日本と韓国で貿易をめぐる争いが始まってしまいました。内容は、韓国を「ホワイト国」から外すこと。そして韓国へ輸出する特定貨物及び技術提供の規制です。日本は韓国が安全保障上信頼できる国ではない、として、今まで与えていた輸出の優遇措置を止め(非ホワイト国)、輸出管理の厳格な制度運用を行うことにしました。|韓国向け輸出管理が見直されました

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韓国向け輸出管理が見直されました

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中国と米国の米中貿易戦争が長引いていると思っていたら、今度は日本と韓国で貿易をめぐる争いが始まってしまいました。

内容は、韓国を「ホワイト国」から外すこと。そして韓国へ輸出する特定貨物及び技術提供の規制です。

日本は韓国が安全保障上信頼できる国ではない、として、今まで与えていた輸出の優遇措置を止め(非ホワイト国)、輸出管理の厳格な制度運用を行うことにしました。

そこで今回は、輸出貿易でポイントとなる「輸出貿易管理」について簡単に解説します。

商品の輸出は相手さえいれば誰でも簡単にできます。しかし、何でもかんでもどこへ向けても輸出できるか、というとそうではありません。外為法に基づき、大量破壊兵器や通常兵器の開発・製造につながる貨物と技術の管理を実施しています。

外為法で規制されている貨物や技術を輸出しようとするものは、原則として経済産業大臣の許可を受けなければなりません。規制を受ける仕向地や貨物は輸出貿易管理令に定められています。

いやいや、兵器の開発や製造につながるものなんて輸出しないよ、といっても、製造者が思う用途と使用者の思う用途が違う場合があります。武器開発に使うことができるものを輸出管理しなければなりません。これは輸出者が思いもよらない軍事転用へ加担してしまうことを防ぐためでもあります。

具体的な運用は
「リスト規制」と「キャッチオール規制」により行われます。

◆リスト規制とは

貨物や技術の機能や性能(スペック)に着目した規制です。輸出貿易管理令別表第1の1から15の項に該当する品目が対象です。技術は外為法別表に規定。スペックや機能は経済産業省令で具体的に定められています。

スペックを満たした規制に該当する貨物(技術)を輸出する場合、原則、経済産業大臣の許可が必要です。

品目が同じでも、省令で定めるスペックに満たない場合、リスト規制対象外になります。この場合、経済産業大臣の許可は不要ですが、リスト規制に該当しないことを証明する書類等(非該当証明書、項目別対比表、パラメーターシート等)を税関に提出しなければなりません。

リスト規制対象地域は全地域です。特に国際的な懸念のある地域として、イラン、イラク、北朝鮮が指定されています。

◆キャッチオール規制とは

需要者や用途に着目した規制です。リスト規制に該当しない品目を補完的に規制しています。A.大量破壊兵器キャッチオール規制とB.通常兵器キャッチオール規制があります。

輸出貿易管理令別表第1の16の項に掲げられています。兵器開発と関係ないと考えられる食品や木材以外のすべての品目(技術)が対象です。

A. 大量破壊兵器キャッチオール規制

許可申請が必要なのは「客観要件」に該当する貨物です。客観要件には用途要件と需要者要件があります。当該輸出に関する契約書や文書より、用途が兵器開発に該当する(用途要件)、輸出する貨物が経済産業省の公表する「外国ユーザーリスト」掲載の企業(需要者要件)である場合、許可申請が必要です。ただし、需要者要因では兵器開発使用でないことが「明らかなとき」を除きます。

また、経済産業大臣が輸出者に輸出許可・役務取引許可の申請をすべき旨の通知をする場合があります。これを「インフォーム要件」といいます。

規制対象地域は「ホワイト国」以外の全地域です。
ホワイト国は輸出管理に関する国際条約及びレジームに参加しており、キャッチオール規制を厳格に実施している国です。

27か国がホワイト国に指定されていましたが、韓国は8月中旬をもって外されることになっています。

B. 通常兵器キャッチオール規制

仕向地により許可申請の要件が異なります。用途要件、またはインフォーム要件により判断されます。

また、日本を経由しない仲買貿易取引も規制対象です。
無許可で該当貨物(技術)を輸出・取引したものには厳しい罰則が科されています。

輸出貿易管理令及び外為法は毎年国際情勢を鑑みて改正が行われています。でも、いまだかつてこんなにこれらの改正が注目されたことはありません。韓国がらみのことは、それだけ各方面に影響があり、一般の人にも響く事柄だった、ということでしょう。

輸出管理の話は過去コラムや貿易用語集にとても詳しく書かれていますので、ぜひ一読してみてください。

貿易コンプライアンス
https://www.rakuraku-boeki.jp/word/t080-2

ホワイト国
https://www.rakuraku-boeki.jp/word/w032-2

ワッセナーアレンジメント
https://www.rakuraku-boeki.jp/word/w024-2

2019/09/13

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