果物や野菜などの農産物は植物防疫法の規制を受けます。植物防疫法とは植物に有害な動植物の駆除、有害動植物の蔓延防止、農業生産の安全及び助長を図ることを目的とする法律です。|農産物(果物・野菜など)の輸入は植物防疫法

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公開日:2017.11.27

農産物(果物・野菜など)の輸入は植物防疫法

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前回のコラムでは、食品等の輸入は通関手続き前に検疫所に食品等輸入届出が必要なことを書きました。

今回は、食品のうち、果物や野菜などの農産物の輸入制度や手続きについてです。

農産物は植物防疫法の規制を受けます。

植物防疫法とは、植物に有害な動植物の駆除、有害動植物の蔓延防止、農業生産の安全及び助長を図ることを目的とする法律です。

有害動植物の駆除、蔓延防止策として実施されているのが、輸出時と輸入時に行われる植物検疫です。植物検疫は輸入量や商用・個人消費など用途に関わらず行わなければなりません。

農産物を輸入したい場合、まずは輸出国の植物検疫機関で植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)を発行してもらいます。そして、入港(着陸)後、検査申請書を植物検疫所(農林水産省)に提出して保税区内の検疫所にて検査が行われます。NACCSでオンライン申請できます。

このように、輸出国と輸入国でのダブルチェックが世界各国で採用されています。つまり、日本から輸出したい場合も植物検疫が行われ、相手国に検査証明書を提出することになります。

植物検疫の検査対象品目のうち食品は、果物、野菜、穀類、豆類、未焙煎のコーヒー豆、スパイス、ハーブ、菜種、ごま、植物性の漢方薬原料などが該当します。加工品で製茶などの高度に処理された植物や、ビン詰めされた香辛料、ドライフルーツなどは検査不要品にあたります。

しかし、検査の要不要は製造・加工工程で異なるので事前に検疫所で確認してください。また、輸入できるものと輸入できないもの(輸入禁止品)があります。

輸入禁止品は、植物防疫法で定められた植物、検疫対象となる生きた病害虫、土の付着したもの、これらの容器包装ですが、同じ種類の植物でも国や地域によって扱いが違います。どの産地の植物が輸入禁止品に該当するか、植物防疫所HPにある「輸入条件に関するデータベース」で確認することができます。

輸出入条件詳細情報
http://www.maff.go.jp/pps/j/search/detail.html

輸入条件に関するデータベース日本語版
http://www.pps.go.jp/eximlist/Pages/exp/condition.xhtml

輸入後、検査が行われ、病害虫の付着がなければ検査合格となります。合格証明書が発給され、通関手続きに入ることができます。食品等輸入届出も忘れずに。不合格であれば廃棄するか、消毒して合格証明書を発給してもらいます。

さて、どのように検査が行われているか気になりますよね。検査は全量検査もしくは抽出検査で行われます。植物の種類や荷口ごとに検査数量が定められています。検査は通常目視で行われます。必要とあれば顕微鏡でより詳しく検査を行います。

意外とアナログな検査方法ですが、このような検査が採用できる背景には、輸出国での検疫を経ていることや、どこの国でどのような病害虫が発生しているかの情報共有、リスク回避の方法を確立できているものだけが輸入できる、といったことがあります。適切な管理や措置ができないものについては輸入禁止となっています。

ただし、輸出国から輸入禁止解除の要請があれば、相手国と病害虫侵入リスク回避措置の科学的根拠が十分かどうか検討し、基準を満たせば輸入が解禁されます。輸入解禁に向けた進捗状況は農林水産省のホームページ上でも確認することができます。

2017/11/27

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