎すべきことだと思います。

WTOアゼベド新事務局長の言葉が印象的です。
WTOは生き返った」
世界全体の自由貿易体制をめざしているWTOに今後も期待したいと思います。

今回合意された「貿易手続きの簡素化」で、世界各国で異なる輸出入手続きが電子化等でシンプルに改善されることを願っています。

関連コラム:
WTO新事務局長就任と世界全体の自由貿易体制

2013/12/09

税関は融通が利かない?!

輸入取引でよくあるケースです。
輸出者側のミスで注文した数量が不足していた。
貨物検査もなく輸入許可となり、実際の貨物を開けてみて数量不足に気づいた。

この場合、当然ですが後から不足分が送られてきます。
注文した数量がそろって「よかった」ですが、ちょっと問題もあります。

輸入関税をダブルで支払う羽目になることもあるのです。
当初輸入した時は、注文した数量どおりのインボイス数量で関税支払いとなります。
後から送られてきた不足分のリプレース品に対しても通常の関税がかかります。
つまり、関税を2回支払っているのです。

当然、関税の還付を求めますが、これがむずかしい。
積み忘れたことを売主が認めていても、数量不足の事実を第三者に証明することができないためです。
当事者同士で口裏を合わせていると考えられてしまうのでしょうか。

2013/12/02

日本産水産物への韓国の反応、海産物恐怖症?

「韓国覆う海産物恐怖症」と題する記事に目が留まりました。
(2013-11-15 ウオール・ストリート・ジャーナル紙)

韓国は福島原発の汚染水問題を理由に8県産の水産物を全面輸入禁止しています。
世論を意識しての措置のようだが、韓国水産業が大きな打撃をうけているという。

日本産だけでなく、水産物全体に対する不信感を持っている消費者が多いそうだ。
韓国人の4人に3人が以前よりも魚を食べなくなっているとか。

「政府は魚を食べても安全というけれど、どこまで正直に話しているかわからない」
食の安全に極端に神経質なためネットでうわさが広まっているようだとも推測している。

韓国全体の海産物の年間消費量は、610万トン。
日本からの輸入は、32,000トン(2012年実績)。
そのうち6000トン程度が福島を含む8県からの輸入であるという。

国内世論に敏感すぎるのでしょうか。
この数字を見る限り過剰に反応しているのではないだろうか。

2013/11/25

米新駐日大使と輸出貿易管理体制の変遷

キャロライン・ケネディー新駐日大使が着任されました。

初めての日米間のTV中継がケネディー暗殺事件でした。
当時、6歳のあどけない少女の姿が想い出されます。
あれからもう50年も経っているのですね。

1963年11月26日朝日新聞夕刊に「北京の反応」というコラムがあります。
同じ共産圏でも中国とソ連の対応が違うという趣旨のコラムです。

中国では簡単な報道のみで北京政府からの公式な弔電もありませんでした。
一方、ソ連からは世界平和のため大きな打撃として丁重な対応でした。
弔電だけでなく、ソ連首脳が在モスクワ米大使館におもむいて弔意をあらわしました。
このことを取り上げて、あまりの違いとコメントしています。

当時は、米ソ両国が軍拡競争をしていた東西冷戦の時代でした。
米を中心とした自由主義圏はソ連などの共産圏に対して輸出統制をしていました。
COCOMという戦略物資の輸出貿易管理体制が敷かれていました。

その後、米ソ冷戦は徐々に雪解けとなり、対共産圏への管理は役割を終えました。
しかし現代になりテロや軍事紛争を防止するための輸出貿易管理が必要となってきました。

そのため輸出貿易管理体制(ワッセナーアレンジメント)COCOMから引き継がれました。
先端材料などの汎用品についても軍事転用されないように輸出管理が行われています。
日本の外為法(輸出貿易管理令)は、このワッセナーアレンジメントに準じています。

ケネディー新駐日大使の着任に際し、輸出貿易管理体制の変遷を思いおこしました。

関連コラム:
ココム規制とワッセナーアレンジメント 2012/01/19

2013/11/18

EPA経済協定と原産国の考え方

「原産国」とは、どうやって決めるのですか?
EPA特定原産地証明書を検討されている方からよくある質問です。

EPA経済協定は、締結国どうしの経済協定です。
当然ですが、締結関係にない第三国には適用されません。

第三国で作られた製品をEPA締結国経由で取引すれば、第三国は労せずしてEPA税率の恩恵を受けられてしまいます。
このような迂回貿易ができないように「原産国」の特定が行われるのです。

たとえば、米韓EPAを利用する目的で日本から韓国経由で米国へ輸出しても、この税率が適用されることはありません。

海外からパーツを輸入、製造加工・組立、そして再輸出するグローバル化の時代です。
原産地が複数の国にまたがっている場合など「原産国」をどこにすべきか迷うことがあります。
この考え方が品目ごとに、「原産資格割合」として取り決められています。

(FOB価格-非原産材料の価額)/FOB価格×100のことで、概ね40%以上となっています。
つまり、製造加工・組立コスト60%以上が「原産国」の必要要件ということです。

この「原産資格割合」を満たすことがEPA税率利用の条件となります。

関連コラム:
輸入関税率は1商品1税率ではありません 2013/03//19

2013/11/11

どうして輸出コンプライアンスが求められるのか?

