コロナ渦でテイクアウトなど増え、いつも以上にプラスチック容器の使用が増えました。そこで食品用容器包装についてまとめました。2018年6月に食品衛生法が改正され、2020年6月、食品用器具・容器包装に使用できる合成樹脂について、従来のネガティブリスト制度からポジティブリスト制度に変更になりました。 |食品用容器包装のポジティブリスト制度って?

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公開日:2020.07.17  / 最終更新日:2022.01.27

食品用容器包装のポジティブリスト制度って?

食品用の様々な容器

新型コロナウイルスの影響で、飲食店の料理をテイクアウトしたり、Uber Eatsのような宅配の利用機会が増えた、という人は多いのではないでしょうか。

私も、自粛期間中は特にテイクアウトやスーパーのお惣菜を利用することが増えました。

そうなると、いつも以上にプラスチック容器の使用が増えます。この容器、食品衛生法に関係する・・・食品の容器はどのような規制があるの?ということで、今回は食品用容器包装についてまとめました。

2018年6月に食品衛生法が改正され、2020年6月、食品用器具・容器包装に使用できる合成樹脂について、従来のネガティブリスト制度からポジティブリスト制度に変更になることが、施行されました。

【ポジティブリスト制度とは?】
ポジティブリスト制度とは、原則としてすべての物質を禁止し、安全性を評価した物質のみ原材料に使用可能にする、という制度です。

え、じゃあ今までは安全性が評価されていなくても使用していたの?と気になるところですよね。従来は、ネガティブリスト制度を採用していました。これは、毒性が強く健康に被害を及ぼす恐れのある物質をリスト化し規制する、という考え方です。原則としてすべての物質の使用を許可したうえで、危険な物質について規制します。

しかし、海外で使用が禁止または規制された物質について、個別に規格基準を定めない限り日本では規制できない、という短所があります。実は、法律の下ではネガティブリスト制度を採用していますが、業界団体による自主規制でポジティブリストを作成し規制しており、両方を合わせると、欧米と同等の規制で安全性が確保されています。

ただし、輸入品の多くが業界団体の自主規制外です。また、自主規制はあくまで任意ですので、強制力がなく、規制がすべてに及ぶわけではありません。そこで、自主規制を包括し、さらなる安全性確保、欧米等との国際整合性を確保するため、などの理由から、食品衛生法でのポジティブリスト制度が導入されることになりました。

改正法でポジティブリスト制度の対象となるのは合成樹脂(プラスチック)製の器具・容器包装のみです。ゴムや金属、木、陶磁器やガラスなどは対象ではありません。ただし、これら合成樹脂以外の材質が主成分であっても、食品との接触面に合成樹脂の層が形成されている場合は対象となります。例えば、牛乳やジュースの紙パックなどです。

また、食品と接触しない非接触面に使用されている合成樹脂や、主成分が合成樹脂以外で食品接触面に合成樹脂層が形成されていなければ、制度対象外となります。例えばおはしの持ち手や食品製造用機械の外装などです。

2018年6月の法改正から今年の施行日までの間に、業界団体や企業から情報提供を受け、ポジティブリストが公布されました。令和7年5月31日までの5年間を経過措置期間とし、リスト(別表第1)に収載されていないものでも、施行日より前に製造または輸入されている器具・容器包装と同様のものはポジティブリスト適合とみなし、使用されていた範囲内での使用が可能です。収載可能であれば、リストに追加されます。

また、施行前から使用実態があるのにリストに掲載されていない場合、または使用条件等を満たしてない場合には、必要な情報を厚生労働省医薬・食品生活局基準審査課に提出します。経過措置後もリストに収載されていなければ使用できなくなります。新規の物質については、追加の収載要請があれば、リスク評価を行い、告示改正されます。リスト収載までの間、販売するための製造又は輸入はできません。

食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000635338.pdf

別表第1
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000625490.pdf

ポジティブリスト制度Q&A
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000637342.pdf

海外から輸入される食品用器具・容器包装に対して、以前から実施されている材質試験や溶出試験に変更はありません。ただし、輸入通関時に検疫所からポジティブリスト適合性証明書またはリスト適合の確認ができる書類の提出を要求されることがあります。ですので、輸入者はあらかじめリスト適合を確認できる書類を入手することが必要です。

2020/07/17
simalu 元通関士の実践コラム

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