「台湾」は国名だと思っている方はいませんか?台湾とは、「中華民国」が実効支配している島の名前です。では、「中華民国」が台湾の国名?それもちょっと違うのです。各国は台湾と正式な国交がなくても、非政府組織の窓口機関を通じて外交関係を続けています。WTO(世界貿易機関)は、領域を代表するもの、として台湾の加盟を認めています。中華民国という呼称を使いませんが。 |意外と知らない台湾の基本情報

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公開日:2018.06.29

意外と知らない台湾の基本情報

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皆さんは台湾に行ったことがありますか?

私は学生時代にバックパックを背負って、旅行したことがあります。

いわゆる貧乏旅行でしたが、屋台での小吃や、夜市でのマンゴージュースがとても美味しかったことを覚えています。

台湾は関空から直行便で3時間弱、LCCなら往復2万円以下で行くことができ、人気の旅行先です。

面積は九州よりやや小さいくらいなので、3泊4日で主要観光地を周遊することもできます。

日本から人気の旅行先である台湾ですが、それ以上に台湾から人気の旅行先が日本です。台湾は世界一の親日国と言われています。だからというか、単に距離が近いからか、訪日台湾人は2017年456万人です。台湾の人口が約2,357万人ですから、単純に計算して5人に1人は訪日経験があることになります。ちなみに、日本からの訪台者数が約190万人です。

日本が人気の旅行先に選ばれている理由の一つに、距離が近い、ということがあげられます。台湾は大型連休が少なく、あまり長期の旅行がしにくいという事情があります。そこで、2・3泊で行ける近隣国が人気です。

日本は四季がはっきりしていて、四季折々の景色や食べ物を楽しむことができます。台湾にも四季はありますが、基本的に沖縄のように年中温暖で、特に夏は非常に蒸し暑いです。ですから、冬はスキー、夏は涼しい北海道が年間通して人気です。

さて、「台湾」は国名だと思っている方はいませんか?
台湾とは、「中華民国」が実効支配している島の名前です。では、「中華民国」が台湾の国名?それもちょっと、違うのです。

少し台湾の歴史を紹介しますと、もともと先住民が住んでいた台湾に福建省や広東省など中国大陸沿岸部の人々が最初に移住してきたのが17世紀頃のことです。その後、清朝の支配下に置かれる時代や、日本統治時代を経て、第二次世界大戦後はそのころ中国大陸を統治していた中華民国政府が領有していました。(日本は台湾統治を放棄した、というだけで、どこに帰属するかは明確にしておらず、国際法上の領有権は未確定という見方もある。)

戦後、中国では中華民国政府VS人民解放軍(中国共産党)の内戦が激化します。中華民国政府は大陸での支配地域をどんどん奪われていき、最終的には台湾に政府機構を移転します。政府機構だけでなく、財産や文化財なども移転させており、台湾に故宮博物院があるのはこのためです。一方、人民解放軍は中華人民共和国の建国を宣言します。

その後、冷戦の文脈の中で国連が「中国代表権」を中華人民共和国に移し、アメリカをはじめ、各国が中華人民共和国を承認します。「中華人民共和国(中国)」と「中華民国」はどちらも自分が正統な政府機関である、と主張していましたから、片方を認める、ということは片方を認めない、ということです。中華民国は中華人民共和国と国交を結ぶ国々とは国交を結んでいないか、断交しています。

中国は「一つの中国」という原則を掲げており、台湾を取り戻すことが中国共産党の最終的勝利だ、としています。しかし、軍事力も経済力も大きな中国が、台湾に強力に手を出さないのは、アメリカが関係しています。過去に中国は台湾の基隆沖海域にミサイルを撃ち込むなどの威嚇行為を行いました。その際、アメリカ軍は台湾海峡に空母を派遣。「アメリカは必要な場合には、台湾を助けるために台湾に近づく」と中国に警告しています。

各国は台湾と正式な国交がなくても、非政府組織の窓口機関を通じて外交関係を続けています。WTO(世界貿易機関)は、領域を代表するもの、として台湾の加盟を認めています。中華民国という呼称を使いませんが。

日本は台湾との関係を「非政府間の実務関係」という立場をとっています。非政府とはいえ、事実上の大使館の役割を果たす「日本台湾交流協会」を設置していますし、当協会を通じて二国間協定も存在します。正常な国交を持つ国と何ら変わりありません。

中国と台湾の関係も変化しています。お互いに正式な政府とは認め合っていませんが、経済的・人的交流や貿易も盛んです。

外交や政治の世界は、白黒つけずに棚上げすることで各方面の均衡を保つという複雑なものです。日本との歴史的関係性や台湾のナショナリズムや政治の話など、あれこれ調べると奥が深いものです。皆さんも台湾を訪れる際は、予備知識をたくさん仕入れていくと、また違った旅行の楽しみ方ができるかもしれません。

2018/06/29

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