「政府が武器輸出3原則の見直しを打ち出した」と新聞報道されています。
永田町だけの政治問題と思いがちですが、輸出実務にも大いに関連があります。

武器など軍事用途の輸出は、外為法(外国為替及び外国貿易法)で規制されています。
この同じ外為法は、世界的な安全保障管理から一般の輸出品に対しても適用されています。

自由に海外へ行ける時代なのに、法律で輸出コンプライアンスが求められているのは、どうして?
よくある質問です。

海外旅行に行くときにパスポートが必ず必要ですよね。
これと同じで、海外に貨物や技術を輸出するときには軍事用途へ転用されないように管理が行われているのです。

多くの産業資材が武器にも民生用に使われています。
そのため、B2B, B2Cだけでなく、大学や研究機関などすべての輸出者に対して、「判定をする責任者を置くこと」と「社内で周知・指導をすること」が求められているのです。

輸出の基本ですので、12月6日(金)のらくらく貿易主催第6回ワークショップでもこれらに関連したポイントで「輸出コンプライアンス」について考えてみたいと思います。
「クイズで学ぶ輸出コンプライアンス」

関連コラム:
ココム規制とワッセナーアレンジメント 2012/01/19

2013/11/5

歴史から学ぶ貿易自由化の流れ

「韓国のTPP交渉参加が濃厚」 最近、気になるニュースです。
韓国はすでにTPP交渉参加国の多くとすでにFTA・EPAを締結しており、TPPに参加するメリットは少ないと言われています。
それなのに、どうして大詰めになってから参加しようとしているのでしょうか?

貿易自由化の歴史を振り返ってみましょう。

1929年10月24日、米国での株価大暴落(いわゆるBlack Thursday)を契機に経済後退が始まり多くの銀行が倒産するなど世界各国に波及して、1930年代の世界大恐慌が起こりました。

英ポンド圏,米ドル圏を中心に先進国が自分の権益を守るために閉鎖的なブロック経済圏を形成したことにより、世界経済はさらに縮小しました。

1940年代の第二次世界大戦は、当時のブロック経済により引き起こされたといわれています。

第二次世界大戦後、この反省からGATT協定(関税と貿易に関する一般協定)が1948年に発足し、世界規模での貿易自由化が話し合われるようになりました。

そして、1995年にさらなる自由化を求めてWTO(世界貿易機関)という形に発展してきたのです。

貿易自由化は、南北問題で、発展途上国(南)と先進国(北)の綱引きでもありました。
徐々に参加国が増えたためと、先進国(北)のリーダーシップが失われてきたというか、発展途上国(南)の発言力が強くなり、WTOでの交渉でコンセンサスを得るのが難しくなってきています。

特に、2001年から始まったWTOドーハ・ラウンドは、10年以上も延々と交渉しても合意点を見つけられず、いまだに決着できない状態です。

その結果、世界各国はWTOでの交渉をあきらめて、コンセンサスを得やすい2国間やある程度地域を絞ったFTA・EPAでの貿易の自由化交渉が主流となって来ているのです。

アジア太平洋圏でのTPPだけでなく、中国が東アジア包括的経済連携(RCEP)を進めようとするなど、ヨーロッパ圏でのEU、米国圏でのNAFTAを含め、世界はまたブロック化に向かっているように感じます。

この流れを敏感にとらえて韓国はTPP参加にメリットありと考えているのだと思います。

WTOをすっかり忘れてしまったかのような動きですが、「世界はひとつ」をめざしているWTOが本来の機能を発揮できることが本筋なのではないでしょうか。

関連コラム:
世界の通商交渉、決められないWTOが原因か 2013/04/25

2013/10/24

あなたにとって「英語」とはなんですか?

