HSコードの見直しをWCOが2017年から行うようです。輸入・輸出ともに自社製品のHSコードをしっかり把握することが貿易実務でますます重要になります。貿易実務の 情報サイトらくらく貿易。|貿易実務に影響大WCOがHSコード見直し

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貿易実務に大いに影響、WCOが2017年からHSコード見直し



世界税関機構WCOは2017年1月からHSコード分類を変更すると発表しています。
定期的にHSコード(関税率品目分類)の見直しが行われており約5年ぶりの見直しになります。
今回のWCOの見直しは、
1.魚類・同製品
2.林産品
3.危険化学品
4.薬品
5.化成品
6.科学技術製品
を対象に234分類におよぶと報道されています。

■HSコードとは?
HSコードの英語原文はHarmonized Commodity Description and Coding Systemですが長いためHS(エイチエス)と短く省略しています。
また、この言葉はかなり専門的なため英語ではTariff Codeと表現されるのが一般的です。

貨物を輸出入する場合、税関長に輸出入申告(通関手続き)が必要となります。
その申告に使われるのが世界税関機構WCOが決めたHSコードなのです。

このHSコードは世界共通に使われており、すべての商品を成分・材質ごと・用途ごとに細かく分類されており、輸入関税率が設定されています。

■原産地証明書もHSコードが基準
原産地証明書もHSコードに関連があります。
原産地証明書には一般の原産地証明書と特定原産地証明書の2種類があります。

一般の原産地証明書は輸出Invoiceなどの典拠資料が証拠となり発行されます。
どのような商品でも一般の原産地証明書を申請することができます。

一方、EPAやFTAなどの場合に限り発行されるのが特定原産地証明書です。
HSコードで特定した商品に対してのみ発行されるから「特定」という言葉がついています。

■なぜHSコードで特定した商品に対してのみなのか?
EPAやFTAでは自国の産業を保護するため一部の商品を例外とする場合があります。
TPPでも日米交渉で米などの農産品を例外にするなどの交渉が行われています。
例外があるから取り決めた商品をHSコードで特定しているのです。

輸出InvoiceにHSコードの記載が求められる場合も増えてきています。
輸入での貿易実務だけでなく、輸出の貿易実務でも専門の通関士に任せることなく、ご自身で自社製品のHSコードを把握しておくことが大事になってきています。

世界税関機構WCOのHSコード見直しがこの先注目されます。

関連記事:
もう一つの通商交渉、関税分類の取り決めも重要 2013/4/30

2014/09/22

輸入関税率は1商品1税率ではありません 



TPPのことに関連して、世界の通商交渉がGATTからスタートしたことをらくらく貿易Face Bookに掲載しました。http://www.facebook.com/rakurakuB

関税の仕組みについて整理してみました。

輸入関税率は、1商品1税率ではありません。
輸入相手国ごとに税率が決められています。

・基本税率(=General)
・期間限定で特定品目を対象とした暫定税率(=Temporary)
・WTO協定国よりの輸入税率(=WTO)
・開発途上国からの産品にのみ適用される特恵税率(=GSP)
・特定2国(又は地域)間経済協定締結国よりの輸入税率(=EPA)
に細分化されています。

原産国ごとに、関税率の特典を与え世界全体の貿易振興を図っているのです。
TPPがスタートすると、TPP協定締結国よりの輸入税率(=TPP)が追加になります。

2013/03/19

日本のEPA締結国 

日本は、ASEANをはじめ、個別にシンガポール・インドネシア・マレーシア・タイ・ブルネイ・フィリピン・ベトナムと締結、メキシコ・チリとのEPAも締結されています。
インドとは、来月8/1より発効となります。
ペルーとは基本合意に達し発効待ち、EUとは締結交渉が始リだしました。

*EPA(Economic Partnership Agreement) 二国間経済条約
自由貿易協定(FTA)の範囲を広げ、貿易以外の分野での経済協力も含んだ経済条約のこと。

関連コラム:
フェアトレード 2010/2/1
貿易協定 2007/4/16

2011/7/25

米国貿易定義 

米国には独特の貿易条件(米国貿易定義、注*)があることをご存知でしょうか?
米国では、鉄道輸送と海上輸送または航空輸送を組み合わせた複合輸送取引があることから、 INCOTERMSと解釈が異なる米国特有の貿易条件が規定されております。

INCOTERMSFOB条件では、港湾や空港での積込みまでの費用・危険を売主が負担しますが、米国では、港湾に面した場所からではなく、内陸の輸出地点から輸出するケースがほとんどです。そのため、輸出地に近い指定業者倉庫渡し=FOB条件という解釈が行われています。

