原産地にEPA(経済連携協定)税率を適用したい場合、原産地認定がより厳密に定められています。EPA締約国を原産地とするためには原産地規則という3つの条件を満たさなければなりません。|原産地にEPA税率を適用するには

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公開日:2017.04.14

原産地にEPA税率を適用するには

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物流や貿易が盛んになり、一つの品物が出来上がるまでに様々な国が関与するようになりました。

複数の国の材料を使用し加工されて出来上がった物品の国籍(原産地)はどのように決まるのでしょうか?

日本の関税法には原産地を認定する基準が2つあります。

1.完全生産品
その名の通り、一つの国または地域で生産されたもの。一つの国または地域で採れた鉱物や動植物、水産物、これらを原材料として生産された物品です。

2.実質的な変更を加える加工又は製造したもの
関税定率法別表の「項」(HS番号の4桁)の変更を伴う加工または製造をした国が原産地と認定されます。ただし、輸送や保存のための乾燥・冷凍や包装容器に詰めること、部分品の組み立てなど、認められない加工もあります。その場合は前の状態まで行った国が原産地となります。

また、「税関長の指定する加工又は製造」として繊維製品など一部のもので、上記とは異なる加工・製造も認められています。

以上が基本的な原産地認定基準になります。

EPA(経済連携協定)税率を適用したい場合、原産地認定がより厳密に定められています。EPA締約国を原産地とするためには3つの条件を満たさなければならず、これらの条件を原産地規則と呼びます。

1. 原産地基準
・完全生産品
・実質的な変更を加える加工又は製造したもの
・関税分類変更、特定の加工工程、付加価値が特定の条件を満たしたもの
・関税分類変更にかかる特例規定の適用を受ける産品
・原産材料のみから生産された産品
原産地基準には「累積」や「僅少の非原産材料」といった補足的規定も多くあります。

2.原産地手続
EPA特定原産地証明書や通し船荷証券などの書類の提出

原産地基準を満たすかどうかを証明する方法は3種類あり、
・第三者証明制度:輸出国発給当局が特定原産地証明書を発給
・認定輸出者による自己証明制度:輸出国発給当局が認定した輸出者自身が原産地申告文を作成
・自己申告制度:貨物の輸入者、輸出者又は生産者自らが原産地申告書を作成
第三者証明制度はすべてのEPAで認められていますが、それ以外は各EPAで対応が異なります。

3. 運送基準
原則として直送していること

EPAは締約国ごとの交渉によるため、内容は各EPAで違います。同じ品目であってもEPA毎に異なる基準が存在します。また、関税分類が変更していても品目によって条件付きになり、原産国と認められない場合もあります。

EPA特恵税率を適用させるには各条件を詳しく調べて照らし合わせる必要があります。

下記サイトなどを参考にされると良いでしょう。

原産地規則ポータル
http://www.customs.go.jp/roo/

各協定の本文と品目別規則(経済産業省HPより)
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/process/e-step4.html

2017/04/14

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