中央公論11月号が興味ある特集をしています。
「日本人最大のコンプレックス―英語の憂鬱」

各方面の方が投稿されていますが、気になったお二方をご紹介します。

まずは、NHKの「英語でしゃべらナイト」の元プロデューサー・丸山俊一氏です。
この番組の先生役だったタレント・パックンとの対談でこのように述べられています。

「日本人にとって英語は不思議な存在、憧れと同時にコンプレックスなんですね。
恥をかいてまでしゃべるのはちょっと、という感覚」

英語を考えるきっかけを与えてくれているように思います。

もうひとりは、世界で大活躍してきたゴルフの青木功プロです。
「何かやりたいことがあるならまずはやってみろ」とエッセイに書かれています。

世界ゴルフ殿堂入りまでした青木功プロは、英語が苦手で、「妻と友がいたから、ここまでやれた」「今の俺があるのは女房のおかげ、助け舟どころか軍艦」と内助の功に感謝されています。

しかし、「あくまでゴルフが主で、英語は従」との考えを貫かれてきたそうです。
英語ができるからゴルフが上手くなるわけではないとも言っています。

とかく、英語ができるようになってからと考えがちですね。
英語ができないからとしり込みしないことなのでしょう。

「相手と意気投合するような話題を持つこと」がポイントとアドバイスされています。
つまり、言葉よりも「コミュニケーション能力」が大事ということですね。
ビジネスにもあてはまると説いています。

示唆に富んだお二方の言葉に大いに共感しました。

関連コラム:
2050年の世界・・・ 2012/11/19

2013/10/21

「食の安全の番人」厚生省検疫所で感じること

東日本大震災以来、多くの国で日本からの食品輸入に対して監視が強化されています。
一部に規制が解除された国もありますが、依然として多くの国で輸入規制が続いています。
世界が厳しすぎるのでしょうか?

いや、日本もかなり厳しく、BSE問題で10年以上も牛肉輸入を禁止してきた国です。
厚生省検疫所が「食の安全の番人」として目を光らせていることでも有名です。

検疫所への書類手続きで感じたことを挙げてみましょう。

お役所への申請書ですので、申請書に印を押すことは常識ですが、それだけではないのです。

参考資料として商品写真を添付した時のことです。
補足説明書にも印がないと受け付けてもらえないことがありました。
それも、社印(角印)と社長印(丸印)の両方がないとだめ。
検疫所ごとに多少の温度差がありますが、社長の個人印(チャチハタ印)を要求されたこともありました。

届出書には材質の提示はもちろんですが、海外メーカーの製造工程表も求められます。挙げるそれも英語の説明書です。

書類手続きが済んでもまだ関門があります。
コーヒーメーカーなどの調理器具の場合、お湯が注がれてコーヒーが出てくるまでに接触するすべてのパーツの分析検査が行われます。
たとえば、パイプやパッキングなどに重金属類が含まれていないかどうかの検査がされます。

食器として使われる陶磁器の場合でも同じです。
お皿の模様や柄に使われている顔料までチェックしているのです。

検査に合格しないとどうなるか?
当然、輸入することはできません。

シッパーに返送するか、国内で廃棄処分のいずれかの処置をしなければなりません。
高額な検査料だけでなく、返送運賃や廃棄料までが輸入者の負担となるのです。

「食の安全」は大事ですが、貿易自由化への流れの中、もう少し弾力的な運用ができないものでしょうか。

関連コラム:
日本の食品検疫体制-オイスター輸入の思い出 2012/12/26

2013/10/15

輸出貿易管理令改定で思うこと、日本語はむずかしい

来週10月15日から輸出貿易管理令が改定になります。
毎年、対象となる貨物と技術の見直しが行われており、今年も経済産業省の省令という法律で、対象項目の追加と削除が公布されました。

輸出するときには、この法律に該当するかどうかの判定は必須です。
「自社の輸出商品は軍事用ではないから関係ない」と思うこともあるでしょう。
でも、この法律は民生品でも軍事用に転用されないようにするために輸出者に判定を求めているのです。

対象となる貨物と技術ごとに、「該当」、「非該当」、「対象外」の判定を求めていますが、最終判定としては「該当」か「非該当」にチェックするようになっています。

「該当」か「非該当」は理解できますが、「非該当」と「対象外」の違いはなんなのでしょうか?
どうして最終判定に「対象外」はないのでしょうか?
言葉の意味を理解するのに苦労しますね。

しかし、判定ツールに書いてあることを読みこなすのも苦労します。

省令そのものの法律文が書かれている「項目別対比表」よりも、多少わかりやすい文章になっている「パラメータシート」のほうが理解しやすいかと思います。

まず、自分が輸出しようとしている商品がどの対象法令なのかを探し出すことになります。
例えば、「ベアリング」は「軸受」として法令に書かれています。
「軸受」の言葉を知っていればいいのですが、知らないと対象法令を見過ごしてしまうかもしれないのです。

この法律は世界各国が批准しているワッセナーアレンジメントに準じていますので、アメリカの輸出貿易管理令(EAR)」を英語で読んだほうがわかりやすいかも知れません。
英語では、BearingはBearingですから。

いずれにしてももう少しわかりやすい日本語で法律文を書けないものなのでしょうか。

関連コラム:
ワッセナーアレンジメントで見直し 2013/01/23

2013/10/11

TPPだけでは解決できない?

