カワウソはワシントン条約で附属書Ⅱにも掲載されている絶滅危惧種です。需要があるのに入手が困難なため、密輸の対象にもなっています。2015年から2017年に東南アジアで密輸されそうになった59頭の生きたカワウソのうち、少なくとも32頭は日本向けでした。動物の輸入には煩雑な手続きが必要です。そして動物の種類のよって手続きは異なります。|カワウソなど人気の動物が密輸の対象に?

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カワウソなど人気の動物が密輸の対象に?

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最近、カワウソが人気ですね。

愛嬌のある表情や仕草、家で飼うことも可能、とのことから、テレビやSNSでブームを引き起こしています。

水族館や動物園ではカワウソの人気投票が行われたり、個人の方でカワウソを飼っている方のTwitterは大人気で多くの方にフォローされています。

しかし、人気のカワウソ、ブームの陰には悲しいニュースもあるのです。

実は、カワウソはワシントン条約で附属書Ⅱにも掲載されている絶滅危惧種でもあるのです。絶滅の危機に瀕しているのに、人気であることから、高額で取引されています。そして、その市場価値がゆえに、生息地である東南アジアで野生の状態で幼獣が捕獲され、その親カワウソは殺されたりしているのだそうです。

ではなぜ絶滅危惧種の動物がペットショップで売られているのか?それは、国内で人工的に繁殖されたものであれば「野生生物」にあたらず、商取引してもいいからです。

しかし、カワウソは人工繁殖がまだまだ難しく、流通量が少なく希少で価格も60万円以上します。一部のエキゾチックアニマルを扱う業者では販売されていますが、入荷は相当待たなければないそうです。ただし、実はその動物がどういった経路で入手されたものであるかはわからないといいます。密輸されてきた動物である可能性も否めないのです。

需要があるのに入手が困難なため、密輸の対象にもなっています。2015年から2017年に東南アジアで密輸されそうになった59頭の生きたカワウソのうち、少なくとも32頭は日本向けであったそうです。

密輸された動物は動物を保護する観点から良くないことだというだけでなく、感染症の危険性があることを理解しなければなりません。

通常、動物の輸入には煩雑な手続きが必要です。輸出国政府発行の衛生証明書を入手し、輸入申告、輸入検疫または届出、CITESの入手などをしなければなりません。動物の種類のよって手続きは異なります。

◆犬、猫、うさぎ、鳥類、水産動物、その他の動物(牛、やぎ、羊、豚、いのしし等、馬、ミツバチ)

農林水産省・動物検疫所での輸入検疫が必要です。種類により輸入手続きが異なります。犬、猫の場合、個体識別用のマイクロチップの埋め込みや狂犬病の予防接種(2回)、抗体検査、輸出前待機(抗体検査の採決日から180日以上)、事前届出(日本到着日の40日前まで)、輸出前検査、輸出証明書の取得が輸出国で必要です。これらに不備があれば、日本到着後に一定期間係留しなければならず、犬については証明書との照合ができないと返送になります。また最悪の場合殺処分になってしまいます。

◆動物検疫対象以外の陸生哺乳類、げっ歯類(フェレット、ハリネズミ、ハムスター、モルモット等)、鳥類(オウム、インコ、鳩、文鳥等)

厚生労働省・検疫所に輸入届出が必要です。輸出国政府発行の衛生証明書も必要ですが、げっ歯類の場合、保管施設が輸出国の指定を受けていることなど条件が厳しく、自宅やペットショップで飼育されていたものでも基本的に持ち帰ることが難しい状況です。

以上の輸入手続きは個人で飼っているペットであっても、商業目的の輸入でも同じ手続きが必要です。

また、プレーリードッグやサル、タヌキ、コウモリ、イタチアナグマ、ハクビシン、ヤワゲヌズミは輸入禁止動物です。これらの動物は感染症を人に感染される恐れの高い動物として輸入が禁止されています。

例えば狂犬病は病名に「犬」とあるため、犬のみが媒介する病気のように勘違いされる方もいますが、すべてのほ乳類が感染源となる可能性があります。密輸される動物は輸出国と輸入国での検疫を通っておらず、致死率の高い感染症を持っているかもしれません。しかも、これらの動物が無責任な飼い主によって飼育放棄されたら、と思うと恐ろしいですよね。

私自身は動物が好きで、動物を扱ったテレビやSNSの投稿も見るのですが、ブームの陰の部分を思うと複雑な心境です。

2018/08/11

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