例えば、FOB New Yorkの場合、輸入者が指定した運送業者の倉庫までの輸送費とリスクは当然輸出者の負担となりますが、倉庫搬入後の輸出経費とリスクは買主負担となります。
輸出者は、指定倉庫に引渡した時点で責任終了となり、その後の港湾や空港ターミナルへの運搬期間中と貨物搭載するまで(INCOTERMS本来のFOB条件)のリスク負担を輸入者が負っていることになります。

米国貿易定義での取引の場合には、保険契約する際に保険会社に申告しておくことも大事です。米国からFOB条件で輸入したが、改正米国貿易定義による取引条件であったことを輸入者が認識せずに、貨物海上保険契約をしたが、事故発生原因が輸出地での本船搭載前に起こったと認定され、保険会社からの保険求償が受けられなかったケースもありますので、注意が必要です。

(*)改正米国貿易定義(Revised American Foreign Trade Definitions, 1941)
米国では、大陸横断鉄道を利用した取引または海上輸送と鉄道輸送を組み合わせた複合輸送取引があることから、米国特有の貿易条件が規定されている。

国際商業会議所規定のINCOTERMSのように、法的拘束力がないため、国際的にはあまり使われていませんが、念のため、米国と取引する場合には確認が必要です。

2006/4/14

ウィーン売買条約 

世界各国は異なる法制度や商慣習であるにも拘らず、国際商取引を解釈、履行する統一された商法がないため、契約内容に関し紛争となることがよくあります。

このため、世界主要国では物品売買契約に関する紛争解決の際の国際条約「ウィーン売買条約」(=国際物品売買契約に関する国際連合条約)を採択しています。
売主と買主の費用負担範囲、貨物の危険負担範囲を規定した「インコタームズ」を補完し、契約の成立や契約違反に対する救済についても規定しています。

不思議なことに日本は、これまでこの条約を採択していませんでした。ようやく、今年8月よりこのウィーン売買条約が適用されることになります。

2009/5/11

米国式貿易取引条件 

貿易取引は、異なる国の間の取引のため、どこまでが輸出者の責任・経費で、どこからが輸入者の責任・経費なのか、解釈が異なり、売主と買主の間でトラブルとなることがあります。

一般的には、INCOTERMSに則って、FOBCFR(C&F)CIFなどの取引条件の権利義務の解釈が行われますが、アメリカでは、大陸横断鉄道を利用した取引または海上輸送と鉄道輸送を組み合わせた複合輸送取引があることから、アメリカ特有の貿易条件(改正米国貿易定義)が規定されています。
米国と取引される場合には、念のため、契約時に取引条件の確認をお勧めいたします。

2010/2/25

インコタームズ2010(その1)

貿易取引は、異なる国の間での取引ですが、国際間で統一された商法はありません。 どこまでが輸出者の責任範囲で、どこからが輸入者の責任範囲なのかが明確でないとトラブルの原因となります。そこで、世界共通の取引条件を国際商業会議所が貿易条件(インコタームズ)として定めています。

現在使用されているインコタームズ2000に代わり、「インコタームズ2010」が2011年1月1日より発効となります。
インコタームズ2010では、新しく2条件(DAT=delivered at terminalDAP=delivered at place)が加えられ、従来のインコタームズ2000(13条件)のうち、DDUDEQDESDAFの4条件が廃止されますので、11条件となります。
また、FOB条件の解釈の変更やターミナル費用(THC)についての解釈を明確にしているなど追加もされております。

関連コラム:
インコタームズ2010(その2) 2010/12/8
ウィーン売買条約 2009/5/11

2010/10/6

インコタームズ2010(その2) 

来年早々2011年1月1日より、インコタームズが変更になります。
現在使用されているインコタームズ2000に代わり、「インコタームズ2010」が発効となります。

改定のポイント1:
インコタームズ2000では、4グループにわけた13条件でした。
1.Eグループ=出荷条件・・・EXW
2.Fグループ=主要輸送費買主負担条件・・・FCAFASFOB
3.Cグループ=主要輸送費売主負担条件・・・CFRCIFCPTCIP
4.Dグループ=到着条件・・・DAFDESDEQDDUDDP

今回のインコタームズ2010では、輸送用途ごとに2グループにわけ、11条件となります。
A グループ: あらゆる輸送手段に適した7条件
EXWFCACPTCIPDATDAPDDP

B グループ: 海上輸送手段に適した4条件
FASFOBCFRCIF

改定のポイント2 :
新しく2条件(DATDAP)が加えられます。
同時に、従来の到着条件のうち4条件(DAFDESDEQDDU)が廃止されますので、11条件となります。

関連コラム:
インコタームズ2010(その1) 2010/10/6
ウィーン売買条約 2009/5/11

2010/12/8