TPP交渉がいよいよ大詰めになってきました。

メディアの関心は農産品の関税率ばかりですが、このTPPでは税関での輸入手続きの簡素化も交渉の対象になっています。
これは大いに結構なことなのですが、輸入手続きには関門がたくさんあります。

「食の安全」に厳しいわが国で食品を輸入する場合を考えて見ましょう。
貨物が到着すると、まず動植物検疫の手続き。
さらに検疫所で食品届けの手続き。
書類審査だけでなく、検査分析手続きが必要な場合もあります。
この検査に合格して、やっと税関での通関手続きができるのです。

TPPで話し合われているのは、「税関での通関手続き」だけです。
貨物によっては、税関にたどり着くまでに時間と手間がかかっています。
「税関以外での手続き」の簡素化についても大いに検討してもらいたいものです。

関連コラム:
輸入手続きをスムーズにする方法 2013/02/25

2013/10/07

海上コンテナが年間10,000個も海へ落下している

今年の夏にインド洋で日本のコンテナ船が真っ二つに割れて沈没したことも記憶に新しいところですが、この調査報告を読んで改めて海上輸送のリスクを認識しました。

「海上コンテナが年間10,000個も海へ落下している」
計算をすると、1時間に1個落下していることにびっくりしました。(10,000個/365日=27個)
これだけの頻度ということは、それだけ世界の海の気象条件が厳しいということだと思います。

コンテナが荒天遭遇などで流されてしまうのは、デッキの上に積み上げられているコンテナだけです。
デッキの下にあるコンテナはこのようなリスクは全くありません。

荷主の立場としてできればデッキの下に積んで欲しいところですが、積みつけ場所を指定することはできません。
コンテナの行き先・重量などの要素から船長が最適な積み付け場所を指定しているからです。

デッキの上でもデッキの下でも運賃は同じなのに積みつけ場所を指定できない、挙句の果てに国際運送約款の免責条項があるため船会社からの補償はほとんどない、荷主として納得できない状況ですね。

貨物海上保険がこのようなリスクをカバーしていることに注目する必要があると思います。
コスト削減から貨物海上保険をかけない方が多い昨今ですが、再考をされてはいかがでしょうか。

関連コラム:
貿易の基本3:運送会社には賠償責任がない?2012/02/27

2013/10/03

海外取引をサポートしている2種類の保険

「貿易保険の補償拡大」との新聞記事が目に留まりました。
経済産業省が貿易保険の仕組みを見直す方針と報道されています。
今年アルジェリアでおきた日揮のテロ事件がきっかけのようです。

貿易保険では事業継続ができない場合のみに補償適用されています。
今回のように即撤退でなく、一時中断の際にも適用できるよう法改正するとのことです。

海外取引に使われる保険には2種類あります。

輸出入でよく使われる保険は、「貨物海上保険Marine Insurance」です。
航海中の危険(沈没、水濡れ、盗難、火災など)を損害保険会社が補償しています。

企業の海外進出リスクを減らすため、政府機関が後押ししている保険もあります。
カントリーリスク(非常危険や信用危険)を補償する「貿易保険Trade Insurance」です。

関連コラム:
中国・反日デモと貨物海上保険 2012/10/08

2013/09/24

貨物のパスポート「ATAカルネ」最新情報

貨物のパスポート「ATAカルネ」にインドネシアが来年1月から参加することになります。

展示会出品物や商業サンプルなどを外国に持ち込む場合、入国・出国のたびに通関手続きをするのは大変です。このような一時的な物品持ち込みのための通関手帳がATAカルネです。
70カ国以上がATA条約に参加しています。

【めんどうな通関手続きがいらない】
ATAカルネは関税が免税となる支払保証書ですので、いちいち正規の輸入通関をしないで済みます。

【1つのATAカルネが数カ国で使える】
数か国での展示会に出展する場合など全ての税関で免税扱いの一時輸入通関ができます。

関連コラム:
輸出コンプライアンス・ケーススタディーその2 2012/11/05

2013/09/11

新たな輸送ルート・北極海航路

アジアとヨーロッパを結ぶ新たな輸送ルートとして北極海航路が注目されています。
最近のNHKでも紹介されましたが、海上輸送に大きなインパクトを与えると期待されています。

ユーラシア大陸北部のロシア沿岸を通るこのルートは氷が薄くなる夏場の約4カ月間に限られ、砕氷船利用でコストが高くなることがネックでした。

地球温暖化の影響なのでしょうか。
氷の減少で砕氷船なしでベーリング海峡を通過出来る時期が増えているそうです。

そのため、ロシアとノルウェーの海運業界だけでなく、高い関心を示している日本・アジアの企業が多いと言われています。

スエズ運河経由に比べて距離が3分の2となり、航海日数が12-15日短縮できるといわれています。燃料が大きくセーブできるため運航コストの大幅削減が期待できます。

最近日本の化学メーカーがノルウェーから石油製品を調達したほか、現在中国の大手海運COSCOがオランダに向けてトライアル航行をしていると伝えられています。
韓国もすでに運航実績を増やしつつあるようです。

東アジアのハブ港は完全に中国・上海、韓国・釜山に移ってしまいましたが、この航路が実現すれば、地理的にベーリング海峡に近い北海道が重要ハブ港となれると期待している向きもあるようです。

欧州と東アジアだけでなく、米国東海岸航路としても北極海航路の実現性に注目して見たいと思います。

2013/09/07

WTO新事務局長就任と世界全体の自由貿易体制

9月から世界貿易機関(WTO)の新事務局長にブラジル出身のアゼベド氏が就任しました。
中南米出身者が就任するのは初めてです。

最近はTPPなど個別の国や特定地域間での貿易自由化ばかりが議論されていますが、新興国や途上国が貿易協定から取り残されるおそれもあります。

60年以上前の世界は、関税障壁や貿易制限などで国内産業保護の排他的なブロック経済となっていました。先進国だけが搾取していたブロック経済により第2次世界大戦が起こったといわれています。戦争終結後、この反省から世界貿易機関(WTO)の前進である国際協定GATTが1948年に結成されました。

GATTの精神を受け継いだWTOが自由貿易体制の機能を果たしてきたことを思い出す必要があるように感じます。その意味でも、ドーハ・ラウンド交渉に長年携わってきた経歴のアゼベド新事務局長に期待が寄せられています。世界全体の自由化を目指す体制に戻すことができるのか注目されます。

関連コラム:
世界の通商交渉、決められないWTOが原因か 2013/04/25

2013/09/02

LC以外の国際決済方法



初めての輸出取引、「代金回収は大丈夫か?」最大の心配ごとだと思います。
最近あったお問い合わせです。
LCで取引をすれば万全でしょうか?」

かつて為替管理が厳しかった時代には、国際決済は銀行を通さないとできなかった、それも特定の銀行だけでしか国際業務ができませんでした。

輸出取引の場合は、海外から受け取ったLCを割り引いて資金繰りに利用するなど、まさに輸出企業にとってLCは国際手形の役割を果たしていました。

でも、最近はネット通販などEコマース全盛の時代です。
一度もLCを利用したことがないという企業も多いのではないでしょうか。
手続きが簡単な外貨送金を利用している企業が増えていると実感しています。

2013/08/26

輸出コンプライアンス・ケーススタディーその5

【サンプル輸出で貿易管理令違反となったケース】

ライフルスコープ(照準器)のサンプル輸出での出来事です。
この商品は、武器付属品のため輸出許可申請が必要な商品です。

でも、「サンプル輸出には事前許可はいらないだろう」と思い込んだようです。
結果として、「無許可輸出」で書類送検との報道がされています。

このような「思い込み」が原因の違反事例はかなりあります。

・海外顧客から緊急依頼されハンドキャリーする場合
・展示会に出展する場合
・輸入商品を修理するため返品する場合
などは輸出でないと思いがちですが、正式な輸出手続きが必要です。

輸出取引は、「原則自由」ですが、外為法で安全保障貿易管理が行われています。
比較的身近な民生用品であっても規制対象となっていますので、注意が必要です。

2013/08/17

海の日にちなみ灯台の話題です

日本で初めて点灯された灯台は、日本海・伏木港(富山県高岡市)でした。
明治10年(1877年)に日本海側で最初の洋式灯台「伏木燈明台」が作られました。

水深が深い天然の良港で、江戸時代から北前船の寄港地として栄えた港です。
明治・大正時代になり、化学工業など日本の近代化がこの地から始まりました。

現在でも主要産業がこの地で生産活動を行っています。
この港なくしては日本の近代化学工業の発展はなかったものと思います。

2013/07/17

貿易記念日に思うこと

6月28日は、貿易記念日です。
1859年(安政6年)、長い鎖国時代が終わり横浜・長崎・箱館(函館)の港が開かれ自由貿易が始まりました。

TPPでますます海外と取引する機会が増えると思い、先人たちの苦労を振り返ってみたいと思います。

当時の主力商品・お茶を例にとると、静岡地区から横浜港の外国人商社に販売する「間接貿易」でありました。「直接輸出」をしたいとの強い希望から努力を重ね、1899年(明治32年)清水港開港につなげたとの記録があります。

それ以来150年以上にわたって貿易立国として自由貿易が日本の発展をもたらしてきています。

関連コラム:
貿易記念日 2007/6/15

2013/06/20

原産地証明書は2種類あります

EPA締結国に輸出した方から問い合わせがありました。
「EPA特定原産地証明書の手続きをしてくれますか?」

原産地証明書には2種類あります。
通常の原産地証明書は、輸出インボイスに記載されているすべての商品の
原産地を商工会議所が証明しています。

一方、EPAやFTAなどの場合は「特定原産地証明書」といい、ちょっと違います。
すべての商品が対象ではありません。
TPPでもそうですがお互いの交渉で、対象となる商品がHSコードで特定されているためです。

HSコードに該当する商品かどうかチェックをしたうえで、特定原産地証明書が発行されます。
この手続きがややこしく時間もかかる。
そのためにお問い合わせがあったのでした。

・輸入者から特定原産地証明書の提出を指定されているのか?
・通常の原産地証明書でもいいのか?

確認していただいた結果、特に指定はない。
通常の原産地証明書で無事輸出されました。

関連コラム:
特定原産地証明書 2011/11/24

2013/06/10

日系二世の情熱で人と人のきずなの活動 

日系二世として多大な功績を残されたダニエル・K・イノウエ上院議員が昨年12月に逝去されました。
日米関係の強化をライフワークとされ、日米の懸け橋として次世代を育成したいとする強い情熱をもっておられました。

イノウエ議員のこの情熱は、米日カウンシル(US Japan Council)に引き継がれています。
「TOMODACHIイニシアティブ」、将来の日米関係を担う若い世代(TOMODACHI世代)を育てていこうとする活動です。 ウェンディーズが「TOMODACHIバーガー」を発売、売り上げの20%を寄付するなど官民での取り組みが始まっています。

米国で生まれ育った日系二世は激動の時代を過ごされてきました。
差別や偏見を乗り越えてきただけに一層「人と人のきずな」が大事だと考えていたと思います。

1980年6月、US OpenがNew Jerseyで行われた時のことを思い出します。
青木功が帝王ジャック・ニクラスと死闘を演じ、1打差で2位となったあの有名なトーナメントです。
仕事で長年お世話になった日系二世の方に連れて行ってもらいました。
試合終了後、涙を流して「これで差別がなくなる」と喜んでおられた姿を今でも思い出します。

「TOMODACHIイニシアティブ」の活動が活発になることを願っております。

2013/06/03

日本食輸出をサポートする国としての戦略に注目 

日本食ブームを追い風に日本の伝統食材を輸出しようと中小企業の挑戦が始まっています。

寿司、刺身、焼き鳥、天ぷらといった定番だけでなく、最近ではラーメンやカレーライスが好きという人も多く、欧米やアジア主要都市で日本食を好きと答えた人が第1位というアンケート調査もあります。(「外食で食べる好きな外国料理」アンケートJETRO調査)

しかしアメリカに食材を輸出する場合、大きなハードルがあると報じられています。
「米国食品安全強化法」で、海外製造メーカーは、製造工程管理基準(HACCP)を求められます。

このHACCPを導入している中小企業は、まだ3割以下といわれています。
そのため、国としてもHACCP導入への支援策を検討しているそうです。

TPPに関連して農産品輸出をサポートする官民での連携・国としての戦略に注目です。

2013/05/27

海外ビジネスワークブック 

東京商工会議所が海外ビジネスへのガイドブック「海外ビジネスワークブック」を配布(無料)しています。
このガイドブックの副題は「自社の英文書類作成や各種貿易手続き簡単ツール」となっており、海外展開を目指す中小企業の実務者にとっては便利な内容となっています。

契約法務に関連した商流、国際輸送に関連した物流、輸出入実務など貿易ビジネスのあらゆる局面をカバーしており、実務者だけでなく、経営レベルにとっても役立つと思います。

さらにミプロ監修のページもあり、小口輸入に関して便利なコンテンツも含まれております。

このガイドブックの申し込み・お問合せ:東京商工会議所・中小企業相談センター 03-3283-7700

2013/05/16

自由貿易主義「租税貢納論」について 

作家・佐藤優のコラム「保護主義か、自由貿易か」(文藝春秋2013年5月号)を読みました。

このコラムで著者は、「TPPの本質は自由貿易ではない」ということを一番言いたかったと思うが、著者が引用している「租税貢納論」 に興味がひかれたのでご紹介したいと思います。

英国の経済学者ウイリアム・ペティが17世紀に書いた「租税貢納論」(岩波文庫)によると、

もともと関税とは:
・中世の時代は、貿易取引で貨物を運搬するということはかなり危険であった。
・海賊に遭遇するリスクが高く、その損失補償として保険料(=関税)が徴収されていた。

このような時代に「租税貢納論」が主張していることとは:
・関税で国内産業の保護は必要だが、税率をできるだけ低く抑え、
・外国の進んだ技術を積極的に導入すべし

この時代に保護主義を批判して自由貿易主義の考え方が論じられています。

ウイリアム・ペティの含蓄のある言葉も引用しておきます。
「賢明な医者は自分たちの患者に対して、むやみ余計な世話をやくものでないということ。
自然の動きに対してはお手盛りの激烈な施薬で対抗するよりも、むしろこれを観察しそれに従うものである。
政治学や経済学においても、同じ方法が用いられなければならない」

2013/05/08

輸出入手続きの国際標準化 

最近、TPPの陰に隠れてしまっているWTOドーハ・ラウンドですが、輸出入手続きの国際標準化も議論されています。

手続きのデータ化はだいぶ進んできましたが、書類はまだ各国バラバラ。
国際標準化により世界全体で4兆円近くもコスト削減との試算もあります。

日本も輸出入書類の国際標準化が大幅に遅れていると指摘されています。

お役所体制がまだまだ残っているよくあるケースです。
「申請書類にハンコがない」で手続きがストップ。 
それも、会社印だけではだめ、代表者印も必要・・・
その結果、納期が遅れた、挙句の果てに超過保管料も請求された。

こんなことにならないように国際標準化の議論が進むことを願っています。

関連コラム:
ドーハ・ラウンド 2011/8/1

2013/05/06

もう一つの通商交渉、関税分類の取り決めも重要

TPPなどの通商交渉で関税率のことがよく報道されています。
関税率の交渉も大事ですが、関税分類の取り決めも重要です。

関税分類とは、HS番号のことです。
世界の関税体系は、HS番号ごとに関税率が決められているからです。
そのためにどのHS番号が適用されるかのほうがより重要とも言えます。

半導体デバイスが異なるHS#と判定され課税されたEUでのケース:
本来、HS#8541(無税)のはずだが、HS#8535(スイッチ)と判定され、2.7%が課税された。
どのHS番号が適用されるかにより関税率が異なります。
 
貿易取引されるすべての商品が適正な品目分類となるようにHS品目表が5年毎に見直されています。
次の改定は2017年に行われますが、すでに税関当局の通商交渉が始まっています。

関連コラム:
関税率品目分類の変更 2007/4/3

2013/4/30

世界の通商交渉、決められないWTOが原因か 

「WTOの病」という記事に目が留まりました。
同じことを感じていますのでご紹介したいと思います。

青山学院大学猪木武徳特仁教授が投稿された記事です。(4月21日付読売新聞)

TPPとか日中韓FTAとかいろいろの地域貿易協定が生れています。
最大の疑問は、
WTOがあるのになぜいろいろの組合せができるのか?
WTOが「決められない機関」になってしまったことが影響していると説いています。

WTOの前身GATTの時代は先進国がリーダーシップを発揮しやすかった。
しかし、150カ国以上が加盟している
WTOでは合意に達するのは容易ではない。
その結果様々な組み合わせ・離合集散の動きが起こっていると分析をされています。

今後、世界経済がどのように変化していくのでしょうか。

関連コラム:
「通商秩序の番人」WTO 2012/10/16

2013/04/25

食品衛生法改正6月から適用

輸入食品用容器・包装器具の試験方法が6月29日から改正となります。
合成樹脂製(ポリスチレン)やシリコンゴム製の容器・包装器具の場合は新しい試験法で検査が行われます。

輸入販売されるすべての食品容器や器具は、食品衛生法で有害物質が含まれていないことの確認検査を義務づけ、「食の安全」を守っています。

なお、6月28日までに製造・輸入されたものについては、現行の試験方法での検査となります。詳しくは専門の検査会社にご相談ください。

関連コラム:
輸入手続きをスムーズにする方法 2013/02/25

2013/4/20

インド向け輸出の際には十分にご注意ください 

輸入書類に記載の重量が実際重量と違うと罰金。
インド・チェンナイ港でのお話しです。

今年3月からコンテナの重量検査を実施、どれくらいの差があるか確認を始めており、罰金を科していると報じられています。

書類上の重量と実際の重量に差があるようです。
ターミナル料金をセーブするために過少申告するのでしょうか。

今後、インドの全ての港で重量検査を行うとのことです。

関税を安く抑えるために輸入金額を過少申告する(つまり、脱税)のは聞いたことがありますが、コンテナ重量を過少申告するのは初めて聞きました。

2013/04/15

2013 © Pro Eyes Corporation

欧州発航空貨物のセキュリティー検査強化 

欧州発の航空貨物の搭載前の爆発物検査などのセキュリティー検査が義務付けられます。
2010年から施行されている新保安法が今月 4 月 29 日から完全施行となるためです。

事前登録されていない不特定荷主からの貨物については、70%以上の貨物がセキュリティー検査(24時間前申告、X線検査、梱包を開けての貨物検査)の対象になると予想されております。
貨物の到着遅れやセキュリティー検査費用など追加経費も懸念されます。

欧州からの輸入貨物は、早めの出荷手配が必要となるだけでなく、「特定フォワーダーを利用できるか?」「特定荷主の事前登録はしているか?」などを検討しておくことが大事になるでしょう。

関連コラム:
航空貨物のセキュリティー強化 2005/12/5

2013/04/01

輸出コンプライアンスもっと弾力的な運用を 

輸出するときに必要な貿易管理コンプライアンス業務、大変な労力ですね。
輸出企業にとって作業負荷が高く、法体系を見直す時期ではないかという意見もあるようです。

法律(貿易管理令)を読みくだくのが大変、さらに専門知識も求められる。
挙句の果てに、刑事罰や行政処分まである。

もともと貿易管理は、米ソの冷戦時代に「対共産圏輸出規制(ココム)」から始まりました。
その後、軍事転用やテロなどにならないように貿易コンプライアンス管理が行われています。

でも、法体系そのものは、基本的にココムの当時(50年以上も前)とほとんど同じなのです。
リスト規制(貨物・技術の判定)とキャッチオール規制(輸出先企業の判定)のダブルチェックが必須です。

多くの企業が海外展開を進め、海外子会社向けの輸出が増えている時代です。
少なくとも、軍事転用への懸念がないことが明らかな海外子会社向けの輸出については、もっと弾力的な運用ができないものでしょうか。

関連コラム:
貿易の基本2:取引に法規制があるの?2012/02/24

2013/03/25

輸入関税率は1商品1税率ではありません 



TPPのことに関連して、世界の通商交渉がGATTからスタートしたことをらくらく貿易Face Bookに掲載しました。http://www.facebook.com/rakurakuB

関税の仕組みについて整理してみました。

輸入関税率は、1商品1税率ではありません。
輸入相手国ごとに税率が決められています。

・基本税率(=General)
・期間限定で特定品目を対象とした暫定税率(=Temporary)
・WTO協定国よりの輸入税率(=WTO)
・開発途上国からの産品にのみ適用される特恵税率(=GSP)
・特定2国(又は地域)間経済協定締結国よりの輸入税率(=EPA)
に細分化されています。

原産国ごとに、関税率の特典を与え世界全体の貿易振興を図っているのです。
TPPがスタートすると、TPP協定締結国よりの輸入税率(=TPP)が追加になります。

2013/03/19

輸出入貨物保険のプロからのアドバイス その3 

貨物海上保険の特約について

貨物海上保険は協会貨物約款(ICC)をベースとしていますが、ICCでカバーできない損害は、特約を付帯してカバーすることになります。この特約は保険会社がカスタマイズして提供していますので、ICCでカバーされない損害が想定される場合は、保険会社にそのような補償を特約として付帯することが可能か相談することをお勧めします。

ご参考までに一般的な特約をいくつかご紹介します。

■Before loading clause
例えば、貨物を山形の工場から未梱包の状態で横浜の梱包倉庫に輸送し、梱包した貨物を横浜のCYに搬入して本船に積み込み輸出する場合は、工場から梱包倉庫までの輸送期間と梱包倉庫での保管期間中及び梱包作業中は、ICCの保険条件だけでは保険対象外ですが、この特約を付帯することで、山形の工場出荷時から想定されるリスクを含めてカバーすることが可能になります。

■Special transit clause
例えば、産業機械を中国に輸出した場合、中国の最終仕向地の指定倉庫にすぐに納品せず、輸入港(上海)の倉庫に一旦保管してから買主の指定倉庫に納品する場合は、港の倉庫に搬入した時点で保険期間は終了しますが、この特約を付帯することで、港の倉庫の保管中及び指定倉庫への納品完了までのリスクをカバーすることが可能になります。
また、Installation clauseを付帯することで、機械据付作業中の事故による損害もカバーできます。

■Debris Removal clause
貨物が破損した後の破損貨物の取片付け費用は、保険対象外ですが、この特約の付帯により、取片付け費用、廃棄処分費用を保険対象とすることができます。
通常は、保険金限度額(50万円まで等)が設定されます。

■Special repacking clause
貨物の梱包は、貨物の一部とはみなされないため、保険対象外ですが、この特約を付帯することで、梱包材料費とその取寄せ運賃及び再梱包作業費をカバーすることが可能になります。

■Duty clause
貨物が損傷した場合、納付した関税は、輸入通関して保税地域から貨物を搬出した後では通常は還付されません。その場合の関税の損害をカバーします。
Duty clauseは、食品、衣類、靴などの高い関税率が課される貨物に有効です。

注)これらの特約は、保険会社のリスク判断により付帯できない場合もあります。

2013 © 神作亮二・損害保険コンサルタント

2013/03/11

同じ意味でも異なる略語表記 

貿易実務に使われている用語には多くの略語が使われています。

船や飛行機のスケジュール確認をする時によく使う略語の「ETD」。
「ETD(出港予定日)いつですか?」

この略語「ETD」ですが、最近は「ETS」というケースをよく見かけます。
ETS=Estimated Time of Shipment/Sailingの略です。

ETD(Estimated Time of Departure)と同じ意味ですね。
貿易用語も時代を反映して変わってきているようです。

関連コラム:
貿易通信で使われている略語 2009/12/25

2013/03/05

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